2016年07月05日

Mark De Clive-Lowe『Tide's Arising』

ブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー好きにはたまらない1枚☆Mark De Clive-Lowe『Tide's Arising』
Tides Arising
発表年:2005年
ez的ジャンル:UKブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー
気分は... :無い物ねだり・・・

今回はクロスオーヴァー好きに人気のアーティストMark De Clive-Loweの2ndアルバム『Tide's Arising』(2005年)です。

ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、"新世代のHerbie Hancock"とも呼ばれたプロデューサー/キーボード奏者/DJMark De Clive-Lowe(MdCL)に関して、当ブログでこれまで紹介したのは以下の3枚。

 『Six Degrees』(2000年)
 『Journey 2 The Light』(2007年)
 『Renegades』(2011年)

近年はL.A.を拠点にジャズ的アプローチの活動が目立つMdCLですが、西ロンドン時代のブロークン・ビーツ/クロスオーヴァーなサウンドへの未練を断ち切れないのは僕だけでしょうか。

そんな流れで、西ロンドン時代のアルバム『Tide's Arising』(2005年)を取り上げました。

プロデュースはMdCL自身。

アルバムにはBembe SegueAbdul Shyllonという男女シンガーをメインに、Lain GrayLyric LCapitol AVanessa Freemanといったシンガー/ラッパーも参加しています。

特に西ロンドンの歌姫Bembe Segueの存在感は圧倒的ですね。Bembeの素晴らしいヴォーカルをたっぷり聴くことができるのも本作の魅力です。

それ以外にKaidi Tatham(syn)(Bugz In The Attic2000Black等)、Nathan Haines(fl)、Pino Palladino(b)といった注目のミュージシャンも参加しています。

「Slide」「Traveling」「State Of The Mental」「Tide's Arising」「4.Y.V.」あたりの西ロンドンらしい格好良さは今聴いてもテンション上がります。

ブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー好きの人でれば、ぜひ押さえておきたい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Masina's World」
ジャズ・ファンク調の小曲でアルバムは幕を開けます。

「Slide」
オススメその1。Bembe Segue、Abdul Shyllon、Lyric Lをフィーチャーしたファンキー・ブロークン・ビーツ、西ロンドンらしいブロークン・ビーツ・サウンドをバックに、西ロンドンの歌姫Bembe Segueのヴォーカル、Lyric Lの女性ラップが躍動します。

「Traveling」
オススメその2。Bembe Segue、Capitol Aをフィーチャー。Capitol AなフロウとBembe Segueの個性的なヴォーカルのバランスが絶妙なクロスオーヴァー・ソウル。Pino Palladinoのベースがグルーヴを支えます。
https://www.youtube.com/watch?v=Buc8V0koTjA

「State Of The Mental」
オススメその3。Bembe Segueをフィーチャーしたブロークン・ビーツ。スペイシーなアッパー感がいいですね。Bembeのヴォーカルがスペイシー・サウンドの中を駆け抜けます。
https://www.youtube.com/watch?v=ccjhxcc2S04

「Quintessential」
オススメその4。Abdul Shyllonをフィーチャー。Kaidi Tathamのムーグ・シンセが牽引するエレクトリック・ブギーなミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=AqfoRcQ0ZZg

「Syndrome」
Bembe Segue、Lain Grayをフィーチャーしたへヴィ・ファンク。西ロンドンならではのファンクネスを楽しめます。

「Pino + Mashi」
Pino PalladinoとMdCLのみの演奏によるインスト小曲。

「Tide's Arising」
オススメその5。タイトル曲はAbdul Shyllonをフィーチャー。Kaidi Tathamのムーグ・シンセが印象的なブロークン・ビーツ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=kOvDgPRDw9c

「Sila's Theme」
Bembe Segueをフィーチャーしたトライバルなビートが印象的な小曲。

「Traveling (Interlude)」
インタールード。

「Heaven」
Bembe Segueをフィーチャー。西ロンドン流のアーバン・メロウといった雰囲気ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qGMtA6QHazQ

「4.Y.V.」
オススメその6。Abdul Shyllonをフィーチャー。スキャットでVanessa Freemanも参加しています。ラテン・フレイヴァーのブロークン・ビーツはリズミックで僕好み!

「Heaven Part II」
「Heaven Part」のパート2です。ラップ・パートもあります。

「Sanctuary」
ラストはフューチャー・ジャズなインストで締め括ってくれます。

MdCLの他作品もチェックを!

『Six Degrees』(2000年)
シックス・ディグリーズ

『Journey 2 The Light』(2007年)
Journey 2 the Light

『Renegades』(2011年)
Renegades [解説付・ボーナストラック2曲収録・国内盤] (BRC308)

Mark De Clive-Lowe & Rotterdam Jazz Orchestra『Take The Space Trane』(2013年)
Take the Space Trane [輸入盤CD] (TRUCD267)

『Church』(2014年)
Church(日本語解説つき)
posted by ez at 03:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月04日

Baby Huey『The Baby Huey Story: The Living Legend』

Curtis Mayfieldプロデュース。悲運の巨漢男性ソウル・シンガー唯一のアルバム☆Baby Huey『The Baby Huey Story: The Living Legend』
リヴィング・レジェンド
発表年:1971年
ez的ジャンル:Curtom系男性ソウル・シンガー
気分は... :アヒルと巨漢!

今回は悲運の巨漢男性ソウル・シンガーBaby Huey唯一のアルバム『The Baby Huey Story: The Living Legend』(1971年)です。

Baby Huey(本名:James Thomas Ramey)は1944年インディアナ州リッチモンドの生まれ。160キロを超える巨漢でアニメのアヒルのキャラクターに似ていることからアーティスト名"Baby Huey"を名乗るようになりました。

1963年にシカゴで自身のグループBaby Huey & The Babysittersを結成し、1965年には3枚のシングルをリリースします。

彼らに最初に注目したのは当時CurtomのアレンジャーであったDonny Hathaway。そしてDonny Hathawayから評判を聞いたCurtomの総帥Curtis Mayfieldが彼らのライブを観に行き、1969年にCurtomと契約を締結します。

1969年に第1弾シングル「Mighty Mighty Children Parts 1 & 2」をリリースし、注目の存在となりますが、第2弾シングル「Hard Times」のリリースを見ることなく、1970年10月28日にヘロイン中毒で逝去してしまいます。享年26歳。

そして、彼の死後にそれまでのレコーディング音源を集めてリリースされたアルバムが本作『The Baby Huey Story: The Living Legend』(1971年)です。プロデュースはCurtis Mayfield

アルバムに仕上げるために、インスト曲を追加するなど急ごしらえ感もある作品ですが、シングルにもなった「Mighty, Mighty」「Hard Times」、サンプリング・ソースとしても人気の「Listen To Me」「Running」という4曲は一度聴くべきだと思います。

「Mighty, Mighty」「Hard Times」の2曲はCurtis MayfieldヴァージョンやImpressionsヴァージョンと聴き比べるのも楽しいと思います。

サンプリング・ソースも多いので、そういった観点からも楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Listen To Me」
Michael Bruce Johnson作。格好良さでいえば、このファンク・ロック的なオープニングが一番かも!うねるグルーヴとブラス・ロック的なホーン・アンサンブルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=YJXMBxZgznY

Eric B. & Rakim「Follow the Leader」、Grandmaster Flash and The Furious Five「Gold」、Public Enemy「Revolutionary Generation」、Da Phlayva「All Things Is Madd」のサンプリング・ソースとなっています。
Eric B. & Rakim「Follow the Leader」
 https://www.youtube.com/watch?v=95gP3m-uBHA
Public Enemy「Revolutionary Generation」
 https://www.youtube.com/watch?v=WH1VUsURuuU
Da Phlayva「All Things Is Madd」
 https://www.youtube.com/watch?v=WK7p8bHHjJk

「Mama Get Yourself Together」
Baby Huey作。Sly & The Family Stone的な雰囲気のインスト。主役Baby Hueyのヴォーカルは聴けませんが、かなり格好良いトラックだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Z1qIyf4Vycs

「A Change Is Going To Come」
Sam Cookeの名曲をカヴァー。やり過ぎ感もありますが、巨漢ソウル・シンガーらしい迫力のあるカヴァーに仕上がっています。Boss「I Don't Give a Fuck」、King Syze feat. OuterSpace「Sibling Rivalry」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IF6RaCLO7n0

「Mighty, Mighty」
Curtis Mayfield作。The Impressionsのカヴァー。前述のように彼の生前にリリースされた唯一のシングルです。Impressionsのオリジナルは アルバム『The Young Mods' Forgotten Story』(1969年)に収録されています。当ブログでは『Curtis/Live!』(1971年)収録ヴァージョンも紹介済みです。疑似ライブ仕立てのように聴こえますが、Donny Hathawayがアレンジを手掛けたThe Impressionsヴァージョンと同じトラックを使っている模様です。Baby Hueyの迫力のヴォーカルが聴く者を煽ります。
https://www.youtube.com/watch?v=g6lTEFlIo6o

Lord Finesse「Isn't He Something」、Big Daddy Kane「Finale」のサンプリング・ソースとなっています。
The Impressions「Mighty, Mighty」
 https://www.youtube.com/watch?v=u7Rdr22dBPE
Curtis Mayfield「Mighty, Mighty」
 https://www.youtube.com/watch?v=xchdtRWwaDo
Lord Finesse「Isn't He Something」
 https://www.youtube.com/watch?v=vPco8nz9poE

「Hard Times」
Curtis Mayfield作。Curtis本人のヴァージョンは『There's No Place Like America Today』(1975年)に収録されています。また、John Legend & The Rootsによるニュー・ソウル・カヴァー集『Wake Up!』(2010年)のオープニング曲として聴かれた方も多いのでは?♪ひどい時代さ♪と嘆く社会派ソングですが、Baby Hueyのしゃがれ声ヴォーカルにはリアリティを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=zMIzTh0Lafg
Curtis Mayfield「Hard Times」
https://www.youtube.com/watch?v=jvSfeanNFIM
John Legend & The Roots「Hard Times」
 https://www.youtube.com/watch?v=YbuTOMteo54

本曲は定番サンプリング・ソースとしても有名です。主なところを挙げると、Biz Markie「The Dragon」、A Tribe Called Quest「Can I Kick It? (Spirit Mix)」、Kool G Rap & DJ Polo feat. Large Professor & Freddie Foxxx「Money in the Bank」 、Ice Cube feat. Khalid Muhammad「The Birth」、Diamond D「Fuck What U Heard」、DJ Shadow「Entropy」、Tha Alkaholiks「Soda Pop」 、Black Moon「Powaful Impak!」Young Black Teenagers「Sweatin' Me」、The Notorious B.I.G.「Gimme the Loot」、Dredknotz「Tha Anthem」、Naughty by Nature「Connections」、The Chemical Brothers「Playground for a Wedgeless Firm」、Ghostface Killah feat. Method Man, Cappadonna & Redman「Buck 50」、The Game feat. will.i.am「Compton」、Lil Wayne & The Game「Hard Times」、Swizz Beatz and Drag-On「School of Hard Knocks」、Raekwon feat. GZA, Masta Killa & Slick Rick 「We Will Rob You」等です。

Biz Markie「The Dragon」
 https://www.youtube.com/watch?v=BQBcur3cIIk
A Tribe Called Quest「Can I Kick It? (Spirit Mix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=eFthKWUCKwA
Diamond D「Fuck What U Heard」
 https://www.youtube.com/watch?v=UOkLvNFnLPM
Tha Alkaholiks「Soda Pop」
 https://www.youtube.com/watch?v=DnPSHAEANlo
Black Moon「Powaful Impak!」
 https://www.youtube.com/watch?v=Mc2BDBft95E
Young Black Teenagers「Sweatin' Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=zdWttPxHROo
Dredknotz「Tha Anthem」
 https://www.youtube.com/watch?v=iSbSKSAqhRo
Naughty by Nature「Connections」
 https://www.youtube.com/watch?v=uiHJ5BajEB8
The Chemical Brothers「Playground for a Wedgeless Firm」
 https://www.youtube.com/watch?v=b9Pdv-Bv9u8
Ghostface Killah feat. Method Man, Cappadonna & Redman「Buck 50」
 https://www.youtube.com/watch?v=1HkauyhaTX4
The Game feat. will.i.am「Compton」
 https://www.youtube.com/watch?v=qNc5c--N9Vo
Lil Wayne & The Game「Hard Times」
 https://www.youtube.com/watch?v=pg-zQy9ctZM
Swizz Beatz and Drag-On「School of Hard Knocks」
 https://www.youtube.com/watch?v=SGOuGKHubCI&spfreload=10
Raekwon feat. GZA, Masta Killa & Slick Rick「We Will Rob You」
 https://www.youtube.com/watch?v=zcvrfiF2vGo

「California Dreaming」
The Mamas & the Papasの大ヒット曲のインスト・カヴァー(John Phillips/Michelle Phillips作)。アルバムに仕立てるための埋め草的な1曲ですが、これはこれで楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=g4Gt9Vsbf60

Emo「Incognito」、Capone-N-Noreaga feat. Raekwon「The Reserves」、The Asteroids Galaxy Tour「Dollars in the Night」のサンプリング・ソースとなっています。
Emo「Incognito」
 https://www.youtube.com/watch?v=R-FrtxRgV9I
Capone-N-Noreaga feat. Raekwon「The Reserves」
 https://www.youtube.com/watch?v=dT8gzCFRqTs
The Asteroids Galaxy Tour「Dollars in the Night」
 https://www.youtube.com/watch?v=xQWfNNFknKQ

「Running」
Curtis Mayfield作。ファンキー&サイケな本曲は個人的には「Listen To Me」と並ぶハイライト。Baby Hueyのヴォーカルとサウンドのアッパーな一体感がいいですね。ロック的な格好良さもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=FcUo2fauO8E

INI feat. Pete Rock「Fakin' Jax (Rude Youth Remix)」、Pete Rock feat. Little Brother「Give It to Ya」、MC Lyte, Bahamadia, Nonchalant and Yo-Yo「Keep on Pushin'」、Da Beatminerz feat. Apani B. Fly & Jean Grae「Shut Da Fuck Up」、DJ Signify「Peek a Boo Pt.2」 、Ayatollah「Eye Pod」等のサンプリング・ソースになっています。
INI feat. Pete Rock「Fakin' Jax (Rude Youth Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=Zue00Ulio7E
MC Lyte, Bahamadia, Nonchalant and Yo-Yo「Keep on Pushin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=teBpxXudFQw
Da Beatminerz feat. Apani B. Fly & Jean Grae「Shut Da Fuck Up」
 https://www.youtube.com/watch?v=6P4pifsTwmM
Ayatollah「Eye Pod」
 https://www.youtube.com/watch?v=rHkS9KoLfWM

「One Dragon Two Dragon」
ラストはBaby Huey作のインスト。演奏自体は悪くないですが、埋め草感があるのも確かです。
https://www.youtube.com/watch?v=QSXdEr0m-iM

昨晩のEURO2016の準々決勝「ドイツ対イタリア」はPK戦の末、ドイツが勝利しましたね。
イタリアはあともう一歩でしたね。それにしてもノイアー対ブッフォンの新旧GK対決は感動的でしたね。最後ブッフォンの涙にうるっときてしまいました。
posted by ez at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月03日

Quantic Presenta Flowering Inferno『1000 Watts』

レゲエ/ダブ色を強く打ち出した最新作☆Quantic Presenta Flowering Inferno『1000 Watts』
1000 Watts [帯解説・ボーナストラック4曲収録 / 国内盤CD] (BRC514)
発表年:2016年
ez的ジャンル:レゲエ/ダブ+クンビア系ワールド・ミュージック
気分は... :堅守速攻!

昨晩のサッカーEURO2016準々決勝「ウエールズ対ベルギー」は面白かったですね。
ベルギーは何となく決勝まで行きそうな予感がしていたので、先制しながらの逆転負けは意外でした。

決勝トーナメント1回戦の「イングランド対アイスランド」も同様の展開でしたが、先制しながらも、すぐに同点に追いつかれてしまった時点で、強豪国としてのプライドが逆に焦りを生んでしまったのかもしれませんね。

金曜にはリオ五輪のサッカー日本代表18名も発表されましたね。ボランチを手厚くし、堅守速攻を選択したメンバー構成は賛否両論あるのかもしれませんが、対戦国も踏まえれば、妥当な人選という気がします。EUROを観ていて余計にそう思えてきました。

もうすぐ始まる"事実上の決勝戦"「ドイツ対イタリア」も楽しみですね。
個人的にはイタリアが勝利する予感がします。

今回は新作アルバムから人気ミュージシャンQuanticのプロジェクトの1つFlowering Infernoの最新作『1000 Watts』です。

UK出身のDJ/ミュージシャン/プロデューサーQuanticことWill Hollandに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の6枚。

 The Quantic Soul Orchestra『Stampede』(2003年)
 The Quantic Soul Orchestra『Pushin On』(2005年)
 Quantic Presenta Flowering Inferno『Death Of The Revolution』(2008年)
 Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)
 Quantic『Magnetica』(2014年)
 Quantic Presents The Western Transient『A New Constellation』(2015年)

GW前にFlowering Inferno作品のおさらいとして『Death Of The Revolution』(2008年)を紹介しましたが、新作『1000 Watts』がリリースされましたので取り上げたいと思います。

Flowering Infernoは、Quanticがコロンビア移住後に立ち上げたワールド・ミュージック系プロジェクトであり、これまで『Death Of The Revolution』(2008年)、『Dog With a Rope』(2010年)という2枚のアルバムをリリースしています。

コロンビアでの生活にも区切りをつけ、現在は米国を拠点に活動しているQuanticですが、今でも彼がレゲエ、クンビア等のワールド・ミュージックに対して強い思いを抱いていることを確認できる1枚に仕上がっています。

特に本作ではレゲエ/ダブ色を前面に打ち出し、そこにクンビア/コロンビアン・フォルクローレのエッセンスをスパイスとして、さり気なく織り交ぜている印象を受けます。

アルバムには盟友Alice Russell、Quantic作品にはお馴染みのコロンビア人女性シンガーNidia Gongora、偉大なレゲエDJであるU-Roy、偉大なジャマイカン・シンガーAlton Ellisの息子Christopher Ellis、UKの女性レゲエ・シンガーHollie Cook(元Sex PistolsのPaul Cookと元Belle StarsのJennie Matthiasの娘)がフィーチャリングされています。

さらには70年代から数多くのレゲエ作品に参加してきたジャマイカン・ドラマーCarlton "Santa" Davis、The Mars VoltaやJack White のバンドで活躍したものの、惜しくも2014年に逝去したキーボード奏者Isaiah "Ikey" Owens、それ以外にFabian Cooke(b)、Roger Rivas(key)、Richard Ramirez(congas)、Wilson Viveros(per)、Jimetta Rose(back vo)、Sylvester Onyejiaka(clarinet、fl、ts、p)、Todd Simon(tp、flh)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

季節的にもピッタリな1枚だと思います。
こういうシブめのレゲエ/ダブ作品もたまにはいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Spring Tank Fire」
ダビーなオープニング。哀愁のホーン・サウンドのダビーな響きが本作を象徴しています。

「A Life Worth Living」
U-RoyとAlice Russellをフィーチャー。HollandのU-Royへのリスペクトを感じる1曲に仕上がっています。U-RoyがレゲエDJのオリジネーターらしいトースティングで盛り上げてくれます。さらにAlice Russellの女性ヴォーカルが華を添えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=hEKTyS60I2g

「Homeward Bound」
懐かしさを感じるルーツ・レゲエ・サウンドにダビーなスパイスを効かせています。

「Ikey's Vibe」
タイトルの通り、故Isaiah "Ikey" Owensのキーボードを前面に出したダビーなインスト・チューン。HollandがIkeyの早すぎる死に哀悼の意を表した1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=fRVhQt9li3w

「Shuffle Them Shoes」
Hollie Cookをフィーチャーしたルーツ・レゲエ。HollieのヴォーカルとSylvester Onyejiakaのサックスが醸し出す儚い哀愁感がたまりません。

「Dusk」
Carlton "Santa" Davisのドラミングがいいアクセントになっているインスト。

「El Disorden」
レゲエにクンビアのスパイスを効かせたダビーなインスト。Hollandならではのセンスを感じます。

「1000 Watts」
タイトル曲はChristopher Ellisをフィーチャー。Alton EllisのDNAを受け継いだChristopherが父親譲りのソウルフル・ヴォーカルで盛り上げてくれます。

「Chambacu」
Nidia Gongoraをフィーチャー。レゲエとコロンビアン・フォルクローレが融合した本曲が最もFlowering Infernoらしいと呼べるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=d4du9dYmMs0

「Night Shade」
このインストにもレゲエとコロンビアのミクスチャー感がありますね。哀愁メロディとレゲエのリズムの組み合わせがクセになります。
https://www.youtube.com/watch?v=cwMqLDdvMRg

「Macondo」
Daniel Camino Diez作。コロンビアン・フォルクローレのリメイク。中盤ではHollandのアコーディオンが盛り上げてくれます。コロンビアン・フォルクローレにダブのエッセンスを織り交ぜるセンスこそがFlowering Infernoですね。

「Flowering Theme」
気取らない雰囲気のルーツ・レゲエ・サウンドが心地好いですね。ボーッと過ごしたいときにフィットしそうなインストです。

「Striding On Grand St」
このインストも軽快なリラックス感があります。あえてノスタルジックな雰囲気を醸し出しているのもHollandの狙いなのでしょうね。

「All I Do Is Think About You」
ラストはStevie Wonder『Hotter than July』(1980年)収録の名曲「All I Do」をカヴァー(Stevie Wonder/Clarence Paul/Morris Broadnax作)。Christopher Ellisをフィーチャーした、このStevieの名曲カヴァーが本作のハイライトかもしれませんね。「All I Do」のオリジナルが収録された『Hotter than July』にはレゲエ調のヒット・シングル「Master Blaster (Jammin')」が収録されていましたが、本ヴァージョンは「All I Do」と「Master Blaster (Jammin')」を掛け合せたような雰囲気があります。美しいストリングスも効果的です。

国内盤には「A Life Worth Living (Far East Dub)」「1000 Watts (Far East Dub)」「Chambacú (Far East Dub)」「All I Do Is Think About You (Far East Dub)」という4曲のダブ・ヴァージョンが追加収録されています。

Flowering Inferno名義の過去作品やQuantic関連の他作品もチェックを!

Quantic Presenta Flowering Inferno『Death Of The Revolution』(2008年)
Death Of The Revolution [日本語解説付き国内盤] (BRTRU163)

Quantic Presenta Flowering Inferno『Dog With a Rope』(2010年)
Dog With A Rope [ボーナストラック2曲・日本語解説付き国内盤] (BRC-262)

The Quantic Soul Orchestra『Stampede』(2003年)
Stampede

The Quantic Soul Orchestra『Pushin On』(2005年)
Pushin On (TRUCD074)

The Quantic Soul Orchestra with Spanky Wilson『I'm Thankful』(2006年)
I'm Thankful

The Quantic Soul Orchestra『Tropidelico』(2007年)
Tropidelico (TRUCD139)

Quantic『The 5th Exotic』(2001年)
The 5th Exotic

Quantic『Apricot Morning』(2002年)
Apricot Morning (TRUCD034)

Quantic『Mishaps Happening』(2004年)
Mishaps Happening

Quantic『An Announcement to Answer』(2006年)
An Announcement to Answer (TRUCD100)

The Limp Twins『Tales From Beyond the Groove 』(2003年)
Tales from Beyond the Groove (TRUCD057)

Quantic & His Combo Barbaro『Tradition in Transition』(2009年)
Tradition in Transition (TRUCD190)

Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)
Look Around The Corner [解説付 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC325)

Ondatropica『Ondatropica』(2012年)
Ondatropica

Quantic『Magnetica』(2014年)
Magnetica [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC415)

Quantic Presents The Western Transient『A New Constellation』(2015年)
A NEW CONSTELLATION [帯解説・ボーナストラック収録] (BRC477)
posted by ez at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月02日

Debra Laws『Very Special』

Lawsファミリーの末娘のデビュー・アルバム☆Debra Laws『Very Special』
ヴェリー・スペシャル
発表年:1981年
ez的ジャンル:音楽一家系女性シンガー
気分は... :Very Special!

今回は有名な音楽一家Lawsファミリーの末娘Debra Lawsのデビュー・アルバム(1981年)です。

Debra Lawsは1956年テキサス州ヒューストン出身。長兄はジャズ・フルート奏者の第一人者Hubert Laws、次兄はサックス奏者のRonnie Laws、姉は女性シンガーのEloise Lawsという音楽一家Lawsファミリーに生まれました。

1970年代から兄弟の作品を中心にセッション・シンガーとして活躍していたDebraが1981年にリリースしたデビュー・アルバムが本作です。

プロデュースは二人の兄、Hubert LawsRonnie Laws

レコーディングには二人の兄、姉のEloise Laws(back vo)をはじめ、Roland Bautista(g)、Nathan East(b)、Leon Ndugu Chancler(ds)、Bobby Lyle(p)、Larry Dunn(syn)、Arthur Adams(g)、Pat Kelley(g)、Raymond Pounds(ds)、David Lasley(back vo)、Arnold McCuller(back vo)等が参加しています。

「Be Yourself」「Very Special」「Meant For You」の3曲がシングル・カットされ、R&Bチャートに入るヒットとなっています。

何といってもハイライトはタイトル曲「Very Special」ですね。定番サンプリング・ソースとしても有名です。

それ以外の曲も透明感のあるDebraの歌声を活かしたメロウ・チューンが並びます。シングル3曲以外ならば「On My Own」「Long As We're Together」「Your Love」あたりがオススメです。

ジャケに写るDebraの笑顔そのままの爽快感がある1枚です。

全曲紹介しときやす。

「On My Own」
Ronnie Laws作。フュージョン風味の軽快なアーバン・ダンサーがオープニング。作者でもある兄Ronnieがサックス・ソロで妹の門出を祝っています。
https://www.youtube.com/watch?v=P34ybAG9Bd0

「Meant For You」
David Lasley/Roxanne Joy Seeman作。アルバムからの3rdシングルとして全米R&Bチャートの第47位となっています。透明感のあるメロウ・チューンはジャケに写るDebraの雰囲気にピッタリですね。作者David LasleyとArnold McCullerがバック・コーラスを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=0prVrHujDSQ

「Very Special」
Lisa Peters/William Jeffery作。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャートの第11位となっています。兄Ronnieとのデュエットによるロマンティックなバラード。ソウル・バラードというより、ミュージカルの中の1曲という雰囲気ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RO1mfMKhUrE

前述のように定番サンプリング・ソースとして有名です。Mary J. Blige feat. Grand Puba「What's the 411?」Big Daddy Kane feat. Spinderella「Very Special」、Leaders Of The New School「Daily Reminder」、Master P feat. Nas & Mac「Where Do We Go From Here」、Fabolous feat. Mary J. Blige「My Life」 、Jennifer Lopez feat. LL Cool J「All I Have」、Mac feat. Nas「Ghetto Love Song」 、Wiz Khalifa「Maan」 、Aaron Cohen & ABGOHARD「F.W.M」等で使われています。
Big Daddy Kane feat. Spinderella「Very Special」
 https://www.youtube.com/watch?v=9lZsNAZ_KZ0
Mary J. Blige feat. Grand Puba「What's the 411?」
 https://www.youtube.com/watch?v=KmdB3BUYCHI
Fabolous feat. Mary J. Blige「My Life」
 https://www.youtube.com/watch?v=UmI41yV_CQo
Jennifer Lopez feat. LL Cool J「All I Have」
 https://www.youtube.com/watch?v=yeSJ2YdhG5k
Mac feat. Nas「Ghetto Love Song」
 https://www.youtube.com/watch?v=1FI-C4LBJps
Aaron Cohen & ABGOHARD「F.W.M」
 https://www.youtube.com/watch?v=u0vn45FvQAU

「Be Yourself」
Debra Laws/Nathan East作。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャートの第31位となっています。 Debraのシンガーとしての魅力を実感できるメロウ・チューン。二人の兄HubertとRonnieのソロも聴けます。
https://www.youtube.com/watch?v=wT7daEo5s_s

Khrysis feat. Heather Victoria「Be Alright」のサンプリング・ソースとなっています。
Khrysis feat. Heather Victoria「Be Alright」
 https://www.youtube.com/watch?v=XRMC9KBNZlI

「Long As We're Together」
Ronnie Laws作。Debraの初々しい魅力が伝わってくる1曲。姉Eloiseがバック・コーラスでサポートしています。Pat Kelleyのギター・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5Pl14vWd2ro

Kill the Noise「Perfect Combination」のサンプリング・ソースとなっています。
Kill the Noise「Perfect Combination」
 https://www.youtube.com/watch?v=zCjo8LHB2jc

「Your Love」
Tommy Mitchell作。ストリングスを配した素敵なメロウ・バラード。Debraらしい透明感のある1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=V2guKIz7nVE

「How Long」
1978年にBrandyeやThelma Jonesが取り上げたGrey & Hanks(Zane Grey/Len Ron Henks)作品のカヴァー。オトナのミディアム・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1ggcgm3UHRk

「All The Things I Love」
David Lasley/Roxanne Joy Seeman作。ラストはミュージカルのエンディングのようなバラードを伸びやかに歌い上げて締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=UCYOQW9M2a0

Lawsファミリーの過去記事もご参照下さい。

Hubert Laws『The Chicago Theme』(1975年)
シカゴ・テーマ

『Family』(1980年)
Family

Eloise Laws『Ain't It Good Feeling Good』(1977年)
エイント・イット・グッド・フィーリング・グッド(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 12:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月01日

Jorge Ben『A Tabua De Esmeralda』

ピースフル&アコースティックな質感が印象的な1枚☆Jorge Ben『A Tabua De Esmeralda』
A Tabua de Esmeralda
発表年:1974年
ez的ジャンル:ブラジリアン・アコースティック・グルーヴ
気分は... :エメラルドの記念碑!

今回はブラジルを代表する男性シンガー・ソングライターJorge Ben(Jorge Ben Jor)が1974年にリリースした『A Tabua De Esmeralda』(邦題:エメラルドの記念碑)です。

これまで当ブログで紹介したJorge Ben作品は以下の7枚です。

 『Sacundin Ben Samba』(1964年)
 『Jorge Ben』(1969年)
 『Forca Bruta』(1970年)
 『Ben』(1972年)
 『Africa Brasil』(1976年)
 『A Banda Do Ze Pretinho』(1978年)
 『Salve Simpatia』(1979年)

本作『A Tabua De Esmeralda』はジャケの通り、神秘的、哲学的な内容がテーマになっています。ただし、実際の音を聴いてみると、アコースティックな質感のサウンドとピースフルなコーラスが印象的な1枚になっています。

ダビーな音処理やレゲエのエッセンスを取り入れた曲があるのも興味深いですね。

アコースティックな質感が強調された自然体のサウンドながら、聴く者を魅了するサムシングがあるのは、Jorge Benというアーティストの圧倒的な個性と楽曲の良さなのだと実感できます。

プロデュースはPaulinho Tapajos

Darcy De PauloHugo BellardOsmar Militoがアレンジを手掛けています。

この時期のJorge Ben作品の中では取り上げられる機会が少ない作品かもしれませんが、外せない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Os Alquimistas Estao Chegando Os Alquimistas」
本作らしいアコースティックな質感が印象的なオープニング。Benのヴォーカルに絡むピースフルなコーラスがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=GyMobiF-lUE

「O Homem Da Gravata Florida」
アコギを中心としたシンプルな演奏なのにメロディアスな格好良さがあります。後半はヴォーカルにエコーがかかり、少しダビーな感じになります。
https://www.youtube.com/watch?v=LRgqb0HvoCw

「Errare Humanum Est」
美しいコーラス、ストリングスを配したビューティフル・バラード。ここでもダビーな音処理で少し神秘的な雰囲気を醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=p7cTTKkMgT8

「Menina Mulher Da Pele Preta」
哀愁メロウな感じにグッとくるアコースティック・サンバ。リズミックだけどレイジーな感じが本作らしいのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=AxkbcN0x73s

「Eu Vou Torcer」
グルーヴィーなアコースティック・サンバは、いつものBenらしさを楽しめる1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=T8VPn_h7ApI

「Magnolia」
テンポを落としたアコースティック・グルーヴにストリングスが絡みます。
https://www.youtube.com/watch?v=6IjmayL2sD4

「Minha Teimosia, Uma Arma Pra Te Conquistar」
僕の一番のお気に入り。ピースフルなコーラスが印象的なアコースティック・メロウ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=xdbesA6x-es

「Zumbi」
軽快なアコギとストリングスの絡みが小気味良いですね。力強い男性コーラスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ge5BZjVVKpQ

「Brother」
レゲエ的なエッセンスも取り入れたアコースティック・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=zcczABb395s

「O Namorado Da Viuva」
小粋なアコースティック・サンバはJorge Ben好きの人であれば楽しめるはず!2分強ですが、もっと長い尺で聴きたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=uAZLk-iPMB4

「Hermes Trismegisto E Sua Celeste Tabua De Esmeraldas」
長いタイトルですね。本作らしい少しテンポを落としたピースフルな仕上りです。
https://www.youtube.com/watch?v=uCazqu2Xfs4

「Cinco Minutos (5 Minutos) 」
お茶目なファルセット・ヴォーカルも含め、Benの生々しいヴォーカルにグッとくるアコースティック・グルーヴで締め括ってくれます。Marisa Monteが『Memorias, Cronicas E Declaracoes De Amor』(2000年)でカヴァーしていましたね。
https://www.youtube.com/watch?v=LlyzD8qX6fE&

Jorge Benの過去記事もご参照下さい。

『Sacundin Ben Samba』(1964年)
Sacundin Ben Samba

『Jorge Ben』(1969年)
Jorge Ben

『Forca Bruta』(1970年)
Forca Bruta

『Ben』(1972年)
Jorge Ben - Ben

『Africa Brasil』(1976年)
アフリカ・ブラジル

『A Banda Do Ze Pretinho』(1978年)
A Banda Do Ze Pretinho

『Salve Simpatia』(1979年)
サルヴィ・シンパチーア(BOM1452)
posted by ez at 00:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする