発表年:2003年
ez的ジャンル:ラテン系ハモンドオルガン・ロック
気分は... :こんなWinwoodを待っていた!
天才シンガーSteve Winwoodは以前にThe Spencer Davis Group 『The Best of Spencer Davis Group』で紹介しましたよね。
今回はそんなWinwoodが今でも健在であることを示してくれた2003年の会心作『About Time』を紹介しマス。
僕がリアルタイムでWinwoodを聴いたのは、ヒット曲「While You See A Chance」を含むソロ2作目『Arc Of A Diver』(1980年)だった。『Arc Of A Diver』と続くソロ3作目『Talking Back To The Night』(1982年)の2枚は今でも聴く愛聴盤だ。当時はこのシンセ・サウンドがとっても新鮮に感じたなぁ。
逆にWinwoodがソロとしてブレイクした『Back In The High Life』(1986年)や『Roll With It』(1988年)は、当時は聴いたけど今ではあまり聴くこともなく、CD棚の奥の方でホコリをかぶっていると思いマス。あまりに作り込まれたサウンドで、別にWinwoodのアルバムじゃなくてもいいんじゃない?って気がするんだよね。
結局僕が今でも最も頻繁に聴くWinwood作品は、前述の『The Best of Spencer Davis Group』に収録された「I'm a Man」、「Gimme Some Lovin'」と、後期Trafficの地味な1枚『Shoot Out At The Fantasy Factory』(1974年)のタイトル曲「Shoot Out At The Fantasy Factory」の3曲デス。
この3曲に共通するには、RockとR&Bがスムーズに融合したパーカッシヴかつ黒いナンバーであるという点だ。また、「I'm a Man」、「Gimme Some Lovin'」はハモンド・オルガンの音色がカッチョ良い。つまり、“Winwoodのソウルフルなボーカルには、オルガン&パーカッションがよく似合う”というのが僕の結論っす。
そんなWinwood作品には、もうお目にかかれないだろうと思っていたら、お目にかかれてしまったのが『About Time』(2003年)だ。このアルバムは、Winwoodが原点回帰し、ハモンド・オルガンでベースレスなサウンドを展開してくれている。Winwoodとキューバ出身のWalfredo Reyes Jr.(ds,per)、ブラジル出身のJose Piresde Almeida Neto(g)という3人によるスタジオ・ライブ形式でのレコーディングが中心デス。
サウンド的には、Winwoodのソウルフルな持ち味と、南米系ミュージシャンのラテン・フレイヴァーが違和感なく融合し、見事にグルーヴィなアフロ・ラテン音楽となって結実している。ラテン大好きの僕にはウレシイ限りっす。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Different Light」
シングルカットもされたオープニング・ナンバー。まさにハモンド・オルガンとアフロ・ラテンがハッピーに融合しているナンバー。この1曲だけで僕は大満足っす。Winwoodのソウルフルなボーカルもリラックスしたカンジで絶好調デス。
「Cigano (For The Gypsies)」
Netoが自身のソロアルバムで発表済みのインストナンバーに歌詞を加えたもの。全体としてはチカーノ・テイストに仕上がっていマス。Netoのタイトルのようなジプシー風のギターもカッチョ良いっす。
「Take It To The Final Hour」
一瞬、Bob Marley & The Wailers「I Shot The Sheriff」と思わせるレゲエ調ナンバー。
「Why Can’t We Live Together?」
本アルバムのハイライトの1つとも言えるマイアミ・ソウルの重鎮Timmy Thomasの1972年の大ヒット曲のカヴァー。本ブログでTimmy Thomasが登場するのは、Joss Stone『The Soul Sessions』以来ですな。今回のメンバーとこの曲はまさに相性バッチシってカンジです。
「Domingo Morning」
密かにアルバムで一番カッチョ良いと思う曲。Doobie Brothersの名曲「Long Train Runnin'」をラテン・フレイヴァーにしたカンジっす。というか「Long Train Runnin'」は、The Spencer Davis Group「I'm a Man」の影響をモロに受けているし、輪廻というやつですか?
「Horizon」
哀愁のバラード。Netoのメランコリックなギターが印象的デス。
「Walking On」
「Different Light」同様に、アフロ・ラテンなグルーヴ・ナンバー。ギターがとってもアフロっす。
「Silvia (Who Is She?) 」
10分を超える大作。アルバム中一番ロックなナンバー。Trafficファンにはウレシイ曲なのでは?
このアルバムは商業的には大して成功しなかった。でも、ヒットよりも自分のやりたい音楽を選択したWinwoodを大いに支持したいと思いマス。