2006年03月07日

The Rolling Stones『Beggars Banquet』

Stonesの最高傑作であると同時に、60年代後半を象徴するロック・アルバム☆The Rolling Stones『Beggars Banquet』
Beggars Banquet (Hybr)
発表年:1968年
ez的ジャンル:悪魔のスワンプ系Rock
気分は... :悪魔にささやきに...危ない!危ない!

本ブログでは、意識的に一度アルバムを紹介したアーティストの別のアルバムを再び取り上げることはしてこなかった。あまり特定の年代、ジャンル、アーティストに固執せずに、幅広くお気に入りアルバムを紹介したいというのが、このブログを立てた意図だったからだ。

一方でアルバム1枚だけで魅力を伝えるには限界があるアーティストも数多く存在する。記事投稿も170回以上となり、ある程度このブログの目指す雑多性も皆さんにご理解頂けていると思うので、そろそろ1アーティスト、1アルバムの原則には固執しないで投稿しようと思いマス。

ということで、Rolling Stonesの2回目の登場デス。以前にR&B/Hip-Hop好きの人にも入りやすいStones作品として『Black And Blue』(1976年)を取り上げた。

個人的には『Black And Blue』は大好きだが、『Black And Blue』がStonesを代表するアルバムかと問われれば???な点もあるので、しばらく経ってから別の作品にしておけば良かったかなぁ...なんて思いもあった。

本格的にStonesを堪能したければ、『Beggars Banquet』(1968年)、『Let It Bleed』(1969年)、『Sticky Fingers』(1971年)、『Exile on Main St.』(1972年)あたりのアルバムが絶頂期の作品だもんね!

実は、1アーティスト、1アルバムの原則を取り下げたのも、このあたりのStones作品を紹介したかったからデス。ということで、僕が最も好きなStones作品であり、彼らの最高傑作だと思うアルバム『Beggars Banquet』っす。

『Beggars Banquet』、『Let It Bleed』の2枚は、サイケの夢から覚め、真のStonesサウンドを確立したバンドの大きなターニング・ポイントとなった2枚だと思う。また、60年代後半の混沌とした時代の空気感も見事に反映されているアルバムだと思いマス。

黒人音楽、スワンプ・サウンドを大胆に取り入れ、怪しく、ブルージーでコクのあるサウンドに、まさしく悪魔のようなMick Jaggerのボーカルが絡みつく“Stonesらしさ”が確立されたアルバムが『Beggars Banquet』っす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Sympathy For The Devil」
60年代後半のStonesを代表するナンバー。ロバート・ケネディ暗殺の影響で歌詞が書き換えられたのは有名な話らしいっす。

ホント、Mick Jaggerのボーカルは悪魔のような妖艶さを放っていマス。サウンド的には、ゲスト参加のガーナ出身のパーカッション奏者Rocky Dijonのコンガのリズムがかなりアフロなカンジで印象的デス。こういった形でアフリカ的なパーカッションを取り入れたサウンドは当時かなり革新的ではなかったのでは?と思いマス。同じくゲストのNicky Hoppkins(p)好サポートも目立ちマス。

数年前に売れっ子Hip-HopプロデューサーチームThe Neptunesによる、「Sympathy For The Devil」のリミックスが発表されたように、時代を超越した何かを持つ曲なのかもね。

この曲のレコーディング風景は、Jean Luc Godard監督の映画『One Plus One』に収められていマス。僕もこの映画のビデオを持っているが、Rocky Dijonのコンガが目立ちすぎで、存在感が薄いCharlie Watts、ベースもBill Wymanではなく、Keith Richardが弾いているといったメンバー間のビミョーな人間関係が映像でハッキリ観ることができる。Beatlesの『Let It Be』に通じる空気だね。

さらにBrian Jonesに至っては、音がオフにされているにも関わらず、ギターを弾いている姿が何とも痛々しい。ご存知の通り、本作はBrian Jonesが参加した最後のアルバムである。Brianは、1969年6月にグループから脱退し、翌月には変死してしまった。そんなことも踏まえて、この映像および音楽を聴くと、まさに「悪魔を憐れむ歌」という邦題がピッタリのおどろおどろしさを感じマス。

ちなみに映画『One Plus One』は、「Sympathy For The Devil」のレコーディング風景と黒人活動家の映像をつなぎ合わせた前衛的な作品デス。僕には中身が全く理解できません。

「No Expectations」
なんか穏やかではない、乾いたマッタリ感が魅力のナンバー。虚しいカンジのスライドがイイっす。

「Parachute Woman」
ブルース・フィーリングたっぷりのナンバー。僕はこの曲と『Let It Bleed』収録の「Midnight Rambler」あたりと一緒に聴きたくなるなぁ。

「Jig-Saw Puzzle」
この不安感を思い切り充満させるスライドが妙に気になるナンバー。なんかヤバイ感じがしまくりで密かなお気に入り曲っす。

「Street Fighting Man」
アルバム中一番ストレートなカッチョ良さとキャッチーさを持つナンバー。大してヒットしなかったけど、シングル・カットもされまシタ。反戦デモに参加したMickの経験を歌詞にした曲デス。

「Prodigal Son」
戦前のブルースマンRobert Wilkinsの「That's No Way To Get Along」が原曲のカントリー・ブルース。

「Stray Cat Blues」
このブログでも紹介したVelvet Underground「Heroin」を意識して作ったとMick自身が白状しているナンバー。

「Factory Girl」
タブラのリズムがアクセントになっているカントリー・ブルース。Rick Grech、Dave Masonといったメンツも加勢していマス。

「Salt Of The Earth」
下層労働者へのメッセージが重く響く、ゴスペル調のコーラスを加えた壮大なナンバー。MickとKeithの二人でリード・ボーカルを分け合っていマス。

ファンの方はご存知の通り、現在のトイレの落書きジャケットは、発売当初レコード会社からクレームがつき、白地に文字が入ったシンプルなジャケットで発売されていた。LP時代はそのジャケットしか見ることが出来なかったので、CDになって、オリジナルジャケットを見ても、じばらく違和感を感じたなぁ!

あと、この時期のStonesを知るには、前述の『One Plus One』に加えて、『Rock And Roll Circus』『Gimme Shelter』といった映像作品も興味深いデス。

『Rock And Roll Circus』は、1968年にStonesが企画・制作し、長い間オクラ入りしていた幻のTVスペシャルの映像です。Stones以外にも、John Lennon、Eric Clapton、The Who等豪華ゲストが出演していマス。何よりも、Stonesの5人に、Rocky Dizidzoinu、Nicky Hoppkinsを加えた7人体制でのライブ映像を観れるのが貴重だと思いマス。

『Gimme Shelter』は、1969年のアメリカ公演の映像。有名な“オルタモントの悲劇”が収められ、幻想の時代の終焉を告げる最終宣告のような作品デス。
posted by ez at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする