2019年06月23日

Grupo Fantasma『American Music Vol. VII』

磨きが掛かったハイブリッド・ラテン・ファンク☆Grupo Fantasma『American Music Vol. VII』
アメリカン・ミュージック VOL.7
発表年:2019年
ez的ジャンル:ハイブリッド系ラテン・ファンク
気分は... :イノベーション=新結合!

USを代表するラテン・ファンク・バンドGrupo Fantasmaの最新作『American Music Vol. VII』です。

テキサス州オースティン出身を拠点に活動するラテン・ファンク・バンドGrupo Fantasmaに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Sonidos Gold』(2008年)
 『El Existential』(2010年)
 『Problemas』(2014年)

前作『Problemas』(2014年)から約5年のインターバルをとってリリースされた最新作が『American Music Vol. VII』です。

タイトルから『American Music』というアルバムがシリーズ化されている印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、そうではなくグループにとって7枚目のアルバム(ライブ・アルバムも含む)という意味合いです。

ラテン、サルサ、クンビア、ファンク、ソウル、ジャズ、レゲエ、ロック等を取り入れたハイブリッドなラテン・ファンクが特徴のGrupo Fantasmaですが、本作でも彼らならではのハイブリッド・サウンドで楽しませてくれます。

前作ではLos LobosSteve Berlinをプロデューサーに迎えていましたが、本作ではコロンビア人プロデューサー/エンジニアのCarlos "El Loco" Bedoyaがプロデュースを務めています。

本作におけるメンバーは、Gilbert Elorreaga(tp)、Kino Esparza(vo、per)、Jose Galeano(timbales、vo)、Mark "Speedy" Gonzales(tb)、Greg Gonzalez(b)、Matthew "Sweet Lou" Holmes(congas、bongos)、Josh Levy(bs)、Beto Martinez(g)、John Speice(ds、per)の9名。

さらにアルバムにはグラミー最優秀テハーノ・アルバム受賞歴もあるテックス・メックス・バンドLos TexmaniacsのメンバーJosh Baca(accordion)、、N.Y.ブルックリンを拠点とするバングラ・ファンク・バンドRed BaraatのメンバーSunny Jain(dhol)、L.A.を拠点とするラテン・ミクスチャー・バンドOzomatliの面々、
マイアミを拠点とするレゲエ/サルサ/クンビア/ファンクのミクスチャー・バンドLocos Por JuanaItawi Correa(vo)、Grupo Fantasmaと同じテキサス州オースティンを拠点とするR&BバンドTomar And The FCSのリーダーTomar Williams(vo、org)、クンビア・アコーディオン奏者Mr. Vallenato(accordion)、コロンビア人ミュージシャンのJaime Ospina(vo、per)といった多彩なミュージシャンがゲスト参加しています。

ハイブリッド・サウンドを楽しみたいのであれば、テハーノ×トルコ×バングラな「LT」、Ozomatli、Locos Por Juanaと共演したラテン・ファンク×ロック×Hip-Hopな「The Wall」あたりがおススメです。

クンビア色の強い音を欲している人には「Nubes」「Sombra Roja」がそのタイプです。

純粋にドライヴ感のあるラテン・ファンクの格好良さを欲しているのであれば、「Nosotros」「Ausencia」「Cuidado」「El Fugitivo」がおススメです。個人的にもこのタイプが好きです。あとはR&B調の「Let Me Be」や(後半のみですが)ラテン・メロウ・ファンクな「Yo Quisiera」も僕好みの1曲。

多彩なハイブリッド・サウンドでラテン・ファンクの可能性を示してくれる渾身の1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「El Fugitivo」
Los TexmaniacsのJosh Bacaによるアコーディオンをフィーチャー。ドライヴ感のあるラテン・ファンクとテックス・メックスを融合させたテキサスのラテン・ファンク・バンドらしいオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=9R02JEzdUus

「Nubes」
クンビア色の強い仕上がり。コロンビア人プロデューサーCarlos "El Loco" Bedoyaの起用も、このタイプの曲に狙いがあるのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=9kGKNOEPJIU

「LT」
本作の中でも異色の格好良さを持った1曲。バングラ・ファンク・バンドRed BaraatのSunny Jainによるドール・ドラムの響きと、60〜70年代にトルコで人気を博したトルコの伝統音楽とサイケデリック・ロックを融合させたターキッシュ・サイケデリア/アナドル・ロックを意識したギター・サウンドが印象的です。テハーノ×トルコ×バングラという超ハイブリッド・サウンドが何とも痛快です。
https://www.youtube.com/watch?v=zJyf6fbsMSM

「Que Es Lo Que Quieres De Mi?」
哀愁のテハーノ・ワールドが展開されます。少しレゲエのエッセンスも入っているのがこのバンドらしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=g_bBJAdMjU0

「The Wall」
タイトルはトランプ大統領がメキシコ国境に作ろうとしている壁のことです。L.A.のラテン・ミクスチャー・バンドOzomatli、マイアミのラテン・ミクスチャー・バンドLocos Por Juanaをゲストに迎えた3組のラテン・ミクスチャー・バンドの共演です。ラテン・ファンク×ロック×Hip-Hopなミクスチャー・サウンドで魅せてくれます。トランプ大統領に対して、USラテン・コミュニティの結束を示しているかのような1曲です。

「La Cruda」
再びJosh Bacaのアコーディオンをフィーチャー。リラックスした開放的な演奏で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vTatVFjgFYY

「Nosotros」
重量感のあるラテン・ファンク・ロック。ファンク・ロック色の強いサウンドでグループのハードな側面の魅力を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=bC6Bu6nixQM

「Let Me Be」
同郷のR&BバンドTomar And The FCSのリーダーTomar Williams(vo、org)をフィーチャー。ソウルフルなR&Bグルーヴとラテン・ファンクの融合はモロに僕好みです。ソウル/R&Bファンも楽しめるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=VVrRxXj9Dq0

「Ausencia」
Grupo Fantasmaの格好良さがストレートに伝わってくるラテン・ファンク。ラテンらしい疾走感、豪快なホーン・サウンドに、ドライブ感のあるファンク・グルーヴが加味された100%Grupo Fantasma印の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4YSjHt61SrM

「Hot Sauce」
タイトルからしてテハーノ風ですね。哀愁テックス・メックスな前半から、後半はサルサ調で疾走します。サルサ・ソースを使った辛い料理が食べたくなります(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=L5-lG1C-6kw

「Cuidado」
格好良いテハーノ・ラテン・ファンク。格好良すぎるドラム、ギターに鮮やかなホーン隊が絡む文句なしの1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GMXjSqnNF6k

「Yo Quisiera」
哀愁モードの前半から、後半はラテン・メロウ・ファンクへ様変わり。できれば、後半のみで1曲にして欲しかったなぁ。
https://www.youtube.com/watch?v=_2WG8cQulZg

「Sombra Roja」
Jaime Ospina、Mr. Vallenatoをフューチャー。ラストはフォルクローレ調のクンビアで締め括ってくれます。Mr. Vallenatoのアコーディオンが実に印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=yEUYDnogBhQ

興味がある方はGrupo Fantasmaの他作品やサイド・プロジェクトBrownoutの作品もどうぞ!

『Movimiento Popular』(2002年)
Grupo Fantasma

『Movimiento Popular』(2004年)
Movimiento Popular

『Comes Alive』(2006年)
Comes Alive

『Sonidos Gold』(2008年)
ソニードス・ゴールド

『El Existential』(2010年)
エル・エクシステンシャル

『Problemas』(2014年)
プロブレマス

Brownout『Homenaje』(2007年)
Homenaje

Brownout『Aguilas and Cobras』(2009年)
Aguilas and Cobras

Brownout『Oozy』(2012年)
Oozy

Brownout『Brownout Presents Brown Sabbath』(2014年)
Presents Brown Sabbath

Brownout『Fear of a Brown Planet』(2018年)
FEAR OF A BROWN PLANET
posted by ez at 00:39| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月16日

Shafiq Husayn『The Loop』

超豪華メンバー参加。遂にリリースされた新作☆Shafiq Husayn『The Loop』
shafiq husayn the loop.jpg
発表年:2019年
ez的ジャンル:L.A.クロスオーヴァー・ソウル
気分は... :豪華すぎるメンツ!

新作アルバムからSa-Ra Creative PartnersのメンバーShafiq Husaynの2ndソロ・アルバム『The Loop』です。

2012年にリリースが予告されてから7年越しで遂にリリースが実現しました。

おそらくレコーディング時期はバラバラだと思いますが、参加ミュージシャンの豪華さが目を引きます。

当ブログで作品を紹介したアーティストだけ挙げても、Anderson .PaakFatimaHiatus KaiyoteBilalErykah BaduN'dambiNanna.BFlying LotusThundercatKamasi WashingtonChris DaveRobert GlasperJosef LeimbergAustin PeraltaSeven Davis Jr.という超豪華なメンツです。

これだけ当ブログで紹介したアーティストが揃えば、僕が購入しないわけにはいきませんよね(笑)

それ以外にもSa-Ra Creative Partnersの同僚Om'Mas Keith、L.A.ジャズのキーマンMiguel Atwood-FergusonRobert Glasper ExperimentCasey BenjaminPharoahe MonchAnderson .Paak作品でお馴染みのJose Rios(g)、Vicky Nguyen(key)、Kelsey Gonzalez(b)なども参加しています。

その一方で、あまり聞きなれない新進アーティストがフィーチャリングされている楽曲もあり、新旧多様なメンバーが参加しています。

エグゼクティブ・プロデューサーとして、Shafiq Husayn本人に加え、Anderson .PaakI CedJimetta Roseの名がクレジットされています。

L.A.音楽シーンの活況を凝縮させたようなクロスオーヴァー・ソウル作品に仕上がっています。ネオソウル、ジャズ、Hip-Hopが自然なかたちで融合しているのがいいですね。全体的にメロウな楽曲が多いのも僕好みです。

青山トキオ氏によるジャケ・デザインも秀逸ですね。

L.A.音楽シーンでいえば、先週紹介したFlying Lotus『Flamagra』も話題作でしたが、個人的にはそれ以上の重要作に思えます。

7年待たされましたが、その甲斐あったと納得の充実作です。

全曲紹介しときやす。

「Intro/The Flood」
Computer Jay/Shafiq Husaynプロデュース。Silkaをフィーチャー。イントロに続き、トライバルなリズムをバックに、レイヤーのようなヴォーカルワークが展開されます。Pharoahe Monchも参加。
https://www.youtube.com/watch?v=xgC52wbbECQ

「May I Assume」
スウェーデン生まれ、ロンドンを拠点に活動する注目の女性ソウル・シンガーFatimaとL.A.の女性ネオソウル・シンガーJimetta Roseをフィーチャー。ThundercatChris Dave、さらには2012年に22歳の若さで急逝した天才ジャズ・ピアニストAustin Peraltaの名もクレジットされています。本作らしいジャジー・フィーリングのクロスオーヴァー・ソウルを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=jIeiV3Oy_QM

「My-Story Of Love/Starring You」
Jimetta RoseとSilkaがリード・ヴォーカル。Shafiq Husaynらしいビート・センスを楽しめるクロスオーヴァー・ソウル。グッド・ヴァイヴがあって個人的にはかなり好みの1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=Mn1TTNpwx-0

「DMT (The Whill)」
J Dilla的ビートをバックに、BilalFatima、Jimetta Rose、Nia Andrews、Shafiq Husaynがヴォーカルをとります。

「Between Us 2」
L.A.を拠点とするトランぺッター/ビートメイカーJosef Leimbergによるプロデュース。Bilalをフィーチャーし、Kamasi Washington、Miguel Atwood-Fergusonも参加しています。
当ブログでも紹介したJosef Leimberg『Astral Progressions』(2016年)にも同じヴァージョンが収録されています。実にキャッチーなネオソウルで『Astral Progressions』で聴いたときから好きな曲でした。
https://www.youtube.com/watch?v=UvIbwwvcQE8

「Mrs. Crabtree」
Erykah BaduN'dambi、Aset SoSavvyをフィーチャー。Anderson .Paakがドラムを叩き、Thundercatが彼らしい格好良いベースを披露してくれます。キュートな女性ヴォーカル陣が映える素敵なクロスオーヴァー・ソウルです。

「On Our Way Home」
FatimaとJimetta Roseをフィーチャー。エクスペリメンタルな雰囲気でスタートしますが、Shafiqのプログラミングによるビートが加わると、アッパーなダンサブル・チューンへ様変わりします。
https://www.youtube.com/watch?v=BJhbeYRbwN0

「Walking Round Town」
Flying Lotus/Shafiq Husaynプロデュース。Silkaをフィーチャー。L.A.ビートらしいミニマルな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=x294qUtRPVQ

「Cycles」
注目のオーストラリアのフューチャリスティック・ハイブリッド・バンドHiatus Kaiyoteをフィーチャー。Hiatus Kaiyoteの個性を引き立てつつ、Shafiq Husaynの音世界とうまく融合させています。
https://www.youtube.com/watch?v=23wrnZZ5q_c

「Message In A Bottle」
Hawthorne Headhunters、Bottle Tree、Noble Metal名義でも作品をリリースしているセントルイス出身の異才男性ソウル・シンガーCoultrainをフィーチャー。Coultrainの放つ存在感を生かした雰囲気のあるネオソウル・チューンに仕上がっています。Ced Norah/Shafiq Husaynプロデュース。

「It's Better For You」
Anderson .Paakをフィーチャー。『Malibu』(2016年)でPaakがブレイクする以前の2014年にリリースされていた楽曲ですが、Shafiqの先見の明に感心します。今聴くと、Paakの最新作『Ventura』とリンクするメロウ・チューンに仕上がっているのが興味深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=w1bpYrY7P_g

「Show Me How You Feel」
Karen Beをフィーチャー。ドリーミーなメロウ・ソウル。パーカッションによるトライバル・リズムとメロウ・サウンドとキュートなKaren Beのヴォーカルの組み合わせが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=VRT_Mxn-wzg

「Hours Away」
Sa-Ra Creative Partnersの同僚Om'Mas KeithとCoultrainをフィーチャー。軽快なビートのダンサブル・チューン。フィーチャリングされた2人以上に女性バック・コーラスが目立っていますが(笑)。Ron Avant/Shafiq Husaynプロデュース。

「Twelve」
Anderson .Paak/Shafiq Husaynプロデュース。The Dove Societyをフィーチャー。「It's Better For You」と同じく2014年にリリースされた楽曲です。「It's Better For You」同様のメロウな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=nmHvxY5gGO8

「Picking Flowers」
El Sadiqをフィーチャー。Hip-Hop色の強い楽曲が少ない本作で一番Hip-Hopしている楽曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=blD8oofhTy4

「Optimystical」
Robert Glasperのエレピをフィーチャー。今ジャズ的な演奏ですが、ヴォーカル入りのメロウ・チューンに仕上がっています。。Robert Glasper ExperimentのCasey Benjaminもフルートで参加し、Miguel Atwood-Fergusonがストリングスを手掛けています。また、実力派ジャズ・ドラマーのMarcus Gilmoreの名がベースとしてクレジットされています。
https://www.youtube.com/watch?v=7qreAcij3WI

「Jungle Madness」
CDボーナス・トラック。King Karnov/Shafiq Husaynプロデュース。The Dove Societyをフィーチャー。当ブログでも紹介したデンマーク出身の女性ネオソウル・シンガー Nanna.Bもヴォーカルで参加しています。King Karnov/Shafiq Husaynのコラボ的な1曲であり、Shafiqらしいビートに乗ったメロウ・チューンに仕上がっています。

Shafiq Husaynの他作品やSa-Ra Creative Partnersの過去記事もチェックを!

『Shafiq En' A-Free-Ka』(2009年)
Shafiq En' A-Free-Ka

Blu + Shafiq Husayn『The Blueprint』(年)
THE BLUEPRINT (ザ・ブループリント) (直輸入盤帯付国内仕様)

Sa-Ra『Second Time Around』(2005年)
Second Time Around

Sa-Ra Creative Partners『The Hollywood Recordings』(2007年)
Hollywood Recordings

Sa-Ra Creative Partners『Nuclear Evolution: The Age Of Love』(2009年)
Nuclear Evolution: The Age of Love
posted by ez at 02:36| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月09日

Flying Lotus『Flamagra』

Brainfeederの総帥、待望の最新作☆Flying Lotus『Flamagra』
【メーカー特典あり】Flamagra [初回限定紙ジャケット仕様 / 解説・歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] オリジナル肖像画マグネット付 (BRC595)
発表年:2019年
ez的ジャンル:LAビート系ブラック・ミュージック/エクスペリメンタル
気分は... :炎の精霊が語るものは...

今回はLAビート・シーンを牽引するFlying Lotusの最新作『Flamagra』です。

音楽ファンは目を離せない注目レーベルBrainfeederの総帥でもあるFlying Lotus(本名:Steven Ellison)に関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Cosmogramma』(2010年)
 『Until The Quiet Comes』(2012年)
 『You're Dead!』(2014年)

死後の世界をコンセプトとした前作『You're Dead!』(2014年)は、進化形ジャズをも飲み込んだスケールの大きな意欲作として注目を浴びました。確かに、『You're Dead!』でアーティストとしてネクスト・レベルの高みに達した感のある衝撃作でした。

そして、『You're Dead!』から待つこと5年、遂に待望の新作がドロップされました。

『You're Dead!』も全20曲という大作でしたが、本作『Flamagra』はそれを上回る全27曲(本編のみ)というボリュームです。ただし、そのうち12曲が2分に満たない小曲というのがFlying LotusあるいはLAビート・ミュージックらしいのですが。

本作は"ある丘の上に鎮座している永遠の炎"がコンセプトとなっています。

また、Flying Lotusの初監督映画『KUSO』(2017年)で用いた音源も多く収録されているらしいです。

アルバムにはAnderson .PaakGeorge ClintonLittle DragonTierra WhackDenzel CurryDavid LynchShabazz Palaces(Ish/Tendai "Baba" Maraire)ThundercatToro Y MoiSolangeといったアーティストがフィーチャリングされています。

また、フライローの右腕Thundercat(b)、L.A.シーンに欠かせない重鎮Miguel Atwood-Ferguson(strings)、Thundercatの兄Ronald Bruner Jr.(ds)、注目のキーボード奏者Brandon Coleman(key)をはじめ、Herbie HancockSyunsuke OnoRobert GlasperTaylor Graves(key)、Dennis Hamm(key) 、Deantoni Parks(ds) 、Ashley Norelle(back vo)、Niki Randa(back vo)等がレコーディングに参加しています。

最近のBrainfeeder作品の傾向を反映したかのように、本作『Flamagra』も歌ものを中心にポップで聴きやすい楽曲が増えています。

Anderson .Paakをフィーチャーした「More」Little Dragonをフィーチャーした「Spontaneous」、日本人アーティストSyunsuke Onoとのコラボ「Takashi」、80年代テクノ・ポップNick Scarim「Spy vs. Spy - Main Theme」のリメイク「All Spies」、、WOKEの同僚Shabazz Palacesをフィーチャーした「Actually Virtual」Thundercatをフィーチャーした「The Climb」Toro Y Moiをフィーチャーした「9 Carrots」といった曲にこうした傾向が反映されています。

また、映画監督David Lynchのナレーションをフィーチャーした「Fire Is Coming」George Clintonをフィーチャーした「Burning Down The House」、人気女性R&BシンガーSolangeをフィーチャーした「Land Of Honey」あたりに本作らしい"永遠の炎"というコンセプトを感じることができます。

その一方でエクスペリメンタルな小曲があちこちに散りばめられており、その雑多感が逆に面白いのかも?

前作は"ジャズ・ネクスト・レベルの超問題作"という進化形ジャズ的な形容詞がフィットしましたが、本作は"進化形ジャズ"という枠組みからもはみ出しており、もはやジャンル的説明は困難ですね。このあたりは最近のBrainfeeder作品全編に言えることかもしれませんが・・・

本作のアートワークで使用されたタイポグラフィは、気鋭の日本人グラフィック・デザイナーGUCCIMAZE氏が手掛けています。

全27曲は良くも悪くも手ごわいですが、ポップな曲も多いので案外スンナリ聴けるかもしれません。

とりあえずLittle Dragonをフィーチャーした「Spontaneous」を聴けば、かなり印象が変わるはず!

全曲紹介しときやす。

「Heroes」
本作のテーマである丘の上に鎮座している永遠の炎を想起させるオープニング。Miguel Atwood-Fergusonがストリングスを手掛け、Thundercatらしいプレイも聴こえてきます。ドラゴンボール・ネタがサンプリングされているあたりがアニメ/ゲーム好きのFlying Lotusらしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=aDDvwoABgwE

「Post Requisite」
Flying Lotus/Thundercatのタッグによるコズミックなエレクトロニカ。本作らしい彩り鮮やかな音色を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=QbytIjGOqqk

「Heroes In A Half Shell」
L.A.ビートらしいミニマル感とジャズ・フィーリングを融合させた小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=hzLjObMptFo

「More」
Anderson .Paakをフィーチャー。ソウルフルな序章に続き、OutKast「Da Art of Storytellin' (Part 1)」の引用と共に始まるPaak節ラップ全開の本編に突入します。Anderson .Paak Meets Brainfeederって感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ylqBPksn36A

「Capillaries」
浮遊するHip-Hopビートが美しもの物悲しげなピアノが印象的なインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=uuUe2PWtV1Y

「Burning Down The House」
George Clintonをフィーチャー。George Clintonの得体の知れないキャラクターと炎の精霊という本作らしいモチーフをうまく重ね合わせた不穏なファンク・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=h4Z-mTcAsPU

「Spontaneous」
日系スウェーデン人の女性シンガーYukimi Nagano率いるスウェーデンの4人組バンド
Little Dragonをフィーチャー。これがフライロー?と疑いたくなるメロディアスでキャッチーなポップ・チューン。Yukimiのキュートなヴォーカルが映える1曲はモロに僕好み。こういう曲でも2分強であっけなく終わってしまうところはフライローらしいのかもしれませんが(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=Yi67hQf2AjA

「Takashi」
日本人アーティストSyunsuke Onoとのコラボ。Spotifyで流れていた彼の曲をフライローが気に入りコラボが実現したようです。また、日本人名の曲タイトルはチームラボの工藤 岳 氏に因んだものらしいです。フライローらしいミニマルな音世界にポップな要素が加わった感じのインストです。
https://www.youtube.com/watch?v=YrygJAr13Dk

「Pilgrim Side Eye」
『You're Dead!』にも参加していたHerbie Hancockとのコラボ。1分半のエクスペリメンタルなインストです。
https://www.youtube.com/watch?v=rynqb6m8FnM

「All Spies」
Nick Scarim「Spy vs. Spy - Main Theme」のリメイク。 80年代テクノ・ポップのチープ感覚を2019年流のセンスで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=cDlBO3ja3rw

「Yellow Belly」
女性ラッパーTierra Whackをフィーチャー。ゲーム・ミュージック的トラックと妖しげなTierra Whackラップによるエクスペリメンタルな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=Z8rSTXeyMns

「Black Balloons Reprise」
Denzel Curryをフィーチャー。Alain Goraguer「Ten Et Tiwa」、Melvin Bliss「Synthetic Substitution」をサンプリングした哀愁トラックによるHip-Hopチューンです。Miguel Atwood-Fergusonによるストリングスも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=hc7K4q3P2wg

「Fire Is Coming」
『イレイザーヘッド』、『エレファント・マン』、『ツイン・ピークス』、『ロスト・ハイウェイ』等でお馴染みの映画監督David Lynchのナレーションをフィーチャー。あるフェスティバルでLynchのスポークン・ワード的スピーチを聞いたことが、"炎"という本作のコンセプトを後押ししたようです。音を聴いているだけで、Lynchの不気味な映像が思い浮かんできます。
https://www.youtube.com/watch?v=hcKBell84GQ

「Inside Your Home」
1分半ながらもフライロー×ThundercatコンビらしいL.A.ビートを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=_sCLw79q0wc

「Actually Virtual」
IshとTendai "Baba" MaraireによるHip-HopユニットShabazz Palacesをフィーチャー。Ishは元Digable PlanetsButterflyと同一人物です。2人とFlying Lotus、ThundercatはHip-HopプロジェクトWOKEの同僚です。そんなWOKE的トラックはトライバル・ビートと炎の精霊ラップによる呪術的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=iwDJa2F2Tlc

「Andromeda」
1分半の小曲ですがコズミックなエレクトロニカ感が魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=49ajVcXyG4A

「Remind U」
前曲からの流れがいい感じです。「Andromeda」と合わせて1曲位の感覚で聴くと丁度良いコズミックなインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=CTNJ18bU4Dc

「Say Something」
ピアノとストリングスのみよるクラシカルな雰囲気の小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=UJnEh2Xx4yA

「Debbie Is Depressed」
Miguel Atwood-Fergusonのストリングスが映える美しくも切ない1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=j1pwFuOnyXc

「Find Your Own Way Home」
美しも儚いコーラスワークが印象的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=M6yta67jRPQ

「The Climb」
Thundercatをフィーチャー。Thundercat『Drunk』の雰囲気をそのまま持ち込んだかのようなメロウ・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=8hcv3q7vNTY

「Pygmy」
呪術的トライバル感が印象的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=uyd-ymw6_MU

「9 Carrots」
幅広い音楽性を持つチル・ウェイヴ系アーティストToro Y Moiをフィーチャー。彼のファルセット・ヴォーカルが優しく響くメロウ・ポップ。本作らしいクラヴィネットの響きも印象的です。。
https://www.youtube.com/watch?v=r_VEXk2oJ7E

「FF4」
美しくも儚いアブストラクトHip-Hopといった雰囲気の小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=mDJf4vKgevE

「Land Of Honey」
人気女性R&BシンガーSolangeをフィーチャー。Robert Glasperもソングライティングに名を連ねています(ここで聴かれるピアノも彼かも?)。Solangeの祈りのようなヴォーカルが映える美しく深淵な仕上がり。Miguel Atwood-Fergusonのストリングスによるドラマティックな演出もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=UZ_v07WeVmE

「Thank U Malcolm」
本作らしいコズミックなインストですが、ThundercatとRonald Bruner Jr.というBruner兄弟の活躍が目立ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=lYPgHsI1mkw

「Hot Oct.」
炎の精霊のメッセージと共にアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=mRo8gxvhJCg

「Quarantine」
国内盤ボーナス・トラック。トライバル&エスニック&エクスペリメンタルなインストです。

他のFlying Lotusのアルバムもチェックを!

『1983』(2006年)
1983 (Rmx) (Dig)

『Los Angeles』(2008年)
Los Angeles (WARPCD165)

『Until The Quiet Comes』(2012年)
Until the Quiet Comes [解説付 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (BRC350)『You're Dead!』(2014年)
You're Dead! [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 初回盤のみ特殊パッケージ仕様 / 国内盤] 特典マグネット付 (BRC438)

また、彼の主宰するBrainfeeder10周年記念コンピ『Brainfeeder X 』(2018年)あたりをチェックするのも楽しいのでは?

『Brainfeeder X 』(2018年)
Brainfeeder X [(解説 / 特殊スリーヴ付豪華パッケージ仕様 / 初回限定盤 / 2CD / 国内盤] (BRC586LTD)
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2019年06月02日

Mark Guiliana『Beat Music! Beat Music! Beat Music!』

ビート・ミュージック全開の最新作☆Mark Guiliana『Beat Music! Beat Music! Beat Music!』
BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! [日本語解説つき]
発表年:2015年
ez的ジャンル:新進ジャズ・ドラマー系ビート・ミュージック
気分は... :却来(きゃくらい)!

今回は鬼才ジャズ・ドラマーMark Guilianaの最新作『Beat Music! Beat Music! Beat Music!』です。

現在ジャズ・シーンで最も旬なドラマーの一人Mark Guilianaの紹介は、『My Life Starts Now』(2014年)、Mark Guiliana Jazz Quartet名義の『Family First』(2015年)に続き3回目となります。

アコースティック・ジャズとエクスペリメンタルなミニマル/ビート・ミュージックという2方向のアプローチを行き来するMark Guilianaですが、本作『Beat Music! Beat Music! Beat Music!』はタイトルが示すように後者のアプローチによる新作です。

全体の印象としては、『My Life Starts Now』(2014年)に近い雰囲気ですね。

レコーディングにはMark Guiliana(ds、electronics、vo)以下、Chris Morrissey(b)、Stu Brooks(b)、Jonathan Maron(b)、Tim Lefebvre(b)、Jason Lindner(syn、melodica)、BIGYUKI(syn)、Jeff Babko(syn)、Nate Werth(per)、Troy Zeigler(electronics)、Steve Wall(electronics)、Cole Whittle(spoken word)、Jeff Taylor(spoken word)、さらにはMarkのパートナーであるN.Y.コンテンポラリー・ジャズの歌姫Gretchen Parlato(spoken word)、Markの息子Marley Guiliana(spoken word)が参加しています。

これまでのMark Guilianaでお馴染みのメンバーが中心です。

Jason Lindnerは、Markも参加するユニットNow Vs Nowの同僚。Stu Brooksは、ダビー・バンドDub Trioでも活躍するベーシスト。Jeff BabkoTim Lefebvreは、鬼才Louis Coleも属するユニットCrow Nutsのメンバー。Nate Werthは、人気ジャズ・ミクスチャー・バンドSnarky Puppyのメンバー。BIGYUKIは、もはや説明不要の日本人キーボード奏者。Jonathan Maronは、N.Y.のジャズ・ファンク・グループGroove CollectiveおよびRepercussionsの元メンバー。

また、Steve Wallはミックスも担当に、本作に大きく貢献しているようです。

実に聴きやすい音だなぁ!というのがアルバム全体の印象です。初心者でも楽しめる"開かれたビート・ミュージック"といった感じでしょうか。

エクスペリメンタルなビート・ミュージックでありながらも、ダンサブル/ポップなエッセンスを上手く織り交ぜ、無機質なビート感覚と温もりのあるエレクトロニカ・サウンドを巧みに融合させているのがいいですね。

あとはダビー・バンドDub Trioでも活躍するベーシストStu Brooksの参加曲を中心に、ビート・ミュージックの中にレゲエ/ダブを上手く取り込んでいる演奏も目立ちます。

もはやジャズ作品とは呼べない内容ですが、鬼才ジャズ・ドラマーのビート感覚を楽しむという意味では、現在進行形ジャズの側面も残しています。

能の大成者、世阿弥が用いた「却来(きゃくらい)」(元々は禅語の「却来(きゃらい)」)という言葉があります。「高い段階に一度到達した後に、あえて低い位に立ち戻る」という意味であり、芸を究めた者が目利きの観客(上級者)しかわからない高位の芸ではなく、あえて目利かずの観客(初心者)でも理解しやすい低位の芸を披露するといったものです。

本作におけるMark Guilianaは、正に「却来」的アプローチで初心者でも楽しめるビート・ミュージックを聴かせてくれます。

Beat Music!を3回連呼させるタイトルに相応しいビート・ミュージック・ワールドをぜひお楽しみください。

全曲紹介しときやす。

「Girl」
ビートミュージックらしいミニマルなオープニング。今ジャズ・ドラマーらしいビート感覚と同時に、本作らしいレゲエ/ダブのエッセンスも織り交ぜたアルバムを象徴するオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=PYq758xhxOU

「Bones」
推進力のあるグルーヴが印象的なキャッチーなダンサブル・チューン。Louis Coleあたりに通じるポップ・センスがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=TOkxahVcOdI

「Bud」
Stu Brooksの地を這うベースが先導する哀愁エレクトロニカ・ダビー。ビートミュージックならではのダビー・サウンドになっているのがいいですね。無機質なのに、その先にエレクトロニカな温もりを感じるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=x4iDFwLmWS4

「Bullet」
新幹線の京都駅でのアナウンスを素材にしたダンサブルなビートミュージック。サウンドも駅構内アナウンスという素材の選び方もビートミュージックらしい1曲に仕上がっていて楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=4vIcwoXkR0I

「Home」
エレクトロニカなミニマル・ワールドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=gDONPcIi4FM

「Roast」
ビートミュージックらしい疾走感が格好良いダンサブル・チューン。初心者もとっつきやすい開かれたビートミュージックになっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pkGwrj8FHEA

「Human」
モロにレゲエな感じでスタートしますが、中盤以降はビートミュージックが浸食し、エキサイティングな展開に・・・
https://www.youtube.com/watch?v=qBoUSTgpimQ

「Bloom」
パートナーGretchen Parlato、息子Marley Guilianaが参加。温かみのあるエレクトロニカに仕上がっています。

「Stream」
ラストはJason Lindnerのメロディカが印象的なレゲエ/ダブのエッセンスを強調した演奏で締め括ってくれます。

Mark Guiliana関連の他作品もチェックを!

Mehliana『Taming The Dragon』(2014年)
Mehliana: Taming the Dragon

『My Life Starts Now』(2014年)
My Life Starts Now[日本語解説付]

『Beat Music:The Los Angels Improvisations』(2014年)
Beat Music : The Los Angels Improvisations[日本語解説付]

Mark Guiliana Jazz Quartet『Family First』(2015年)
Family First[ボーナストラック収録・日本語解説つき]

Mark Guiliana Jazz Quartet『Jersey』(2017年)
Jersey [ボーナストラック収録/日本語解説つき]

Now Vs Now『Earth Analog』(2013年)
Earth Analog

Now Vs Now『The Buffering Cocoon』(2018年)
Buffering Cocoon
posted by ez at 04:34| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月26日

The Gramophone Allstars Big Band『Maraca Soul』

ビッグ・バンドによる魅惑のスカ/レゲエ・ワールド☆The Gramophone Allstars Big Band『Maraca Soul』
マラカ・ソウル
発表年:2019年
ez的ジャンル:バルセロナ産ジャマイカン・ビッグ・バンド・ジャズ
気分は... :夏が待てない!

今回は新作アルバムから、バルセロナ産のジャマイカン・ジャズ作品The Gramophone Allstars Big Band『Maraca Soul』です。

The Oldiansと並ぶジャマイカン・ジャズ・バンドThe Gramophone Allstars Big Bandの紹介は、『Jazzmaica』(2014年)に続き2回目となります。

本国スペイン盤『Maraca Soul』は2017年リリースですが、本作はオリジナル『Maraca Soul』の10曲に、2019年リリースのEP「The Reel Influence: 10th Anniversary Celebration」の4曲を加えた、今年リリースの国内盤です。

本作におけるメンバーはGenis Bou(ts、fl)、Lluc Casares(as、cla)、Pau Vidal(ts、fl)、Pere Miro(bs)、Pep Garau(tp)、Andres Tosti(tp)、Pep Tarradas(tp)、Albert Costa(tb)、Sidru Palmada(tb)、Adria Plana(g)、Eloi Escude(p、key)、Vic Moliner(b)、Xoan Sanchez(per)、Aleix Bou(ds)、Judit Neddermann(vo)、Kathy Sey(vo)、Yolanda Sey(vo)です。

前作『Jazzmaica』(2014年)同様、ビッグ・バンドらしいスカ/レゲエを聴かせてくれます。

本編は全10曲中9曲がカヴァー。EP「The Reel Influence: 10th Anniversary Celebration」は全曲カヴァーです。全体的にはスカ/レゲエ、ラテンのカヴァーが多いですね。

スカ/レゲエ、ラテン/カリプソ、ジャズを巧みに融合された開放的なビッグ・バンド・サウンドは、聴いているだけで常夏気分にさせてくれます。ノズタルジックな雰囲気を今日的な感覚で聴かせるセンスが抜群ですね。

これから夏に向けて手放せない1枚になりそうです。

全曲紹介しときやす。

「I Don't Know」
ジャマイカのヴォーカル・デュオThe Blues Bustersのカヴァー(Lloyd Campbell/Phillip James作)。このバンドらしい軽快なビッグ・バンド・スカ。軽快なスカ・リズムに乗った鮮やかなホーン・アンサンブルと艶やかなJudit Neddermannのヴォーカルが常夏へと連れていってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JbFGmwNRhtA

「Don't You Worry 'Bout A Thing」
Stevie Wonderの名曲カヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した名盤『Innervisions』に収録されています。本作の目玉かもしれませんね。オリジナルの雰囲気を受け継ぎ、ラテン・フレイヴァーを効かせたビッグ・バンド・ジャズ/スカに仕上がっています。聴くだけで開放的な気分にさせてくれるサマー・ソングです。
https://www.youtube.com/watch?v=BT2xezCBKf4

本曲に関して、当ブログではIncognitoWeldon IrvineSergio Mendes & Brasil '77The Main IngredientRoy Ayers Ubiquityのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はそちらもチェックを!

「Iko Iko」
Dr. Johnでお馴染みのニューオーリンズ名曲をカヴァー(James "Sugar Boy" Crawford作)。ニューオリンズ・サウンドのエッセンスを取り入れたダイナミックな1曲に仕上がっています。ブレイクを含む中盤のProfessor Longhair「Big Chief」の引用もキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Z1cOVKMPYjk

「Treat Me Good」
USスカ・バンドThe Slackersのカヴァー(David Hillyard/Victor Ruggiero作)。ラテン×スカを巧みに融合させた演奏を楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=8FBK4y5GWC4

「Jamaica Farewell」
Harry Belafonteでお馴染みの楽曲をカヴァー(Lord Burgess作)。ノスタルジック・ムードのレゲエ・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Z1cOVKMPYjk

「Hot Cargo」
The Skatalitesの元メンバーLester Sterlingの楽曲をカヴァー。オランダのジャズ・ユニットNew Cool CollectiveのメンバーBenjamin Hermanによるサックス・ソロがフィーチャリングされています。ビッグ・バンド・ジャズらしいスカ・サウンドで楽しませてくれるインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=deL9X-P_6C0

「The Soul Drummers」
ラテン・グルーヴの帝王"ハード・ハンズ"Ray Barrettoのカヴァー。リード・ヴォーカルはKathy Sey/Yolanda Sey。パーカッション/ドラム・ブレイクと共い始まる軽快なスカ。格好良さでいえば、コレが一番かも?
https://www.youtube.com/watch?v=qfIMbaZSw4M

「Ah Diggin' Horrors」
"キング・オブ・カリプソ"Mighty Sparrowのカヴァー。カリビアン・テイストの開放感が心地好い1曲に仕上がっています。華のあるJudit Neddermannのヴォーカルがよく似合います。
https://www.youtube.com/watch?v=Y8xeX-q8oSU

「I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free」
Dick Dallas/Billy Taylor作。Nina Simoneヴァージョン等で知られる楽曲をカヴァー。当ブログではShirley Scott & The Soul Saxesのカヴァーを紹介済みです。ソウルフルなスカ・チューンはかなり僕好み。このバンドの魅力が凝縮された1曲に仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=ACvte7bPJZg

「Tommy's Spaceship」
メンバーLluc Casaresによるオリジナル。素晴らしいホーン・アンサンブルと共に始まるムーディーなビッグ・バンド・レゲエで本編のラストを締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Djsbi8tHJ4I

ここからは「The Reel Influence: 10th Anniversary Celebration」の4曲。

「Dance Crasher」
Alton Ellis & The Flamesのカヴァー。ノスタルジックなビッグ・バンド・ジャズとスカ・サウンドをいい塩梅で融合させた1曲。小悪魔的な魅力を持った1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=vrmfNZ7d-CM

「The Harder They Come」
同名映画でもお馴染みのJimmy Cliffの名曲カヴァー。Judit Neddermannのヴォーカルが映える雰囲気のあるビッグ・バンド・レゲエに仕上がっています。完成度の高いカヴァーだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=lgfofds4gQA

「Shame & Scandal」
カリプソのレジェンドSir Lancelotのカヴァー(Lord Melody/Sir Lancelot作)。軽やかなスカ・サウンドに乗ったJudit Neddermannの艶やかなヴォーカルにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=5wDoonKZ0iM

「Rock Sweet Rock」
The Wailers、1966年のシングル曲をカヴァー。ラストはサンセット・モードの素敵なラヴァーズで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1Yxu-22XoQg

The Gramophone Allstars/The Gramophone Allstars Big Bandの他作品もチェックを!

『Just Delightin'』(2008年)
Just Delightin'

『Simbiosi』(2010年)
Simbiosi

『Levitant a La Deriva』(2011年)
Levitant a La Deriva

『Jazzmaica』(2014年)
ジャズマイカ
posted by ez at 01:42| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする