発表年:1968年
ez的ジャンル:幻のソフトロック
気分は... :虹を見たいデス
Paul WilliamsとのコンビによるCarpenters「Rainy Days and Mondays」、「We've Only Just Begun」といった作品で有名なRoger Nichols。彼がが60年代後半に組んでいたグループがRoger Nichols & The Small Circle Of Friendsデス。メンバーは、RogerにMurray Macleod、Melinda Macleod という兄妹を加えた3人。そして、彼らが残した唯一のアルバム『Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』っす。
このアルバムは1968年に発売され、その後長い間忘れ去られていたアルバムでしたが、1987年に日本国内で初めて発売されるやソフトロックの幻の名盤として、リアルタイムの彼らを知るはずもない若者にも熱狂的に支持されたアルバムですよね。
何と言っても、ピチカートファイヴの小西康陽、フリッパーズギターの小山田圭吾といった当時全盛だった“渋谷系”の人気ミュージシャンがこぞって本作を絶賛したのが大きかったですよねぇ。かく言う僕もその影響を受けた一人なのですが。小西氏に至っては国内盤の解説まで書いていマス。
そもそも“ソフトロック”って何だろうね!“フリーソウル”なんかと同じで多分に感覚的なジャンルなので、よく使っている割にはきちんと説明を求められると困りマス???僕的には60年代後半の美しいハーモニーと優しいメロディ、アレンジを特徴とした心地良いポップ・ミュージックだと思っていマス。感覚的なことを言えば、ソフトロックを聴いていると、何となく雨上がりの虹を思い浮かべマス。
本作を小西氏は“フューチャー・リスニング”と称していますが、アルバム全体の雰囲気を説明するのにピッタリな言葉だと思いマス。
全曲を紹介しときやす。
「Don't Take Your Time」
このオープニング1曲でこのアルバムのスゴさに驚くと思いマス。わずか2分30秒の中にメロディ、コーラス、アレンジ等々ポップ・ミュージックの極上エッセンスがぎっしり詰まっているようなナンバーです。ホントにミラクルの一言しか思い浮かばない曲。
「With A Little Help From My Friends」
「I'll Be Back」
Beatlesのカバー2曲。2曲共にAORファンには『Italian Graffiti』でお馴染みのNick DeCaroがアレンジを担当してヤス。オリジナルではRingoのほのぼのボーカルが印象的な「With A Little Help From My Friends」ですが、ここでは爽やかポップスに仕上がっていマス。また、オリジナルではアルバム『A Hard Day's Night』の中の比較的地味な曲であった「I'll Be Back」も、逆にこのアルバムでやっぱりいい曲だなと再認識させられまシタ。
「Don't Go Breaking My Heart」
彼らのデビューシングルとなった曲(まだグループ名はRoger Nichols Trio名義でしたが)。Burt Bacharach & Hal Davidの作品デス。まさにソフトな肌触りのロマンティックなナンバーです。
「Love So Fine」
ホント笑っちゃうくらいにピチカートファイヴな曲。この曲を聴けば小西氏がいかにこのアルバムにご執心であるか一発でわかると思いマス。ピチカートファンの僕も勿論ヤラてしまう正にフューチャー・リスニングなナンバーっす。
「I Can See Only You」
「Kinda Wasted Without You」
Small Circle Of Friendsと並ぶソフトロック・マニアを唸らせるグループParadeメンバーと共作2曲。実はMurray Macleodは、Small Circle Of Friendsの活動と並行してParadeにも在籍していた。特に、「Kinda Wasted Without You」がソフトロックらしいポップス感覚を堪能できてスキっす!
「Snow Queen」
Carole King作品のカバー。彼女が1960年代後半にDanny Kortchmarらと組んでいたグループCityのレパートリーでした。Nick DeCaroによるアレンジも控え目ながらもこ洒落ていてイイっす。
「Just Beyond Your Smile」
程よいビート感が気持ち良い軽快なナンバー。コーラスワークがステキですねぇ〜☆
「Cocoanut Grove」
「Didn't Want To Have To Do It」
「Do You Believe in Magic」で有名な60年代のフォークロック・グループLovin' Spoonfulのカバー2曲。特に、「Didn't Want To Have To Do It」の仕上がりが甘酸っぱいラブソングってカンジで絶品デス。
「Can I Go」
Simon & Garfunkelあたりをイメージさせるフォーキーなナンバー。オーケストレーションを中心とした後半のアレンジが見事デス。
ちなみに本作のプロデューサーはTommy Lipuma。僕の中では70年代AOR/フュージョン系のプロデューサーのイメージが強かったので、少し意外でシタ。