2017年07月09日

Ruth Koleva『Confidence. Truth』

ブルガリア人女性シンガーによる新世代ネオソウル☆Ruth Koleva『Confidence. Truth』
コンフィデンス・トゥルース
発表年:2015年
ez的ジャンル:新世代ネオソウル系ブルガリア人女性シンガー
気分は... :アンラーン!

今回は新作からブルガリア人女性シンガーRuth Kolevaの最新作『Confidence. Truth』です。

1990年ブルガリア、ソフィア生まれの女性シンガーRuth Kolevaの紹介は、2ndアルバム『Ruth』(2014年)、『Ruth』のリミックス・アルバム『Rhythm Slave(Remix Album)』(2015年)に続き3回目となります。

『Ruth』は、年末恒例の『ezが選ぶ2014年の10枚』でセレクトしたお気に入り盤でした。

売れっ子のイギリス人ドラマーRichard Spavenが全面参加したクロスオーヴァー・ジャズ/ソウル作品は、『Jazz The New Chapter 2』掲載盤にもなり、進化形ジャズの方面からも注目された1枚でした。

さらに、そのリミックス・アルバム『Rhythm Slave(Remix Album)』(2015年)では、

Kaidi TathamBugz In The Attic2000Black等)、Mark De Clive-LoweOpolopoEric LauPositive Flow(Jesse Reuben Wilson)がリミックスを手掛けたクラブミュージック好きを魅了する1枚でした。

そして、期待の新作アルバム『Confidence. Truth』ですが、L.A.を拠点に制作された作品となりました。Ruthはブルガリアで活動を開始する前にL.A.で音楽を学んでおり、L.A.での制作は彼女にとってはある意味自然な流れなのかもしれません。

プロデュースはRuthと同じくブルガリア出身でL.A.を拠点に活動するプロデューサー/ミュージシャンのGeorgi Linev(Gueorgui Linev)。Kan Wakan名義での活動でも知られる人です。

レコーディングには、今最も旬なアーティストAnderson Paakの作品にも参加しているRon Avant(key)、超絶ベーシストThundercatの弟であると同時に、注目のユニットThe InternetのメンバーであるJameel Bruner(key)、Flying Lotus『You're Dead!』にも参加していたGene Coye(ds)、さらにはCooper Appelt(b)、Amir Oosman(ds)、Bradford Tidwell(g)等のミュージシャンが参加しています。さらにSofia Philharmonic Ensembleがストリングスを担当しています。

ライナーノーツには、Kaidi TathamBugz In The Attic2000Black等)、Brandon Colemanの参加が記載されていますが、CDのクレジットを見る限りは、この2人の名前は見当たりませんでした。

正直、大好きだった『Ruth』のようなダンサブル感はありませんが、アーティストとして進化するRuthワールドに魅了されるアルバムに仕上がっています。

全体の印象としては、生音、プログラミング、ストリングスがバランス良く融合されたサウンドが、コケティッシュなRuthのヴォーカルと調和しているのがいいですね。このあたりはプロデューサーGeorgi Linevの手腕かもしれません。

ジャンルで語るのが難しい作品です。僕はこれまでRuth作品を某渋谷の大手CDショップで購入してきました。そのショップにおいて、『Ruth』『Rhythm Slave(Remix Album)』はジャズ・コーナーに陳列されていましたが、本作『Confidence. Truth』はインディR&Bコーナーにネオソウル作品として陳列されていました。

まぁ、ジャンルなど気にせず、Ruthの音やサウンドに耳を傾け、楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Oceans」
ダンサブルな哀愁ミディアム・グルーヴがオープニング。生音、プログラミング、ストリングスが織り成す重厚なサウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=yeH0ggduXC0

「Run」
美しいミディアム・バラードを情感たっぷりに歌い上げます。ヴォーカル・ワークを重視した作りがいいですね。ここでもストリングスがドラマチック効果をアップさせています。
https://www.youtube.com/watch?v=xiYuaAbGIpk

「Tokyo」
日本人には興味深いタイトルですね。東京の持つ二面性を歌ったもののようです。プロデューサーGeorgi Linevの手腕が光るネオソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ChMZLh6u9Ko

「A New Home」
深淵から響いてくる哀愁メロディと美しい歌声って感じがいいですね。ここでも生音、プログラミング、ストリングスのバランスの絶妙です。

「Basil」
Ruthのソウルな側面を楽しめる1曲。ソウルフルな味わいながらも、モロにレトロ・モードにならないところがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=dUYO77FszfU

「The Rain」
派手さはないものの、Gene Coyeのドラム、Ron Avant、Jameel Brunerのキーボードらの好サポートをバックに、Ruthのコケティッシュ・ヴォーカルの魅力を存分に楽しめる哀愁ジャジー・ソウルです。

「I Don't Know Why」
本作ならではのRuthワールドを楽しめる1曲です。アルバムで一番キャッチーかもしれませんね。生音、プログラミング、ストリングスが織り成す新世代サウンドが心地好く響きます。

「Wantchu」
エレクトリック色の濃い仕上がり。ダークなようで実はビューティフルは音作りにハマります。

「What You Say To A Girl?」
夢の中を彷徨うかのようなユラユラした美しさが印象的な仕上がり。Ruthのキュートな歌声が栄えるサウンドです。

「Didn't I?」
Ruthの歌とRon Avantのピアノ、バック・コーラスのみの感動的なバラードで締め括ってくれます。

『Future Sweet』(2012年) ※6曲入りEP
Future Sweet

『Ruth』(2014年)
ルス

『Rhythm Slave(Remix Album)』(2015年)
Ruth Rhythm Slave.jpg

ご興味がある方は、本作に大きく貢献したGeorgi LinevのユニットKan Wakanの作品もチェックしてみては?
Kan Wakan『Moving on』(2014年)
Moving on
posted by ez at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月08日

Beverley Knight『The B-Funk』

UKソウル・ディーヴァのデビュー作☆Beverley Knight『The B-Funk』
B Funk
発表年:1995年
ez的ジャンル:UKソウル・ディーヴァ
気分は... :寛容さを持って・・・

昨晩は超ムカつくことがありましたが、一呼吸して冷静に・・・
いくらでも文句を言い、自分を論理的に正当化できるとも思いましたが、某芸能人夫妻のおぞましい離婚調停騒ぎの記事を目にしたら、無駄なことにパワーを割くことの虚しさを感じ、怒りの感情を封じ込めることができたようです。

UKソウルのディーヴァBeverley Knightのデビュー・アルバム『The B-Funk』(1995年)です。

イギリス、ウォルヴァーハンプトン出身、大英帝国勲章のメンバー(MBE)にもなったUKを代表する女性R&BシンガーBeverley Knightの紹介は、USナッシュビルで録音したソウル回帰作品『Music City Soul』(2007年)に続き2回目となります。

UKの優良レーベルDomeからリリースされた本作は、数あるUK産の90年代女性R&Bアルバムの中でも評価の高い1枚です。と言いつつ僕の場合、リアルタイムで聴けたにも関わらず、スルーしていました(泣)。当時はUSのR&B作品を追いかけるだけで精一杯だったもので。

2B3 Productions(Neville Thomas/Pule Pheto)をメイン・プロデューサーに据え、それ以外にEthnic BoyzTony Olabode/Victor Redwood-SawyerFelix Weber/Irmgard KlarmannColin Burke/Dwayne Burkeがプロデュースを手掛けています。

「Flavour Of The Old School」「Down For The One」「Moving On Up (On The Right Side)」「Mutual Feeling」といったシングル曲をはじめ、「Steppin' On My Shoes」「So Happy」「U've Got It」あたりが僕のオススメです。

改めて聴き直し、UK女性R&Bの傑作であることが実感できました。
USの女性R&Bファンが聴いても、相当満足度が高い1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The B-Funk」
アルバムのイントロ。ア・カペラで魅了します。

「Moving On Up (On The Right Side)」
Ethnic Boyzプロデュース。アルバムからの3rdシングル。僕の一番のお気に入りです。Curtis Mayfield「You're So Good to Me」をサンプリングしたメロウ・グルーヴなヒップ・ホップ・ソウル。Mary J. Blige「Be Happy」と同じサンプリング・ソースということもあり、セットで聴きたくなりますね。
https://www.youtube.com/watch?v=aTHmWwFq9bQ

Mary J. Blige「Be Happy」
 https://www.youtube.com/watch?v=6OZwGkJDZEA

「Mutual Feeling」
Tony Olabode/Victor Redwood-Sawyerプロデュース。アルバムからの4thシングル。90年代R&Bらしいヴァイヴスがあっていいですね。キャッチーなフックがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=gRCdZj4zits

「Flavour Of The Old School」
2B3 Productionsプロデュース。記念すべき彼女のデビュー・シングルです。A Tribe Called Quest「Hot Sex」ネタを織り込んだグルーヴにのって、Beverleyの美しく初々しい歌声が躍動します。途中、男性ラップでアクセントをつけています。suteki
https://www.youtube.com/watch?v=4LURVwZTbRg

「Remedy」
Felix Weber/Irmgard Klarmannプロデュース。少し哀愁モードのミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=3h2PCrTHhxs

「Down For The One」
2B3 Productionsプロデュース。アルバムからの2ndシングル。George Clinton「Atomic Dog」をサンプリングした重量ファンク・サウンドをバックに、ここでのBeverleyは妖艶に歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=kj0O7V_L9z4

「Steppin' On My Shoes」
Colin Burke/Dwayne Burkeプロデュース。シングル曲以外であれば、コレが一番好きです。キャッチーなUKフレイヴァーのグルーヴをバックに、しなやかかつキュートな歌声でBeverleyが輝きます。
https://www.youtube.com/watch?v=0i0U0O4RDVQ

「Promise You Forever」
2B3 Productionsプロデュース。雨音と共に始まるスロウ。USの90年代女性R&Bグループ的な雰囲気があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=zEo1W_hg2_8

「It's Your Time」
2B3 Productionsプロデュース。グルーヴィーなオルガンが印象的なファンク・チューン。改めて聴き直すと、UKアシッド・ジャズからの影響も感じられるのが興味深いですね。

「So Happy」
2B3 Productionsプロデュース。素敵なヒップ・ホップ・ソウルの本曲も大好き!曲タイトルも含めてポジティブ・ヴァイヴが伝わってくるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=b20wj2V61vE

「Cast All Your Cares」
2B3 Productionsプロデュース。アルバムからの5thシングル。しっとりと歌い上げる美メロのミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=VMmBijFTvDU

「U've Got It」
Felix Weber/Irmgard Klarmannプロデュース。爽快ファンキー・グルーヴは今日のような土曜モードにピッタリ!終盤のコーラス・ワークは90年代版スウェイ・ビートと呼びたくなります。こんな曲を聴きながら少しプチ贅沢したくなる・・・
https://www.youtube.com/watch?v=Mc9I9JThAAo

「In Time」
2B3 Productionsプロデュース。美しいバラードをしっとりと歌い上げる。素敵なヴォーカル・ワークに魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=hA_AGOJhmwY

「Goodbye Innocence」
しっとりとしたピアノ・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qyNh_MIyu1g

Beverley Knightの他の作品もどうぞ!

『Prodigal Sista』(1998年)
Prodigal Sista

『Who I Am』(2002年)
Who I Am

『Affirmation』(2004年)
Affirmation

『Music City Soul』(2007年)
Music City Soul (Hk)

『100%』(2009年)
100 Percent

『Soul UK』(2011年)
Soul UK

『Soulsville』(2016年)
Soulsville
posted by ez at 05:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月07日

Osmar Milito『Ligia』

コンテンポラリーなブラジリアン・ラウンジ・ジャズ☆Osmar Milito『Ligia』
LIGIA (1978)
発表年:1978年
ez的ジャンル:ブラジリアン・ラウンジ・ジャズ
気分は... :目立ちませんが、いい仕事しています・・・

今回はブラジル人名アレンジャーOsmar Milito『Ligia』(1978年)です。

サンパウロ生まれのコンポーザー/アレンジャー/キーボード奏者Osmar Militoに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『... E Deixa O Relogio Andar!』(1971年)
 『Nem Paleto, Nem Gravata』(1973年)
 『Viagem』(1974年)

これまで紹介してきた3枚と比較して、少し埋もれている感のあるOsmar Milito作品かもしれませんね。

しかしながら、Osmar Militoらしいサウンド・センスを感じる極上の1枚に仕上がっています。全体としてはコンテンポラリーなブラジリアン・ラウンジ・ジャズといったところでしょうか。

参加ミュージシャンはOsmar Milito(p、el-p、org、syn)以下、Ugo Marotta(org、syn)、Lincoln Olivetti(oberheimer)、Mauricio Heinhorn(harmonica)、Sergio Barroso(b)、Nelson Serra (ds)、Wilson Das Neves(per)、Hermes Contesini(per)、Jose Carlos(g)、Hedys Barroso(chorus)、Alda Regina(chorus)、Mauricio Duboc(chorus)、Roberto Quartin(chorus)、Fernando Maxnuk(chorus)です。

Jobim作品のカヴァー「O Morro」「Andorinha」Joao Donatoのカヴァー「Jodel」Chico Buarqueのカヴァー「O Que Sera(A Flor Da Terra)」Wynton Kellyのカヴァー「Little Tracy」あたりが僕のオススメです。

目立ちづらいアルバムですが、Osmar Militoにご興味がある方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Ligia」
Antonio Carlos Jobim作。Jobim作品をジャジー・テイストで聴かせてくれます。エレガントなMilitoのピアノにグッときます。当ブログではTill Bronnerのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=PuEGONTB2pw

「Atras da Porta」
Chico Buarque/Francis Hime作。哀愁のメロディをしっとりと聴かせてくれます。中盤以降の
Mauricio Heinhornのハーモニカもいいアクセントになっています。

本曲に関して、当ブログではElis ReginaLuciana SouzaGaetano Partipiloのカヴァーも紹介済みです。

「Estrada Branca」
「This Happy Madness」のタイトルでも知られるAntonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作の名曲をカヴァー。当ブログではDiana PantonStacey Kentのカヴァーも紹介済みです。個人的にも大好きなJobim作品を品良くスッキリと聴かせてくれます。

「O Morro」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作の名曲をカヴァー。僕好みのパーカッシヴな疾走感のあるカヴァーに仕上げています。

本曲に関して、当ブログではSambalanco TrioWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De Valenca Stan Getz & Luiz Bonfaのカヴァーを紹介済みです。

「Morning」
Clare Fischer作。この曲はラテン・フィーリングのアレンジと爽快コーラスの組み合わせで聴かせてくれます。

「Daulphine」
Luiz Eca作。しっとりとしたボッサ・ピアノが落ち着きを与えてくれます。

「Andorinha」
Antonio Carlos Jobim作。当ブログではAgustin Pereyra Lucenaのカヴァーも紹介済みです。ムーディーで美しいMilitoのピアノ、さり気に格好良いSergio Barrosoのベースらが織り成すサウンドがいいですね。薄っすらと抑えたシンセやMauricio Heinhornのハーモニカも効果抜群です。

「Mentiras」
Joao Donato作。当ブログでは『Quem e Quem』収録の本人ヴァージョンやCal Tjaderのカヴァーを紹介済みです。グッと抑えたトーンのピアノ・トリオ演奏がいいですね。

「O Que Sera(A Flor Da Terra)」
Chico Buarque作。当ブログではTill BronnerWillie Colonのカヴァーを紹介済みです。ここではラテン調リズムの哀愁メロウなカヴァーで聴かせてくれます。

「Jodel」
Joao Donato作。当ブログでは『Sambou, Sambou(Muito a Vontade)』(1962年)、『A Bad Donato』(1970年)、『Quem e Quem』(1973年)におけるDonato本人のヴァージョンを紹介済みです。僕好みの小粋なブラジリアン・メロウに仕上がっています。Mauricio Heinhornのハーモニカがサンセットな雰囲気でいいですね。

「Little Tracy」
Wynton Kelly作。本作で一番リズミックで派手なサウンドかもしれません。パーカッシヴ・リズムにシンセ・サウンドも絡むフュージョン/クロスオーヴァーな仕上がりです。

「Ho Ba-la-la」
Joao Donato作。ラストはムーディーなコーラス隊を配したエレガントな演奏で締め括ってくれます。

Osmar Militoの他作品もチェックを!

『... E Deixa O Relogio Andar!』(1971年)
E Deixa O Relogio Andar

『Nem Paleto, Nem Gravata』(1973年)
ネン・パレトー、ネン・グラヴァッタ(紙ジャケット仕様)(BOM24124)

『Viagem』(1974年)
ヴィアージェン BOM1131
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2017年07月06日

Big Daddy Kane『Long Live The Kane』

記念すべきデビュー・アルバムはクラシック作品!☆Big Daddy Kane『Long Live The Kane』
big daddy kane long live the kane.jpg
発表年:1988年
ez的ジャンル:色男系Hip-Hop
気分は... :プリミティブな魅力!

今回はHip-Hopシーンを代表する色男として人気を博したBig Daddy Kaneのデビュー・アルバム『Long Live The Kane』(1988年)です。

1968年N.Y.ブルックリン地区出身のラッパーBig Daddy Kaneの紹介は、2ndアルバム『It's A Big Daddy Thing』(1989年)に続き2回目となります。

Marley Marlを中心にBiz Markie、Roxanne Shante、MC Shan、Kool G Rapらが在籍した伝説のクルーJuice Crewに参加していましたKaneの記念すべきデビュー・アルバムが本作『Long Live The Kane』(1988年)です。

Marley Marlが全面プロデュースし、80年代後半らしいHip-Hopのプリミティブな魅力が伝わってくるトラック作りでアルバムに貢献しています。勿論、主役である色男ラッパーKaneのセクシーなフロウも魅力的です。

「Ain't No Half-Steppin'」「Raw (Remix)」「Set It Off」「Just Rhymin' with Biz」「Mister Cee's Master Plan」といったHip-HopクラシックはHip-Hopファンを魅了するはず!

また、「I'll Take You There」「The Day You're Mine」のようなHip-Hopファン以外の人にも訴求するキャッチーな楽曲があるのもBig Daddy Kane作品の魅力かもしれませんね。

個人的には「On the Bugged Tip」「Word to the Mother (Land)」あたりにもグッときます。

久しぶりにアルバムを聴き直しましたが、クラシック感の風格が漂うHip-Hopアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Long Live the Kane」
挨拶代わりのオープニング。トラックの質感、フロウの節回し感、スクラッチにHip-Hopのプリミティブな魅力があります。The Meters「Here Comes the Meter Man」、「Hey! Last Minute」、James Brown「Say It Loud, I'm Black and I'm Proud」、Thurl Ravenscroft「Tony the Tiger」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=sUGx9slQ6jo

「Raw (Remix)」
アルバムに先駆けて1987年にシングル・リリースされたHip-Hopクラシック「Raw」のリミックス。一聴すると、Bobby Byrd「Hot Pants (Bonus Beats)」、Lyn Collins「Mama Feelgood」をサンプリングした躍動するトラックに合わせてKaneがフロウをキメるシングル・ヴァージョンとあまり変わりないように思われます。ただし、James Brown「Escape-Ism」の声ネタ・スクラッチ部分にTeena Marie「Square Biz」の声ネタも加えられている点は少し異なりますが。Big Daddy Kaneらしい格好良さがストレートに伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=nZAOqSUWctQ

あまり変わりはありませんが、オリジナル・ヴァージョンと聴き比べてみては?
「Raw(Original Version)」 ※single version
https://www.youtube.com/watch?v=9WAOXCcak_Q

「Set It Off」
この曲もHip-Hopクラシック。James Brown「Get Up, Get Into It, Get Involved」ネタとGrady Tate「Be Black Baby」のドラム・ブレイクで疾走するトラックに合わせて、Kaneのフロウが捲くし立てます。さらにKevie Kev「All Night Long (Waterbed)」の声ネタやBooker T. & the M.G.'s「Grab Bag」のギター・ネタも効果的に加わっていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=CikybHxxOB0

「The Day You're Mine」
メロウな仕上がりがいいですね。ジャケ・イメージと合致するセクシー&メロウなキャッチーさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=NNLJGnehWkI

Gang Starr「Step in the Arena」でプリモ先生のスクラッチ・ネタになっています。
Gang Starr「Step in the Arena」
 https://www.youtube.com/watch?v=FNj-m_s0ngA

「On the Bugged Tip」
Scoob Loverをフィーチャー。Fab 5 Freddy「Down by Law」ネタのトラックが大好きです。DeBarge「I Like It」やTeddy Pendergrass「Only You」のリリックの引用にも親しみが持てます。当時、僕がイメージしていたHip-Hopらしい魅力に満ちた仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=hYyIrx7Jmx0

「Ain't No Half-Steppin'」
シングルにもなったHip-Hopクラシック。The Emotions「Blind Alley」、ESG「UFO」をサンプリングしたメロウ・トラックがキャッチーですね。途中からMonk Higgins & The Specialties「Big Water Bed」のサックス・ネタも加わります。後半にはHeatwave「Ain't No Half Steppin'」、Billy Squier「The Big Beat」ネタも加わります。Marley Marlのトラック作りのセンスとBig Daddy Kaneの魅力が見事に噛み合ったHip-Hopクラシックです。
https://www.youtube.com/watch?v=wTCGw0wizRo

「I'll Take You There」
シングルにもなりました。The Staple Singers「I'll Take You There」をサンプリングしたソウルフル・トラックが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=47iDDFYndUQ

「Just Rhymin' with Biz」
Biz Markieをフィーチャー。1stシングル「Get Into It」にも収録されていたトラックです。80年代Hip-Hopならではのプリミティブな魅力が伝わってきます。Julie Andrews & Dick Van Dyke「Supercalifragilisticexpialidocious」、Run-D.M.C. 「Hollis Crew (Krush Groove 2)」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=c_Mc3Go-RKg

「Mister Cee's Master Plan」
Mister Ceeのスクラッチをフィーチャー。The Kay-Gees「Who's the Man? (With the Master Plan)」の声ネタと共にスタートします。The Turtles「I'm Chief Kamanawanalea (We're the Royal Macadamia Nuts)」、The Jimmy Castor Bunch「I Promise to Remember」をサンプリングしたファンキー・トラック、Kaneのフロウ、Mister Ceeのスクラッチが躍動する様は、80年代Hip-Hopらしい魅力が伝わってきます。Stevie Wonder「Skeletons」、Maze Featuring Frankie Beverly「Before I Let Go」もサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=47ku2OsLxu0

「Word to the Mother (Land)」
シングル「Raw」のB面曲だった曲です。Pleasure「Bouncy Lady」、Le Pamplemousse「Gimmie What You Got」をサンプリングした格好良いファンキー・トラックにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=zIOjrC91fvk

Gang Starr「Manifest」をはじめとする数多くのHip-Hopトラックのサンプリング・ソースとなっています。
Gang Starr「Manifest」
 https://www.youtube.com/watch?v=qMHa7J9TREU

Big Daddy Kaneの他作品もチェックを!

『It's A Big Daddy Thing』(1989年)
It's a Big Daddy Thing

『Taste of Chocolate』(1990年)
big daddy kane taste of chocolate.jpg

『Prince of Darkness』(1991年)
Prince of Darkness

『Looks Like a Job For...』(1993年)
big daddy kane looks like a job for.jpg

『Daddy's Home』(1994年)
Daddy's Home

『Veteranz Day』(1998年)
Veteranz Day
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2017年07月05日

Bobbi Boyle『Bobbi Boyle Sings』

シンプルながらも美しいラウンジ・ジャズ☆Bobbi Boyle『Bobbi Boyle Sings』
シングス
発表年:1969年
ez的ジャンル:ラウンジ・ジャズ
気分は... :質素ながらも美しく・・・

今回は60年代作品からBobbi Boyle『Bobbi Boyle Sings』(1969年)です。

1931年ボストン生まれの女性ピアニスト/シンガーBobbi Boyleの紹介は、『A Day in The Life』(1967年)に続き2回目となります。

サロン・ジャズ×ソフト・ロックな逸品『A Day in The Life』(1967年)で再評価が高まったBobbi Boyleが、『A Day in The Life』の2年後にリリースしたのが本作『Bobbi Boyle Sings』(1969年)です。

サロン・ジャズ、ソフト・ロック、ボサノヴァ的な魅力があった『A Day in The Life』と比較すると、少し地味で大人しい印象のアルバムかもしれません。

しかしながら、Bobbi Boyle(vo、p、vibes)、Jimmy Stewart(g)、Chris Clark(b)、らによるシンプルな編成で聴かせるラウンジ・ジャズには、しみじみと心に響く魅力があります。

質素ながらも、工夫次第で感動的な音世界を生み出すことができることを実感できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Something」
オープニングはGeorge Harrison作のBeatles名曲をカヴァー。オリジナルは『Abbey Road』に収録されています。この美しい名曲をBobbiはしみじみと歌い上げるグッド・カヴァーです。

「No Easy Way Down」
Gerry Goffin/Carole King作。Jackie DeShannonDusty SpringfieldBarbra Streisand等もカヴァーしている曲です。アルバムでの一番のお気に入り。心打たれる感動的なバラードを披露してくれます。

「Love, Please Tell Me」
Ric Marlow/Bobbi Boyle作。唯一のオリジナル曲をボッサ仕立てで聴かせてくれます。彼女のソフトリーな魅力を堪能できます。

「You've Made Me So Very Happy」
Brenda Holloway/Berry Gordy作。Brenda Hollowayのヒット曲をカヴァー。Blood, Sweat & Tearsのカヴァー・ヒットでも知られる曲ですね。シンプルながらも、うまくメリハリをつけているのがいいですね。

「Get Together」
Youngbloodsの大ヒットで知られる曲をカヴァー。Quicksilver Messenger Serviceの活動で知られるDino Valenti(Chet Powers)の作品です。ロック・フィーリングを採り入れた躍動感のあるカヴァーでこの名曲の魅力を再認識させてくれます。

Youngbloodsヴァージョンは『The Youngbloods』に収録されています。当ブログではYoungbloods『RIde The Wind』のライブ・ヴァージョン、The Dave Pell SingersWe Fiveのカヴァーも紹介済みです。

「I'll Never Fall In Love Again」
Hal David/Burt Bacharach作。ミュージカル『Promises, Promises』のために書かれた名曲です。当ブログではBirgit LystagerGrant Greenのカヴァーを紹介済みです。派手さはありませんが、小粋なアレンジがいい感じです。

「Windmills Of Your Mind」
Alan Bergman/Marilyn Bergman/Michel Legrand作。Steve McQueen主演の映画『The Thomas Crown Affair(邦題:華麗なる賭け)』(1968年)の主題歌をカヴァー。当ブログではDorothy AshbyPaige Claireのカヴァーを紹介済みです。哀愁バラードを味わい深く歌い上げます。夏というより秋モードの曲ですね。

「Rain Sometimes」
Arthur Hamilton作。Nancy Wilsonヴァージョンで知られる楽曲ですね。ラストは美しいバラードを伸びやかに歌い、締め括ってくれます。

『A Day in The Life』(1967年)もセットでどうぞ!
『A Day in The Life』(1967年)
ア・デイ・イン・ザ・ライフ+2
posted by ez at 02:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする