2015年12月30日

Artyom Manukyan『Citizen』

アルメニアン新世代による未来派ジャズ☆Artyom Manukyan『Citizen』
Citizen
発表年:2015年
ez的ジャンル:アルメニアン新世代系未来派ジャズ
気分は... :今年最後の1枚は・・・

明日の大晦日は年末恒例『ezが選ぶ2015年の10枚』をエントリーする予定ですので、通常の作品紹介は今日がラストです。

2015年最後の1枚に選んだのは、新作アルバムからアルメニアン新世代による未来派ジャズ作品Artyom Manukyan『Citizen』です。

Artyom Manukyanは1983年アルメニア、エバレンの生まれのチェロ奏者。幼少期からクラシックを学び、その後ジャズに傾倒するようになります。

2011年に同世代のアルメニアン・ジャズ・ミュージシャンTigran Hamasyanと共演したのを契機にL.A.に移住し、活動を活発化させます。

例えば、アルメニアン新世代を代表するギタリストVahagni『Solitude』(2012年)、『Imagined Frequencies』(2015年)、Kamasi Washington『The Epic』(2015年)といった作品に参加しています。

そんなArtyom Manukyanが満を持して放つデビュー・アルバムが本作『Citizen』です。

ジャケの印象からはクラシック的なジャズをイメージするかもしれませんが、実際に聴いてみるとなかなか刺激的です。

アルバムにはアルメニアを代表するベテラン・パーカッション奏者Arto Tuncboyaciyan(per、vo)、アルメニアン新世代を代表するツー・トップVahagni(g)とTigran Hamasyan(p、key)、Tatiana Parraとの共演アルバム『Lighthouse』(2014年)も記憶に新しいアルメニア出身のピアニストVardan Ovsepian(p、key)というアルメニア系の重要ミュージシャンが参加しています。

また、Erimajでお馴染みの新進ドラマーJamire Williams(ds)、
Mark Guiliana『Beat Music: The Los Angeles Improvisations』(2014年)の参加メンバーであるTim Lefebvres(b)、Troy Zeigler(electronics)、L.A.音楽シーンの重要人物Miguel Atwood-Ferguson(violin、viola)、かつての西ロンドンの旗手の一人で現在はL.A.を拠点にするキーボード奏者Mark De Clive-Lowe(key)というJazz The New Chaptar好きの人を惹きつけるミュージシャン達も参加しています。

それ以外にもGavin Salmon(ds)、Ross Garren(harmonica、key)、A.Chilla(rap)、Jessica Vautor(vo)、Shahan Nercessian(el-p)といったミュージシャンが参加しています。

アルバム全体としては、ジャズをベースにクラシック、アルメニア音楽、Hip-Hop等を取り込んだ未来派LAジャズ作品に仕上がっています。

チェロの美しいアコースティックな響きを活かしつつ、今ジャズ的なドラミングやダビーやエレクトロニクスなエッセンスを織り交ぜ、アルメニアン新世代らしい未来派ジャズを聴かせてくれます。

「Dark Matters」以外はArtyom Manukyanのオリジナルです(共作含む)。

全曲紹介しときやす。

「Sailors Song」
へヴィ・ファンク的なアプローチのオープニング。未来派ジャズの形容に相応しい演奏であり、Manukyanもチェロもファンキーです。弦楽の響きがLAジャズ的な感じでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=zg0S3BJMYVg

「CityZen」
タイトル曲はManukyanの美しいチェロの響きに女性コーラスが絡むビューティフルな仕上り。薄っすらとエレクトロニクスが隠し味になっています。

「Waltz For Maya」
子供の声と共に始まるピュアな演奏はManukyanの愛娘Mayaに捧げられたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=fn-tUxeMfrM

「Dark Matters」
Ruben Hakhverdyan/Vardan Ovsepian作。チェロ奏者による今ジャズを実感できるエレガントかつスリリングな演奏です。ドラムはJamire Williamsと思いきやGavin Salmonでした。

「3 Mas Dub」
クラシカルな序盤からタイトル通りのダビーなエッセンスが加わります。後半にはパーカッションも加わり、未来派LAジャズ的な音を楽しめます。

「Old new Home」
クラシカルな美しい演奏で聴く者を魅了します。美しい演奏のなかでもJamire Williamsのドラムは今ジャズしています。

「Turgut To be True」
Vahagniのフラメンコ・ギターが印象的です。アヴァンギャルドな雰囲気もたっぷりで未来派ジャズとしての魅力を存分に楽しめます。個人的にはアルバムで一番のお気に入りです。

「Duet #1」
Tigran Hamasyanとの共作。タイトルの通り、ManukyanのチェロとTigranのピアノによるデュエットです。二人の素晴らしい演奏に聴き惚れます。

「All Yours」
ManukyanのHip-Hopからの影響が色濃く出た1曲。アルメニアン・ラッパーA.Chillaをフィーチャーしています。アングラ・ジャジーHip-Hop好きの人であれば、気に入る演奏ではないかと思います。

「Words」
ラストは美しいアコースティック・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=lNdCW1Y8ce4 ※ライヴ音源

ご興味がある方はArtyom Manukyanが参加した注目のアルメニアン・ギタリストVahagniの作品もチェックしてみては?

Vahagni『Solitude』(2012年)
ソリテュード

Vahagni『Imagined Frequencies』(2015年)
イマジンド・フリークエンシーズ
posted by ez at 03:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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