2012年12月08日

Bernard Wright『'Nard』

弱冠17歳、早熟のキーボード奏者によるジャズ・ファンク作品☆Bernard Wright『'Nard』
ナード
発表年:1981年
ez的ジャンル:早熟ジャズ・ファンク
気分は... :とても17歳とは思えない!

今回は早熟のキーボード奏者Bernard Wrightのデビュー・アルバム『'Nard』(1981年)です。

Bernard Wrightは1963年生まれ。N.Y.クイーンズのジャマイカ地区で育ち、幼くして教会でオルガンを弾くようになったBernard(Nard)は、その後ジャズ/ファンクに夢中になります。13歳でLenny Whiteの下で経験を積み、1978年には初レコーディングを経験し、翌1979年にはTom Browne‎『Browne Sugar』のレコーディングに参加しています。

その後Tom BrowneがGRP Recordsと契約した際、彼がGRPの総帥Dave Grusin、Larry RosenにBernard Wrightを推薦します。

さらに人気曲「Funkin' For Jamaica (N.Y.)」を含むTom Browne‎のアルバム『Love Approach』(1980年)に参加した後、弱冠17歳にして今回紹介するデビュー・アルバム『'Nard』(1981年)をリリースします。

その後、2nd『Funky Beat』(1983年)、3rd『Mr. Wright』(1985年)とソロ・アルバムをリリースしています。また、Marcus Miller、Dinky Bingham、Lenny WhiteによるユニットJamaica Boysの準メンバーとして、『The Jamaica Boys』(1987年)、『J Boys』(1990年)といった作品のレコーディングに参加しています。また、1990年代以降はゴスペル作品もリリースしています。

それ以外にもセッション・ミュージシャンとしてジャズ、R&B、Hip-Hopと数多くのアーティストの作品に参加しています。個人的にはCameo関連の作品でクレジットに彼の名があった印象が強いですね。

今回紹介する『'Nard』(1981年)は、とても17歳のミュージシャンのデビュー・アルバムとは思えないジャズ・ファンク作品に仕上がっています。

Dave Grusin & Larry Rosenがプロデュースし、Bernard Wright(key、vo)以下、Marcus Miller(b)、Barry Johnson(b、vo)、Buster Williams (b)、Buddy Williams(ds)、Mike Flythe(ds)、Charley Drayton(ds)、Howard Grate(ds)、Dennis Chambers(ds)、Roy Haynes (ds)、Bobby Broom(g)、Kevin Oliver(g)、Ronald Miller(g)、Henry Grate(g)、Don Blackman(key、vo)、Dave Grusin (syn)、Al Flythe(horns、vo)、Ed Jackson(horns)、Jimmy Owens(horns)、Crusher Bennett(per)、Pat Heaven(vo)、Luther Vandross(vo)、Patti Austin(vo)等のミュージシャンが参加しています。

また、Weldon IrvineDon Blackmanといったレア・グルーヴ/フリーソウルの人気アーティストが楽曲を提供しています。

これだけ多数の参加ミュージシャンからして、17歳の早熟ミュージシャンへの期待の高さが窺えますね。

アルバム全体はファンキーに躍動するジャズ・ファンク作品に仕上がっています。1981年の作品にも関わらず、フツーにラップを取り入れているのも印象的です。

Hip-Hop好きには「Haboglabotribin'」「Master Rocker」等サンプリング・ソースの宝庫の作品としても楽しめます。

早熟のキーボード奏者のファンキー・ワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Master Rocker」
Weldon Irvine/Ronnie Miller/Bernard Wright作。オープニングはWeldon Irvine作のジャズ・ファンク・チューン。グイグイ推進力のある僕好みのファンク・チューン。Marcus Millerがさすがベースを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=j6MdzDNqQYE

Zhigge「Harlem」、Yo-Yo feat. Ice Cube 「The Bonnie & Clyde Theme」、Tyrese feat. Jermaine Dupri「Off the Heezy」、Apathy and Celph Titled feat. J-Zone「Nut Reception」等のサンプリング・ソースとしても大人気です。

Zhigge「Harlem」
 http://www.youtube.com/watch?v=vp-DzUlQ6QU
Yo-Yo feat. Ice Cube 「The Bonnie & Clyde Theme」
 http://www.youtube.com/watch?v=fLtLOGDZ7hE
Tyrese feat. Jermaine Dupri「Off the Heezy」
 http://www.youtube.com/watch?v=xJk4UTDUZq0
Apathy and Celph Titled feat. J-Zone「Nut Reception」
 http://www.youtube.com/watch?v=KdryTRAg8uo

「Firebolt Hustle」
Harold Grate/Henry Grate作。軽快なジャズ・ファンク・チューン。ホーン隊の軽快な響きや、歯切れの良いリズム隊、Bernardのピアノ・プレイが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=DRZapPuSwbY

「Haboglabotribin'」
Don Blackman作。本作のハイライトともいえる曲です。プリティなイントロが何とも印象的です。本編はラップも聴こえてくるP-Funkノリのヒップなファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=6BnhZL2xcYg

本曲は何といっても定番サンプリング・ソースとしてお馴染みですね。415「Snitches & Bitches」、Thaide & DJ Hum「Corpo Fechado」、Ed O.G. & Da Bulldogs「She Said It Was Great」、A Tribe Called Quest「Can I Kick It? (Extended Boilerhouse Mix) 」、Kam「Every Single Weekend (Boyz N The Hood)」 、Snoop Dogg「Gz and Hustlas」、スチャダラパー「コロコロなるまま」、Seagram feat.Y-D & Lil' Gangsta P「The Town」、Seagram feat.Y-D & Lil' Gangsta P「The Town」、J-live「Wax Paper」、NYG'z feat. Rave「G'z & Hustlaz」、4 The G's feat. Grafik等のサンプリング・ソースになっています。

415「Snitches & Bitches」
 http://www.youtube.com/watch?v=LTHivmMfxTo
Thaide & DJ Hum「Corpo Fechado」
 http://www.youtube.com/watch?v=W3lEmx2fVAY
Ed O.G. & Da Bulldogs「She Said It Was Great」
 http://www.youtube.com/watch?v=ZOriEkmEToY
Snoop Dogg「Gz and Hustlas」
 http://www.youtube.com/watch?v=qXNsINpnqSA
スチャダラパー「コロコロなるまま」
 http://www.youtube.com/watch?v=m_Dre6Umxac
Seagram feat.Y-D & Lil' Gangsta P「The Town」
 http://www.youtube.com/watch?v=vaE2EAM7UhE
Master P feat.Snoop Dogg「Snitches」
 http://www.youtube.com/watch?v=yWJ7lEJu2wQ
J-live「Wax Paper」
 http://www.youtube.com/watch?v=KK2BgAqml98
NYG'z feat. Rave「G'z & Hustlaz」
 http://www.youtube.com/watch?v=AVa3di6ffaQ
4 The G's feat. Grafik「Fashawn」
 http://www.youtube.com/watch?v=mpkBlF1ZNIg

「Spinnin'」
Al Flythe作。軽快なファンキー・ダンサー。格好良いリズム隊と共に一気に駆け抜けます。中盤のフィージョン的な展開もいい感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=zXg5zmT9DNg

Skee-Lo「Spinnin'」等のサンプリング・ソースとなっています。
Skee-Lo「Spinnin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=Zyf0YwUJcqk

「Just Chillin' Out」
Al Flythe/Barry Johnson/Marcus Miller/Bernard Wright作。ラップも入りN.Y.らしい雰囲気のするファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=NeNeucVDBQg

「Bread Sandwiches」
Denzel Miller/Steve Teele/Bernard Wright作。僕の密かなお気に入り曲。軽やかなジャズ・ファンク感がグッドなファンキー・ダンサーです。
http://www.youtube.com/watch?v=RGWUYEpRGU0

