2017年10月13日

Robert Palmer『Sneakin' Sally Through The Alley』

The Meters、Lowell George、Steve Winwoodも参加したデビュー作☆Robert Palmer『Sneakin' Sally Through The Alley』
スニーキン・サリー・スルー・ジ・アリー(紙ジャケット・生産数限定)
発表年:1974年
ez的ジャンル:伊達男系ブルーアイド・ソウル
気分は... :俺にしかできない!

今は亡きUKロックの伊達男シンガーRobert Palmerのデビュー・アルバム『Sneakin' Sally Through The Alley』(1974年)です。

Robert Palmer(1949-2003年)の紹介は、4thアルバム『Double Fun』(1978年)、2ndアルバム『Pressure Drop』(1975年)に続き、3回目となります。

UKの白人男性シンガーながら、ニューオリンズ色の強いブルーアイド・ソウルとして評価の高いデビュー作です。

プロデュースはSteve Smith

レコーディングにはArt Neville(key)、Leo Nocentelli(g)、George Porter Jr.(b)、Joseph "Zigaboo" Modeliste(ds)というThe Metersの面々をはじめ、Lowell GeorgeLittle Feat)(g)、Cornell Dupree(g)、Richard Tee(p)、Gordon Edwards(b)、Bernard Purdie(ds)、Simon Phillips(ds)、Steve Winwood(p)、Jim Mullen(g)、Jody Linscott(harmonica)、Vicki Brown(back vo)、Mongezi Feza(flageolet、horns)等のミュージシャンが参加しています。

どうしてもThe Metersがバッキングを務めた「Sneakin' Sally Through the Alley」「Sailing Shoes」「How Much Fun」あたりのニューオリンズ・ファンクが目立ちますが、Stuff勢とBernard Purdieらのバッキングを務めた「Get Outside」「Blackmail」「Through It All There's You」あたりの小粋なブルーアイド・ソウルにもグッときます。

久々にアルバム通しで聴きましたが、改めてRobert Palmerの魅力を再認識できました。やはり、彼の場合、70年代の初期作品に惹かれますね。

全曲紹介しときやす。

「Sailing Shoes」
Little Featのカヴァー(Lowell George作)。Little Featのオリジナルは『Sailin' Shoes』に収録されています。The Metersによる骨太なニューオリンズ・ファンク・サウンドをバックに、Palmerがブルーアイド・ソウルなヴォーカルを聴かせてくれます。正直、Little Featのオリジナルより断然聴きやすく、格好良さがダイレクトに伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=bg0H8qRLPbw

「Hey Julia」
Robert Palmer作。Stuff勢とBernard Purdieらのバッキングを従え、Palmerの少しハスキーなソウルフル・ヴォーカルが栄えます。
https://www.youtube.com/watch?v=wfz16OCp9hU

「Sneakin' Sally Through the Alley」
Lee Dorsey、1971年のシングルをカヴァー(Allen Toussaint作)。タイトル曲はThe MetersLowell George、Simon Phillipsらがバックを務める格好良いファンキー・グルーヴ。この圧倒的グルーヴの虜になる方も多いのでは?少し格好つけたPalmerの歌い回しが伊達男らしいですね。Lowell Georgeのスライド・ギターやJody Linscottのハーモニカもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=gsLz2pvO5N0

「Get Outside」
Robert Palmer作。シングルにもなったソウル・バラード。一聴すると地味ですが、なかなか気の利いたブルーアイド・ソウルです。
https://www.youtube.com/watch?v=AHo1AEeeLfA

「Blackmail」
Robert Palmer/Lowell George作。都会的に洗練されたLittle Featといった趣の仕上がりです。

「How Much Fun」
Robert Palmer作。The MetersLowell Georgeによるモロにニューオリンズなバッキング。開放的なファンキー・サウンドの中にPalmerとThe Metersの相性の良さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=RzxOLyPN0Sk

「From a Whisper to a Scream」
Allen Toussaint作品のカヴァー。Esther Phillips等も取り上げている楽曲です。Allen Toussaintのオリジナルは『Toussaint』(1970年)に収録されています。夜明け前のバラードといった趣です。ここでのThe Metersは抑えた演奏で、Palmerのヴォーカルを引き立てています。
https://www.youtube.com/watch?v=cpzxqyCqLyk

「Through It All There's You」
Robert Palmer作。ラストは12分を超える大作。Stuff勢とBernard Purdieらの小粋なセンスのバッキングが格好良い都会的なファンキー・グルーヴ。Steve Winwoodもピアノで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=PW21wyPMh2I

ご興味がある方は初期Robert Palmerの他作品もチェックを!

『Pressure Drop』(1975年)
Pressure Drop

『Some People Can Do What They Like』(1976年)
サム・ピープル(紙ジャケット・生産数限定)

『Double Fun』(1978年)
ダブル・ファン(紙ジャケット・生産数限定)

『Secrets』(1979年)
シークレッツ(紙ジャケット・生産数限定)

『Secrets/Clues/Maybe It's Live 』(1979/1980/1982年)※3in1CD
Secrets & Clues & Maybe It's Live
posted by ez at 01:14| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月12日

Bilal『A Love Surreal』

独自のR&Bを歩む男性R&B/ネオソウル☆Bilal『A Love Surreal』
ア・ラヴ・サーリアル
発表年:2013年
ez的ジャンル:アート系男性R&B/ネオソウル
気分は... :シュルレアリズム!

今回は独自の道を歩む男性R&B/ネオソウル・シンガーBilalの3rdアルバム『A Love Surreal』(2013年)です。

1979年フィラデルフィア生まれの男性R&BシンガーBilalの紹介は、『Airtight's Revenge』(2010年)、『1st Born Second』(2001年)に続き3回目です。

3rdアルバムとなる本作は『A Love Surreal』(2013年)は、カタルーニャが生んだ偉大な画家サルヴァドール・ダリのシュルレアリズムからインスパイアを受けた作品。そのあたりはジャケにも反映されていますね。eOneからのリリースです。

レコーディングの中心メンバーはConley "Tone" Whitfield(b)、Steve McKie(ds)、Mike Severson(g)、 Corey Bernhard(key)。

プロデュースもBilal自身と上記4名で殆どの楽曲を手掛けています。

それ以外にShafiq HusaynSa-Ra (Sa-Ra Creative Partners))、Paris StrotherKINGBen O'Neilがプロデュースに関与している楽曲もあります。

さらにレコーディングには、Bilalとはニュースクール大学時代からの盟友Robert Glasper(p、key)、そのGlasperのRobert Glasper Experiment(RGE)の仲間Derrick Hodge(b)、注目の新時代女性R&BユニットKING(back vo)、海外で評価の高いキーボード奏者BIGYUKI(平野雅之)(syn)等も参加しています。

最初は少し取っつきにくいアルバムに感じるかもしれませんが、聴き重ねるほどにBilalの美学が貫かれたアートなR&Bワールドに惹かれていきます。

その意味では個々の楽曲の良し悪し云々よりも、アルバム全体の世界観を楽しむ1枚かもしれません。

ダリ作品の画像でも眺めながら聴くと良いのでは?

全曲紹介しときやす。

「Intro」
チャーミングなイントロ。

「West Side Girl」
Shafiq Husaynプロデュース。Sa-Ra好きの人であれば少しフューチャリスティックなトラックにグッとくるはず!Bilalのヴォーカル・スタイルともフィットしています。「Back To Love」に続くシングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=LfiXWFWuZnw

「Back To Love」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。アルバムからのリード・シングル。プロデュースも務める4名の臨場感のあるバッキングとBilalのヴォーカルが一体化した心地好いヴァイヴが魅力のR&Bグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=LTDvFF1FNtE

「Winning Hand」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。シュルレアリズムからインスパイアされたという本作らしいBilal独自の美学が貫かれたアートな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6OKUjcBie9M

「Climbing」
Conley "Tone" Whitfield/Steve McKieプロデュース。ミステリアスな哀愁モードが印象的な仕上がり。心の叫びのようなBilalの不安げなヴォーカルが印象的です。

「Longing And Waiting」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。切なる願いを込めたBilalの情感溢れたヴォーカルが印象的な哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=AfeWU12a_EQ

「Right At The Core」
Bilal/Paris Strotherプロデュース。注目の新時代女性R&BユニットKINGがバック・コーラスを務め、その中心メンバーParisが共同プロデュースしています。さらにRGEDerrick Hodgeがベースで参加しています。KINGのドリーミーな音世界とBilalとの相性は抜群です!
https://www.youtube.com/watch?v=bsfT7QhnGj8

「Slipping Away」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。愁いを帯びたBilalのヴォーカルが切々と伝わってくる哀愁バラード。アルバムの中でもドラマチックな雰囲気のある仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=tX2r63p1qAE

「Lost For Now」
Ben O'Neil/Steve McKieプロデュース。ネオソウル作品にも数多く参加している白人ギタリスト/SSW Ben O'Neilをプロデューサーに迎えたアコースティック・ソウル。フォーキーな雰囲気でアルバムのいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6OKUjcBie9M

「Astray」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。プロデュースも務める4名による息の合ったバッキングを伴い、Bilalがファルセットも駆使しながら独自のR&Bワールドを展開するビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=DukMF2fFmBY

「Never Be The Same」
Conley "Tone" Whitfieldプロデュース。BIGYUKI参加曲。70年代ソウル調の少しイナたいバラード。BIGYUKIの効果的なシンセが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QJmCJY5Sw_0

「Butterfly」
Bilalプロデュース。盟友Robert Glasper(p)をフィーチャー。BIGYUKIも前曲に続き参加しています。Glasperの美しいピアノをバックに、Bilalが丁寧に歌い上げるバラード。GlasperのピアノとBilalのヴォーカルがシンクロし、さらにBIGYUKIのムーグがアートな雰囲気を演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=XgTLvMqqweg

「The Flow」
Bilal/Conley "Tone" Whitfield/Steve McKie/Mike Severson/Corey Bernhardプロデュース。Robert Glasperが引き続き参加しています。なかなか刺激的なミディアム!Prince好きの人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=2mkUJ-gVM40

「Outro」
イントロと同パターンのアウトロ。

Bilalの他作品もチェックを!

『1st Born Second』(2001年)
1st ボーン・セカンド

『Airtight's Revenge』(2010年)
Airtight's Revenge

『In Another Life』(2015年)
In Another Life
posted by ez at 17:55| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月11日

Yesterdays New Quintet『Stevie』

人気Hip-Hopアーティストの別プロジェクトはStevieカヴァー集☆Yesterdays New Quintet『Stevie』
Stevie: Instrumental Tribute to Stevie Wonder
発表年:2004年
ez的ジャンル:Hip-Hop系ジャズ・プロジェクト
気分は... :揺るぎないコア・バリュー!

今回は人気Hip-HopアーティストMadlibのプロジェクトの1つYesterdays New Quintet名義の『Stevie』(2004年)です。

Madlib(本名:Otis Jackson Jr.)に関して、当ブログでは以下の5作品を紹介済みです。

 Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
 Jaylib『Champion Sound』(2003年)
 Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
 Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
 Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)

様々な名義、プロジェクトで活動するMadlibですが、Yesterdays New Quintetはジャズ色の強いプロジェクトであり、人気レーベルStones Throw Recordsから『Angles Without Edges』(2001年)、『Stevie Volume 1』(2002年)という2枚のアルバムをリリースしています。

今回紹介する『Stevie』(2004年)は、2ndアルバム『Stevie Volume 1』のジャケを一新し、収録曲を一部差し替えた新装盤です。
タイトルの通り、Stevie Wonderのインスト・カヴァー集です。個人的にはStevie『Innervisions』(1973年)のジャケを模した当初のジャケの方が断然好きですが・・・

プロデュースはMadlib本人。レコーディング・メンバーとして、Otis Jackson Jr.(ds)、Joe McDuphre(key)、Monk Hughes(b)、Malik Flavors(per)、Ahmad Miller(vibes)の名がクレジットされ、一応カルテット編成になっていますが、実体はMadlib一人ですべて演奏しています。

単なるStevieのインスト・カヴァー集に止まらない、トラックメイカーらしいセンスの詰まったサウンドがいいですね。

異才Hip-HopアーティストがStevieの名曲たちを、どのように調理するのか楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Prelude」
アルバムのイントロ。

「Superstition」
アルバム『Talking Book』(1972年)収録の全米No.1ヒットをカヴァー。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、Sergio Mendes & Brasil '77「Promise of a Fisherman (Promessa De Pescador)」のリズムをサンプリングし、トラックメイカーらしい「Superstition」に仕上がっています。このセンスがフィットするか否かで本作の好き/嫌いが分かれるかも?
https://www.youtube.com/watch?v=mrNv9iV29rU

「Visions」
アルバム『Innervisions』(1973年)収録曲のカヴァー。オリジナルのテイストとは異なるボッサ・フィーリングのカヴァーに仕上がっています。アングラ・ジャジーHip-Hopやクラブジャズ好きの人が気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=d5bNWWcMzxg

「Superwoman/Where Were You Last Winter」
アルバム『Music of My Mind』(1972年)収録曲のカヴァー。疑似ライブ風のメロウなジャズ・グルーヴに仕上がっています。元々二部構成の曲ですが、オリジナルと前半と後半が逆になっているのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GzfYP4GdsQ4

「Rocket Love Pt. 1」
アルバム『Hotter Than July』(1980年)収録曲のカヴァー。オリジナルは哀愁バラードでしたが、ここではドラミングを強調した哀愁メロウ・グルーヴで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=dh7fq8252vc

「You've Got It Bad Girl」
アルバム『Talking Book』(1972年)収録のYvonne Wright作品をカヴァー。オリジナルの雰囲気に疾走感が加味された魅力的なカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CIwMaM8rPeo

「Send One Your Love」
アルバム『Journey Through the Secret Life of Plants』(1979年)収録曲のカヴァー。オリジナルは素敵なビューティフル・バラード。でしたが、ここでは小粋なジャズ・フィーリング全開のサウンドを聴かせてくれます。そんな中にもトラックメイカーならではのエッセンスがきちんと散りばめられています。
https://www.youtube.com/watch?v=neTaYO11t4Y

「Too High」
アルバム『Innervisions』(1973年)収録曲のカヴァー。Al Kooper「The Landlord」のドラム・ブレイク・ネタを織り交ぜつつ、オリジナルの雰囲気をさらに膨らませています。
https://www.youtube.com/watch?v=nqrA2rEav-o

「I Am Singing」
アルバム『Songs In The Key Of Life』(1976年)収録曲のカヴァー。オリジナルの優しくチャーミングな雰囲気を上手く活かしたグッド・カヴァー。途中からは同じく『Songs In The Key Of Life』収録の「As」のカヴァーへ移行します。
https://www.youtube.com/watch?v=3gXxYvGxYNY

「Golden Lady」
アルバム『Innervisions』(1973年)収録曲のカヴァー。Black Oak Arkansas「Hot and Nasty」のリズムのサンプリングを交えたHip-Hop調カヴァーに仕上がっています。。
https://www.youtube.com/watch?v=OFfePxuHPmU

「That Girl」
アルバム『Stevie Wonder's Original Musiquarium I』(1982年)からのシングル曲をカヴァー。異才トラックメイカーらしいアブストラクト感覚のカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zQoyjwy5QRA

Yesterdays New Quintetの1st『Angles Without Edges』(2001年)やMadlib関連の過去記事もチェックを!

Yesterdays New Quintet『Angles Without Edges』(2001年)
Angles Without Edges

Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
Shades of Blue

Jaylib『Champion Sound』(2003年)
Champion Sound

Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Liberation

Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
Sujinho

Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)
Yessir Whatever
posted by ez at 03:30| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月09日

Caetano Veloso『Joia』

実験的ながらも穏やかな音世界☆Caetano Veloso『Joia』
ジョイア+2
発表年:1975年
ez的ジャンル:ミニマルMPB
気分は... :一糸まとわぬ姿・・・

ブラジル音楽界の牽引者Caetano Velosoが1975年にリリースした『Joia』です。

これまで紹介したCaetano Veloso関連作品は以下の8枚。

 『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
 『Caetano Veloso』(1969年)
 『Caetano Veloso』(1971年)
 『Qualquer Coisa』(1975年)
 『Outras Palavras』(1981年)
 『Cores, Nomes』(1982年)
 『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
 『Caetano』(1987年)

本作は以前に紹介した『Qualquer Coisa』(1975年)と同時期にレコーディングされた作品であり、両者は兄弟アルバムと位置づけられます。

The Beatles『Let It Be』のジャケを模した『Qualquer Coisa』に対して、本作のジャケは自身と妻Dede、息子Moreno(現在、ブラジル新世代アーティストとして活躍するMoreno Veloso)という家族の一糸まとわぬ姿をCaetano自らが描いたものです。ただし、検閲に引っ掛かり、Caetanoの股間は鳥で隠されることになりましたが。

この家族ジャケに象徴されるように、穏やかなアコースティック・サウンドが印象的な1枚です。その一方で、実験的&ミニマルなアプローチも多く一筋縄ではいかぬ、独特の雰囲気を持ったアルバムだと思います。

レコーディングにはGilberto Gil(g)、Quarteto Em Cy(vo)、BendegoAntonio Adolfo(org)、Perinho Albuquerque(g、per)、 Djalma Correa(per)、 Bira Da Silva(per)、 Eneas Costa(per)、
Moacyr Albuquerque(b)、 Eneas Costa(ds)、 Perna Froes(p)、 Tuze Abreu(p)、 As Gatas(vo)、 Tuty Moreno(ds)、 Cream Crackers(per)等が参加しています。

Quarteto Em Cy参加の「Gua」、フルート・アンサンブルが印象的な「Pelos Olhos」Gal Costa『Cantar』提供曲のセルフ・カヴァー「Lua, Lua, Lua, Lua」、フォーキー・グループBendegoをフィーチャーした「Canto De Povo De Um Lugar」、透明感のある「Na Asa Do Vento」、As Gatasをフィーチャーしたサンバ・グルーヴ「Escapulario」あたりがオススメです。

アルバム全体に貫かれたミニマルな美学を楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Minha Mulher」
Caetano Veloso作。盟友Gilberto Gilが参加しているオープニング。妻Dedeに捧げた穏やかなアコースティック・チューンですが、コード進行のせいか不思議な空気感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=ULCXhxAinTQ

「Gua」
Perinho Albuquerque/Caetano Veloso作。Quarteto Em Cyが参加。素朴なトライバルなサウンドをバックに、CaetanoとQuarteto Em Cyが素敵なヴォーカル・ワークを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=F7R3XK4bz_Y

「Pelos Olhos」
Caetano Veloso作。複数のフルートを配したアンサンブルが不思議な音世界を生み出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=iWSlOowQwaY

「Asa, Asa」
Caetano Veloso作。Djalma Correaのパーカッションとヴォーカルのみのデモ・テープのような素朴な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=hZxTCmWtDpQ

「Lua, Lua, Lua, Lua」
Caetano Veloso作。Gal Costa『Cantar』提供曲のセルフ・カヴァー。ここではAntonio Adolfoのオルガンをバックに、ソフトリーに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=tLCCzTPJ0-g

「Canto De Povo De Um Lugar」
Caetano Veloso作。ブラジルのフォーキー・グループBendegoをフィーチャー。ゆったりと時が流れていく牧歌的フォーキー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Uj-kQGdK1q8

「Pipoca Moderna」
Sebastiao Biano/Caetano Veloso作。美しいストリングスと素敵なヴォーカル・ワークが織り成すビューティフルな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=YRYxYAl724k

「Joia」
Caetano Veloso作。タイトル曲はトライバルな小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=AP81yfUemzk

「Help」
Beatlesの名曲カヴァー(John Lennon/Paul McCartney作)。シンプルなアコースティック・バラードですが、なかなか味わい深いです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZeySOG1QQZc

「Gravidade」
Caetano Veloso作。本作らしい不思議な音世界が展開されます。余計なものをそぎ落とした独特の味わいがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=Q3osMDYfUzU

「Tudo Tudo Tudo」
Caetano Veloso作。息子Morenoへの子守歌をヴォーカル&ハンドクラップのみで聴かせてください。
https://www.youtube.com/watch?v=ZeIgQrFbH3U

「Na Asa Do Vento」
Luiz Vieira/Joao do Vale作。シンプルな弾き語りですが、透明感のあるヴォーカル&ギターが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=vT1grr5ecZk

「Escapulario」
Oswald de Andrade/Caetano Veloso作。ラストはAs Gatasのヴォーカルをフィーチャーしたサンバ・グルーヴで華やかなに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wWMam99r4J4

最近の国内盤CDには「Let It Bleed」The Rolling Stonesのライブ・カヴァー)、「Encantado (Nature Boy)」(Eden Ahbez/Caetano Veloso作)の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Caetano Velosoの過去記事もご参照下さい。

『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
Ou Panis Et Circensis

『Caetano Veloso』(1969年)
Caetano Veloso (Irene)

『Caetano Veloso』(1971年)
Caetano Veloso (A Little More Blue)

『Qualquer Coisa』(1975年)
Qualquer Coisa

『Outras Palavras』(1981年)
Outras Palavras

『Cores, Nomes』(1982年)
Cores & Nomes

『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
Caetano Veloso

『Caetano』(1987年)
Caetano (Jose)
posted by ez at 02:44| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月08日

Jordan Rakei『Wallflower』

R&B方面からも注目される男性SSWのナイーヴな2nd☆Jordan Rakei『Wallflower』
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
発表年:2017年
ez的ジャンル:新世代男性シンガー・ソングライター
気分は... :底知れぬポテンシャル!

新作アルバムから注目の男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの2ndアルバム『Wallflower』です。

オーストラリア、ブリスベン出身、現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの紹介は、1stアルバム『Cloak』(2016年)に続き2回目となります。

1stアルバム『Cloak』(2016年)は、新世代ネオソウル作品として各方面で高い評価を得ました。
さらにはUK敏腕ドラマーRichard Spavenがフィーチャリングされていたため、『Jazz The New Chapter 4』で取り上げられることに(笑)

最近でも前述のRichard Spavenの最新作『The Self』、NZ出身、ベルリンを拠点にする新世代R&Bシンガーのデビュー作Noah Slee『Otherland』といった話題作への参加で期待度が高まる中、最新作『Wallflower』が届けられました。

新世代ネオソウルの旗手のような期待が寄せられるJordan Rakeiですが、UKの名門Ninja Tuneからリリースされた本作『Wallflower』は、新世代ネオソウルというよりも、ナイーヴな歌声が似合うUKシンガー・ソングライター作品という印象を受けます。ジャンルの枠が似合わないアーティストなので、ジャンル云々は気にせず、先入観なしに聴くのがいいかもしれませんね。

特に本作はパーソナルな内面にフォーカスした、繊細な魅力に満ちたアルバムです。ナイーヴなヴォーカルにフィットした楽曲の良さ、サウンド・センスの良さが全編に貫かれています。

派手さはありませんが、アーティストとしての底知れぬポテンシャルを示した地に足のついた1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Eye To Eye」
柔らかい陽ざしが差し込んでくるようにスタートするオープニング。しかしながら一転して、夢の中の迷い人のような展開に・・・終盤は格好良いクロスオーヴァー・サウンドで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OYPFazJKzHY

「May」
時計の機械音を模したリズムを配した哀愁チューン。この愁いを帯びた哀愁メロディはUKの音ですね。ライナーノーツにRakeiはPink Floydのファンであると書かれていましたが、本曲には時計の機械音を含めてFloydの名作『Dark Side Of The Moon』のエッセンスを感じることができます。

「Sorceress」
アルバムから先行シングル。パーソナルな内面を歌うナイーヴかつ幻想的な仕上がり。Jordan Rakeiのシンガー・ソングライターとしての魅力に触れることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=oPsi5COuy70

「Nerve」
「Sorceress」に続くシングル。The InvisibleのDave Okumuがギターで参加しています。ダンサブルな中にも温かみを感じるミディアム・ソウル・グルーヴ。アルバムの中でも最もキャッチーな仕上がりかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=XC6orLP0mEg

「Goodbyes」
AOR好きの人も気に入りそうな哀愁モードのアーバン・サウンドが印象的なミディアム・チューン。Rakeiのサウンド・センスの良さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=Py1YlFOpX78

「Clues Blues」
United VibrationsのAhmad Dayes(tb)、Wayne Francis(sax)が参加。レゲエ/スカ調サウンドにジャズ・フィーリングのホーン隊が加わったダビー・クロスオーヴァー。Fat Freddy's Dropあたりが好きな人は気に入るのでは?

「Chemical Coincidence」
ナイーヴなRakeiのヴォーカルがフィットするミディアム・バラード。蠢くベースラインが牽引する終盤の盛り上がりもいい感じです。

「Carnation」
幻想的な哀愁ミディアム・バラード。ロンドンの曇り空が似合いそうな仕上がりです。

「Lucid」
フォーキーな味わいの哀愁チューン。軽くスパニッシュ風のフィーリングも効いてメリハリがあります。

「Hiding Place」
哀愁メロディに胸を打たれるビューティフル・バラード。心の中の叫びが聴こえてきます。RakeiはRadioheadも好きなようですが、そんな影響を感じる仕上がりです。

「Wallflower」
タイトル曲はロンドンの新進女性シンガー・ソングライターKaya Thomas-Dykeをフィーチャーしたフォーキー・チューンです。

Kaya Thomas-DykeはJ Dillaの影響を感じるロンドンの新世代ジャズ・アーティストのデビュー作Alfa Mist『Antiphon』にも参加していますね。
Alfa Mist『Antiphon』(2017年)
Antiphon [日本限定盤/ボーナストラックのダウンロード・コードつき]

未聴の方は、1stアルバム『Cloak』(2016年)もぜひチェックを!
『Cloak』(2016年)
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
posted by ez at 01:37| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする