2009年10月31日

Bebel Gilberto『All In One』

まさにオール・イン・ワンなコンテンポラリー作品☆Bebel Gilberto『All In One』
All in One
発表年:2009年
ez的ジャンル:偉大な血統系コンテンポラリーMPB
気分は... :まさにオール・イン・ワンな1枚!

ブラジル音楽界の巨人Joao Gilbertoの娘Bebel Gilbertoの4thアルバム『All In One』です。

Verveからの第1弾アルバムである本作がワールドワイド・メジャー・デビュー作品となるらしいです。お馴染みの名前だったので、今頃"ワールドワイド・メジャー・デビュー"と聞いてもピンと来ませんが...

Bebel Gilbertoは1966年N.Y.生まれ。Joaoと歌手Miuchaの間に生まれた娘です。JoaoはAstrud Gilbertoと離婚後にMiuchaと結婚しています。またMiuchaの弟は、これまた偉大な音楽家Chico Buarqueです。

偉大な音楽家の血筋と音楽に囲まれた環境の中で、Bebelも自然と音楽に慣れ親しみ、音楽を学んでいきました。

1986年に1stEP『Bebel Gilberto』をリリース。90年代に入るとN.Y.へ移住し、David ByrneArto LindsayCaetano Veloso、Thievery Corporation、TOWA TEI(テイ・トウワ)、坂本龍一らとコラボしています。

CD棚からTOWA TEIの『Future Listening!』(1995年)や『Sound Museum』(1998年)を取り出して確認してみると、確かにBebel Gilbertoがフィーチャーされています。当時は全然意識せずに聴いていましたが...

このように様々なミュージシャンとの交流を経て、2000年にデビュー・アルバム『Tanto Tempo』をリリースしています。このデビュー・アルバムはクラブ方面からも注目され、リミックス・アルバム『Tanto Tempo Remixes』も出ています。

その後『Bebel Gilberto』(2004年)、『Momento』(2007年)という2枚のアルバムをリリースを経て、今回の"ワールドワイド・メジャー・デビュー"に至っています。

メジャー・デビューと言っても特別気負うことなく、Bebelらしく伝統的なブラジル音楽と21世紀らしいコンテンポラリーなサウンドを自由に行き来しています。

プロデューサーにはBebel本人以外に、Amy Winehouse『Back to Black』のプロデュースで知られるMark Ronson、Brazilian GirlsのメンバーDidi Gutman、Tone Loc、Beastie BoysBeck等のプロデュースで知られるJohn King(Dust Brothers)やMario C(Mario Caldato)、Carlinhos BrownAntonio Carlos Jobimの孫Daniel Jobim等が務めています。

タイトルの通り、オール・イン・ワンなコンテンポラリー・アルバムに仕上がっていると思います。守りすぎず、攻めすぎず、いろいろな視点で楽しめるアルバムになっていると思います。

私生活でも結婚する予定らしく、お相手がエグゼクティブ・プロデューサーにしっかりクレジットされています。そんな幸せモードがジャケ写真からも感じられますね。

Clara MorenoMaria RitaそしてBebel Gilberto...僕の場合、二世女性シンガーにグッとくる傾向があるようです(笑)

全曲紹介しときやす。

「Cancao de Amor」
穏やかなオープニング。Bebelの優しげなヴォーカルと涼しげな口笛が印象的です。Bebel Gilberto/Masa Shimizu作。Didi Gutmanプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=M487gKyuP8s

「Sun Is Shining」
Didi Gutman & John KingプロデュースしたBob Marleyのカヴァー。僕の場合、当ブログでも紹介した『Kaya』のヴァージョンに慣れ親しんでいるのですが、その印象で本カヴァーを聴くと結構ビックリします。アコースティック・カヴァーかなぁ...なんて思っていると近未来的なスペイシー・ワールドへ誘われていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=8QBI5J6BeS0

「Bim Bom」
本作の聴きどころの1つ。偉大なる父Joao Gilbertoの名曲を、同じく偉大な音楽家Antonio Carlos Jobimの孫Daniel Jobimとデュエットしています。ボサノヴァの巨人たちのDNAを受け継ぐ二人のデュエットというだけでグッときてしまいますね。変な小細工はせずに、シンプルなバックによるオーソドックスな仕上がりもグッド!

「Nossa Senhora」
Carlinhos Brown/Paulo Levita作。Carlinhos Brownプロデュース。Paulo LevitaのギターをバックにBebelが歌う素朴な仕上がりにホッとします。

「The Real Thing」
クラブ系リスナーの方はグッとくる1曲ですね。当ブログでも紹介したSergio MendesMeta Roos & Nippe Sylwens Bandのヴァージョンで有名なStevie Wonder作品のカヴァー。Mark Ronsonがプロデュースし、その人脈でSharon Jonesのバックバンドであり、Amy Winehouse『Back to Black』のレコーディングにも参加していたThe Dap-Kingsのメンバーがバックを務めています。2009年らしいカヴァーに仕上がっているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=wcIqtp4O2tA

「Ela(On My Way)」
Bebel Gilberto/Carlinhos Brown作。Carlinhos Brownプロデュース。Carlinhos Brownの手腕が光ります。基本はアコースティック・テイストながら、適度にエレクトロ&パーカッシヴな仕上がりが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=BpuSYpgSv8c

「Far From The Sea」
Robertinho Brant/Emerson Pena作。プロデュースはBebel本人。ストリングスをバックにしたロマンティックな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=pb-XnavQYe0

「All In One」
タイトル曲はBebel Gilberto/Cezar Mendes作。プロデュースはDidi Gutman/Carlinhos Brown/John King。全編英語で歌われていることもあり、ブラジル音楽を聴かない人をも惹きつける普遍的な魅力を持った仕上がりになっています。個人的にもアルバムで一番好きかも?
http://www.youtube.com/watch?v=KuZE8zF6eRw

「Forever」
Bebel Gilberto作&プロデュース。神秘的な美しさを感じる小品。
http://www.youtube.com/watch?v=cPHX9f1igNc

「Secret(Segredo)」
Bebel Gilberto/Thomas Bartlett作。Bebel Gilberto & Carlinhos Brownプロデュース。「Forever」に続き、この曲も神秘的ですね。秘境を訪れたような気分になる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=3Qp1UdfTmGs

「Chica Chica Boom Chic」
伝説の歌姫Carmen Mirandaの歌で知られる名曲(Mack Gordon/Harry Warren作)のカヴァー。Didi Gutman/Carlinhos Brown/Mario Cがプロデュースしています。古典ならではの親しみやすさと21世紀カヴァーならではのコンテンポラリー感を上手く融合しています。化学反応を起こすのが得意なMario Cの手腕が光る1曲かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=4tG-U0CK0yY

「Port Antonio」
Bebel Gilberto/Didi Gutman作。Didi Gutmanプロデュース。美しく感動的な歌&演奏でアルバムは締め括られます。
http://www.youtube.com/watch?v=keAitxeLiKw

そう言えば、偉大な父Joao Gilbertoの作品を紹介していませんでしたね。順序が逆になってしまいましたが、そのうちJoao作品も記事にしたいと思います。
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2009年10月29日

『今の気分は...2009年10月29日編』

今日は記事を書く時間が無いので、過去記事から10曲セレクトするシリーズの第3弾です。

昨日ブックオフに行ったのですが、Hip-Hopクラシック作品を手にするたび、「ヤベェー!」「マジかよ!」を連発する少年二人のすぐ隣でCDを眺めているうちに、気分がHip-Hopモードになってきました(笑)

ということで80年代後半から90年代前半のHip-Hopです。
僕がこの時期のHip-Hopを選ぶと、曲は違えど大体このあたりのアーティストに落ち着いてしまいますね(笑)

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

De La Soul「Breakadawn」(1993年)
Buhloone Mindstate
http://www.youtube.com/watch?v=qxAAtjGPGDk

Jungle Brothers「Feelin' Alright」(1989年)
Done By the Forces of Nature
http://www.youtube.com/watch?v=pYmOEOTXjiY

A Tribe Called Quest「Check the Rhime」(1991年)
The Low End Theory
http://www.youtube.com/watch?v=lRrM6tfOHds

Main Source「Peace Is Not the Word to Play」(1991年)
Breaking Atoms
http://www.youtube.com/watch?v=O7xvEN8YERE

Pete Rock & C.L.Smooth「Lots of Lovin」(1992年)
Mecca and the Soul Brother
http://www.youtube.com/watch?v=oQxBuFgxhFM

The Pharcyde「Runnin'」(1995年)
Labcabincalifornia
http://www.youtube.com/watch?v=1hZKN4AZ63g

Gang Starr「Mass Appeal」(1994年)
Hard to Earn
http://www.youtube.com/watch?v=y9lNbNGbo24

EPMD「Crossover」(1992年)
Business Never Personal
http://www.youtube.com/watch?v=OC1psGZXZlw

Stetsasonic「Talkin' All That Jazz」(1988年)
In Full Gear
http://www.youtube.com/watch?v=CgmfyFm30OE

Digital Underground「Doowutchyalike」(1990年)
Sex Packets
http://www.youtube.com/watch?v=QJ0FWt0omQc
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2009年10月28日

Pierre Barouh『Vivre』

Barouhのアーティストとしての信念・魅力が凝縮された1枚☆Pierre Barouh『Vivre』
VIVRE〜生きる
発表年:1967年
ez的ジャンル:吟遊詩人系フレンチSSW
気分は... :♪生きる♪生きる♪生きる♪

今日はPierre Barouh『Vivre』(1967年)です。
本作のリリース年について、1965年〜1969年の範囲で様々な表記があるようですが、僕が簡単に調べた限りでは1965年録音、1967年リリース(フランスAZより『Pierre Barouh』のタイトルでリリース)という気がしますので、ここではそのように表記しておきます。自信がないので間違っていたらゴメンナサイ!

Pierre Barouhは1934年、フランス、パリ生まれのミュージシャン。

カンヌ映画祭でグランプリを受賞した『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』(1966年)への出演・歌で脚光を浴びるまで、Barouhはバレーボール選手、空軍入隊、スポーツ記者、映画監督のアシスタント、俳優と様々な経験を積んできました。

初めて出演した映画である『Arretez Les Tambours』(1961年)の中で、自作曲「Les Filles Du Dimanche」を歌いミュージシャンの道に目覚めたBarouhは、やがてFrancis Laiと楽曲制作を行うようになります。

1962年にシングル数枚をリリースし、レコード・デビューを果たします。さらにはパリでBarden Powel、Vinicius de Moraesらと出会い、レコーディングを行っています。「フレンチ・ボサノヴァ」ブームの火付け役という印象も強いBarouhですが、50年代終わりにブラジル音楽に傾倒し、果てはブラジルまで渡った経験があるようです。

その後、俳優、ミュージシャンとして活動する中でClaude Lelouch監督と出会い、前述の映画『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』(1966年)へ出演し、スターの座を射止めます。

しかし、スターの座には目もくれず、1966年にはSaravah Recordを設立し、埋もれた才能の発掘に財産を投じます。Brigitte FontaineもSaravahで発掘された才能の1人ですね。

ちなみにBarouhの奥さんは日本人女性(潮田敦子バルーさん)です。

『Vivre』は、今日では彼が敬愛するボサノヴァとシャンソンの出会いといった「フレンチ・ボサノヴァ」の文脈で語られることが多く、そういった楽曲満載をイメージする方もいるかもしれませんが、全12曲中ボッサ・チューンは「Roses (Das Rosas)」「Ce Piano」の2曲のみです。

むしろ、信念のミュージシャン、吟遊詩人としてのBarouhを堪能できるのが本作の魅力だと思います。本作を聴くと、なぜ彼がスターの座に目もくれずSaravahを設立したのかわかる気がします。

全12曲中6曲がFrancis Laiとの共作であり、Francis Lai好きの人にもオススメです。

秋冬にピッタリの1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Vivre!」
邦題「生きる」。Francis Laiとの共作。この1曲のみで本作を欲しくなる方も多いのでは?ジャズ・ワルツ調の小粋なサウンドに合わせてBarouhの信念が歌われます。パーカッシヴなリズムはモロに僕好み。自分の信念を貫きたい人にとって絶好のテーマ曲になるはず!♪生きる♪生きる♪生きる♪
http://www.youtube.com/watch?v=nTAHCKWzSk4

「Un Jour D'Hiver」
邦題「冬のある日」。Raymond Lesenechalとの共作。哀愁モードのサウンド&ヴォーカルがジワジワ胸に染み渡ってきます。

「Ce Piano」
邦題「このピアノ」。Francis Laiとの共作。エレガントな雰囲気漂うボッサ・チューン。ボッサなギターと美しいピアノの組み合わせがグッド!

「Le Coeur Vole」
邦題「盗まれた心」。Rimbaud(ランボー)の詞に感動したBarouhが曲をつけたもの。寂しげなBarouh歌声にグッときます。

「Roses (Das Rosas)」
邦題「薔薇」。Barden Powelと共作した名曲「Samba Saravah」(サントラ『Un Homme Et Une Femme』収録)と同じ日、Barden の家で録音した曲(Dorival Caymmiとの共作)。Barden Powelのギターをバックにしたボッサ・チューン。フレンチ・テイストを上手くボサノヴァに取り入れているのが魅力です。

「Les Filles Du Dimanche」
邦題「日曜日の娘達」。前述のように映画『Arretez Les Tambours』(1961年)の中で歌われた曲です。フレンチ気分を存分に堪能できるシャンソン調の仕上がり。アコーディオンの音色にグッときます。

「Huit Heures A Dormir」
邦題「8時間は眠れる」。Francis Laiとの共作。8時間と言わず10時間位は寝たいものですな(笑)

「Monsieur De Furstemberg」
邦題「フュールステンベルグさん」。Francis Laiとの共作。サンジェルマン・デ・プレ教会の神父であったFurstemberg枢機卿に由来するパリの小さな広場について歌ったもの。Barouhはこの広場をパリ中で最も美しく、魅力的でつつましい場所と感じているようです。サウンドからもそんな雰囲気が伝わってきます。

「Des Ronds Dans L'Eau」
邦題「水の中の環」。Raymond Lesenechalとの共作。後にFrancis Laiが音楽を担当した映画『Vivre Pour Vivre(邦題:パリのめぐり逢い)』でも使われています(Barouh自身も映画に出演しています)。サントラでは英語ヴァージョン(タイトル「Now You Want To Be Loved」)はNicole Croisille、仏語ヴァージョンはAnnie Girardotが歌っています。野望に向かって突き進みつつも、空しさを感じる心の揺らぎが見事に歌われています。名曲だと思います。

「Celle Qu'on N'oublie Pas」
邦題「忘れられない人」。Francis Laiとの共作。♪これは悲しい歌ではない♪甘いエレジー♪なのだそうです(笑)。映画の挿入歌にピッタリな雰囲気ですね。Francis Lai好きの人であればグッとくるはずですよ。

「De L'amour A L'amour」
邦題「愛から愛へ」。目まぐるしく変化する夢の断片が、様々な言葉で語られています。歌詞を見ながら、夢の映像の断片をイメージするのも楽しいかもしれません。

「Chanson Ouverte A Mon Directeur Artistique」
邦題「アートディレクターへの公開歌」。Francis Laiとの共作。ベトナム戦争中だった当時、悲惨な戦争さえも商売のネタにしてしまうアーティストや音楽ビジネスを痛烈に批判した歌。♪そんな恥ずかしい歌は歌えない♪と歌うBarouhの潔さと、Francis Laiらしい美しいメロディにグッときます。

『Ca Va, Ca Vient』(1971年)も愛聴盤です。次回Pierre Barouhを取り上げる時に紹介したいと思います。また、『Un Homme Et Une Femme』は来月記事にする予定なのでお楽しみに!

Pierre Barouh『Ca Va, Ca Vient』
サ・ヴァ・サ・ヴィアン

Francis Lai『Un Homme Et Une Femme』
男と女 オリジナル・サウンドトラック
posted by ez at 07:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月26日

The McCrarys『All Night Music』

人気曲「Love On A Summer Night」収録☆The McCrarys『All Night Music』
オール・ナイト・ミュージック
発表年:1982年
ez的ジャンル:ゴスペル系アーバン・ソウル
気分は... :祝!世界初CD化

今夏遂に世界初CD化となったThe McCrarys『All Night Music』(1982年)です。

発売時期や内容からして夏に紹介したかったのですが、Amazonにジャケ画像がなく紹介するのが遅れてしまいました。

The McCrarysはオハイオ出身のMcCrarys兄弟によるゴスペル/ソウル・グループ。

敬虔なクリスチャン一家の10人兄弟のうち、SamAlfredCharityHowardLindaでグループを結成し、活発に地元で活動します。その後L.A.へ進出し、ゴスペルの大手レーベルLightからアルバム『Sunshine Day』(1972年)等2枚のアルバムをリリースしています。

こうした中で兄弟達はゴスペル界の巨匠Andrae Crouchと出会い、彼のセッションに数多く参加するようになります。特にHowardはCrouchのバンドのレギュラー・シンガーに抜擢されます。また、各メンバーはソウル、ゴスペル、ロックの各方面から多くの声が掛かる売れっ子セッション・シンガーとして活躍するようになります。

そして、Andrae Crouchと行動を共にしたHowardを除く、Sam、Alfred、Charity、Howard、Lindaの4人によるThe McCrarysとして、Portraitから『Loving Is Living』(1978年)、『On The Other Side』(1979年)という2枚のアルバムをリリースしています。『Loving Is Living』からシングルカットされ、全米R&Bチャート第9位となった「You」はグループ最大のヒット曲です。この曲ではStevie Wonderがハーモニカで参加しています。

The McCrarys「You」
http://www.youtube.com/watch?v=s1p7eS0pINY

その後Capitolから『Just for You』(1980年)、『All Night Music』(1982年)という2枚のアルバムをリリースしています。『Just for You』ではHowardがグループに復帰しますが、『All Night Music』では再び4人体制に戻っています(Howardは曲作りで関与しています)。

僕の場合、『Capitol Classics The Best Of Volumes 1&2』(1989年)というコンピCDがMcCrarysを知るきっかけとなりました。B.B.Q Band、Dayton、Sheree Brown、O'Bryan、Gene Dunlap等のヒット曲が1枚で楽しめるコンピということで購入したのですが、その中に人気曲「Love On A Summer Night」が収録されていました。

その「Love On A Summer Night」が収録されているアルバムが今日紹介する『All Night Music』(1982年)です。今回の世界初CD化に歓喜している方も多いのでは?僕もそんな一人です。

プロデュースはCrusaders(Jazz Crusaders)のオリジナル・メンバーであるWayne Hendersonが務めています。レコーディング・メンバーの中にはMichael Sembelloの名前もありました。

当ブログで紹介したAngela Bofill『Something About You』でLinda/Alfredが作った「On and On」が取り上げられるなどソングライティングにも優れたMcCrarysのメンバーですが、全10曲中メンバーが手掛けたのは4曲のみで、残りはWayne Hendersonラインでの楽曲提供のようです。

本作の魅力は、「Love On A Summer Night」「For You」といったアーバン・メロウな楽曲に拠るところが大きいと思います。一方でこうしたアーバン・メロウな魅力は、McCrarysというよりもWayne Hendersonの手腕によって引き出されたものという気がします。

むしろメンバーが楽曲提供した「It's Still You」「Night Room」「Only With You」「Miles Above」の4曲に、ゴスペルをベースにソウルフルなヴォーカルを聴かせるグループ本来の魅力が凝縮されている気がします。

「Love On A Summer Night」がキラー・チューンであることは間違いありませんが、前述の4曲にも注目すると、さらに楽しみが倍増すると思います。

全曲紹介しときやす。

「It's Still You」
前述のグループ最大のヒット曲「You」を彷彿させるオープニング。二匹目のドジョウを狙ったのでしょうか(笑)

「Night Room」
Lindaのヴォーカルを前面に押し出したファンキーなミッド・グルーヴ。素晴らしいホーンアレンジも光りますね。
http://www.youtube.com/watch?v=cjpZQrjNIfg

「Lookin' Through The Eyes Of Love」
力強いLindaのヴォーカルが印象的なラブ・バラード。 曲自体はイマイチですが、ここまで聴かせてしまうのはLindaの歌唱力に拠るところが大きいのでしょうね。

「Love On A Summer Night」
本作のハイライトとなるアーバン・ダンサー。解説担当のK氏が"George Benson「Give Me The Night」を思わせる"と書いていますが、個人的には「Love X Love」と一緒に聴きたくなりますね。トロンボーン・ソロはWayne Hendersonです。
http://www.youtube.com/watch?v=F4JQu39OaFQ

「Feel Your Fire」
パンチのあるLindaのヴォーカルを楽しむにはいい曲かも?

「All Night Music」
タイトル曲は、オールナイト・モードのダンス・チューン。B級感漂うノリでガンガン突き進んでいきます。

「For You」
「Love On A Summer Night」と並ぶハイライト。胸キュンのメロウ・グルーヴにグッとくる方は多いはず!「Love On A Summer Night」が「Love X Love」と一緒に聴きたい曲ならば、本曲はSister Sledge「Thinking of You」と一緒に聴きたい曲ですね。http://www.youtube.com/watch?v=K2fRp6_LMxc

「Only With You」
ゴスペルしている本曲こそグループ本来の姿なのだと思います。迫力ある魂のヴォーカルが胸の中まで届いてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=31b6R2v2-yA

「Torn In Two」
ほのぼのリラックス・ムードのポップ・チューン。

「Miles Above」
ラストもゴスペル仕込みの素晴らしいヴォーカルを堪能できます。こういう曲を聴くと、全編コンテンポラリー・ゴスペルなアルバムも聴いてみたいですね。

Samの娘であるAnn McCraryもゴスペル・シンガーとして活躍しています。
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2009年10月25日

Brian Auger's Oblivion Express『Reinforcements』

ムーグを大胆に取り入れた充実作☆Brian Auger's Oblivion Express『Reinforcements』
Reinforcements
発表年:1975年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー系ジャス・ロック
気分は... :CDのデータは正しいですか?

Brian Auger率いるBrian Auger's Oblivion Expressの4回目の登場です。

これまでBrian Augerに関しては、これまで以下の4作品を紹介しました(発売順)。

Brian Auger & The Trinity
 『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger's Oblivion Express
 『Second Wind』(1972年)
 『Closer to It!』(1973年)
 『Straight Ahead』(1975年)

今日紹介するのは1975年の作品『Reinforcements』です。

唐突ですが、僕は本作のCDを2枚持っています。
ある理由で買い直しました。

リマスターやボーナス・トラック追加、紙ジャケ仕様等さまざまな理由で、同じ作品のCDを複数枚持っていること自体は特に珍しいことではありませんよね。僕の場合、そうした理由でThe Who『Who's Next』などは3枚持っています。

しかしながら、本作を買い直した理由は、中身(データ)が本作ではなかったから(笑)

中古品CDでジャケとCD本体が違うことは頻繁にありますが、この場合はCD本体へのプリントも間違いなく、Brian Auger's Oblivion Express『Reinforcements』でした。でも収録されていたデータは、コンテンポラリー・ゴスペル・グループAnointedのデビュー作『Spiritual Love Affair』(1993年) だったのです。

冷静に聴けば、明らかに90年代のサウンドなのですが、まさかデータが違うかもしれないという前提で聴くこともなく、"さすがBrian Augerは時代を先取りした音を創っているなぁ""かなりソウルフルな作品だなぁ"くらいの認識で当初は聴いていました。人間の思い込みというのは怖いものです(笑)

まぁ、中身が『Reinforcements』ではないことは程なく気付いたのですが、では中身は誰なのか?という事実を知ったのは、iTunesで音源をデータベース参照した時ですから、せいぜい5〜6年前の出来事だったと思います。

正真正銘の『Reinforcements』(1975年)を買い直し、ようやく本当の音を聴けた時は大感動でしたね。そんな経緯があり、特に思い入れの強いBrian Auger作品です。

本作におけるメンバーは、Brian Auger(org、el-p、syn)、Jack Mills(g)、Clive Chaman(b)、Dave Dowle(ds)、Lennox Langton(per、conga)、Alex Ligertwood(vo、g、per)の6名。ベースのClive ChamanはJeff Beck Groupのメンバーとしてご存知の方もいるかもしれませんね。

内容はこの時期のグループの充実ぶりが窺える内容です。
ムーグを大胆に取り入れ、よりクロスオーヴァー/フュージョン色が濃くなった仕上がりになっています。

Oblivion Express作品がお好きな人ならば、間違いのない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Brain Damage」
オススメその1。スタジオでのジャム・セッションの出来栄えがあまりに良かったので、そのまま録音してしまったオープニング(Jack Mills/Alex Ligertwood作)。ムーグの音がビンビンくるミッドテンポのジャズ・ファンクです。まさに脳がヤラれてしまう演奏かもしれませんね。

「Thoughts from Afar」
Brian Auger作。淡々とした中に漂う幻想的なムードに惹かれます。

「Foolish Girl」
オススメその2。Clive Chamanの作品。ソウルフルなメロウ・グルーヴに仕上がっています。グループの持つクロスオーヴァーな魅力を存分に堪能できる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=8stdW24QJoM

「The Big Yin」
オススメその3。あまり語られることのない曲ですが、疾走感溢れるカッチョ良さに溢れています。Jack Mills/Alex Ligertwood作。

「Plum」
オススメその4。メロウネスで言えば、Alex Ligertwood作の本曲がアルバム随一です。このグループならではのメロウ・ソウルに仕上がっていると思います。

「Something out of Nothing」
オススメその5。Lennox Langton作である本作は、パーカッション奏者の作品らしい躍動するブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。爽快はフルートはClive Chamanです。ブラジリアン・フュージョンが好きな人は気に入るでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=v5K9F6ioXhE

「Future Pilot」
Brian Auger作。ジワジワ迫ってくる幻想的な仕上がり。一気に加速する後半の盛り上がりがグッときます。

ちなみに意図せずに入手することとなったAnointed『Spiritual Love Affair』(1993年)も、コンテンポラリー・ゴスペルとして楽しめる作品であり、今ではそれなりに気に入っています。

皆さんは、僕のようにCDのプリント内容とデータが異なっていた経験ってありますか?
posted by ez at 06:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする