2017年09月17日

Joao Donato E Donatinho『Sintetizamor』

親子共演はブラジル版Tuxedo?☆Joao Donato E Donatinho『Sintetizamor』
シンテチザモー Sintetizamor
発表年:2017年
ez的ジャンル:ブラジリアン・ブギー・ファンク
気分は... :柴崎ゴール!

先ほどバルサ戦での柴崎岳の先制ゴールを生放送で観て少し興奮気味です。

今回は新作アルバムから、ブラジル音楽の偉大なコンポーザー/キーボード奏者Joao Donatoと息子Donatinhoの親子共演アルバムJoao Donato E Donatinho『Sintetizamor』です。

ブラジル音楽の偉大なコンポーザー/キーボード奏者Joao Donatoについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Sambou, Sambou(Muito a Vontade)』(1962年)
 『A Bad Donato』(1970年)
 『Quem e Quem』(1973年)

近年、サウンド・クリエイターとして頭角を現してきたDonatinhoとその偉大な父Joao Donatoの親子共演アルバム。どうしても父Joao Donatoのネームバリューが先行してしまいますが、本作の主役は父親よりもプロデューサー/アレンジャー/リズム・プログラミングを手掛けた息子Donatinhoだと思います。

そんなDonatinhoが父のサポートを得ながら、さながらブラジル版Tuxedoと呼びたくなるブギー・ファンク作品を創り上げたのが本作『Sintetizamor』です。

作曲はすべて2人で行い、演奏も多くの部分を2人でこなしています。

Moraes Moreiraの息子でMaria Ritaの公私のパートナーDavi MoraesJoao Boscoの娘でDonatinhoの恋人であるJulia Bosco等もレコーディングに参加しています。

どちらかと言えば、ブラジル音楽ファンよりも、ディスコ/ファンク好きの人向けのアルバムかもしれませんが、次世代ブラジル・ミュージシャンがお好きな人は要チェックな1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「De Toda Maneira」
オススメ1。Donatinho/Joao Donato/Davi Moraes作。本作を象徴するブリブリのブギー・ファンクでアルバムは幕を開けます。
https://www.youtube.com/watch?v=ewbLJ60AOeE

「Surreal」
オススメ2。Donatinho/Joao Donato/Domenico Lancellotti/Julia Bosco作。Herbie Hancockに捧げられたトークボックス使いのメロウ・ファンク。『Sunlight』(1978年)収録のヴォコーダー名曲「I Thought It Was You」がお好きな人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=02Bf9ycMsA4

「Quem E Quem」
Donatinho/Joao Donato/Jean Kuperman作。Donatoの名盤『Quem e Quem』(1973年)と同タイトルですが新曲です。父Donatoがヴォーカルをとるメロウ・ディスコ。御大がこの年齢でディスコ・チューンのヴォーカルをとるとは?Gabriela Rileyの女性ヴォーカルが上手くフォローしています。
https://www.youtube.com/watch?v=0myH3MvQZyQ

「Interstellar」
オススメ3。Donatinho/Joao Donato/Davi Moraes/Gabriela Riley作。DonatinhoとGabriela Rileyがヴォーカルをとる80年代モードのミディアム・ファンク。Davi Moraesのヴォコーダーもいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=nMISGxEV6X8

「Lei Do Amor」
オススメ4。Donatinho/Joao Donato/Roge作。配信で先行リリースされたシングル曲。煌びやかなシンセの音色が似合う爽快メロウなディスコ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=d_PtrBUxAtA

「Clima de Paquera」
Donatinho/Joao Donato作。父Donatoと息子の恋人Julia Boscoによる恋人同士の電話での会話調ヴォーカルが聴けるメロウ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=xTJRcnzqJ4c

「Luz Negra」
オススメ5。Donatinho/Joao Donato/Jonas Sa作。Donatinhoのトークボックスも含めてモロにZapp/Roger調のファンク・チューンです。。
https://www.youtube.com/watch?v=00VflnyH4Rc

「Vamos Sair A Francesa」
Donatinho/Joao Donato/Ronaldo Bastos作。父Donatoがヴォーカルをとる本曲が本作で一番Joao Donatoらしい雰囲気かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=VJ6CmnyI_2w

「Ilusao de Nos」
Donatinho/Joao Donato/Joao Capdeville作。親子デュエットにおるメロウ・ミディアム。シンセの響きがよく似合います。
https://www.youtube.com/watch?v=axeX5BrDgxU

「Hao Chi」
Donatinho/Joao Donato作。本編ラストはメロウに締め括ってくれます。終盤に中国語のヴォーカルが入ってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=4j1XkL6LEcA

国内盤CDにはKeilaをフィーチャーした「Dois Segundos」、「Lei Do Amor」のAlexandre Kassinによるリミックス「Lei Do Amor (Kassin Remix)」がボーナス・トラックとして追加収録されています。

ご興味がある方はDonatinhoの初ソロ・アルバム『Zambe』や彼がプロデュースしたJulia Bosco『Dance Com Seu Inimigo』もチェックを!

Donatinho『Zambe』(2015年)
Zambe

Julia Bosco『Dance Com Seu Inimigo』(2016年)
Dance Com Seu Inimigo
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2017年09月10日

Noah Slee『Otherland』

NZ出身、ベルリンを拠点にする新世代R&Bシンガーのデビュー作☆Noah Slee『Otherland』
アザーランド
発表年:2017年
ez的ジャンル:ベルリン産新世代R&Bシンガー
気分は... :未踏の地へ・・・

今回は新作アルバムからベルリンを拠点にする新世代R&BシンガーNoah Sleeのデビュー・アルバム『Otherland』です。

Noah Slee(多分、本名はKautau Molia Manukia)は、ニュージーランド出身の男性R&Bシンガー。ライナーノーツを読むと、幼少期をトンガで過ごした後に、NZのオークランドへ移住と書かれており、本名も考慮すると彼のルーツはNZというよりもトンガと説明した方が適切かもしれません。

自ら音楽制作を手掛けるようになり、NZの音楽シーンで頭角を現し始めます。当ブログで紹介した作品でいえば、NZのフューチャー・ソウル作品Sola Rosa『Magnetics』(2014年)でNoah Sleeがフィーチャリングされています。

その後、1stシングル「Can't Let Go」をリリースし、そのリミックスを手掛けたJuri Nathan Ben Esserと意気投合します。そして、彼がスタジオを所有するベルリンを拠点に、共同プロデュースで本作『Otherland』の制作を開始します。

ちなみにJuri Nathan Ben Esserは、Ben Esserの名で知られるUK出身の男性SSW/プロデューサーであり、かつてはUKのバンドLadyfuzzのドラマーとしても活躍していました。

話を本作『Otherland』に戻すと、販売元のインフォやCD帯の宣伝文句には、各方面から絶賛の新世代US女性R&BグループKING、UK期待の男性R&BシンガーSampha、デトロイト出身の次世代ビートメイカーTall Black Guyといった当ブログで紹介したアーティストの名前が引き合いに出されています。

さらに参加メンバーには、当ブログでも少し前にデビュー・アルバム『Freedom TV』を絶賛したナイジェリア出身、ベルリン在住の男性R&BシンガーWayne Snow、当ブログでもお馴染み、USアンダーグラウンドR&Bの女王である異才Georgia Anne Muldrow『Cloak』(2016年)で注目されたオーストラリア、ブリスベン出身で現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakei、さらには全世界が注目するオーストラリアのフューチャー・ソウル・ユニットHiatus KaiyoteのメンバーPaul Bender(b)とSimon Mavin(key)という要注目アーティストの名がズラリと並びます。

ここまで挙げたアーティストの名を眺めただけで、本作の充実ぶりが想像できちゃいますよね(笑)

実際の音も、そんな事前期待を裏切らない内容です。随所で新世代アーティストらしいR&Bを満喫できます。また、ハウスのエッセンスを取り入れた楽曲あたりはベルリンならではの音かもしれません。また、ゴスペル色の強い楽曲なども収録されています。

楽曲はすべてNoah自身とBen Esser等によるオリジナルです。

次世代R&B好きの方は要チェックな音だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Komata’anga (Intro) 」
トンガ語で「はじまり」を意味するイントロ。Noahのルーツはトンガにアリ!

「Instore」
ナイジェリア出身、ベルリン在住の男性R&BシンガーWayne Snowと同郷の友人であるNZの女性シンガーRachel Fraserをフィーチャー。さらにHiatus KaiyoteのPaul BenderとSimon Mavinも参加しています。揺らめく哀愁サウンドと共に3人のヴォーカルがジワジワと脳内を侵食します。
https://www.youtube.com/watch?v=2mlicLZ-ozU

「Radar」
ベルリン産らしいハウスの影響を感じるダンサブル・チューン。今のR&Bとハウスを自然に融合させているのが新世代アーティストなのかもしれませんね。このあたりはWayne Snowにも通じますね。
https://www.youtube.com/watch?v=jE-eiVF7_-A

「Invite (Interlude)」
インタールード。

「Lips」
MeloDownzをフィーチャー。Hiatus Kaiyoteの2人も参加。アンビエントな雰囲気の今時R&Bらしい1曲に仕上がっています。音空間の広がりでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=MmhTmsz4Ad4

「Told」
現在、僕の移動中のヘビロテはコレ!ベルリン産R&Bならではのダンサブル・チューンだと思います。アンダーグラウンドなアッパー感がたまらなく僕好みです。トランペットのアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=n2wDsnGABkw

「Sunrise」
スクラッチと共に始まる新世代らしいR&Bグルーヴ。Noahのファルセット・ヴォーカルが浮遊する感じがいいですね。Georgia Anne Muldrowも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=fCaqD-H3qts

「Dawn(Interlude)」
Georgia Anne Muldrowをフィーチャー。MuldrowからNoahへのエールのようなトライバルな小曲。

「Reality」
最新作『Wallflower』が間もなくリリースされる期待の男性SSW、Jordan Rakeiをフィーチャー。オセアニアからヨーロッパ経由で世界中のR&Bファンを魅了するという点で、NoahとRakeiは共通していますね。そんな期待のホープの共演らしい次世代R&Bの音世界を満喫できます。むやみに尺を長くせず2分半強で収めるのも新世代らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=UUaUfN-EoL8

「DGAF」
Shiloh Dynastyをフィーチャー。Noahのギターがさり気なく牽引します。歌い回しが新世代R&Bらしいですね。Shiloh Dynastyのサウンド・エフェクトのようにサウンドに溶け込む高音ヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=lNgSeq3dC2w

「Wander (Interlude)」
ゴスペル調のインタールード。

「Stayed」
前曲からの流れを汲むゴスペル調のバラード。アンビエント+ゴスペルな感じが新世代アーティストらしいかもしれません。

「Way Back」
祈りのような哀愁のヴォーカルワークが印象的です。

「Kiez (Interlude)」
インタールード。

「100」
Hiatus Kaiyoteの2人も参加。参加メンバー達のハイブリッドな音楽センスが凝縮されたフューチャー・ソウルに仕上がっています。コレも大好き!

「Silence」
タイトルの通り、静寂の中でNoahのヴォーカルは揺らめきます。新世代のスピリチュアル・ソウルといった趣です。

「Ngata’anga (Outro)」
Ben Esserのピアノによるアウトロ。

販売元の宣伝文句に従い(笑)、KINGSamphaTall Black Guyとセットで聴いてみては?

KING『We Are KING』(2016年)
We Are King

Sampha『Process』(2017年)
Process [ライナーノーツ / 歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (YTCD158J)

Tall Black Guy『Let's Take A Trip』(2016年)
Let's Take A Trip
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2017年09月03日

Kero & Azure『Jazzhop』

原点回帰のジャジーHip-Hop☆Kero & Azure『Jazzhop』
ジャズホップ
発表年:2017年
ez的ジャンル:ベイエリア・ジャジーHip-Hop
気分は... :守破離・・・

今回はカリフォルニア生まれの韓国系アメリカ人MC/プロデューサーKero OneAzureと共同名義でリリースした最新アルバムKero & Azure『Jazzhop』です。

当ブログでこれまで紹介したKero One作品は以下の6枚。

 『Windmills of the Soul』(2005年)
 『Kero One Presents:Plug Label』(2007年) ※主宰するPlug Labelのコンピ
 『Early Believers』(2009年)
 『Kinetic World』(2010年)
 『Color Theory』(2012年)
 『Reflection Eternal』(2015年) ※Kero Uno名義

最新作はベイエリアのヒップホップ・クルーThe HBK Gangのラッパー/プロデューサーAzureとタッグを組み、デビュー・アルバム『Windmills of the Soul』(2005年)を思い出すような原点回帰のジャジーHip-Hopを聴かせてくれます。

Kero Uno名義の前作『Reflection Eternal』(2015年)を聴いたときには、もはや彼にとってHip-Hopというフィールドは狭すぎるのかとも思いましたが、本作ではしっかりHip-Hopのフィールド、しかも初期作品のようなジャズ・フィーリングを重視したトラックが多く収録されています。

おそらくKero Oneファンの中には"やはり1st『Windmills of the Soul』が最高だった"という人も多いと思うので、そういった人たちも満足できる1枚です。

オープニングの「Jazzhop」を聴き、歓喜する人も多いのでは?

全曲紹介しときやす。

「Jazzhop」
A Tribe Called Quest「Verses From the Abstract」の♪Comin' to The house of the jazz, of the funk♪のリリックに、Common「Resurrection '95」のサンプリングが絡むKero Oneらしいジャジー&メロウHip-Hop全開のオープニング。Kero Oneファンはずっとこういった音を待っていたのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=TYjTrtXKkpU

「Light It Up!」
澄み切ったジャジー&ソウルフルなフィーリングが心地好いトラックに仕上がっています。

「Real Ones」
涼しげなフルートが先導するジャジー&メロウ・チューン。クールな美学がたまりません。

「Let Me Show You」
ディスコ/ブギー調のダンサブル・チューン。途中、Ol' Dirty Bastard「Shimmy Shimmy Ya」のリリックを引用しています。
https://www.youtube.com/watch?v=tb_R2DfylH8

「Momma Said」
アーバンなソウル・フィーリングにグッときます。さり気ない中にもKero Oneならではのセンスを感じます。

「Rhodes Less Traveled」
70年代クロスオーヴァー/フュージョン風のエッセンスを散りばめたインスト。今ジャズ風のリズムもいい感じです。

「Winning」
ジャジーなトランペットとエッジーなギターのループをバックに、高速ラップで畳み掛けるクセになるトラック。ラガ風味が隠し味です。

「Pressure」
本編ラストはヴォコーダー入りのエレクトロ風味のトラックで締め括ってくれます。少し他のトラックとは異なる雰囲気です。

「Winning」
国内盤ボーナス・トラック。KANDYTOWNに所属する日本人ラッパー呂布をフィーチャーした「Winning」の別ヴァージョンです。日本語で聴くと、また別の魅力がありますね。

Kero One関連の過去記事もご参照下さい。

『Windmills of the Soul』(2005年)
Wildmills of the Soul

Various Artists『Kero One Presents:Plug Label』(2007年)
プリゼンツ・プラグ・レーベル

『Early Believers』(2009年)
アーリー・ビリーヴァーズ

『Kinetic World』(2010年)
キネティック・ワールド

『Color Theory』(2012年)
カラー・セオリー

『Reflection Eternal』(2015年)
リフレクション・エターナル
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2017年08月27日

Kassin『Relax』

ブラジル新世代の重要ミュージシャンの新作☆Kassin『Relax』
リラックス
発表年:2017年
ez的ジャンル:ブラジル新世代サウンド
気分は... :進化は止まらない・・・

新作アルバムから、Moreno VelosoDomenico Lancellottiとの+ 2ユニットで知られるブラジル新世代サウンドの重要ミュージシャンAlexandre Kassinの最新ソロ・アルバム『Relax』です。

当ブログでもKassinの名は度々登場しますが、彼自身のアルバム紹介は今回が初めてとなります。

本作『Relax』は前作Kassin『Sonhando Devagar』(2011年)から約6年ぶりのアルバムとなります。Kassin自身のプロデュースです。

レコーディングには+ 2の盟友Domenico Lancellotti(ds)やKassinが近年組んでいるインスト・バンドCometaのメンバー、Alberto Continentino(b)、Danilo Andrade(p、org)、Stephane San Juan(ds、per)、Maria Ritaの公私のパートナーDavi Moraes(g)、70年代から活躍するブラジリアン・ソウルのベテランHyldon(vo、g)、ポルトガルのバンドOrelha Negra、Kassinプロデュースで昨年新作をリリースしたブラジルの女優/シンガーClarice Falcao(vo)等が参加しています。

また、ソングライティングにはHigh LlamasSean O'HaganGallianoTwo Banks Of Four、最近ではThe Diabolical Libertiesの活動で知られるUKクラブミュージックの重要アーティストRob Gallagher、Marker Starling名義でも知られるカナダ人シンガー・ソングライターChris Cummings等も参加しています。

+ 2ユニットのメンバーとSean O'HaganHigh Llamas)といえば、Domenico Lancellottiの最新作『Serra Dos Orgaos』はDomenicoとSean O'Haganとの共同プロデュースです。

Domenico Lancellotti『Serra Dos Orgaos』(2017年)
オルガンス山脈

話を本作に戻すと、国境や時代を超えた、さまざまな音楽を貪欲に取り込み、Kassinワールドをさらに進化させている点が素晴らしいですね。

ブラジル新世代サウンドを余すことなく伝えてくれる傑作アルバムだと思います。

コレを聴かずして何を聴くのか!と絶賛したくなる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「O Anestesista」
Kassin作。元々はKassinがポーランドのバンドMitch & Mitchと共演したアルバム『Visitantes Nordestinos』(2017年)への提供曲をセルフ・カヴァー。中原 仁さんのライナー・ノーツに書かれているようにMarcos Valle調の爽快メロウ・チューンに仕上がっています。

「Estrada Errada」
70年代から活躍するブラジリアン・ソウルのベテランHyldonの作品をカヴァー。オリジナルは『Deus A Natureza E A Musica』(1976年)に収録されています。作者HyldonとポルトガルのバンドOrelha Negraとの共演です。キャッチーなギターが先導するポップ・ロック調の仕上がりです。

「Seria O Donut?」
Kassin/Rob Gallagher作。KassinとRob Gallagherの2人は、当ブログでも紹介したGilles Petersonのブラジリアン・オールスター・プロジェクト作品Sonzeira『Brasil Bam Bam Bam』で共同プロデューサーとしてタッグを組んだ仲です。この2人からはクラブ寄りのサウンドをイメージしてしまいますが、予想に反して+ 2ユニット的な音響ポップな仕上がりです。

「A Paisagem Morta」
Kassin作。僕好みの素敵なドリーミー・ポップ。Kassinのポップ職人的な才覚を再認識できます。Stephane San Juanのドラミングがいい感じです。

「Relax」
Kassin/Alberto Continentino作。タイトル曲は2015年に逝去したキーボード奏者/アレンジャー/プロデューサーLincoln Olivettiに捧げられたものらしいです。Kassin流のディスコ・サウンドを満喫できるキャッチーなダンス・チューンです。

「Enquanto Desaba O Mundo」
Kassin作。メキシコ滞在時に書かれたボレロ調の仕上がり。エクスペリメンタルなほのぼの感に和まされます。

「Sua Sugestao」
Kassin作。Domenicoのシャープなドラミングが牽引するダンサブルな近未来的ポップ・チューン。ブラジル新世代らしいサウンドを楽しめます。

「Comprimidos Demais」
Kassin/Alberto Continentino作。Kassin流ポップ・ワールドに魅了されます。ブラジルらしいサウダージなポップ感覚がグッド!

「Digerido」
Kassin/Sean O'Hagan作。High LlamasファンであるKassinは前作『Sonhando Devagar』でもSeanと共作していました。High Llamas的なエッセンスを自身の音世界に上手く取り込んだ仕上がりです。

「Coisinha Estupida」
Carson Parks作。Nancy Sinatra & Frank Sinatraが1967年に大ヒットさせた「Somethin' Stupid」のポルトガル語カヴァー。Kassinが昨年アルバム『Problema Meu』をプロデュースしたブラジル人女性シンガーClarice Falcaoをフィーチャーしています。スタンダードをレトロ・フューチャー感覚のKassinワールドに仕上げています。

ご興味がある方はKassinプロデュースのClarice Falcao『Problema Meu』(2016年)もチェックを!
Clarice Falcao『Problema Meu』(2016年)
PROBLEMA MEU

「As Coisas Que Nos Nao Fizemos」
Kassin/Chris Cummings作。KassinがChris Cummingsのファンということで実現した共作みたいですね。淡々としていますが、ジワジワと味わいが滲み出てきます。

「Momento De Clareza」
Kassin/Alberto Continentino作。70年代シティ・ミュージック好きの人であれば気に入るであろう都会的なメロウ・グルーヴです。Kassinの懐の深さを感じます。

「Estricnina」
Kassin作。以前に書いた曲のようですが、ようやく自身が納得するサウンドに辿り着いたようです。確かに、オルガン・トリオによるオルタナ・サンバは実に刺激的なサウンドに仕上がっています。

「Taxidermia」
Kassin作。ラストはSerge Gainsbourg調のポエトリー・リーディングで締め括ってくれます。

Kassinの他作品や盟友DomenicoMorenoの作品もチェックを!

Kassin + 2『Futurismo』(2006年)
Futurismo

Kassin『Sonhando Devagar』(2011年)
Sonhando Devagar by KASSIN

Domenico + 2『Sincerely Hot』(2002年)
Sincerely Hot

Domenico『Cine Prive』(2012年)
CINE PRIVE

Domenico Lancellotti『Serra Dos Orgaos』(2017年)
オルガンス山脈

Moreno + 2『Maquina de Escrever Musica』(2002年)
タイプライター・ミュージック

Moreno Veloso『Coisa Boa』(2014年)
コイザ・ボア
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2017年08月20日

Stokley『Introducing Stokley』

Mint Conditionのリーダーの初ソロ☆Stokley『Introducing Stokley』
Introducing Stokley
発表年:2017年
ez的ジャンル:永遠の若大将系男性R&B
気分は... :フォーエヴァー・ヤング!

新作アルバムからベテラン男性R&BグループMint Conditionのリーダー&リード・シンガーStokley Williamsの初ソロ・アルバムStokley『Introducing Stokley』です。

90年代から活躍するセルフ・コンテインド男性R&BグループMint Conditionに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Definition Of A Band』(1996年)
 『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
 『E-Life』(2008年)

遂にStokleyが。50歳にして初のソロ・アルバムをリリースしました。元々グループのリード・シンガーに止まらず、プロデューサー、ソングライター、マルチ奏者という総合力のあるミュージシャンであったStokleyが、今までソロ・アルバムを作らなかったのが不思議な位ですよね。まぁ、Mint Conditionのアルバム内でソロに近い作品作りをしていたので、わざわざソロ名義で作品をリリースする必要もなかったのかもしれませんが・・・

しかも、タイトルが『Introducing Stokley』。実績・知名度のあるミュージシャンである彼がこのようなタイトルで初ソロを出すところに、50歳にしてもう一皮剥けようとする彼の意気込みを感じます。

プロデュースはStokley本人以外に、売れっ子プロデューサー・チームCarvin & Ivan(Carvin "Ransum" Haggins/Ivan "Orthodox" Barias)、さらにはJohnnie "Smurf" SmithSam Dewが起用されています。

また、Robert GlasperEstelleWaleOmiといったアーティストがフィーチャーされています。

アルバムの中身は、Mint Conditionのファンであれば、十二分に楽しめる充実の1枚になっています。とても50歳とは思えない、永遠の青年のようなStokleyの若々しいヴォーカル&サウンド・センスと、円熟したプロデューサー/マルチ奏者としての実力が融合したStokley Williamsというアーティストの魅力をトータルで余すことなく伝えてくれるのがいいですね。Mint Condition作品でもお馴染み、Stokley自身が叩くスティール・パンの音色も随所に登場します。

R&B界の永遠の若大将に拍手を!

全曲紹介しときやす。

「Level」
Stokley Williamsプロデュース。PVも制作されたオープニング。50歳を迎えたとは思えない、若々しい歌声でセクシーに歌い上げる絶品ミディアムです。このオープニングを聴けば、アルバムへの期待が否が応でも高まります。実力派女性R&BシンガーLedisiやStokleyの息子Arionがバック・コーラスを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=phOiiWL_Ljg

「Organic」
Carvin & Ivan/Stokley Williams/Johnnie "Smurf" Smithプロデュース。しっとりと歌い上げる哀愁ミディアム。楽曲自体が良いし、オートチューンも交えたヴォーカル・ワークも巧みです。
https://www.youtube.com/watch?v=skNvXZ6stjs

「Think About U」
Carvin & Ivan/Johnnie "Smurf" Smithプロデュース。アルバムからのリード・シングル。シングルに相応しい素敵なミディアム・バラード。若々しさとオトナな魅力が同居するStokleyらしい1曲に仕上がっているのでは?Stokleyのスティール・パンがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Kt6mSfkolCc

「Cross The Line」
Carvin & Ivanプロデュース。何処となくMichael Jackson「I Can't Help It」を連想させるメロディのせいか、StokleyのヴォーカルもMJ調に聴こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=CpNDg1fra-8

「Art In Motion」
Ivan "Orthodox" Barias/Stokley Williamsプロデュース。Robert Glasperをフィーチャー。StokleyがGlasperの出世作『Black Radio』(2012年)へ参加しことへのお礼かもしれませんね。中身は哀愁モードのミディアムR&Bです。哀愁サウンドの中で美しく響くGlasperのピアノが演奏全体に余韻を与えます。
https://www.youtube.com/watch?v=Wps1m0qB_vw

「Hold My Breath」
Stokley Williamsプロデュース。トランペット以外のすべての楽器をStokleyが演奏するダンサブル・チューン。Stokleyらしいディスコ/ブギーに仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=aitox5JDAQI

「Victoria」
Stokley Williamsプロデュース。トライバル・リズムとスティール・パンの音色が印象的な異色の仕上がり。ソングライティングはStokleyではなくSam Dewです。
https://www.youtube.com/watch?v=RfEfOK85HJw

「U & I」
Carvin & Ivanプロデュース。Estelleをフィーチャー。Harold Melvin & The Blue Notes「Pretty Flower」のピアノ・フレーズを引用した美しいソウル・バラードをEstelleとのデュエットで歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=8K4rB5gOjdo

「Way Up」
Stokley Williamsプロデュース。Waleのラップをフィーチャー。StokleyはWale作品に何度も客演しています。サウンドはStokley一人で手掛けており、Stokleyのトラック・メイカー的センスを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=BWqWLygx6Wg

「Be With U」
Stokley Williamsプロデュース。この曲もStokley一人ですべて作り上げています。聴き応えのある素晴らしいミディアム・バラードですね。ここでもスティール・パンの音色が効果的に使われています。これを一人で出来てしまうのであれば、確かにソロ・アルバム作りたくなるはずですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_pQuHpFyGQU

「Forecast」
Stokley Williams/Sam Dewプロデュース。Sam Dew作によるダーク・トーンの哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=DfKZ2u5dkdI

「Victoria (Reprise)」
Stokley Williamsプロデュース。「Victoria」のリプライズ。

「We/Me」
Ivan "Orthodox" Barias/Stokley Williamsプロデュース。Stokleyの永遠の青年ヴォーカルが見事にハマるダイナミックなサウンドのミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=msBSQewDzrs

「Now」
Stokley Williamsプロデュース。50歳にして初ソロ・アルバムを制作したStokleyの思いが伝わってくるような渾身のバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=7iOybt6gSN0

「Wheels Up」
Stokley Williamsプロデュース。Omiをフィーチャー。ラストはスティール・パンの音色がハマる夏らしいカリビアン・グルーヴで締め括ってくれます。開放的かつ華やかなダンサブル・サウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=syO7UgcFiH4

Mint Conditionの諸作もチェックを!

『Meant to Be Mint』(1991年)
Meant to Be Mint

『From the Mint Factory』(1993年)
From the Mint Factory

『Definition Of A Band』(1996年)
Definition of a Band

『Life's Aquarium』(1999年)
Life's Aquarium

『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
Livin the Luxury Brown

『E-Life』(2008年)
E-ライフ

『7』(2011年)
7

『Music at the Speed of Life』(2012年)
Music at the Speed of Life
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