2017年10月15日

Musiq Soulchild『Feel The Real』

人気男性R&Bシンガーの最新作はCD2枚組☆Musiq Soulchild『Feel The Real』
Feel the Real
発表年:2017年
ez的ジャンル:人気男性R&Bシンガー
気分は... :それでも僕はMusiq Soulchildが好き!

今回は人気男性R&BシンガーMusiq Soulchildの最新作『Feel The Real』です。

これまで当ブログで紹介したMusiq Soulchild作品は以下の6枚(発売順)。

 『Juslisen』(2002年)
 『Soulstar』(2003年)
 『Luvanmusiq』(2007年)
 『Onmyradio』(2008年)
 『Musiqinthemagiq』(2011年)
 『Life On Earth』(2016年)

本作『Feel The Real』は前作と同じくインディ最大手eOneとのパートナーシップによるリリースです。

前作に続くデニム・ジャケが印象的ですね。

基本的には前作『Life On Earth』と同じく、メジャーの呪縛から解放され、普遍的なMusiq Soulchildらしさと、ここ数年で切り拓いた新境地と上手く折り合いをつけた内容に仕上がっています。

Musiq Soulchild本人以外に、来日公演の音楽ディレクターも務めたJonathan TroyDoobie PowellPhilip CornishGMJRBLAQSMURPHJ'RellNeedlzDavid LukeChris TheoryAlexander PlummerElijah Y. Whittinghamといった多彩なプロデューサーが起用されています。

こうした新進プロデューサーとの交流で刺激を受けたのか、アルバムはCD2枚組の全24曲というボリュームです。

アルバムには元FloetryMarsha Ambrosius、前作でもフィーチャーされていたWillie HynBLAQGxLDChris Theoryがフィーチャーされています。さらに自身の変名であるThe Huselをフィーチャーした曲もあります。

また、Jonathan Troy(b)、Roderick Harris(g)Geremy Wimbush(ds)といった来日公演メンバーもレコーディングに参加しています。

CD2枚組というボリュームも災いしたのか、チャート・アクションは彼のキャリアの中でも最低の結果となりました。

それも含めて、都落ちの印象をさらに強めた本作に対する評価には厳しいもの多いかもしれませんね。

個人的には大好きなアーティストであり、今の彼の路線を支持したいですが、構成に少し難があるかもしれませんね。

アッパーなダンス・チューンがなくミディアム中心の構成のため、同タイプの曲が続き、派手さがないと同時に、アルバムとしてメリハリが欠ける印象を持つかもしれません。その意味では2枚組というボリュームは少し多かったのかも?

それでも1曲毎の出来栄えは悪くないので、Musiq Soulchildファンであれば、それなりに楽しめると思います。

僕の場合、気に入った12曲をセレクトしたプレイリストを作成し、1枚組のボリュームで楽しんでいます。

全曲紹介しときやす。

Disc1

「Feel The Real」
Marsha Ambrosiusをフィーチャリング。Doobie Powellプロデュース。エフェクトのかかったヴォーカルでジワジワと盛り上げていくミディアム・バラードがオープニング。Marshaは終盤に艶やかな歌声を聴かせてくれます。メジャー時代には無かったタイプの曲かもしれませんが、僕は結構好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=0A5JKZ4NQ-s

「Benefits」
Jonathan Troyプロデュース。今の彼のスタイルを貫きつつ、以前からのMusiq Soulchildらしいメロディ、歌い回しも聴こえてくるアーバンなミディアム・グルーヴ。聴き重ねるほどに気に入っています。

「Serendipity」
前作にも参加していたWillie Hynのラップをフィーチャー。Musiq Soulchild/Jonathan Troy/Philip Cornishプロデュース。エフェクトのかかったヴォーカルにはフィットするエレクトロ・トラックがよく似合うダンサブルな哀愁ミディアム・グルーヴ。

「Sooner Or Later」
Jonathan Troyプロデュース。ライブ感のあるダイナミックなサウンドで疾走します。緩急を効かせている点も含めて、他の曲と少し異なる印象を受けます。
https://www.youtube.com/watch?v=Yu2RydWsnf0

「My Bad」
再びWillie Hynのラップをフィーチャー。GMJRプロデュース。昨今のR&Bらしい哀愁グルーヴ。このスタイルの曲としては嫌いではありません。

「Start Over」
BLAQSMURPHプロデュース。シングルにもなったアルバムのリード曲。昔と今の彼が同居しているようなバラードに仕上がっています。派手さはありませんが、ジワジワきます。
https://www.youtube.com/watch?v=cfN58r9zBGE

「Hard Liquor」
J'Rellプロデュース。エフェクトのかかったヴォーカルがフィットする哀愁ミディアム。悪くはありませんが、このタイプの曲が多いので少し不利かも?

「Shudawudacuda」
Jonathan Troyプロデュース。Musiq Soulchildらしいタイトルですね。切ない雰囲気の中でヴォーカルが揺らめく哀愁ミディアム。
https://www.youtube.com/watch?v=z4Kn0gxjbTo

「Broken Hearts」
J'Rellプロデュース。ライブ感のあるバッキングでメリハリをつけた哀愁ミディアム。

「Love Me Back」
BLAQSMURPHプロデュース。本作で多く聴かれるパターンの哀愁ミディアムですが、個人的にはなかなか良い出来栄えだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=A6U0wFb_LOI

「I'm Good」
Jonathan Troyプロデュース。ギターをはじめジャジー・フィーリングの効いたメロウな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=YENpT-CPca4

「Jussa Lil Bih」
BLAQGxLDのラップをフィーチャー。Needlz/BLAQSMURPHプロデュース。美しくも切ない哀愁ミディアムです。

Disc2

「Humble Pie」
GMJRプロデュース。Disc1には無かったタイプのミディアムでDisc2はスタートします。
https://www.youtube.com/watch?v=7sdIYm4lD2o

「Party Life」
BLAQSMURPHプロデュース。昨今のR&Bらしいミディアム・グルーヴ。聴き重ねるうちに、気に入ってきました。

「One More Time」
The Husel(Musiq Soulchildの変名)とWillie Hynのラップをフィーチャー。David Lukeプロデュース。悪くはありませんが、同タイプの曲が多いので少しワンパターン感があるかも?

「Let Go」
Musiq Soulchildプロデュース。彼らしいメロディ&歌い回しを楽しめるミディアム・バラード。女性コーラスを含めたヴォーカル・ワークもグッド!

「Test Drive」
J'Rellプロデュース。メリハリの効いたバッキングで盛り上がるミディアム・グルーヴ。

「Like The Weather」
Chris Theoryプロデュース。ピアノをバックに歌い上げるメロディアスなビューティフル・バラード。Disc1にもこのタイプの曲があれば・・・

「Fact Of Love」
Musiq Soulchild/Jonathan Troyプロデュース。前曲の流れがいいビューティフルなミディアム・バラード。

「Heaven Only Knows」
J'Rellプロデュース。透明感のあるミディアム・バラード。

「The Moon」
GMJR/Alexander Plummerプロデュース。アメリカの天体物理学者Neil deGrasse Tysonのナレーションと共に始まります。メロディアスを大切にしたビューティフル・バラードからは優しさが伝わってきます。

「We Go Together Now」
GMJR/Elijah Y. Whittinghamプロデュース。ジェントルな雰囲気のミディアム・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=GNRVdrkOXSc

「Sunrise Serenade」
BLAQGxLD、Chris Theoryをフィーチャー。Chris Theoryプロデュース。自然の神秘を感じる美しいミディアム・バラード。この曲にラップはフィットしない気がするなぁ・・・

「Simple Things」
Jonathan Troyプロデュース。ラストはシングルにもなったミディアム・バラードで締め括ってくれます。さり気ないですが、彼らしいメロディ&歌い回しを満喫できる素敵な1曲に仕上がっていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=pTRkNNDDqM8

Musiq Soulchildの他作品もチェックを!

『Aijuswanaseing』(2000年)
Aijuswanaseing

『Juslisen』(2002年)
Juslisen

『Soulstar』(2003年)
Soulstar

『Luvanmusiq』(2007年)
Luvanmusiq

『Onmyradio』(2008年)
OnMyRadio

『Musiqinthemagiq』(2011年)
Musiqinthemagiq

Musiq Soulchild & Syleena Johnson『9ine』(2013年)
9ine by Musiq Soulchild & Syleena Johnson (2013-09-24) 【並行輸入品】

『Life On Earth』(2016年)
Life on Earth
posted by ez at 03:23| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月12日

Bilal『A Love Surreal』

独自のR&Bを歩む男性R&B/ネオソウル☆Bilal『A Love Surreal』
ア・ラヴ・サーリアル
発表年:2013年
ez的ジャンル:アート系男性R&B/ネオソウル
気分は... :シュルレアリズム!

今回は独自の道を歩む男性R&B/ネオソウル・シンガーBilalの3rdアルバム『A Love Surreal』(2013年)です。

1979年フィラデルフィア生まれの男性R&BシンガーBilalの紹介は、『Airtight's Revenge』(2010年)、『1st Born Second』(2001年)に続き3回目です。

3rdアルバムとなる本作は『A Love Surreal』(2013年)は、カタルーニャが生んだ偉大な画家サルヴァドール・ダリのシュルレアリズムからインスパイアを受けた作品。そのあたりはジャケにも反映されていますね。eOneからのリリースです。

レコーディングの中心メンバーはConley "Tone" Whitfield(b)、Steve McKie(ds)、Mike Severson(g)、 Corey Bernhard(key)。

プロデュースもBilal自身と上記4名で殆どの楽曲を手掛けています。

それ以外にShafiq HusaynSa-Ra (Sa-Ra Creative Partners))、Paris StrotherKINGBen O'Neilがプロデュースに関与している楽曲もあります。

さらにレコーディングには、Bilalとはニュースクール大学時代からの盟友Robert Glasper(p、key)、そのGlasperのRobert Glasper Experiment(RGE)の仲間Derrick Hodge(b)、注目の新時代女性R&BユニットKING(back vo)、海外で評価の高いキーボード奏者BIGYUKI(平野雅之)(syn)等も参加しています。

最初は少し取っつきにくいアルバムに感じるかもしれませんが、聴き重ねるほどにBilalの美学が貫かれたアートなR&Bワールドに惹かれていきます。

その意味では個々の楽曲の良し悪し云々よりも、アルバム全体の世界観を楽しむ1枚かもしれません。

ダリ作品の画像でも眺めながら聴くと良いのでは?

全曲紹介しときやす。

「Intro」
チャーミングなイントロ。

「West Side Girl」
Shafiq Husaynプロデュース。Sa-Ra好きの人であれば少しフューチャリスティックなトラックにグッとくるはず!Bilalのヴォーカル・スタイルともフィットしています。「Back To Love」に続くシングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=LfiXWFWuZnw

「Back To Love」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。アルバムからのリード・シングル。プロデュースも務める4名の臨場感のあるバッキングとBilalのヴォーカルが一体化した心地好いヴァイヴが魅力のR&Bグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=LTDvFF1FNtE

「Winning Hand」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。シュルレアリズムからインスパイアされたという本作らしいBilal独自の美学が貫かれたアートな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6OKUjcBie9M

「Climbing」
Conley "Tone" Whitfield/Steve McKieプロデュース。ミステリアスな哀愁モードが印象的な仕上がり。心の叫びのようなBilalの不安げなヴォーカルが印象的です。

「Longing And Waiting」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。切なる願いを込めたBilalの情感溢れたヴォーカルが印象的な哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=AfeWU12a_EQ

「Right At The Core」
Bilal/Paris Strotherプロデュース。注目の新時代女性R&BユニットKINGがバック・コーラスを務め、その中心メンバーParisが共同プロデュースしています。さらにRGEDerrick Hodgeがベースで参加しています。KINGのドリーミーな音世界とBilalとの相性は抜群です!
https://www.youtube.com/watch?v=bsfT7QhnGj8

「Slipping Away」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。愁いを帯びたBilalのヴォーカルが切々と伝わってくる哀愁バラード。アルバムの中でもドラマチックな雰囲気のある仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=tX2r63p1qAE

「Lost For Now」
Ben O'Neil/Steve McKieプロデュース。ネオソウル作品にも数多く参加している白人ギタリスト/SSW Ben O'Neilをプロデューサーに迎えたアコースティック・ソウル。フォーキーな雰囲気でアルバムのいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6OKUjcBie9M

「Astray」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。プロデュースも務める4名による息の合ったバッキングを伴い、Bilalがファルセットも駆使しながら独自のR&Bワールドを展開するビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=DukMF2fFmBY

「Never Be The Same」
Conley "Tone" Whitfieldプロデュース。BIGYUKI参加曲。70年代ソウル調の少しイナたいバラード。BIGYUKIの効果的なシンセが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QJmCJY5Sw_0

「Butterfly」
Bilalプロデュース。盟友Robert Glasper(p)をフィーチャー。BIGYUKIも前曲に続き参加しています。Glasperの美しいピアノをバックに、Bilalが丁寧に歌い上げるバラード。GlasperのピアノとBilalのヴォーカルがシンクロし、さらにBIGYUKIのムーグがアートな雰囲気を演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=XgTLvMqqweg

「The Flow」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。Robert Glasperが引き続き参加しています。なかなか刺激的なミディアム!Prince好きの人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=2mkUJ-gVM40

「Outro」
イントロと同パターンのアウトロ。

Bilalの他作品もチェックを!

『1st Born Second』(2001年)
1st ボーン・セカンド

『Airtight's Revenge』(2010年)
Airtight's Revenge

『In Another Life』(2015年)
In Another Life
posted by ez at 17:55| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月08日

Jordan Rakei『Wallflower』

R&B方面からも注目される男性SSWのナイーヴな2nd☆Jordan Rakei『Wallflower』
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
発表年:2017年
ez的ジャンル:新世代男性シンガー・ソングライター
気分は... :底知れぬポテンシャル!

新作アルバムから注目の男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの2ndアルバム『Wallflower』です。

オーストラリア、ブリスベン出身、現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの紹介は、1stアルバム『Cloak』(2016年)に続き2回目となります。

1stアルバム『Cloak』(2016年)は、新世代ネオソウル作品として各方面で高い評価を得ました。
さらにはUK敏腕ドラマーRichard Spavenがフィーチャリングされていたため、『Jazz The New Chapter 4』で取り上げられることに(笑)

最近でも前述のRichard Spavenの最新作『The Self』、NZ出身、ベルリンを拠点にする新世代R&Bシンガーのデビュー作Noah Slee『Otherland』といった話題作への参加で期待度が高まる中、最新作『Wallflower』が届けられました。

新世代ネオソウルの旗手のような期待が寄せられるJordan Rakeiですが、UKの名門Ninja Tuneからリリースされた本作『Wallflower』は、新世代ネオソウルというよりも、ナイーヴな歌声が似合うUKシンガー・ソングライター作品という印象を受けます。ジャンルの枠が似合わないアーティストなので、ジャンル云々は気にせず、先入観なしに聴くのがいいかもしれませんね。

特に本作はパーソナルな内面にフォーカスした、繊細な魅力に満ちたアルバムです。ナイーヴなヴォーカルにフィットした楽曲の良さ、サウンド・センスの良さが全編に貫かれています。

派手さはありませんが、アーティストとしての底知れぬポテンシャルを示した地に足のついた1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Eye To Eye」
柔らかい陽ざしが差し込んでくるようにスタートするオープニング。しかしながら一転して、夢の中の迷い人のような展開に・・・終盤は格好良いクロスオーヴァー・サウンドで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OYPFazJKzHY

「May」
時計の機械音を模したリズムを配した哀愁チューン。この愁いを帯びた哀愁メロディはUKの音ですね。ライナーノーツにRakeiはPink Floydのファンであると書かれていましたが、本曲には時計の機械音を含めてFloydの名作『Dark Side Of The Moon』のエッセンスを感じることができます。

「Sorceress」
アルバムから先行シングル。パーソナルな内面を歌うナイーヴかつ幻想的な仕上がり。Jordan Rakeiのシンガー・ソングライターとしての魅力に触れることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=oPsi5COuy70

「Nerve」
「Sorceress」に続くシングル。The InvisibleのDave Okumuがギターで参加しています。ダンサブルな中にも温かみを感じるミディアム・ソウル・グルーヴ。アルバムの中でも最もキャッチーな仕上がりかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=XC6orLP0mEg

「Goodbyes」
AOR好きの人も気に入りそうな哀愁モードのアーバン・サウンドが印象的なミディアム・チューン。Rakeiのサウンド・センスの良さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=Py1YlFOpX78

「Clues Blues」
United VibrationsのAhmad Dayes(tb)、Wayne Francis(sax)が参加。レゲエ/スカ調サウンドにジャズ・フィーリングのホーン隊が加わったダビー・クロスオーヴァー。Fat Freddy's Dropあたりが好きな人は気に入るのでは?

「Chemical Coincidence」
ナイーヴなRakeiのヴォーカルがフィットするミディアム・バラード。蠢くベースラインが牽引する終盤の盛り上がりもいい感じです。

「Carnation」
幻想的な哀愁ミディアム・バラード。ロンドンの曇り空が似合いそうな仕上がりです。

「Lucid」
フォーキーな味わいの哀愁チューン。軽くスパニッシュ風のフィーリングも効いてメリハリがあります。

「Hiding Place」
哀愁メロディに胸を打たれるビューティフル・バラード。心の中の叫びが聴こえてきます。RakeiはRadioheadも好きなようですが、そんな影響を感じる仕上がりです。

「Wallflower」
タイトル曲はロンドンの新進女性シンガー・ソングライターKaya Thomas-Dykeをフィーチャーしたフォーキー・チューンです。

Kaya Thomas-DykeはJ Dillaの影響を感じるロンドンの新世代ジャズ・アーティストのデビュー作Alfa Mist『Antiphon』にも参加していますね。
Alfa Mist『Antiphon』(2017年)
Antiphon [日本限定盤/ボーナストラックのダウンロード・コードつき]

未聴の方は、1stアルバム『Cloak』(2016年)もぜひチェックを!
『Cloak』(2016年)
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
posted by ez at 01:37| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月01日

Andre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre『Serpentina』

南米フォルクローレ・スーパー・トリオ!☆Andre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre『Serpentina』
Serpentina セルペンティーナ
発表年:2017年
ez的ジャンル:南米フォルクローレ・スーパー・トリオ
気分は... :ワン・アップ・・・

新作アルバムからAndre MehmariJuan QuinteroCarlos Aguirreというブラジル、アルゼンチンの人気フォルクローレ・アーティスト3名が共演した話題作『Serpentina』です。

南米フォルクローレ・スーパー・トリオと呼びたくなる3名の共演盤に歓喜している音楽ファンは多いのでは?僕もそんな一人です。

1977年リオデジャネイロ生まれのピアニスト/コンポーザーAndre Mehmariについては、サンパウロ出身のマルチ奏者/コンポーザーAntonio Loureiroとの共演作『MehmariLoureiro Duo』(2016年)を紹介済みです。

アルゼンチン、トゥクマン出身のシンガー・ソングライター/ギタリストJuan Quinteroについては、Mariano Cantero(ds、per、vo)、Andres Beeuwsaert(p、key、vo)とのトリオAca Seca Trio『Ventanas』(2009年)を紹介済みです。

1965年アルゼンチン、エントレリオス州セギーの生まれのシンガー・ソングライター/ピアニスト/ギタリストCarlos Aguirreについては、『Orillania』(2012年)を紹介済みです。

これまでも交流のあった3名でしたが、約4年の準備期間を経て2017年3月ブラジル・サンパウロに集まり、3人のみで一気に創り上げた作品が本作『Serpentina』です。プロデュースはAndre Mehmari

楽曲は3名の過去のレパートリーや今回のために書き下ろした新曲、さらにブラジル、アルゼンチンの音楽交流を象徴する名盤Mercedes Sosa/Leon Gieco/Milton Nascimento『Corazon Americano』(1986年)から2曲カヴァーしています。

アルバム全体の印象としては、Andre MehmariJuan QuinteroCarlos Aguirreを迎えて、現代音楽+フォルクローレなケミストリーを起こした1枚という印象を受けます。

静かなる音楽/クワイエット・コーナー的な作品がお好きな人にとっては、大満足な1枚ではないかと思います。Quintero、Aguirreの味わい深く感動的なフォルクローレ・ワールドに、Mehmariの現代ブラジル音楽的な感性が加わることで、ワン・アップしたフォルクローレを楽しむことができます。

きっと今年のベスト・ディスクに挙げる人も多い1枚なのでは?
当ブログでも年末恒例『ezが選ぶ2017年の10枚』の有力候補となりそうです。
個人的にこの秋のヘビロテ間違いなしの1枚です。

『Serpentina』EPK
https://www.youtube.com/watch?v=Bd1Cdxh0m1E

全曲紹介しときやす。

「El Diminuto Juan」
Jorge Fandermole/Carlos Aguirre作。Aguirreのオリジナルは『Orillania』に収録されています。『Orillania』ヴァージョンにはJuan Quinteroも参加しています。Mehmariの現代音楽的なピアノが加わったことで、オリジナルのフォーキーな味わいに新たな魅力が上乗せされています。

「Clavelito Blanco」
Justiniano Torres Aparicio作。Aca Seca Trio『Avenido』(2006年)収録曲の再演です。Mehmariの美しくドラマチックなピアノをバックに、Quinteroのヴォーカルが躍動します。

「Tucuman」
Juan Quintero/Andre Mehmari作。Quinteroの故郷を題した新曲を、Mehmariのピアノ、シンセをバックに3人で歌い上げます。静かなる音楽/クワイエット・コーナー好きの人はグッとくる深遠な美しさを持つ仕上がりです。

「Entre Rios」
Andre Mehmari作。この3人の共演に相応しい感動的な仕上がり。美しい絵画のような音世界にグッと惹き込まれます。

「Los tres deseos de siempre」
Carlos Aguirre作。オリジナルはCarlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)に収録されています。透明感のあるAguirreワールドにMehmariのアコーディオンがいいアクセントを加えています。

「San Vicente」
『Corazon Americano』収録曲のカヴァー(Milton Nascimento/Fernando Brant作)。緩急をつけたアレンジが秀逸な素晴らしいフォルクローレ。澄み切った音世界の美しさにただただ感動するばかりです。

「Sueno con Serpientes」
『Corazon Americano』収録曲のカヴァー(Silvio Rodriguez/Luis Eduardo Aute作)。琴の音色も取り入れつつ、南米フォルクローレらしい民族色を強調した仕上がり。

「Cruce」
Andre Mehmari/Bernardo Maranhao作。オリジナルは『Canteiro』(2011年)に収録されています。雲がゆったりと流れていくかのような壮大な味わい深さがあります。

「Tata y Meme」
Juan Quintero作。Aca Seca Trio『Aca Seca Trio』(2003年)収録曲の再演です。こMehmariのアコーディオンが先導し、パンデイロが響くブラジル色の強い仕上がりで聴かせてくれます。

「Beatriz Durante」
Carlos Aguirre作。オリジナルはCarlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)に収録されています。オープニングの「El Diminuto Juan」と同じく、フォルクローレな味わいとMehmariの現代音楽的なピアノが融合した、このスーパー・トリオならではのケミストリーを感じる仕上がり。

「Chorinho da Cantareira」
Carlos Aguirre作。AguirreのピアノとMehmariのバンドリンが織り成すインスト。

「Ida e Volta」
Andre Mehmari/Rita Alterio作。オリジナルは『Canteiro』(2011年)に収録されています。静かなる音楽らしい引き算の美学を満喫できる演奏です。こういった曲でのQuinteroの味わい深いヴォーカルは格別ですね。

「Abraco」
Andre Mehmari作。オリジナルは『As Estacoes Na Cantareira』(2015年)に収録されています。Mehmari作品がAguirre、Quinteroとの共演でフォルクローレな魅力が加わっている感じがいいですね。

「O Mantra de Miguel」
Andre Mehmari作。『Ao Vivo No Auditorio Ibirapuera』(2013年)に収録されていた楽曲です。ジワジワと感動が込み上げてきます。ここでもMehmariの音世界にAguirre、Quinteroがいいアクセントをつけています。

「Bandera」
Juan Quintero作。オリジナルはLuna Monti y Juan Quintero『Despues De Usted』(2015年)に収録されています。Mehmariのピアノに先導され、Quinteroが軽快なフォルクローレを歌い上げます。

「Coplas al Agua」
Juan Quintero作。Aca Seca Trio『Aca Seca Trio』(2003年)収録曲の再演です。ピアノ、ヴィオラン、ベースのみの演奏をバックにQuinteroがしみじみと歌い上げます。

「Rezo」
Carlos Aguirre作。Aguirreのオリジナルは『Orillania』に収録されています。ここではMehmariの美しいヴィオラに魅了されます。

「Paseo」
Juan Quintero作。ラストは本作らしいフォルクローレ+現代音楽なサウンドで楽しく和やかな雰囲気で締め括ってくれます。

Andre MehmariJuan QuinteroCarlos Aguirreに関わる過去記事や、本作収録曲のオリジナルが収められた作品もチェックを!

Andre Mehmari『Ao Vivo No Auditorio Ibirapuera』(2013年)
Ao Vivo No Auditorio

Andre Mehmari『As Estacoes Na Cantareira』(2015年)
As Estacoes Na Cantareira

Andre Mehmari & Antonio Loureiro『MehmariLoureiro Duo』(2016年)
MehmariLoureiro duo メマーリロウレイロ・デュオ

Aca Seca Trio『Aca Seca Trio』(2003年)
Aca Seca Trio

Aca Seca Trio『Avenido』(2006年)
アベニード

Aca Seca Trio『Ventanas』(2009年)
Ventanas

Carlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)
Carlos Aguirre Grupo(Crema)

Carlos Aguirre『Orillania』(2012年)
Orillania

Mercedes Sosa/Leon Gieco/Milton Nascimento『Corazon Americano』(1986年)
Corazon Americano
posted by ez at 02:36| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月24日

Kamasi Washington『Harmony Of Difference』

L.A.ジャズのキーマン、最新作はアート・イベントのために書かれた組曲☆Kamasi Washington『Harmony Of Difference』
Harmony of Difference [帯・解説付 / 国内仕様輸入盤CD] (YTCD171JP)
発表年:2017年
ez的ジャンル:L.A.スピリチュアル・ジャズ
気分は... :ハーモニーを創るアート!

L.A.ジャズを牽引する、今最も旬なジャズ・サックス奏者Kamasi Washingtonの最新ミニ・アルバム『Harmony Of Difference』です。

1981年L.A.生まれのジャズ・サックス奏者Kamasi Washingtonの紹介は、Flying LotusBrainfeederからリリースされ、各方面から絶賛されたCD3枚組超大作『The Epic』(2015年)に続き2回目となります。

壮大なスケールの進化形スピリチュアル・ジャズを提示した前作『The Epic』(2015年)は、所謂Jazz The New Chapterな今ジャズ作品群の中でも最もインパクトのあった1枚でした。

それだけに次作への期待が大きかったKamasi Washingtonですが、最新作『Harmony Of Difference』はNYのホイットニー美術館で開催される美術イベント《ホイットニー・ビエンナーレ2017》のために書かれた楽曲から構成されるミニ・アルバムとなりました。

これらの楽曲はA.G. Rojasが手掛けたフィルム、Kamasiの女兄弟であるAmani Washingtonが手掛けたアートワークと共に初演されたそうです。その意味ではフィルム、アートワーク、音楽の3つで1つのアート作品として楽しむべきなのでしょうね。CDにはAmani WashingtonのアートワークやA.G. Rojasのフィルムの画像も収められています。

まぁ、時間を掛けて練った3枚組超大作の次の作品としては、他のアーティストとの交流で瞬発的に創り上げたミニ・アルバム位が丁度いいのかもしれませんね。

本作はUKの人気レーベルYoung Turksからリリースというのも興味深いですね。。当ブログでも紹介した、UK期待の男性R&Bシンガーのデビュー・アルバムSampha『Process』Young Turksからのリリースでした。

今回の収録曲は全6曲。これらは6楽章から成る組曲ということらしいです。また、本作のテーマとして作曲技法のひとつである“対位法"の可能性の探求というものがあるらしいです。僕は小難しくジャズを聴くタイプではないので、あまりそういった点に囚われずに聴きたいと思いますが・・・

レコーディングにはKamasi Washington(ts)以下、Thundercat(el-b)、Terrace Martin(as)、Ronald Bruner Jr.(ds)、Cameron Graves(p)、Brandon Coleman(key)、Miles Mosley (b)、Tony Austin(ds、per)、Ryan Porter(tb)、Dontae Winslow(tp)、Matt Haze(g)、Dexter Story(back vo)等のミュージシャンが参加しています。多くのミュージシャンが『The Epic』に続いての参加ですが、改めて眺めるといいメンバーが揃っていますね。

前述のように6曲の組曲ですが、5つのテーマの曲が最後の「Truth」で融合するという構成になっています。まず5曲の演奏を個別に楽しみ、最後にそれらが織り成す壮大なハーモニーを楽しむという2段構えの聴き方ができます。

まぁ、あまり小難しいことを考えずに聴いても、直観的に感動が湧き上がってくる素晴らしいジャズ作品です。『The Epic』に続きハマりそうです。

全曲紹介しときやす。

「Desire」
感動的なスピリチュアル・ジャズがオープニング。Kamasiのサックスをはじめ、音楽に込めた願いが心の奥までジワジワと響いてきます。

「Humility」
Kamasi、Ryan Porter、Dontae Winslowの三菅によるアンサンブル&ソロにグッとくる格好良いジャズ・ダンシング。L.A.スピリチュアル・ジャズ×クラブジャズ的なエキサイティング感がいいですね。

「Knowledge」
息の合ったメンバーとL.A.スピリチュアル・ジャズらしい壮大なアンサンブルを聴かせてくれます。感動的なドキュメンタリーのエンディング・テーマのような雰囲気がありますね。特にRyan Porterのトロンボーンがいい味出しています。

「Perspective」
Kamasiの情熱的なブロウを楽しめる演奏ですが、アーバンな雰囲気も醸し出すバランスの良さがグッド!

「Integrity」
ブラジリアン・フレイヴァーを取り入れた楽園モードのピースフル・ジャズ!明日への活力になる生命感のある演奏です。こういう路線は個人的に大歓迎!

「Truth」
ラストは本作のハイライトと呼ぶべき13分半の大作。『Harmony Of Difference』というタイトルの答えがココにあります。ここまで示された5曲がこの大作で融合し、1つの壮大なハーモニーを奏でて結実します。
https://www.youtube.com/watch?v=rtW1S5EbHgU

Kamasi Washingtonの他作品もチェックを!

Young Jazz Giants『Young Jazz Giants』(2004年)
Young Jazz Giants

『The Proclamation』(2007年)
ザ・プロクラメイション

『The Epic』(2015年)
The Epic
posted by ez at 02:08| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする