2016年11月06日

NxWorries『Yes Lawd!』

Anderson .PaakとKnxwledgeの強力Hip-Hop/R&Bタッグ☆NxWorries『Yes Lawd!』
Yes Lawd!
発表年:2016年
ez的ジャンル:強力Hip-Hop/R&Bタッグ
気分は... :フューチャリスティック・ピンプ・・・

新作アルバムから今最も注目を集める西海岸Hip-Hop/R&BアーティストAnderson .Paakとニュージャージー出身の期待のプロデューサーKnxwledgeによる強力Hip-Hop/R&BタッグNxWorriesの1stアルバム『Yes Lawd!』です。

西海岸Hip-Hopシーンの大御所Dr. Dreが健在ぶりを示した大ヒット・アルバム『Compton』(2015年)で6曲もフィーチャリングされたことをきっかけに、大きく注目されることになったAnderson .Paakについては、これまで『Venice』(2014年)、『Malibu』(2016年)という2枚のアルバムを紹介済みです。

もう一人の主役であるKnxwledgeに関して、当ブログで彼の名前はAnderson .Paakの記事以外にKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』(2015年)、SiR『Seven Sundays』(2015年)、Mndsgn『Body Wash』(2016年)の記事で登場しています。ちなみに期待のプロデューサー/ビートメイカーMndsgnとKnxwledgeは、かつてKlipmodeというHip-Hopクルーを結成していました。

ニュージャージー、フィラデルフィアを経てL.A.に拠点を移したKnxwledgeがネット上でAnderson .Paakと知り合い、結成したユニットがNxWorriesです。そして、Stones Throwから2015年にEP『Link Up & Suede』をリリースしています。

特に『Link Up & Suede』に収録された「Suede」は、Dr. Dre『Compton』での大抜擢のきっかけとなった曲であり、Anderson .Paakの運命を切り開いた1曲となりました。また、同じタイミングでKnxwledgeがモンスター・アルバムKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にプロデューサーの一人として関与することとなり、全世界に存在感を示すことに成功しました。

このようにAnderson .PaakKnxwledgeへの注目度が最高潮となった絶好のタイミングでStones Throwからリリースされたのが本作『Yes Lawd!』です。

ゲスト・アーティストなどは招かないあたりに、Anderson .PaakとKnxwledgeの自信が窺えます。

アルバム全体はフューチャリスティック・ピンプな世界観で貫かれており、Knxwledgeによるソウルフルなトラックが並び、それに合わせてPaakが癖のある声でヴォーカル/ラップを聴かせてくれます。

流れが素晴らしい前半、ソウルフルなトラックが並ぶ後半と聴き応えのある全19曲です。

『Link Up & Suede』にも収録されていた代表曲「Suede」「Link Up」以外ならば、「Get Bigger/Do U Luv」「Scared Money」「Sidepiece」「Another Time」「Lyk Dis」「Can't Stop」「What More Can I Say」あたりがオススメです。

今年一番の注目度のHip-Hop/R&B作品を聴き洩らさないように!

全曲紹介しときやす。

「Intro」
アルバムのイントロ。

「Livvin」
Paakの癖のあるヴォーカルが全てを投げ捨てて都会へ旅立つ男の心情を歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=BJM31we4I6w

「Wngs」
Ahmad Jamal「Ghetto Child」のエレピ・ネタを使ったKnxwledgeの心地よいメロウ・トラックが栄える1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=Y8cgSzmzp78

「Best One」
「Wngs」から切れ間なく続きます。Paakの少しエロい感じのヴォーカルとソウルフル・トラックがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=CT2DB_U_-Zg

「What More Can I Say」
The Notations「What More Can I Say」ネタのソウルフル・トラックをバックに、Paakが切々と歌い上げます。途中、The Five Heartbeats「Nights Like This」のフレーズが効果的に使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=9598ioIhflg

「Kutless」
Gino Vannelli「Lady」ネタの美しいトラックが印象的です。

「Lyk Dis」
Creme D'Cocoa「Mr Me, Mrs You」ネタのトラックにKnxwledgeのセンスを感じます。そんなトラックがPaakのラッパーならではのヴォーカルを引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=2hEm94gx1y8

「Can't Stop」
妖しくも虚しい雰囲気のエフェクト・ヴォーカルが印象的です。Evelyn "Champagne" King「I Think My Heart Is Telling」をサンプリング。海外カートゥーン『Rick and Morty』ネタも入っています。

「Get Bigger/Do U Luv」
Webster Lewis「The Love You Give to Me」をサンプリングした本作らしいメロウ&ソウルフル・ワールドを堪能できます。終盤にはRonnie Mcneir「In Summertime」も使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=ByLIWvPsKMY

「Khadija」
ダークで妖し気な空気で疾走します。アルバムの流れの中でいいアクセントになっています。

「H.A.N.」
シリアスなトラックにのって、Paakが切々と問いかけます。

「Scared Money」
B.B. & Q. Band「(I Could Never Say) It's Over」をサンプリングした本曲もメロウ&ソウルフルな魅力を楽しめる1曲に仕上がっています。

「Suede」
前述のように彼らの快進撃のきっかけとなった運命の1曲。Gil Scott-Heron & Brian Jackson「The Bottle」ネタのトラックにのって、Paakが癖のあるヴォーカルで畳み掛けます。
https://www.youtube.com/watch?v=zNTNbNtft9g

「Starlite」
70年代ソウルのエッセンスを巧みに使ったトラックにのってPaakが切々と歌い上げます。

「Sidepiece」
優しく包み込んでくれるようなメロウ・チューン。J Dilla「Won't Do」ネタが挿入されているあたりも嬉しいですね。

「Jodi」
インタールード的な小曲。

「Link Up」
「Suede」と並び『Link Up & Suede』に収録されていた注目曲。Cassiano「Onda」をサンプリングしています。哀愁ソウル・トラックとPaakのラップ調ヴォーカルのバランスが絶妙ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=PsXaSRBO5kM

「Another Time」
Heaven Sent & Ecstasy「Bless You With My Love」 をサンプリングしたソウルフル・チューン。NxWorries流のソウル・ワールドを楽しめます。終盤のChristion & Jay Z「Your Love」ネタに思わずニヤリとする方もいるのでは?

「Fkku」
ラストはEddie Robinson「Absolutly Beautiful」ネタのメロウ・ソウル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=MeiKE43pqaE

Anderson .PaakKnxwledgeのソロ作品もチェックを!

Anderson .Paak『Venice』(2014年)
Venice

Anderson .Paak『Malibu』(2016年)
MALIBU [国内仕様盤 / 帯・解説付き](ERECDJ218)

Knxwledge『Hud Dreems』(2015年)
Hud Dreems
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2016年11月05日

John Valenti『I Won't Change』

AOR人気作が廉価盤で再発☆John Valenti『I Won't Change』
女はドラマティック(期間生産限定盤)
発表年:1981年
ez的ジャンル:ブルーアイド・ソウル系AOR
気分は... :女はドラマティック...

今回は80年代AOR作品からJohn Valenti『I Won't Change(邦題:女はドラマティック)』(1981年)です。

1970年前半にはPuzzleのメンバーとしても活動していた1951年シカゴ生まれのドラマー&シンガー、ソングライターJohn Valentiの紹介は、フリーソウル人気盤『Anything You Want』(1976年)に続き2回目となります。

全米R&BチャートTop10に入った「Anything You Want」が収録された『Anything You Want』(1976年)で、Stevi調のソウルフル・ヴォーカルで"白いStevie Wonder"と呼ばれたJohn Valenti

今回紹介する2ndアルバム『I Won't Change』(1981年)は、当時本国アメリカでは発売されず、AOR好きの日本のみで発売された作品です。

最近AOR CITY 1000シリーズの1枚として、廉価盤が再発されたため、本作を購入したAORオジサンは多いのでは?僕が保有するCDは以前に中古盤で購入したものです。

僕のようなフリーソウル好きな人は『Anything You Want』、モロにAOR好きの人は『I Won't Change』に軍配を上げるのでは?

本作のプロデュースはGeorge Tobin。Robert John、Smokey Robinson、Kim Carnes等の作品を手掛けたヒット・プロデューサーです。また、彼の腹心であるMike Piccirilloがアシスタント・プロデューサーを務めています。

Gary Goetzman/Mike PiccirilloというGeorge Tobinプロデュース作ではお馴染みのソングライティング・チームが6曲を手掛け、残り4曲はJohn Valentiのオリジナルです。

レコーディングにはJohn Valenti(vo、p)、Mike Piccirillo(g、syn、back vo)、Bill Cuomo(key)、Ed Greene(ds)、Vinnie Colaiuta(ds)、Keni Burke(b)、Eric Nelson(b)、Scott Edwards(b)、Joel Peskin(sax)、Larry Klimas(sax)、Chuck Findley (tp)、Edna Wright(back vo)、Darlene Love(back vo)等が参加しています。

さり気にKeni BurkeEdna Wright、Darlene Love(The Blossoms)といったフリーソウル好きの人が気になるアーティストも参加しています。

フリーソウルな「I Won't Change」、Doobies調の「Stephanie」、爽快メロウな「Did She Mention Me」、ブルーアイド・ソウルな「Make It Up To You」、素敵なメロウ・バラード「Best For You」あたりが僕のオススメです。

80年代らしいAOR作品をお楽しみください。

全曲紹介しときやす。

「Who Will It Be」
Gary Goetzman/Mike Piccirillo作。ポップ・ロックなエッセンスを効かせた80年代らしいAORチューンでアルバムは幕を開けます。
https://www.youtube.com/watch?v=Weuk6uREzyU

「Did She Mention Me」
Gary Goetzman/Mike Piccirillo作。爽快に疾走するメロウ・チューンはかなり僕好み。Gary Goetzman/Mike Piccirilloコンビの楽曲の良さが光ります。
https://www.youtube.com/watch?v=2x1zWSjWurI

「I'll Take You Back」
John Valenti作。哀愁モードの仕上がりですが、あまり僕好みではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=9wMpoDgOVsk

「That's The Way Love Goes」
Gary Goetzman/Mike Piccirillo作。ポップな味わいの爽快チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=QLwS637xHUI

「Best For You」
John Valenti作。AOR好きの人は気に入るであろうメロウ・バラード。Valentiのヴォーカルの良さが栄えます。サックス・ソロもムードを盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zWA1BeqdZyQ

「I Won't Change」
Gary Goetzman/Mike Piccirillo作。「Anything You Want」の流れを汲むタイトル曲が本作のハイライト。"白いStevie Wonder"なソウルフル・ヴォーカルを楽しめるフリーソウルです。
https://www.youtube.com/watch?v=IK_CkclDT1w

「Stephanie」
John Valenti作。The Doobie Brothers「What A Fool Believes」、Robbie Dupree「Steal Away」あたりがお好きな人は気に入るであろうAORチューン。
https://www.youtube.com/watch?v=rpRp9A4SH3s

「Runnin' Scared」
Gary Goetzman/Mike Piccirillo作。さり気ない曲ですが、雰囲気があるメロウ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=nerv8lYT6QM

「Make It Up To You」
David Garfield/John Valenti作。ブルーアイド・ソウルな魅力がある哀愁メロウなミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=OSyy-Z4XRMA

「Fight For Love」
Gary Goetzman/Mike Piccirillo作。ラストはポップ・ロック調の哀愁チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=lkuXIIZsLZw

未聴の方は1stアルバム『Anything You Want』(1976年)もチェックを!

『Anything You Want』(1976年)
エニシング・ユー・ウォント(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 04:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月04日

Funk Inc.『Hangin' Out』

「Smokin' At Tiffany's」をはじめ、職人ファンクを楽しめる1枚☆Funk Inc.『Hangin' Out』
ハンギン・アウト
発表年:1972年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ジャズ・ファンク
気分は... :濃密ファンク!

今回はレア・グルーヴ人気盤、ジャズ・ファンク・グループFunk Inc.の3rdアルバム『Hangin' Out』(1973年)です。

1969年インディアナポリスで結成されたジャズ・ファンク・グループFunk Inc.の紹介は、2ndアルバム『Chicken Lickin'』(1972年)に続き2回目となります。

本作におけるメンバーはメンバーはGene Barr(ts)、Cecil Hunt(conga)、Jimmy Munford(ds、vo)、Bobby Watley(org、vo)、Steve Weakley(g)というジャケに写る5名。それ以外に一部楽曲でGordon Edwards(b)が参加しています。

全6曲と曲数は少なめですが、その分1曲1曲の演奏が濃密です。全体的にコンガの効いたパーカッシヴなグルーヴ感が格好良い1枚に仕上がっています。

特に、レア・グルーヴ・クラシック「Smokin' At Tiffany's」The Spinnersの大ヒット曲のカヴァー「I Can See Clearly Now」、オルガンが牽引するロウ・ファンク「Dirty Red」Curtis Mayfieldのカヴァー「Give Me Your Love」あたりがオススメです。

ファンク職人たちのいい仕事ぶりに大満足の1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Smokin' At Tiffany's」
Bobby Watley/Gene Barr/Steve Weakley作。格好良いドラム・ブレイクと共に始まるファンク・クラシック。ファンク株式会社らしい豪快なファンク・グルーヴを存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=Jt0heL3sNe4

本曲はKool G Rap & DJ Polo「Play It Kool」、J-Walk「Caught on the Hop」のサンプリング・ソースとなっています。
Kool G Rap & DJ Polo「Play It Kool」
 https://www.youtube.com/watch?v=P5D3-NEqhdU

「Give Me Your Love」
名盤『Superfly』(1972年)収録のCurtis Mayfield作品をカヴァー。パーカッシヴなグルーヴとSteve Weakleyの味のあるギターが何ともいいですね。。
https://www.youtube.com/watch?v=uneoOSpGMQg

「We Can Be Friends」
Bobby Watley/Cecil Hunt/Jimmy Munford作。Bobby WatleyとJimmy Mumfordがヴォーカルをとる男気のあるパーカッシヴなファンク・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=9cbe6ee8nkI

「Dirty Red」
Bobby Watley作。Bobby Watleyのオルガンが牽引するロウ・ファンク。バンド名に偽りなしのファンク・グルーヴに魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=lfOVPxP8XlQ

本曲はUltramagnetic MC's「Dolly and the Rat Trap」のサンプリング・ソースとなっています。
Ultramagnetic MC's「Dolly and the Rat Trap」
 https://www.youtube.com/watch?v=0QEDf_TBkJg

「I Can See Clearly Now」
Johnny Nash、1972年全米チャートNo.1の大ヒット曲をカヴァー。映画『Cool Runnings』(1993年)で使われたJimmy Cliffヴァージョンもお馴染みですね。この曲の持つ魅力を反映した開放的なグルーヴがいい感じです。

「I'll Be Around」
Thom Bell/Phil Hurtt作。The Spinners、1972年の大ヒット・シングルをカヴァー。本作らしいパーカッシヴなファンク・グルーヴで格好良く締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=3k8IadEiFHo

Funk Inc.の他作品もチェックを!

『Funk, Inc./Chicken Lickin'』(1971,72年)※2in1CD
ファンクINC/チキン・リッキン

『Hangin' Out/Superfunk』(1973年)※2in1CD
ハンギン・アウト/スーパー・ファンク

『Priced To Sell』(1974年)
プライスド・トゥ・セル
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2016年11月03日

Till Bronner『Rio』

"現代のChet Baker"によるボサノヴァ作品☆Till Bronner『Rio』
Rio
発表年:2008年
ez的ジャンル:イケメン・ジャズ・トランペッター系ボサノヴァ
気分は... :クールなボサノヴァの誘惑・・・

今回は"現代のChet Baker"、ドイツ人イケメン・ジャズ・トランペッターTill Bronnerが2008年にリリースした『Rio』です。

1971年ドイツ、フィーアゼン生まれのジャズ・トランペット奏者Till Bronnerの紹介は、『Blue Eyed Soul』(2002年)に続き2回目となります。

本作『Rio』は、タイトルの通り、ブラジル、リオと米国L.A.でレコーディングされたボサノヴァ・アルバムです。取り上げた楽曲はすべてブラジル人アーティストの作品です。

タイトルを考慮すると、リオ五輪の前後に紹介すると良かったのかもしれませんが、本作は夏という秋が似合う気がしたので・・・

プロデュースは、かつてはJoni Mitchellの公私のパートナーであり、現在は当ブログでお馴染みのブラジル出身の女性ジャズ・シンガーLuciana Souzaの旦那様であるLarry Klein

Larry KleinがLuciana Souzaが結婚したのが本作の前年の2007年であり、彼の関心がブラジルへ向かっていたのも、本作『Rio』に大きく影響しています。

アルバムにはMilton NascimentoAnnie LennoxVanessa Da MataAimee MannLuciana SouzaSergio MendesMelody GardotKurt Ellingといったアーティストがフィーチャリングされています。

レコーディングにはTill Bronner(tp、vo)以下、Fabio Torres(p)、Marco Pereira(g)、Nelson Faria(g)、Larry Goldings(org)、Marcelo Mariano(b)、Edu Ribeiro(ds)、Marcos Suzano(per)、Paulinho Da Costa(per)、Paulinho Da Costa(per)が参加しています。

特にブラジル人アーティストの参加には、ボサノヴァの偉大なアーティストWalter Santosを父に持つLuciana Souzaの人脈が役立った模様です。

Till自身は本作を有名なブラジル人アーティストとの共演によるありきたりなボサノヴァ名曲集にはしたくなかった模様です。その意味では、偉大なボサノヴァDNAを受け継ぎつつ、ジャズ・アーティストとして活躍するLuciana Souzaをパートナーに持つLarry Kleinと組んだのは正解でしたね。

Annie LennoxAimee MannMelody GardotKurt Ellingといったフィーチャリング・アーティストの起用にも本作の狙いが窺えます。

自身がヴォーカルをとる曲やインスト曲以外は、自身のトランペットも控えめで、あくまで演奏の一部に徹し、全体のバランス重視のスタンスも好感が持てます。

アルバム全編充実していますが、「O Que Sera」「Once I Loved (Amor Em Paz)」「Evening (Tarde)」「Ela E Carioca」「High Night(Alta Notie)」「Sim Ou Nao」「Bonita」「Aquelas Coisas Todas」あたりが特にオススメです。

Till Bronnerの美学が貫かれた、素敵なボサノヴァ・アルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Misterios (Mysteries)」
Joyce/Mauricio Maestro作。Milton NascimentoAnnie Lennoxをフィーチャー。Lennoxのパンチの効いたヴォーカルとMiltonの憂いを帯びたヴォーカルのコントラストが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=VKpVdMU0fKs

「O Que Sera」
Chico Buarque作。ブラジル人女性SSWのVanessa Da Mataをフィーチャー。ボッサ好きの人が安心して聴ける1曲。Tillのトランペットもクールでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-8zZJIxEiMg

「So Danco Samba」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作。お馴染みのボサノヴァ名曲をTill自身が歌い上げます。"現代のChet Baker"、Tillの線の細い歌声は確かにボサノヴァ向きかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=NvmqDD5he-c

「Once I Loved (Amor Em Paz)」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作。Aimee Mannをフィーチャー。彼女はかつて'Til Tuesdayのメンバーでもあった女性ロック・シンガー/ギタリスト/ベーシスト。ボサノヴァのイメージが湧かない彼女のようなアーティストの起用も本作の狙いの1つかもしれません。その狙いは的中し、少しコケティッシュにボサノヴァ名曲を抑えたトーンで歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=XS7P3BAogds

「Evening (Tarde)」
Milton Nascimento/Marcio Hilton Fragoso Borges作。Milton NascimentoLuciana Souzaをフィーチャー。Luciana Souzaが参加していることもあり、Larry Kleinプロデュースらしいボッサ・ジャズを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=Tmx1Fm00t6Q

「Ela E Carioca」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作。Sergio Mendesをフィーチャー。さり気ないですが、実にスマートな仕上がりです。ジャケでポーズをキメるTillのスタイリッシュな雰囲気にマッチした1曲だと思います。

「High Night(Alta Notie)」
ブラジリアン・ロック・バンドTitasの元メンバーであり、Marisa MonteCarlinhos Brownとのスーパー・トリオTribalistasでも知られるArnaldo Antunesの作品です。当ブログでも取り上げたMarisa Monte『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(英題:Rose and Charcoal)』(1994年)で有名になった楽曲です。ここではUS女性ジャズ・シンガーMelody Gardotをフィーチャー。ボサノヴァ感は全くない演奏ですが、Melody Gardotの魅力が栄える素敵なフォーキー・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FJXL9H93UUI

「Cafe Com Pao」
Joao Donato/Lysias Enio de Oliveira作。Till自身がヴォーカルをとります。Marcos SuzanoとPaulinho Da Costaの2人が活躍するパーカッシヴな演奏でアルバムにアクセントをつけています。

「Ligia」
Antonio Carlos Jobim作。Tillのトランペットを堪能できるインスト・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=E3cDE3RYeko

「Sim Ou Nao」
Djavan作。US男性ジャズ・シンガーKurt Ellingをフィーチャー。Kurtの少し憂いを帯びた語り口がDjavan作品とよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=xjK78JnroJo

「A Ra」
Joao Donato作。Donatoの名曲を軽やかに演奏します。Larry & Luciana夫妻がバック・コーラスを務めています。
https://www.youtube.com/watch?v=jDElJZqGPrQ

「Bonita」
Antonio Carlos Jobim作。"現代のChet Baker"、Tillのヴォーカルの魅力を楽しめるボッサ・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=1aoU3dEdADE

「Aquelas Coisas Todas」
Toninho Horta作。オリジナルは当ブログでも紹介した『Terra dos Passaros』(1979年)に収録されています。Luciana Souzaをフィーチャー。本編のラストはクラブジャズ好きの人もグッとくるであろうダンサブルなブラジリアン・グルーヴに仕上がっています。

僕が保有する国内盤には「I'll Never Fall In Love Again」「This Guy's In Love With You」という2曲のBurt Bacharach/Hal David作品がボーナス・トラックとして追加収録されています。本編とは全く異なる雰囲気ですが、コレはコレで楽しめます。

他のTill Bronner作品もチェックを!

『Generations of Jazz』(1993年)
Generations of Jazz

『My Secret Love』(1995年)
My Secret Love

『German Songs』(1996年)
German Songs

『Midnight』(1997年)
Midnight

『Love』(1998年)
Love

『Chattin with Chet』(2000年)
チャッティン・ウィズ・チェット

『Jazz Seen』(2001年)
Music from 'jazz Seen'/Vrv

『Blue Eyed Soul』(2002年)
Blue Eyed Soul

『That Summer』(2004年)
ザット・サマー

『Oceana』(2006年)
Oceana - New Edition

『At The End Of The Day』(2010年)
At the End of the Day

『Till Bronner』(2012年)
Till Bronner

『The Movie Album』(2014年)
The Movie Album

『Best Of The Verve Years』(2015年)
Best Of The Verve Years

『The Good Life』(2016年)
GOOD LIFE
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2016年11月02日

Terry Steele『King Of Hearts』

アーバン・コンテンポラリーな90年代R&B☆Terry Steele『King Of Hearts』
King of Hearts
発表年:1990年
ez的ジャンル:アーバン・コンテンポラリー系男性R&B
気分は... :追いかけるな、引き寄せよ!

今回は90年代R&B作品からのTerry Steele『King Of Hearts』(1990年)です。

Terry Steeleは男性R&Bシンガー/ソングライター/プロデューサー。

Terry Steeleの名を一躍有名したのは、Luther Vandross「Here and Now」(1989年)のソングライティングです(David Elliottの共作)。同曲はLuther初の全米トップ10ヒットとなり、グラミーのBest Male R&B Vocal Performanceも受賞しています。

Terry Steele自身は『King Of Hearts』(1990年)、『Day By Day』(2002年)という2枚のアルバムをリリースしています。

特に『King Of Hearts』(1990年)は発売当時からR&Bファンの評価が高かった1枚ですね。僕もリアルタイムで愛聴していました。アーバンなコンテンポラリー感のあるオトナのR&Bといった雰囲気が好きでした。

プロデュースはOllie & Jerryの活動でも知られるOllie E. Brown

レコーディングには、Paul Jackson Jr.(g)、Ray Parker Jr.(g、harmonica)、Cornelius Mims(b)、Freddie Washington(b)、Patrice Rushen(key)、Michael Boddicker(key)、George Duke(p)、Gerald Albright(as)、Howard Hewett(back vo)、James Ingram(back vo)、Mic Murphy(back vo)、Philip Bailey(back vo)、Alex Brown(back vo)、Alfie Silas(back vo)、101 North(back vo)、Eddie Chacon(back vo)、Julia Waters(back vo)、Maxine Waters(back vo)、Laura Creamer(back vo)、Leon Ware(back vo)、Phillip Ingram(back vo)、Roy Galloway(back vo)、Sue Sheridan(back vo)等のミュージシャンが参加しています。なかなかの豪華メンバーですよね。

アーバン・コンテンポラリー感のある「Prisoner Of Love」「If I Told You Once」「Delicious」「You Fixed The Wound」あたりが僕のオススメです。

オトナの90年代R&Bをどうぞ!

全曲紹介しときやす。

「Prisoner Of Love」
オススメその1。本作らしいアーバン・コンテンポラリー感を堪能できる絶品バラードがオープニング。80年代ブラコン好きの人もグッとくるはず!Terryのヴォーカルの魅力も実感できる素晴らしい出来栄え!
https://www.youtube.com/watch?v=dxXsjLKEJmY

「If I Told You Once」
オススメその2。AOR好きの人も気に入るであろうオーセンティックな感動バラード。都会の夜が似合いそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=rZ1JqLs_0yo

「Delicious」
オススメその3。僕の一番のお気に入り。Michael Sembelloの兄弟でDanny SembelloとDavid Batteauの作品です。アーバン・サウンドにのって、Terryが素敵なヴォーカルを聴かせてくれるミディアム・グルーヴ。エレピ・ソロはPatrice Rushenです。
https://www.youtube.com/watch?v=IOZO8kxTsOA

「Tonight's The Night」
Rod Stewart、1976年の大ヒット曲をカヴァー。Howard Hewett、James Ingramという豪華なバック・コーラスを従え、Rodの名曲を歌い上げます。ハーモニカはRay Parker Jr.
https://www.youtube.com/watch?v=voJiRNE7QAw

「Get That Love」
いかにもこの時代のダンサブル・サウンドですが、Terry Steeleが別にコレをやらなくてもいい気がします。ピアノ・ソロはGeorge Duke

「Anyway You Want It」
同じアップでも「Get That Love」より、コチラの方が全然いいですね。ソングライティングにはRay Parker Jr.も関わり、The SystemのMic Murphyがバック・コーラスで参加しています。

「What Cha Tryin' To Do」
Gerald Albrightのアルト・サックスがナビゲートするダンサブルなミディアム・グルーヴ。良くも悪くもバブリーなアーバン感がありますね(笑)。1週回って悪くないかも?
https://www.youtube.com/watch?v=xmKZ-EsMMcQ

「You Fixed The Wound」
オススメその4。Jam & Lewis好きの人は気に入る1曲なのでは?80年代ブラコンに通じる魅力を持ったミディアム・グルーヴ。Howard Hewett、Philip Baileyといった豪華なバック・コーラス陣にも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=ODAT2MA5DKU

「Forever Yours」
正統派バラードを堂々と歌い上げます。ギター・ソロはRay Parker Jr.
https://www.youtube.com/watch?v=LdK7bAwclHs

「My Prayer」
ラストはソングライティング、演奏全てをTerryが手掛けたバラードを、祈るように歌い上げて感動のフィナーレを迎えます。

『Day By Day』(2002年)
Day By Day
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