2005年10月11日

Herbie Hancock『Speak Like A Child』

クロスオーバーな活動を続ける人気ジャズピアニストHerbie Hancockの多彩な作品群のなかから、メインストリーム系の名盤『Speak Like A Child』
スピーク・ライク・ア・チャイルド
発表年:1968年
ez的ジャンル:エレガント系メインストリーム・ジャズ
気分は... :秋だよねぇ...( ̄ー ̄☆

秋になるとジャスピアノが聴きたくなる。何でだろう?

僕が最も好きなジャズピアニストは以前ブログでも書いたとおりBill Evansだ。しかし、一番コレクション枚数が多いのはHerbie Hancockである。きっと、彼はメインストリーム・ジャズでの活躍に加え、クロスオーバー/フュージョンやHip-Hopなど時代を先取りする多彩な問題作を次々と発表してきた人なので、知らず知らずにアルバムを購入していた結果だと思う。

今日紹介する『Speak Like A Child』は、いわゆるメインストリーム・ジャズの名盤である。意外とメインストリーム・ジャズを聴いみたいけど、どこから聴き始めたらイイのかが分かんないって人は多いんじゃないかなぁ。その意味では、60年代のHancock作品群は、僕のようなストイックなJazzファンではない人間でも素直に感動でき、入門編としてはとても入りやすいと思う。

何たってジャケットが最高だよね。夕日をバックにキスする二人のシルエットが浮かび上がっているなんて何ともロマンチックだよねぇm(~o~)m この二人はHancock本人と当時のフィアンセ(現夫人)である。このフォトから無垢な子供、少年といったテーマがイメージされ、レコーディングが開始されたそうデス。

ジャケットのみならず、中身もHancock作品のなかで一番ロマンチックなんじゃないかなぁ!ピュアな子供の世界を、ソロパートを極力控えたアンサンブル重視のアレンジで見事に表現していると思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Speak Like A Child」
やはりボサノバ・テイストのこのタイトル曲がアルバム中一番スキだな。まさにアルバムジャケットが音になったようだよねぇ。優しく繊細なHancockのピアノと柔らかいハーモニーにウットリしてしまう(゚ー゚☆

「Riot」
美しくもミステリアスなホーン・アンサンブルが印象的な曲。スリリングな疾走感がカッチョ良いデス。

「First Trip」
無邪気な子供のようにスウィンギーなピアノトリオ曲。楽しいウキウキ感満載な感じデ〜スo(^-^ )o( ^-^)o

「Goddbye To Childhood」
リリカルなピアノがじんわり響く曲。この曲のタイトルには、長年活動してきた帝王Miles Davisのクインテットから巣立っていく、彼の決意のようなものも感じてしまうんだけど...

実はこのジャケットデザインが60年代の他のHancock作品同様に、伝説のアートディレクターReid Milesによるものだとずっと思い込んでいた。しかし、今回の投稿にあたり確認してみたら違うみたいデス(アルバムに彼の名前がクレジットされてなかった)。1つ勉強になりやシタ。ちなみにReid MilesがBlue Noteに残したジャケットの数々は、秀逸ジャケットの宝箱でどれも一見の価値アリだと思いマス。
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2005年10月10日

Midnight Star『Planetary Invasion』

B級感が何ともイイ感じの80年代ブラコン☆Midnight Starの代表作『Planetary Invasion』
Planetary Invasion
発表年:1984年
ez的ジャンル:スター系エレクトリック・ファンク
気分は... :たまに昔のB級ドラマ観るとハマるよね!

ジャケットを見てお分かりの通り、メンバー総勢9名...多いよねぇ!80年代ブラコン(ブラックコンテンポラリー)のグループって、大所帯のメンバーが勢揃いでポーズを取っているジャケットがお決まりパターンだった。低予算のSFドラマのようなB級なカンジが、逆に内容はS級なのでは?と期待させたんだよねぇ。

Midnight StarはReggieとVincentのCalloway兄弟を中心に結成されたグループであり、『No Paring On The Dance Floor』(1983年)と本作『Planetary Invasion』 (1984年)がヒットした。当時はMidnight Star、Atlantic Starr、Starpointとグループ名に“スター”がつくブラコン・グループが流行っていた。

基本的には、打ち込みによるエレクトリック・ファンクと呼ばれた音である。今聴くとチープな音なんだけど、そのチープさがイイ味出してるんだよねぇ。例えるなら、ヤキソバ・サンドやハムカツ・サンドの美味さに似ているかも?あとMidnight Starの場合はボコーダーが売りだったので、Zapp好きの僕にとってはそれだけで彼らが気に入っていた。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Curious」
Midnight Starは知らずとも、この曲はみんな知っている超クラシックのメロウ・ナンバー。多くのアーティストにサンプリングやカバーされてヤス。サンプリング・ネタとしてはEric B. & Rakim「What's On Your Mind」、Kurious「I'm Kurious」、 Warren G.「This DJ」、 カバーではLSGが有名だよね。個人的にはKofi(UKの女性レゲエ・シンガー)のカバーが一番のお気に入り。この曲とラバーズロック(Lovers Rock:レゲエのラブソング)って相性バツグン!あと僕はこの曲とMarvin Gaye「Sexual Healing」をセットで聴きたくなるんだよねぇ。

「Operator」
「Body Snatchers」
ボコーダーが唸りまくる彼ららしい打ち込みファンク2曲。特に「Operator」は、アルバムからの1stシングルとしてR&BチャートのNo1に輝いた大ヒット曲である。今聴いてもボコーダーが快感デス。「Body Snatchers」もシングルとしてスマッシュヒットしやした。

「Let's Celebrate」
80年代ブラコンらしい胸キュンスロー。「Curious」もメロウでいいけど、個人的にはこの曲のスィートネスの方がさらにスキです。こういうスローが必ず1、2曲入っているのが大所帯B級ファンクのアルバムを聴く楽しみなんだよね。

80年代中期くらいのブラコン/ファンクバンドって掘り出しものがあるんだけど、廃盤や未CD化のものが多いよねぇ。勿体無いなぁ。とりあえずS.O.S Band『On The Rise』『Just The Way You Like It』『Sands Of Time』の3枚をCD再発して欲しいデス。
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2005年10月09日

Aretha Franklin『I Never Loved a Man the Way I Love You』

“クイーン・オブ・ソウル”Aretha Franklinの出世作であり、ソウルの金字塔『I Never Loved a Man the Way I Love You』
I Never Loved a Man the Way I Love You
発表年:1967年
ez的ジャンル:時代を超えたレディ・ソウル
気分は... :一生聴き続けるであろう女王にリスペクト!

Aretha Franklinは、やっぱり“凄い”としか言いようがないシンガーである。“歌が上手い”と思う女性R&B/Soulシンガーは大勢いるけど、“歌が凄い”と思うシンガーはAretha だけ。時代を超えて聴く者の魂を揺さぶる別格の“クイーン・オブ・ソウル”☆

今日まで40年以上のキャリアを誇る女王の黄金時代は、60年代後半から70年代前半だと思う。ジャズ/ポップ歌手のような売り出し方をされていたコロンビア・レコードからアトランティック・レコードへ移籍し、“Gospel Oriented Soul”とでも呼べるスタイルを確立しながら、ソウルの女王へと一気に駆け上がっていった時期である。この時期のArethaは、聴いているだけでその凄味に背中がゾクゾクする。

そんな黄金期の1枚を選ぶとなると、アトランティック第1作『I Never Loved a Man the Way I Love You』(1967年)か第3作『Lady Soul』(1968年)のどちらかだと思う。個人的には『Lady Soul』の方がアルバム全体の出来はいいと思うが、Arethaを語る上で絶対外せないマストな名曲「Respect」を収録している意味で、今回は『I Never Loved a Man the Way I Love You』を取り上げマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Respect」
前述の通り、Arethaを代表する大ヒット曲。Rolling Stone誌「最も偉大な500曲」でも第5位に選ばれた。きっと、1960年代のアメリカにおいて、黒人の尊厳をその魂揺さぶる声で高らかに歌い上げたという意味で、社会全体に与えるインパクトも大きかったのだと思いマス。2分30秒にも満たない曲だけど、この高揚感はもっとロング・バージョンで聴きたくなるよね。Arethaの二人の妹ErmaとCarolynのコーラスも格別だね。

この曲のオリジナルはOtis Redding(伝説の男性ソウルシンガー)である。「Respect」の生みの親Otisに対して、Arethaは育ての親というカンジかな。一時期、NYハウスの女性シンガーAdevaの「Respect」(1988年)がお気に入りだったが、OtisというよりArethaのカバーという感覚で聴いていたなぁ。

「I Never Loved A Man (The Way I Love You) 」
Aretha初のミリオンセラー・シングルとなった曲。ブルージーなバックとArethaの歌の絡みがディープでイイ感じ。

「Baby, Baby, Baby」
「Do Right Woman, Do Right Man」
テクニック以上の何かを感じずにはいられないArethaの凄味をストレートに堪能できる美しいバラード2曲。特に「Baby, Baby, Baby」が絶品だと思いマス。

「Save Me」
グルーヴィーでパンチ力のあるナンバー。Nina Simmoneのカバーも有名なので、そちらで知っている人も多いのでは?

『Lady Soul』は「Chain of Fools」(個人的にはこの曲がArethaで一番スキ)、「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」、「Since You've Been Gone (Sweet Sweet Baby)」、「Ain't No Way」あたりがオススメです。
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2005年10月08日

Guru『Jazzmatazz』

泣く子も黙るHip-HopユニットGangstarrのGuruを中心としたプロジェクトJazzmatazzの第一弾アルバム『Jazzmatazz』
Jazzmatazz, Vol. 1
発表年:1993年
ez的ジャンル:Jazzのダシ汁がたっぷりしみこんだHip-Hop( ̄ー ̄☆
気分は... :おでんはやっぱりがんもどきでしょ!

多くの人にとって、Gangstarrといえばやはり天才プロデューサーDJ Premierなのかもしれない。彼がクリエイトする職人技トラックに多くのHip-Hopファンが歓喜し、彼のプロデュースというだけでCDやレコードを買い漁っていたことであろう。

そんな時期に、もう1人のGangstarrであるGuruのプロジェクトJazzmatazzがスタートした。僕自身がこのアルバムに興味を持ったのは、Guruというよりも、参加していたJazzミュージシャンの豪華さにあったかもしれない♪♪

ちょうど90年代前半のAcid Jazz、Rare Groove、Free Soulのブームにハマっていた僕にとって、Donald Byrd、Roy Ayers、Lonnie Liston Smith、Branford Marsalis、Ronny Jordanという参加ミュージシャンの名を聞いただけでヨダレが出てきた(^¬^)

簡単に言うとJazzとHip-Hopの融合なのだが、当時はHip-Hopを聴いているというよりもAcid Jazzを聴いているという感覚の方が強かったかも?

オススメ曲を紹介しときやす。

「No Time To Play」
Ronny Jordan(g)参加のシングルカット曲。Ronnyの「So What」(Miles Davisの名曲のカバー)はAcid Jazzブームを象徴する1曲だったね。RonnyのギターとGuruのアンニュイな声質ってホント相性抜群だし、そこにD.C Lee(Style Councilでの活動で知られる女性ボーカリスト)の艶やかなボーカルがイイ感じで絡んできてサイコーっす。

「Loungin'」
「Down to the Backstreets」
前者はDonald Byrd(tp)、後者はLonnie Liston Smith(p)参加曲。共にジャケットのイメージと合致するシブさがたまりません♪

「When You're Near」
「Trust Me」
N'Dea Davenport(vo)参加のキャッチーな2曲。当時「Trust Me」が大好きでCDシングルまで買ってしまったなぁ。

「Take a Look (At Yourself)」
“キング・オブ・ヴァイブス”Roy Ayers(vib)参加曲。何とも言えぬクールネスがカッチョイイ!

「Le Bien, Le Mal」
MC Solaar参加曲。彼のフレンチ・ラップがイイ味出してマス。当時、MC SolaarとかSoon E MCといったフレンチHip-Hopもジャジーで好きだったなぁ。

気に入った方は、『Jazzmatazz 2/New Reality』(1995年)もどうぞ!こちらはDonald Byrd、Ramsey Lewis、Freddie Hubbard、Bernard PurdieといったJazz系大物ミュージシャンに加えて、このブログでも取り上げたChaka Khan、Mica ParisといったR&B系アーティストも参加してヤス。
posted by ez at 01:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月07日

Marvin Gaye『I Want You』

偉大なSoulアーティストMarvin Gayeの作品の中で一番のお気に入り『I Want You 』
アイ・ウォント・ユー
発表年:1976年
ez的ジャンル:フェロモン系ソウル
気分は... :フェロモン足りないかも...( ̄∇ ̄;)うっ

Marvin Gayeの代表作は?と聞かれれば、Rolling Stone誌「偉大なアルバムベスト500」で第6位に選ばれた『What's Going On』(1971年)もしくは性の傑作『Let's Get It On』(1973年)と答えるだろう。前者には「What's Going On」、「Mercy Mercy Me」、「Inner City Blues」、後者には「Let's Get It On」、「Distant Lover」といった多くのアーティストにカバーされ続ける有名曲がズラッと並ぶ。

一方、個人的に一番好きなMarvinのアルバムは?と聞かれれば、迷わず『I Want You』を挙げる。前述の2枚の存在感が大きいので、どうしても後回しにされやすいアルバムなんだけどねぇ。僕も名盤2枚にリアルタイムで聴いた唯一のアルバムであり遺作となった『Midnight Love』(1982年)を加えた3枚しかコレクションしていない状態が長く続いた。従って、『I Want You』を聴いたのはかなり後のことなんだけど...

R&B/Soul好きならばご存知の通り、このアルバムはプロデューサーであるLeon Wareが自身の作品としてレコーディング済みであったものを、急遽Marvinが譲り受けて制作されたもの。その意味では、Marvinの官能的なボーカルとLeon Wareが創り出すメロウ・サウンドの両方を楽しむべき作品だと思いマス。

うまく表現できないけど、同じ官能系でも『Let's Get It On』のどスケベってカンジに対して、『I Want You』の方はセクシーってカンジがするよね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「I Want You」
シングルでも大ヒットしたタイトル曲。聴いているうちにだんだん高揚してくるカンジが何とも気持ちイイね。でも、ひたすらI Want Youばかり繰り返すと、僕レベルだと確実にドン引きされるけどね...〜〜〜\(#><)/
この曲も多くのアーティストにカバー、サンプリングされてマス。個人的にはTashanのカバーを10年位前によく聴いたなぁ。あと今年出たGordon Chambers『Introducing Gordon Chambers』に収録の「Touch You There」での使い方も結構スキです。

「I Wanna Be Where You Are」
Michael Jacksonのシングルとして1972年にリリースされた楽曲のカヴァー。オリジナルでは1分強でフェードアウトしてしまうため、“これから盛り上がるところなのに、もっと聴かせろ(`ε´)”と思っていた曲。ところが、2003年に出た『I Want You』デラックスエディションには、フルバージョンが収録され歓喜した人も多いはずデス。あと、Leon Ware自身のバージョンが彼のソロ『Musical Massage』(1976年)にCDボーナストラックとして収録されていヤス。

「All The Way Around」
このアルバムの隠れた名曲だと思うなぁ。なんかベタつかない艶かしさに惹かれマス。

「After The Dance」
「I Want You」と並ぶシングルカット曲。CDで聴くと、オープニングの「I Want You」からラストのこの曲まで絶え間なくスムーズに流れるので、この曲は最後の余韻を味わうカンジが心憎いねっ。ところでダンスの後に何をするんだろう(>o<*)イヤ〜ン
ちなみにDe La Soul「With Me」の元ネタです。

このアルバムと双子の兄弟とも言うべきLeon Ware『Musical Massage』 (1976年)とセットで聴くと、楽しさ倍増だと思いマス。
posted by ez at 01:00| Comment(2) | TrackBack(2) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする