2020年05月31日

Timo Lassy With Ricky-Tick Big Band Brass『Big Brass (Live at Savoy Theatre Helsinki)』

ビッグ・バンドを従えたライヴ録音☆Timo Lassy With Ricky-Tick Big Band Brass『Big Brass (Live at Savoy Theatre Helsinki)』

発表年:2020年
ez的ジャンル:フィンランド産ビッグ・バンド・ジャズ
気分は... :こういうジャズも外せない!

新作アルバムからフィンランド産ビッグ・バンド・ジャズ、Timo Lassy With Ricky-Tick Big Band Brass『Big Brass (Live at Savoy Theatre Helsinki)』です。

ヨーロッパのNu Jazzシーンを牽引したフィンランドの人気ジャズ・バンドThe Five Corners Quintet(FCQ)のメンバーであったサックス奏者Timo Lassyの紹介は、『The Soul & Jazz Of Timo Lassy』(2007年)、『Round Two』(2009年)に続き3回目となります。

本作は自身のコンボに加えて、フィンランドのビッグ・バンドRicky-Tick Big Bandのブラス隊を従えた2018年3月フィンランド、ヘルシンキ、サヴォイ・シアターでのライヴを収めた作品です。

Timo Lassy(ts)はじめ、Antti Lotjonen(b)、Teppo Makynen(ds)というFCQの同僚、Georgios Kontrafouris(p、wurlitzer)、Abdissa Assefa(per)がバンド・メンバー。

Valtteri Laurell Poyhonenの指揮・アレンジによるRicky-Tick Big Band Brassのメンバーは、FCQの同僚Jukka Eskola(tp)をはじめ、Kalevi Louhivuori(tp)、Mikko Karjalainen(tp)、Janne Toivonen(tp)、Heikki Tuhkanen(tb)、Jay Kortehisto(tb)、Janne Toivonen(tb)、Juho Viljanen(bass tb、tuba)。

Timo Lassy好き、北欧ジャズ好きの人であれば、楽しめる1枚だと思います。ビッグ・バンドが加わって、よりダイナミックでメリハリのあるライヴ演奏を楽しめると思います。

現在進行形ジャズに押されて、最近は分が悪いクラブジャズですが、僕の体はこういうジャズも欲しています。聴いていると幸福ホルモンが大量に分泌している気がします。

やはり、こういうジャズも外せない!

全曲紹介しときやす。

「Grande Opening」
Valtteri Poyhonen作のオープニング。Ricky-Tick Big Band Brassの素敵なブラス・アンサンブルによるオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=65USeJq9Ko0

「Undecided」
Timo Lassy作。オリジナルは『Love Bullet』(2015年)収録。北欧ジャズ・フィーリングにTimoのフリー・ジャズ調のソロ、ブラス・アンサンブルも加わった本作らしい演奏を楽しめます。トロンボーン・ソロはAaro Huopainen、トランペット・ソロはJukka Eskola
https://www.youtube.com/watch?v=X9UUM1H9wzs

「Waltz Unsolved」
Timo Lassy作。オリジナルは『Love Bullet』(2015年)収録。ダンサブルなクラブジャズ感覚と優雅なビッグ・バンド感覚のバランスが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=uY1nsn1E_Dc

Trumpet [Solo] – Mikko Karjalainen

「Universal Four」
Teppo Makynen作。オリジナルは『The Soul & Jazz Of Timo Lassy』(2007年)収録。北欧ジャズ×フリー・ジャズ×ビッグ・バンド・ジャズな優雅でスペクタクルなジャズ・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=dN6f0D6n2hs

「Bass Intro」
Antti Lotjonenのベース・ソロによる次曲へのイントロ。

「African Rumble」
Teppo Makynen/Timo Lassy作。オリジナルは『The Soul & Jazz Of Timo Lassy』(2007年)収録。クラブジャズ・モードの疾走感のあるラテン・ジャズ・フレイヴァーの演奏を楽しめます。僕好みのパーカッシヴなクラブジャズ・サウンドにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=KyLB653cZNc

「Band Introduction」
バンドの紹介です。

「Teddy The Sweeper」
Timo Lassy作。オリジナルは『In With Lassy』(2012年)収録。格好良すぎるイントロだけでKOされてしまいます。ビッグ・バンドらしいダイナミックな演奏とクラブジャズ的な演奏を抜群のセンスでミックスさせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=87XmQYzVvjY

「Sweet Spot」
<Teppo Makynen/Timo Lassy作。オリジナルはa href="http://eastzono.seesaa.net/article/456475495.html">『The Soul & Jazz Of Timo Lassy』(2007年)収録。サンバのリズムを取り入れたTimo Lassyらしい北欧クラブジャズ・サウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=lmMPclnrNsY

「Northern Express」
CDボーナス・トラック。Timo Lassy/Valtteri Poyhonen作。オリジナルは『Moves』(2018年)収録。スウィンギー感覚とアフロ・キューバンなクラブジャズ感覚が交錯する格好良い演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kZUoBl6BzpE

Timo Lassyの他作品もチェックを!

『The Soul & Jazz Of Timo Lassy』(2007年)
Soul & Jazz of Timo Lassy

Timo Lassy Featuring Jose James『Round Two』(2009年)
ラウンド・トゥー

『In With Lassy』(2012年)
IN WITH LASSY [輸入盤]

『Love Bullet』(2015年)
Love Bullet

『Moves』(2018年)
Moves

Timo Lassy & Teppo Makynen『Timo Lassy & Teppo Makynen』(2019年)

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2020年05月24日

Adam Dunning『The Return』

オージー・メロウ・ボッサ、8年ぶりの新作☆Adam Dunning『The Return』

発表年:2020年
ez的ジャンル:オージー系メロウ・ボサノヴァ
気分は... :ストラクチャル・ホール・・・

新作からオーストラリア・メルボルン出身の男性シンガー・ソングライターAdam Dunningの最新3rdアルバム『The Return』です。

1971年オーストラリア・メルボルン出身の男性SSW、Adam Dunningの紹介は、『Sunset Monkeys』(2011年)、『Glass Bottom Boat』(2012年)に続き2回目となります。

前作『Glass Bottom Boat』(2012年)から約8年の歳月を経て、ようやく3rdアルバム『The Return』が届けられました。

過去2作は英語で歌われる極上のメロウ・ボッサで日本でも話題となりましたが、本作でもその基本路線は変わりません。

レコーディングは、ブラジルのリオデジャネイロ、トルコのイスタンブール、そして母国オーストラリアで行われました。

メイン・プロデュースはブラジルの新世代ボサノヴァ・ユニットBossacucanovaのメンバーAlex Moreira

それ以外に『Sunset Monkeys』(2011年)でAdamと共同プロデュースを務めたRonaldo Cotrimが2曲、Cagri Kodamanglu(トルコ語を無理矢理、英語綴りにしています)、Greg J Walkerが各1曲でプロデュースを務めています。

アルバムにはオーストラリア人女性シンガーTash Parker、トルコ人女性シンガーChanCeがフィーチャリングされています。

この新作のために新たに曲を書き下ろしたのではなく、以前から書き溜めていた楽曲をレコーディングしたといった感じみたいですね。

オーストラリアの真っ青な空と海、太陽の眩しさをイメージさせるメロウ・ボッサ・ワールドを存分に楽しめます。また、オリエンタル・ムードの楽曲や、ウクレレでハワイアンをイメージさせる楽曲などのアクセントも効いています。

オーストラリア人アーティストならではのボッサ・ワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Rains Of Montmartre」
ストリングスを配したスタンダード・カヴァーのようなイントロで始まるロマンティック・ボッサがオープニング。ノスタルジックな映画のテーマ曲のような雰囲気です。Alex Moreiraプロデュース。

「The Path」
Ronaldo Cotrimプロデュース。過去2作のファンが歓喜しそうメロウ・ボッサ。オージーの真っ青な海が似合う1曲ですね。

「The Ocean」
ノスタルジック・ムードの哀愁ボッサ。素敵なストリングス&ホーン・アレンジが盛り上げてくれます。

「Shades」
Tash Parkerをフィーチャー。Adamのウクレレの音色が少しハワイアンも感じさせるアコースティック・メロウ。時間の流れを忘れさせてくれる澄み切った美しさがあります。Alex Moreiraプロデュース。

「E Lala Lay-E (They're Singing)」
Joao Donatoの楽曲にAdamが英語詞をつけたもの。Alex Moreiraプロデュース。このメロウ・フィーリングはAOR好きの人も気に入るのでは?

「The Return」
Alex Moreiraプロデュース。Flavio Mendesのギター、そのFlavioのアレンジによるストリングスが秀逸なビューティフル・ボッサ。聴いているだけで心が浄化されます。

「Ordinary」
トルコ人女性シンガーChanCeをフィーチャー(二人は2015年にもデジタル配信曲で共演)。Cagri Kodamangluプロデュース。独特のオリエンタル・ムードが漂うサウンドは本作の中でも異色の1曲に仕上がっています。

「True Lies」
この曲もJoao Donatoの楽曲にAdamが英語詞をつけたもの。Alex Moreiraプロデュース。サウダージ・ムードたっぷりのロマンティックな哀愁ボッサ。

「Holiday」
Tash Parkerをフィーチャー。2013年にデジタル配信していた楽曲です。ワルツ調のアコースティック・メロウ。2人だけのホリデーといったロマンティック・ムードが漂います。Greg J Walkerプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=hXW4FjzqR6w

「Beautiful Goodbye」
Ronaldo Cotrimプロデュース。ビター・スウィートなオトナのボッサ・チューン。愛しき日々を懐かしむようなAdamのヴォーカルがいいですね。

「Higher」
本編ラストはジャジー・ポップにボッサが入り混じった楽しげな1曲で締め括ってくれます。
Alex Moreiraプロデュース。

「The World I Want For You」
国内盤ボーナストラック。ピアノ、フルートをバックに切々と歌い上げるバラードです。

Adam Dunningの過去記事もご参照ください。

『Sunset Monkeys』(2011年)
サンセット・モンキーズ

『Glass Bottom Boat』(2012年)
グラス・ボトム・ボート
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2020年05月17日

Drama『Dance Without Me』

シカゴの男女R&Bデュオ☆Drama『Dance Without Me』

発表年:2020年
ez的ジャンル:シカゴ男女R&Bデュオ
気分は... :ヒンヤリ感がいい・・・

新作アルバムからDrama『Dance Without Me』です。

Dramaはシカゴを拠点とする男女R&Bデュオ。
メンバーはプロデューサーのNa'el ShehadeとヴォーカリストのVia Rosa

彼らは2016年に自主制作でアルバム『Gallows』を発表し、さらに4枚のEPをリリースしています。

そしてGhostlyと契約し、制作されたフル・アルバムが本作『Dance Without Me』です。

アルバム全体は美しくもダークでメランコリックなダンス・サウンドで貫かれています。ある意味、今の時代らしいダンス・アルバムと呼べるのでは?

派手さはありませんが、意外にポップでキャッチーなトラックが並んでいます。

このヒンヤリ感はこれからの暑い季節に重宝すると思います。

全曲紹介しときやす。

「7:04 AM」
静寂のダンサブル・チューンといった趣のオープニング。Via Rosaのヴォーカルと美しいピアノが織り成す澄み切った音世界がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=3KfHiRTmPhk

「Years」
今どきのダークでメランコリックなダンス・チューンですが、ビートがオールドスクールなのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gyWFjz71-FM

「Forever And A Day」
ジャズ・ピアノ×エレクトロニカなダンサブル・チューン。寂しげで儚いムードがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=Vzvt757rp2g

「Hold On」
アルバムの中でも最もキャッチーで完成度の高いダンサブル・チューン。彼ら流のポップ・センスを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=W3-SO55hG6Q

「Gimme Gimme」
ダーク&ポップ&ソウルなダンサブル・チューン。ヒンヤリとしたヴォーカル&サウンドが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=2GRJPgd7agA

「Good For Nothing」
何処となくノスタルジックなシンセが印象的なダンス・チューン。チープな雰囲気が逆に味があります。
https://www.youtube.com/watch?v=oOm60LuXhDo

「People Like You」
哀愁ミディアム・グルーヴ。Via Rosaの低温ヴォーカルとダークなサウンドが織り成すヒンヤリ・ムードがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=o0f00rAQ1wg

「Days And Days」
これも哀愁ミディアム・グルーヴ。ダークだけどダウナーではなく美しさを感じるのが、このユニットらしいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=CaleH1pZMfY

「Lifetime」
ヒンヤリとした美しさが魅力のミディアム。ストリングスを効果的に用いています。
https://www.youtube.com/watch?v=AEwoKLLAIX4

「Nine One One」
抑えたトーンのViaのヴォーカルが印象的なミディアム。ストリングスがドラマティックな効果を演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=ytT2H2C5OwA

「Dance Without Me」
タイトル曲は寂しげなダンサブル・チューン。メランコリック・モードでアルバムを締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iVEVVNAmaQs

R&B好きというよりも、ダンスポップ好き向けかも?
posted by ez at 00:29| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月10日

Gus Levy『Magia Magia』

リオのオルタナ・ポップ第三世代☆Gus Levy『Magia Magia』

発表年:2020年
ez的ジャンル:リオ・オルタナ・ポップ第三世代
気分は... :桃源郷へ・・・

今回はブラジル新作からGus Levy『Magia Magia』です。

Gus Levyは1990年4月3日生まれ。

2008年に結成したバンドOs Dentesのメンバーとして活動し、3枚のアルバムを発表。また、ソロ名義のアルバムもこれまで4枚リリースしているようです。

国内盤ライナーノーツを書かれた中原仁さんによれば、RubelAna Frango Eletricoらと並ぶリオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストになるのだそうです(そもそも第一世代、第二世代を把握できていませんが・・・)。

僕としては、RubelAna Frango Eletricoという2人のアーティストとの繋がりに興味を持ちました。

Rubel『Casas』(2018年)は年末恒例の『ezが選ぶ2019年の10枚』にセレクトしたお気に入り作品でした。Gus Levyもその『Casas』にギタリストとして参加していました。

また、Ana Frango Eletricoについても、2ndアルバム『Little Electric Chicken Heart』(2019年)をCDショップで何度か試聴して気になっていました。

さて、本作『Magia Magia』ですが、サンバ・ロック、サイケ、ポップを取り入れたブラジリアン・オルタナ・ポップ作品に仕上がっています。桃源郷的なチルアウト感もあります。

プロデュースはGus Levy自身。

レコーディング・メンバーはGus Levy(vo、g、key)、Marcelo Costa(ds、per)、Pedro Dantas(b)、Joao Werneck(g)、Ana Frango Eletrico(back vo)、Raquel Dimantas(back vo)、Quarteto cAis(strings)。

全11曲。それぞれにオルタナ・ポップらしい魅力がある充実作だと思います。

このポップ・ワールドにしばらくハマりそうです。

全曲紹介しときやす。

「No Vento Que For」
リオの次世代インディー・ポップ感が伝わってくるオープニング。サイケな雰囲気もあっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ILJvdbw61AA

「Juliana」
ブラジル×ロックなフィーリングがいいですね。トロピカリア(トロピカリズモ)から50年余り、時代が一回りしてきた感じもします。
https://www.youtube.com/watch?v=wu-mUYN8wgM

「Voce Passa」
純粋に格好良いブラジリアン・ロックだと思います。このハネ感はブラジル人アーティストらしいのかもしれませんえん。
https://www.youtube.com/watch?v=n8lTUpzNBkg

「Plantar a Flor no Inferno」
Jorge Benの影響を感じる1曲。ソフト・メロウなJorge Benといった感じですね。女性コーラス陣もいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=TRFZe91nOc8

「Sua Forca」
サイケ&メロウな心地好いレイジー・フィーリングがたまりません。マッタリ過ごしたいときに聴きたい音です。
https://www.youtube.com/watch?v=-GSH3hb2zGI

「Magia Magia」
タイトル曲はドリーミーなメロウ・ポップ。夢の中で瞑想しているような気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=tnWMqJj52VY

「Meu Gosto」
サイケ&メロウのバランスが絶妙なインディー・ポップ。終盤のストリングスも効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=EmEGvTH264A

「Nosso Amor」
前半はGus Levyの弾き語り、後半はRaquel Dimantasがソロをとるビューティフル・ポップへ展開します。こういう曲でもサウダージ感が漂うのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=By2ixuczWtE

「Mudanca」
ブラジリアン・サイケ・ポップ。このサイケ・フィーリングは次世代ブラジル人アーティストならではかもしれませんね。コレはハマりそう・・・
https://www.youtube.com/watch?v=SVGuvtEp5FY

「Um Misterio」
ブラジリアン・ネオ・アコといった趣のメロウ・ポップ。ブラジル音楽ファン以外も虜にする普遍的な魅力がある1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=pUbvQj8rMYk

「Devagar」
ラストはMarcelo Costaによるリズムとストリングスが活躍する幻想ポップで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=tlWuF3ZhQhw

ご興味がある方はRubel『Casas』(2018年)やAna Frango Eletrico『Little Electric Chicken Heart』(2019年)もチェックを!

Rubel『Casas』(2018年)
カーザス CASAS

Ana Frango Eletrico『Little Electric Chicken Heart』(2019年)

posted by ez at 00:35| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月03日

Kassa Overall『I Think I'm Good』

ハイブリッドでメランコリックな次世代ジャズ☆Kassa Overall『I Think I'm Good』

発表年:2020年
ez的ジャンル:ハイブリッド&メランコリック系次世代ジャズ
気分は... :無分別の音世界...

新作ジャズからKassa Overall『I Think I'm Good』です。

Kassa OverallはN.Y.を拠点とするジャズ・ミュージシャン、MC、シンガー、プロデューサー、ドラマー。育ったのはシアトルのようですね。

自らを"バックパック・ジャズ"と称するように、ジャズ・ドラマーでありながら、MC、ビートメイクなどジャンル、スタイルに囚われない身軽な音楽活動を信条としているようです。

そんな彼の才能はArto LindsayRoy Hargroveらからも高く評価されています。

これまで女性シンガーTeclaとのユニットToothpaste名義でのToothpaste/Tecla + Kassa『1996』(2012年)
Peter EvansJohn Hebertとの共同名義アルバムPeter Evans, Kassa Overall, John Hebert『Zebulon』(2013年)、さらにはRoy HargroveArto LindsayTheo CrokerCarmen LundyJudi Jacksonらをフィーチャリングした『Go Get Ice Cream And Listen To Jazz』(2019年)といったアルバムをリリースしています。

そんなKassa OverallGilles PetersonBrownswood Recordingsからリリースした最新作が『I Think I'm Good』です。

昨今の次世代ジャズ・ドラマーと同じく、ビートメイカーとしての才を兼ね備えているジャズ・ミュージシャンですね。

前作『Go Get Ice Cream And Listen To Jazz』におけるジャズ×Hip-Hopのハイブリッド・アプローチをさらに推し進めたのが本作『I Think I'm Good』です。

本人曰く、前作『Go Get Ice Cream And Listen To Jazz』A Tribe Called Quest(ATCQ)Nas、本作『I Think I'm Good』Dr. DreSnoop Dogg2Pacなのだとか。実際に聴くと、この喩えはあまりピンと来ませんが・・・

アルバムにはTheo Croker(flh)、Aaron Parks(p、syn)、Vijay Iyer(el-p)、Joel Ross(vibe)、Sullivan Fortner(p)、Carlos Overall(ts)、J Hoard(vo)、Melanie Charles(vo)、Angela Davis(vo)といったアーティストがフィーチャリングされています。

それ以外にBrandee Younger(harp)、BIGYUKI(syn)、Rafiq Bhatia(g)、Stephan Crump(b)、Joe Dyson(ds)、Mike King(syn)、Morgan Guerin(clarinet、sax、ds、b)、Jay Gandhi(bansuri)等のミュージシャンが参加しています。

プロデュースはKassa Overall自身。
「Show Me A Prison」以外はKassaのオリジナルです。

聴く前は、もっと次世代ジャズ・ドラマー、Hip-Hopトラックメイカーの色を強く出している作品をイメージしていましたが、実際聴くと、かなり違った印象でした。

ジャズ・ドラマーという肩書やジャンルの枠に囚われないジャズ、Hip-Hop、R&B、エレクトロニカ等を飲み込んだハイブリッドなサウンドと、メランコリックな音世界を貫徹した構成に少なからず驚かされました。

一応、ジャズ・ミュージシャンという本籍を持ちながらも、一か所に定住せずバックパッカー的な活動をした結果、住所を持たず生きていく(ジャンルを意識せず音楽する)スタイルに行き着いたのでしょうね。

実験的・抽象的で必ずしも聴きやすいアルバムではないし、派手さもないですが、興味を持って聴けば、静かなるインパクトを楽しめると思います。

こういった作品がBrownswoodからリリースというのも興味深いですね。

次世代ミュージシャンらしい無分別の音世界を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Visible Walls」
ジャズ・ドラマー作品にも関わらず、いきなりビートレスのオープニング。浮遊するシンセをバックに、Brandee Youngerの美しいハープ、Jay Gandhiの生命の息吹のようなバンスリー、Kassaの素朴なヴォーカル等が織りなす静寂の音世界が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=Py_TEyuSwO8

「Please Don't Kill Me」
Joel Ross、Theo Crokerをフィーチャー。ヴァイヴ、フリューゲルホーン、ハープ、ピアノ、シンセ、ベース、ドラム、そしてKassaのヴォーカルによる美しい演奏が転回されます。片隅の小さな美しさといった雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=nx9FX86nK8I

「Find Me」
J Hoardをフィーチャー。エフェクトを駆使した前衛的な新世代ジャズに仕上がっています。ビジュアルとセットで聴きたい音ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pGiwrT_gxM0

「I Know You See Me」
J Hoard、Melanie Charlesをフィーチャー。BIGYUKIも参加。Kassaのビートメイカー&次世代ジャズ・ドラマーのセンスを感じる1曲。メロトロンの不協和音のような響きも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=zZVx1_BvRZE

「Sleeping On The Train」
ドラム、ピアノ、バンスリーによる1分強の小曲。でも雰囲気が実にいいです。バンスリーの響きに癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=umIlueSIo_A

「Show Me A Prison」
J Hoard & Angela Davisをフィーチャー。60年代に活躍したUSフォーク・シンガーPhil Ochs作品のカヴァーです。意外なセレクトですね。R&B寄りのメランコリックでハイブリッドな音世界を楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=dPUp2_kX-8g

「Halfway House」
ピアノ、ベース、ドラム、メロトロンをバックにKassaが寂しげに歌う哀愁R&B。
https://www.youtube.com/watch?v=9mN6xbgOhTU

「Landline」
Carlos Overall(多分、Kassaの兄弟)をフィーチャー。ドラム、テナー・サックスのによる兄弟セッション。
https://www.youtube.com/watch?v=BSkwW_I_zTc

「Darkness In Mind」
Sullivan Fortnerのピアノをフィーチャー。タイトル通り、心の闇を美しも悲しげな演奏で聴かせます。Kassaのドラムによるアクセントが心の葛藤を表現しているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=TqygxaZxDdw

「The Best Of Life」
Aaron Parksのピアノ、シンセをフィーチャー。ハイブリッドでダンサブルな哀愁R&B。途中、Kassaがラップも披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wgXaSVwvaNo

「Got Me A Plan」
シンプルなバックによるR&B調の仕上がり。ローファイ感覚の音作りが今どきなのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=bP9ygvwJ260

「Was She Happy (For Geri Allen)」
Vijay Iyerをエレピをフィーチャー。本編ラストはドラム、エレピのみの音像的な哀愁サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZZqY2h9sTYI

国内盤CDにはボーナス・トラック「Free Morgan」が追加収録されています。
posted by ez at 02:50| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする