2006年05月31日

Tom Tom Club『Tom Tom Club』

Talking Headsのメンバーによる遊び心満載のポップ・ダンス☆Tom Tom Club『Tom Tom Club』
Tom Tom Club
発表年:1981年
ez的ジャンル:ニューウェイヴ系ポップ・ダンス
気分は... :お茶目な魔女と戯れたい!

最近、JTのCMで使われていたM「Pop Muzik」(1979年)や、ホンダのCMで使われていたLips Inc.「Funkytown」(1980年)など80年代前後のチープなピコピコ・サウンドを聴くと、やけに気持ちがワクワクする。また、今週になってiPodでGeorge Clinton総帥のピコピコP-Funk「Atomic Dog」をよく聴いている。

以前にも書いたが、僕はたまに、美味くないラーメン屋でつまみメンマでビール、新橋の小汚い飲み屋でやきとんでビールみたいな気分になる。そんな気分とこのピコピコ・サウンドを欲する気持ちは似ているのかも?

Clinton総帥「Atomic Dog」と並び今週良く聴いているのがTom Tom Club「Genius Of Love」だ。若い音楽ファンは、この曲はHip-Hopのサンプリングネタとして聴いている方が多いかもね!

Tom Tom Clubは、NYニューウェイヴを代表するバンドDavid Byrne率いるTalking HeadsのメンバーであるTina WeymouthとChris Franzを中心としたプロジェクト。Talking Headsの記事投稿でも書いた通り、僕は当時全米Top40を中心に洋楽を聴いていたので、Talking HeadsよりもTom Tom Clubに親近感を持っていたね。

「Genius Of Love」収録のTom Tom Clubのアルバムが『Tom Tom Club』(1981年)。まず、『おしゃべり魔女』という邦題のイメージがピッタリなジャケットの印象が強かったよね。内容もジャケット同様にTalking Headsにはない楽しさ満載の実験的ダンス・ポップってカンジが好きだったなぁ。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Wordy Rappinghood」
「Genius Of Love」と並ぶアルバムからのシングルカット曲。「おしゃべり魔女」の邦題の通り、TinaのラップとTinaの妹たちのドシロウトみたいなコーラスが魔女の呪文のように聴こえるファンク・ナンバー。今聴くと、Hip-Hopとニューウェイヴとファンクの感覚が実にうまくまとめられている気がしマス。タイプライターの音で始まるイントロも印象的ですな。

「Genius Of Love」
「悪魔のラブソング」と題されたHip-Hopファンの定番ネタとして超有名なヒット曲。Mariah Carey「Fantasy」、Grandmaster Flash「It's Nasty」、Busta Rhymes feat.Erykah Badu「One」など数多くの曲でサンプリングされていマス。独特のユルユルな脱力系グルーヴが強烈なインパクトを与えてくれマス。

「Tom Tom Theme」
1分弱のアフロ・グルーヴ。このあたりはTalking Heads『Remain in Light』の世界と共通しているよね。

「L'Elephant」
Weymouth姉妹のキュートなカンジが魅力のリラックス・ムード満点のアフロ・グルーヴ。タイトルそのままの“エレファント”ギターを炸裂させるのはTalking HeadsKing Crimsonでお馴染みの個性派ギタリストAdrian Belew。以前にも書いたけど、結構僕はAdrian Belew好きだったりする。

「Lorelei」
ニューウェイヴ・ラテン・グルーヴといった趣きのナンバー。「Wordy Rappinghood」、「Genius Of Love」と並ぶ魅力的なダンス・ナンバー。

「On, On, On, On...」
Talking Heads的サウンドとWeymouth姉妹のドシロウト・コーラスのミスマッチなカンジが逆に面白い曲。

「Under The Boardwalk」
CD化に伴うボーナストラック。「渚のボードウォーク」の邦題でお馴染み、The Drifters(「Stand By Me」のBen E.Kingも在籍)の大ヒット曲のカヴァー。

でも、80年代後半の打ち込みサウンドって今聴くと多少厳しいカンジがするものが多いけど、80年代前半の打ち込みは今聴いても全然イケてる気がする。何か不思議だね!
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2006年05月30日

Art Blakey Quintet『A Night at Birdland, Vol.1』

ハードバップ誕生の瞬間の歴史的ドキュメント☆Art Blakey Quintet『A Night at Birdland, Vol.1』
A Night at Birdland, Vol.1
録音年:1954年
ez的ジャンル:ハードバップ誕生の瞬間
気分は... :レディース&ジェントルマン!

どんな世界でもそうだが、人を育てるという作業は実に大変なものだ。
褒めるor叱る?教えるor気付かせる?強制するor放任する?
育てる側はいろいろ頭を悩ませますよね!

私見だが、人を育てるのが下手な人は“なぜ、できないのか?”を相手に問い詰めがちである。逆に人を育てるのが上手い人は“どうすればできるのか”を一緒に考えてあげる(決して教えるのではない)。両者の本質的な違いわかりますか?

ジャズ界の人材育成名人と言えば、僕はArt Blakey(1919-1990年)の名が真っ先に思い浮かぶ。Blakeyが率いたThe Jazz Messengersは、新人ジャズ・ミュージシャンの登竜門、育成の場として、ジャズ界に多大な貢献をしてきたように思える。

例えば、Jazz Messengers出身のトランペッターだけを考えても、Cliford Brown、Donald ByrdLee MorganFreddie Hubbard、Chuck Mangione 、Woody Show、Wynton Marsalis、Terence Blanchardといった豪華な名前が並ぶ。

Art Blakeyという人は、優れたミュージシャンであると同時に、グループ・リーダーとして若手ミュージシャンの才能を引き出す力に秀でていた人であり、特に晩年は若手ジャズ・ミュージシャンの成長を温かく見守る学校の校長先生ってカンジでしたよね。

実はArt Blakeyに関しては、そんなに聴いているわけではなく、CDも数えるほどしか持っていない。でも、本作『A Night at Birdland, Vol.1』(1954年)と『Moanin'』(1958年)の2枚は実に印象深い。

『Moanin'』が ファンキー・ジャズ・ブームを巻き起こした人気盤であるとすれば、NYのライブハウス「バードランド」でのライブ録音『A Night at Birdland, Vol.1』はハードバップ誕生の瞬間を伝えてくれる歴史的なライブである。

僕も詳しいわけではないが、『A Night at Birdland, Vol.1』こそがハード・バップの演奏が収めれた最初のレコードらしいっす。とにかく、ライブの臨場感たっぷりにハードでホットな演奏を聴かせてくれマス。

メンバーは、Art Blakey(ds)、Cliford Brown(tp)、Lou Donaldson(as)、Horace Silver(p)、Curly Russel(b)の5人。この時点ではJazz Messengersは結成されておらず、Art Blakey Quintet名義の作品デス。

演奏がいいのは勿論のこと、司会のPee Wee MarquetteのMCがとってもイイ感じでライブの雰囲気を盛り上げてくれる。演奏ではPee Wee Marquetteが“トランペット・センセーション”と紹介しているブラウニーこと天才Cliford Brownに注目ってところでしょうか。

なおこのライブは本作の続編としてVol.2もあります。

全曲紹介しときやす。

「Spilt Kick」
Pee WeeのMCに続き、このオープニングの最初の音が鳴った瞬間が実にゾクゾクするね。実にリズミックで軽快なナンバー。
エモーショナルなDonaldsonのサックス、センセーショナルなブラウニーのトランペット、小躍りしそうなSilverのピアノ、ファンキーに炸裂するBlakeyのドラムとこの1曲だけでもワクワク気分ですな。

「Once in a While」
アルバムのハイライトとも呼べる、ブラウニーの独壇場といったロマンチックなバラード。まさに情感たっぷりに歌うトランペットにウットリっす。途中のワルツ調のSilverのピアノも実にオシャレだね!

「Quicksilver」
タイトルから察しがつくようにSilverの作品。まさにクイックなSilverのピアノを堪能できマス。Donaldsonとブラウニーも疾走感を煽ってくれます。

「A Night in Tunisia」
Dizzy Gillespieの名曲。Gillespieがこの曲を作っていた時、Blakeyはその現場に居合わせていたらしく、その関係でこの曲への思い入れが強いとBlakey自身が語り、演奏が開始されマス。その思い入れ通りBlakeyの熱いドラミングがイイ感じですな!

「Mayreh」
これもSilverの作品。「Quicksilver」同様にこの曲もスピード感が魅力っす。やっぱりブラウニーのトランペットがカッチョいいっす。

「Wee-Dot」
「Blues」
この2曲はCD化に際に追加されたボーナス・トラック2曲。「Wee-Dot」は、Vol.2のオープニング・ナンバーの別テイク。「Blues」はその名の通り、ブルージーなバラード。

本作の翌年にJazz Messengersが結成され、以後1990年にBlakeyが亡くなるまでの約35年間ジャズ界最高のリーダーシップを発揮し続けることになる。「Art Blakeyに学ぶ部下の個性の育み方」なんて本があったら読んでみたいよね!
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2006年05月29日

Curtis Mayfield『Superfly』

ニューソウルの旗手による究極のブラック・ムービー・サントラ☆Curtis Mayfield『Superfly』
Superfly (1972 Film)
発表年:1972年
ez的ジャンル:ブラック・ムービー系ニューソウル
気分は... :お見通しだぜぃ!

Curtis Mayfieldを紹介するのは『Curtis/Live!』に続き2回目っす。

『Curtis/Live!』は、究極のライブアルバムとしてを紹介しましたが、今回は究極のブラック・ムービー系サントラ『Superfly』(1972年)デス。この作品をCurtisの最高傑作として推す人も多いのでは?僕もこの作品がCurtisとの出会いでシタ。

『Superfly』は、Curtisのアルバムであると同時に同名映画のサントラでもある。映画『Superfly』は、Ron O'Neal演じる麻薬売人(プッシャーマン)プリーストをめぐるストーリーを描いたアクション・ムービーであり、Issac Hayesが音楽を手掛けた『Shaft(黒いジャガー)』と共に、当時のブラック・ムービー・ブームを代表する作品である。

映画自体はいわゆるB級アクション・ムービーだが、この黒人社会の現実を描いた映画が、Curtis Mayfieldという黒人としての自覚を常に訴えかけてきたニューソウルの旗手と結びつき、映画&音楽『Superfly』というとてつもないブラック・パワーとして結実した点に大きな意義があると思う。

サウンドの方も他のCurtis作品以上と比較して、実にパワフルでスリリングだし、何よりパーカッション大好きの僕としては、強烈なパーカッシヴ・サウンドを堪能できるのが何よりウレシイっす。

この作品からは、「Superfly」、「Freddie's Dead」という大ヒットが生まれ、アルバムも大ヒットした。何よりも、本作がR&Bチャートのみならず、ポップチャートでも大ヒットしたという点が実に興味深いデス。まさに、ブラック・パワーの台頭を象徴する作品なのではと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Little Child Runnin' Wild」
オルガンとコンガが絡む絶妙のイントロ、スリリングなストリングス、ブルージーなサックスで、これから始まる不穏なストーリーの幕開けを告げる。Ludacris「Two Miles An Hour」等の元ネタ。

「Pusherman」
映画の中でCurtis自らがクラブで歌うシーンで使われているナンバー。ヤバさのニオイがプンプンするスリリングな曲。カッチョ良さではアルバム中1、2位を争うのではないかと思いマス。ラテン・テイストのパーカッションが何ともたまりません。Ice-T「I'm Your Pusher」ネタ

「Freddie's Dead」
シングルヒットしたファンク・チューン。♪ヘイ・ヘイ♪ロード・ロード♪Curtis流ファンク全開っす。

本ブログでも紹介したFishboneはじめFrank Owens、The Black Motion Picture Experience、Superdudes等の数多くのアーティストにカヴァーされていますよね。また、Brand Nubian「Gang Bang」、Gang Starr「Gusto」、Master P「Kenny's Dead」、Smoothe Da Hustler「Hustler's Theme」等の元ネタとしても有名ですね。

「Give Me Your Love」
映画の中では官能シーンで使われている、無償の愛を求める切ないラブソング。

この曲もBarbara Mason、Sisters Love、Funk Inc.、Queen Latifah等のカヴァーが多数存在しますね。サンプリング・ネタとしてもMary J. Blige「I'm the Only Woman」Digable Planets「Nickel Bags」Pete Rock & C.L.Smooth「Shine On Me」、EPMD「Can't Hear Nothing but the Music」等大活躍ですね。

「No Thing on Me」
アルバムの中では地味な存在だけど、実は大好きな曲。とっても軽快なミディアム・グルーヴ。スリリングな曲が多い中で、この穏やかさにホッとします。実際は、ドラッグでハイな気分を歌ったあぶない歌詞なんだけね。

「Superfly」
最後は、Curtisを代表する大ヒット・タイトル・チューン。映画でもエンディングで流れていまシタ。今さら説明不要の名曲ですが、何度聴いてもスリリング&ファンキーな気分になりますな。

Beastie Boys「Egg Man」、Nelly Feat.Christina Aguilera「Tilt Ya Head Back」、The Notorious B.I.G.「Ready to Die Intro」等の元ネタ。また、Blow Monkeys、Young Holt Unlimited等がカヴァーしています。Curtis自身もIce-Tを伴って「Superfly 1990」としてリメイクしていますね。

本作でその独自のファンク・サウンドを確立したCurtisは、その後『Back To The World』(1973年)、『There's No Place Like America』(1975年)と、よりメッセージに重き、アメリカ社会の闇に鋭くメスを入れた傑作を発表していく...

Curtisは他にもお気に入り作品が多数あるので、これからも紹介していきますね。
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2006年05月28日

Youssou N'Dour『Set』

セネガルから世界の音楽シーンに衝撃を与えた、これぞワールド・ミュージック☆Youssou N'Dour『Set』
Set
発表年:1990年
ez的ジャンル:セネガル系ワールド&アース・ミュージック
気分は... :アフリカ旋風が観たい!

僕のサッカーW杯ドイツ大会の1つの観戦ポイントとして、アフリカ勢の活躍がある。アフリカ勢が活躍し、予選リーグで番狂わせを起こすと、がぜん大会が盛り上がる!

イタリア大会のカメルーン、アメリカ&フランス大会のナイジェリア、日韓大会のセネガルと毎回必ず魅力的なチームが出場し、楽しませてくれますよね。

僕的には、フランス大会の予選リーグ「スペイン対ナイジェリア」が印象深い。無敵艦隊と呼ばれた優勝候補スペインを3対2で破ったナイジェリアのカヌー、オコチャ、オリセー、フィニディ・ジョージ等のタレントのプレーは観ているだけで本当にワクワクした。この大会で僕は本気でナイジェリアが優勝候補だと思っていたので。でも、決勝トーナメント1回戦でデンマークに1対4の大敗...このあっけなさがいかにもアフリカ勢(笑)

さて、今回アフリカから出場するのは、コートジボワール、ガーナ、アンゴラ、トーゴ、チュニジアの5ヶ国。個人的にはバルセロナのエースとして、今期のチャンピオンズリーグ決勝MVP&スペインリーグ得点王に輝いた、現時点での僕が考える世界最高のストライカー、エトー(カメルーン)をW杯の舞台で観れないのが何より残念ですが、コートジボワール、ガーナあたりに期待したいですね。

コートジボワールは死のC組、ガーナはC組に次ぐ激戦区E組と共に波乱を巻き起こすには絶好のグループ。エトーと並ぶアフリカを代表するストライカーで、プレミアリーグを連覇したチェルシーのエース☆ドログバ(コートジボワール)に期待したいっす。

ということで、本ブログ初のアフリカ音楽、Youssou N'Dour『Set』(1990年)っす。

以前にも書いたが、80年代後半から90年代初めは、ワールド・ミュージックの流れで結構アフリカ音楽も聴いていた。各国で様々な音楽スタイルがあるので、“アフリカ音楽”の一言で括ってしまうのは適切ではないんだけど、今でもよく聴くアフリカ音楽の作品がKing Sunny Ade & His African Beats『Syncro System』(1983年)とYoussou N'Dour『Set』(1990年)の2枚だ。

ナイジェリア出身のKing Sunny Adeによる『Syncro System』は、僕にとって本格的なアフリカ音楽との出会いとなった衝撃作である。一方、Youssou N'Dour『Set』は、真の意味でのワールド・ミュージックというものを提示された気がしたアルバムだ。

セネガル出身のYoussou N'Dourは、ワールド・ミュージックのムーブメントと共に、世界の音楽シーンから大きくクローズアップされ、以後シーンを牽引し続ける、まさにセネガルあるいはアフリカが誇るミュージシャン。日本でもBeatlesの名曲カヴァー「Ob-La-Di Ob-La-Da」がホンダのCMで流れていたので、お聴きになった方も多いのではと思いマス。

僕が持っているYoussou作品は、『The Lion』(1989年)、『Set』(1990年)、『Eyes Open』(1992年)、『Guide (Wommat)』(1994年)、『Nothing's In Vain』(2002年)の5枚。どれもいい作品ばかりだけど、1枚となると『Set』かなぁ。

『Set』は、Youssou音楽が持つ躍動感を、ワールド・ミュージック的な観点からうまく整理したアルバムだと思う。サッカーで言えば、個人技中心だったアフリカ・サッカーがヨーロッパ的な規律、戦術をうまく吸収して、ワンランク・ステップアップしたようなイメージに近いアルバムかもしれないね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Set」
Youssouの音楽の強さを感じるオープニング・ナンバー。心地良いグルーヴというよいも、力強いグルーヴってカンジがするね。

「Alboury」
サッカーにおけるアフリカ人選手特有の間合いのような独特の雰囲気を持った曲。

「Toxiques」
このアルバムのハイライト曲の1つ。とってもワールド・ミュージックらしい壮大なスケール感を持ったナンバー。歌詞の内容をよく知らないけど、とっても緊張感のあるサウンド自体が強烈な警鐘のように聴こえる。

「Sinebar」
僕の一番のお気に入り曲。このアルバムをよく聴くのも、この曲が聴きたいからだ。安易にグルーヴという言葉では表現できない、この躍動感は何なんだろうね。まさに大地の音楽、生命の音楽って気がします。

「Medina」
「Sinebar」の躍動感をクールダウンするような、癒し系ナンバー。このシンプルさが逆にYoussouの個性を浮き彫りにしてくれマス。

「Miyoko」
日本人にとっては興味深い曲。タイトルの通り、日本人アキヤマミヨコ(多分、秋山美代子)さんのことを歌ったナンバー。そんな事を全く知らず、いきなりスピーカーから♪ミヨ〜コ♪ミヨ〜コ♪ミヨ〜コ♪アキヤマ♪って聴こえてきた時には驚いたね!

「Fakastalu」
この曲も大地の息吹を感じる、ワールド・ミュージックという表現より、アース・ミュージックという表現が似合うナンバー。

「One Day」
「Set」に通じる力強いグルーヴ。「Set」やこの曲を聴いていると、この当時の音楽シーンのトップランナーは英米のミュージシャンではなく、Youssouであったことを認識できると思いマス。

本作とKing Sunny Ade & His African Beats『Syncro System』、Salif Keita『Solo』(1987年)の3枚は、先入観を持たず聴くと、新たな音楽観を提示してくれるアルバムだと思いマス。
posted by ez at 10:24| Comment(0) | TrackBack(1) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月27日

Bob Dylan『Highway 61 Revisited』

フォークの神様が偉大なロック・ミュージシャンになったアルバム☆Bob Dylan『Highway 61 Revisited』
Highway 61 Revisited
発表年:1965年
ez的ジャンル:フォーク・ロック確立の1枚
気分は... :名声なんて捨てちまえ!

Bob Dylanと言えば、Elvis Presley、Beatlesと並び、ロックシーンに大きな影響を与えた人ですよね。

洋楽聴き始めの頃はどうもBob Dylanが苦手だった。

当時の僕にとっては、キャッチーなメロディ、美しいハーモニー、躍動するビートというのが“大好きな洋楽の3要素”だった。そんな僕が最初に聴いたDylanが、友人から借りた初期ベスト盤『Greatest Hits 1』だった。コレが悪かったよね。

初期フォーク時代中心の選曲は、前述の3要素とはほど遠いものが多く、“何でこんな音楽に熱中するんだろう”と首をかしげてしまった記憶がある。

特に、Byrdsバージョンを先に聴いて、とても気に入っていた名曲「Mr. Tambourine Man」のアコースティック・ギター一本で演奏される実に素っ気ないオリジナルには、かなりショックを受けたなぁ。

そんな中で救われたのが「Like a Rolling Stone」だった。この曲だけは、とってもロックしている気がした。イントロのAl Kooperのオルガンの音色を聴いて、ホッとしたよね。

ちなみに2004年にRolling Stone誌が選んだ「偉大なベスト500曲」で第1位に輝いたのがこの「Like a Rolling Stone」だった。

参考までに第2位はRolling Stones「(I Can't Get No) Satisfaction」、第3位はJohn Lennon「Imagine」、第4位はMarvin Gaye「What's Going On」、第5位はAretha Franklin「Respect」でシタ。

話を戻すと、「Like a Rolling Stone」を突破口にBob Dylanの魅力を知ろうと思い、購入したのが「Like a Rolling Stone」収録の『Highway 61 Revisited』(1965年)っす。この作品を聴いてDylanが偉大なロック・ミュージシャンだと認識できまシタ。

前作『Bringing It All Back Home』(1965年)でエレクトリック・ギターを初めて導入し、フォーク・ロックの幕開けを示したDylanが、さらにMike Bloomfield(g)、Al Kooper(key)といったメンバーをバックにロック色を強め、フォーク・ロックのスタイルを確立したアルバムが『Highway 61 Revisited』(1965年)だった。

ファンの方はご存知の通り、第5回ニューポート・フォーク・フェスティバルでPaul Betterfield's Bluse Bandを従え、「Like a Rolling Stone」を演奏したDylanは、コアなフォーク・ファンから大ブーイングを浴び、わずか3曲でステージを降りてしまった。

政治的なプロテスト・ソングを歌うフォークの神様を期待していたインテリなフォーク・ファンから見ると、低俗なガキ向け音楽であるロックを演奏する神様Dylanの姿勢は裏切り行為以外の何物でもなかったのであろう。

僕的には、それまでの名声をあっさり捨てて、自分の信じる道へと突き進んだDylanの姿こそロックな感じでカッチョ良いと思ったけどね。

Dylanが苦手だった僕も、今では15枚前後のDylan作品がCD棚に並んでいる。良く聴くのは70年代の作品なんだけど、何か1枚セレクトと言われれば、やっぱり一番思い出深い『Highway 61 Revisited』だね!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Like a Rolling Stone」
偉大なベスト500第1位が納得できる名曲。勿論全米チャートも第1位。
この曲のカッチョ良さの要因の1つであるハモンド・オルガンのプレイが、Al Kooperにとっての人生初オルガン演奏だったというエピソードも有名ですよね。この曲がなければ、オルガン・プレイヤーAl Kooperは誕生しなかったのかもね!

♪どんな気がする♪ひとりぼっちで♪帰り道のないことは♪全然知られぬ♪転がる石のようなことは♪と歌うこのメッセージは、今の不透明な時代に自分の人生を見つめ直すのにいい歌かもしれない。

よく考えると、この曲って6分以上もある。1965年当時、2〜3分のシングル曲が常識の時代に、こんな長尺の曲がチャートNo1になるって珍しいことだったんじゃないかな?

「Tombstone Blues」
スピード感溢れたロック・ビートのフォーク・ロック。初めて聴いた時、オープニングの「Like a Rolling Stone」に続く、この曲もしっかりロックしていて安堵したなぁ。

「It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry」
ブルース・フィーリングが魅力のナンバー。後にLeon Russellもカヴァーしていマス(アルバム『Leon Russell And the Shelter People』収録)。

「Ballad of a Thin Man」
Dylanがピアノ演奏を披露してくれる哀愁のバラード。ブルージーなカンジが今聴くと余計にカッチョ良いね!

「Queen Jane Approximately」
「Like a Rolling Stone」と同タイプのナンバー。LP時代だとこの曲がB面のオープニングであり、何か「Like a Rolling Stone」アゲイン!って気がして嬉しかったなぁ。

「Highway 61 Revisited」
パトカーのサイレンを模した印象的なサウンドで始まるナンバー。前のめりのカンジがいいよね。

「Just Like Tom Thumb's Blues」
とってもフォーク・ロックらしいナンバー。今回、このアルバムを久々に聴いて、こんなイイ曲だったけ?と再発見してしまいまシタ☆

「Desolation Row」
ラストは11分を超える大作。この曲だけはアコースティック・ギターのDylanに戻ってくれていマス。現代の狂った社会にメスを入れた強烈なナンバーだが、そのアコギの音色がやけにメロウに聴こえるのが不思議だね。

本作の1作前の作品『Bringing It All Back Home』収録の「Subterranean Homesick Blues」のPVをご覧になったことがありますか?

紙に書かれた歌詞をDylanが次々とめくっていくという単純なPVなんだけど、いつもこのPVを観ると“Dylanってラッパーじゃん!”って思える。DylanとHip-Hopのマッシュアップなんて案外アリのような気もする(どっかでもうあるのかもね?)。

70年代のDylan作品も好きなので、改めて紹介しマス。
posted by ez at 01:02| Comment(2) | TrackBack(2) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする