2006年02月13日

Luther Vandross『Never Too Much』

永遠のシルキーヴォイス☆Luther Vandross『Never Too Much』
Never Too Much
発表年:1981年
ez的ジャンル:シルキーヴォイス系R&B/Soul
気分は... :上村愛子チャンよく頑張った\(^∇^)/

昨晩は女子モーグルを大興奮で観ていまシタ。
上村愛子ファンの僕としては、結果はとても残念だったけど、彼女の頑張りには拍手を贈りたいっす(^o^)//
コーク720メチャ恰好良かったぜぃ!

さて、今日は昨年54歳の若さで他界したR&B/Soul界の巨星Luther Vandrossの1stアルバム『Never Too Much』(1981年)っす。2003年に脳卒中で倒れたと聞いた時から、最悪このような事態になるかもしれないと覚悟していたが、失うにはあまりにも惜しまれる才能だったと思いマス。

正直、僕は熱烈なLutherファンという訳ではない。そんな僕でも80年代のR&B/Soulシーンを牽引した男性シンガーと聞かれれば、Lutherの名が真っ先に思い浮かぶ。

僕が実際にレコードでLutherのボーカルを聴いたのは、大学生の時に後追いで買ったChange『The Glow Of Love』だった。別にLutherを意識して購入したわけではなかったけど、あとでクレジットを見たらLutherの名を見つけ、コレがあのLuther Vandrossね!と思って、初めてLutherのシルキーヴォイスに針を落とした。

リアルタイムで2nd『Foever, For Always, For Love』(1982年)あたりからLutherのことは気になったが、バラード・シンガーのイメージが強くて、長い間彼のアルバムを購入するには至らなかった。当時高校生の僕は、今とは異なりバラードばかりの極甘スウィート・アルバムは少しかったるい気がしたんだよね。そんなわけで、僕がLutherを本格的に聴くようになったのはCD時代になってからデス。

そんなLutherのアルバムの中でやっぱり一番スキなのは1st『Never Too Much』だなぁ。曲が粒揃いだし、バラードとダンサブルなナンバーがいいバランスで収録されている点もイイカンジ☆今聴いても全然飽きがこないっす!

全曲紹介しときやす。

「Never Too Much」
何と言ってもこのタイトル曲ですよね!R&BチャートNo1となった大ヒットナンバーであり、ディスコ・クラシックとしてもお馴染みですね。僕もベタですがLutherの曲のなかで一番スキっす!

Will Smith「1000 Kisses」、Queen Pen「All My Love」、Keyshia Cole「Never」等のサンプリングネタにもなってますよね。僕は昨年Keyshia Cole「Never」を随分聴きました!

「Sugar and Spice (I Found Me a Girl)」
これも陽気で盛り上がるナンバーっす。このNYらしい音っていつ聴いてもスキだなぁ。Lutherも実に気持ちよく歌っているカンジっす。ちなみにWhitney Houstonの母Cissy Houstonがバックコーラスで参加してマス。

「Don't You Know That?」
R&Bチャートでトップ10ヒットとなったアーバンなミディアム・ナンバー。Heavy D & The Boyz 「Got Me Waiting」、112(Feat. Mase)「Love Me」、Black Sheep「To Whom It May Concern」等でサンプリングされています。

「I've Been Working」
ハツラツとしたミディアム・ナンバー。摩天楼が良く似合うカンジの曲。

「She's a Super Lady」
案外、この曲が一番好きという人は多いかもしれないダンスナンバー。何といってもMarcus Millerのベースがカッチョ良いの一言に尽きます!

「You Stopped Loving Me」
ストリングスが美しいドリーミーなバラード。やっぱりこの手のシルキー・バラードを歌わせたら絶品ですな!

「House Is Not a Home」
Dionne Warwick等のバージョンで有名なBurt Bacharach作品のカバー。数多くのカヴァーが存在する曲だけど、Lutherによる感動的なボーカルはかなり秀逸だと思いマス。Hip-Hopファンにとっては、大ヒット曲Kanye West(Feat.Twista and Jamie Foxx )「Slow Jamz」の元ネタとしても有名ですよね。

昨年リリースされたLutherのトリビュート・アルバムでは、Mary J. Bligeが「Never Too Much」、Aretha Franklinが「A House Is Not A Home」を歌いLutherへリスペクトしています†(‐‐)
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2006年02月12日

Radiohead『OK Computer』

Rock離れの僕をRockに引き戻した魔法のアルバム☆Radiohead『OK Computer』
Ok Computer
発表年:1997年
ez的ジャンル:美しく儚い系オルタナ・ロック
気分は... :寒い冬の朝に...

冬になると、ふと聴きたくなるアルバムそれがRadiohead『OK Computer』っす。

Rockファンにしてみれば、このアルバムは当たり前に90年代を代表するロック・クラシック・アルバムだよね。でも、僕のようなRockに冷めていた人間にとっても、このアルバムのインパクトは凄まじいものがありまシタ。

以前にPrimal Screamの記事投稿で書いたけど、僕は1991年のPrimal Scream『Screamadelica』以降、Rock離れがかなり進行してしまい、一部のアルバムを除けば、かなりRockへの興味が薄れていた。特にUKの場合、Oasis程度の(クソ)バンドがBeatlesの再来なんて言われている状況がかなり末期症状のように思えたなぁ!(Oasisファンの方ゴメンナサイ、一応Oasisのアルバムをキチンと聴いた上での私的感想なのでご勘弁を!)

そんな閉塞感の中、Rockへの希望を感じたのが『OK Computer』だった。このアルバム以前のRadioheadは、正直殆ど聴いたことがなく、興味も無かったんだけど、ふとしたキッカケで『OK Computer』収録の「No Surprises」を聴き、その時の僕の気分に見事シンクロしてしまい、久々にRockにハマってしまった。

当時の僕は、かなり自分に無理をしていた時期で、なんか人生にやたら焦りまくっていた状況だった。そんな時に、このアルバムを支配する美しいほど儚いサウンドとThom Yorkeの淡々とした叫びを聴いていると、いい意味で人生を冷めた目で見つめ直すことが出来た気がしたなぁ。

このアルバムを聴いていると、広い雪原の中を一人ポツンと立ちながら、自分の歩む方向を強い決意で眺めている気分になるんだよねぇ。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Airbag」
このオープニング・ナンバーのヒンヤリ感でアルバム全体の雰囲気が伝わってくるよね。サウンド的には、90年代のUK音楽シーンを支配していたトリップ・ホップやエレクトロニカと自然に融合している点がスゴイっす。

「Paranoid Android」
アルバムからの1stシングルであり、Beatlesのホワイトアルバムやトリップ・ホップの代表グループPortisheadを連想させるサウンドが印象的な曲。この曲の歌詞のように“吐き気がするほど”展開力のある完成度の高いナンバーだと思いマス。

「Subterranean Homesick Alien」
幻想的なサウンドに目眩がしそうなトリップ・ナンバー。Pink Floyd『Dark Side of the Moon』あたりも思い出させるね!

「Exit Music (For A Film)」
ディカプリオ主演の映画『ロミオとジュリエット』のエンディング・ナンバーにもなった切ないアコースティック・ナンバー。

「Let Down」
僕のお気に入り曲の1つ。この美しさと儚さのバランス感がたまらないねぇ。特に後半のクールな高揚感(意味不明?)に胸が高まりマス。何故だかこの曲を聴いていると、ホット・レモンが飲みたくなるんだよねぇ〜ヘンかなぁ?

「Karma Police」
なんかやり場の無いどんづまり感が逆に心に響く曲。Thomの淡々としたボーカルがマッチしてます。

「No Surprises」
90年代Rockで僕の胸に最も響いた曲かもしれない!この曲に出会えたおかげで、当時の心の苛立ちや葛藤から解放された気分になったよね。このイントロを聴いただけで、静かなる闘志が湧いてくる!

「Lucky」
「The Tourist」
「No Surprises」の余韻が冷めぬ中、続くこの2曲の美しさにさらに陶酔しまくってしまいマス。このアルバム、特に「No Surprises」から続くこの3曲を聴いていると、人生のあらゆる事をあるがままに受け入れようという心境になってくるから不思議だ。「The Tourist」の“一丁上がり”ってカンジのチャイム音での終わり方もイイっす。

このアルバムにハマってから、遅まきながら『Pabro Honey』『The Bends』も後追いで聴き、見事にハマりました。やっぱりこの3枚がいいですな。相変わらず、CDショップのRockコーナーで新譜を試聴することは殆ど無くなった僕だけど、1年に数回くらいは宝くじ気分でチャレンジしないとね!『OK Computer』のようなアルバムに出会えることを信じて...
posted by ez at 02:30| Comment(2) | TrackBack(1) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

Zombies『Odessey And Oracle』

60年代後半のサイケ・ポップの隠れた名盤☆Zombies『Odessey And Oracle』
Odessey and Oracle
発表年:1968年
ez的ジャンル:サイケ系ブリティッシュ・ポップ
気分は... :怖くないからご安心を\(*^ ^)/

何か今晩はストレンジなポップが聴きたいモードなので、そんなモードにピッタリな60年代UKサイケ・ポップの傑作Zombies『Odessey And Oracle』を紹介します。

Zombiesを知らない人でも、昨年日産TIIDAのCMで流れていたアノ曲と言えばピンと来る人もいるのでは?アノ曲とは、Zombiesを代表する大ヒット曲「Time of the Season」っす。

Zombiesは60年代に活躍したブリティッシュのビート/ポップグループだ。わずかアルバム2枚しか残していないグループだが、Colin BlunstoneのボーカルとRod Argentのソングライティングが魅力的なクール・ポップ・サウンドは、今でも根強いファンを持っていマス。

Zombiesというグループ名から、おどろおどろしい怪奇なサウンドを想像する人がいるかもしれないけど、センス溢れるポップ・サウンドなのでご安心を!

初期のポップ感覚溢れるビート・サウンドもいいけど、僕のお気に入りは前述の「Time of the Season」を含む彼らのラスト・アルバム『Odessey And Oracle』(1968年)っす。

ラスト・アルバムと言いつつも、このアルバムが発売された時点でZombiesは既に解散していた。そんな状況のため、アメリカでの発売は見送られる予定であったが、かのAl Kooperの強力プッシュで発売にこぎつけ、結果として「Time of the Season」が大ヒットした。という数奇な運命を辿ってきたアルバムでもありマス。

Beach Boys『Pet Sounds』Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』といったロックの金字塔がお気に入りの方は、これらの名盤ほどの知名度は無いけど、両巨頭にひけを取らないポップでサイケなサウンドにビックリするはずですよ!しかも、Al Kooperのお墨付きだしねっ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Time of the Season」
前述の大ヒット・シングル。最終的には全米3位まで上がり、100万枚を超えるヒットとなった。イントロのベースと♪アーッ♪アーッ♪というコーラスを聴いただけで、Zombiesワールドに突入してしまう曲です。間奏のファンキーなオルガンもカッチョ良いですね!

「Care of Cell 44」
アルバムで一番のお気に入りのオープニング・ナンバー。ホント、美しいメロディとコーラスワークに惚れ惚れしマス。以前King Crimsonの記事投稿で紹介したメロトロンも活躍していヤス。Beach Boysファンは必聴曲だと思いますよ。

「Rose for Emily」
ピアノ伴奏のみのバックが、楽曲の素晴らしさと華麗なコーラスワークを際立たせていマス。

「Maybe After He's Gone」
これはBeatles『Rubber Soul』や『Revolver』あたりが好きな人はハマるナンバー。

「Beechwood Park」
サイケなキーボードが印象的な曲。儚く美しいサウンドが60年代後半の混沌した雰囲気を醸し出していマス。

「Brief Candles」
ピアノの弾き語りパートと、サイケポップ全開パートのギア・チェンジが魅力的な曲。

「Changes」
牧歌的でサイケでBeach Boysなナンバー??この曲もかなり気に入ってマス。

「I Want Her She Wants Me」
バロック調のポップナンバー。Beatles『Sgt〜』あたりと同じ空気をカンジます。

「Butcher's Tale (Western Front 1914)」
Al Kooperがかなり気に入っていたという曲。キーボードの伴奏のみのシニカル・ムードのポップナンバー。

このアルバム・タイトル『Odessey And Oracle』のOdesseyのスペルが間違っているって気付きました?僕は言われるまで全く気付かなかった(^^; なるほどOdysseyが正しいですよね! でも、日本人ならばいざ知らず、UKで何でこんな事が起こるんですかね!何か意図があるのかな?僕は知りません。誰か知っている人いたら教えてチョ!
posted by ez at 01:38| Comment(6) | TrackBack(1) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月10日

Van Morrison『Tupelo Honey』

ロック界の激シブオヤジ☆Van Morrison『Tupelo Honey』
Tupelo Honey (Exp)
発表年:1971年
ez的ジャンル:R25系激シブ・ロック
気分は... :ダサいがカッチョ良い!

昨日グラミー中継を観ていて、仕事で外出しようと思っていた矢先にいきなりSly Stoneが登場!Steven Tylerの紹介で登場したSly(現在63歳)はモヒカン頭にサングラス姿で、おもむろに「I Want To Take You Higher」を歌い、演奏が終わると疾風のようにステージから去っていった。一瞬の出来事に大興奮でテレビに釘付けになってしまい、危うくミーティングに遅刻しそうでしたヤレヤレ☆

さて、今日はそんなSlyにも負けないキャリアを誇るロック界の孤高のシンガーVan Morrisonの一番のお気に入り作『Tupelo Honey』っす。Slyが60年代後半から70年代前半の短期間に燃え尽きたアーティストだとすれば、Van MorrisonはThem脱退後の60年代後半にソロ活動を開始以来、現在に至るまで決してブレイクすることはない一方で、そのスタンスを変えることなくゆっくり歩み続ける稀有なアーティストだ。

以前も書いたけど、Van MorrisonはElvis Costelloと並んで、僕のCD保有枚数が最も多い男性ロックアーティストっす。中学生の頃から、ロック史研究に熱心だった僕はVan Morrisonが多くのミュージシャン仲間から絶賛されるスゴイ存在だということは知っていた。でも実際に彼のアルバムを聴いたのは、それから7〜8年後だった。

ロックにカッチョ良さを求めていた思春期に、ブサイクなオッサンのレコードを買いたいとは思わなかったし、さすがに周囲のロック小僧達も“オレVan Morrison好きだぜ!”なんて奴は皆無だったしねぇ。

でも、大学を卒業して社会人になり、だんだんVan Morrisonを聴きたい気分になってきた。カッチョ良い音楽やオシャレな音楽ばかりではなく、時にはカッチョ悪い音楽を聴きたくなったんだよね。そんな時に“今こそ、あのブサイクオヤジの音楽を聴く時だ”と思い立ち、『Astral Weeks』(1968年)、『Moondance』(1970年)、『Tupelo Honey』(1971年)のCD3枚をまとめ買いしたのが、僕のVan Morrisonコレクションの始まり。

この3枚のうち、一般的には『Astral Weeks』、『Moondance』の2枚が同点でVan Morrisonの最高傑作として紹介されることが多いと思うけど、僕的には『Tupelo Honey』の方が気に入った。なんか他の2枚よりも激シブの愛に溢れたアルバムに思えたんだよね。

実際、『Tupelo Honey』は、(このジャケ写真ではわかりづらいけど)柔らかい日差しの中で白馬に乗る恋人JanetとVan Morrisonの二人が写っているジャケットのように、二人の幸福な時間を反映した愛のアルバムだ。ただし、そこらの甘ったるいラブソング集ではなく、ビタースウィートな大人の愛のアルバムっす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Tupelo Honey」
何と言っても、このアルバムはこの曲に尽きます。僕がこのアルバムが好きなのも、この1曲が入っているのが理由っす。とにかく、シブく美しい名バラードっす。例の独特の節回しや強弱を巧みにコントロールするVanのボーカルが全身にしみわたってきます。うまい赤ダシの味噌汁のような曲っす。僕は最近まで知らなかったんだけど、TupeloはElvis Presleyの生まれ故郷の町の名前なんだって。

「Wild Night」
シングルカットもされたソウルフルなナンバー。ホーンセクションなんかも含めてアトランティックなカンジっす。でも、ソウルフルとは言っても、Vanの場合はソウルシンガーに憧れてますってカンジではなく、自分の音楽の1つの要素としてソウル/R&Bを自然に消化しているカンジがするね!

「(Straight To Your Heart) Like A Cannon Ball」
ワルツ調のダサカッチョ良いナンバー。この一見ぶっきらぼうなカンジだけど、繰り返し聴いているうちにコクが出てくるのが、この人の音楽のスゴイところだね。

「Old Old Woodstock」
タイトル通りウッドストックでの生活をテーマにした小粋なジャス・テイストの曲。ジャズと言えば、このアルバムの約半分の曲にModern Jazz QuartetのドラマーConnie Kayが参加してマス。

「You're My Woman」
Vanのボーカルを堪能できるバラード。Vanのボーカルって、胸キュンではなく、腹にズシリと感動できるのがイイっす。

「When That Evening Sun Goes Down」
Rolling Stones『Let It Bleed』あたりにも通じるカントリー・テイストなナンバー。Stonesのようにカッチョ良くなく、ダサく決めるところが逆に魅力っす。

「Moonshine Whiskey」
Vanらしいアイリッシュ・トラッドとソウルが混ざった不思議な曲。芳醇な香りとコクのあるナンバー。特に後半の盛り上がりはサイコーっす。

前述の3枚をはじめとする70年代前半までの作品に評価が集中するけど、僕は80年代後半から90年代前半あたりの作品も好きっす。特に、お気に入りは『Avalon Sunset』(1989年)デス。このアルバム収録の「Hava I Told You Lately」は、いつでも涙腺をウルウルさせてくれる僕的名曲っす。
posted by ez at 01:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

D'Angelo『Voodoo』

カリスマD'Angeloによる2000年代R&B最高傑作☆D'Angelo『Voodoo』
Voodoo
発表年:2000年
ez的ジャンル:2000年代R&Bの最高傑作
気分は... :このグルーヴにはヤラれマス!

異論も多くあるかもしれないけど、現時点で僕が選ぶ2000年代最高傑作R&BアルバムはD'Angelo『Voodoo』デス。

1995年のデビューアルバム『Brown Sugar』は新しいR&Bの方向を決定付けた傑作だと思うし、日本独自企画のライブアルバム『Live At The Jazz Cafe,London』(1996年)もCurtis Mayfield『Curtis/Live!』Donny Hathaway『Live』といった名作ライブに迫るものだったと思う。

でも、この『Voodoo』でのD'Angeloはさら1ランク上のステージに進化している気がしたねぇ。このアルバムはNYにあるElectric Ladylandスタジオで、ジャムセッションによる録音を中心に制作された。Electric Lady Landはご存知の通り、D'Angeloも大きく影響を受けた伝説のギタリストJimi Hendrixの名作3rdアルバム『Electric Ladyland』のタイトルだ。

Jimi Hendrixが当時の音楽シーンで革命児であったように、このアルバムでD'Angeloとメンバー達は、Jimiの魂がのり移ったように、既存R&Bを軽々と超えてしまったと思いマス。詳しくは知らないけど、アルバムタイトルの『Voodoo』も、Jimiの『Electric Ladyland』収録曲「Voodoo Child」からきているのでは?

メンバーもD'Angelo以外にRaphael SaadiqDJ Premier、?uestlove(The Roots)、Pino Palladino、Roy Hargrove、James Poyser、Charlie Hunter、Methodman、Redman、Q-Tipというツワモノが集結して、この名盤誕生に関わっていマス。

このアルバムの凄さは、Curtis MayfieldMarvin Gaye、Stevie Wonderといった伝説の70年代ニューソウルと、80年代のブラック・ヒーローPrinceのような孤高なカリスマ性と、90年代を象徴する黒人音楽であるHip-Hopが実に自然に融合している点だと思いマス。

ちなみに第43回グラミー賞でアルバム『Voodoo』が最優秀R&Bアルバムを、アルバムからのシングル「Untitled (How Does It Feel)」が最優秀R&Bボーカル・パフォーマンスを受賞していマス。でも、そんな説明ナシでも間違いなく傑作だとわかる作品っす!こんな音楽を作れるのはD'Angelo以外に考えられない!

全曲紹介しときやす。

「Playa Playa 」
Electric Lady Landスタジオ録音の必然を感じさせる“Voodoo”なナンバー。この1曲でD'Angeloの呪術にかかってしまったようだ。何と言っても、 ?uestloveとPino Palladinoが生み出す大きくうねるグルーヴが凄すぎっす。

「Devil's Pie」
DJ Premierとのコラボで話題になった本アルバムのハイライト曲の1つ。本アルバムに先行して1998年の映画『Belly』のサントラに収録されていた。D'AngeloとPrimoが組むと聞けば、自ずと期待が高まるが、その期待以上のドス黒いナンバーっす。

Primoの生み出す極太&硬質ベースラインのループに、D'Angeloのラップのようなボーカルが絡み、剥き出しなカンジの極上クールネスに仕上がってマッスル。聴いているうちに陶酔してきマス。

「Left & Right 」
Methodman、Redmanをフィーチャーしたシングル・カット曲。Hip-Hopとニューソウルのハイブリッドを楽々とこなしてしまうのはさすがD'Angeloだけど、前の2曲に比べるとフツーかも?地味にQ-Tipも参加してマス。

「The Line」
“やっぱり「Brown Sugar」がスキ!”という人には、あのセクシー・ファルセットが堪能できる1st路線のナンバーっす。

「Send It On」
当時の奥方Angie Stoneとの共作ナンバー。これはニュー・クラシック・ソウルらしい、しっかり70年代しているスマートな曲デス。

「Chicken Grease」
即興的なジャムセッションによる一体化したグルーヴ感が最高にカッチョ良い曲。本アルバムの大きな成果の1つだと思いマス。

「One Mo' Gin」
決して甘くないホロ苦スロー。D'Angeloらしい不思議な浮遊感が漂うサウンドが少し不気味なカンジっす。

「The Root」
Charlie Hunterのジャジーなギターが印象的な、D'Angeloらしくニューソウルを消化しているナンバー。

「Spanish Joint」
タイトルの通り、スパニッシュなグルーヴ・ナンバー。爽快なグルーヴという点でアルバム中最もオシャレな曲かもね?ここでもCharlie Hunterのギターが大活躍デス。

「Feel Like Makin' Love」
Roberta Flackの1975年の大ヒット曲のカヴァー(Eugene McDaniels作品)。以前投稿したように、この曲については、Roberta Flack、Marlena ShawGeorge Bensonの3人のメロウなバージョンが僕のお気に入りっす。D'Angeloのバージョンは、グルーヴ重視でファンキーな仕上がりになってマス。これはこれで悪くないっす。

「Greatdayndamornin'/Booty」
Angie Stoneソングライティング参加曲。これも、ライブ録音による一体化したグルーヴ感が堪能できマス。

「Untitled (How Does It Feel) 」
前述のグラミー受賞曲であり、「Devil's Pie」と並ぶ本アルバムのハイライトと言えるRaphael Saadiqとの共作による名バラード。特に、後半の盛り上がりはスバラシイ!の一言☆この曲はPrince殿下へのオマージュであり、少し変態チックなファルセット・ボイスが殿下っぽいよね!あと、鍛えられた上半身を剥き出しで歌うPVもインパクトあったよね。

「Africa」
タイトル通り、アフリカンなパーカッションが印象的な曲。僕の密かなお気に入りっす。と言うのも、僕の大好きなパーカッション奏者Ralph MacDonaldの名曲「In The Name Of Love」に似ているからっす。そう思うと、サウンドもRalph MacDonaldっぽいでしょ?

まだ、隠遁生活を送るには若すぎる!そろそろ新作出してくれないかなぁ?
posted by ez at 01:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする