2006年03月11日

Cream『Disraeli Gears』

伝説のスーパートリオのサイケでカラフルなアルバム☆Cream『Disraeli Gears』
Disraeli Gears
発表年:1967年
ez的ジャンル:サイケデリック系ブルース&パワー・ロック
気分は... :とってもストレンジ(・∇・)

昨日書けなかったUEFAチャンピオンズリーグの話題を☆☆☆
今週の3月7日、8日はBEST16の2ndleg8試合が行われた。“事実上の決勝戦”と言われた「バルセロナvsチェルシー」は、年間ベストゲームになることを予想していたが、あっさりバルサが勝利してしまい、多少拍子抜けだったね。ロナウジーニョのゴールだけは相変わらず別次元だったけどね。

そして、全然期待していなかった「アーセナル対レアル・マドリー」☆意外にも年間ベストゲームの有力候補と言える好ゲームに大興奮でした。両チームとも今年は試練の年だけど、名門同士の意地のぶつかり合いが、スコアレスドローということを忘れるほど良かったね!そんな中でゲームに全然かみ合わないロナウドとベッカムの姿が印象的だったなぁ。敗退したマドリーは確実に1つの時代が終わったと感じたね。

あと、もう1試合胸に込み上げるものがあったのが「ユベントス対ブレーメン」、土壇場まで追い詰めれたユーべが、終了間際にそれまで再三好セーブを連発していたGKヴィーゼのキャッチミスでまさかの逆転勝利だった。95%勝ち抜きを手中にしていたブレーメンの監督・選手のうなだれた様子が痛々しかったなぁ。試合終了後の呆然としたヴィーゼの姿に目頭が熱くなってしまいまシタ。

準々決勝も楽しみっす。一番の注目は「アーセナル対ユベントス」かな?あと「リヨン対ミラン」も案外面白いと思いマス。リヨンは結構ダークホースじゃないかなぁ。

今週、チャンピオンズリーグ以外に楽しんだTV番組がWOWOWでやっていた『Rock The Classic』という番組だ。Rockの名盤の制作過程や裏話をミュージャンやスタッフ等へのインタビューを交えて紹介する番組だった。今回で3回目かな?前回のPink Floyd『Dark Side of the Moon』を観逃したので、今回は絶対に観ようと思っていた。

で、今回取り上げられていたアルバムがCream『Disraeli Gears』(1967年)だった。

僕は中学生の時から25年近くこのアルバムを聴いているが、実に興味深い話が多かったなぁ。それ以来アルバムを何回か聴き、惚れ直しているところっす。

Creamは、言うまでもなくEric Clapton(g)、Jack Bruce(b)、Ginger Baker(ds)という3人で結成された伝説のUKロックのスーパートリオだ。1966年結成、1968年解散という短命グループだったが、Claptonファンのみならず、今でも多くの音楽ファンを魅了するグループだよね。

『Disraeli Gears』は、デビューアルバム『Fresh Cream』に続く2ndアルバム。本作と続く3rdアルバム『Wheels of Fire』のどちらかが彼らの最高傑作として紹介されることが多いと思いマス。僕は断然『Disraeli Gears』が好きっす!

Derek & The Dominos『Layla & Other Assorted Love Songs』の投稿記事にも書いたように、僕的にはCream『Disraeli Gears』(1967年)、Derek & The Dominos『Layla & Other Assorted Love Songs』(1970年)、ソロ作品『461 Ocean Boulevard』(1974年)の3枚がClapton作品のBest3っす。

『カラフル・クリーム』という邦題が実にピッタリなサイケデリックなアルバムっす。
ジャケットからして、サイケでカラフルだもんね。でも、先の番組の中でジャケット・デザインを担当したMartin Sharpが、このデザインを“案外落ち着いてるよね!”みたいなことを言っていた(笑)さすがサイケ時代のデザイナーだと思ったね!

肝心の音楽も前作『Fresh Cream』からグッとカラフルでサイケな仕上がりになってマス。当時の言葉でいうとまさに“ニューロック”ってカンジです。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Strange Brew」
不思議な浮遊感を持つサイケ・ポップ調のオープニング・ナンバー。「Swlabr」と並ぶ僕のお気に入り曲っす。Creamの曲で一番鼻歌が多いナンバーかも?今でも風呂に入りながら無意識に♪ストレ〜ンジ♪ブリュ〜♪とファルセット・ボイスで叫んでいる時がありマス。

「Sunshine Of Your Love」
全米第5位を記録した大ヒットナンバー。「White Roon」と並ぶ彼らの代名詞のようなナンバー。イントロのリフ聴いただけで、グッとくる人も多いのでは?

このアルバムはアメリカのアトランティック・レコードで録音され、その関係でOtis ReddingやBooker T. & The MG'sといった人達もスタジオに訪れていたらしい。そんな中で、この曲をシングルカットするように強力にプッシュしたのがBooker T.だったという話が何とも興味深いよね。

「World Of Pain」
Claptinのワウワウ・ギターが印象的なナンバー。先の番組でもClaptonが本作におけるワウワウの導入について、実際に演奏しながら解説しているパートがあり、実に面白かったっす。

「Dance The Night Away」
これも実に印象深いメランコリックなナンバー。Creamって演奏ばかり注目されるけど、あのClaptonとBruceの不安げなボーカルも不思議な魅力を持っているよね。この曲なんかまさにそうだと思うなぁ。

「Tales Of Brave Ulysses」
「英雄ユリシーズ」という邦題がしっくりくる雄大なサイケ・ナンバー。この曲の作詞は前述のジャケデザインを担当したMartin Sharp。彼はCreamのことを知らず、紙ナプキンに詞を書き、それをClaptonに手渡したという。

「Swlabr」
僕がCreamで一番好きなナンバー。文句無くカッチョ良いです。中学生の時、この曲の♪Many〜fantastic colors♪という部分の歌詞がヤケに頭に残り、独り言のように何回もつぶやいていた記憶がありマス。

「We're Going Wrong」
それほど興味がある曲では無かったが、先の番組でこの曲の肝となるBakerのドラムを解説するパートがあった。そんな謎解きを聞いた後に曲を聴いたら、何かよく聴こえるから不思議だよね。

「Outside Woman Blues」
これは前作にも通じる正統派ブルース・ロック。Claptonのボーカルも青くていいですな。先の番組で当時なんでClaptonはボーカルに対して消極的だったのか?なんて話も聞けて面白かったっす。

今回、『Rock The Classic』を観て、夜中本作を興奮気味に聴いた後に「バルセロナvsチェルシー」を観たので、試合がつまらなく感じたのかも?

ちなみに次回の『Rock The Classic』(4/19放送)は、これまた僕の超お気に入りアルバムThe Who『Who's Next』\(~o~)/嬉しいじゃありませんかっ♪この日は飲みに行かないように気を付けようっと!
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2006年03月10日

Wilco『Being There』

オルタナ・カントリーが自らの壁を打ち破ったアルバム☆Wilco『Being There』♪
Being There
発表年:1996年
ez的ジャンル:オルタナ・カントリー派生ロック
気分は... :ロンリーが魅力!

僕は、どうもカントリーが苦手だ。

中学・高校生の時は毎週ビルボードの全米Top40ををチェックしていたが、Kenny RogersやOak Ridge Boys、Alabama といったカントリー歌手・グループがチャート・インしてくるのが感覚的にわからなかった。唯一、Willie Nelsonだけは納得できたかなぁ?ちなみに大物カントリー歌手の故Johnny Cashは刑事コロンボの犯人役でしか知りませんでした(笑)

その後、ロック史を研究しているうちに、Rolling Stones、Bob Dylan、The BandByrds、Eagles等多くの有名ロック・アーティストが、ルーツ・ミュージックとしてのカントリーに大きく影響を受けていることを知り、カントリーへの偏見は多少和らいだ。まぁ、モロにカントリーではなく、カントリー・ロックならば昔からフツーに聴けるんだけどねぇ。

多分、カントリーの持つ、陽気で、脳テンキ、大袈裟、ホンワカムードがダメなんだよね。逆に、こじんまりとした翳り、哀愁、愁いを持つカントリーは結構好きだったりする。きっと、感覚的にKenny RogersがダメでWillie NelsonがOKなのもそのあたりの理由かもしれない。

そんな中、90年代後半のある時期にオルタナ・カントリーから派生したロックをよく聴いていた時期がある。まだ、“オルタナ・カントリー”って呼び方自体あるのかな???

実のところ僕もオルタナ・カントリーが何だかよくわかりません。多分、主流でないからオルタナということだと思うんだけど....。少なくとも、全米Top40に入ってくるような華やかでポップな売れ筋カントリーとは違うよね!晩年のJohnny Cashの作品もオルタナ・カントリーとして紹介されていたよね。以前にある雑誌で、“Tom PettyやR.E.Mが今新人としてデビューすれば、オルタナ・カントリーって呼ばれる”って記事を読んだことがあるが、なんか微妙なニュアンスだな???

僕がオルタナ・カントリー派生ロックを聴くきっかけとなったアルバムがWilco『Being There』(1996年)だ。

Wilcoは、オルタナ・カントリーというムーブメントを生み出すきっかけとなった先駆者的グループUncle Tupeloの元メンバーJeff Tweedyが1995年に結成したグループだ。同じく元メンバーのJay Farrarは同じ1995年にSon Voltを結成している。Son Voltもイイっすよ!

Wilcoの2ndアルバム『Being There』は、オルタナ・カントリーというカテゴリーを打ち破ったアルバムらしい。確かに、僕はこのアルバムをカントリー・アルバムだと思ったことはない。ロック・アルバムだと思っていつも聴いている。

90年代後半、新譜の購入と言えば、R&B/Hip-Hop、クラブミュージック系が殆どで、ロックは最近紹介した60年代後半から70年代前半のRolling Stonesや70年代前半のBob Dylan、Grateful Dead『Workingman's Dead』(1970年)あたりの旧譜を好んで聴いていた。そのあたりの旧譜とWilcoやSon Voltの音楽が僕の中ではピタッとハマったのかもしれません!

『Being There』にはStonesを強く感じます。2枚組ということもあってStonesの同じく2枚組アルバム『Exile on Main Street』(1972年)あたりとダブらせた記事を見たことがあるが、何となくわかる気がしマス。

音楽的にはこの後1作ごとに表情を変えていくWilcoですが、僕にはこのアルバムが一番しっくりきます。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Misunderstood」
このオープニング曲に、従来のイメージを打ち破ろうとする姿勢を感じることができます。パンク経由のオルタナ・カントリーってカンジかな。どっしりへヴィーな音が腹に響きマス。

「Far, Far Away」
「What's the World Got in Store」
Jeff Tweedyのソングライティングの良さが光る深いコクのあるカントリー・ロック2曲。結構この手のタイプの曲が好きだなぁ。ロード・ムービーのバックに流れるとピッタリですな。

「Monday」
「Outtasite (Outta Mind)」
『Sticky Fingers』、『Exile on Main St.』あたりのStonesを強く感じる2曲。「Monday」はホーンセクションも印象的なファンキーなロック・ナンバー。「Outtasite (Outta Mind)」は荒削りでワイルドな仕上がりが魅力のナンバー。このあたりの曲を聴いていると、Primal Screamがスワンプ・ロックやStonesへの憧れ丸出しで作ったアルバム『Give Out But Don't Give Up』(1994年)を思い出すね。

「Forget the Flowers」
モロにカントリーな曲。一歩間違えるとNo Thank Youな曲なんだけど、寸止めくらいでセーフ。多分、ボーカルの翳りがOKにしているんだと思いマス。

「Red-Eyed and Blue」
アルバム中一番のお気に入り曲。哀愁漂う愁いのバラード。悲しいピアノの音色と虚しく響く口笛が実に寂しげでイイっす。ひたすら落ち込みたい時にはピッタリかもね!

「I Got You (At the End of the Century)」
アルバム中一番カッチョ良い曲。キャッチーな楽曲をスワンプでラフなサウンドで仕上げている点がイイっす。

「Say You Miss Me」
「Sunken Treasure」
曲自体が抜群のバラード2曲。「Say You Miss Me」はしみじみしちゃうね。「Sunken Treasure」はやるせないカンジの倦怠感が好きかなぁ。

「The Lonely 1」
タイトル通りのロンリーなナンバー。このタイトルを見て思ったけど、僕はきっとロンリーなカントリーが好きなのかもしれないねぇ。

「Dreamer in My Dreams」
Stonesの「Country Honk」(『Let It Bleed』収録)を続けて聴きたくなるナンバー。

先日1年遅れで、Jamie Foxxが2005年アカデミー最優秀主演男優賞を受賞したRay Charlesの伝記映画『Ray』を観まシタ。その中で、Ray Charlesがある日のステージをいつものR&Bとゴスペルの融合スタイルではなく、自らの希望でカントリーを演奏するシーンがあった。カントリーを歌っているRay Charlesを観ながら、ルーツ・ミュージックとしてのカントリーの大切さを再認識しまシタ。

今年のアカデミー最優秀主演男優賞も、『ティファニーで朝食を』などで知られる作家Truman Capoteを扱った映画『Capote』のPhillip Seymour Hoffmanが受賞しましたね!オスカーは伝記映画に有利なのかもねっ。

あっ、今日はUEFAチャンピオンズリーグBEST16の2ndlegの話題を書こうと思ったのに忘れてしまったo(>-<)o
明日こそ書こうっと!
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2006年03月09日

Donny Hathaway『Live』

ニューソウルの旗手による名作ライブ☆Donny Hathaway『Live』
Live
発表年:1972年
ez的ジャンル:魂の鼓動系ニューソウル
気分は... :これぞ理想のライブ・ミュージック!

昨日投稿したOthello & The Hipknoticsの記事の中で、彼らが目指すのは“理想のライブ・ミュージックの追求”みたいなことを書いたけど、後で読み返して“理想のライブ・ミュージックはコレでしょ!”と本作が真っ先に思い浮かんだ。

ご存知の通り、Donny Hathawayは、Marvin Gaye、Stevie Wonder、Curtis Mayfieldと並ぶニューソウル四天王の一人である。

ただし、他の3人の音楽と比べると、Donny Hathawayの音楽は、いい意味でも、悪い意味でも圧倒的な重さがある。きっと彼の音楽において、当時の黒人社会の苦悩、自由への思い、平和への願い、崇高な愛などを訴えるメッセージが決定的に重要だったのであろう。そして、そのメッセージを伝えるために、意識的にポップでダンサブルな要素を排した音楽作りをしてきたあたりが、この重さを生んでいるのではと思いマス。

1970年半ば頃には、ベトナム戦争も終結し、黒人の意識改革を訴えたニューソウル・ブームも終息していった。それに従い、徐々にその存在感が薄くなると同時に、自らの理想と現実社会のギャップに悩みうつ病を患ったDonnyは、1979年1月13日にNYのビルの15階から身を投げ、自らの命を絶ってしまった。

そんな彼の生涯を知ると、名作『Extension of a Man』(1973年)などのスタジオ録音盤はズシリと重く聴こえる。なので、Donnyのアルバムは、Marvin Gaye、Stevie Wonder、Curtis Mayfieldと比べると圧倒的に聴く頻度が少ない。別に、キライじゃないんだけどねぇ。

Donny Hathaway作品の中で、唯一かなりの頻度で聴くのが1972年発表のライブアルバム『Live』デス。これは1971年に行われたLAのTroubadourとNYのthe Bitter Endでのライブを収めたものデス。 Bitter Endは以前に紹介した同じくライブの名盤Curtis Mayfield『Curtis/Live!』も録音されたライブハウスです。

Phil Upchurch(g)、Cornell Dupree(g)、Mike Howard(g)、Willie Weeks(b)、Fred White(ds)、Earl DeRouen(per)といったメンバーを従えて、Donnyがライブを満喫しているカンジがイイよね。何より、Donnyとバックと聴衆が一体化したライブならではの臨場感がひしひしと伝わってくる点が最大の魅力っす。

全曲紹介しときやす。

「What's Going On」
お馴染みMarvin Gayeの名曲のカヴァー。エレピの音色の気持ち良さと、もしかしたらMarvin以上にこの曲にハマっているかもしれないDonnyのソウルフルなボーカルがたまりません。イントロの時に、観衆の女性が“What's Going On”って叫ぶのライブらしくてイイっす。

「The Ghetto」
デビュー・アルバム『Everything Is Everything』に収録されているDonnyの初ヒット曲。でも、このライブ・バージョンの方がスタジオ録音より断然好きデス。12分以上に及び白熱した演奏は、ある意味このアルバムのハイライトなのでは?

ドラムがEarth,Wind & FireのFred White(Maurice Whiteの弟)のせいか、何となくEW&Fっぽいノリがあるのがいいですな!また、パーカッションのEarl DeRouenがソロも含めて大活躍っす。

「Hey Girl」
Earl DeRouenの作品。ハイテンションでノリノリではないけど、思わず体が揺れてしまうこの落ち着きのあるグルーヴ感が何ともスキっす。

「You've Got a Friend」
Carole Kingの不朽の名曲のカヴァー。あっさり、さらっと歌い上げたオリジナルのCarole KingやJames Taylorのバージョンあたりと比較すると、こってり、まろやかでコクのある仕上がりっす。特に、会場全体の大合唱がとっても感動的デス。ここまでがLAのTroubadourでのライブ。

「Little Ghetto Boy」
これもEarl DeRouenの作品。これも先に述べた落ち着きのあるグルーヴ感が魅力の曲。ここからがNYのthe Bitter Endでのライブ。ギターがPhil UpchurchからCornell Dupreeへ交代していマス。

「We're Still Friends」
スタジオ録音にあるDonny独特のヘビーなカンジが一番反映されている曲。

「Jealous Guy」
John Lennonの名曲のカヴァー。オリジナル『Imagine』(1971年)収録。John Lennonファンとしては、オリジナルの方がはるかにスキだけど、このバージョンも悪くはないデス。

「Voices Inside (Everything Is Everything) 」
最後は13分を超える熱演のこの曲で幕を閉じる。Cornell Dupreeのギターも含めて全体的にブルージーな仕上がりっす。

まさに“理想のライブ・ミュージック”ですな!

先に、スタジオ録音盤は聴く頻度が少ないって書いたけど、名曲「Where Is The Love」収録のRoberta Flackとのデュエットアルバム『Roberta Flack & Donny Hathaway』はよく聴きマス。
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2006年03月08日

Othello & The Hipknotics『Classic』

生演奏とHip-Hopを組み合わせた理想のライブ・ミュージックの追求☆Othello & The Hipknotics『Classic』
Classic
発表年:2004年
ez的ジャンル:生音系ジャジーHip-Hop
気分は... :気持ちイイけどキレもある!

Othello & The Hipknotics『Classic』は、ポートランドを拠点に活躍する注目のHip-HopグループLightheadedのMCの一人であるOthelloが、Lief Dalan(key)、Alex Mortland(b)、Bryan Bisordi(ds)、Gregor Lothian(sax)というさまざまなジャンルで活躍する凄腕ミュージシャンが集まったHip-HopバンドThe Hipknoticsと組んだ生音Hip-Hopのプロジェクト。

A Tribe Called Quest(ATCQ)The Pharcyde好きの僕としては、Othelloのフロウを聞いていると、ATCQのQ-TipやPharcydeのImaniあたりを思い出してしまいマス。どことなく、Q-Tipをソリッドにしたような声質かな?

以前Time Machine『Slow Your Roll』の紹介の時にも書いたが、昨年末から今年初めにかけて、Lightheaded『Wrong Way』(2005年)、Othello『Elevator Music』(2005年)をかなり聴いていた。

Light Headedは、Muneshineが脱退し、現在はOthello、Braille、Omega Wattsの3MC体制となっている。彼らの2ndアルバム『Wrong Way』は、メンバーのうちOmega Watts主導で作ったアルバムなので、Othello自体の魅力を堪能したいのであれば、ソロ作品の方が楽しめるかも?

『Elevator Music』(2005年)は、僕の一番のお気に入りHip-HopアルバムATCQ『Midnight Marauders』と共通する雰囲気を持ったアルバムだと思いマス。つまり、クールで知的だけどリラックスできる芸術的Hip-Hopってカンジかなぁ。

ただし、Othello最大の魅力であるリズミカルなフロウが最も輝いているのは、生バンドを従え、よりライブ感に溢れる『Classic』の方かもしれないね。特に、このアルバムは、MC(Othello)とバンド(Hipknotics)が対等にやり合っているカンジがイイっす!

『Elevator Music』は『Classic』録音以前の音源がベースになっており、実態としては『Elevator Music』の方がOthelloの1stアルバムと呼べるのかもしれないけどね!また、『Elevator Music』と『Classic』では重複する曲も数曲あるので、そのあたりを聴き比べてみるのも面白いかも?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Opposite Side」
余裕たっぷりのHipknoticsの演奏とキレのあるOthelloのフロウを楽しめる曲。とってもJazzクラブなムード満点の仕上がりっす。

「Organic」
『Elevator Music』にも別バージョン(Original Mix)が収録されていマス。本アルバムの方はモノクロの渋めバージョン、Original Mixの方はカラフルな華やかバージョンってカンジかな?

「Right Now」
スリリングなHipknoticsの演奏とリズミカルなOthelloのフロウが見事にかみ合った1曲。アルバム中一番のお気に入りデス。

「Classic」
スウィンギーかつメロウな演奏とリラックスしたOthelloのフロウが実に気持ちイイ曲。この気持ちのイイスイング感は、本アルバムならではのもの。

「Conquered」
「Peace」
こちらも注目のHop-HopグループThe ProcussionsのMCであるMr.Jのプロデュースによる2曲。硬質なリズムと心地良い上モノのバランスがいいですな!

「Rock Rock」
『Elevator Music』にも収録されているまさにRocK!Rock!なソリッドでパンチの効いたナンバー。元Lightheadedの盟友Muneshineプロデュース曲。

「No Mic 4 Thai」
「In The Place Tonight (Rock Rock Reprise) 」
CD盤のみ収録のライブ録音2曲。このプロジェクトの狙いが“生演奏とHip-Hopを組み合わせた理想のライブ・ミュージック”の追求にあることを考えると、このボーナス・トラックにこそ、このプロジェクトの本質があるのかもしれない。「No Mic 4 Thai」は、(別バージョンで)『Elevator Music』にも収録されれいるインスト曲デス。

小さなハコでのバンドと観客の一体感やざわつきあたりは、ニューソウル・ライブの名盤Curtis Mayfield『Curtis/Live!』あたりにも通じるかもね。こんなざわついた中でもフェンダーの音色だけは鮮やかに聴こえるのが気持ちイイっす。

詳しくは知らないけど、OthelloとThe Hipknoticsによるこのプロジェクトはこの1枚限りなのかな?出来れば、第2弾も聴きたいですね。しかもライブ録音盤がいいなぁ!いずれにしても、OthelloやLightheaded関連のアルバムにはこれからも要注意ですね。
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2006年03月07日

The Rolling Stones『Beggars Banquet』

Stonesの最高傑作であると同時に、60年代後半を象徴するロック・アルバム☆The Rolling Stones『Beggars Banquet』
Beggars Banquet (Hybr)
発表年:1968年
ez的ジャンル:悪魔のスワンプ系Rock
気分は... :悪魔にささやきに...危ない!危ない!

本ブログでは、意識的に一度アルバムを紹介したアーティストの別のアルバムを再び取り上げることはしてこなかった。あまり特定の年代、ジャンル、アーティストに固執せずに、幅広くお気に入りアルバムを紹介したいというのが、このブログを立てた意図だったからだ。

一方でアルバム1枚だけで魅力を伝えるには限界があるアーティストも数多く存在する。記事投稿も170回以上となり、ある程度このブログの目指す雑多性も皆さんにご理解頂けていると思うので、そろそろ1アーティスト、1アルバムの原則には固執しないで投稿しようと思いマス。

ということで、Rolling Stonesの2回目の登場デス。以前にR&B/Hip-Hop好きの人にも入りやすいStones作品として『Black And Blue』(1976年)を取り上げた。

個人的には『Black And Blue』は大好きだが、『Black And Blue』がStonesを代表するアルバムかと問われれば???な点もあるので、しばらく経ってから別の作品にしておけば良かったかなぁ...なんて思いもあった。

本格的にStonesを堪能したければ、『Beggars Banquet』(1968年)、『Let It Bleed』(1969年)、『Sticky Fingers』(1971年)、『Exile on Main St.』(1972年)あたりのアルバムが絶頂期の作品だもんね!

実は、1アーティスト、1アルバムの原則を取り下げたのも、このあたりのStones作品を紹介したかったからデス。ということで、僕が最も好きなStones作品であり、彼らの最高傑作だと思うアルバム『Beggars Banquet』っす。

『Beggars Banquet』、『Let It Bleed』の2枚は、サイケの夢から覚め、真のStonesサウンドを確立したバンドの大きなターニング・ポイントとなった2枚だと思う。また、60年代後半の混沌とした時代の空気感も見事に反映されているアルバムだと思いマス。

黒人音楽、スワンプ・サウンドを大胆に取り入れ、怪しく、ブルージーでコクのあるサウンドに、まさしく悪魔のようなMick Jaggerのボーカルが絡みつく“Stonesらしさ”が確立されたアルバムが『Beggars Banquet』っす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Sympathy For The Devil」
60年代後半のStonesを代表するナンバー。ロバート・ケネディ暗殺の影響で歌詞が書き換えられたのは有名な話らしいっす。

ホント、Mick Jaggerのボーカルは悪魔のような妖艶さを放っていマス。サウンド的には、ゲスト参加のガーナ出身のパーカッション奏者Rocky Dijonのコンガのリズムがかなりアフロなカンジで印象的デス。こういった形でアフリカ的なパーカッションを取り入れたサウンドは当時かなり革新的ではなかったのでは?と思いマス。同じくゲストのNicky Hoppkins(p)好サポートも目立ちマス。

数年前に売れっ子Hip-HopプロデューサーチームThe Neptunesによる、「Sympathy For The Devil」のリミックスが発表されたように、時代を超越した何かを持つ曲なのかもね。

この曲のレコーディング風景は、Jean Luc Godard監督の映画『One Plus One』に収められていマス。僕もこの映画のビデオを持っているが、Rocky Dijonのコンガが目立ちすぎで、存在感が薄いCharlie Watts、ベースもBill Wymanではなく、Keith Richardが弾いているといったメンバー間のビミョーな人間関係が映像でハッキリ観ることができる。Beatlesの『Let It Be』に通じる空気だね。

さらにBrian Jonesに至っては、音がオフにされているにも関わらず、ギターを弾いている姿が何とも痛々しい。ご存知の通り、本作はBrian Jonesが参加した最後のアルバムである。Brianは、1969年6月にグループから脱退し、翌月には変死してしまった。そんなことも踏まえて、この映像および音楽を聴くと、まさに「悪魔を憐れむ歌」という邦題がピッタリのおどろおどろしさを感じマス。

ちなみに映画『One Plus One』は、「Sympathy For The Devil」のレコーディング風景と黒人活動家の映像をつなぎ合わせた前衛的な作品デス。僕には中身が全く理解できません。

「No Expectations」
なんか穏やかではない、乾いたマッタリ感が魅力のナンバー。虚しいカンジのスライドがイイっす。

「Parachute Woman」
ブルース・フィーリングたっぷりのナンバー。僕はこの曲と『Let It Bleed』収録の「Midnight Rambler」あたりと一緒に聴きたくなるなぁ。

「Jig-Saw Puzzle」
この不安感を思い切り充満させるスライドが妙に気になるナンバー。なんかヤバイ感じがしまくりで密かなお気に入り曲っす。

「Street Fighting Man」
アルバム中一番ストレートなカッチョ良さとキャッチーさを持つナンバー。大してヒットしなかったけど、シングル・カットもされまシタ。反戦デモに参加したMickの経験を歌詞にした曲デス。

「Prodigal Son」
戦前のブルースマンRobert Wilkinsの「That's No Way To Get Along」が原曲のカントリー・ブルース。

「Stray Cat Blues」
このブログでも紹介したVelvet Underground「Heroin」を意識して作ったとMick自身が白状しているナンバー。

「Factory Girl」
タブラのリズムがアクセントになっているカントリー・ブルース。Rick Grech、Dave Masonといったメンツも加勢していマス。

「Salt Of The Earth」
下層労働者へのメッセージが重く響く、ゴスペル調のコーラスを加えた壮大なナンバー。MickとKeithの二人でリード・ボーカルを分け合っていマス。

ファンの方はご存知の通り、現在のトイレの落書きジャケットは、発売当初レコード会社からクレームがつき、白地に文字が入ったシンプルなジャケットで発売されていた。LP時代はそのジャケットしか見ることが出来なかったので、CDになって、オリジナルジャケットを見ても、じばらく違和感を感じたなぁ!

あと、この時期のStonesを知るには、前述の『One Plus One』に加えて、『Rock And Roll Circus』『Gimme Shelter』といった映像作品も興味深いデス。

『Rock And Roll Circus』は、1968年にStonesが企画・制作し、長い間オクラ入りしていた幻のTVスペシャルの映像です。Stones以外にも、John Lennon、Eric Clapton、The Who等豪華ゲストが出演していマス。何よりも、Stonesの5人に、Rocky Dizidzoinu、Nicky Hoppkinsを加えた7人体制でのライブ映像を観れるのが貴重だと思いマス。

『Gimme Shelter』は、1969年のアメリカ公演の映像。有名な“オルタモントの悲劇”が収められ、幻想の時代の終焉を告げる最終宣告のような作品デス。
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