2005年11月27日

Sly & The Family Stone『Stand!』

彼がいなければ今日のブラック・ミュージックは存在しなかった!Sly & The Family Stone『Stand!』
Stand
発表年:1969年
ez的ジャンル:ロック+ファンク系元祖ブラック・ミュージック
気分は... :立ち上がれ!

多分、Sly StoneことSylvester Stewartがいなければ、今日のファンク、ブラック・ミュージックは無かったであろう。よくJames Brownがファンクの革命児と言われる。JBは勿論素晴らしいし、偉大だけど、JBだけならばファンクは黒人という枠組みの中での音楽で終わっていたように思う。それをジャンルや人種なんて枠を超越して提示してみせた点こそがSly Stoneの最大の功績だと思う。

高校生の時に、初めてこのアルバム『Stand!』を聴いた瞬間、“ヤバいもの聴いちゃった!”と思ったね。当時僕が最も聴いていたブラック・ミュージックと言えば、Prince殿下だったんだけど、殿下がブレイクする10年以上前にロックとR&B、ファンクとの融合をこんなにラクラクと成し遂げたSlyは、まさに早すぎた天才だと思ったなぁ。特に、60年代にこの音楽性は信じられない!当時の僕はかなり60年代のアルバムにハマっていた時期なんだけど、同時代の他のアルバムと比較して明らかに異質なカンジがしたねぇ。

Sly & The Family Stoneの『Dance To The Music』(1968年)、『Life』(1968年)、『Stand!』(1969年)、『There's A Riot Goin' On』(1971年)、『Fresh』(1973年)の5枚はR&B/Funk好きの人にとってのマストアイテムだと思うけど、とりわけ『Stand!』は聴き逃すと人生損するぐらいのインパクトを持つ作品だと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Stand!」
ロックとR&B、ファンクとの融合が最もわかりやすく表現されたタイトル曲。ポップ/ロックテイストのR&Bサウンドといった展開から、怒涛のファンクへなだれ込む終盤への流れがカッチョ良すぎ!サウンドのみならず、キング牧師暗殺、ベトナム戦争の泥沼化など混沌とした当時のアメリカ社会へ“立ち上がれ!”と訴えるメッセージ性も考慮して聴くべき曲デス。Sounds of Blacknessによるカヴァーも感動的で大スキです。

「Don't Call Me Nigger,Whitey」
痛烈なタイトルの曲。実際には♪Don't Call Me Nigger,Whitey♪の次に♪Don't Call Me Whitey,Nigger♪とも歌われる。これまた当時のアメリカの緊張した白人と黒人の関係をうかがわせるよねぇ。

「I Want To Take You Higher」
彼らのファンクネスを最も堪能できる傑作。ボーカルのかけ合いやコーラスもサイコーっす。特に僕は♪ブン〜ラカラカラカ♪のコーラス部分がお気に入りデス。この曲に限ったことではないが、どうしてもSlyばかり注目が集まるけど、彼ら独自のファンクネスをサウンド面で支えているベースのLarry Graham(後にGraham Central Stationを結成)の存在を忘れちゃいけません。元祖チョッパーベースだもんね!

「Sing A Simple Song」
オープニングの♪イェ〜ッ、イェ〜ッ、イェ〜ッ〜♪部分でお馴染みの曲。自然とハイテンションになるファンキーなナンバー。サンプリングネタとしても超有名ですよね。ざっと挙げても、TLC「Ain't 2 Proud 2 Beg」、Aaron Hall「Don't Be Afraid」、Public Enemy「Fight The Power」、Digital Underground「Humpty Dance」、L.L. Cool J「Mama Said Knock You Out」、Erick Sermon「Stay Real」、Jodeci「You Got It」といった豪華なメンツが揃いマス。

「Everyday People」
ロックとR&Bをうまく融合させた彼ら初の全米No1ヒット曲。彼らのスゴイところは、メッセージ性の高い歌詞をポップな曲調のなかでスンナリ聴かせてしまう点だね。特に、Slyの妹Rosieのハイ・トーン・ボーカルがイイ感じデス。彼女が歌うと「NHKみんなのうた」のように和んでしまうよねぇ。あとこの曲をネタに使ったArrested Developmentの大ヒット曲「People Everyday」も大好きデス。SpeechもSlyの影響大ってカンジの人だもんね!あと女王Aretha Franklinのカバーもありヤス。

「You Can Make It If You Try」
名曲群のなかで目立たない曲だけど、外せない佳作。キホンはR&Bテイストの曲なんだけど、でも彼らの手に掛かると同時代のR&Bにはないカラフルさが増すから不思議だねぇ。Mobb Deep「Hit It From The Back」ネタ。

20年以上聴いているけど、聴くたびに驚きがある歴史的名盤だと思いマス。
posted by ez at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする