2016年03月20日

Anderson .Paak『Malibu』

西海岸R&B/Hip-Hopシーンで最も旬な才能の自信作☆Anderson .Paak『Malibu』
MALIBU [国内仕様盤 / 帯・解説付き](ERECDJ218)
発表年:2016年
ez的ジャンル:西海岸Hip-Hop/R&B
気分は... :この才能を聴き逃すな!

今回は新作アルバムから、今最も注目を集める西海岸Hip-Hop/R&BアーティストAnderson .Paakの最新作『Malibu』です。

Anderson .Paak(本名:Brandon Paak Anderson)は1986年生まれのL.A.を拠点に活動する男性R&Bシンガー/ラッパー/プロデューサー/ドラマー。

カリフォルニア州オックスナードで韓国出身の母親とアフリカ系アメリカ人の父親の間に生まれたPaakは、フルタイムで働きながらミュージシャンを志し、2007年にはL.A.の音楽大学に入学し、本作にも参加しているMatthew "Callum Connor" MarisolaJose RiosKelsey Gonzalezといった盟友ミュージシャン達と出会います。

そして、Breezy Lovejoy名義でラッパー/プロデューサーとして活動を開始しますが、チャンスに恵まれず窮地に陥ります。そんな彼を救ったのが、L.A.のプロデューサー/クリエイター・ユニットSa-Ra (Sa-Ra Creative Partners)Shafiq Husayn

Shafiqは自身のソングライティング/プロデュース活動のアシスタント業務をPaakに任せると同時に、Paakの創作活動をサポートしました。

そんな支えもあったおかげで、Paakは2012年にBreezy Lovejoy名義で『O​.​B​.​E. Vol​.​1』『Lovejoy』といった作品をリリースしています。

その後、更なるステージ・アップを目指してアーティスト名をAnderson .Paakを改め、2013年にカヴァー集のEP『Cover Art』をリリースします。そして、2014年にはAnderson .Paak名義の初アルバム『Venice』をリリースし、ポスト・インターネット時代のR&Bアーティストとして注目されるようになります。

2015年にはKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にもプロデューサーで参加したニュージャージー出身のプロデューサーKnxwledgeと意気投合し、二人のユニットNxWorriesを結成します。

そして、NxWorriesで制作したトラック「Suede」を、西海岸Hip-Hopシーンの大御所Dr. Dreが気に入り、Dreが健在ぶりを示した大ヒット・アルバム『Compton』(2015年)にPaakが参加することになります。

全く無名のアーティストながら、『Compton』で6曲もフィーチャリングされたことで、Anderson .Paakの名が世界中のHip-Hopリスナーに知れ渡ることになります。

その後もThe Game『The Documentary 2.5』といったメジャー作品に客演する一方で、SiR『Seven Sundays』といったL.A.インディR&Bの良作にも参加しています。

ちなみに『Seven Sundays』には、KnxwledgeChris Dave(元Robert Glasper Experiment)も参加しています。

話が少し逸れましたが、全世界がAnderson .Paakに注目する中で届けられた新作が『Malibu』です。

Anderson .Paak自身、DJ KhalilMadlib9th WonderMatthew "Callum Connor" MarisolaPOMOJose RiosKaytranadaLikeChris Dave & the DrumhedzHi-TekDem JointzVicky Farewell Nguyenといった面々がプロデュースを手掛けています。

また、BJ the Chicago KidSchoolboy QRapsodyThe Free Nationals United Fellowship ChoirThe GameSonyae EliseTalib KweliTiman Family Choirといったアーティストがフィーチャリングされています。

さらにSam Barsh(key)、Robert Glasper(key)、Pino Palladino(b)、Kelsey Gonzalez(g)等のミュージシャンがレコーディングに参加しています。

細かくは書きませんが、こうした参加ミュージシャンのピープルツリーを辿るだけでも、本作が現行Hip-Hop/R&Bシーンの縮図のような魅力を持った作品であることが確認できるはずです。

僕の場合、今年に入ってから『Venice』を購入し、その直後に本作『Malibu』がリリースされたため、ほぼ2枚同時並行で聴いている状態です。

『Venice』はアンダー・グラウンドなエレクトロニカ色が印象的ですが、それと比較すると、『Malibu』は生演奏の比重が増し、ソウル/ネオソウル色の強い楽曲も目立ちます。豪華ゲストを迎えて、よりキャッチーな仕上りを意識したようにも感じます。

個人的には『Venice』のアンダー・グラウンド感もかなり好みなのですが、『Malibu』にはKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』に通じるようなスケール感を感じます。

Kendrick Lamarを引き合いに出すのは時期尚早ですが、本作の充実ぶりを聴けば、そんな期待を抱いてしまいます。

この新たな才能をお聴き逃しなく!

全曲紹介しときやす。

「The Bird」
Anderson .Paakプロデュース。生演奏を重視したメロウR&Bなオープニング。本作における生演奏重視、メロディ重視のスタンスが窺えます。
https://www.youtube.com/watch?v=KXdW0g6jAxE

「Heart Don't Stand a Chance」
売れっ子Hip-HopプロデューサーのDJ Khalilによるプロデュース。"今ジャズ"注目のイスラエル出身ベーシスト、Avishai Cohenのトリオに参加していたピアニストSam Barshがキーボードで参加しています。Sam BarshはKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にもにも参加しています。Paak自身の派手なドラミングと共に始まるネオ・ソウル的なミディアム・グルーヴ。Sam Barshのメロウ・エレピが全体に柔らかさを加えています。
https://www.youtube.com/watch?v=O5mcLhuUfG0

「The Waters」
奇才Madlibプロデュース。シカゴ出身でMotown所属の男性R&BシンガーBJ the Chicago Kidをフィーチャー。BJ the Chicago KidもPaakと同じくDr. Dre『Compton』でフィーチャリングされ、注目を浴びたアーティストですね。奇才MadlibとAnderson .Paak、BJ the Chicago Kidという若き才能の顔合わせというだけで興味が湧いてくる1曲です。Madlibの生み出すブラック・フィーリング溢れたトラックに、BJ the Chicago Kidの妖しげなセクシー・ファルセット、Paakの個性的な声質のフロウが絡みます。
https://www.youtube.com/watch?v=J2R2ticmolk

BJ the Chicago Kidの最新作『In My Mind』も素晴らしいR&B作品なので要チェックです!
BJ the Chicago Kid『In My Mind』(2016年)
In My Mind

「The Season/Carry Me」
9th Wonder/Matthew "Callum Connor" Marisolaプロデュース。9th WonderとPaakの顔合わせも興味深いですね。コズミックな前半から中盤以降はソウル感覚で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=niDDE91qBgI

「Put Me Thru」
Anderson .Paakプロデュース。ロッキンなポップ・テイストがキャッチーでいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=pK2-XuLByuQ

「Am I Wrong」
カナダ出身のプロデューサー/マルチ奏者POMOのプロデュース。2014年に『Oxymoron』が大ヒットしたL.A.出身のラッパーSchoolboy Qをフィーチャー。今流行のブギー・ファンク調のダンサブル・チューンで盛り上げてくれます。ホーン・セクションも加わったアルバムで1、2を争うキャッチーな仕上りなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=vvPeJLcK2Lk

「Without You」
9th Wonderプロデュース。Rapsodyの女性ラップをフィーチャー。Hiatus Kaiyote「Molasses」をサンプリングしたメロウ・ブーンバップ。アングラHip-Hop好きの人は気に入りそうな仕上りです。紅一点のシンガーNai Palm擁するオーストラリアのフューチャリスティック・ハイブリッド・バンドHiatus Kaiyoteをサンプリングした時点で降参です。
https://www.youtube.com/watch?v=lq1ugGPCClY

「Parking Lot」
Anderson .Paak/Jose Riosプロデュース。Paakのポップなセンスが反映された1曲。キラキラ感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bIG35tCV7ws

「Lite Weight」
The Internet『Ego Death』(2015年)にも参加していたHip-HopアーティストKaytranadaのプロデュース。The Free Nationals United Fellowship Choirをフィーチャー。Kaytranadaによるフューチャリスティックなトラックの儚い雰囲気がいいですね。

「Room in Here」
Likeプロデュース。The Game & Sonyae Eliseをフィーチャー。The Gameが自身の作品への客演に対するお返しで参加しています。ノスタルジックなジャジー・トラックに合わせて、PaakがThe Gameに貫録敗けしないフロウを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QJBB3q0MDPQ

「Water Fall (Interluuube)」
Chris Dave & the Drumhedzプロデュース。RGE時代の盟友Robert Glasper(key)やSoulquariansの一員として名を馳せたPino Palladino(b)も参加しています。そんなメンツを考えると、単なるインタールードで片付けられないRGE的な雰囲気のジャジー・トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=7-JFieViDzc

「Your Prime」
DJ Khalilプロデュース。Paak自身のドラム、Sam Barshの鍵盤らが生み出す生音サウンドから現行L.A.シーンの流れを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=aFJgxn70tDk

「Come Down」
Talib Kweliとのコラボでも知られるシンシナティ出身のプロデューサーHi-Tekプロデュース。Hi-Tekによるオルタナ色の強いトラックとPaakの少しクセのある声質がよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=-mlg-fFJZGA

「Silicon Valley」
Dem Jointzプロデュース。彼もDr. Dre『Compton』参加組です。壮大なサウンドとオートチューンによるヴォーカルワークが哀愁ソウル・モードを演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=cWyQg74AK3E

「Celebrate」
Anderson .Paak/Vicky Farewell Nguyenプロデュース。Kelsey Gonzalez、Jose Rios、Vicky Farewell Nguyen、Ron Avantらによる生演奏の味わいを重視した歌心のある仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=5SKpOW_o8Do

「The Dreamer」
Matthew "Callum Connor" Marisolaプロデュース。Talib Kweli & Timan Family Choirをフィーチャー。タイトルの通りなドリーミーなトラックで傑作アルバムを締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Jv95aptVSUk

Anderson .Paak関連の他作品もチェックを!

Anderson .Paak『Venice』(2014年)
Venice

NxWorries『Link Up & Suede』(2015年)
Link Up & Suede -Mcd-

Dr. Dre『Compton』(2015年)
Compton
posted by ez at 00:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
彩色鮮やかなコラージュのジャケットそのまま,ユル〜いながらもいろんなサウンドが交錯するユニークなアルバムですよね。キャッチーとか,キラー・チューンなんて表現とは全く対極にある音楽ですが,実に味わい深いです。ジャンルは違いますが,Terrace Martinあたりに近い奥の深さも感じさせます。
Posted by KJ at 2016年09月03日 10:22
☆KJさん

ありがとうございます。

主役であるPaakの才能に加え、多彩なプロデューサー/ゲスト・ミュージシャンの参加がアルバムを魅力的なものにしていますね。

前作『Venice』のエレクトロニカ色から今作ではソウル/ネオソウル色が強くなっているのも印象的です。

次はどんな方向に進むのか楽しみです。
Posted by ez at 2016年09月03日 23:53
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