2017年07月31日

Special Delivery『Special Delivery』

スウィート・ソウルだけではない魅力が詰まった1枚☆Special Delivery『Special Delivery』
スペシャル・デリヴァリー[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5652)
発表年:1978年
ez的ジャンル:T.K.系ソウル・ヴォーカル・グループ
気分は... :嫌われる勇気・・・

今回は70年代ソウル・グループ作品からSpecial Delivery『Special Delivery』(1978年)です。

Special Deliveryの前身は、70年代前半、Raeford Geraldを中心に結成されたソウル・グループAct 1

1973年に「Friends Or Lovers」「Takes Two Of Us」の2曲を全米R&Bチャートへ送り込み、1974年には唯一のアルバム『Act 1』をリリースしています。

しかし、中心メンバーのRaeford Geraldが離脱し、グループは活動停止状態に・・・

そこでグループに加入したのが、元Andy & The MarglowsのメンバーであったTerry Huff。彼の加入を機にグループはSpecial Deliveryを名乗るようになります。

1975年にSpecial Deliveryとしての初シングル「I Destroyed Your Love」をリリースしますが、新加入のTerryと他メンバーの間の溝が深まり、1976年のTerry Huff & Special Delivery名義のデビュー・アルバム『The Lonely One』は、Terry主導で制作され、先のデビュー・シングル以外にはTerryを除くメンバーは参加せず、代わりにあのAl Johnsonがサポートしていました。

そんな状態でグループを継続できるはずもなく、Terryはグループを去ることになります。

残ったGeorge BarkerChet FortuneReginald Rossの3人に、紅一点の新メンバーVeronica Martiが加わり、新生Special DeliveryとしてT.K.傘下のShieldからリリースしたアルバムが本作『Special Delivery』(1978年)です(がディストリビューター)。

グループはさらにメンバー・チェンジを経て1981年にアルバム『Living On The Run』をリリースしています。

Terry Huff & Special Delivery名義の『The Lonely One』(1976年)のスウィート・ソウルなイメージが強いグループかもしれませんが、本作『Special Delivery』はT.K.傘下のShieldからリリースということもあり、スウィート・バラードのみならず、ファンキー&ダンサブルな楽曲も充実しています。

一般的にはシングルにもなった王道スウィート・ソウル「Oh Let Me Know It」がハイライトなのでしょうが、個人的には素敵なスウィート・バラード「Your Love Is My Love Song」、夏らしいファンキー・メロウ「Do It」、フリーソウルなメロウ・グルーヴ「This Kind Of Love」がイチオシです。

アルバム全体のバランスの良い1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Your Love Is My Love Song」
オススメその1。Chet Fortune/Nick Mann/Bill Beard作。素敵なスウィート・バラードでアルバムは幕を開けます。スロウ系ではコレが一番好き!
https://www.youtube.com/watch?v=HEj5X_owGHo

「Day Dreamer」
Chet Fortune/George Parker/Reginald Ross/Veronica Martin作。ファルセット・ヴォーカルで迫るファンキー・ディスコ。
https://www.youtube.com/watch?v=igutKt1WtuA

「Do It」
オススメその2。George Parker作。夏らしいギター・カッティングのイントロだけでグッとくるファンキー・メロウ。突き抜けた解放感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=zfseh8J-L-U

「You Say」
George Parker/Veronica Martin作。Veronicaのヴォーカルを前面に打ち出したバラード。アルバムのいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Za-jVe5kXjY

「This Kind Of Love」
オススメその3。Chet Fortune/George Parker/Reginald Ross/Veronica Martin作。フリーソウル好きの人はグッとくるであろうメロウ・グルーヴ。T.K.プロダクション好きの人にもフィットするサマー・モードの仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=NMygR8ZBvoY

「I've Got To Be Free」
George Parker作。ホーン・サウンドが雰囲気を盛り上げてくれる哀愁バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=UM3vUIDxvyI

「Oh Let Me Know It」
オススメその。Chet Fortune/George Parker/Reginald Ross/Veronica Martin作。シングルにもなったスウィート・バラード。少しイナたい感じがいい本格的なソウル・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=IN7ElBRXy00

「Get Up-Express Yourself」
オススメその5。George Parker作。ラストはファンキー・ディスコで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZrCSnFxM1FY

CDにはボーナス・トラックとして「Oh Let Me Know It Pt.1 (Single Version)」「Oh Let Me Know It Pt.2 (Single Version)」が追加収録されています。

少し集中力が低下気味・・・
生活にメリハリをつけないといけませんな。
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2017年07月30日

Terrace Martin Presents The Pollyseeds『Sounds Of Crenshaw Vol. 1』

Terrace Martinの新プロジェクトはヴォコーダー使いまくり!☆Terrace Martin Presents The Pollyseeds『Sounds Of Crenshaw Vol. 1』
Sounds of Crenshaw, Vol.1 [日本語解説つき]
発表年:2016年
ez的ジャンル:Hip-Hop/R&B×L.A.ジャズ
気分は... :これぞ今のL.A.の音!

今回は新作アルバムから今が旬のプロデューサー/ミュージシャンTerrace Martinによる新プロジェクト Terrace Martin Presents The Pollyseeds『Sounds Of Crenshaw Vol. 1』 です。

L.A.サウスセントラル生まれのプロデューサー/サックス奏者Terrace Martinの紹介は、グラミーのBest R&B Albumにもノミネートされた『Velvet Portraits』(2016年)に続き2回目となります。

2015年最大の衝撃作Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』のプロデュースで知名度を上げ、自身のアルバム『Velvet Portraits』がグラミーにノミネートされたことで、一躍注目の存在となったTerrace Martin

そんなTerrace Martin『Velvet Portraits』から長いインターバルを置かずにリリースしたのがThe Pollyseeds名義の『Sounds Of Crenshaw Vol. 1』 です。

Hip-Hop/R&B×L.A.ジャズという点では『Velvet Portraits』と同じですが、曲ごとにサウンドの振れ幅が大きく異なった『Velvet Portraits』に対して、本作では自身のサウンドに自信を深め、よりHip-Hop/R&B寄りのサウンドで貫かれています。

もう1つ特徴的なのがヴォコーダーが多用されている点です。このあたりはRGEのアプローチに近いかもしれません。加えて、TerraceのZapp/Rogerへの愛情を感じます。

Robert Glasper(el-p)をはじめ、Wyann Vaughn(両親はEW&F作品でお馴染みのキーボード奏者Wayne VaughnとThe EmotionsのメンバーWanda Vaughn)とRose Goldという『Velvet Portraits』にも参加していた女性シンガー2人、コンプトン出身のラッパーChachi、男性R&BシンガーPreston Harrisがフィーチャリングされています。

有名どころではKamasi Washington(ts)、Snarky PuppyRobert Sput Searight(ds、per)もアルバムに参加しています。

それ以外にTerrace Martin(key、mini moog、as、ss、prophet、drum machine、MPC3000、vocoder、per)以下、Marlon Williams(g)、Craig Brockman(el-p、p)、Chris Cadenhead(el-p)、Curlee Martin(ds)、Brandon Eugene Owens(b)、Trevor Lawrence(ds、drum prog)、Adam Turchin(bs)、Kenneth Crouch(p)、Andrew Gouche(b)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

多くの曲がTerrace MartinMarlon Williamsの共同プロデュースです。

L.A.らしいサウンドの「Chef E Dubble」、G-Funk調の「Intentions」、Vocoderを駆使したメロウ「Funny How Time Flies」、アンビエントR&B的な「You And Me」Zapp愛を感じる「Up And Away」、Terraceらしいサウンドの「Feelings Of The World」、Preston Harrisをフィーチャーした「Don't Trip」あたりが僕のオススメです。

前作『Velvet Portraits』に続き、本作でも評論家Y氏がライナーノーツを書いていますが、『Velvet Portraits』同様、事実誤認のあるフェイク・ライナーノーツでした。余計なことを書かなければいいのに、関連アーティストの一夜漬け知識を盛り込んだ結果、アラが見えてしまうパターンですね。

まぁ、どうでもいいことは忘れて、Terrace Martinの素晴らしい音世界を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Tapestry」
Terraceのミニ・ムーグとMarlon Williamsのギターによるアブストラクトなイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=KUDP7Z8rhFI

「Chef E Dubble」
Robert Glasperとの共同プロデュース。Kamasi WashingtonやRobert Sput Searightも参加しています。『Velvet Portraits』の流れを汲む今のL.A.らしいサウンドになっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=q8bTVm4fbSk

「Intentions」
コンプトン出身のラッパーChachiをフィーチャー。Terraceのビートメイカーとしての側面を楽しめる、哀愁シンセが響くG-Funk調の仕上がりです。終盤にはDeBarge「I Like It」のフレーズで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=osdJtySmEes

「Funny How Time Flies」
Robert Glasperとの共同プロデュース。TerraceとGlasperの両名をフィーチャーするかたちになっています。RGEにも通じるVocoderを駆使したメロウ・チューン。R&B×L.A.ジャズなTerraceらしいサウンドに仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=C0pVmsrg814

「Mama D/Leimert Park」
Terrace Martinのビートメイカーぶりを楽しむトラック。ジャズ・フィーリングを効かせつつ、Vocoderも駆使して聴きやすく仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=JErJLLw927E

「You And Me」
Rose Goldをフィーチャー。何処となく儚く浮遊するサウンドにはアンビエントR&B的な魅力も漂います。Rose Goldのコケティッシュ・ヴォーカルとそれに絡むPreston Harrisのコーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=dSLhTSQjvvc

「Believe」
Chris Cadenheadのメロウ・エレピとTerraceの父Curlee Martinのドラムが目立ちます。また、Wyann VaughnのヴォーカルにTerraceのミニ・ムーグ、サックス、が寄り添います。Kamasi Washingtonも参加。
https://www.youtube.com/watch?v=00Tqns51e5Y

「Up And Away」
Vocoder使いという点ではこの曲が一番好きです。Zapp「Computer Love」的な雰囲気がある点は、前作『Velvet Portraits』収録の「With You」にも通じます。きっとTerraceは「Computer Love」がかなりお気に入りのはずだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=NSc2mPXptdg

「Wake Up」
本作で一番ストレート・アヘッドなジャズを演奏しています。Kenneth Crouchのピアノをバックに、Terraceが哀愁のソプラノを奏でます。
https://www.youtube.com/watch?v=fQ-7yQgsGFg

「Your Space」
Wyann Vaughnをフィーチャー。美しくも儚いアンビエントR&Bに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GUAMRcUveDg

「Feelings Of The World」
Chachi/Rose Goldをフィーチャー。アンビエントR&BにヴォコーダーやMarlon Williamsの哀愁ギターも盛り込んだTerraceらしい1曲に仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=rSp_cCicMaw

「Reprise Of Us」
「Intentions」の終盤で聴けたDeBarge「I Like It」のフレーズが再び登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=xoc12GY-6h8

「Don't Trip」
Preston Harrisをフィーチャー。ラストはビューティフルなR&Bバラードで締め括ってくれます。ヴォコーダーを交えつつも穏やかな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=viie91FomnQ

Terrace Martinの他作品もチェックを!

Murs & Terrace Martin『Melrose』(2011年)
Melrose

『3ChordFold』(2013年)
3chordfold

『Velvet Portraits』(2016年)
Velvet Portraits [日本語解説・帯付]
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2017年07月29日

Bullwackie & The Chosen Brothers『I'll Be Good』

N.Y.レゲエの首領によるビタースウィートな1枚☆Bullwackie & The Chosen Brothers『I'll Be Good』
bullwackie i'll be good.jpg
発表年:1989年
ez的ジャンル:N.Y.レゲエ/ダブ
気分は... :ビールが似合うレゲエ...

今回は今の季節にピッタリなN.Y.レゲエ、Bullwackie & The Chosen Brothers『I'll Be Good』(1989年)です。

BullwackieことLloyd Barnesは1944年ジャマイカ、キングストン生まれ。

1967年にN.Y.へと渡り、サウンド・システムを立ち上げた後、70年代に入るとWackies Recording Studioを開設し、自身のレーベルWackiesをスタートさせます。

Horace AndySugar Minott等の作品を手掛ける中でWackiesはN.Y.レゲエ・シーンの中心となっていきました。

そんなN.Y.レゲエの中心人物Lloyd BarnesがBullwackie名義でリリースしたアルバムが本作『I'll Be Good』(1989年)です。

日本限定のアルバムですが、当時はレゲエ・ファンのみならず音楽評論家・音楽雑誌からも絶賛が多く寄せられた作品でした。僕もリアルタイムで本作を購入し、当時はかなり愛聴していました。

厳密にはBullwackie & The Chosen Brothersとしてのリリースです。このあたりは、よく言われているようにCarlton & The Shoesあたりを意識したものでしょう。

プロデュースはJerry HarrisLloyd Barnes

レコーディング・メンバーはBullwackie(Lloyd Barnes)(vo、drum prog、p、syn、per)以下、Jerry Harris(drum prog、p、syn、back vo)、Steve Knight(b、p)、Bobo El Paco(b)、Ras Menilik(per)、Ashar(g)、Milton Henry(back vo)、
Abel & Allen(back vo)、Neville Anderson(tb)、Jerry Johnson(sax)です。

アルバム全体はビタースウィートなラヴァーズ作品といった印象です。肩の力の抜けたビタースウィートな魅力という意味では、前述のCarlton & The Shoes『This Heart Of Mine』(1982年)に通じるものがあります。特にオープニングの「Again」は、Carlton & The Shoes好きの人が聴くと、悶絶するほどの素晴らしさだと思います。

ラヴァーズ以外にもルーツ・レゲエ、ダブも収録されており、N.Y.レゲエの魅力を存分に楽しめます。

冷たいビールを飲みながら聴きたくなるレゲエ・アルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Again」
このオープニングが本作のハイライト。前述のように、Carlton & The Shoesに通じる魅力が全開のビタースウィートなラヴァーズです。僕も当時この曲ばかりウォークマンで何度も繰り返し聴いていました。少しユルいサウンドと激シブのBullwackieのヴォーカル、それに絡むコーラスは今聴いても魅力は全く色褪せません。

「Try Again」
「Again」の次が「Try Again」。こちらはビタースウィートというより、ビターな魅力があります。決して上手くないけど、味のあるコーラスワークがいいんですよね!

「Crime In The Streets」
タイトルは物騒ですが、サウンドはラヴァーズ調でメロウな魅力があります。Ariwaの諸作がお好きな人であれば気に入りそうな曲です。

「Baby Come Back」
軽やかなラヴァーズ。開放的なサウンドと味のあるコーラスワークを聴いているだけでビールが進みそうです。

「Yours Always」
華やかなホーン・サウンドによるインスト。

「Bullwackies In Dub」
タイトルの通り、ダブです。N.Y.レゲエの首領によるダブ・サウンドを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=mfePef29XaY

「I'll Be Good」
タイトル曲はユルさが魅力のラヴァーズ。シブめな感じが逆にいいですね。

「Who's Gonna Pay (The Rent)」
この曲はルーツ調です。ルーツ・レゲエにも激シブのBullwackieのヴォーカル、味のあるコーラスワークがマッチします。
https://www.youtube.com/watch?v=AdvGUL9fa6c

「Feel Free」
解放感のある軽快な仕上がり。Bullwackieの味のあるヴォーカルが栄えます。

「My Girl」
The Temptationsのお馴染みの大ヒット曲をレゲエ・カヴァー。見事にN.Y.レゲエ/ダブらしい1曲に変貌させています。

「Baby I Love You」
ラヴァーズですが、かなりサウンドはルーツ調でかなりシブめです。
https://www.youtube.com/watch?v=R8FAvzAHt7s

「Bay Bridge」
ラストは格好良いダブ・サウンドで締め括ってくれます。サンセット・ダブとでも呼びたくなります。

Bullwackie名義の他作品もチェックを!

Bullwackie & The Chosen Brothers『Keep On Dancing』(1991年)
キープ・オン・ダンシング

Lee "Scratch" Perry Meets Bullwackie『In Satan's Dub』(1990年)
lee scratch perry meets bullwackie in satan's dub.png
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2017年07月28日

Joni Mitchell『The Hissing Of Summer Lawns』

夏草の誘い!魅惑のJoniワールド全開の1枚☆Joni Mitchell『The Hissing Of Summer Lawns』
Hissing of Summer Lawns
発表年:1975年
ez的ジャンル:独創系女性SSW
気分は... :夏草の誘い・・・

人気女性シンガー・ソングライターJoni Mitchellが1975年にリリースした8thアルバム『The Hissing Of Summer Lawns』です。

独創的で研ぎ澄まされた感性を持つ女性シンガー・ソングライターJoni Mitchellについて、これまで当ブログ紹介したのは以下の6枚(発売順)。

 『Clouds』(1969年)
 『Blue』(1971年)
 『For The Roses』(1972年)
 『Court and Spark』(1974年)
 『Hejira』(1976年)
 『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)

約6年ぶりのJoni Mitchellの紹介です。僕の中では、Joni Mitchellという人は、いつ聴いても新鮮な印象を受ける数少ないアーティストの一人のはずなのですが、こんなに間隔が空いていたとは気づきませんでした。

『The Hissing Of Summer Lawns』(1975年)は、ライブ・アルバム『Miles of Aisles』(1974年)に次ぐアルバムですが、スタジオ作としては『Court and Spark』(1974年)に続く作品となります。プロデュースはJoni Mitchell自身。

基本的には、『Court and Spark』の路線を受け継ぐ、都会的ジャズ・フィーリングを取り入れたフォーキー作品に仕上がっています。

Joni Mitchell(vo、g、moog、p、key、arp)以下、Graham Nash(back vo)、David Crosby(back vo)、James Taylor(back vo、g)、Robben Ford(g、dobro)、Jeff Baxter(g)、Larry Carlton(g)、Joe Sample(el-p、key)、Wilton Felder(b)、Victor Feldman(el-p、congas、vibes、key、per)、John Guerin(ds、moog)、Max Bennet(b)、Chuck Findley(tp、flh)、Bud Shank(sax、fl)、The Warrior Drums of Burundi等がレコーディングに参加しています。

個人的には、メロウな魅力の「Edith And The Kingpin」、今回聴き直して一番グッときたフォーキー・バラード「The Boho Dance」、かつての恋人であった名だたるミュージシャン達がバック・コーラスを務める「In France They Kiss On Main Street」、Joniらしい世界観が反映された「Shades Of Scarlett Conquering」、少し愁いを帯びたタイトル曲「The Hissing Of Summer Lawns」あたりがオススメです。

「Centerpiece」以外はすべてJoniのオリジナルです(共作含む)。

自作イラストによるジャケも秀逸ですね!

改めて、Joni Mitchellというアーティストの才能に惚れ直してしまいました。6年間もご無沙汰しててゴメンナサイ・・・

全曲紹介しときやす。

「In France They Kiss On Main Street」
『Court and Spark』収録の「Free Man in Paris」を彷彿させるフランスをテーマにしたオープニング。
Joni姉さんらしいメロディを楽しめます。ギターはRobben FordとJeff Baxter。Graham NashDavid CrosbyJames Taylorという、かつての恋人が一堂に会してバック・ヴォーカルを務めるのも痛快です。
https://www.youtube.com/watch?v=sEgcHrbyTgk

「The Jungle Line」
The Warrior Drums of Burundiによるアフリカン・ドラムをフィーチャーしたトライバル・フォーキー。Adam & the Antsが登場する以前に、こんなビートを先取りしていたJoni姉さんに脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=vF2_1Jfgo4I

「Edith And The Kingpin」
今日的にアルバムで一番人気の高い曲はコレなのでは?Joe SampleのエレピやLarry Carltonのギター等が彩る素敵なメロウ・フォーキーです。
https://www.youtube.com/watch?v=h7FP4FEDWrA

Defari「Lowlands Anthem, Pt. 1」、Chubb Rock, Lil' Dap, Edo G & Paw Dukes「Rich Get Rich」、Elzhi「Stunted Growth」、Chino XL feat. Jared Gosselin「Can Be」等のサンプリング・ソースとなっています。
Defari「Lowlands Anthem, Pt. 1」
 https://www.youtube.com/watch?v=vNBfkBANDDI
Chubb Rock, Lil' Dap, Edo G & Paw Dukes「Rich Get Rich」
 https://www.youtube.com/watch?v=1OEpnj2IVEQ
Elzhi「Stunted Growth」
 https://www.youtube.com/watch?v=HiNx0HKvoqU
Chino XL feat. Jared Gosselin「Can Be」
 https://www.youtube.com/watch?v=zxT3aVMWPSk

「Don't Interrupt The Sorrow」
Joniらしいメロディ&節回しとジャズ・フィーリングのサウンドがよくマッチしています。そんな中でRobben Fordのドブロがいいアクセントになっていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=fQQA5KtDCOs

Brad Mehldauがカヴァーしています。また、P.M. Dawn「Forever Damaged (The 96th)」のサンプリング・ソースとなっています。
P.M. Dawn「Forever Damaged (The 96th)」
 https://www.youtube.com/watch?v=DZ3cqULexbw

「Shades Of Scarlett Conquering」
Joniらしい世界観がよく反映された1曲。ストリングスと共にJoniの歌声が聴く者を包み込んでいきます。Victor Feldmanのヴァイヴの響きも心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=1O3AL4c7HDQ

Martha & the Muffinsがカヴァーしています。また、Andres「Just a Player」、Moka Only & Ayatollah「Afford the Best」のサンプリング・ソースとなっています。

「The Hissing Of Summer Lawns」
Joni Mitchell/John Guerin作。少し愁いを帯びたタイトル曲。都会的ジャズ・フィーリングのサウンドの中には、少しミステリアスな雰囲気も漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=erQUlp6GYno

Funky Bummer feat. Anne Beadleがカヴァーしています。また、Afront「Czas Sie Zastanowic」、Hoodie Allen「Chasing My Dream」のサンプリング・ソースとなっています。

「The Boho Dance」
Joni印100%のフォーキー・バラード。今回久々に聴いて一番グッときた曲かもしれません。凛とした中に柔らかさがある感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=mQc-reJOQ8A

Bjorkがカヴァーしています。

「Harry's House/Centerpiece」
自作の「Harry's House」とJon Hendricks/Harry Edison作の「Centerpiece」のメドレー。前半はフォークとジャズの見事な融合がいい感じです。後半は完全にジャズ・シンガー・モードになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=RS0wzDMfzOQ

「Sweet Bird」
正攻法のフォーキー・チューン。飾り気のないJoni Mitchellワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=0DAqsC1ZhoU

「Shadows And Light」
ラストはアープ・シンセとオルガンのみのバックで、多重録音による素晴らしいヴォーカル・ワークを披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ty_7d-qwYxs

Joni Mitchellの過去記事もご参照下さい。

『Clouds』(1969年)
青春の光と影

『Blue』(1971年)
Blue

『For The Roses』(1972年)
バラにおくる

『Court and Spark』(1974年)
Court and Spark

『Hejira』(1976年)
Hejira

『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)
ドンファンのじゃじゃ馬娘
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2017年07月27日

Pilots On Dope『Udopeia』

ウイーン産ブラジリアン・グルーヴ☆Pilots On Dope『Udopeia』
Edopeia
発表年:2014年
ez的ジャンル:ウイーン産ブラジリアン・グルーヴ
気分は... :ウイーンからリオへ...

今回はウイーン産ブラジリアン・グルーヴPilots On Dope『Udopeia』(2014年)です。

最近、こういったクラブジャズ系のブラジリアン・グルーヴを聴いていなかったのでハマりました。

Pilots On DopeGerhard GiglerGerald TomezというDJ/プロデューサーがウイーンで結成したブラジリアン・ユニット。

本作『Udopeia』(2014年)は、ブラジル人アーティストの60〜70年代作品のカヴァーが中心です。クラブジャズ的ブラジリアン・グルーヴですが、ブラジル音楽好きの人が聴いても楽しめる1枚です。

アルバムにはRosalia De SouzaWilson Simoninhaといったブラジル人アーティストをはじめ、Jenny ChiYta Morenoといったシンガーがフィーチャリングされています。

Rosalia De Souza好きの僕としては、彼女がフィーチャリングされた「Melhor Esta Noite (Meglio Stasera)」「La Vem Salgueiro」「Tenha Fe Pois Amanha Um Lindo Dia Vai Nascer」の3曲がイチオシです。

それ以外であれば、Wilson Simoninhaをフィーチャーした「Que Isso Menina」、クラブジャズなボッサ・グルーヴ「Tudo De Voce」あたりもオススメ。

これから8月に向けてフィットするブラジリアン・グルーヴだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Take Off」
離陸の機内アナウンスと共にアルバムはスタートします。

「Que Isso Menina」
Wilson Simoninhaをフィーチャー。Wilson das Neves作品のカヴァーです。オリジナルはWilson Das Neves E Conjunto『O Som Quente E O Das Neves』(1976年)に収録されています。ノリのいいサウンドをバックに、Simoninhaのシブめのヴォーカルがいい味を出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=izgnRAYNR0U

「Tenha Fe Pois Amanha Um Lindo Dia Vai Nascer」
Rosalia De Souzaをフィーチャー。ブラジルのサンバ・ユニットOs Originais Do Sambaのカヴァー(Jorge Ben作)。オリジナルは『Exportacao』(1971年)に収録されています。Rosalia De Souzaの諸作がお好きな人であれば気に入るであろうダンサブルなボッサ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FB4JGWx-AG8

「Rei Do Quilombo」
Wilson Simoninhaをフィーチャー。ボサノヴァ・アーティストCarlos Leeの作品をカヴァー。Carlos Leeのオリジナルは『Bossa Maximus』(1963年)に収録されています。クラブジャズ的なキャッチーさのある1曲に仕上がっています。

「Eu E O Meu Amor」
Jenny Chi、Yta Morenoをフィーチャー。Vinicius De Moraes作。Toquinho & Viniciusヴァージョンは『10 Anos De Toquinho & Vinicius』(1979年)に収録されています。小粋なヨーロピアン・ボッサといった趣がいいですね。

「Melhor Esta Noite (Meglio Stasera)」
Rosalia De Souzaをフィーチャー。映画『The Pink Panther』(1963年)の挿入歌「It Had Better Be Tonight (Meglio Stasera)」をカヴァー(Henry Mancini/Johnny Mercer作)。僕の一番のお気に入り。DJ/プロデューサー・ユニットらしいセンスの溢れたエレガントなダンサブル感に魅了されるブラジリアン・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=1WfaLvnR7GY

「La Vem Salgueiro」
Rosalia De Souzaをフィーチャー。この曲もOs Originais Do Sambaのカヴァー(Jorge Ben作)。オリジナルは『Exportacao』(1971年)に収録されています。この曲も僕のお気に入り。開放的なサンバ・グルーヴが夏モードを盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-_S0vPB3zbI

「Isto E Samba」
Jenny Chiをフィーチャー。Miguel Angelのカヴァーです。Miguel Angelのオリジナルは『Samba Na Onda』(1965年)に収録されています。エレガントなピアノが印象的なメロウなサンバ・グルーヴです。

「Tem De Ser」
Wilson Simoninhaをフィーチャー。Orlann Divoのカヴァーです。アフロ・ブラジリアン・テイストのギターやホーン・サウンドが印象的です。

「Tudo De Voce」
Yta Morenoをフィーチャー。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Marcos Valleのオリジナルは『Samba "Demais"』(1964年)に収録されています。クラブジャズなボッサ・グルーヴ。エレガントなピアノやリズムの緩急でメリハリをつけているのがいいですね。

「Landing」
着陸の機内アナウンスが流れます。

「Canto Chorado」
Jenny Chiをフィーチャー。この曲もOs Originais Do Sambaのカヴァーです(Billy Blanco作)。Os Originais Do Sambaヴァージョンは『Os Originais Do Samba』(1969年)に収録されています。ラストは少しアンニュイなサンバ・グルーヴで締め括ってくれます。

旅猿の満島ひかりサイコー!
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