発表年:1969年
ez的ジャンル:Beatles最後の輝き
気分は... :発つ鳥後を濁さず!
Beatlesのアルバムを取り上げるのは、昨日の『音楽の園』2006年1月-3月アクセス数Top10でも第7位に輝いた『Rubber Soul』に続いて2枚目になります。
個人的に好きなBeatlesのアルバムは、いわゆる中期Beatlesの『Rubber Soul』(1965年)と『Revolver』(1966年)の2枚っす。あと後期Beatlesでは『The Beatles(ホワイト・アルバム)』(1968年)が好きかなぁ。
でも、ポピュラー音楽全体に与えた影響度という点では、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)と『Abbey Road』(1969年)という後期Beatlesの2枚のアルバムが与えたインパクトは計り知れないと思いマス。多分、Beatlesの最高傑作と言えば、この2枚のどちらかというが定説でしょうね。
若いリスナーの方の中には、最近の編集アルバムでBeatlesを楽しんでいる方も多いけど、やっぱりBeatlesはオリジナルアルバムで聴いてこそ、感動できると思う。特に、この最高傑作の呼び声高い2枚のオリジナル・アルバムは、アルバム単位で聴かないと人生の大きな損失だと思いマス。
ということで、Beatlesの実質的ラストアルバム『Abbey Road』デス。“実質的”というのは、発売順で言えば『Let It Be』(1970年)が最後だけど、レコーディング時期で言えば、『Abbey Road』の方が遅いという意味っす。
ファンの方はご存知の通り、この時期のBeatlesはメンバー間の確執や、ビジネス上のさまざまな問題を抱え、グループは崩壊状態だった。そんな中、有終の美を飾るべく、John Lennon、Paul McCartney、George Harrison、Ringo Starrの4人が最後の力を結集したアルバムが『Abbey Road』デス。
レコードで言えば、A面はメンバー4人の個性を活かした楽曲が並び、B面はメンバー4人が一丸となって全体を1つのメドレーとしてまとめている。曲単位で聴けば、名曲の類はA面に集中しているが、このアルバムのハイライトはB面のメドレーであり、これこそ20世紀ポピュラー音楽の宝であると断言できマス。
全曲紹介しときやす。
「Come Together」
オープニングはJohnらしい、シンプルなロック・ナンバー。その後のJohnのソロ活動を予感させるドープなカンジが印象的なナンバーっす。僕も初めて聴いた頃は、それほど好きではなかったけど、聴き込むほどハマっていった。♪シュー♪という掛け声を随分マネした記憶がありマス。
「Something」
ただただ美しいGeorgeのBeatles在籍中の最高傑作。「Come Together」との両A面というかたちでシングルカットもされた名曲中の名曲。Georgeの作品がシングルA面になったのは最初で最後だ。ホント、最後にGeorgeの才能が開花したカンジですよね。
「Maxwell's Silver Hammer」
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』収録の「When I'm Sixty-Four」と同タイプのPaulらしいポップ・ナンバー。
「Oh! Darling」
一転して、シャウトしまくるPaulを堪能できるロックンロール・ナンバー。
「Octopus's Garden」
Ringoによるカントリー調のナンバー。昔は、何でこんな曲入れるんだろうと思ってたけど、その後当時のカントリー・ロックの動きなどを知り、納得しまシタ(笑)
「I Want You (She's So Heavy)」
Johnによるブルージーなナンバー。この曲もかなりドープだね。Beatlesには珍しい7分を超える長尺ナンバー。今聴くと、メチャメチャカッチョ良いねぁ。ここまでがA面っす。
「Here Comes the Sun」
ここからがB面。全体がメドレーになっているB面だけど、このGeorgeの作品だけは独立している。「Something」同様に、素晴らしいの一言に尽きるアコースティック・ナンバー。昔は、アルバムでこの曲が一番好きだったなぁ。Richie Havensによる名カヴァーもグッときますな!
「Because」
Yokoの弾くベートーベン「月光」をモチーフにしたJohnのこの曲が必聴メドレーの始まり。Beatlesのコーラスワークの素晴らしさを堪能できマス。
「You Never Give Me Your Money」
Paulによる組曲風のナンバー。♪You never give me your money♪と嘆く切ない前半部、ボードヴィル調の中盤、♪One sweet dream〜♪と希望を力強く説く後半部と実に見事な構成っす。さすがPaul!
「Sun King」
「Mean Mr. Mustard」
「Polythene Pam」
Johnの作品3連発。虫の鳴き声のSEに続き始まる、美しい「Sun King」。スペイン語やイタリア語が出てくるのが興味深いっす。僕はいつもこの曲を聴くと、マカロニ・ウェスタンの映像が頭に浮かんでしまいマス。「Mean Mr. Mustard」はJohnらしいシニカルな曲。「Polythene Pam」はインド・テイストの曲っす。
「She Came in Through the Bathroom Window」
「Golden Slumbers」
「Carry That Weight」
続いて、Paulによる見事な流れの3曲。「She Came in Through the Bathroom Window」は幻想的なサウンドと詞が印象的なナンバー。そして、感動的な「Golden Slumbers」と「Carry That Weight」で、アルバムは絶頂を迎え、グループとしても最後の輝きを放つことになる。
「The End」
感動のフィナーレの締めくくり。この曲の♪The love you take is equal to the love you make(君が得る愛は、君が生み出す愛と同じさ)♪という歌詞は、今も僕の胸に深く刻まれている。
「Her Majesty」
「The End」でアルバムが終わったと思っていると、しばらく間をおいて突如としてこの曲が始まる。元祖シークレット・トラックってカンジかな?
今回、数年ぶりに本作のCDを聴いた。次に聴くのは、また数年後かもしれない。でも、このアルバムの曲は僕の頭と心の中にしっかりインプットされている。だから、CDを聴かなくても、いつでも頭の中でこのアルバムを聴くことができるであろう。まぁ、Beatlesのアルバムはどれもそうなんだけどね。