発表年:1996年
ez的ジャンル:オルタナ・カントリー派生ロック
気分は... :ロンリーが魅力!
僕は、どうもカントリーが苦手だ。
中学・高校生の時は毎週ビルボードの全米Top40ををチェックしていたが、Kenny RogersやOak Ridge Boys、Alabama といったカントリー歌手・グループがチャート・インしてくるのが感覚的にわからなかった。唯一、Willie Nelsonだけは納得できたかなぁ?ちなみに大物カントリー歌手の故Johnny Cashは刑事コロンボの犯人役でしか知りませんでした(笑)
その後、ロック史を研究しているうちに、Rolling Stones、Bob Dylan、The Band、Byrds、Eagles等多くの有名ロック・アーティストが、ルーツ・ミュージックとしてのカントリーに大きく影響を受けていることを知り、カントリーへの偏見は多少和らいだ。まぁ、モロにカントリーではなく、カントリー・ロックならば昔からフツーに聴けるんだけどねぇ。
多分、カントリーの持つ、陽気で、脳テンキ、大袈裟、ホンワカムードがダメなんだよね。逆に、こじんまりとした翳り、哀愁、愁いを持つカントリーは結構好きだったりする。きっと、感覚的にKenny RogersがダメでWillie NelsonがOKなのもそのあたりの理由かもしれない。
そんな中、90年代後半のある時期にオルタナ・カントリーから派生したロックをよく聴いていた時期がある。まだ、“オルタナ・カントリー”って呼び方自体あるのかな???
実のところ僕もオルタナ・カントリーが何だかよくわかりません。多分、主流でないからオルタナということだと思うんだけど....。少なくとも、全米Top40に入ってくるような華やかでポップな売れ筋カントリーとは違うよね!晩年のJohnny Cashの作品もオルタナ・カントリーとして紹介されていたよね。以前にある雑誌で、“Tom PettyやR.E.Mが今新人としてデビューすれば、オルタナ・カントリーって呼ばれる”って記事を読んだことがあるが、なんか微妙なニュアンスだな???
僕がオルタナ・カントリー派生ロックを聴くきっかけとなったアルバムがWilco『Being There』(1996年)だ。
Wilcoは、オルタナ・カントリーというムーブメントを生み出すきっかけとなった先駆者的グループUncle Tupeloの元メンバーJeff Tweedyが1995年に結成したグループだ。同じく元メンバーのJay Farrarは同じ1995年にSon Voltを結成している。Son Voltもイイっすよ!
Wilcoの2ndアルバム『Being There』は、オルタナ・カントリーというカテゴリーを打ち破ったアルバムらしい。確かに、僕はこのアルバムをカントリー・アルバムだと思ったことはない。ロック・アルバムだと思っていつも聴いている。
90年代後半、新譜の購入と言えば、R&B/Hip-Hop、クラブミュージック系が殆どで、ロックは最近紹介した60年代後半から70年代前半のRolling Stonesや70年代前半のBob Dylan、Grateful Dead『Workingman's Dead』(1970年)あたりの旧譜を好んで聴いていた。そのあたりの旧譜とWilcoやSon Voltの音楽が僕の中ではピタッとハマったのかもしれません!
『Being There』にはStonesを強く感じます。2枚組ということもあってStonesの同じく2枚組アルバム『Exile on Main Street』(1972年)あたりとダブらせた記事を見たことがあるが、何となくわかる気がしマス。
音楽的にはこの後1作ごとに表情を変えていくWilcoですが、僕にはこのアルバムが一番しっくりきます。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Misunderstood」
このオープニング曲に、従来のイメージを打ち破ろうとする姿勢を感じることができます。パンク経由のオルタナ・カントリーってカンジかな。どっしりへヴィーな音が腹に響きマス。
「Far, Far Away」
「What's the World Got in Store」
Jeff Tweedyのソングライティングの良さが光る深いコクのあるカントリー・ロック2曲。結構この手のタイプの曲が好きだなぁ。ロード・ムービーのバックに流れるとピッタリですな。
「Monday」
「Outtasite (Outta Mind)」
『Sticky Fingers』、『Exile on Main St.』あたりのStonesを強く感じる2曲。「Monday」はホーンセクションも印象的なファンキーなロック・ナンバー。「Outtasite (Outta Mind)」は荒削りでワイルドな仕上がりが魅力のナンバー。このあたりの曲を聴いていると、Primal Screamがスワンプ・ロックやStonesへの憧れ丸出しで作ったアルバム『Give Out But Don't Give Up』(1994年)を思い出すね。
「Forget the Flowers」
モロにカントリーな曲。一歩間違えるとNo Thank Youな曲なんだけど、寸止めくらいでセーフ。多分、ボーカルの翳りがOKにしているんだと思いマス。
「Red-Eyed and Blue」
アルバム中一番のお気に入り曲。哀愁漂う愁いのバラード。悲しいピアノの音色と虚しく響く口笛が実に寂しげでイイっす。ひたすら落ち込みたい時にはピッタリかもね!
「I Got You (At the End of the Century)」
アルバム中一番カッチョ良い曲。キャッチーな楽曲をスワンプでラフなサウンドで仕上げている点がイイっす。
「Say You Miss Me」
「Sunken Treasure」
曲自体が抜群のバラード2曲。「Say You Miss Me」はしみじみしちゃうね。「Sunken Treasure」はやるせないカンジの倦怠感が好きかなぁ。
「The Lonely 1」
タイトル通りのロンリーなナンバー。このタイトルを見て思ったけど、僕はきっとロンリーなカントリーが好きなのかもしれないねぇ。
「Dreamer in My Dreams」
Stonesの「Country Honk」(『Let It Bleed』収録)を続けて聴きたくなるナンバー。
先日1年遅れで、Jamie Foxxが2005年アカデミー最優秀主演男優賞を受賞したRay Charlesの伝記映画『Ray』を観まシタ。その中で、Ray Charlesがある日のステージをいつものR&Bとゴスペルの融合スタイルではなく、自らの希望でカントリーを演奏するシーンがあった。カントリーを歌っているRay Charlesを観ながら、ルーツ・ミュージックとしてのカントリーの大切さを再認識しまシタ。
今年のアカデミー最優秀主演男優賞も、『ティファニーで朝食を』などで知られる作家Truman Capoteを扱った映画『Capote』のPhillip Seymour Hoffmanが受賞しましたね!オスカーは伝記映画に有利なのかもねっ。
あっ、今日はUEFAチャンピオンズリーグBEST16の2ndlegの話題を書こうと思ったのに忘れてしまったo(>-<)o
明日こそ書こうっと!