2019年01月20日

Silva『Brasileiro』

ブラジルの実力派SSW、脱力系の最新作☆Silva『Brasileiro』
BRASILEIRO ブラジレイロ
発表年:2018年
ez的ジャンル:脱力系ブラジル実力派SSW
気分は... :引き算の美学!

新作アルバムからブラジルの実力派シンガー・ソングライターSilvaの最新作『Brasileiro』(2018年)です。

SilvaことLucio Silva de Souzaは1988年、ブラジル南東部エスピリトサント州ヴィトーリア生まれの男性シンガー・ソングライター。

これまで『Claridao』(2012年)、『Silva Vista Pro Mar』(2013年)、『Jupiter』(2015年)、『Silva Canta Marisa』(2016年)、『Silva Canta Marisa Ao Vivo』(2017年)といったアルバムをリリースしています。

スタジオ前作となる『Silva Canta Marisa』(2016年)は、タイトルの通り、現代MPBの歌姫Marisa Monteへのトリビュートでしたが、最新作『Brasileiro』では殆どの曲が彼自身のオリジナルです(兄弟であるLucas Silva等との共作含む)。

Caetano Veloso/Celso Fonseca系の脱力ヴォーカルと、アコースティックを基調としつつ、薄っすらとエレクトロニカ/プログラミングを織り交ぜたサウンドのバランスが絶妙な現代ブラジル作品に仕上がっています。

Caetano Veloso的と形容されることが多いようですが、個人的にはCelso Fonsecaの諸作がお好きな人にフィットするのではと思います。

僕の好きな引き算の美学を感じるアコースティック・メロウな現代ブラジルSSW作品をご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Nada Sera Mais Como Era Antes」
プログラミングとピアノ/エレピ、パーカッションを駆使したサウンドが印象的なオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=5_q53Yrnq54

「A Cor E Rosa」
シングルにもなった楽曲。クラップ入りのサンバ・リズムが心地好いライト・メロウ。少しカリビアン的な開放感がいいですね。Caetano Veloso/Celso Fonseca系の脱力ヴォーカルがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=KnJwCg-zh4w

「Duas da Tarde」
Celso Fonseca好きの人は気に入るであろう脱力系メロウ・ボッサ。Celso Fonseca好きの僕にはたまりません!
https://www.youtube.com/watch?v=RCQCsoNNZQM

「Caju」
薄っすらとしたエレクトロニカを駆使したアコースティック・サウンドが印象的な哀愁チューン。現代ブラジルSSWらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=QZ3Yo6cCqsk

「Fica Tudo Bem」
ブラジル人女性SSW、Anittaをフィーチャー。シングルにもなっています。恋愛を機微をデュエットでカラっと歌い上げます。さり気ない感じがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=F5R4zogEyRk

「Let Me Say」
透明感のあるアコースティック・チューン。彼の箱庭ポップ的なサウンド・センスが反映された1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=cRKz855xUgQ

「Sapucaia」
スキャット・ヴォーカルで歌い上げる哀愁ボッサ。2分にも満たない演奏ですが、サウダージな感じがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=QeIHCD3A3_c

「Prova dos Nove」
De Santos作。落ち着いたムードのボッサ・チューン。Celso Fonseca好きの人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=y7qdMjLit7U

「Palmeira」
1分強のピアノによる美しいインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=cRy32s8__dI

「Milhao de Vozes」
Titas、Tribalistasの活動でも知られるArnaldo Antunesとの共作。わび・さびを感じる引き算的な魅力を持つ素敵な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=8BEnbTDr8Iw

「Ela Voa」
Celso Fonsecaとの共同名義アルバム等でお馴染みの偉大な詩人Ronaldo Bastosとの共作。揺らめく幽玄シンセの響きが印象的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=3y--_9InUrY

「Guerra de Amor」
Caetano Veloso/Celso Fonseca系の脱力ヴォーカルが心地好いアコースティック・メロウ。聴き重ねるほどに胸に染み入ります。
https://www.youtube.com/watch?v=LZ1m2q6kyaQ

「Brasil, Brasil」
ラストはブラジル賛歌で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=5ghEm6mq6EU

Silvaの他作品もチェックを!

strong>『Claridao』(2012年)
Claridao

『Silva Vista Pro Mar』(2013年)
Vista Pro Mar

『Jupiter』(2015年)
Jupiter

『Silva Canta Marisa』(2016年)
SILVA-SILVA CANTA MARISA

『Silva Canta Marisa Ao Vivo 』(2017年)
Canta Marisa Monte: Ao Vivo
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2019年01月13日

Otis Junior & Dr. Dundiff『Cool』

R&B注目ユニットの第2弾、Jakartaからリリース☆Otis Junior & Dr. Dundiff『Cool』
Cool
発表年:2018年
ez的ジャンル:インディ系ジャジー・ソウル/Hip-Hop
気分は... :無分別智・・・

今回は新作R&BアルバムからOtis Junior & Dr. Dundiff『Cool』(2018年)です。

Otis Junior & Dr Dundiffは、R&BシンガーOtis Juniorとプロデューサー/トラックメイカーDr. Dundiff(本名:Roman Aprile)が地元のケンタッキー州ルイビルで結成したユニット。

それまでに様々なアーティストと組み、複数のレーベルから作品をリリースしていたDr. Dundiffが、2016年に地元ルイビルで開催されたR&BイベントでOtis Juniorと出会います。

意気投合した2人は、早速2016年にドイツの人気レーベルJakarta RecordsからデビューらEP『1moment2another』をリリースします。

2017年にはJakartaからデビュー・アルバム『Hemipsheres』をリリースし、各方面から高い評価を得ました。

その後、Otisは他アーティストの作品に客演し、Dr. Dundiffはソロ・アルバムや共同名義のアルバムをレコーディングしました。

そうした各々の活動でパワーアップした2人が再結集し、レコーディングした最新作が本作『Cool』(2018年)です。

楽曲はすべて作詞がOtis Junior、作曲がDr. Dundiffです。

90年代ジャジーHip-Hop、2000年代ネオソウルの影響を感じるDr. Dundiffによるジャジー&メロウなHip-Hop調トラックと、Otis Juniorのソウル・ヴォーカルが生み出すグッド・ヴァイヴが魅力の1枚です。

A Tribe Called Quest(ATCQ)好きが気に入りそうな「Need to Know」、Dr DundiffのRaphael Saadiq好きを反映した「Wet」、開放的なジャジー&メロウ「Waiting on You」、2000年代ネオ・フィリー調の「In the Dark」D'Angelo調の「Come Closer」、同郷の女性シンガーZlynn Harrisをフィーチャーした「Poems」あたりが僕のおススメです。

決して新しい音ではありませんが、90年代ジャジーHip-Hop、2000年代ネオソウル等のエッセンスを巧みに取り入れたセンスに魅せられる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Cool」
ライブ風でスタートするタイトル曲。ジャジー・ピアノとロッキン・ギターをバックに、Otisがソウルフルなヴォーカルを披露してくれるサザン・ソウル調の仕上がりです。

「Need to Know」
本作の魅力を象徴するトラック。A Tribe Called Quest(ATCQ)好き、アングラ・ジャジーHip-Hop好きはグッとくるであろうジャジー&メロウなトラックが心地好い1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=ikrPFt_ddUY

「Wet」
ジャジーHip-Hopとオーガニックなヴィンテージ・ソウルを融合させた1曲。Raphael Saadiqがアイドルだと公言するDr Dundiffらしい1曲に仕上がっているのでは?

「Waiting on You」
開放的なジャジー&メロウ・サウンドとOtisの少しウェットなヴォーカルがフィットしたグッド・トラック。レゲエあたりとセットで聴くのもいいかも?
https://www.youtube.com/watch?v=I_62tEyJ7KE

「In the Dark」
「Need to Know」と同タイプのジャジー&メロウ・ソウル。2000年代ネオ・フィリー好きの人にもフィットする仕上がりなのでは?ジャジーなトランペットもいい感じです。

「Poems」
同郷の女性シンガーZlynn Harrisをフィーチャー。美しくも儚いムードのジャジー・トラックに乗って、OtisとZlynnが素敵なデュエットを聴かせてくれます。

「Come Closer」
D'Angelo好きの人も気に入りそうなネオソウル調のクールな仕上がり。このセンス大好きです。

「Blue」
"今ジャズ"風のジャジー・ソウル。ジャズ、ソウル、Hip-Hopがバランス良く融合しています。

「Through Me」
J Dilla以降のジャジー・ソウルといった感じですね。

「5pm」
生演奏感のあるジャジー&メロウ・サウンドが心地好いオトナ・ソウル。派手さはありませんがジワジワ沁みてくる感じがいいですね。

「Black」
本編ラストはオープニングと同じくライブ仕立てで締め括ってくれます。ジャズ・フィーリングのサウンドとOtisの少しウエットなヴォーカルがシブくていいですね。

「Need To Know (Remix)」
「Need to Know」のリミックス。オリジナルと比較して、よりネオソウル寄りの仕上がりとなっています。

1stアルバム『Hemipsheres』(2017年)もセットでどうぞ!

『Hemipsheres』(2017年)
Hemipsheres
posted by ez at 00:01| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月06日

Mental Abstrato『Uzoma』

ATCQ、J Dilla愛に満ちたブラジル産ジャジーHip-Hop☆Mental Abstrato『Uzoma』
ウゾマ UZOMA
発表年:2018年
ez的ジャンル:ブラジル産ジャジーHip-Hop
気分は... :コレが僕の聴きたいHip-Hop!

新作アルバムからブラジルのHip-HopユニットMental Abstrato、8年ぶりの2ndアルバム『Uzoma』です。

MCのOmig One、トラックメイカーCalmao TranquisらによるブラジルHip-HopユニットMental Abstratoノウハウ紹介は、デビュー・アルバム『Pure Essence』(2010年)に続き、2回目となります。

当時"ブラジルのJazz Liberatorz"と称され、ジャズ・テイスト満載であったデビュー・アルバム『Pure Essence』(2010年)は、『ezが選ぶ2010年の10枚』にもセレクトしたお気に入りの1枚でした。

それから8年という長いインターバルを置き、遂に2ndアルバム『Uzoma』がリリースされました。

本作にけるMental AbstratoのメンバーはOmig One(prog、per)、Calmao Tranquis(beats、prog)、Guimas Santos(b)という3名。『Pure Essence』(2010年)リリース直後にGuimas Santosが加入し、3名体制になった模様です。

それ以外にRodrigo Brandao(spoken word)、Erica Dee(vo)、Claudya(vo)、Ozay MooreOthello)(rap)、Daniel Amorin(b)、Dj Vitonez(scratch)、Dj Soares(scratch、collages)、Thiago Duar(g)、Marcelo Castilha(el-p)、Fernando TRZ(key、syn)、Mauricio Fleury(org)、Kiko de Sousa(key)、Beto Montag(vibe、effects)、Andre Juarez(vibe)、Lucas Cirilo(harmonica)、Bocato(tb)、Gil Duarte(tb、vo)、Marcelo Monteiro(bs、fl)、Caue Vieira(fl)、Richard Firmino(tb、tp)、Sintia Piccin(ts)といったミュージシャンが参加しています。

プロデュースはMental Abstrato自身。

アルバムは前作『Pure Essence』(2010年)と同様に、ブラジル産ならではのジャジーHip-Hopを堪能できます。ヴォーカル、ラップ入りトラックとインスト・トラックが半々ですが、どちらも充実の内容となっています。

個人的にはA Tribe Called Quest(ATCQ)J Dilla絡みの「Mr. Cal」「Suco de Acerola (Tribute to J Dilla)」「Noite Vazia」という3曲に歓喜しました。

それ以外にも、USネオソウル調の「For You」、Ozay Moore(Othello)をフィーチャーしたジャジー&メロウ「Blue Skies」、ブラジル音楽好きの人も楽しめる「Samambaia Rainha」「O Mar」、センス抜群のジャジー・サウンドを楽しめる「James Bongo」「Menino Angoleiro」「Afroonirico」の3トラック、激シブのオープニング「Khamisi」など聴き所満載です。

もう少し早く聴いていたら、『ezが選ぶ2018年の10枚』にもセレクトしていたかも?

全曲紹介しときやす。

「Khamisi」
Rodrigo Brandaoをフィーチャー。土着的なグルーヴとノスタルジックなホーン・アンサンブルはブラジル産ジャジーHip-Hopならではの味わいなのでは?Rodrigo Brandaoのスポークン・ワードもシブくてたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=QlAfuoo5Lhk

「O Mar」
Gil Duarteをフィーチャー。パーカッシヴ・ビートとGuimas Santosのベースの絡みが格好良いトラックとGil Duarteの憂いを帯びたヴォーカルの組み合わせがグッド!Hip-Hopファンに限らず、ブラジル音楽好きの人であれば気に入りそうな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=0oYZfqV_2EU

「Mr. Cal」
A Tribe Called Quest『The Low End Theory』収録のHip-Hopクラシック「Jazz (We've Got)」を引用したジャジー・トラック。トラック全体の音色が『The Low End Theory』ライクなのが最高です。ATCQ好きの人は思わずニンマリしてしまうはず!
https://www.youtube.com/watch?v=0oYZfqV_2EU

「For You」
Erica Deeをフィーチャー。キュートかつレイジーなErica Deeのヴォーカルとジャジー&メロウ・トラックの組み合わせは、USジャジーHip-Hop/ネオソウル好きにフィットするのでは!
https://www.youtube.com/watch?v=ZKK-Qt8zWD4

「Suco de Acerola (Tribute to J Dilla)」
サブタイトルにあるように故J Dillaに捧げられた1曲。Q-Tip、Ali Shaheed Muhammad、Jay Dee (J Dilla)によるプロデュース・チームThe Ummahのサウンド・プロダクションの完成形A Tribe Called Quest『The Love Movement』収録のHip-Hopクラシック「Find A Way」を引用したインスト。Hip-Hopというよりクラブジャズ仕様のアッパーなブラジリアン・グルーヴといった仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=OndL61x9dG4

「Afroonirico」
彼らのジャズ・センスを満喫できるダーク・トーンのジャジー・インスト。Thiago Duarのギターが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=14d8kHKSKYA

「Samambaia Rainha」
ブラジルのベテラン女性シンガーClaudyaをフィーチャー。哀愁モードのブラジリアン・グルーヴ。新しいものと伝統的なものを違和感なく融合させるあたりがブラジル人アーティストらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=cdP5kxja4K8

「Noite Vazia」
Bocatoのトロンボーンをフィーチャー。Jay Dee (J Dilla)「Rico Suave Bossa Nova」でもサンプリングされたMilton Banana Trio「Cidade Vazia」を引用したジャジー&メロウかつブラジリアンなインスト・チューン。メロウ・エレピとヴァイヴのコンビネーションがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_AeQ9vMKMrs

「Blue Skies」
僕の大好きなUSラッパー、Ozay Moore(Othello)をフィーチャー。ジャジーHip-Hopファン、Othelloファンには間違いないジャジー&メロウに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=hrFVK6yecNE

「Down」
Guizadoのトランペット・ソロをフィーチャーしたインスト。哀愁トランペットが引き立つジャジー・トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=tPlxYF5Oa0U

「James Bongo」
James Bondをもじったタイトルそのままにスパイ・ジャズ調のスリリングなサウンドを楽しめます。僕の密かなお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=avtrdj2LVgY

「Menino Angoleiro」
ラストもセンス抜群のジャジー・サウンドを満喫できるインスト・トラックで締め括ってくれます。サード・ワールドならではのジャジー・サウンドって感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mueTnBfOTwg

未聴の方は、1st『Pure Essence』(2010年)もぜひチェックを!

『Pure Essence』(2010年)
Pure Essence
posted by ez at 01:15| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月30日

Richard Spaven『Real Time』

Jordan Rakeiが大きく関与した最新作☆Richard Spaven『Real Time』
リアル・タイム
発表年:2018年
ez的ジャンル:敏腕ドラマー系UKジャズ
気分は... :今年最後のセレクトは・・・

明日は年末恒例『ezが選ぶ2018年の10枚』をエントリー予定なので、通常エントリーは今回が2018年最後となります。

セレクトしたのは新作アルバムからUKの敏腕ドラマーRichard Spavenの最新作Richard Spaven『Real Time』です。そのうち紹介しようと思っていたら、あっという間に年末に・・・何とか年内にエントリーできて良かったです。

UKの敏腕ドラマーRichard Spavenの紹介は、1stソロ・アルバム『Whole Other』(2014年)、2ndアルバム『The Self』(2017年)に続き、3回目となります。

また、オランダ人プロデューサー/キーボード奏者Vincent Helbersらと組んだクロスオーヴァー・ユニットSeravinceのアルバム『Hear To See』(2012年)も当ブログで紹介済みです。

2ndアルバム『The Self』(2017年)は、現行ジャズとUKクラブジャズを行き来するUKの敏腕ドラマーらしい逸品であり、昨年の大晦日のエントリー『ezが選ぶ2017年の10枚』でもセレクトした愛聴盤でした。

その『The Self』から短いインターバルでリリースされたのが3rdアルバムとなる本作『Real Time』です。

まず本作で注目すべきは、オーストラリア、ブリスベン出身で現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiが4曲でのフィーチャリングも含めて全9曲中7曲に参加している点です。

『Cloak』(2016年)、『Wallflower』(2017年)という2枚で次世代ネオソウル/R&B方面のみならず現行ジャズ方面からも注目される存在となったJordan Rakei

これまでも『Cloak』(2016年)にSpavenが参加し、そのお返しとして『The Self』(2017年)にRakeiが参加するという交流を深めていた2人ですが、新作ではその2人のコラボ色がより強調される形となりました。

プロデュースはRichard Spaven自身。ドイツ出身の若手クリエイターFrederic Robinsonとの共同プロデュースが4曲があります。また、『The Self』(2017年)にも参加していたオランダ出身のビートメイカーJameszooとの共同プロデュース曲もあります。

アルバムにはThe Cinematic Orchestraのギタリストとしても知られ、Spavenが全面プロデュースしたアルバム『City』(2015年)も好評であったStuart McCallum(g)をはじめ、Robin Mullarkey (b)、Oli Rockberger(key)といったミュージシャンが参加しています。

どうしても現行ジャズの文脈で語られてしまいやすいミュージシャンですが、本人はジャンルの枠に囚われない音楽性を嗜好していることが本作を聴けばよく分かります。その意味で、同じくジャンルに囚われない音世界を嗜好するJordan Rakeiは絶好のコラボ・パートナーだったのかもしれませんね。

また、Jordan Rakeiと同じ位、本作に貢献しているのがStuart McCallumであり、彼のプレイにも注目です。

Busta Rhymesのカヴァー「Show Me What You Got」Andy Bey作品のカヴァー「Celestial Blues」以外はSpavenと参加メンバーによるオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Spin」
Jordan Rakeiをフィーチャーしたオープニング。PVでも分かるように、敏腕ドラマーSpavenと注目の次世代ネオソウルSSW Jordan Rakeiとのコラボらしい1曲に仕上がっています。まずはSpavenらしい研ぎ澄まされたドラミングを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=mjK2r1sAktw

「Helsinki Trio」
Jordan Rakei不参加曲。ギター、キーボード、ベース、ドラムによるクールなインストを披露してくれます。哀愁モードのクールな演奏にSpavenの美学を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=VAfnru5nqzk

「Faded」
Jordan Rakeiをフィーチャー。Jordan Rakeiとのコラボらしいメロディアスな哀愁モードの次世代ネオソウルに仕上がっています。Jordan Rakeiファンはニンマリの仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=hOQwUSLymbc

「Rescue」
SpavenとStuart McCallumという現行ジャズとクラブミュージックの両方に精通した2人のソングライティングらしい哀愁グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=kkQNBFlgXtc

「Show Me What You Got」
Jay Dee(J Dilla)がプロデュースしたBusta Rhymes作品をカヴァー。オリジナルはアルバム『Anarchy』(2000年)に収録されています。Jordan Rakeiをフィーチャー。Jay Dee(J Dilla)名曲のビートをSpavenが叩き出すというだけでも興奮しますね。Rakeiのヴォーカル、Stuart McCallumも含めて、抑えたトーンのクールなカヴァーに仕上げるあたりがSpavenのセンスの良さですかね。
https://www.youtube.com/watch?v=tMoyB5mjYPs

「Control」
Jordan Rakei不参加曲。Stuart McCallumのギター・プレイを楽しむ1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=wm-7FcZHuAQ

「Celestial Blues」
ジャズ・シンガー/ピアニストAndy Beyの作品をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介したGary Bartz NTU Troop『Harlem Bush Music - Uhuru』(1971年)に収録されています。また、作者Andy Beyヴァージョンは『Experience And Judgment』(1974年)に収録されています。Jameszooとの共同プロデュースであり、Jordan RakeiとJameszooをフィーチャー。エレクトロニカと次世代ジャズを融合させた本ヴァージョンはコズミックなAndy Beyヴァージョンの雰囲気に近いかもしれませんね。Stuart McCallumのギターが実にいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=gbeOMatEfmI

「Stay Close」
ドラム、ギター、キーボードのみのサウンドにRakeiのコーラスが加わる哀愁チューン。サウンド・スケープ的な魅力もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=AG8vkyG-bLk

「Loved One」
ラストはRakeiのヴォーカルに呼応してジワジワと高揚してくるビューティフル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4HH9lvfzghs

ご興味がある方はRichard Spaven関連の他作品もチェックを!

Seravince『Hear To See』(2012年)
ヒア・トゥ・シー

『Whole Other』(2014年)
ホール・アザー

『The Self』(2017年)
ザ・セルフ

未聴の方はJordan Rakeiのアルバムもチェックを!

Jordan Rakei『Cloak』(2016年)
クローク

Jordan Rakei『Wallflower』(2017年)
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
posted by ez at 01:08| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月23日

Anderson .Paak『Oxnard』

今最も旬なアーティスト、待望の新作☆Anderson .Paak『Oxnard』
OXNARD
発表年:2018年
ez的ジャンル:西海岸Hip-Hop/R&B
気分は... :ノリに乗っている男!

今回は今最も旬な西海岸Hip-Hop/R&BアーティストAnderson .Paakの最新作『Oxnard』です。

1986年生まれのL.A.を拠点に活動する男性R&Bシンガー/ラッパー/プロデューサー/ドラマーAnderson .Paakについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Venice』(2014年)
 『Malibu』(2016年)
 NxWorries『Yes Lawd!』(2016年)

西海岸Hip-Hopシーンの大御所Dr. Dreが健在ぶりを示した大ヒット・アルバム『Compton』(2015年)で大きくフィーチャリングされたことをきっかけに、ソロ・アルバム『Malibu』(2016年)と期待のHip-HopプロデューサーKnxwledgeとタッグを組んだNxWorries『Yes Lawd!』(2016年)という2枚のアルバムで、チャート・アクション以上のインパクトを音楽シーンに与え、一躍、西海岸Hip-Hop/R&Bのトップ・アーティストとなったAnderson .Paak

そして、大きな期待の中でドロップされた最新作が『Oxnard』です。

Dr. DreAftermathからのリリースであり、Dr. Dreがエグゼクティヴ・プロデューサーを務め、全曲のミックスも担当しています。

プロデューサーにはAnderson .Paak自身に加え、9th WonderMatthew "Callum Connor" MarisolaJose RiosDem JointzJairus "J.Mo" MozeeChris Daveといった『Malibu』のプロデューサー陣、さらにはDr. DreMellQ-Tip、元Chicのベーシストだった故Bernard Edwardsの息子Focus Sa-Ra Creative PartnersOm'Mas Keith、次世代ピアニスト/ビートメイカーKieferJ.LBSKing Michael CoyRon Avantが起用されています。

アルバムにはKendrick LamarDr. DreSnoop DoggQ-TipJ. ColeKadhja BonetNorelleCocoa SaraiPusha TThe Last Artful, Dodgrがフィーチャリングされています。

また、ボーナス・トラックにはボーナス・トラックにはThundercatBJ The Chicago Kidといった注目ミュージシャンも参加しています。

それ以外にKRS-OneBusta Rhymesといった大物や、SiRElizaJason "Bunchy" JohnsonKadhja BonetRuby VelleBlakk SoulRich HarrisonSly PyperThurz等のヴォーカリスト、FredWreckVicky NguyenKelsey Gonzalez等のミュージシャンが参加しています。

前作『Malibu』(2016年)同様に、参加プロデューサー/ミュージシャンの顔ぶれだけでも楽しめますね。

中身の方は、『Malibu』と比較して、よりHip-Hop色が強くなった印象を受けます。その意味では、NxWorries『Yes Lawd!』(2016年)の流れで聴いた方がしっくりくるかもしれませんね。

Kendrick Lamarをフィーチャーした先行シングル「Tints」、L.A.の女性SSW Kadhja Bonetをフィーチャーしたオープニング「The Chase」、当ブログでも紹介したL.A.の新進ピアニスト/ビートメイカーKieferもプロデュースで関与した「Smile/Petty」、Dr. Dreをフィーチャーした「Mansa Musa」Chris Daveプロデュース、J. Coleをフィーチャーした「Trippy」Q-Tipをフィーチャーし、故Mac Millerを追悼した「Cheers」BJ The Chicago Kidをフィーチャーしたボートラ「Sweet Chick」など聴き所満載です。

ノリに乗っているアーティストの勢いを感じる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「The Chase」
Anderson .Paak/Jairus "J.Mo" Mozeeプロデュース。L.A.の女性SSW Kadhja Bonetをフィーチャー。甘く妖しげな雰囲気でスタートし、フルートが先導する不穏なトラックに乗って.Paakがリリックを紡ぎます。終盤はメロディアスな展開に・・・
https://www.youtube.com/watch?v=vO8oQZ553vI

「Headlow」
Jose Rios/King Michael Coy/Ron Avantプロデュース。新鋭の女性R&BシンガーNorelleをフィーチャー。Paakのラップ・パートとNorelleとのデュエットによるメロディアスなヴォーカル・パートのバランスが良い仕上がり。Vicky Nguyenもキーボードで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=XhCH313M6u0

「Tints」
Anderson .Paak/Om'Mas Keith(Sa-Ra Creative Partners)プロデュース。Kendrick Lamarをフィーチャーしたアルバムからの1stシングル。『Malibu』でプロデュースを手掛けたPomoもプログラミングで参加しています。Paakらしいメロディ全開のキャッチーなディスコ・ブギー。一夜にしてスターとなってしまった葛藤が歌われます。
https://www.youtube.com/watch?v=u749Hi0gDVM

「Who R U?」
Dr. Dre/Mellプロデュース。NxWorriesに通じるHip-Hopチューン。アブストラクトなトラックに乗ったラッパーPaakらしいフロウを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=ynuxMCSZn3g

「6 Summers」
Anderson .Paak/Mellプロデュース。ダーク・トーンのトラックに乗って、Paak節全開のフロウが炸裂します。後半の哀愁漂うメロディアスな展開もいいですね。Cocoa Sarai、Jason "Bunchy" Johnson、KRS-One、Kadhja Bonetというバック・ヴォーカル陣にも注目!一瞬の登場ですがKRS-Oneが存在感を示しています。M.O.P.「Ante Up (Robbing-Hoodz Theory)」 、Gil Scott-Heron「Revolution Will Not Be Televised」のフレーズが引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=MJtI1JfhRlc

「Saviers Road」
9th Wonderプロデュース。Julie Coker「Ere Yon」をサンプリング。少しトライバルなテイストで始まるトラックに乗って、淡々とPaakがリリックを紡ぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=5m6IFPXC12Y

「Smile/Petty」
King Michael Coy/>Matthew "Callum Connor" Marisola/Kieferプロデュース。今年Stones Throw Recordsからリリースされた2ndアルバム『Happysad』で絶賛されたL.A.のピアニスト/ビートメイカーKieferのプロデュースに注目です。Sonyae Eliseの女性コーラスを伴い、Kieferらしい浮遊するトラックが印象的な「Smile」から、Jose Riosのギターが不気味に響くHip-Hopトラックの「Petty」へ展開します。バック・コーラスには僕が注目している男性R&BアーティストSiRも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=UmCYo_XE2Ow

「Mansa Musa」
Dr. Dre/Mellプロデュース。さらにはFocusらもプロダクションに関与しています。Dr. Dreとブルックリン出身の新鋭女性アーティストCocoa Saraiをフィーチャー。エグゼクティヴ・プロデューサーとして全体を指揮するDre大先生がラッパーとしても貫禄を示してくれます。TVのコメディ・ショー『Chappelle's Show』からサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=Q47k0CO3vNs

「Brother's Keeper」
Anderson .Paak/Jairus "J.Mo" Mozeeプロデュース。Pusha Tをフィーチャー。Kadhja Bonet、Norelleがバック・コーラスを務めます。哀愁ソウル・モードのトラックをバックに、PaakとPusha Tが切々とリリックを重ねていきます。終盤の展開も印象的ですね。ここではドラマーAnderson .Paakにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=rou0QwATvTw

「Anywhere」
J.LBSプロデュース。Snoop DoggとL.A.の新進女性ラッパー/シンガーThe Last Artful, Dodgrをフィーチャー。抑えたトーンのトラックと淡々としたフロウがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=KswoqrE_OH4

「Trippy」
Chris Daveプロデュース。J. Coleをフィーチャー。TVのコメディ・ショー『The Tonight Show Starring Johnny Carson』のサンプリングからスタート。メロディアスなトラックですが、J. Coleの歯切れのいいラップが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=WZdghXqUFjw

「Cheers」
Dr. Dre、Focus、Q-Tipプロデュース。Q-Tipをフィーチャー。Qチャン好きの僕には嬉しい1曲。今年若くして逝去した故Mac Millerを追悼する歌詞も聴こえてきます。ジャズ・フィーリングのトラックは僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=tFOwfV6FPUU

「Sweet Chick」
CDボーナス・トラックその1。Mellプロデュース。BJ The Chicago Kidをフィーチャー。タイトルの通り、BJ The Chicago Kidのスウィート・ソウル調ファルセット・ヴォーカルがいい感じのHip-Hopチューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Vnp5urarx54

「Left To Right」
CDボーナス・トラックその2。Dr. Dre、J. LBS、Mellプロデュース。Thundercatがベースで参加。ヴォーカルにはBusta Rhymesも参加。Thundercatのベースが牽引する軽快なテンポのトラックに乗って、Paak独特のフロウが冴えわたります。
https://www.youtube.com/watch?v=r4LpfTWltu0

Anderson .Paak関連の過去記事もご参照下さい。

『Venice』(2014年)
Venice

『Malibu』(2016年)
MALIBU [国内仕様盤 / 帯・解説付き](ERECDJ218)

NxWorries『Yes Lawd!』(2016年)
Yes Lawd!
posted by ez at 00:42| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする