2010年05月07日

Anita O'Day『Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May』

Billy May楽団をバックにしたCole Porter集☆Anita O'Day『Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May』
Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May
録音年:1959年
ez的ジャンル:奔放系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :イラっとするけど...

昨日は小さなイラっとすることが重なった結果、大きなイライラとなり爆発しそうです!
悪循環に陥らないように少し頭をクールダウンしないと・・・

そんな状態でCD棚を物色していて何気なく手にしたのが今日の1枚、Anita O'Day『Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May』(1959年)です。

偉大な女性ジャズ・シンガーAnita O'Dayの紹介は、『This Is Anita』(1956年)に続き2回目となります。

タイトルの通り、Billy May楽団をバックに従えたCole Porter作品のカヴァー集です。

Anita O'Dayのアルバムと言えば、『This Is Anita』『Anita Sings the Most』(1957年)の2枚が有名ですが、聴き易さという点では本作あたりから入るのもいいかもしれませんね。僕のような永遠のジャズ初心者向けにもフィットする作品です。

お馴染みのスタンダードがズラリと並ぶ分、Anita O'Dayの個性が浮き彫りになり、彼女のヴォーカルを存分に堪能できると思います。

Anita O'Dayの奔放なヴォーカルが魅力的なのは勿論のこと、それを支えるBilly May楽団の演奏もなかなかエキサイティングです。アップテンポのスウィンギーな演奏も多く、スタンダード集にありがちな一本調子で中だるみすることがないのがいいですね。正統派ジャズ・ファン以外にクラブジャズ好きの人が聴いてもそれなりに楽しめると思います。

Cole Porterの名曲の数々とAnita O'Dayのヴォーカルの相性はバッチリですよ!
Cole Porter作品を整理する機会にもなります!

全曲紹介しときやす。

「Just One of Those Things」
オープニングは1935年のミュージカル『Jubilee』挿入歌。Billy May楽団のスウィンギーな演奏をバックにAnita姉さんもノッっている感じが伝わってきます。かなりグッドなつかみなのでは?

「Love for Sale」
1930年のミュージカル『The New Yorkers』挿入歌。多くのジャズ・ミュージシャンがカヴァーしている人気曲ですね。当ブログでもJorge DaltoGene HarrisDexter Gordonのカヴァーを紹介済みです。でも当時は歌詞の内容が過激で放送禁止だったようですね。そんな刺激的な歌がAnitaのキャラにバッチリはまっている気がします。

「You'd Be So Nice to Come Home To」
1943年のミュージカル映画『Something To Shout About』のために書かれたものです。この曲と言えば、Clifford Brownの演奏をバックに歌うHelen Merrillのカヴァーがあまりにも有名ですね。でもAnita姉さんのヴァージョンもいい雰囲気でグッときますよ。Helen Merrillヴァージョンと聴き比べるのも楽しいですね。

「Easy to Love」
1936年のミュージカル映画『Born To Dance』挿入歌。ウォーキングベースとAnitaの絡みがグッド!聴いていると、何故か昭和の銀座の夜の映像が思い浮かんできます。

「I Get A Kick Out Of You」
1934年のミュージカル『Anything Goes』挿入の有名曲。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。スピード感溢れるスウィンギーな演奏&ヴォーカルはクラブジャズ・ファンが聴いてもグッとくるのでは?

「All of You」
1936年のミュージカル『Silk Stockings』挿入の有名曲。個人的には当ブログで紹介したMiles DavisBill Evans Trioのカヴァーを愛聴しています。Anitaヴァージョンは軽快な仕上がりが実に小粋です。

「Get Out of Town」
1938年のミュージカル『Get Out of Town』挿入歌。Ella Fitzgeraldヴァージョンが有名なようですが、Anitaヴァージョンもドラマチックでいいですよ!

「I've Got You Under My Skin」
1936年のミュージカル映画『Born To Dance』挿入歌。Frank SinatraやThe Four Seasonsなど数多くのアーティストがカヴァーしているスタンダード。当ブログでも先日紹介したばかりのJoe HendersonSonny RollinsDinah Washingtonのカヴァーを紹介済みです。Anitaヴァージョンは軽くラテン・テイストが入っているのがいいですね。

「Night and Day」
数あるCole Porter作品の中でも一番有名な曲かもしれませんね。元々は1932年のミュージカル『Gay Divorce』のために書かれたものです。当ブログではJoe HendersonTracey ThornLennie Dale & Sambalanco TrioSergio Mendes & Brasil '66のカヴァーを紹介済みです。Anitaヴァージョンはスピーディー&スウィンギーで実にスリリングです。

「It's De-Lovely」
1936年のミュージカル『Red Hot and Blue』挿入歌。今回聴き直してみて結構グッときたのがこの曲。50年代女性ジャズ・ヴォーカルの魅力がギュッと詰まっています。

「I Love You」
1944年のミュージカル『Mexican Hayride』挿入歌。Anita O'DayとBilly May楽団の共演らしい出来栄えです。

「What Is This Thing Called Love?」
1929年のレヴュー『Wake Up And Dream』挿入歌。当ブログではBill Evans Trioのカヴァー(アルバム『Portrait In Jazz』)を紹介済みです。Anitaヴァージョンはスリリングかつエレガントな仕上がりで、「I Get A Kick Out Of You」と並ぶ僕のお気に入りです。

CDにはオリジナル12曲に加えて、「You're the Top」(1955年録音)、「My Heart Belongs to Daddy」(1959年録音)、「Why Shouldn't I?」(1960年録音)、「From This Moment On」(1955年録音)、「Love for Sale」(1952年録音)、「Just One of Those Things」(1954年録音)というボーナス・トラック6曲が追加収録されています。

本作を気に入った方はAnitaとBilly Mayの共演第2弾『Anita O'Day And Billy May Swing Rodgers And Hart』 (1960年)もセットでどうぞ!タイトルの通りRichard Rodgers/Lorenz Hartコンビの楽曲をカヴァーした作品です。

『Anita O'Day And Billy May Swing Rodgers And Hart』 (1960年)
アニタ・オデイ・アンド・ビリー・メイ・スウィング・ロジャース・アンド・ハート(紙ジャケット仕様)
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2010年03月22日

John Lewis & Sacha Distel『Afternoon In Paris』

"パリの昼下がり"に似合う小粋なジャズ☆John Lewis & Sacha Distel『Afternoon In Paris』
AFTERNOON IN PARIS
録音年:1956年
ez的ジャンル:フレンチ・ジャズ+MJQ
気分は... :久々に50年代を!

今年に入って50年代カテゴリーから1枚もセレクトしていなかったので、今回は50年代ジャズ作品の中から1枚!

セレクトしたのはModern Jazz QuartetのリーダーJohn Lewisとフランス人ミュージシャンSacha Distelの共演アルバム『Afternoon In Paris』です。

以前からパリに対する強い思いを抱いていたJohn Lewisがフランスの人気ジャズ・ミュージシャン達とパリと録音した作品が本作『Afternoon In Paris』です。

もう一人の主役Sacha Distel(1933–2004年)については詳しく知らないのですが、ギタリストのみならずシンガーしても人気を博し、俳優としても活動していたミュージシャンのようです。

レコーディング・メンバーはJohn Lewis(p)、Sacha Distel(g)、Barney Wilen(ts)、Pierre Michelot(b)、Percy Heath(b)、Connie Kay(ds)、Kenny Clarke(ds)。オリジナルLPのA面3曲のリズム隊がPierre MichelotとConnie Kay、B面3曲がPercy HeathとKenny Clarkeとなっています。

Milt Jacksonを除く新旧Modern Jazz Quartetメンバーとフランス人若手ミュージシャンの共演といったところです。

この中で本来の主役であるJohn LewisSacha Distel以上に目立っているのが、テナー・サックスのBarney Wilenです。

Barney Wilenは本作の翌年にMiles Davisが音楽を担当した映画『Ascenseur Pour L'Echafaud(邦題:死刑台のエレベーター)』のレコーディングに参加し一躍脚光を浴びることになりますが、本作でもBarneyの若々しい演奏に魅了されます。

全体としてはJohn Lewisの持つクラシカルなエッセンスとフランス人ミュージシャンのセンスの良さが上手く融合し、まさに"パリの昼下がり"といった雰囲気の小粋なジャズ作品に仕上がっています。

Sacha Distelも主役にはなりきれていませんが、彼の気の利いた演奏が全体の調和を上手くもたらしており、その意味で本作に欠かせない存在になっていると思います。

エッフェル塔をバックにトレンチコート姿で佇むLewisとSachaの二人にトリコロール・カラーを重ねたジャケも大好きです。

全曲紹介しときやす。

「I Cover The Waterfront」
Edward Heyman作詞、Johnny Green作曲のスタンダード(1933年作)。John Lewisらしいクラシカルなムードのピアノでスタートし、Sachaのロマンティックなギターを経て、Barneyの小粋なテナーに魅了されます。主役は完璧にBarneyですね。最後はLewisがエレガントに締め括ってくれます。

「Dear Old Stockholm」
Stan Getzの演奏で有名なスウェーデン民謡(原曲は「Ack Varmeland Du Skona」、「Warmland」の題名で表記されることもあります)。当ブログでは以前にMiles Davis『'Round About Midnight』のヴァージョンを紹介しています。ここではLewisのピアノ、Barneyのテナーサックス、Sachaのギター、Michelotのベースが無伴奏で交錯する気品あるテーマとBarneyやDistelがスウィングするソロ・パートのコントラストが印象的です。フレンチ・ジャズらしい洗練を感じる演奏です。

「Afternoon In Paris」
本作のために用意したJohn Lewisのオリジナル。まさにパリの昼下がりといったムードテーマに続き、Barney→Sacha→Lewis→Michelotの順にソロが展開します。それまでのエレガントムードもお構いなしのBarneyのテナーと、再びエレガントムードに引き戻すSachaの円やかのギターの対比が面白いですね。

「All The Things You Are」
Oscar Hammerstein II作詞、Jerome Kern作曲。1939年のミュージカル『Very Warm for May』のために書かれた楽曲です。本作のハイライトとしてBarneyのプレイが冴え渡る本曲を挙げる方も多いのでは?美しいLewisのピアノに続き、ハードボイルドな格好良さに溢れたBarneyのソロを堪能できます。ここからリズム隊がPercy Heath & Kenny Clarkeとなりますが、彼らのスウィンギーな推進力も聴き逃せません。

「Bag's Groove」
Milt Jackson作品。当ブログでは以前にMiles Davis『Bag's Groove』のヴァージョンを紹介したことがあります。ここでは唯一参加していないMJQメンバーを気遣ったのでしょうか(笑)。ここではLewisの小粋なピアノにグッときます。Percy Heath & Kenny Clarkeのリズム隊もかなりいい感じです。結果的にはMJQメンバーが目立つ演奏になっていますね。

「Willow Weep For Me」
「柳よ泣いておくれ」の邦題で有名なスタンダード(Ann Ronnell作品)。女性作曲家Anne RonellがGeorge Gershwinに捧げた曲です。当ブログではDexter GordonWynton Kelly『Kelly Blue』Red GarlandClifford BrownWes Montgomeryのヴァージョンを紹介済みです。

本ヴァージョンはいかにもJohn Lewisらしいクラシカルな演奏を堪能できます。本作のムードに相応しいかは別として、John Lewis絡みのアルバムならばこの手の演奏は1曲は聴きたいですよね。

僕の所有CDはオリジナル6曲のみですが、最近のCDにはボーナス・トラックとして「Little Girl Blue」と「D&E」の2曲が追加収録されているようです。
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2009年12月13日

Bev Kelly『Love Locked Out』

ジャケも中身も実にスタイリッシュ!☆Bev Kelly『Love Locked Out』
ラヴ・ロックト・アウト
録音年:1959年
ez的ジャンル:女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :ジャケ買い大正解でした!

今回は女性ジャズ・シンガーBev Kellyのアルバム『Love Locked Out』(1959年)です。

Bev Kelly(Beverly Kelly)は、1934年オハイオ州生まれの女性ジャズ・シンガー。

1954年にピアニストPat Moranのグループに参加し、『The Pat Moran Quartet』(1956年)等のレコーディングに参加しています。1957年にはPat Moranのトリオをバックに初リーダー作『Beverly Kelly Sings』をレコーディングしています。ちなみに『Beverly Kelly Sings』でベースを弾いていたのは、後にBill Evans Trioで活躍するScott LaFaroです。

その後Pat Moranから独立し、Riversideでレコーディングの機会を得ます。これを機にBeverly KellyではなくBev Kellyと表記するようになりました。同時代に活躍していた女性ジャズ・シンガーBeverly Kenney(1932-1960年)と名前が似ていたため、混同されないようにこのような表記になったようです。

Riversideから『Love Locked Out』(1959年)、『In Person』(1960年)という2枚のアルバムをリリースしたものの、これを最後にシーンから突如消えてしまいました。前述のBeverly Kenneyも1960年に死去しており、二人のBeverlyが同時期にジャズ・シーンから居なくなったというのは奇妙な運命ですね。

後年、1959年にレコーディングされた『You Go To My Head』というアルバムもリリースされています。

正直、本作を購入するまでBev Kelly(Beverly Kelly)というシンガーについて全く知りませんでした。本作を購入したのも印象的なジャケに魅了されゲットしたものでした。

上記のジャケ写真では帯があるのでわかりづらいですが、50年代のアルバムでこれほどスタイリッシュなジャケってなかなか無いですよね。

帯のないジャケのイメージはこんな感じです。
Love Locked Out

レコーディングにはBev Kelly(vo)以下、Jimmy Jones(p)、Kenny Burrell(g)、Milt Hinton(b)、Roy Haynes(ds)、Jerome Richardson(fl、ts)、Osie Johnson(ds)、Harry Edison(tp)、Johnny Cresci(ds)というメンバーが参加しています。有名どころではKenny Burrellの参加が目立ちますね。

ジャケに負けず中身もスタイリッシュです。何よりBev Kellyがジャズ・ヴォーカリストとして魅力的なのがいいですね。曲ごとに様々な表情のBevのヴォーカルに出会うことができます。

メジャーなジャズ・ヴォーカリストではありませんが、ジャズ初心者の方でも十分楽しめるジャズ・ヴォーカル・アルバムです。

全曲を紹介しときやす。

「My Ship」
Ira Gershwin作詞、Kurt Weill作曲のスタンダード。元々はミュージカル『Lady In The Dark』の挿入歌です。当ブログでは以前にMiles Davisのカヴァーを紹介しています(アルバム『Miles Ahead』収録)。

このムーディーなバラードを聴いて、"ジャケ買い大正解!"と確信した次第です。レイジー&キュートなBevのヴォーカルとそれを優しく包み込むバックが実に調和しています。

「Lost April」
Nat King Coleなどが取り上げたEddie DeLange/Hubert Spencer/Emil Newman作品。実に表情豊かなヴォーカルを聴かせてくれます。セクシー・ムードがムンムンなのもいいですね。Harry Edisonのトランペットが盛り上げてくれます。

「Lonelyville」
Hal Hackaday/Walter Marks作品。哀愁モードの曲ですが、ジャズ・ヴォーカルらしくカラっとした感じがいいですね。

「I'm Gonna Laugh You Right out of My Life」
Nat King Coleなどが取り上げたJoseph Allan McCarthy/Cy Coleman作品。Milt HintonのベースがBevのヴォーカルを先導する感じがいいですね。淡々とした中にもジャズ・ヴォーカルらしい味わいを堪能できます。

「Weak for the Man」
Jeanie Burns作品。思わせぶりなBevのヴォーカルのメロメロです。こんな雰囲気で女性に甘えられたら、何でも言う事きいてあげちゃいそうです(笑)

「Love, Look Away」
Richard Rodgers/Oscar Hammerstein IIの名コンビによるミュージカル『Flower Drum Song』(1958年)挿入歌のカヴァー。ここではロマンティック&プリティな雰囲気が相当グッときます。特に女性が気に入るカヴァーという気がします。

「Thursday's Child」
Elisse Boyd/Murray Grand作品。タイトルはマザーグースからとったものらしいです。落ち着いた中にもドリーミーな雰囲気が漂います。

「Love Locked Out」
タイトル曲はMax Kester Dodgson/Ray Noble作品。Bevのキュートな魅力を堪能できるバラードです。

「Away from Me」
David Ward作品。哀愁モードの絶品バラード。純粋にジャズ・ヴォーカリストとしてのBevを堪能するのであればこの曲が一番かも?リリカルなJimmy JonesのピアノやKenny Burrellのギターによるサポートもバッチリです。

「Fool That I Am」
1946年に作られたFloyd Hunt作品。Etta Jamesのカヴァーで有名ですね。若いリスナーの方はAdeleのライブ・カヴァーを聴いた方もいるのでは?表情豊かなヴォーカルを楽しめるのが僕好みです。

Adele「Fool That I Am」
http://www.youtube.com/watch?v=xgrL5P-DaiM

「Gloomy Sunday」
「暗い日曜日」という邦題で知られる1933年にハンガリーで発表された楽曲です。ハンガリーや世界中で本作を聴いて数百人が自殺したと言われ、自殺ソングとして有名な曲です。Bevのヴァージョンは哀愁感は漂いますが、自殺ソングという雰囲気ではありませんね。

「Gloomy Sunday」は自殺ソングと呼ばれているにも関わらず、1936年の発表されたフランスのシャンソン歌手Damiaのカヴァーで世界中に広まったのをはじめ、数多くのアーティストがカヴァーしています。当ブログで紹介したアーティストだけで見ても、Sarah VaughanElvis CostelloSerge GainsbourgBjorkPortisheadがカヴァーしています。

Billie Holiday「Gloomy Sunday」
 http://www.youtube.com/watch?v=48cTUnUtzx4
Portishead「Gloomy Sunday」
 http://www.youtube.com/watch?v=iyKXEdnN8b4
Sarah McLachlan「Gloomy Sunday」
 http://www.youtube.com/watch?v=sjWMtQcNJXI

YouTubeに本作の音源は全くアップされていないのですが、唯一あった他作品の音源でBevの歌声をご確認下さい。

Beverly Kelly「Lover Come Back To Me」(From 『Beverly Kelly Sings』)
 http://www.youtube.com/watch?v=AdY-LEE7Kt4
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2009年11月03日

Kenny Dorham『Quiet Kenny』

秋の夜には静かなる男がよく似合う!☆Kenny Dorham『Quiet Kenny』
Quiet Kenny
録音年:1959年
ez的ジャンル:いぶし銀系ハードバップ
気分は... :静かなるケニー

今日はジャズ気分です。
ということで、Kenny Dorham『Quiet Kenny』(1959年)をセレクト。

Kenny Dorham(1924-1972年)はテキサス出身のジャズ・トランペッター。Billy Eckstine、Dizzy Gillespie、Lionel Hampton等のビッグ・バンドやCharles Parkerのグループなどの活躍しました。Art BlakeyのJazz Messengersの初代メンバーとしても活動し、Messengers退団後の1950年代半ばには自身のグループJazz Profetsを結成しています。

1950年代半ばから1960年代半ばにかけてコンスタントにレコーディングを行っていますが、1972年に腎臓病により死去しています。

僕のKenny Dorhamに対するイメージは"いぶし銀"って感じですかね。
当ブログで紹介した『Page One』『In 'N Out』といったJoe Henderson作品での印象が強いので、余計にそんなイメージなのかもしれません。

多分、僕がKenny Dorhamの名前を初めて意識したのは、『Page One』収録の名曲「Blue Bossa」の作者としてかもしれません。Hendersonの初リーダー作のためにDorhamが書き下ろした哀愁ボッサは今でも大好きな曲です。

Dorhamのリーダー作ということになると、やはり『Afro-Cuban』(1955年)と『Quiet Kenny』(1959年)の2枚ですかね。ジャズ・ファンはご存知の通り、前者は"動のケニー"、後者は"静のケニー"を代表する作品ですね。

今回は秋に似合う"静のケニー"『Quiet Kenny』(1959年)をセレクトしました。

メンバーはKenny Dorham(tp)、Tommy Flanagan(p)、Paul Chambers(b)、Art Taylor(ds)というワン・ホーン編成です。

日本ではかなり人気のあったアルバムらしいですね。
その分、ジャズ・ファンによる手厳しい意見もあるみたいですが。

僕のような"永遠のジャズ初心者"にとっては、とても聴きやすいアルバムですね。決して派手さはないですが、逆にそこがいい気がします。Kenny Dorhamというミュージシャンの人柄が音に滲み出ている感じが好きです。

人情味溢れる狭い小料理屋で一杯やるような喜びを感じる作品ですね。

全曲紹介しときやす。

「Lotus Blossom」
邦題「蓮の花」。Dorhamのオリジナルですが、数多くのジャズ・ミュージシャンによって演奏されている名曲ですね。Sonny Rollinsなどは「Asiatic Raes」の曲名で演奏していますね。オリジナルはオリエンタル・テイストのクールに疾走する格好良いハードバップに仕上がっています。多少フラフラしながらもクールに疾走するDorham、 エレガントなピアノに惚れ惚れするFlanagan、ドラム・ソロでバシッとキメてくれるTaylorが印象的えですね。やはりアルバムで一番好きですね。
http://www.youtube.com/watch?v=T2OL7_4Mmt8

「My Ideal」
フランスの人気俳優Maurice Chevalierのハリウッド進出第一弾となった映画『The Playboy of Paris』(1930年)で歌われたスタンダード(Leo Robin/Richard A. Whiting/Newell Chase作)。美しくリリカルなバラードに仕上がっています。抑えた演奏がジャケのDorhamの枯れた雰囲気とマッチしていて好きですね。このシブさがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=fPNDsRwPFug

「Blue Friday」
Dorhamのオリジナル。酒場で酔いどれてグダグダ・モードの気分で聴きたくなる演奏ですね(笑)。Chambersベースに誘われ、Dorhamが雰囲気のあるプレイを聴かせてくれます。

「Alone Together」
1932年のミユージカル『Flying Colors』の挿入歌であったスタンダード(Arthur Schwartz/Howard Dietz作品)。当ブログではDinah Washington『Dinah Jams』収録)、Stanley Turrentine『Easy Walker』収録)のヴァージョンを紹介済みです。ここでは正攻法にスタンダードを聴かせてくれます。哀愁ムードに浸り方はどうぞ!

「Blue Spring Shuffle」
Dorhamのオリジナル。塩辛と日本酒で一杯やりたくなるようなシブい1曲。Chambersのベースが目立っています。

「I Had the Craziest Dream」
1942年の映画『Springtime in the Rockies(邦題:ロッキーの春風)』で歌われたスタンダード(Mack Gordon作詞、Harry Warren作曲)。「Lotus Blossom」と並んで好きな演奏です。落ち着いた軽やかさって感じが好きですね。Flanaganのソロを聴いているとホッとします。

「Old Folks」
1938年にDedette Lee Hill/Willard Robinsonによって作られたスタンダード。当ブログではMiles Davis『Someday My Prince Will Come』収録)の演奏を紹介済みです。Milesの演奏もそうですが、この曲は男の哀愁感が漂う演奏が似合いますね。その意味ではDorhamにぴったりかも?

「Mack the Knife」
CDのボーナス・トラックとして追加収録されたスタンダード。Bertolt Brecht/Kurt Weillによる『The Threepenny Opera(三文オペラ)』の中の1曲ですね。「Moritat」の曲名でも演奏されています。当ブログではこれまで、Sonny Rollins『Saxophone Colossus』収録)、Jimmy Smith『Crazy! Baby』収録)のヴァージョンを紹介済みです。なかなか小粋な演奏でグッときます。でも"静かなるケニー"というよりも"動き出すケニー"って雰囲気かもしれませんね。

"動のケニー"を聴きたい方は『Afro-Cuban』(1955年)をどうぞ!
『Afro-Cuban』
アフロ・キューバン
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2009年07月31日

Chet Baker『Chet Baker Sings And Plays』

夏に相応しいウェストコースト・ジャズ☆Chet Baker『Chet Baker Sings And Plays』
Chet Baker Sings and Plays with Bud Shank, Russ Freeman and Strings
録音年:1955年
ez的ジャンル:モテ男系ウェストコースト・ジャズ
気分は... :中性的ヴォーカルがグッとくる!

夏気分ということで、ウェストコースト・ジャズが聴きたくなりました。

今回は栄光と挫折のトランペット奏者Chet Bakerのアルバム『Chet Baker Sings And Plays』(1955年)です。

Chet Baker(1929-1988年)は、オクラホマ出身のジャズ・トランペット奏者。

Charlie Parkerに見出され、1952年にウエストコーストのGerry Mulliganのグループに参加し、華やかなデビューを飾ります。翌1953年には自身のコンボを結成し、初のリーダー・セッションを行っています。そして、人気を決定付けたアルバム『Chet Baker Sings』(1954-56年録音)ではヴォーカルも披露しています。

こうしてChet Bakeは瞬く間にウエストコースト・ジャズを代表するトランペット奏者として注目され、当時は帝王Miles Davisをも凌ぐ人気を誇っていたようです。

しかしながら、50年代後半から麻薬問題、傷害事件などのトラブルが続発し、長きにわたり演奏できない状態にあったようです。その後1970年代にカムバックを果たしますが、1988年にオランダ、アムステルダムのホテルの窓から転落し、波乱万丈の人生の幕を閉じました。

僕の中でChet Bakerは、"パシフィック・ジャズ"、"ウエストコースト・ジャズ"といった言葉から受ける眩しい印象も重なり、"色男"、"伊達男"という言葉が似合うモテ男ジャズ・ミュージシャンというイメージが強かったですね。

特に、トランペットに止まらず、ヴォーカルまでこなしてしまうという点に格好良さを感じたものです。それだけに転落死のニュースは衝撃的でした。光と影...両極端な人生だったのかもしれませんね。

そんなChet Bakerの代表作として真っ先に挙げられるのが、おそらく『Chet Baker Sings』(1954-56年)だと思います。「My Funny Valentine」をはじめ、いい曲が揃っていますからね。僕も昔は『Chet Baker Sings』ばかり聴いていました。
『Chet Baker Sings』
チェット・ベイカー・シングス

しかしながら、最近のお気に入りは今日紹介する『Chet Baker Sings And Plays』(1955年)です。この作品は『Chet Baker Sings』に続いて録音されたヴォーカル作品です。

録音は1955年2月28日と同年3月7日の2回に分けて行われ、2月28日に録音された4曲は、Chet Baker(tp、vo)、Russ Freeman(p)、Red Mitchell(b)、Bob Neel(ds)、Bud Shank(fl)、Corky Hale(harp)というメンバーにストリングスを加えた布陣、3月7日に録音された6曲は、Chet Baker(harp)、Russ Freeman(p)、Carson Smith(b)、Bob Neel(ds)という布陣になっています。

Chet Bakerの唯一無二の中性的ヴォーカルと親しみやすいトランペットをコンパクトに堪能できます。特に、本作ではストリングス入りの演奏が4曲あり、アルバム全体としてのメリハリがある点がいいですね。

彼の中性的ヘタウマ・ヴォーカルって不思議な魅力がありますよね。
当時、女の子もキャー、キャー言っていたというのも納得です(笑)

順番から言えば、まずは『Chet Baker Sings』をゲットすべきだと思いますが、ぜひセットで本作を揃えておくことをオススメします。

クールで小粋なウェストコースト・ジャズを堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Let's Get Lost」
いきなり本作のハイライト。Frank Loesser作詞、Jimmy McHugh作曲のスタンダード。Frank Sinatra等も歌っていますね。Chet Bakerの死後に公開された自伝的ドキュメンタリー映画のタイトルが『Let's Get Lost』であり、Chetのキャリアを代表するレパートリーと言えるでしょうね。

Russ Freemanの小粋なピアノをバックに、Chetのトランペット&ヴォーカルを堪能できます。さすが伊達男!って感じでキマりすぎの出来栄えです。サバービア好きの方は要チェックの1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=Q0ZBaZoBCaA

「This Is Always」
オリジナルは1946年の映画『Little Girls In Blue』のために書かれたもの(Mack Gordon作詞、Harry Warren作曲)。この曲も様々なジャズ・ミュージシャンがカヴァーしていますが、Cal Tjaderのヴァージョンあたりは僕好みです。Chetヴァージョンは、ストリングスを従えたエレガントなアレンジで、甘くロマンティックなヴォーカル&トランペットを際立たせています。

「Long Ago and Far Away」
Ira Gershwin作詞、Jerome Kern作曲のスタンダード。オリジナルはミュージカル映画『Cover Girl』(1944年)のために書かれたものです。この曲ではヴォーカルもさることながら、Chetのトランペットを堪能しましょう!

「Someone to Watch Over Me」
「Let's Get Lost」と並ぶお気に入り。Ira Gershwin作詞、George Gershwin作曲のスタンダード(邦題「やさしき伴侶」)。オリジナルはミュージカル『Oh, Kay!』(1926年)のために書かれたもの。曲自体が大好きなのですが、Chetヴァージョンは彼の中性的ヴォーカルが曲、アレンジと実にマッチしていると思います。サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=CCTIpclVQe4

Chet以外にも数多くのアーティストが取り上げている名曲ですね。オールド・ファンならば、Ella Fitzgerald、Frank Sinatra、Perry Comoあたりが王道でしょうか。ポップス・ファンであればLinda Ronstadtヴァージョン、若いリスナーであればAmy Winehouseヴァージョン(Ella Fitzgeraldヴァージョンを意識したもの)で聴いているのでは?

Ella Fitzgerald「Someone To Watch Over Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=PzjLzUn_9oc
Frank Sinatra「Someone To Watch Over Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=mlgWm7Yly-I
Perry Como「Someone To Watch Over Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=dqVUg-0hzac
Linda Ronstadt「Someone To Watch Over Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=S0oRfg5RyVA
Amy Winehouse「Someone To Watch Over Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=Wo5--q2GPNo

「Just Friends」
Sam M. Lewis作詞、John Klenner作曲のスタンダード。Russ Columboが1931年にヒットさせたらしいです。Charlie Parkerも演奏していますね。
ここでは軽快なヴォーカル&演奏を聴かせてくれます。ノリの良いバック陣にChetのトランペットも気持ち良さそうです!
http://www.youtube.com/watch?v=88CqlgFAJ-k

「I Wish I Knew」
オリジナルは映画『Diamond Horseshoe』(1945年)のために書かれたもの。「This Is Always」と同じくMack Gordon作詞、Harry Warren作曲です。当ブログでは、これまでJohn ColtraneBill Evansの演奏を紹介してきました。Chetヴァージョンは、スタンダード・ムード満点のロマンティックな仕上がりです。優しげなヴォーカルに野郎の僕もウットリしてしまいます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=D0fq1szgiN4

「Daybreak」
この演奏も大好き!中世的なヴォーカル、親しみやすいトランペットとChetの魅力がコンパクトに凝縮されている気がします。
Ferde Grofe/Harold Adamson作品。

「You Don't Know What Love Is」
Don Raye/Gene De Paul作。ミュージカル映画『Keep 'Em Flying』の挿入歌です。数多くのジャズ・ミュージシャンが演奏しているスタンダードですね。当ブログでは、これまでJohn ColtraneSonny Rollinsの演奏を紹介したことがあります。Chetヴァージョンも素敵な哀愁バラードに仕上がっています。♪ブルースの意味が分かるようにならなければ、恋も分かるようにはならない...
http://www.youtube.com/watch?v=MDsaQhxvXS4

「Grey December」
Frank Campo作品。タイトルから想像できるように、哀愁ムードのバラードに仕上がっています。いつも明快なChetのトランペットも何処か寂しげ...

「I Remember You」
ラストは映画『The Freet's In!(邦題:艦隊入港)』(1942年)の挿入歌(Johnny Mercer作詞、Victor Schertzinger作曲)。に仕上がっています。Russ Freemanをはじめとするバックの演奏がキマっていますね。

日本のバンド勝手にしやがれ(グループ名です)が、本作のジャケをパロったアルバム『Let's Get Lost』(2007年)をリリースしています。

勝手にしやがれ『Let's Get Lost』(2007年)
LET’S GET LOST(初回生産限定盤)(DVD付)

ジャズと言えば、以前にエントリーしたThe Quiet Nights Orchestra『Chapter One』の音源をYouTubeで見つけたので、記事に加えておきました。今年の新作クラブ・ジャズの中でも大プッシュしたい1枚なので、ぜひ音源を聴いてみてください。
posted by ez at 00:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする