2010年08月25日

Frank McComb『Straight From The Vault(Special Edition)』

日本向けに新録ヴォーカル3曲を追加したスペシャル・エディション!☆Frank McComb『Straight From The Vault(Special Edition)』
ストレイト・フロム・ザ・ヴォルト-スペシャル・エディション
発表年:2006年
ez的ジャンル:不遇の男性ソウル・シンガー
気分は... :頑張れ!Frank McComb!

今日はジェントルなR&B/ソウルが聴きたい気分です。

そんな気分にマッチする1枚がFrank McComb『Straight From The Vault(Special Edition)』(2006年)です。

Frank McCombの紹介は『The Truth』(2003年)に続き2回目となります。

"21世紀のDonny Hathaway"と称したくなる才能を持ちながら、チャンスに恵まれない悲運のソウル・シンガーというイメージが強い人ですね。

彼の素晴らしい才能を日本のR&B/Soulファンに知らしめたアルバムが2nd『The Truth』(2003年)でしたが、結局本国アメリカではリリースされませんでした。さらに過去のお蔵入り音源がブートレグで出回ったりといった状況でした。

そんな状況に業を煮やしたFrank McCombは、未発表曲を集めて1枚のアルバムにまとめ、自身のWebサイトのみで発売していたものが『Straight From The Vault』(2004年)です。

『Straight From The Vault』(オリジナル)
Straight from the Vault

今回紹介する『Straight From The Vault(Special Edition)』は、オリジナル収録のインスト3曲を新録ヴォーカル3曲に差し替えた2006年発売の日本向けのスペシャル・エディション盤です。

プロデュース、楽曲、アレンジはFrank McComb本人が担当し、「The Things That You Do」のベース以外は全ての楽器をFrank本人が担当しています。

どの曲もオーソドックでさり気ない感じですが、歌心と歌力に溢れた素晴らしい出来栄えです。また、アーバン・テイストのサウンドが実に心地好い作品でもあります。優れたキーボード奏者でもある彼の演奏にも注目しましょう。

『Straight From The Vault』に続き、Frankは未発表曲集『The 1995 Bootleg』(2005年)をリリースします。しかし、その直後にFrank本人の承諾なしにお蔵入り音源にミックスを施した作品が『The Truth Vol. 2』(2006年)として発売され、Frankを失望させることになります。皮肉にも『The Truth Vol. 2』の出来栄えが良かったりします。ファンとしては非常に複雑な心境ですよね。

頑張れ!Frank McComb!

全曲紹介しときやす。

「White Line In The Sky」
清々しい気持ちになれるオープニング。カラフルなキーボード・プレイとジェントルなヴォーカルに癒されます。2分にも満たない曲ですが、もっと長尺で聴きたい気分ですね。

「I'd Be A Fool」
エレピの音色と伸びやかなヴォーカルが実に心地好いメロウ・グルーヴ。思わず体を揺らしてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=dfTU_q5w77o

「The Thing I Failed To Do」
感動的なラブ・バラード。不意に涙腺がウルウルしてきてしまいます。こういう曲を歌わせたら天下一品ですな。

「Each Day」
アーバン・テイストのスムーズ・チューン。ジャズ/フュージョン分野で活躍するFrankのセンスが窺える1曲ですね。

「Groovin'」
日本向け新録1曲目。タイトルの通りのグルーヴィー・ソウルに仕上がっています。スクラッチ音が聴こえてくるのはご愛嬌ということで(笑)。

「Just A Few More Days」
日本向け新録2曲目。コーラス・パートが素晴らしいミディアム・スロウ。

「Waiting On The Day」
日本向け新録3曲目。美しいピアノとFrankらしいジェントルなヴォーカルを堪能できます。新録3曲の中では一番好きです。

「The Things That You Do」
アーバン・モードの爽快メロウ・チューン。軽やかさの中にも落ち着きがある感じが好きです。

「Left Alone」
しみじみと歌い上げるバラード。Frank McCombファンは期待通りの出来栄えだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=G6Vn2aFayXY ※ライブ音源

「Still Has A Hold On Me」
Frank McComb本人もお気に入りの1曲のようです。Stevie Wonder風のヴォーカル&メロディにグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=34BsCsMEluI ※ライブ音源

「It Was You」
"21世紀のDonny Hathaway"の本領発揮といった感動バラード。これだけの歌力を持つ男性R&B/ソウル・シンガーはなかなか居ないでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=pHKIFhOQLks

「A Good Past ... A Better Future」
ラストはアルバムの余韻を味わう小曲です。

『Love Stories』(2000年)
Love Stories

『The Truth』(2003年)
Truth

『The 1995 Bootleg』(2005年)
1995 Bootleg

『The Truth Vol. 2』(2006年)
Truth 2

『Live in Atlanta Vol. 1』(2007年)
LIVE In Atlanta Vol.1(DVD付)

『A Tribute to the Masters』(2007年) ※インスト・アルバム
Tribute to the Masters

『Live in Atlanta Vol. 2』(2008年)
Vol. 2-Live in Atlanta
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2010年08月24日

Gal Costa『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』

ロマンティックかつ表情豊かな歌世界☆Gal Costa『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』
Lua De Mel Como O Diabo Gosta
発表年:1987年
ez的ジャンル:大人のMPB
気分は... :バスタイムのタバコはいけません(笑)

今回はGal Costa『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)です。

MPBを代表する大物女性シンガーGal Costaですが、当ブログではこれまでCaetano Veloso、Gilberto Gil、Tom Ze、Nara Leao、Os Mutantesらと共演した『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』(1968年)は紹介しましたが、Gal単独作品は未紹介でした。

Gal Costaは1945年ブラジル、バイーア州サルヴァドール生まれ。

1963年にCaetano Velosoと出会い、さらにGilberto Gil、Tom Ze、Maria Bethaniaとも交流を持つようになります。そして、1967年にはCaetano Velosoと共に名作『Domingo』をリリースし、さらに1968年には前述の『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』をリリースし、トロピカリア(トロピカリズモ)の中心的な女性シンガーとして注目を集めるようになります。

1969年には初のソロ・アルバム『Gal Costa』をリリース。トロピカリアの動きが落ち着いた後もMPBを代表する女性シンガーとしてコンスタントにアルバムをリリースしています。

女王Elis Reginaと同じように、その存在感だけで聴き手を魅了する女性シンガーですよね。

Gal Costa作品の紹介としては、60〜70年代前半のアルバムを先に紹介するべきかもしれませんが、最近よく聴いている『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)をセレクトしました。

タバコ片手に入浴する女性の後姿(Gal本人)のジャケが印象的ですよね。
Gal作品の中にはセクシーすぎて検閲に引っ掛かった『India』(1973年)の例もありますが、本作もお色気ムンムンな感じで大好きです(笑)

内容としては、コンテンポラリーなサウンドをバックに、ロマンティックかつ表情豊かなGal Costaワールドを堪能できれるアルバムに仕上がっています。Galのシンガーとしてのスケールの大きさを実感できる点も大好きです。

プロデューサーにはGuto Graca Melloが起用されています。また、本作でLulu Santosの作品をかなりプッシュしており、全10曲中3曲が彼の作品です。

ブラジル音楽=ボサノヴァ、サンバのような印象が強い方はGal Costaを聴くと、ブラジル音楽の別の魅力に触れることができると思います。

成熟したGal Costaの歌世界を堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Arara」
Galが強力にプッシュしているLulu Santos作品でアルバムはスタートします。迫力と表情豊かなGalのヴォーカルの存在感に圧倒されるオープニングです。

「O Vento」
Ronaldo Bastos/Djavan作品。Djavan本人もレコーディングに参加し、アレンジも担当しています。アコースティックなバックに合わせて、ここでのGalは透明感のあるヴォーカルを聴かせてくれます。

「Tenda」
Caetano Velosoの作品。コンテンポラリーなサウンドによる大人のMPBといった趣の仕上がりです。

「Viver e Reviver (Here,There And Everywhere)」
Beatlesの名曲「Here, There and Everywhere」のポルトガル語カヴァー。「In My Life」と並ぶBeatlesマイ・フェイバリット・ソングを素敵なカヴァーで聴かせてくれます。Galの素晴らしいヴォーカルとポルトガル語の響きが、名曲にロマンティックな魅力を加えています。
http://www.youtube.com/watch?v=odpvxX-XSRY

「Me Faz Bem」
Fernando Brant/Milton Nascimento作品。スケール感の大きい壮大な楽曲に相応しく、Galも堂々としたヴォーカルを披露してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=KpMcCcV_ukA

「Morro de Saudade」
Gonzaguinha作品。メロウ・サウンドとチャーミングなGalのヴォーカルがよくマッチしていてグッときます。

「Lua de Mel」
Lulu Santos作品の2曲目。アルバムで一番のお気に入り。バスタイム・モードのジャケの雰囲気をそのまま音にしたようなセクシー&リラックスな仕上がりにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=d2S78E2yRzc

「Creio」
Lulu Santos作品の3曲目。Galの歌唱力の素晴らしさを堪能できる感動的な1曲。アレンジも担当しているTorcuato Marianoの素晴らしいギターにも注目です。
http://www.youtube.com/watch?v=2r8i3p8yPg0

「Sou Mais Eu」
Michael Sullivan/Paulo Massadas作品。ファンク/ソウルの名手がLincoln Olivettiがアレンジを担当し、ファンキーな味わいのコンテンポラリー・チューンに仕上げています。ライブのような効果音も入り、臨場感があるのもいいですね。Galのヴォーカルも伸び伸びとしています。

「Todos os Instrumentos」
ラストはJoyce作品。ラストはジャジーな雰囲気で締め括ってくれます。実に表情豊かなGalのヴォーカルにウットリです。

Gal Costaの作品はジャケを眺めるだけで魅了されますね。
とりあえず60年後半から80年代前半の主要作品のジャケを集めてみました。

『Gal Costa』(1969年)
Gal Costa

『Gal』(1969年)
Gal

『Legal』(1970年)
Legal

『India』(1973年)
India

『Cantar』(1974年)
カンタール

『Gal Canta Caymmi』(1976年)
Gal Canta Caymmi

『Caras E Bocas』(1977年)
Caras E Bocas

『Agua Viva』(1978年)
Agua Viva

『Gal Tropical』(1979年)
Gal Bossa Tropical

『Aquarela do Brasil』(1980年)
Aquarela Do Brasil

『Fantasia』(1981年)
Fantasia

『Minha Voz』(1982年)
Minha Voz

『Baby Gal』(1983年)
Baby-Gal
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2010年08月23日

Santana『Santana III』

初期Santanaがピークに達した3rdアルバム☆Santana『Santana III』
Santana III
発表年:1971年
ez的ジャンル:元祖ラテン・ロック
気分は... :今聴きたいSantana作品!

Carlos Santana率いるSantanaの4回目の登場です。

これまで紹介したSantana作品は以下の3枚。

 『Santana』(1969年)
 『Borboletta』(1974年)
 『Festival』(1976年)

今回紹介するのは3rdアルバム『Santana III』(1971年)です。

僕の中でお気に入りのSantana作品は数年サイクルで変化しています。数年前は『Welcome』(1973年)、『Borboletta』(1974年)といったフュージョン期のアルバムが好きだったのですが、最近の嗜好にフィットしているのが『Santana III』です。

本作の原題は『Santana』ですが、1st『Santana』と区別するため、『Santana III』と表記されることが多くなりました。本エントリーでも便宜上『Santana III』と表記しておきます。

大ヒットした2nd『Abraxas』(1970年)に続いてリリースしたアルバムであり、前作同様に全米アルバム・チャートNo.1に輝きました。

躍動感に満ちた"ラテン・ロック・グループ"としてのSantanaが頂点に達したアルバムであり、バンドにとって大きな区切りとなった作品という印象です。次作『Caravanserai』(1972年)からはラテン・ロック色が後退し、その後は精神性を重視したフュージョン路線にシフトしていくことになります。

本作におけるバンド・メンバーはCarlos Santana(g、vo)、Neal Schon(g)、Gregg Rolie(key、vo)、David Brown(b)、Michael Shrieve(ds、per、vibe)、Jose Chepito Areas(per、ds、vo、flh)、Michael Carabello(per)の7名。やはり新加入のNeal Schonに注目ですね。後にJourneyで大成功を収めるNeal Schonですが、当時の彼は弱冠17歳の新人ギタリストでした。また、プロデュースのクレジットはSantana Musiciansとなっています。

ゲストとして、Coke Escovedo(per、vo)、Rico Reyes(vo)、Tower Of Power Horn Section、Luis Gasca(tp)、Linda Tillery(vo)、Mario Ochoa(p)、Greg Errico(tamb)がレコーディングに参加しています。

衝撃的なデビュー作『Santana』、ラテン・ロックを多くの音楽ファンに知らしめた大ヒット作『Abraxas』に比べると、インパクトが弱い作品かもしれません。しかし、完成度は高く、ファンの中でも本作を彼らの最高傑作に推す人は多いのでは?

一般にはNeal Schonの加入によるツイン・ギターや完成されたバンド・サウンドに注目が集まる作品ですね。

個人的にはNeal Schonの加入以上に、サポートで参加しているCoke Escovedoに注目している作品です。特にCokeのクレジットには"assistance on all tunes"と記載されており、彼の貢献でラテン・グルーヴが強化された作品という印象を受けます。

このように様々な楽しみ方ができるSantana作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Batuka」
オープニングはラテン・ロックなインストです。Neal Schonのギター・ソロを大きくフィーチャーした新メンバーお披露目といった印象のオープニングです。Santana作。
http://www.youtube.com/watch?v=bGO7tuCauw0

「No One To Depend On」
邦題「孤独のリズム」。Coke Escovedo/Mike Carabello/Gregg Rolie 作。アルバムからの2ndシングルにもなりました。Willie Bobo「Spanish Grease」のメロディを引用したラテン・グルーヴ。中盤以降のハイ・テンションな演奏が圧巻です。
http://www.youtube.com/watch?v=M76o1bFw-0Q

「Spanish Grease」はEl Chicanoもカヴァーしていますね。

El Chicano「Spanish Grease」
 http://www.youtube.com/watch?v=2d7hB0B92i4

「Taboo」
Gregg Rolie/Jose Chepito Areas作。Gregg Rolieがヴォーカルをとる哀愁メロウ・チューン。Santanaらしい泣きのギターも堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=uyznBKSMPjE

「Toussaint L'Overture」
邦題「祭典」。Santana作。ハイチの革命家Toussaint L'Overtureをイメージして書かれた曲。これぞSantana!と呼べるスリリングな演奏だと思います。ギターがバトルし、ハモンドが唸り、パーカッションのリズムが乱舞する展開にロック・ファンもラテン・ファンも鼻血ブーなのでは(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Jli1gW37fqk

「Everybody's Everything」
邦題「新しい世界」。Milton Brown/Tyrone Moss/Carlos Santana作。Tower Of Power Horn Sectionが参加したラテン・ファンク・チューン。アルバムからの1stシングルとして全米チャート第12位のヒットとなりました。ラテン版Sly & The Family Stoneといった雰囲気のゴキゲンなファンキー・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=2wwfUEM3BWU&feature=related

「Guajira」
David Brown/Jose Chepito Areas/Rico Reyes作。Rico ReyesのヴォーカルとMario Ochoaのピアノをフィーチャーしたラテン/サルサ色が強い仕上がりです。本作がリリースされた1971年はN.Y.サルサが盛り上がりを見せていた時期であり、そんな流れとの連動も感じますね。
http://www.youtube.com/watch?v=uVMVxLibzK8

「Jungle Strut」
ジャズ・サックス奏者Gene Ammonsのカヴァー。スリリングな中にブルージーな味わいも漂うラテン・ロック・サウンドを堪能できます。Carlos Santana、Neal Schonのツイン・リードを堪能するならば本曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=piOEO_0Ffp0

「Everything's Coming Our Way」
邦題「愛がすべてを」。Carlos Santana作。爽快なアコギの音色も聴こえるポップな仕上がり。アルバムの流れを考えると、軽い曲に聴こえてしまいますが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=AqCyfpNfYwU

「Para Los Rumberos」
ラストはTito Puenteの人気曲をカヴァー。前作の「Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)」に続くTito Puenteカヴァーとなります。ラテン・パーカッションの洪水が押し寄せるハイ・テンションな仕上がりにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=vir6kY38j8A

2006年には未発表曲3曲、「No One to Depend On」のシングル・ヴァージョン、71年7月4日のFillmore Westでのライブ11曲が追加されたLegacy Editionも発売されています。

『Santana III』(Legacy Edition)
Santana 3 (Aniv) (Reis)

Santanaの過去記事もご参照下さい。

『Santana』(1969年)
Santana

『Borboletta』(1974年)
Borboletta

『Festival』(1976年)
Festival
posted by ez at 03:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月22日

Donn T『Kaleidoscopic』

?uestloveの妹によるクールなフューチャー・ソウル!☆Donn T『Kaleidoscopic』
Kaleidoscopic
発表年:2010年
ez的ジャンル:クール・フューチャー・ソウル
気分は... :アーセナル完勝!

期待の女性R&BシンガーDonn Tのデビュー・アルバム『Kaleidoscopic』です。

Donn T(本名:Donn Thompson)はフィラデルフィア出身の女性R&Bシンガー。彼女はThe Roots?uestloveAhmir Thompson)の妹です。

昨日のCarroll Thompsonから"Thompsonつながり"になってしまいましたね。

Donn Tにとって、本作『Kaleidoscopic』がデビュー・アルバムとなりますが、彼女自身は2004年頃からDonnまたはDonn T名義で楽曲をリリースしています。最も有名なのはThe Randy Watson Experience feat. Donnとしてリリースした「Morning Bell」(2006年)だと思います。本曲では兄の?uestloveがドラムを叩き、James Poyserがキーボードを弾いています(二人とも変名での参加ですが)。

The Randy Watson Experience feat. Donn「Morning Bell」
 http://www.youtube.com/watch?v=Qml0qELoSbA

また、ステージではAmy Winehouse、Zap Mama、Nelly Furtado、John Legend、Les Nubians、Floetryと共演したことがあるようです。

ジャケから想像するに、兄?uestloveにも負けない個性的なキャラの持ち主という印象ですね。

さて、肝心の中身の方ですが、主にブロークン・ビーツ、ハウス方面で活躍するイギリス在住のフランス人DJ/プロデューサーSimbadが全面プロデュースしています。楽曲も1曲を除きDonn TとSimbadの共作です。

そんなSimbadとDonn Tによる音世界は、クラブ・ミュージックとソウル・ミュージックを融合したエレクトリックなフューチャー・ソウルといったところでしょうか。R&B/ソウル・ファンよりもクラブ・ミュージック・ファンの方がすんなり聴くことできる音かもしれません。その意味では?uestloveの妹という先入観ナシで聴いた方が楽しめると思います。

軽々とジャンルの壁を越えてしまっているのが素晴らしいですね。
奇抜な印象のビジュアルとは異なり、Donn Tは確かな実力のヴォーカリストという気がします。Simbadによるフューチャー・サウンドに負けない存在感がDonn Tの歌声にはあります。

先物買いがお好きな方はぜひどうぞ!

全曲紹介しときやす。

「Intro」
アルバムのイントロ。

「Luna Garden」
オススメその1。フロア・ライクなフューチャー・ソウル。スペイシーなエレクトリック・サウンドとクールなDonn Tのヴォーカルが月世界へと誘ってくれます。

「Kisses」
アルバムに先行して2009年にコンピ・アルバム収録というかたちでリリースされた楽曲。ミステリアスな音空間に引き込まれます。フューチャー・ソウルの中で微かにネオ・フィリーが香るあたりが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XF9_40DLFpU

「Ain't D' Ordinary」
ヒンヤリ・モードのクール・サウンドがいい感じのミッド・ダンサー。Sa-Ra Creative Partnersあたりと一緒に聴きたくなりますね。

「Authenticity」
エレクトリックなブリブリ感が印象的なミッド・グルーヴ。スペイシーな音空間を浮遊しているような気分です。

「Look At (What U Startin)」
オススメその2。シングルにもなったアルバムのキラー・チューン。本曲を気に入った人は本作をゲットすべきだと思います。ジャジー感も漂うクールなアーバン・ダンサーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=JIM3AoWRCz4

「Astro Lovah」
オススメその3。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。ハウス/クラブ・ミュージック好きの人はグッとくるであろうフューチャー・ディスコ・チューン。

「Changing」
Donn Tの魅惑のヴォーカルが冴えるエレクトリック・ソウル。Donn Tのソウルフルなヴォーカルが無機質なエレクトリック・サウンドをグイグイと牽引します。

「Beautiful Day」
オススメその4。ビューティフル&ドリーミーなフューチャー・グルーヴ。夢の中で開放感に浸っているような気分になる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=wOyeNja6eA4

「Give」
アルバムの中で一番ソウルフルな仕上がりです。60年代のAretha Franklinテイストで創ったフューチャー・ソウルといった雰囲気の仕上がりです。

「Outrolude」
アルバムのアウトロ。

サッカーのイングランド・プレミアリーグ「アーセナル対ブラックプール」を観戦しながら記事を書いていますが、ウォルコットがハットトリックを決めるなどアーセナル快勝ムードでニコニコ・モードです!やったね!
posted by ez at 00:20| Comment(4) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月21日

Carroll Thompson『The Other Side of Love』

UKラヴァーズ・クイーンのAriwa作品☆Carroll Thompson『The Other Side of Love』
The Other Side of Love
発表年:1992年
ez的ジャンル:Ariwa系UKラヴァーズ
気分は... :Ariwaラヴァーズ大好き!

先日、今夏にサルサ作品を1枚も紹介していないということで、Willie Colon『Top Secrets』を紹介しましたが、同様にレゲエ作品も今夏に未紹介であることに気付きました。

そこで今回はUKラヴァーズ作品からCarroll Thompson『The Other Side Of Love』(1992年)をセレクトしました。

Carroll Thompsonは1960年イギリス、ハートフォードシャー生まれ。

1981年シングル「I'm So Sorry」でデビュー。本曲はエコーズ誌のレゲエ・ソング・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、さらには同曲収録のデビュー・アルバム『Hopelessly in Love』をリリースし、UKレゲエ界のクイーンとして注目を浴びます。

「I'm So Sorry」
http://www.youtube.com/watch?v=MeimeGWNCAo

1982年に2ndアルバム『Carroll Thompson』をリリースした後は、Floy Joyというグループへ参加したり、レゲエの枠を飛び越えたセッション・シンガーとしての仕事が多くなります。当ブログで紹介した作品で言えば、Aztec Camera『Love』(1987年)、Aswad『Distant Thunder』(1988年)にも参加しています。

90年代に入ると、Courtney Pine「I'm Still Waiting」、Movement 98「Joy And Heartbreak」等への参加で、再びCarrollへの注目が集まるようになります。そんな中で今日紹介された3rd『The Other Side of Love』(1992年)をリリースしています。その後日本独自のアルバムを数枚リリースしています。

Courtney Pine「I'm Still Waiting」
 http://www.youtube.com/watch?v=Xe5zQIN1wFY
Movement 98「Joy And Heartbreak」
 http://www.youtube.com/watch?v=NgPkq1780vo

最近では2ndアルバム『Carroll Thompson』の人気が高いようですが、僕の中のCarroll ThompsonMad Professorが主宰するAriwaからリリースされた本作『The Other Side of Love』Gota & The Heart of Gold『Somethin' To Talk About』(1993年)のイメージが強いですね。

当時、UKラヴァーズ大好きだった僕にとって、Kofi『Black...with Sugar』(1989年)、Susan Cadogan『Soulful Reggae』(1992年)、Sandra Cross『Foundation Of Love』(1992年)、そしてCarroll Thompson『The Other Side Of Love』という、4枚のAriwaの歌姫によるアルバムにはかなり思い入れがありましたね。

また、屋敷豪太ファンでもあった僕にとって、彼のアルバムGota & The Heart of Gold『Somethin' To Talk About』に収録された「Someday」「All Alone」の2曲におけるCarroll Thompsonのヴォーカルに相当グッときました。特に「Someday」では今でもよく聴く超お気に入り曲です。

Gota & The Heart of Gold「Someday」
 http://www.youtube.com/watch?v=pHeuT1TUTdM

さて、今日紹介する『The Other Side of Love』ですが、Mad ProfessorプロデュースによるいかにもAriwaらしいスウィート&ラブリーなラヴァーズを聴かせてくれます。今聴くとかなりチープなサウンドですが、そのチープさが逆にラブリーな雰囲気を醸し出し、Ariwaラヴァーズ作品の魅力になっている気がします。

名曲「A Natural Woman」のカヴァー以外は全てCarroll自身のペンによるオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「The Other Side Of Love」
タイトル曲はAriwaらしいスウィートでちょっぴり切ない雰囲気のラヴァーズ・ロックに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=fGxJhfyHFX4

「I Go Week」
普段レゲエを聴かない人でも親しみやすいラブリーなメロウ・チューン。レゲエの枠を飛び越えてセッション活動を続けてきたCarrollらしい仕上がりなのでは?

「Lovers And Strangers」
レゲエらしいゆったりしたムードの中にAriwaラヴァーズらしいスウィートなメロウネスを堪能できます。

「Move Me」
僕の一番のお気に入り曲。晴れた日に聴くとピッタリな爽快モードのメロウ・チューンに仕上がっています。甘く切ない雰囲気が胸にグッときます。

「Walk Away」
躍動感するリズムとキュートに弾けたCarrollのヴォーカルが印象的です。

「Unity」
レゲエならではのラブリー&ピースフルな雰囲気を堪能できます。夏の午後にボンヤリと過ごしたい気分にはピッタリですね。

「Show Some Love」
Ariwaのレーベル・メイトであり、UKダンスホールシーンの人気DJであったMacka Bをフィーチャー。この曲は彼のアルバム『Jamaica, No Problem?』(1992年)にも収録されています。クールで格好良いダンスホール・チューンに仕上がっています。

「Where Were You」
夏の終わりに聴くとグッときそうな甘く切ないラヴァーズに仕上がっています。ひと夏の思い出に浸りたい気分にマッチしそうです。

「A Natural Woman」
Aretha Franklinのヒットでお馴染みの名曲をカヴァー(Carole King/Gerry Goffin/Jerry Wexlerの共作)。Arethaヴァージョンはアルバム『Lady Soul』に収録されています。一味違った「A Natural Woman」を楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=_1qJURVedEI

国内盤にはボーナス・トラック「Rock Me Gently」 が追加収録されています。

他のAriwaラヴァーズの過去記事もご参照下さい。

Kofi『Black...with Sugar』(1989年)
ブラック...ウィズ・シュガー(紙ジャケット仕様)

Susan Cadogan『Soulful Reggae』(1992年)
ソウルフル・レゲエ(紙ジャケット仕様)

Sandra Cross『Foundation Of Love』(1992年)
Foundation of love
posted by ez at 08:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする