2016年12月04日

A Tribe Called Quest『We Got It From Here…Thank You 4 Your Service』

正真正銘のラスト・アルバムが新作として登場!☆A Tribe Called Quest『We Got It From Here…Thank You 4 Your Service』
We Got It From Here… Thank You 4 Your Service
発表年:2016年
ez的ジャンル:レジェンド系Hip-Hop
気分は... :ATCQの残した音は永遠に不滅です!

今回は新作アルバムから90年代イースト・コーストHip-Hopを代表するレジェンドHip-HopグループA Tribe Called Quest(ATCQ)の正真正銘のラスト・アルバム『We Got It From Here…Thank You 4 Your Service』です。

Q-TipPhife DawgAli Shaheed MuhammadJarobi(1991年に脱退)によるHip-HopグループA Tribe Called Quest(ATCQ)について、これまで当ブログで紹介した作品は以下の6枚。

 『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』(1990年)
 『The Low End Theory』(1991年)
 『Revised Quest for the Seasoned Traveller』(1992年) ※リミックス集
 『Midnight Marauders』(1993年)
 『Beats Rhymes & Life』(1996年)
 『The Love Movement』(1998年)

今年の3月22日にPhife Dawgが逝去し、当ブログでも追悼の意味を込めて(その時点の)ラスト・アルバム『The Love Movement』(1998年)を紹介しました。

しかし、遂に正真正銘のATCQラスト・アルバムが新作アルバムとして届けられました。未発表集などではなく、全曲新たにレコーディングされたものであり、生前のPhife Dawgのラップも収録されています。信じられません。

アルバムの制作自体はPhifeの死がスタートではなく、昨年11月13日の4人が久々に揃ったTVでのパフォーマンスがきっかけだったようです。その日は奇しくもパリ同時多発テロ事件が起きた日であり、そのことも少なからず影響を与えたようです。

こうして2015年の年末より新作のレコーディングが開始されましたが、その完成を目にすることなく、Phifeが糖尿病による合併症で亡くなってしまいました。しかし、Phifeの遺志を受け継ぎ、残りのメンバーで完成させたのが本作『We Got It From Here…Thank You 4 Your Service』です。

アルバムは見事に全米アルバム・チャート、同R&B/Hip-Hopアルバム・チャートで共に第1位となっており、有終の美を飾ることとなりました。

ただし、A Tribe Called Quest名義の作品ですが、各曲のクレジットにAli Shaheed Muhammadの名は1度も登場しません。これはAliが同時期にAdrian Youngeと共に『Luke Cage』のサントラを手掛けていたことが影響しているようです。クレジットはないものの、魂だけは他のメンバーと共に・・・といった感じかもしれません。

このため、プロデュースはQ-TipとエンジニアのBlair Wellsとなっています。

アルバムにはQ-TipPhifeJarobiの3名以外に、Q-Tipの従兄弟であるConsequenceLeaders Of The New School時代を含め、ATCQとは縁の深いBusta RhymesAndre 3000Outkast)、Kanye WestTalib Kweliといった大物ラッパーの面々、Kendrick LamarAnderson .PaakNxWorries)という今最も旬な西海岸Hip-Hop/R&Bアーティストの2人、The White Stripes等での活動で知られる白人ロック・ギタリスト/シンガーJack White(g、vo)、元Floetryの女性R&BシンガーMarsha Ambrosius、大御所ポップ・スターElton John(vo、p)、さらにはAbbey SmithKatia Cadetといった豪華ゲスト陣がフィーチャリングされています。

それ以外にもRobert Glasper Experiment(RGE)のメンバーであるCasey Benjamin(key、p、org)とMark Colenburg(ds)、Bilal作品等でお馴染み Masayuki "BIGYUKI" Hirano(key)、EPMD作品等で知られるDJ Scratch(turntable)、さらにはLouis Cato(b、g)、Chris Parks(g)、Chris Sholar(g)、Blair Wells(g)、Chris Bower(p)等のミュージシャンが参加しています。

アルバムはわざわざSide ASide Bという2部構成に分けられています。

このアルバムがATCQらしいアルバムなのかどうかは分かりませんが、Phifeの追悼や18年ぶりのATCQのアルバムということを抜きにしても勝負できるリアルHip-Hop作品になっていることは事実です。ラスト・アルバムという感傷に浸ることなく、今伝えるべきメッセージとサウンドを届けてくれたことに感銘を受けました。きっと天国のPhifeも満足気でしょう!

僕をHip-Hopワールドに誘ってくれたA Tribe Called Ques
最後までATCQは偉大でした。ありがとう!

全曲紹介しときやす。

「The Space Program」
ブラックスプロイテーション映画『Willie Dynamite』の声ネタと共にスタートするオープニング。Q-Tip、Ali、故J Dillaによるプロデュース・チームThe Ummahのサウンドを連想させるような浮遊トラックをバックに、Q-Tip、Jarobiがラップし、コーラスにはPhifeも加わります。Michael Jackson「Thriller」PVのVincent Price、The J.B.'s「Gimme Some More」、映画『Willy Wonka & the Chocolate Factory』といった声ネタが随所に散りばめられています。
https://www.youtube.com/watch?v=Fbuf6VbVQBQ

「We The People...」
アルバムからの先行シングルにもなりました。Black Sabbath「Behind the Wall of Sleep」ネタのヘヴィなビートはATCQらしくない感じもしますが、Q-Tipのフロウが入ると途端にATCQらしくなるので不思議です。Q-Tipに続き、Phifeも力強いフロウを聴かせてくれます。RGEのCasey Benjaminがキーボードで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=vO2Su3erRIA

「Whateva Will Be」
Consequenceをフィーチャー。ブラックスプロイテーション映画『Dolemite』の声ネタと共にスタートします。Nairobi Sisters「Promised Land」ネタの格好良いダビー・トラックをバックに、Phife、Jarobi、Q-Tip、Consequenceがマイクリレーを展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=7v-mSYxrVoI

「Solid Wall Of Sound」
Jack White、Elton John、Busta Rhymesをフィーチャー。Elton John「Benny & the Jets」をベースにしたトラックをバックに、Busta、Phife、Q-Tipがリズミックなフロウを聴かせてくれます。中盤以降にはJack Whiteのコーラスがアクセントとなり、終盤にはEltonが堂々とした歌いっぷりでPhife及びATCQを送り出してくれます。The J.B.'s「Gimme Some More」、Michel Colombier & Pierre Henry「Jericho Jerk」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=7aUQ4sfo0Nw

「Dis Generation」
Busta Rhymesをフィーチャー。Invisible「Ruido De Magia」ネタのループの感動的なトラックが印象的です。Musical Youth「Pass the Dutchie」の声ネタも効果的に挿入されています。Bustaのダミ声ラップが加わると、ATCQ作品らしくなっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UYbovf6tKg0

「Kids...」
OutkastのAndre 3000をフィーチャー。リズミックなのに何処となくダークなピアノをバックに、QちゃんとAndre 3000が達者なフロウを披露してくれます。キャラ的にこの2人ってフィットする気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=6Fq0ocpLJPk

「Melatonin」
Marsha AmbrosiusとAbbey Smithをフィーチャー。さらにCasey Benjamin(key)、Mark Colenburg(ds)というRGEのメンバー2人も参加しています。この曲に関してはATCQというより、Q-Tipのソロといった色合いが強いですね。Chris Sholarのギターが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=d-GT5EELdhI

「Enough!!」
ATCQを代表するHip-Hopクラシック「Bonita Applebum」と同じRotary Connection「Memory Band」をサンプリング。DJ Scratchがセンスのいいターンテーブルで盛り上げてくれます。ラップはJarobiとQ-Tip。
https://www.youtube.com/watch?v=9NOBxC8DsCY

ここまでがSide Aです。

「Mobius」
Side BのスタートはBusta RhymesとConsequenceをフィーチャー。Consequenceがラップする前半は少し大人しい感じですが、Gentle Giant「Prologue」ネタの印象的なループが加わる中盤以降はBustaが大暴れします。Prodigy「Keep It Thoro」、Five Stairsteps「Ooh Child」のフレーズも引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=ls7PUYMkksI

「Black Spasmodic」
Consequenceをフィーチャー。レゲエ調の軽やかなトラックにのって、Consequence、Phife、Q-Tipがリズミックにフロウします。

「The Killing Season」
ConsequenceKanye WestTalib Kweliをフィーチャー。タイトルの通り、不穏な雰囲気でスタートしますが、中盤以降は美しくも寂しげなトラックへ表情が変わります。蟹江も加わった寂しげなコーラスがこの曲を象徴しているのでは?
Malcolm McLaren「Buffalo Gals」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=u6uzo061H5U

「Lost Somebody」
Katia Cadetをフィーチャー。Can「Halleluhwah」を引用したChris Bowerのピアノ・ループが印象的です。ソロ転向後のQ-Tip作品のような雰囲気ですね。Katia Cadetの女性コーラスもグッド!しかしながら、そんな演奏が突然遮断され、静寂の後にChris Parksの切り裂くようなギター音が・・・このギターにこそQちゃん達の社会へのメッセージが込められている気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=wPHvx2p5MxU

「Movin Backwards」
先日、Knxwledgeの強力Hip-Hop/R&BタッグNxWorriesの1stアルバム『Yes Lawd!』を紹介したばかりの今一番旬なHip-Hop/R&BアーティストAnderson .Paakをフィーチャー。PaakとQちゃんの個性がうまく融合した好トラックに仕上がっています。Chris Sholarのギター、Casey Benjaminのキーボードも印象的です。Anderson .PaakNxWorries好きの人も楽しめる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=sK1kXOvDZ0A

「Conrad Tokyo」
Kendrick Lamarをフィーチャー。汐留のホテル、コンラッド東京の名が冠されたタイトルが日本人には気になりますが、いきなり♪Conrad Tokyo, Sapporo, pistachio♪というPhifeのラップで始まります。リリックにはトランプやヒラリーという大統領選挙を争った二人の名前も登場する政治・社会メッセージの強い1曲です。ここでもThe J.B.'s「Gimme Some More」の声ネタが使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=e7qVfEFnsTY

「Ego」
映画『2001 a Space Oddyssey(2001年宇宙の旅)』のサウンド・エフェクトをサンプリングした不穏な雰囲気でスタートします。明るいジャジー・サウンドと不穏なサウンドのコントラストが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=PNoVzY7zEo4

「The Donald」
Busta Rhymesをフィーチャー。ラストはPhifeへの惜別で締め括ってくれます。Bustaがラガ調ラップで盛り上げてくれます。「Conrad Tokyo」の流れでタイトルはDonald Trumpのことか!なんて勘ぐってしまいますが・・・。

A Tribe Called Questの音楽は不滅です!

A Tribe Called Quest(ATCQ)の過去記事もご参照を!

『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』(1990年)
People's Instinctive Travels and the Pat by Jive / Sbme Europe 【並行輸入品】

『The Low End Theory』(1991年)
Low End Theory by Jive / Sbme Europe 【並行輸入品】

『Revised Quest for the Seasoned Traveller』(1992年) ※リミックス集
リヴァイズド・クエスト・フォー・ザ・シーズンド・トラヴェラー

『Midnight Marauders』(1993年)
Midnight Marauders by Jive / Sbme Europe 【並行輸入品】

『Beats Rhymes & Life』(1996年)
ビーツ,ライムズ&ライフ

『The Love Movement』(1998年)
Love Movement
posted by ez at 03:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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