Malka Family「Ciscomulkr」のサンプリング・ソースになっています。ファンク好きにはたまらないサイコーに格好良い曲ですよ。
Malka Family「Ciscomulkr」
 http://www.youtube.com/watch?v=IhW1eOwmexM

「Music Is The Key」
Weldon Irvine/Tommy Smith作。Weldon Irvineの名曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Sinbad』に収録されています。Bernard WrightのWeldon Irvineへのリスペクトを感じるカヴァーです。Luther VandrossPatti Austinという豪華なヴォーカル陣が参加という意味で、この曲も本作のハイライトの1曲かもしれませんね。オリジナル自体が大好きなので本カヴァーも勿論お気に入りです。
http://www.youtube.com/watch?v=mgPO4_h1c5o

Top Authority「93 (Things Ain't How They Should Be)」、Anotha Level「What's That Cha Say」、Zeebra「未来への鍵」のサンプリング・ソースになっています。

Top Authority「93 (Things Ain't How They Should Be)」
 http://www.youtube.com/watch?v=02XCgfWVag0
Anotha Level「What's That Cha Say」
 http://www.youtube.com/watch?v=ywfYRtp-nDk
Zeebra「未来への鍵」
 http://www.youtube.com/watch?v=NcN6-jABOsk

「We're Just The Band」
Henry Grate作。ラップ調のヴォーカルも含めてファンキーに弾けています。作者Henry Grateのギターがうなりを上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=9Y5ux-qWhFg

「Solar」
Miles Davis作。ラストは帝王Milesのカヴァー。オリジナルは『Walkin'』(1954年)に収録されています。ラストはそれまでのサウンドとは一転し、オーセンティックなアコースティック・ジャズで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=T1ZIMMGjvBU

『Funky Beat』(1983年)
ファンキー・ビート
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2012年12月07日

Elis Regina『Elis (1973)』

歌詞・サウンドが一体化した完成度の高さにグッとくるElisの隠れ名盤☆Elis Regina『Elis (1973)』
Elis 1973
発表年:1973年
ez的ジャンル:国民的歌手系MPB
気分は... :Elisはプラス受信!

最近、僕の中で周囲にいる人を見定める際、マイナス受信orプラス受信という基準を最も重視しています。

物事を被害者意識で受け止め、他者への文句が目立つマイナス受信な人と、何事も善し悪しは自分次第と悟り、前向きに他者へアプローチするプラス受信する人・・・個人的には後者の人と付き合いたいし、自分自身もそういう人間でありたいと切望しています。

こうした事をブログで述べるのは久しぶりですね。最近、ブログに音楽以外の本音を書くといろいろ個人的な利害が絡んでくるので当たり障りのない記述が目立っていましたが、たまにはこれ位書いてもいいでしょう(笑)

今回はElis Reginaの1973年リリース作品『Elis (1973)』です。

前述の流れでいうとElis Reginaという人は、破天荒なイメージもありますが、物事をプラス受信する能力に長け、かつ周囲を巻き込むプラス発信の能力も兼ね備えていたため、国民的歌手としてブラジル国民から支持されたのでしょうね。文句をいってもそこに潔さがあるので許せてしまう人というのが僕のElis Regina像です。

これまで当ブログで紹介してきたブラジルの国民的歌手Elis Reginaの作品は以下の9枚。

 『Elis Especial』(1968年)
 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Ela』(1971年)
 『Elis (1972)』(1972年)
 『Elis (1974)』(1974年)
 『Essa Mulher』(1978年)

前にも書きましたが、『Elis』のタイトルのオリジナル・アルバムを1966年、1972年、1973年、1974年、1977年、1980年にリリースしているのでややこしいです。区別するために、便宜上タイトルの後にリリース年を表記しています。

今回は1972年盤、1973年盤、1977年盤の『Elis』3枚で迷ったのですが、3枚並べてジャケが一番今の時期っぽい1972年盤をセレクトしました。

公私のパートナーとなるCesar Camargo Marianoと組む第2弾アルバムです。Cesar Camargo Marianoが全曲アレンジを担当します。

レコーディングには、Cesar Camargo Mariano(key)、Luizao Maia(b)、Paulinho Braga(ds)、Chico Batera(per)、Ari(g)、Toninho Horta(g)、Maurilio da Silva Santos(tp)、Ubirajara Silva(bandoneon)といったメンバーが参加しています。

前作『Elis (1972)』(1972年)からブラジルの国民的歌手として、ぐっと成熟度を増していったElisですが、本作でもそんな進化するElisの姿を満喫できます。

楽曲的にはGilberto GilおよびJoao Bosco/Aldir Blanc(他者との共作含む)の作品が各4曲、サンバ古典が各2曲という構成です。全体としてElisがより歌詞を重視し、歌詞とサウンドを一体化させたトータル・アーティストとして着実に進化していることが窺える1枚に仕上がっています。

冒頭3曲がミステリアスで抑えた楽曲が並んでいるので、どうしても地味な印象が強いアルバムですが、Elisのトータル・アーティストの才を示したアルバムとして外すことができない1枚だと思います

全曲紹介しときやす。

「Oriente」
Gilberto Gil作。歌詞の中に日本も登場する東洋をテーマにしたオープニング。ミステリアスな空気が包みます。
http://www.youtube.com/watch?v=SlewyLHFxeM

「O Cacador de Esmeralda」
Joao Bosco/Aldir Blanc/Claudio Tolomei作。この曲もミステリアス/スピリチュアルな雰囲気が漂います。Cesar Camargo Marianoによるサウンド・アレンジが印象的です。終盤にはToninho Hortaの美しいギターも堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=3WcHchhSUAo

「Doente, Morena」
Gilberto Gil作。しっとりとしたElisの歌声を満喫できます。抑えていてもElisの表現力は抜群です。
http://www.youtube.com/watch?v=OTeih6kuc0k

「Agnus Sei」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。某有名DJがセレクトするElisのベスト10に入っていた楽曲です。派手さはありませんが、躍動感と重厚感のあるサウンドをバックにElisが凛としたヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=1OB0atgmDX4

「Meio de Campo」
Gilberto Gil作。アルバムの中でも人気が高いであろう小粋なジャズ・サンバ・チューン。かつてエスパルスの監督を務めたこともあるサッカー元ブラジル代表の名選手ロベルト・リベリーノのことを歌ったものです。当時彼はコリンチャンス(今年の南米クラブ王者でクラブW杯にも出場)所属でしたが、本作から2年後の1975年にElisがサポーターであったフルミネンセへ移籍しています。Elisのラブコールが実ったのでしょうか(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Uu-PHfejO6Q

「Cabare」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。邦題「キャバレー」。バンドネオンの音が印象的です。(ポルトガル語ですが)アルゼンチン・テイストのElisを楽しめる点で実に興味深い1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=eWO4mJlKmIA

「Ladeira da Preguica」
Gilberto Gil作。軽快なテンポのElisがお好きな方であれば小気味良いこの曲も気に入るはず!Elisの貫録の歌いっぷりにうっとりです。
http://www.youtube.com/watch?v=IzapUk0S4mA

「Folhas Secas」
Nelson Cavaquinho/Guilherme de Brito作。邦題「枯葉」。エスコーラ・ヂ・サンバの老舗マンゲイラのコンビによる古典サンバをカヴァー。個人的には本作のハイライトだと思います。まどろみながらサウダージ気分で聴きたい1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=jVU3uvrvTOw

「Comadre」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。暗喩で時の軍事政権を批判した歌のようです。国民の声を代弁するかのようなElisの語り口が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=N5XIP5cEwg8

「E Com Esse Que Eu Vou」
Pedro Caetano作。古典サンバをボッサ・テイストで聴かせてくれます。サウンドのメロウネスだけでいえばアルバム随一かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=cBULXdqX5DM

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis Especial』(1968年)
エリス・エスペシアル

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Aquarela Do Brasil』(1969年)
ブラジルの水彩画

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Ela』(1971年)
エラ 1971

『Elis (1972)』(1972年)
Elis

『Elis (1974)』(1974年)
人生のバトゥカーダ

『Essa Mulher』(1978年)
或る女(紙ジャケット仕様)
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2012年12月06日

Lee Morgan『The Sidewinder』

ジャズ・ロックの金字塔「The Sidewinder」を収録したヒット作☆Lee Morgan『The Sidewinder』
Sidewinder
録音年:1963年
ez的ジャンル:天才ジャズ・トランペッター
気分は... :エントリーが遅れましたが・・・

今回は天才ジャズ・トランペッターLee Morgan(1938-1972年)を代表する大ヒット作『The Sidewinder』(1963年)です。

当ブログでこれまで紹介してきたLee Morgan作品は以下の6枚(録音順)。

 『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
 『Candy』(1958年)
 『The Rumproller』(1965年)
 『Cornbread』(1965年)
 『Charisma』(1966年)
 『Lee Morgan(The Last Sessions)』(1971年)

紹介するのが遅くなってしまいましたが、Lee Morganの人気作といえば本作『The Sidewinder』ですよね。僕も最初に購入したLee Morgan作品が『The Sidewinder』でした。

それにも関わらずエントリーが遅くなったしまったのは、無意識のうちに大ヒット作や人気作のエントリーを避けている僕のひねくれた性分にせいでしょう(笑)

話を本作『The Sidewinder』を戻すと、タイトル曲「The Sidewinder」が全米シングル・チャートTop100にランク・インし、アルバムも全米アルバム・チャートの第25位になるというジャズ・アルバムとしては異例の大ヒットとなったLee Morganの代表作です。特に8ビートを取り入れたタイトル曲「The Sidewinder」はジャズ・ロックの代表曲として多くの人を魅了しました。

そんな当時の事情を知らずに先入観なしで聴いても純粋に格好良いアルバムだと思います。

レコーディング・メンバーは、Lee Morgan(tp)、Joe Henderson(ts)、Barry Harris(p)、Bob Cranshaw(b)、Billy Higgins(ds)の5名。MorganとHendersonが相性バッチリの2管で楽しませてくれます。Harrisのピアノも印象的ですし、CranshawとHigginsのリズム隊も変化自在のリズムでアルバム全体の表情を豊かなものにしてくれます。

どうしてもタイトル曲「The Sidewinder」が目立つアルバムですが、「Totem Pole」をはじめ、その他の曲もなかなか充実した演奏を聴かせてくれます。

全曲Lee Morganのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「The Sidewinder」
前述のようにジャズ・ロックの金字塔と呼べるタイトル曲。冒頭のBob Cranshawのベースの響きを聴いた瞬間にグッときます。続いて、曲全体を印象づけるBarry Harrisのピアノもいいですね。そんなリズム隊をバックに、MorganとHendersonが獲物を狙う毒蛇のごとく尖ったプレイを聴かせてくれます。ジャズ・ロックの代表曲ですが、この曲にボッサな感覚を憶えてしまうのは僕だけでしょうか・・・
http://www.youtube.com/watch?v=yf1Eo-6sDIE

The UMC's「Kraftworks」のサンプリング・ソースとなっています。また、1967年にリリースされたBuddy Rich「The Beat Goes On」(Sonny & Cherのカヴァー)もモロにThe Sidewinderのリズムを拝借していますね。

Buddy Rich「The Beat Goes On」
 http://www.youtube.com/watch?v=Zblr8g3P7tw

「Totem Pole」
「The Sidewinder」と並ぶ本作のハイライト。変幻自在のリズムをバックに、MorganとHendersonの2管が最高に格好良いソロを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=VbhSuEfASx8

「Gary's Notebook」
ワルツ調の小気味良いブルース・チューン。MorganとHendersonのユニゾンによる格好良いテーマ演奏に続き、2人がそれぞれ個性的なソロを聴かせてくれ楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=VZrw59WAqYI

「Boy, What A Night」
疾走するワルツ・チューン。クラブジャズ好きの人が聴いてもなかなかグッとくる小粋な演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=tYjNFM4Wpag

「Hocus-Pocus」
ラストはスウィンギーにキメてくれます。開放的な雰囲気の中で各プレイヤーのソロを楽しめます。よく知りませんが、当ブログでも紹介したフレンチHip-HopバンドHocus Pocusのグループ名は本曲に由来しているんですかね?
http://www.youtube.com/watch?v=MfqVWWA0WlY

Lee Morgan作品の過去記事もご参照下さい。

『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
リー・モーガン Vol.3

『Candy』(1958年)
Candy

『The Rumproller』(1965年)
ザ・ランプローラー+1

『Cornbread』(1965年)
Cornbread

『Charisma』(1966年)
Charisma

『Lee Morgan(The Last Sessions)』(1971年)
The Last Session
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2012年12月05日

Charlie Wilson『Charlie, Last Name Wilson』

Charlie Wilson復活!を見事に印象づけたアルバム☆Charlie Wilson『Charlie, Last Name Wilson』
チャーリー,ラスト・ネーム・ウィルソン
発表年:2005年
ez的ジャンル:レジェンド系チョイエロ男性R&B
気分は... :Let's Chill...

今日はCharlie Wilsonのソロ・アルバム第3作『Just Charlie』(2005年)です。

The Gap BandのリーダーであるCharlie Wilsonのソロ作の紹介は、『Uncle Charlie』(2009年)、『Just Charlie』(2010年)に続き3回目となります。

本作『Charlie, Last Name Wilson』(2005年)は、『You Turn My Life Around』(1992年)、『Bridging The Gap』(2000年)に続くCharlieの5年ぶり3枚目のソロ・アルバムとなります。

それまでの2枚のソロ作はそれ程話題にもならずチャート・アクションも芳しくありませんでしたが、本作『Charlie, Last Name Wilson』は全米アルバム・チャート第10位、同R&Bアルバム・チャート第3位まで上がり、最終的にはゴールドディスクを獲得する大ヒット作品となりました。

Charlie Wilson復活!を見事に印象づけたアルバムですね。

長年蜜月関係にあるSnoop Doggをはじめ、will.i.am(Black Eyed Peas)、Justin Timberlake、Twistaがゲスト参加しています。

また、R. Kelly、The Platinum Brothers(Adam Gibbs/Mike Chesser)、Dre & Vidal(Andre Harris/Vidal Davis)、The Underdogs、T-Pain、Jaw Breakers、Gregg Pagani、Kay Gee、Terence "Tramp Baby" Abney、Cordell Walton、そしてCharlie Wilson本人等がプロデュースしています。各プロデューサーがそれぞれのアプローチでUncle Charlieを盛り立てている感じがいいですね。

アルバム全体としては、バラード作品が充実しているのがいいですね。流行のサウンド・プロダクションや歌い回しに違和感なく対応できる柔軟性は、レジェンド・シンガーというよりも現役バリバリ・シンガーといった感じですね。

ベテラン・シンガーの貫録と時代に対応する柔軟さを兼ね備えたUncle Charlieの絶品バラードの数々を堪能しましょう。

全曲を紹介しときやす。

「Magic」
R. Kellyプロデュース。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第27位となっています。Uncle CharlieとR. Kellyの持ち味が見事にバシッとハマった極上R&Bバラードに仕上がっています。やはりこの顔合わせはサイコーですな。
http://www.youtube.com/watch?v=BuZH9h_2Cns

「Charlie, Last Name Wilson」
R. Kellyプロデュース。アルバムからのリード・シングルとして全米R&Bチャート第11位となっています。R. KellyらしいエロくどきR&Bを、Charlieが貫録のエロさで歌い上げる大人のR&Bチューン。
http://www.youtube.com/watch?v=wa4wR4G-5eE

「So Hot」
The Platinum Brothersプロデュース。Twistaをフィーチャー。バンピーなR&BサウンドとTwistaの早口フロウに負けじと、Uncle Charlieもセクシー・ヴォーカルで応戦します。
http://www.youtube.com/watch?v=h8QYQN-Lsvo

「Let's Chill」
The Platinum Brothers/Larry "Rock" Campbellプロデュース。Guyの名バラードをカヴァー(Bernard Belle/Teddy Riley/Keith Sweat作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『The Future』(1990年)に収録されています。これを聴いたTeddy RileyやAaron Hallは泣いて喜んだのでしょうね。Guy好き、The Gap Band好き、みんなが歓喜する「Let's Chill」に仕上がっていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=q0WYOcJpgW0

「No Words」
R. Kellyプロデュース。これは正攻法バラード。切々とCharlieが歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=3_t0sfnlhX0

「Floatin'」
Jaw Breakersプロデュース。will.i.am(Black Eyed Peas)とJustin Timberlakeをフィーチャー。Fonda Rae‎「Over Like A Fat Rat」ネタのトラックが印象的なセクシーR&Bグルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=GFxs_gVixUQ

「Asking Questions」
Gregg Paganiプロデュース。美メロの絶品バラード。やはり、こういう曲を歌わせたらUncle Charlieは天下一品ですな。大人の切なさにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=50lBm0rDlnI

「What If I'm The One」
The Underdogsプロデュース。 僕の一番のお気に入りはこの大人のR&Bバラード。さすがThe Underdogsという手腕でCharlieの魅力を引き出してくれています。12月に聴くと余計にグッとくるバラードですな。
http://www.youtube.com/watch?v=WmvyHoxECGw

「You Got Nerve」
T-Painプロデュース。Snoop Doggをフィーチャー。やはり、Uncle CharlieのアルバムにSnoop Doggは欠かせませんね。とは言いつつ、Snoopの出番は控えめであくまで主役はCharlie。T-Painによるスパニッシュ・テイストのアッパー・トラックを見事に自分のものにしています。
http://www.youtube.com/watch?v=Mvj5EWUlnJ0

「Thru It All」
Dre & Vidalプロデュース。実にオーセンティックなR&Bバラードに仕上がっていますが、逆にそれがいいですね。大人のセクシー・ヴォーカルで切々と歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=9fr8j1ZK43Y

「My Gaurantee」
Kay Gee/Terence "Tramp Baby" Abney/Cito Crandleプロデュース。リゾート・モードのスパニッシュ感が印象的なセクシー・メロウR&Bグルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=uHRCXaDclO8

「Cry No More」
Charlie Wilson/Cordell Waltonプロデュース。ラストは壮大なスケール感のある感動バラードで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=2htWbFj0VU0

Charlie WilsonThe Gap Bandの過去記事もご参照下さい。

『Uncle Charlie』(2009年)
Uncle Charlie

『Just Charlie』(2010年)
Just Charlie

『The Gap Band II』(1979年)
ギャップ・バンドII

『The Gap Band III』(1980年)
III

『Gap Band IV』(1982年)
Gap Band IV
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2012年12月04日

Buddy Miles Express‎『Hell And Back』

Bill LaswellプロデュースによるBuddy Milesの復活作☆Buddy Miles Express‎『Hell And Back』
Hell & Back
発表年:1994年
ez的ジャンル:復活系ブルース・ロック
気分は... :何の変哲もありませんが

今回はJimi HendrixBand Of Gypsysで知られる巨漢黒人ミュージシャンBuddy Milesが1994年にBuddy Miles Express‎名義でリリースしたアルバム『Hell And Back』です。

黒人ドラマー/シンガーBuddy Miles(1947-2008年)の紹介は『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)に続き2回目です。

今回紹介する『Hell And Back』は、『Booger Bear』(1973年)以来約19年ぶりにBuddy Miles Express‎名義でリリースされた作品です。ソロ作品としても(多分)『Sneak Attack』(1981年)以来のアルバム・リリースとなります。

本作をプロデュースするのはBill Laswell。Materialなどの活動で知られるアヴァンギャルドなベーシスト/プロデューサーですね。本作の2年前にBuddy MilesBootsy CollinsStevie Salasが組んだグループHardwareのアルバム『Third Eye Open』をBill Laswellがプロデュースしており、その流れでLaswellがBuddy Milesのソロでの復活を強力プッシュした模様です。

本作におけるBuddy Miles Express‎のメンバーはBuddy Miles(ds、vo、g)、Jeff Levine(org、p、clavinet)、Kevon Smith(g)、Nicky Skopelitis(g)、Joe Thomas(b)という編成。さらにホーン・セクションとしてThe Uptown Hornsのメンバーが参加しています。

全体としては、1994年という時代らしからぬ正攻法なブルース・ロックに仕上がっています。Bill Laswellプロデュースと聞くと、もっとアレコレ余計なことをしでかすイメージがあるのですが(笑)

もし、僕が本作をリアルタイムで聴いていたならば多少退屈な印象を持っていたかもしれまません。でも今聴くとこの正攻法な感じが、Buddy Milesの力強いドラムとソウルフル・ヴォーカルを存分に楽しめて実にいいですね。バックも含めて一本芯の通った演奏にグッときます。

Buddy Milesのディスコグラフィの中でも忘れられがちな1枚かもしれませんが、派手さはありませんが流行に左右されない普遍的な魅力を持ったアルバムです。

全曲を紹介しときやす。

「Born Under A Bad Sign」
Booker T. Jones/William Bell作。オープニングはAlbert Kingヴァージョンで知られるブルース名曲カヴァー。Milesのかつての仲間Jimi Hendrixも演奏していますね。オーソドックスながら力強いブルース・ロックに仕上がっています。Milesの貫録のヴォーカルやメンバーのギター・ソロにグッときます。

「The Change」
Buddy Miles/Randy Hanson作。骨太サウンドをバックにMilesのソウルフル・ヴォーカルを満喫できます。オーソドックスですが実に雰囲気があります。いいですねぇ。

「All Along The Watchtower」
Bob Dylanの名曲カヴァー。Dylanのオリジナルは『John Wesley Harding』(1967年)に収録されています。当ブログでは本曲を有名にしたJimi HendrixのカヴァーやXTCBarbara Keithのカヴァーも紹介済みです。Milesがこの曲を演奏すると、どうしてもJimi Hendrixと結び付けたくなりますね。ここでは推進力のある「All Along The Watchtower」を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=1Zl8zgKSUks

「Let It Be Me」
Gilbert Silly/Manny Kurtz/Pierre Leroyer作。The Everly Brothersのヒットをはじめ、数々のアーティストがカヴァーしている名曲をカヴァー。当ブログではThe Voices Of East Harlemのカヴァーも紹介済みです。ここでは味わい深く感動的なソウル・チューンとして聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=gxpUuIq5iiY

「Come Back Home」
Buddy Miles作。成熟したMilesの年輪を感じる仕上り。いい感じに力が抜けています。

「Be Kind To Your Girlfriend」
Buddy Miles/Jeff Levine作。この曲でも力みのないブルース・ロックを聴かせてくれます。The Uptown Hornsのホーン隊が盛り上げてくれます。

「The Decision」
Buddy Miles作。インスト・チューンながらもアルバムでファンキーかつエキサイティングな演奏を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=do4j49VTpkY

「Nothing Left To Lose」
Ben Green/Jeff Levine作。ラストはファンキーに締め括ってくれます。Milesをはじめメンバーが演奏を楽しんでいる感じがいいですね。

他のBuddy Miles関連作品もチェックを!

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Buddy Miles Express『Electric Church』(1968年)
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『Live』(1971年)
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Carlos Santana & Buddy Miles『Live!』(1972年)
Live

『Chapter VII』(1973年)
チャプターVII

『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)
All The Faces Of Buddy Miles

The California Raisins『The California Raisins Sing the Hit Songs』(1987年)
Sing the Hit Songs

The California Raisins『Meet the Raisins!』(1988年)
Meet The Raisins!

Hardware『Third Eye Open』(1992年)
Third Eye Open
posted by ez at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする