2018年06月23日

Youssou N'Dour『Eyes Open』

世界進出第3弾は映画監督Spike Leeのレーベルから☆Youssou N'Dour『Eyes Open』
Eyes Open
発表年:1992年
ez的ジャンル:セネガル発ワールド・ミュージック
気分は... :明日は対セネガル戦!

サッカー杯は、いよいよ明日に運命の「日本対セネガル」が行われます。

そこで今回はセネガルを代表する世界的ミュージシャンYoussou N'Dourのアルバム『Eyes Open』(1992年)です。

80年代後半のワールド・ミュージック・ブームの中で世界進出を果たし、今日までアフリカで最も成功したミュージシャンとして活躍するYoussou N'Dourに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Immigres』(1984年)
 『The Lion』(1989年)
 『Set』(1990年)

セネガルという国名を聞いて真っ先に連想するのは、サッカー以上にYoussou N'Dourかもしれません。

僕の場合、Youssou N'Dourというミュージシャンの存在を知ったのはアルバム『Nelson Mandela』(1986年)あたりだったと思います。

実際にリアルタイムでアルバムを購入したのは、Virginからリリースされた本格的な世界進出アルバム第1弾『The Lion』(1989年)が最初です。

本作『Eyes Open』(1992年)は、『The Lion』『Set』(1990年)に続く世界進出第3弾アルバムとなります。

黒人映画監督Spike Leeが主宰するレーベル40 Acres And A Mule MusicWorksからのリリースです。

それまでの世界進出アルバムと大きく異なる点は、Youssou本人がセルフ・プロデュースしている点です。ワールド・ミュージック・ブームが過ぎ、前2作のようなインパクトには欠けますが、Youssou自身のイニシアティブで制作された作品として興味深く聴くことができます。

共同プロデューサーとして、Youssouのバック・バンドLe Super Etoile De Dakarの中心メンバーHabib Fayeと、Youssouや alif Keitaなどアフリカ人ミュージシャンとの共演も多いフランス人キーボード奏者Jean-Philippe Rykiel(ファッション・デザイナーSonia Rykielの息子)の2人がクレジットされています。

Youssou N'Dour入門編として聴くと、とても入りやすい1枚だと思います。現代セネガルのサウンドをコンテンポラリー感覚で聴かせてくれるので、アフリカ音楽をあまり聴かない人も馴染みやすいと思います。

また、セネガルのみならずアフリカを代表するミュージシャンとして、アフリカの現在、過去、未来に言及した曲もあり、そのメッセージにも注目です。

多分、20年ぶり位に聴きましたが、改めてYoussou N'Dourというミュージシャンの存在感の大きさを実感できました。

全曲紹介しときやす。

「New Africa」
軽やかなリズムに乗って新しいアフリカの到来を告げるオープニング。当時は南アフリカのアパルトヘイト政策が撤廃され、新たな時代の到来への期待が膨らんでいた時期です(Nelson Mandelaが南アフリカ大統領に就任するのは1994年)。アフリカを代表するミュージシャンとしてのYoussouの意識の高さを窺えると同時に、人種差別問題に立ち向かうSpike Leeのレーベルに移籍した理由が分かります。
https://www.youtube.com/watch?v=kscoTL8Qk20

「Live Television」
世界進出後のYoussouらしくセネガルのダンス・ミュージック"ンバラ"をコンテンポラリーな感覚で聴かせてくれます。

「No More」
Le Super Etoile De DakarのメンバーLamine Fayeの美しいアコースティック・ギターをバックに、Youssouの強い意志を力強く歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=e6ze9oNXH8o

「Country Boy」
ポリリズムを用いたダイナミックなサウンドをバックに、Youssouらしい節回しのヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=BWyqCu8lgMU

「Hope」
感動的なビューティフル・ソング。こういった曲もYoussou作品の魅力の1つですね。Billly Congoma And The Sandial Assiko Bandのアフリカン・ドラムAshikoも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=8sLRGRM3yTs

「Africa Remembers」
9分半近くの大作。オープニングのアフリカの新たな未来に思いを馳せると同時に、過去のアフリカの歴史も決して忘れないという点で「New Africa」と対のような曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=zd0wUkVUXZM

「Couple's Choice」
開放的な雰囲気の中でYoussou節を聴かせてくれます。過度にコンテンポラリーになりすぎずセネガル国内仕様に近いサウンドなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=NzZub3ACMms

「Yo Le Le (Fulani Groove)」
トーキング・ドラムが印象的なダンサブル・チューン。フランス産のアフリカ音楽の雰囲気がありますね。このあたりはJean-Philippe Rykielの影響かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=nqBWNwF9D8g

「Survie」
Youssou流フォーキーといった趣でスタートしますが、気づけばYoussouらしいピースフルな音世界に浸ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=R5qxd8zpfoo

「Am Am」
リズミックな仕上がりが僕好み。アフロ・ジャズなホーン・アンサンブルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=xdkptfEsALo

「Marie-Madeleine La Saint-Louisienne」
Youssouらしい少し憂いを帯びた節回しと共にパーカッシヴに疾走します。少しレゲエっぽいパートもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fQg-vuL_08M

「Useless Weapons」
湾岸戦争をテーマに平和への願いを込めたメッセージ・ソング。Youssouの平和への切なる思いが聴く者の胸を打ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=Auy9EFMMI70

「The Same」
ロック、レゲエ、ジャズ、ンバラも同じ音楽!あらゆる音楽は国境を越え、人々を1つにすると音楽の持つパワーを説く素敵な1曲。ラップ調のパートも登場します。

「Things Unspoken」
ラストは軽快に締め括ってくれます。リズミックな中にも美しい透明感のあるスケールの大きなサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=11IR2VPCVhU

Youssou N'Dourの過去記事もご参照下さい。

『Immigres』(1984年)
Immigres

『The Lion』(1989年)
Lion

『Set』(1990年)
Set
posted by ez at 03:10| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月16日

Joyce『Ilha Brasil』

巧みなアレンジでJoyceの魅力を増幅!☆Joyce『Ilha Brasil』
イーリャ・ブラジル
発表年:1996年
ez的ジャンル:ブラジル人女性SSW
気分は... :ロナウド凄かった・・・

いよいよ昨晩から本格的にW杯モードの日々になりました。
昨日はいずれもW杯らしい見応えのある3試合でしたね。

特に「スペイン対ポルトガル」は、期待通りの強豪国同士の激闘で大満足です。眠れない夜が続く・・・

人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyce(Joyce Moreno)が1996年にリリースした『Ilha Brasil』です。

これまで当ブログで紹介したJoyce作品は以下の9枚。

 『Feminina』(1980年)
 『Agua e Luz』(1981年)
 『Tardes Cariocas』(1983年)
 『Music Inside』(1990年)
 『Hard Bossa』(1999年)
 『Gafieira Moderna』(2001年)
 Joyce & Banda Maluca『Just A Little Bit Crazy』(2003年)
 『Bossa Duets』(2003年)
 『Tudo』(2012年)

リオでレコーディングされた本作『Ilha Brasil』は、久々のほぼ新曲で占められている点が魅力の1枚です。

レコーディングには夫Tutty Moreno(ds、per)をはじめ、Hermeto Pascoal(fl、p)、Jaques Morelenbaum(cello)、Marcos Suzano(pandeiro)、Sizao Machado(b)、Mozar Terra (p)、Teco Cardoso(fl、as、ss、bs)、Ze Carlos(ts)、Chico Oliveira(tp)、Chico Oliveira(tb)、Yuka Kido(城戸夕果)(fl)等のミュージシャンが参加しています。

プロデュースは『Delirios de Orfeu』(1994年)も手掛けた日本人の吉田和雄さん。

Joyceらしい爽快なアコースティック・グルーヴを中心としつつも、ホーンやストリングス等も交えた巧みなアレンジで、アルバムにバリエーションを与えています。

爽快アコースティック・グルーヴの「Samba da Zona」「O Chines e a Bicicleta」、ブラジル北東部モードの「Rodando a Baiana」「Deus e o Diabo (Na Danca do Baiao)」、Jaques Morelenbaumのチェロが映える「Paraiso」「Oasis」、Hermeto Pascoalがピアノを弾く「Viola de Prata」あたりが僕のおススメです。

W杯が始まると、何となくブラジル音楽を欲するようになります。

全曲紹介しときやす。

「Samba da Zona」
Joyce作。開放的なホーン・サウンドと共に始まる爽快サンバがオープニング。Joyceらしい透明感のあるアコースティック・グルーヴと本作ならではの華やかなアレンジが見事に調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Xwu1MpEA0es

「Havana-Me」
Joyce/Paulo Cesar Pinheiro作。しっとりと落ち着いたメロウ・チューン。サンセット気分に浸れます。
https://www.youtube.com/watch?v=ojgXeRJIM5Q

「O Chines e a Bicicleta」
Joyce作。『Delirios de Orfeu』収録曲の再録。Joyceらしい爽快アコースティック・グルーヴを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=loKSpzFOJdw

「Rodando a Baiana」
Joyce/Mauricio Maestro作。タイトルの通り、バイーア・モードのサウンドです。途中、ラップ調のヴォーカルを披露してくれるのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZlJksOW8zFY

「Ate Jazz」
Joyce/Paulo Cesar Pinheiro作。当時のブラジル政権のことを歌った社会メッセージ性の高い1曲。サウンドは小粋なジャズ・フィーリングが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=s0VsCSuyed0

「Sexy Silvia」
Edu Lobo/Joyce作。Edu Loboと共作曲は意外にもスウィンギーなジャズ仕立て。

「Receita de Samba」
Joyce/Paulo Cesar Pinheiro作。「サンバのレシピ」という邦題がJoyceらしい感じでいいですね。爽やかなアコースティック・サンバです。
https://www.youtube.com/watch?v=Mhhoc13retE

「Deus e o Diabo (Na Danca do Baiao)」
Joyce/Paulo Cesar Pinheiro作。Hermeto Pascoal、Jaques Morelenbaum、Marcos Suzanoらが参加した土着モードのバイアォン。ミステリアスな疾走感が僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=xzAViufXRus

「Paraiso」
Joyce/Mauricio Maestro作。美しいストリングスが印象的な追憶のラブソング。Jaques Morelenbaumが素晴らしいチェロを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iwYvjIEUeAs

「Delicadeza」
Joyce作。のどかな雰囲気の仕上がりですが、繊細すぎる生き方を皮肉った、なかなか面白い内容の1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=hWJ82qHp_H0

「Feijao Com Arroz」
Joyce作。Joyceらしいスキャットを満喫できるアコースティック・グルーヴ。

「Oasis」
Joyce/Lea Freire作。ギター、ピアノ、チェロが織り成す美しい音世界がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=v2L7MgF44m4

「Viola de Prata」
Joyce/Paulo Cesar Pinheiro作。Hermeto Pascoalが気の利いたピアノを披露してくれます。シンプルながらも味わい深い仕上がり。

「Antonio/Ilha Brasil」
Joyce作の「Antonio」とJoyce/Paulo Cesar Pinheiro作の「Ilha Brasil」のメドレー。偉大なAntonio Carlos Jobimに捧げられた「Antonio」とブラジルの政治状況を批判する「Ilha Brasil」という2曲を並べることで、ブラジルの素晴らしさと闇のコントラストを鮮明にしたかったのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=DZN1AVjTpkA

Joyceの過去記事もご参照下さい。

『Feminina』(1980年)
フェミニーナ、そして水と光

『Agua e Luz』(1981年)
水と光

『Tardes Cariocas』(1983年)
Tardes Cariocas

『Music Inside』(1990年)
ミュージック・インサイド

『Hard Bossa』(1999年)
Hard Bossa

『Gafieira Moderna』(2001年)
Gafieira Moderna

Joyce & Banda Maluca『Just A Little Bit Crazy』(2003年)
ジャスト・ア・リトル・ビット・クレイジー(2003年作)

『Bossa Duets』(2003年)
ボッサ・デュエッツ

『Tudo』(2012年)
トゥード
posted by ez at 15:20| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月07日

Youth Edition『Anything is Possible』

R&Bファンも楽しめる男性ゴスペル・グループ作品☆Youth Edition『Anything is Possible』
Anything Is Possible
発表年:1998年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・ゴスペル・グループ
気分は... :情熱を解き放つ!

今回は90年代コンテンポラリー・ゴスペルからR&Bファンも楽しめる1枚、Youth Edition『Anything is Possible』(1998年)です。

Youth EditionKevin VasserKeith VasserVan MoodyReggie Tillmanの4人がシカゴで結成した男性ゴスペル・グループ。

そのYouth Edition唯一のアルバムが『Anything is Possible』(1998年)です。

プロデュースはPercy Bady

彼らについて何の予備知識もなく男性R&Bグループ作品だと思って購入しましたが、購入後にゴスペル・アルバム・チャートに入った作品だと知った次第です。

ただし、コンテンポラリー・ゴスペル作品なので、歌詞さえ気にしなければ実力派男性R&Bヴォーカル・グループとして楽しめると思います。

バラード中心ですが、それなりにメリハリがある構成やグッド・ヴァイヴに満ちているのでアルバム1枚飽きることなく聴くことができます。本格派ヴォーカル・グループですが、熱唱が突出しすぎず全体のバランス感覚に優れた点も僕好みです。

安定感のある本格派ヴォーカルは聴く者を心を解き放ってくれるはずです!

全曲紹介しときやす。

「All Day Long」
サウンドだけで聴けば、当時流行のR&Bサウンドを取り入れたオープニング。このグループらしくありませんが悪くなりません。
https://www.youtube.com/watch?v=4hzvZjEiigc

「Your Love Lifted Me」
素晴らしいヴォーカル・ワークと共に始まるミディアム。このグループやコンテンポラリー・ゴスペルの魅力がジワジワと伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=t7ehZg5JOOk

「The Sun Will Shine Again」
ライヴ感のあるバッキングと共に実力派グループらしいヴォーカルワークを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=qXgvOi8U95g

「Interlude」
インタールードその1。

「Anything Is Possible」
タイトル曲はシングルにもなりました。実力派グループであることを示してくれるバラード。オーセンティックな中にグループの自信を垣間見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=zmJEUjV7ph8

「Best Friend」
爽快コーラスがグッドなR&B調ミディアム・グルーヴ。美メロR&B好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=yNxWlnlyNeY

「Use Me」
1997年にリリースされたデビュー・シングル。ダンサブルなミディアム・グルーヴはR&Bファンも楽しめるはず!哀愁シンセがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=UUHgPmsuyMw

「Get On Up」
女性コーラスやラップ風ヴォーカルによるアクセント、低音グルーヴなどが印象的な1曲。アルバムにメリハリをつけています。
https://www.youtube.com/watch?v=9oS4Y2kJyIY

「Tell Me」
感動的なビューティフル・バラード。素敵な歌声が聴く者を優しく包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=L8EfCP9AEnY

「I Believe In Love」
前曲からの流れがいいですね。柔らかい雰囲気のバラードには愛が満ちています。
https://www.youtube.com/watch?v=5I5F2YiAFWU

「Interlude」
インタールードその2。

「Keep On Keepin' On」
リラックスした雰囲気の中で楽しげな歌声を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qLZTANl6PWw

「Do, Do, Do, Do, Do」
コンテンポラリー・ゴスペルらしいグッド・ヴァイヴが伝わってくる。
https://www.youtube.com/watch?v=KjvhAnVDJ7w

「Workin' For Your Good」
ラストはYvette Grahamの女性ヴォーカルをフィーチャーした素敵なバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=3HoEnX_xiIk

気づけばサッカーW杯開幕まで1週間ですね。
相変わらず、日本代表に対してはネガティヴなコメントが目立ちますが、個人的には良い方向に向かっている気がします。楽観視するつもりはありませんが、それほど悲観する状況でもない気がします。開幕が待ち遠しいですね。
posted by ez at 01:02| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月30日

Slam Slam Featuring Dee C. Lee『Free Your Feelings』

Dee C. LeeとDr.Robertのユニット!Paul Wellerも楽曲提供☆Slam Slam Featuring Dee C. Lee『Free Your Feelings』
Free Your Feelings
発表年:1991年
ez的ジャンル:スタカンの歌姫系UKハウス
気分は... :「Digging Your Scene」だけじゃない!

Style Council等でお馴染みの黒人女性ヴォーカリストDee C. LeeThe Blow MonkeysDr.RobertことRobert HowardによるユニットSlam Slam唯一のアルバム『Free Your Feelings』(1991年)です。

Dee C. Leeといえば、元Style Councilのメンバーであると同時に、Paul Wellerの公私のパートナーであったことでも有名ですね。

そんなDee C. LeeがUKブルーアイド・ソウル・グループThe Blow MonkeysのリーダーRobert HowardDr.Robert)と組んだユニットがSlam Slamです。

その唯一のアルバム『Free Your Feelings』(1991年)では、Paul Wellerが7曲のソングライティングに関与し、奥方をバックアップしています。それ以外にアシッド・ジャズの人気グループYoung Disciplesが1曲プロデュースし、Style Councilの盟友Mick Talbotもソングライティングで関与しています。プロデュースはSlam Slam自身。

正直言って、アルバム自体はハウス寄りのB級ダンス作品ですが、Style CouncilThe Blow MonkeysYoung Disciplesという、いずれも僕が当時夢中になったUKグループの主要メンバーが勢揃いした作品であり、その一点のみでも手元に置いておきたい1枚です。

さらにシングルにもなったタイトル曲のリミックスはGang Starrが手掛けており、Guru『Jazzmatazz』プロジェクトの登場を予感させる点も興味深いです。

スタカンやブロウ・モンキーズを期待すると裏切られる内容ですが、UKソウル、アシッド・ジャズ、ハウス、Hip-Hopの接点が近かった当時の音楽シーンを知るという意味では興味深い1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Move (Dance All-Night)」
Dee C. Lee/Robert Howard作。アルバムに先駆けて前年にシングル・リリースされた楽曲。UKらしいダンサブル・サウンドを楽しめるハウス・チューン。当時のUKクラブミュージックがお好きだった人であれば、しっくりくる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=TCIOK5i7o0c

「Something Ain't Right」
Paul Weller作。Paul兄貴の楽曲がハウシーなダンス・チューンに仕上がっているのが不思議ですね(笑)。涼しげなフルートによるアシッド・ジャズ風のアクセントが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UhfnoDHR88Q

「Free Your Feelings」
Dee C. Lee/Marco Nelson作。タイトル曲はYoung Disciplesが共同プロデュース。Hip-Hop/アシッド・ジャズ調の仕上がりはアルバムの中では異色です。本曲を聴くにつれ、このタイプの曲をもっとやれば良かったのに!と思う人は多いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6QPWQ6C1g5I

アルバム未収録ですが、本曲といえばGang Starrによるリミックスもお馴染みですね。この共演が後にGuru『Jazzmatazz』(1993年)収録の名曲「No Time To Play」につながることになります。
Slam Slam feat. Gang Starr「Free Your Feelings (Xtra Feeling Mix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=pp1sgxIZRvg
Guru feat. Ronny Jordan & Dee C. Lee「No Time To Play」
 https://www.youtube.com/watch?v=X2DtCC4NQJ0

「What Dreams Are Made Of」
Paul Weller/Mick Talbot作。スタカン・コンビによる作品もハウス調の仕上がり。ただし、Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルとフルートやヴァイヴにとるジャジー・フィーリングがあるので、意外にスンナリ聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=PFoR5M1uJ8w

「Giving It Up」
Paul Weller作。Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルを活かしたミディアム・バラードですが、バックのサウンドが今イチなのが勿体ない!

「You'll Find Love」
Paul Weller作。Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルとUKハウスの組み合わせという点ではまずまず成功していると思います。ハモンド・オルガンによるアクセントがスタカンっぽくていいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=_8Mfpc1ti7g

「Depth Charge」
Robert Howard作。UKクラブミュージックらしいダンサブル・チューン。悪くはないんだけど、今聴くと少しチープな気も・・・

「Round & Round」
Paul Weller作。ドリーミーなミディアム・グルーヴ。もう少し突き抜けたキャッチーさがあると更に良いのですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=JX9ahGFN9QQ

「Tender Love」
Paul Weller作。哀愁バラードを情感豊かに歌い上げます。

「Nothing Like It」
Dee C. Lee/Paul Weller作。個人的には一番のお気に入り。モロにハウスじゃなくて、アシッド・ジャズ・フィーリングのダンサブル・チューンになっているのがいいですね。うねるベースとホーン・サウンドがグッド!

改めて聴き直すと、せっかくRobert HowardDr.Robert)がいたのだから、もっとソウル・マニアなアルバムにして欲しかったなぁ、なんて思ってしまいます。しかもPaul Wellerの楽曲でしたしね。少し勿体ないなぁ・・・なんて文句言いながらも、ついつい聴いてしまう1枚です。
posted by ez at 02:50| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月19日

Sirius B『Sem Fronteiras』

UKブラジリアン・ジャズ・ユニットのデビュー作☆Sirius B『Sem Fronteiras』
sirius b sem fronteiras.jpg
発表年:1999年
ez的ジャンル:UKブラジリアン・ジャズ
気分は... :バトゥカーダ!

今回はUKのブラジリアン・ジャズ・ユニットSirius Bの1stアルバム『Sem Fronteiras』(1999年)です。

リーダーのJoe Cavanagh(key)、女性ヴォーカリストAzhar(vo)を中心としたユニットSirius Bに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の4枚。

 『Posto Nove』(2001年)
 『Ouro Batido』(2002年)
 『Bagunca』(2004年)
 『Casa Do Sol』(2006年)

UKならではのクラブジャズ経由のブラジリアン・サウンドで楽しませてくれるSirius B。この1stアルバム『Sem Fronteiras』(1999年)には、そんなユニットの魅力が凝縮されています。

「Watermelon Man」Herbie Hancock作)、「Favela」Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作)以外はJoe CavanaghとAzharのオリジナルです。

バトゥカーダな「The Dreamtime」、ダンサブルな「Houses Of The Sun」、メロウな「No Boundaries (Sem Fronteiras)」あたりがおススメです。

また、オリジナルUK盤は8曲ですが、国内盤にはボーナス・トラックとして、「Mas Que Nada」「Girl From Ipanema」という有名カヴァー2曲が追加収録されています。

上記ジャケは国内盤ジャケですが、UK盤ジャケはこんな感じです。

『Sem Fronteiras』 ※UK盤
Sem Fronteiars

UKクラブジャズ経由のブラジリアン・サウンドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Houses Of The Sun」
Joe Cavanagh/Azhar作。UKクラブジャズらしいダンサブルなブラジリアン・グルーヴを楽しめるオープニング。妖しげなフルートの音色と妖艶なAzharのヴォーカルが印象的です。

「No Boundaries (Sem Fronteiras)」
Joe Cavanagh/Azhar作。タイトル曲は緩急のアクセントをつけたブラジリアン・メロウ。Azymuth風のシンセもグッド!

「The Dreamtime」
Joe Cavanagh/Azhar作。僕の一番のお気に入り。Sirius BらしいUKブラジリアン・ジャズを満喫できます。華やかなバトゥカーダのリズムに乗ってAzharのヴォーカルが躍動します。

「Destiny」
Joe Cavanagh/Azhar作。Joe Cavanagのサウンド・センスが冴える1曲。少し哀愁モードのメロディをAzharが切々と歌います。

「Siren's Song」
Joe Cavanagh/Azhar作。Azharのバイオリンの弦の響きが印象的なメロウ・ボッサ。フェイク・ボッサな感じが逆にいいかも?

「Watermelon Man」
Herbie Hancock作の名曲をカヴァー。Azharのヴォーカルがブラジル×ラテンなサウンドと共に弾けます。

「Sirius」
Joe Cavanagh/Azhar作。メロウ・フュージョン風の仕上がりは星空のブラジリアン・メロウ・グルーヴといった趣です。

「Favela」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲「O Morro Nao Tem Vez」をカヴァー。Azharのヴァイオリンを効果的に配したインスト・チューンで本編を締め括ってくれます。

ここから2曲は国内盤ボーナス・トラック(いずれもライヴ・ヴァージョン)。

「Mas Que Nada」
Jorge Ben作の名曲をカヴァー。Azharの妖艶なヴォーカルの魅力が印象的なカヴァーに仕上がっています。

「Girl From Ipanema」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲「イパネマの娘」をカヴァー。ひたすらメロウな仕上がりです。

他のSirius B作品もチェックを!

『Posto Nove』(2001年)
ポスト・ノーヴィ

『Ouro Batido』(2002年)
Ouro Batido

『Bagunca』(2004年)
sirius b bagunca.jpg

『Casa Do Sol』(2006年)
カーザ・ド・ソウ
posted by ez at 14:16| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする