2019年11月12日

Miles Davis『Rubberband』

34年を経てベールを脱ぐ秘蔵アルバム☆Miles Davis『Rubberband』
ラバーバンド
発表年:2019年
ez的ジャンル:80年代マイルス秘蔵セッション
気分は... :時空を超えたMiles!

遂に出た!ジャズ界の帝王Miles Davis、話題の秘蔵アルバム『Rubberband』です。
※オリジナル・セッションの時期を踏まえて便宜上80年代カテゴリーにしています。

ジャズ界の帝王Miles Davisに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の19枚。

 『Bag's Groove』(1954年)
 『'Round About Midnight』(1955、56年)
 『Cookin'』(1956年)
 『Miles Ahead』(1957年)
 『Milestones』(1958年)
 『Someday My Prince Will Come』(1961年)
 『E.S.P.』(1965年)
 『Miles Smiles』(1966年)
 『Nefertiti』(1967年)
 『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
 『In A Silent Way』(1969年)
 『Live Evil』(1970年)
 『On The Corner』(1972年)
 『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
 『In Concert』(1973年)
 『Dark Magus』(1974年)
 『Agharta』(1975年)
 『The Man With The Horn』(1981年)
 『Tutu』(1986年)

本作『Rubberband』のレコーディングを開始した1985年10月は、Milesが長年在籍していたColumbiaを離れ、Warner Bros.への移籍を決断した時期であり、本来はその移籍第1弾アルバムとなるはずでした。

プロデュースはRandy HallAttala Zane Giles

Randy HallはMilesの甥のVince Wilburn, Jr.と幼馴染みのシンガー/ギタリスト/プロデューサーであり、Milesのカムバック・アルバム『The Man With The Horn』(1981年)にも参加していました。

Miles自らがRandy Hallにプロデュースを依頼し、その当時Hallと一緒に仕事をしていたAttala Zane Gilesもプロデューサーとして加わることになった模様です。

こうして1985年10月から1986年1月にかけて、『Rubberband』のセッションが行われました。

レコーディングのコア・メンバーはMiles Davis(tp、key、syn)以下、Randy Hall(g、prog)、Attala Zane Giles(g、b、drum prog、key)、Vince Wilburn, Jr.(ds)、Adam Holzman(key)、(key)、Neil Larsen(key)、Michael Paulo(sax)、Glenn Burris(sax)、 Steve Reid(per)。

しかしながら、その全体像が明らかになりつつあった段階で、Warnerのジャズ部門を仕切っていた大物プロデューサーTommy LiPumaが内容に難色を示し、本セッションはお蔵入りとなってしまいました。そして、新たに移籍第1弾作品としてレコーディングされたのがMarcus Millerと組んだ『Tutu』(1986年)です。

その後陽の目を見ることがなかった『Rubberband』セッションでしたが、4年前にMiles Davis Estateへリリースの打診があった模様です。Miles Davis Estateメンバーでもあった甥のVince Wilburn, Jr.が、オリジナルのままでのリリースは不適切であると考え、当時のプロデューサーRandy HallAttala Zane Gilesに声を掛け、今の時代に相応しい作品としてアップデートさせたものが本作『Rubberband』です。

新たにLedisiLalah HathawayMedina Johnsonといったシンガーがフィーチャリングされています。

それ以外にMike Stern(g)、Arthur Haynes(b)、King Errisson(congas)、Anthony "Mac Nass" Loffman(key、prog)、Javier Linares(p、key)、Munyungo Jackson(timbales、per)、Isaiah Sharkey(g)、Felton Crews(b)、Angus Thomas(b)、Robert Irving III(key、syn)、Marilyn Mazur(per)、Steve Thornton(per)、Bob Berg(sax)、Keith Nelson(b)、Rick Braun(tp、tb)といった新旧ミュージシャンがレコーディングに参加しています。

当時のMilesの意図を汲んだ演奏と、リワークでオリジナルとは異なる表情を見せる演奏が入り混じっている感じが逆に面白いと思いました。

Scritti Politti調ファンク・グルーヴの「This Is It」「Rubberband」Prince調のミネアポリス・ファンク「Give It Up」、ファンキーなG0-GOビートの「Echoes In Time/The Wrinkle」あたりには当時のMilesの嗜好が反映されていると思います。

一方、Ledisiをフィーチャーした「Rubberband Of Life」、Medina Johnsonの女性ヴォーカルをフィーチャーした「Paradise」Lalah Hathawayをフィーチャーした「So Emotional」はリワークで生前のMilesも想像しなかったような演奏に仕上がっているのでは?

賛否両論があり、評価が分かれるであろう1枚だと思いますが、僕はかなり楽しめました。

熱狂的なMilesファンより、むしろMiles Davisをあまり聴いたことがない人の方がとっつきやすい1枚かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「Rubberband Of Life」
実力派女性R&BシンガーLedisiをフィーチャー。アルバムに先駆けて2018年EPリリースされた楽曲であり、オリジナル・トラック「Rubberband」のリワークです。Lou Donaldson「Ode To Billie Joe」をサンプリングし、ATCQ的なジャズHip-Hop的な雰囲気を狙った曲。このあたりは生前Hip-HopへアプローチしていたMilesのスタンスとも符合するのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=mFgW1dzzH9U

「This Is It」
この曲は当時Milesが刺激を受けていたScritti Polittiのサウンドを意識した仕上がりになっています。Milesは『Tutu』『Cupid & Psyche 85』(1985年)収録の彼らのヒット曲「Perfect Way」をカヴァーし、さらに彼らのアルバム『Provision』(1988年)のレコーディングにも参加しています。Milesの願望を叶えたScritti Politti調ファンク・グルーヴを満喫できます。ここではRandy Hallのギター・ソロも目立っています。
https://www.youtube.com/watch?v=gVJRXGphX1w

「Paradise」
Medina Johnsonの女性ヴォーカルをフィーチャー。レゲトンやスパニッシュのエッセンスを加えたラテン・フレイヴァーのパーカッシヴな仕上がり。Miles Davis & Michel Legrand「Concert On The Runway」ネタも使っています。およそMiles Davisらしからぬ雰囲気ですが、意外性があって楽しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=8THEWi8BOV8

「So Emotional」
Donny Hathawayの娘Lalah Hathawayをフィーチャー。当時の演奏に満足していなかったHallとGilesが大幅に手直しを加えた模様です。雰囲気としては、Lalah Hathawayが歌うオトナのR&BバラードにMilesが客演しているといった感じです。Milesのセピア感溢れるミュート・トランペットがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=_VEfWGBN3-U

「Give It Up」
Princeをはじめとするミネアポリス・ファンクを意識したダンサブル&ファンキーな演奏です。もし、殿下と帝王が共演していたらこんな感じだったんだろうなぁ・・・と妄想が膨らむ1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=t-bQYsP8VbI

「Maze」
このセッションのみ『Rubberband』セッション以前の1985年9月のレコーディングのようです。エレクリック・マイルス的な雰囲気も持ったある意味Milesらしい音世界なのでは?ギター・ソロはMike Stern。
https://www.youtube.com/watch?v=KkE7Dci6vBk

「Carnival Time」
Neil Larsenの作品であり、Milesはライヴでも頻繁に演奏していたようです。Neil Larsenらしいラテン・テイストのフュージョン・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=A6192saaYTU

「I Love What We Make Together」
Randy Hallをフィーチャー。元々Al Jarreauのために書かれた曲であり、本人もこのプロジェクトへの参加を望んでいたようですが、実現することなくAl Jarreauが2017年に逝去してしまいました。演奏自体は都会的ミディアム・グルーヴに仕上がっています。Randy Hallのヴォーカルも素晴らしいですが、確かにこの曲はAl Jarreauが歌っていたら相当ハマっていた気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=cqcuxRX5sTE

「See I See」
引き算の美学的なMilesのプレイを楽しめるファンク・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=8xG-nq2yhEM

「Echoes In Time/The Wrinkle」
静寂のバラード「Echoes In Time」から一転し、ファンキーなG0-GOビートの「The Wrinkle」へ展開していきます。新しい音に貪欲でったMilesのスタンスがよくわかる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=qRjrx8fWfnM

「Rubberband」
ラストは「Rubberband」のオリジナル・ミックス。Scritti Polittiにインスパイアされたファンク・グルーヴといった感じですね。Mike Sternが素晴らしいロッキン・ギター・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=5WfYZM0NhgA

Miles Davisの過去記事もご参照下さい。

『Bag's Groove』(1954年)
バグズ・グルーヴ

『'Round About Midnight』(1955、56年)
'Round About Midnight

『Cookin'』(1956年)
クッキン

『Miles Ahead』(1957年)
Miles Ahead

『Milestones』(1958年)
マイルストーンズ+3

『Someday My Prince Will Come』(1961年)
Someday My Prince Will Come

『E.S.P.』(1965年)
E.S.P.

『Miles Smiles』(1966年)
マイルス・スマイルズ

『Nefertiti』(1967年)
ネフェルティティ + 4

『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
キリマンジャロの娘

『In A Silent Way』(1969年)
In a Silent Way (Dlx)

『Live Evil』(1970年)
ライヴ・イヴル

『On The Corner』(1972年)
Blu-spec CD オン・ザ・コーナー

『In Concert』(1973年)
イン・コンサート

『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
ゲット・アップ・ウィズ・イット

『Dark Magus』(1974年)
ダーク・メイガス

『Agharta』(1975年)
Agharta

『The Man With The Horn』(1981年)
The Man with the Horn

『Tutu』(1986年)
TUTU<SHM-CD>
posted by ez at 03:59| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月05日

Talking Heads『Naked』

ワールド・ミュージック的なラスト・アルバム☆Talking Heads『Naked』
Naked
発表年:1988年
ez的ジャンル:N.Y.ニューウェイヴ/オルタナティヴ
気分は... :パラダイム・シフト!

N.Y.ニューウェイヴを代表するグループTalking Headsのラスト・アルバム『Naked』(1988年)です。

David ByrneJerry HarrisonTina WeymouthChris Frantzという4人組Talking Headsについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の6枚(Tom Tom Clubを含む)。

 『Talking Heads: 77』(1977年)
 『More Songs About Buildings And Food』(1978年)
 『Fear Of Music』(1979年)
 『Remain in Light』(1980年)
 『True Stories』(1986年)
 Tom Tom Club『Tom Tom Club』(1981年)

デビュー作『Talking Heads: 77』(1977年)以来、N.Y.ニューウェイヴの最重要バンドとして音楽シーンに君臨したTalking Headsですが、本作『Naked』(1988年)は結果的にグループのラスト・アルバムとなりました。

本作の翌年、David Byrneはラテン色を全面に打ち出した初ソロ・アルバム『Rei Momo』をリリースしています。

Talking Headsといえば、『Remain in Light』(1980年)を頂点とした初期作品のインパクトが強く、それらとの比較で後期作品になればなるほど評価はビミョーになってきます。その意味で、本作『Naked』(1988年)も今日酷評されることも少なくありません。

それでも個人的にはリアルタイムで頻繁に聴いたアルバムであり、今でも何となく愛着のある1枚です。

『Naked』は、アフリカ音楽へのアプローチが目立つ1枚です。
ただし、衝撃作『Remain in Light』(1980年)で聴かれたようなアフロビート/アフロ・ファンクではなく、リンガラやハイライフなどを取り入れたものであり、当時流行しつつあったワールド・ミュージックのトレンドにも合致したものです。

こうしたグループの狙いは、ワールド・ミュージック・ブームの中心地でパリでレコーディングを行い、アフリカ系ミュージシャンをはじめ、多様なミュージシャンとのセッションを繰り返した制作過程からも窺えます。

アフリカ音楽へアプローチしたといっても、それを前面に目立たせるばかりではなく、ラテン、アメリカン・ルーツ・ミュージックなどと融合させるハイブリッド感覚や、Talking Headsならではのオルタナ感覚を先鋭的センスも存分に楽しめます。

プロデュースは当時超売れっ子であったUKのプロデューサーSteve Lillywhite

David Byrne(vo、g、key、p)、Jerry Harrison(g、p、key、vo)Tina Weymouth(b、g、key、vo)、Chris Frantz(ds、per、key)の4人以外のミュージシャンとして、有名どころではUKの人気バンドThe Smithsの中心メンバーであったJohnny Marr(g)、ワールド・ミュージックの注目アーティストであったMory Kante(kora)、元Tower of PowerのメンバーLenny Pickett(sax)、Steve Lillywhiteがプロデュースを手掛けていたThe PoguesのメンバーJames Fearnley(accordion)、Steve Lillywhiteの奥方でもあったUK女性シンガーKirsty MacColl (vo)が参加しています。

アルバムはUSアルバム・チャート第19位、UKアルバム・チャート第3位となっています。

他のTalking Heads作品と同じくSireからのリリースです。

楽曲はすべてメンバーのオリジナルです。

1つの時代の終わりと、ワールド・ミュージック・ブームの到来を予感させる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Blind」
アルバムからの1stシングル。Talking Headsらしい曲調ですが、ラテン・タッチなピアノ、トーキング・ドラムのアフリカン・リズムなどワールド・ミュージック的サウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=52A6p8IvSkU

「Mr. Jones」
「Ye ke ye ke」のヒットで注目を浴びていたギニア人アーティストMory Kanteのコラをフィーチャーした1曲。こう聞けばアフリカ色の強い演奏をイメージするかもしれませんが、全体的にはラテン色が強く、David Byrneの1stソロ『Rei Momo』を予感させる仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=BxRnYhoZDSw

「Totally Nude」
リンガラへアプローチしたほんわかムードの演奏ですが、Talking Heads作品として聴いているとテックスメックス風にも聴こえてくるのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=LCjK-lVHXXs

「Ruby Dear」
ニューウェイヴ×ワールド・ミュージックのハイブリッド感が魅力の演奏です。Steve LillywhiteプロデュースっぽいUKロックの香りもします。
https://www.youtube.com/watch?v=33z58nGSpB8

「(Nothing But) Flowers」
アルバムからの2ndシングル。本作を象徴するアフリカン・テイストのワールド・ミュージック的な1曲。開放的なのに何処となく物悲しい雰囲気も漂わせるのがTalking Headsらしいセンスですね。個人的にもアルバムで一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=2twY8YQYDBE

「The Democratic Circus」
Eric Weissbergが弾くドブロの音色が印象的なアメリカン・ルーツ・ミュージックですが、一筋縄ではいかないのがTalking Headsです。
https://www.youtube.com/watch?v=S1_Ys6UchLo

「The Facts Of Life」
Talking Headsらしいシニカルな物悲しさが漂うダーク・トーンの哀愁チューン。ワールド・ミュージック色は影を潜めているように感じますが、Mory Kanteのコラなどが隠し味で効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=FRdzLlqpltQ

「Mommy Daddy You And I」
レゲエ×ワールド・ミュージックといったハイブリッド感が印象的な1曲。The PoguesのJames Fearnleyのアコーディオンがアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zwTeFMrJ8_Q

「Big Daddy」
アメリカン・ルーツ・ミュージックとラテン・ミュージックをオルタナ・ロックを介して融合させたようなTalking Headsならではのセンスに満ちた1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=7swUu10Rb9M

「Bill」
CDのみに収録されている楽曲。淡々とした哀愁チューン。哀愁がジワジワ沁み込んできます。
https://www.youtube.com/watch?v=PWn_y_DJJZU

「Cool Water」
ラストはJohnny Marrの幽玄のようなギターが揺らめく哀愁チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kJU4WfHYGiM

Talking Headsの過去記事もご参照下さい。
 
『Talking Heads: 77』(1977年)
Talking Heads '77

『More Songs About Buildings And Food』(1978年)
More Songs About Buildings & Food (CD + Dvd)

『Fear Of Music』(1979年)
Fear of Music by TALKING HEADS (2004-08-23)

『Remain in Light』(1980年)
Remain in Light

『True Stories』(1986年)
True Stories

Tom Tom Club『Tom Tom Club』(1981年)
Tom Tom Club
posted by ez at 00:50| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月29日

Julie Kelly With Tom Garvin『Some Other Time』

スウィンギー&ブラジリアンな女性ジャズ・ヴォーカル☆Julie Kelly With Tom Garvin『Some Other Time』
Some Other Time
発表年:1989年
ez的ジャンル:女性ジャズ・ヴォーカル
気分は...:秋ジャズと栗御飯・・・

昨日の朝はスポーツで盛り上がりましたね。
朝からゴルフのZOZO CHAMPIONSHIPとサッカーU-17W杯「日本対オランダ」をザッピングしながら大興奮していました!さらにその後にNFL「チーフス対パッカーズ」という好カードのおまけもつきました(笑)

秋になるとジャズが聴きたくなりますね。
そんな流れで女性ジャズ・ヴォーカル作品を・・・
Julie Kelly With Tom Garvin『Some Other Time』(1989年)です。

Julie Kellyは1947年カリフォルニア州オークランド生まれの女性ジャズ・シンガー。

アルバム『We're On Our Way』(1984年)でデビューし、本作『Some Other Time』(1989年)は3rdアルバムとなります。

また、本作でJulie Kellyのパートナーを務めるTom Garvinは、当ブログでも紹介した『Secret Fantasy』(1982年)をはじめ、US男性ジャズ・シンガーMike Campbellとの共演で知られるジャズ・ピアニストです。

本作『Some Other Time』(1989年)は、『We're On Our Way』(1984年)、『Never Let Me Go』(1985年)に続く3rdアルバムとなります。

レコーディング・メンバーはJulie Kelly(vo)、Tom Garvin(p)、Jay Anderson(b)、Todd Strait(ds)、Gene Bertoncini(g)、Joey Cardello(per)、Chris Botti(tp、flh)、Bob Franceschini(sax、fl)。

小粋なスウィンギー・ジャズにブラジリアン・ジャズのエッセンスが加わった僕好みの女性ジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。

これぞ!というキラー・チューンはありませんが、アルバム全体の構成は充実しています。

秋ジャズ聴きながら、栗御飯なんていかがでしょう。

全曲紹介しときやす。

「High Wire」
Tony Cohan/Chick Corea作。オリジナルはJoe Farrell『Skate Board Park』(1979年)ヴァージョンです。Mike Campbell『Secret Fantasy』(1982年)のCDボーナス・トラックでもカヴァーされていました。スウィンギーで軽快なサンバ・ジャズでオープニングから楽しませてくれます。Julieの快活なヴォーカル、Garvinの軽やかなピアノも絶好調です。

「Some Other Time」
Leonard Bernstein/Betty Comden/Adolph Green作のスタンダードをカヴァー。 名盤『Waltz For Debby』(1961年)に収録されたBill Evans Trioのカヴァーが有名ですね。それ以外に当ブログではMonica Zetterlund with Bill EvansCassandra WilsonDwight Tribleのカヴァーを紹介済みです。ここでは秋ジャズらしいバラードを聴かせてくれます。Garvinの美しいピアノ・ソロがいいですね。

「Part-Time Lover」
Stevie Wonder、1985年のヒット曲をカヴァー。スウィンギーな「Part-Time Lover」で楽しませてくれます。若き日のChris Bottiがトランペット・ソロで盛り上げてくれます。

「(The Old Man from) The Old Country」
Nat Adderley/Curtis Lewis作。落ち着いたオトナの色気を感じるバラードです。ウイスキー片手に聴きたい演奏ですな。

「Bahia」
Dave Grusin/Tony Mann作。秋ジャズらしいボッサ・ジャズ・バラード。緩急をつけたブラジリアン・リズムがいいですね。

「Double Rainbow」
Antonio Carlos Jobim/Gene Lees作。Jobimの「Chovendo Na Roseira」をカヴァー。当ブログではOsmar MilitoSergio Mendes & Brasil '77Steen Rasmussen Feat. Josefine CronholmStacey Kentヴァージョンを紹介済みです。ボサノヴァ名曲を変拍子を交えtワルツ・ジャズで聴かせてくれます。ここではGene Bertonciniのギターも目立っています。

「Detour Ahead」
邦題「恋の回り道」で知られるLou Carter/Herb Ellis/John Freigo作のスタンダードをカヴァー。Bill Evans Trio『Waltz For Debby』でも取り上げられていた楽曲です。ここではJulieの落ち着いた語り口が沁みるバラードを聴かせてくれます。

「A Beautiful Friendship」
Donald Kahn/Jule Styne/Stanley Styne作のスタンダードをカヴァー。Jay Andersonのベースがナビゲートする楽しいスウィンギー・ジャズ。Julieのバップ・スキャットも絶好調です。

「Sounds」
Chick Corea/R. Ruth Price作。Garvinの小粋なピアノが映える寛ぎのスウィンギー・ジャズです。

「Devil May Care」
Bob Dorough作品のカヴァー。Bob Doroughのオリジナルは『Devil May Care』(1956年)に収録されています。当ブログではJackson Sloanのカヴァーも紹介済みです。ここではクラブジャズ好きも気に入るであろう格好良い4ビート・ジャズで躍動します。

ご興味がある方はJulie Kellyの他作品もチェックを!

『We're On Our Way』(1984年)
Were on Our Way by Julie Kelly

『Stories to Tell』(1993年)
Stories to Tell

『Into the Light』(2001年)
Into the Light

『Everything I Love』(2006年)
Everything I Love

『Happy to Be』(2014年)
Happy to Be
posted by ez at 03:23| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月21日

Forecast『Forecast』

元The Kay-Geesメンバーらによるファンク・バンド☆Forecast『Forecast』
FORECAST I (REMASTERED)
発表年:1982年
ez的ジャンル:オハイオ産ファンク
気分は... :日本代表、感動をありがとう!

ラグビーW杯では、惜しくも南アフリカに敗れ、日本代表の劇的な1か月に終止符が打たれました。

私もそうですが、多くの人がラグビーW杯でこれほど盛り上がり、感動できるとは想像していなかったのではないでしょうか。

下馬評を覆す大躍進、日本代表としての誇り、ノーサイドの精神の素晴らしさ、特別なギフトを届けてくれたラグビー日本代表に感謝したいと思います。

その反動で日本代表ロスが大きい気がしますが・・・

さて、今回は80年代ファンク作品からForecast『Forecast』(1982年)です。

Forecastは元The Kay-GeesのメンバーでKool & The Gang作品にも参加していたAmir BayyanKevin Bell)を中心にオハイオで結成されたファンク・バンド。

グループのメンバーはAmir Bayyan(g、key、b、ds、per)、Adil Bayyan(ds、per)、Royal Bayyan(g)、Armenta(vo、per)、Greg Fitz(vo、b、key、ds、per、back vo)、Huey Harris(key、per)という5名。

メンバーのうち、Greg FitzHuey HarrisはP-FunkバンドQuazarの元メンバーです。

また、Amir BayyanAdil BayyanRoyal BayyanらはKool & The GangRonald Bellも加わったユニットMajik名義での作品もリリースしています。

Forecastとしては、「Non Stop」(1980年)、「Love Line」(1981年)という2枚のシングルに続きリリースされたグループ唯一のアルバムが本作『Forecast』(1982年)です。

プロデュースはAmir BayyanAdil BayyanRoyal Bayyanというメンバー3名。

80年代初めらしいディスコ・ファンクが魅力のアルバムです。

ディスコ・ファンクという点では、「Hold On Tight」「Never Too Much」「Happy Days」あたりがおススメです。

また、ミネアポリス・ファンク調の「Too Much For My Mind」、ポップ・ファンクな「You're My One And Only」「Don't Stop」も僕の好みです。

B級ならではの魅力に満ちた80年代ファンク作品です。

全曲紹介しときやす。

「I Want Your Number」
Amir Bayyan/Meekaaeel Muhammad/Michael A. Smith作。リラックスしたミディアム・グルーヴ。晴れた日に太陽を浴びながら聴きたい感じ。

「Too Much For My Mind」
Gregg Fitz/Jeff Adams作。少しミネアポリス・テイストのシンセ・ファンク。この時代らしいシンセの響きがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2c68a41iFI0

「Hold On Tight」
Amir Bayyan/Gregg Fitz/Michael A. Smith作。昨今のディスコ/ブギー・ブームともベクトルが合致するアーバン・ダンサー。
https://www.youtube.com/watch?v=Am6eAok0B_Q

「Never Too Much」
Amir Bayyan/Meekaaeel Muhammad/Michael A. Smith/Vilya Bayyan作。ギター・カッティングが先導するヴォコーダー入りディスコ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=mTZNAZTi1Ks

「Party Up」
Amir Bayyan/Armenta Richardson/Gregg Fitz/Royal Bayyan作。タイトルの通り、ファンキーなパーティー・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=ASex5gNwCYE

「Happy Days」
Amir Bayyan/Royal Bayyan/William "Brisko" Harrison作。みんなで大音量で聴きたいハッピー・モードのディスコ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=pRExyOiFSyE

「Same Old Game」
Gregg Fitz/Michael A. Smith作。本作唯一のバラードを感動的に歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=5bkqkt2FtzM

「You're My One And Only」
Amir Bayyan/Armenta Richardson/Meekaaeel Muhammad/Michael A. Smith/Raymond Jones作。僕の一番のお気に入り。紅一点Armentaのキュート・ヴォーカルが映えるシンセ・ポップ調の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=y_XJ78DwEIQ

「Don't Stop」
Amir Bayyan/Royal Bayyan/Vilya Bayyan作。ラストはポップなシンセ・ファンクで締め括ってくれます。何故かTom Tom Clubあたりと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=12gWSLfjjmU

ご興味がある方は、Quazar『Quazar』(1978年)あたりをチェックするのも楽しいのでは?

Quazar『Quazar』(1978年)
QUAZAR ~ EXPANDED EDITION
posted by ez at 00:07| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月14日

Jean Carn『Sweet and Wonderful』

アーバンな魅力のあるPIRでのラスト作☆Jean Carn『Sweet and Wonderful』
When I Find Love/Sweet &
発表年:1981年
ez的ジャンル:アーバン・レディ・ソウル
気分は... :リアル「ノーサイド・ゲーム」だ!

いやぁ、昨晩のW杯ラグビーはしびれましたね。
昨年のW杯サッカーで日本がベルギーに2対0でリードしたとき以来のハイテンションになりました。

ティア2の日本が、予選プールでアイルランド、スコットランドというティア1の2か国に勝利するなんて信じらません。日本のラグビー史というよりも世界のラグビー史が塗り替えられましたね。

ドラマ「ノーサイド・ゲーム」以上に感動的な日本代表のリアル「ノーサイド・ゲーム」!素晴らしすぎます!

今回は女性ソウル・シンガーJean Carn『Sweet and Wonderful』(1981年)です。

上記ジャケおよびAmazonへのリンクは『When I Find You Love』(1979年)との2in1CDです。僕は単独CDを保有していますが、現在は2in1CDでしか入手できない状況のようです。

ジャズ・ピアニストDoug Carnの元妻であり、フィリー・ソウルの歌姫としても活躍したJean Carnの紹介は、『Jean Carn』(1977年)、『Trust Me』(1982年)に続き3回目となります。

本作『Sweet and Wonderful』(1981年)はGamble & HuffPhiladelphia International Records(TSOP)でのラスト作となるアルバムです。

内容的にはオーセンティックなソウル・バラードと80年代らしいアーバン・ソウル/ディスコから構成されています。個人的には後者の割合がもっと高めでも良かったのですが・・・

メイン・プロデュースはNorman Connors。それ以外にJean Carn自身、McKinley JacksonFrank SmithBill Bloomがプロデュースを手掛けています。

レコーディングにはDavid T. Walker(g)、Marlo Henderson(g)、Melvin Ragin(g)、Paul Jackson Jr.(g)、Eddie Watkins(b)、Nathan East(b)、James Gadson(ds)、McKinley Jackson(p、per)、Clarence McDonald(key)、Sonny Burke(key)、Paul Fox(syn)、Paulinho Da Costa(per)、Glenn Jones(vo)、The Jones Girls等のミュージシャンが参加しています。

シングルにもなったGlenn Jonesとのデュエット「Sweet And Wonderful」、爽快アーバン・ダンサー「Bet Your Lucky Star」Al Johnson作のアーバン・メロウ「We Got Some Catchin' Up To Do」Phyllis St. James作の「Mystic Stranger」が僕のおススメです。

スウィート&ワンダフルなレディ・ソウルをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Bet Your Lucky Star」
Phyllis St. James作。フリーソウル好きも気に入りそうな爽快アーバン・ダンサー。僕の一番のお気に入り曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=G0AeqI3nP8c

「Don't Say No (To Love)」
Alan Phillips/Brad Ross/Roxanne Seeman作。Jeanの伸びやかな歌声が聴く者の心を優しく包み込んでくれるラブ・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=FuNHiiEf0Ms

「Sweet And Wonderful」
シングルにもなったタイトル曲(Debra Von Lewis/Derrick Hughes/Mike "Spiderman" Robinson作)。同じNorman Connors門下生Glenn Jonesとのデュエット。華のあるアーバン・ディスコで晴れモードにしてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=2ATSLx5k81M

「Love Don't Love Nobody」
Charles Simmons/Joseph Jefferson作。オーセンティックなバラードを感動的に歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=ihqQdtg0Ztw

「We Got Some Catchin' Up To Do」
Al Johnson作。本作らしいアーバン・メロウ。煌びやかなシンセによるオトナなアーバン・ナイトを演出します。Black Moon「On the Streets」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=MmIcdX6oaSY

「Mystic Stranger」
Phyllis St. James作。本作と同じ1981年に女性ソウル・グループKitty & the Haywoodsが取り上げています。艶めかしいミディアム・グルーヴを情感たっぷりに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=zLQCq2bNU5I

「I Just Thought Of A Way」
Frank Alstin Jr./Frankie Smith作。美しいピアノのイントロから徐々にテンポ・アップしていく感動的なダンサブル・チューン。勇気がもらえる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1hlRC7dhZVc

「Love (Makes Me Do Foolish Things)」
ラストはMartha & The Vandellasのカヴァー(Brian Holland/Lamont Dozier/Eddie Holland作)。ヴィンテージ感のあるカヴァーでJeanの素晴らしいヴォーカルを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=lS_gYcr7r3A

Jean Carnの他作品もチェックを!

『Jean Carn』(1977年)
ジーン・カーン(紙ジャケット仕様)

『Happy to Be With You』(1978年)
Happy to Be With You

『Trust Me』(1982年)
TRUST ME

『Closer Than Close』(1986年)※Jean Carne名義
Closer Than Close
posted by ez at 02:32| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする