2006年04月20日

Manfred Mann『Soul Of Mann』

ヒップなMod Jazz好き集まれ〜っ☆Manfred Mann『Soul Of Mann』
Soul of Mann
発表年:1967年
ez的ジャンル:Mod Jazzバイブル
気分は... :ヒップだぜぃd(^-^*)♪

昨日も書いた「ミラン対バルセロナ」は、見事バルサの勝利\(^ ^)/
それにしても決勝点を生んだロナウジーニョのラストパスはさすが神技でしたな。

さて、先週紹介したSmall Faces『Small Faces』が意外に(?)好評でした。結構皆さんモッズ好きなんですね(^-^)

ということで、今回はモッズ好きにはオススメのMod JazzバイブルManfred Mann『Soul Of Mann』っす。

Manfred Mannは、Manfred Mann(key)とMike Hugg(ds、vib)を中心に60年代に活躍したブリティッシュ・ビート・グループっす。

Manfred Mannは、ポップなビート・グループと、モッドでグルーヴィーなジャズ・ロックを演奏するグループという2つの側面を持っていましたよね。このうち、今日の彼らの再評価を高めているのは後者の側面の魅力によるものが大きいですよね。特に、1980年代後半から1990年代前半のAcid Jazzブームあたりで彼らへの注目がにわかに高まってきましたよね。

僕もManfred Mannの名は、中学の時のロック史研究でその名はインプットされていたけど、「5-4-3-2-1」、「Do Wah Diddy Diddy」、「Pretty Flamingo」といったヒットソングのイメージが強く、正直彼らのジャズ的なアプローチを体験したのは、社会人になってからでシタ。

そんなManfred Mannのジャズ的なアプローチを象徴するアルバムが『Soul Of Mann』(1967年)デス。実はこのアルバムは、彼らのオリジナル・アルバムではありません。インスト・ナンバー中心のこの編集アルバムは、発売当時もそれなりのチャート・アクションがあったけど、後年になってその人気はウナギのぼりっす。今日では、オリジナル・アルバム以上の人気アルバムなのでは?

ちなみに僕が持っているの再発盤はジャケがメンバーの演奏シーンになっているものデス。正直、この再発ジャケの方が今回表示しているオリジナル・ジャケよりも雰囲気があっていいっす。ちなみにその再発盤はライナーノーツがピチカートファイヴの小西康陽氏とサバービアの橋本徹氏という豪華メンバーっす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「The Abominable Snowmann」
とってもブルージーなオープニング・ナンバー。Mike Huggのヴァイヴがイイ感じっす。

「I Got You Babe」
Sonny & Cherのカヴァー。ホーンセクションがイカしたジャズ・ロック♪

「Spirit-Feel」
アップテンポのスリリングなナンバー。アクション刑事映画の追跡シーンにピッタリなカンジっす。

「L.S.D.」
アルバム唯一の歌ものっす。Paul Jonesがブルージーなボーカル&ハーモニカを披露してくれマス。

「(I Can't Get No) Satisfaction」
「My Generation」
「Still I'm Sad」
Rolling StonesThe Who、Yardbirdsのヒット曲カヴァー3連発。「(I Can't Get No) Satisfaction」は、オリジナルの雰囲気を残しつつ、オルガン唸りまくりのジャズ・ロックに仕上げたカンジっす。「My Generation」は、言われないとこの曲だと気付かないかも?でも、とってもクールな仕上がりで、Whoファンの僕もお気に入りっす。「Still I'm Sad」もスリリングでカッチョ良い仕上がりになってマス。

「Satisfaction」も「My Generation」もカヴァーを紹介する前にオリジナルを紹介しないとね(笑)

「Mr. Anello」
少しラテンのりのゴキゲンなナンバー。ここでもPaul Jonesのハーモニカがイイ味出してマス。

「Brother Jack」
トラディショナル・ソングのカヴァーっす。「かえるの歌」に似てるけど、微妙に違うのかな?思わず輪唱したくなりま〜す。

「Tengo, Tengo」
「Sack O' Woe」
Miles Davis『Milestones』の記事でも紹介したサックス奏者Cannonball Adderleyのカヴァー2曲。小気味良い演奏を聴かせてくれる2曲っす。

昨晩は大失敗が1つ。
以前に紹介したWOWOWの音楽番組『Rock The Classic』のThe Who『Who's Next』の放送が昨晩だったんだけど、仕事の打ち合わせが終わらず、見逃してしまいまシタ。ずっと楽しみにしていたのに無念じゃ〜\(#><)/
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2006年04月19日

The Flaming Lips『The Soft Bulletin』

ポップ偏執狂ファン歓喜のアルバム☆The Flaming Lips『The Soft Bulletin』
Soft Bulletin
発表年:1999年
ez的ジャンル:サイケ&偏執系ポップ
気分は... :バルサ勝ってね...

いよいよあと数時間でUEFAチャンピオンズリーグの準決勝「ミラン対バルセロナ」っす。かつてミラン黄金期を支えたオランダ・トリオの一人であるライカールトが敵将バルサの監督として、ジュゼッペ・メアッツァへ乗り込んできマス。

両チームともケガ人がいて、必ずしもベストメンバーでの対戦ではありませんが、攻め合いの点取り合戦を期待しちゃいます。特に注目はロナウジーニョ対カカというブラジル代表MF対決ですよね。バルサファンの僕は、3対2あたりのスコアでバルサが勝ってくれることを望みますが。

今日紹介するのはThe Flaming Lipsの1999年発表の『The Soft Bulletin』っす。

正直、このグループのことは全然わかってないんだけど、本作『The Soft Bulletin』『Yoshimi Battles The Pink Robots』(2002年)を持っている。何かこの2枚の不思議な魅力が忘れられず、たまに聴きたくなるんだよね。

『The Soft Bulletin』を購入してから約7年...今回初めてこのグループのことを調べてみました。1983年にオクラホマで結成されたグループで、メンバーはWayne Coyne(vo、g)、Steven Drozd(ds)、Michael Ivins(b)の3人組らしい。

Mercury Revと関係が深いバンドなんだね。Mercury RevのギタリストJonathan DonahueはかつてFlaming Lipsのメンバーだったし、同じくベーシストのDave Fridmannが本作や『Yoshimi Battles The Pink Robots』のプロデューサーとして参加していマス。僕はMercury Revの名作『Deserters Songs』(1998年)も持っているけど、全然両者のつながりを知らなかった。でも、言われてみりゃ、『Deserters Songs』と『The Soft Bulletin』って同じ肌触りを持ったアルバムだよね。

僕は基本的にTodd RundgrenXTCといったポップ偏執狂のアルバムを欲しやすい。The Flaming Lipsの他のアルバムは聴いたことがないのでわからんけど、少なくとも『The Soft Bulletin』と『Yoshimi Battles The Pink Robots』の2枚にはポップ偏執狂のニオイがプンプンした。当然の流れで、このノスタルジックで、メルヘンチックで、サイケなポップ・サウンドに僕は病みつきになっていきまシタ。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Race For The Prize」
シングルカットもされた人気曲。僕もこの曲をCDショップで試聴して、本作の購入を決めた記憶がありマス。いかにもポップ偏執狂が歓喜するミラクルな曲だよね。かつてのPhil Spectorのウォール・オブ・サウンドのように仰々しいんだけど、その一方でとてもラフなカンジがアンバランスで何ともいいですな。

「The Spark That Bled」
とってもメランコリックでサイケなナンバー。何とも儚いカンジが魅力っす。

「Slow motion」
美しいオーケストラあり、ダビーでドラッギーな音響処理もなされいるゴッタ煮ナンバー。

「The Observer」
ジャケ・デザインのイメージにぴったりのロンリネスなインスト・ナンバー。

「Waitin' For A Superman」
曲自体は案外単調なんだけど、アレンジの腕で一気に聴かせちゃうところがスゴイね。

「Suddenly Everything Has Changed」
3分54秒のなかに、実にさまざまな展開が盛り込まれた短編映画のようなナンバー。アレンジが実に見事ですな。

「The Gash」
実に壮大かつカルトなカンジのポップ・ナンバー。みんなで手拍子しながら、大合唱できちゃうカンジがいいよね。

「Feeling Yourself Disentergrate」
マッタリ感と切なさが同居するナンバー。何か静かに夕陽をじっと見つめていたい気分になるカンジの曲。ジンワリ心に染み渡ってくるねぇ。今の気分にピッタリの曲かも?

「Buggin'」
とってもメロディ、アレンジがまとまっているポップ・ソング。ちょっとヒネリが少ない気もするけど(笑)

今回初めて気付いたんだけど、このアルバムってUS盤とUK盤で内容違うんだね。僕が持っているのはUK盤でした。

ヨシミさんがピンクロボットとバトルする『Yoshimi Battles The Pink Robots』もいいですよ。こちらは、ピコピコのエレクトロニカなテイストが強いカンジっす。
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2006年04月18日

Shalamar『Friends』

永遠のダンス・クラシック「A Night To Remember」収録☆Shalamar『Friends』
Friends
発表年:1982年
ez的ジャンル:Solarダンス・クラシック系R&B/Soul
気分は... :ナァ〜イトゥ・リメンバァ〜♪(/^-^)/☆♪

80年代R&B/Soulファンには見逃せない重要レーベルの1つがSolarですね。

Sound Of Los Angeles Recordsの頭文字を取ったSolarは、アーティストのマネジメントで辣腕を振るってきたDick Griffeyと人気音楽TV番組「Soul Train」司会者Don Corneliusが1975年に設立したレーベルっす。

一時は80年代のモータウンとまで称され、Lakeside、Dynasty、Midnight Star、Whispers、Klymaxx、Deele(LA ReidやBabyfaceが在籍)といったアーティストが次々と素晴らしい作品を輩出した。

そんなSolarを代表するグループの1つが今日紹介するShalamarっす。

Shalamarは、前述の「Soul Train」のダンサーだったJody Watley、Jeffrey Danielらが結成し、1977年にデビューしたグループ。1979年にHoward Hewettが加入し、Jody、Jeffrey、Howardの最強メンバーとなりまシタ。その後1983年にJody、Jeffreyが脱退するまでがShalamarの絶頂期だと思いマス。

そんなShalamarの作品中、僕の最もお気に入りの1枚が『Friends』(1982年)っす。
この黄金期のShalamarの魅力はJody & Howardのツインボーカルと、プロデューサーLeon Sylversのクリエイトするエレガントなダンス・サウンドだと思う。

そんな彼らの集大成的な1曲が名曲「A Night To Remember」だ。このアルバムはこの永遠のダンス・クラシック1曲のためだけに買っても決して損はないと思います。でも、それ以外にもゴキゲンなダンス・ナンバーが目白押しですよ〜♪┌(・。・)┘♪

オススメ曲を紹介しときやす。

「Night to Remember」
永遠のダンスクラシック。Shalamarと言えばこの曲で決まりですよね。エレガントで瑞々しいシンセサウンドによるに、キュートなJodyとセクシーなHowardのツインリードが絡むライト感覚のダンス・ナンバー。踊って良し、聴いて良し、しかも胸キュンのメロディ...100点満点ですな。

実はあのトシちゃん(田原俊彦)もカヴァーしていました。もう落ち目の時期だったので、人気歌番組などで披露されることは少なかったですけど、深夜の歌謡スポット的な番組でよく見かけまシタ。深夜のさびしさと、哀愁のトシちゃんと、「Night to Remember」の泣きのメロディがやけにマッチして、妙な感動を覚えた記憶がありマス。

他にもKimara、Romina Johnson 、Sister Teeなどのカヴァーがありますね。また、サンプリングネタだと、Kris Kross「Tonite's tha Night」、Mase feat. Blackstreet「Get Ready」あたりが有名ですかね。また、日本モノで昨年出たJhett feat. Sowelu & BIG-O「Get Ready - Nite 2 Remember」も話題になりましたね。

「Don't Try to Change Me」
Jodyがリードボーカルを努める明るく元気なダンス・ナンバー。この後、ソロ・アーティストとして大成功を収めるJodyだけど、Shalamar時代の方が彼女のキラキラしたボーカルが輝いていたような気がするなぁ。

「Help Me」
Howardがリードボーカルのミディアムスロー。とってもロマンティックでアーバンな大人のブラコンですな。

「Friends」
ご機嫌なダンス・ナンバーに仕上がっているタイトル曲。ファンキーでメロウでライトタッチで全体のバランスが何ともいいですな。

「Playing to Win」
レーベル・メイトのMidnight Starを彷彿させるエレクトリック・ファンク。勿論ボコーダーも忘れちゃいません。

「I Just Stopped by Because I Had To」
Jody & Howardのツインボーカルによるラブバラード。実にスウィートネスたっぷりで胸キュンメロウ好きにはたまりません☆

「There It Is」
「Night to Remember」と並ぶアルバムのお気に入り曲。イントロのギター・カッティングが何ともカッチョ良いし、Howardのファルセット・ボイスもいいですな。ホント、Shalamarのダンスナンバーって、ダンサブルだけなじゃなく、メロディもしっかりしているところがスキだなぁ。今聴いていて思ったんだけど、Kool & the Gang「Get Down on It」あたりと相性が良さそうかもね?

「I Can Make You Feel Good」
この曲もアルバムの人気曲ですね。Howardのハイトーンのボーカルがとってもマッチしたメロディアスなダンス・ナンバーっす。サビの♪I Can Make You Feel Good〜♪のところは大合唱になりそうでスキだなぁ。

Shalamarの他の作品ならば、大ヒット「The Second Time Around」収録の『Big Fun』(1979年)も僕の愛聴盤っす。

Solarでは、Dynasty、Klymaxxあたりも個人的に思い入れのあるアーティストなので、機会があれば紹介しますね♪
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2006年04月17日

Miles Davis『Milestones』

名曲「Milestones」を含むモードの夜明け☆Miles Davis『Milestones』
Milestones
録音年:1958年
ez的ジャンル:モード・ジャズの夜明け
気分は... :僕のMiles初体験でシタ!

今回新たに「1950年代」をカテゴリーへ追加しました。
基本的には1950年代のお気に入りJazzを紹介するためのカテゴリーかな?

そんな新カテゴリーの一発目は帝王Miles Davisっす。
Milesの紹介は、エレクトリック・マイルス時代のアルバム『On The Corner』に続き2枚目になりますね。

この『Milestones』は、Milesが初めてモード・イディオムを取り入れた作品っす。そして、この作品の次にMilesの最高傑作の呼び声高い『Kind Of Blue』(1959年)を発表することになる。

本来、この時期のMilesの作品を紹介するのであれば、コンボによるモード・ジャズの最高峰『Kind Of Blue』か、オーケストラによるモード・ジャズの最高峰『Sketches Of Spain』(1960年)あたりを取り上げるべきかもしれないけど、僕的にはこの時期のMiles作品で最も頻繁に聴くのが本作『Milestones』である。

以前にも書いたように、僕のCDコレクション中、アーティスト別で最も保有枚数が多いのはダントツで帝王Miles Davisっす。そんな僕のMilesコレクションの最初の1枚がこの『Milestones』っす。実は、『Milestones』を購入後程なく『Kind Of Blue』も購入したんだけど、傑作『Kind Of Blue』よりも、『Milestones』の方が僕にはピタッとハマった感じだったね。

今でもそうだけど、プレイヤーではない僕はJazzをプレイヤー的視点から聴くことはない。従ってモード・ジャスが何たるかも本当のところはきちんと理解していない。だから、Miles作品もカッチョ良いか否か、心地良いか否かといった単純な視点で聴いている。その基準で考えると、僕的には『Kind Of Blue』よりも『Milestones』にカッチョ良さを感じたんだろうね。勿論、『Kind Of Blue』も大好きな作品だけどね。

『Milestones』の録音メンバーは、Miles Davis(tp)、Cannonball Adderley(as)、John Coltrane(ts)、Red Garland(p)、Paul Chambers(b)、Philly Joe Jones(ds)というSextetっす。

僕がこのアルバムに魅力を感じるのは、演奏にとてもスリリングさを感じるからだ。専門家によると、この作品の録音段階では各プレイヤーがMilesが目指すモード・ジャズを理解していたわけではなく、手探りの状態の演奏だったらしい。きっと、そうした各プレイヤーの混乱ゆえの緊張感がスリリングなものに聴こえるのかもしれないね。

全曲紹介しときやす。

「Dr. Jackle」
突っ走るスピード感が魅力のオープニング・ナンバー。いきなりMiles、Adderley、Coltraneの躍動感溢れるソロを堪能できヤ〜ス。タイトルから察しがつくようにJackie McLeanの作品デス。

「Sid's Ahead」
スピード感溢れるナンバーが多いので、この落ち着いたブルージーなナンバーで一息つけます。実は、ここでのピアノはGarlandではなくMilesっす。Garlandが遅刻してきたので、Milesが代役を務めたらしいっす。

「Two Bass Hit」
これはシビれるナンバー。アッパーなイントロが何ともカッチョ良いね。ColtraneとCannonballのソロがイイ感じっす。John Lewis & Dizzy Gillespieの作品。

「Milestones」
お馴染みのタイトル曲。この時期のMiles作品でダントツで好きな曲っす。多分、このアルバムを頻繁に聴く最も大きな理由はこの曲が収録されているからっす。

Adderley→Miles→Coltraneと続く3人のソロを順に聴いていくと、最もモーダルではないAdderleyと、Miles、Coltraneの比較で、モーダルな演奏を感じることができる気がしマス。でも、難しい事抜きで単純にカッチョ良いっす。

「Billy Boy」
これはRed Garland、Paul Chambers、Philly Joe Jonesのトリオによる演奏。このモード路線に付いていけずグループから去ることになるGarlandとJonesだけど、このピアノトリオによる演奏は実に生き生きしていマス。何かお茶目で楽しそうなカンジの演奏がたまらなく好きっす。僕的には「Milestones」の次にお気に入りの曲だったりします。

「Straight, No Chaser」
お馴染みThelonious Monkの名曲。実に気持ちよく聴ける演奏っす。特に、Milesのソロがゴキゲンですな。

今日は只今タクシーで帰宅でヘトヘト(遊びじゃなくて仕事だよ!)
もしかしたら記事も誤植だらけかも?ごめんちゃいm(_ _)m
おねむモードなのでもう寝ます(+.+)(-.-)(_ _) ..zzZZ
posted by ez at 03:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月16日

Pink Floyd『The Dark Side Of The Moon』

15年もチャートインを続けた狂気のモンスター・アルバム☆Pink Floyd『The Dark Side Of The Moon』
狂気
発表年:1973年
ez的ジャンル:内なる狂気系プログレ・ロック
気分は... :自分の中のもう一人の自分...

本ブログでプログレ・アルバムを紹介するのはKing Crimson『In The Court Of The Crimson King』に続き2回目ですね。その時の記事にも書いたけど、高校生の頃まではかなりプログレ・ロックを聴いていまシタ。

僕がプログレにハマるきっかけとなったのがPink Floyd『The Dark Side Of The Moon』(1973年)っす。今まで数多くのアーティストの数多くのアルバムを聴いてきたけど、これほど衝撃を受けたアルバムは他に存在しない。

それはBeatlesStevie Wonderを初めて聴いた時のような感動的な衝撃ではなく、聴き終わった後、その美しく、狂った音楽に寒気に襲われ、背筋がゾクゾクしてきたといった衝撃だった。初めてレコードを聴いた日は、ホント怖くなって寝れなかった記憶がありマス。

Pink Floydは、Syd Barrett、Roger Waters、Nick Mason、Rick Wrightの4人で結成され、1967年にシングル「Arnord Layne」でデビューした頃には、ロンドン・アンダーグラウンド・シーンでは名の知れた存在となっていた。そして、サイケ・ロックの名作としても名高いデビューアルバム『Piper At The Gates Of Dawn』(1967年)のヒットでその人気を着実なものとした。

しかし、その直後にバンドのフロントマンだったSyd Barrettが精神に異常をきたし、そのフォローとしてDavid Gilmourが加入し、Sydはバンドからの脱退を余儀なくされた。その後1979年発表の大ヒット・アルバム『The Wall』まで、この4人で活動することとなる。

『The Dark Side Of The Moon』はPink Floydの8thアルバム。僕がこのアルバムを購入した理由は、全米のアルバムチャートに約8年間もの間チャートインを続けるモンスターアルバムへの興味からだった(最終的には15年間もの間チャートインしていた)。

『狂気』という邦題に興味を覚えたね(5thアルバム『Atom Heart Mother』の邦題『原子心母』もインパクトあったけど)。

“Dark Side Of The Moon”を直訳すれば“月の裏側”だが、“こちらから見えない、あちら側のもう一つの世界”を意味しているのだと思う。この場合の“あちら側”とは、人間の正気を越えた狂気の世界である。そして、あちら側の世界へと足を踏み込んでしまったのが、かつてのリーダーSyd Barrett...

きっと僕がこのアルバムに覚えた衝撃は、聴いているうちに脳波に異常をきたし、あちら側の世界へ踏み込んでしまいそうな危うさを感じたからだと思う。しかも、このアルバムには一種の中毒性があり、高校のある時期に家帰ると毎日このアルバムを聴いていたら、さすがに親が心配した(笑)パンクやハードロックを大音量で聴いていても何も言われなかったが、このアルバムだけは親もヤバさをカンジたんだろうね!

皆さんも、あまりのめり込まず、ほどほどに聴いてください(笑)

全曲紹介しときヤス。

「Speak To Me/Breathe In The Air」
「Speak To Me」は、心臓の鼓動、レジシターの音、笑い声いった効果音による狂気の世界へのプロローグだ。そして、静かに、ゆったりと、「Breathe In The Air」へと続く。この美しくブルージーなナンバーを聴いていると、じんわりと狂気が自分の心を侵食していく不気味さを覚える。

「On The Run」
まさに70年代のトランスってカンジのインスト。こんな曲聴いてりゃ、親が心配するわけだよねぇ。まさにこの曲で脳波がイカれて、トリップ状態になりそうだよね。そして、エンディングの爆発音で完璧にイッちゃいそうになる。

「Time」
アルバムのハイライト曲の1つ。イントロの時計の戦慄にドキッとし、その後のスリリングだけどやたら長いイントロにじらされ、へヴィーなサウンドと歌詞に頭を悩ませ、David Gilmourの泣きまくりのギターソロに陶酔し、美しいコーラスに心が虚しくなる。まさにプログレッシブ(先進的)な音楽であることを実感できるナンバー。

「The Great Gig In The Sky」
「Time」からシームレスに続く、Clare Torryのスキャットをフューチャーしたナンバー。「虚空のスキャット」という邦題のように、「Time」からの流れで虚無感一杯の状態のところへ、あまりも美しい女声スキャットが響きわたる。初めて聴いた時に、最もヤバいと思ったのがこの曲だった。自分の心の中にも、自身も知らない狂った自分がいるように思えたねぇ。ここまでがLPで言うA面デス。

「Money」
シングルにもなったヒット曲。でも逆に、キャッチーなこの曲だけ、アルバムの中で違和感を感じる。このアルバムにフツーの曲は必要ないんじゃないかなぁ?でも、この曲があるおかげで狂気の世界から正気な世界へ戻ってこれるカンジかもね。今聴くと、結構プログレ・ジャズロックっぽいかもね。

「Us And Them」
ここからはまたあちら側の世界の入口へ。歌詞は戦争の虚しさを歌ったものですが、個人的にはとってもスピリチャルなナンバーだとカンジます。Rick WrightのピアノとDick Parryのサックスが美しすぎますね。

「Any Colour You Like」
「Us And Them」と次の「Brain Damage」のブリッジとなるインスト。つなぎの曲だけど侮れませんよ。

「Brain Damage」
アルバムの全体のテーマを提示する重要なナンバー。狂気は決して他人事ではないのかもしれない。
 ♪狂人は今僕の頭の中に...
 ♪僕の頭の中に誰かがいる、僕以外の誰かが...
 ♪お前は狂気の世界に自分を見いだすのだ。
今日のようなストレス社会においては、この歌詞が一層ズシリと重くのしかかるよね。

「Eclipse」
「狂気日食」と題されたこの歌は以下の歌詞でこの狂気のアルバムを締めくくる。
 ♪あの太陽の下、すべては調和を保っている
 ♪だが、その太陽は徐々に月に侵食されていく

Sydはあちらの世界で何を見たのだろうか?

ジャケ好きの僕としてはアート集団Hipgnosisによるジャケットもお気に入りっす。2ndアルバム『More』からPink Floydのジャケットを手掛けているが、どれもアートとして堪能できる名作ばかりっす。

本当は彼らのジャケ・デザインの凄さって、フロント、インナー、バックが一体となって、1つのアートになっているので、LPで観賞して欲しいんだけどねぇ。

正直、Pink Floydの音楽自体はRoger、Nick、Rick、Davidの4人が集まった最後のアルバム『The Wall』(1979年)で終焉を向かえたと思っている。なので、『The Final Cut』(1983年)以降の作品はまともに聴いたことがないし、聴きたいとも思わない。それでも、Hipgnosisが手掛けるジャケットだけは目を奪われるものばかりっす。

本作以外では、4th『Ummagumma』(1969年)、6th『Meddle』(1971年)、9th『Wish You Were Here』(1975年)あたりが僕のオススメっす。
posted by ez at 00:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする