2006年05月26日

Alma Thomas『Sub Entendido』

ジャンル分け不要のオーガニック・ミュージック☆Alma Thomas『Sub Entendido』
サブ・エンテンディド
発表年:2006年
ez的ジャンル:ブラジル発オーガニック・ミュージック
気分は... :横浜はいいね!

昨日は昼間から横浜で1日のんびり過した。
快晴だったし、実に気持ち良かったよね。
何より横浜育ちの僕にとっては、この街に来ると何かホッとしマス。

久々に新譜の紹介を!ということでAlma Thomas『Sub Entendido』デス。

結構、CDショップでどのコーナーに置いたらいいのか困る、ショップ泣かせのアルバムかも?リスナーにとっては、ジャンルの枠を飛び越えた、その多様性こそが魅力のアルバムっす。

僕はこのアルバムをオーガニック・ソウルのアルバムだと思って購入した。実際、僕はCDショップのR&BコーナーでこのCDを手に取り、レジに向かったしね。でも、購入してから、よくよくパッケージに印刷されている謳い文句も読むと、“オーガニック・ジャズ・シーン期待の才能”って書いてある。なんだ!ジャズ・アルバムだったのか?

でもって、聴いてみると、少なくともR&Bコーナーに置かれるアルバムじゃないと思う。でも、ジャズ・コーナーに置かれるアルバムでもない。何より、予想に反してブラジリアン・テイストなアルバムだった。でも、ブラジル音楽のコーナーに置いとくには多少ビミョーかな...歌詞も英語だしね。

ライナーノーツに書いてあるAlma Thomasのプロフィールを紹介すると、アメリカのニューヨーク州生まれ、幼少の頃から地元の教会で歌い、大学ではクラシック、オペラを学んだ後、ジャズの名門バークリー音楽大学に入学し、そこで留学中だった本作のプロデューサーでもあるPedro Mills Thomasと出会い、後に結婚。結婚を機に拠点をPedroの母国ブラジルに移したとのこと。

この経歴を読んで、すべての謎が解けたし、ジャンル分けで聴くべき音楽ではないと納得しまシタ。

異国の地ブラジルで、Pedroというパートナーと共に、Almaがそれまで親しんできたあらゆる音楽をオーガニックな感性でまとめあげたアルバムってカンジでしょうか。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Would you Wish This?」
いきなり、クワイアが登場するゴスペル調ナンバー。意外と本格派R&Bなのかも?

「Summertime's struggle」
と思ったら、今度はMPB(Musica Popular Brasileria:ブラジル・ポピュラー音楽)調のナンバー。ここでライナーノーツを読み、初めてプロデューサー(Pedro)がブラジル人&Alma の旦那であり、現在ブラジル在住であることを知る(そうだったのか!)。

「Learning How」
これはミュージカル・ナンバー調の曲をしっかりジャズ・ボーカルしてマス。やっぱり基本はジャズ・ボーカリストなんだね?

「Here's Your Chance」
「My Child」
僕の気分にぴったりな2曲。ネットで調べたら、Suburbiaの橋本徹氏もセレクトしている2曲みたいです。なんか嬉しいなぁ☆「Here's Your Chance」は、気だるいグルーヴ感がなんかクセになる曲。「My Child」は、しばらく僕のiPodヘビロテ曲になっているブラジリアン・フォーキーなナンバー。

「Fall」
澄み切ったサウンド&ボーカルが心洗われるフォーキーなナンバー。

「Subentendido」
ジャズ、ブルース、ソウル、ブラジルが違和感なく融合したナンバー。こういった曲がAlma Thomasらしいのかも?

「The Movies」
この曲もかなりのお気に入り曲。小気味良いブラジリアン・フォーキー・グルーヴ。

「The Blame」
「Siren Song」
最後は驚きの2曲。なんとドラムンベースです。しかもバリバリの打ち込みサウンドではなく、アコースティック・サウンドも織り交ぜたジャズ・テイストのドラムンベースなのがイイ感じっす。でも、まさかこのアルバムでドラムンベースを聴くとは思わなかったね。

紹介した曲以外でも、結構アバンギャルドなナンバーやクラシックのテイストもあったりして、なかなか手強いアルバムっす!

今年出たVictor Davies『Hear The Sound』あたりを気に入った人にピッタリなアルバムだと思いマス。時期を逃して紹介でていないけど、Victor Davies『Hear The Sound』も今年購入したアルバムの中で、なかなか気に入っている1枚っす。
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2006年05月25日

Zingara『Zingara』

Lamont Dozierプロデュース、James Ingram参加による幻のアーバン・ソウル☆Zingara『Zingara』
Zingara
発表年:1981年
ez的ジャンル:スウィート・アーバン・ソウル
気分は... :スイーツ食べたけど...

仕事柄、コミュニケーションについて他人に話をする機会がそれなりにある。

コミュニケーションが上手な人は、基本的に「聞き上手」である。
聞き上手の人は、主役は自分ではなく相手であることをよく心得ている。だから、話をする時も、自分は脇役に回り、相手の文脈に合わせて、相手が主人公の話をしてくれる。

コミュニケーションが下手な人は、基本的に「話したがり」である。
話したがりの人は、相手の話などお構い無しに、文脈に関係ない自分の興味のある話を一方的にしゃべる。当然ながら、話の主人公は自分であり、相手ではない。

「聞き上手」と「話したがり」、どちらに心を開くかは自明だと思いマス。
ちなみに本ブログは「聴き上手」なブログにしたいですね(笑)

さて、今回はLamont Dozierプロデュースのソウル・グループZingaraっす。

Lamont Dozierと言えば、Supremes、Miracles、Four Tops、Temptations、Martha Reeves & The Vandellas等モータウンの看板グループの代表曲を数多く手掛けた無敵のソングライティング・トリオH-D-Hの一人ですよね。

そんな彼が全面プロデュースした作品が、LAの謎のソウル・グループZingaraの唯一のアルバム『Zingara』(1981年)っす。Zingaraがどんなグループだったのか不明だったのが、1つだけわかっているのはJames Ingramがゲスト参加し、リード・ボーカルとしてフューチャリングされている点っす。

後に、Ouincy Jonesの後盾もあって、一躍人気シンガーになっていくIngramですが、そのブレイク前の貴重な魅惑のヴォイスを堪能でいマス。

LPで言うA面がバラード、B面がダンス・ナンバーって構成なんだけど、A面のバラード4曲が絶品なんだよね。スウィート・ソウル好きにとっては、この4曲だけで買いのアルバムっす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「For All of My Life (I'm Serious)」
オーソドックスなソウル・バラード。じんわりと心が温まってきマス。メロウ好きの僕の心を虜にする“大人の甘さ”ってカンジのスロウ。

「You Sho' Know How to Love Me」
AORファンが喜ぶアーバン・ソウルなバラード。この曲では、ハイトーン・ヴォイスの澄み切った女性リード・ボーカルもイイ感じ。

「Love's Calling」
このアルバムから唯一チャート・インしたナンバー。それが納得の美メロ、美アレンジと完成度の高いナンバー。80年代になってもLamont Dozier健在なり!ってカンジの曲ですね。

「Are You Ready for Love」
アルバム中の一番のお気に入りナンバー。女性リード・ボーカルを前面にフューチャーしたディーバ系アーバン・ソウルに仕上がっていマス。胸キュン度は一番高い曲だと思いマス。

ここまでがA面のバラード・サイド。僕的には捨て曲ナシです。

「I Surrender」
ここからB面のダンス・サイドのスタート。この曲は、とってもブラコンなカンジのミディアム・グルーヴ。

「Haunted House」
アレンジのカンジがLamont Dozierらしい軽快なダンス・ナンバー。B面ではこの曲が一番好きかも?

「Wonder Love」
アーバン・ソウルなミディアム・ナンバー。コーラス・ワークがイイ感じ。

「Gettin' Down」
70年代のフィリー・サウンドあたりを彷彿させるエレガントなアレンジ&コーラスのダンス・ナンバー。

昨晩の夕食でカタ焼きソバを食べたら、猫舌にも関わらず、慌てて食べたせいで、口の中が火傷気味でヒリヒリしてマスm(TロT;)mデザート用のスイーツを食べても全然美味しく感じませんm(> <)m
大失敗でした...
posted by ez at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月24日

Jackson Sisters『Jackson Sisters』

ダイナマイトでミラクルなガールズ・レア・グルーヴ☆Jackson Sisters『Jackson Sisters』
ジャクソン・シスターズ
発表年:1976年
ez的ジャンル:ガールズ系レア・グルーヴ
気分は... :ダイナマイト!

レア・グルーヴ・ムーブメントで大人気となったJackson Sistersの唯一のアルバム『Jackson Sisters』(1976年)っす。

Jackson Sistersは70年代にLAで活動していた5人組のガールズ・グループ。その名の通り、ガールズ版Jackson 5って感じですよね。

ホント、Jackson Sistersは女性に大人気だよね。
案外、それほど洋楽に詳しくない若い女の子でもJackson Sistersの「Miracles」、「Boy,You're Dynamite」の2曲は知ってたりするからね。その人気ぶりは、カラオケ・ボックスにちゃんと「Miracles」がリストされているあたりからもわかると思いマス。

逆に、フツーに洋楽良く聴いている人がJackson Sistersと聞いてもピンと来なかったりする。確かに、リアルタイムで洋楽を聴いていたり、後追いでもメイン・ストリームのR&B/Soulを聴いている限りはJackson Sistersに辿り着きづらいかもしれないよね。

僕もフリー・ソウルのコンピ『Free Soul Light』でJackson Sistersのことを知ったけど、正直の彼女たちのプロフィールやこのアルバムの内容については、あまりよく知りません(?_?)

このアルバムは70年代前半の彼女達のシングルを集めたものみたいだけど、正直“60年代の録音じゃない”と思うほど音は悪い。でも、それを忘れるほど、「Miracles」、「Boy,You're Dynamite」という2大クラシックをはじめ、ガールズ・パワーが弾けたダイナマイトなフロア大盛り上がりのアルバムになっていマス。

ソウル好きの方には、多くの作品がJohnny Bristolのものであり、Bristolらしい70年代ノーザン・ビートを堪能できますよ〜☆

オススメ曲を紹介しときやす。

「Miracles」
超大人気クラシック。イントロのファンキー・ギターとホーン・セクションでキターッ!続く♪アイ・ビリ〜ブ・イン・ミラクル・ベイビ〜♪というガールズ・ボイスでさらにキターッ!まさにミラクルなアッパー・チューン。この曲がキライな女の子はいないだろうね。

「Boy,You're Dynamite」
「Miracles」と双璧を成すクラシック。こちらはJohnny Bristol作によるノーザン・ビートで盛り上がりマス。まさにダイナマイトなボーカルにノックアウトされてしまいマス。

「Day In The Blue」
Johnny Bristol作によるメロディアスなノーザン・スタイルのヤング・ソウルに仕上がっていマス。途中のスローになるところがとってもステキです。

「Rock Steady」
女王Aretha Franklinの名曲カヴァー。Arethaのオリジナル(アルバム『Young, Gifted And Black』収録)も勿論大好きだけど、よりパーカッシブでトライバルなカンジのこのバージョンなかなか僕好みの仕上がりd(^ ^*)グッ!

「Where Your Love Is Gone」
「Maybe」
Johnny Bristol作のノーザン・スタイルの2曲。録音状態と相まって、とっても60年代チックなカンジ!それが逆にイイのかも?

「Why Do Fools Fall In Love」
まさにガールズ版Jackson 5ってカンジの曲。若きMichaelが歌ってもピッタリなカンジのキャッチーな曲

「(Why Can't We Be)More Than Just Friends」
込み上げ系バラード。単なる勢いだけではない、ソウルフルなボーカルの魅力を堪能できマス。

「Shake Her Loose」
Johnny Bristol作のさり気ないけど、小洒落たライトタッチなヤングソウル。この曲あたりはいい録音状態で聴きたかった気もしマス。

この記事を書いていたら、以前にカラオケ・ボックスで「Miracles」で盛り上がったのを思い出した。まぁ、カラオケ・ボックスでレア・グルーヴなんて考えたらミョーだよね☆

「Miracles」はかなり難しいので、それなりに上手い女性が歌わないと一気にサゲサゲになる危険もあるのでご注意を(笑)
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2006年05月23日

Black Eyed Peas『Elephunk』

人気を決定づけた大ヒット・アルバムだパオーッ☆Black Eyed Peas『Elephunk』
Elephunk
発表年:2003年
ez的ジャンル:ラブ&ピース系ハッピーHip-Hop
気分は... :(象の気分で)パオ〜ッ!

昨年発表した4thアルバム『Monkey Business』は大ヒットし 、今年に入ると、ブラジリアン・ミュージックとHip-Hop/R&Bの融合を試みたSergio Mendes『Timeless』 の全面プロデュースと相変わらず大活躍のBlack Eyed Peas。そんな彼らの人気を不動にした3rdアルバム『Elephunk』(2003年)は、やっぱり外せない1枚ですね。

案外、『Elephunk』が1stだと思っている人も多いけど3rdアルバムです。

Black Eyed Peas(以下BEP)は、LA出身のWill.I.Am、Apl.De.Ap、Tabooの3名で結成されたダンス&ラップチーム。1998年に1st『Behind the Front』、2000年に2nd『Bridging the Gap』を発表している。この頃のPV観たことあるけど、とにかくダンス・パフォーマンスがスゴすぎ&カッチョ良すぎて画面に釘付けになり、逆に曲が印象に残らなかった(笑)

話が逸れるけど、本ブログで紹介したくて出来ていないアルバムの1つに故Roger(Zapp)のソロ4作目『Bridging the Gap』(1991年)があるんだけど、Amazonで検索すると、いつもBEPの『Bridging the Gap』の方がヒットするので、このアルバムを知るに至りまシタ。

1st、2ndの頃はあまり詳しくはないけど、その方面では知る人ぞ知る存在で、本ブログでも紹介したPharcydeJurassic 5あたりと同系のグループとの位置づけだったみたいっす。

そんな下地を固めたところに、紅一点のFergieが加わり、一気にそのポップなセンスをブレイクさせたのが『Elephunk』っす。

正直、彼らのことを殆ど知らなかったけど、この象ジャケがやけに気に入ったのと、「Let's Get Retarded」と「Where Is The Love?」を試聴して、何も考えず即買いしてしまった。まさかこんな大ヒット・アルバムになるなんて全然予想できなかったね。

でも、今振り返ると、元々のパフォーマーとしてのエンタメ性に、Fergieの華やかさ、ジャズ、ラテン、ファンク、ソウルなど多様な音楽を取り入れたトラックづくりなどが加わり、大ヒットへの準備に抜かりはなかったカンジですな。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Hands Up」
Yma Sumac「Bo Mambo」ネタのマンボ・トラック。BEPのサウンドって60年代のB級スパイ映画のイメージとマッチする。先日投稿したLalo Schifrin『Mission:Impossible』のコメント欄で紹介したイタリア映画『7 uomini d'oro(黄金の七人)』なんかの世界に通じるかもね。

「Labor Day (It's A Holiday) 」
JB's「The Grunt」ネタのホーンとMadonna「Holiday」ネタのフレーズがとっても印象的なナンバー。♪ホリデーィ♪セレブレェート♪と口ずさんじゃいますね!

「Let's Get Retarded」
「Let's Get It Started」
アルバムのハイライト曲の1つ。オリジナルは「Let's Get Retarded(バカになろうぜ!)」のタイトルだったが、NBAプレイオフのテーマ曲用に「Let's Get It Started」としてリメイクされまシタ。僕の持っている初回盤には「Let's Get Retarded」しか収録されていませんが、現在の盤は2曲共に収録されているみたいですね。いずれにしても印象的なフックがカッチョ良い曲ですね!

「Hey Mama」
アルバムからの3rdシングル。iPodのCMにも使われていまシタよね。ラガ&ラテンなトラックがアゲアゲでいいですよね。

前述のBEPプロデュースのSergio Mendes『Timeless』に収録されている2006年版「Mas Que Nada」で「Hey Mama」がネタで使われており、Fergie嬢の♪ララ〜ラララ〜♪を聴くことができマス。

「Shut Up」
アルバムからの2nd。BEP独特のエキゾチックな仕上がりデス。こうしたキャッチーな歌モノ系Hip-Hopナンバーの収録も本作からの特徴ですね。

「Smells Like Funk」
リラックス・ムードのナンバー。この曲を聴いていたら、1983年に全米チャートで謎の大ヒットを飛ばしたTaco「Puttin' On The Ritz」という曲が頭に浮かんできまシタ。

「Latin Girls」
「Sexy」
Sergio Mendes『Timeless』の予兆的な2曲。「Latin Girls」は、タイトル通りキューバン&スパニッシュなラテン・トラック。「Sexy」Antonio Carlos Jobim「Insensatez」ネタのボッサHip-Hop。

「Anxiety」
ラウドなロックのトラックがカッチョ良いナンバー。軽快なトラック多いなかで、ハードなカンジがいいアクセントになってマス。

「Where Is The Love?」
Justin Timberlakeをフィーチャーしたアルバムからの1stシングル。これは21世紀の「What's Going On」と呼びたくなるような、ラブ&ピースなナンバー。軽快なアゲアゲ・ナンバーの一方で、こんな素晴らしいメッセージ・ソングも披露してくれるのがBEPの魅力ですな。

4thアルバム『Monkey Business』も個人的な2005年Best10アルバムにセレクトしたお気に入りの作品デス。おバカ度アップが僕向きかも(笑)
posted by ez at 00:09| Comment(4) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

Suede『Coming Up』

ネオ・グラムを代表するバンドの起死回生の1枚☆Suede『Coming Up』
Coming Up [ENHANCED CD]
発表年:1996年
ez的ジャンル:スタイリッシュ系ネオ・グラム
気分は... :エクスタシー!

先週のMy Bloody Valentine『Loveless』の記事で書いた通り、90年代に入り僕の新作ロック離れが進んでいった。でも、全く新作ロックを聴かなかったわけではなく、少ないながらも新作を楽しみに待つアーティストも存在した。
Suedeもそんなグループの1つだったね。

Suedeはミーハー的に好きだったなぁ。90年代半ばのブリット・ポップの盛り上がりの中で、OasisやBlurに僕があまり興味を抱かなかったのには、UK期待の星No1はSuedeであるという思いがあったからだと思う。

ちなみに、Oasisは一応アルバムも1、2枚持っているが、今でも何がいいのかサッパリ理解できません。Blurは、その後それなりに好きになりまシタ。ブリット・ポップという見方をすれば、とっても英国らしさが漂うのがBlurかもね♪

話をSuedeに戻すと、Brett Anderson(vo)、Bernard Butler(g)、Mat Osman(b)、Simon Gilbert(ds)の4人で結成されたグループであり、1992年にシングル「The Drowners」、「Metal Mickey」の2曲が立て続けにインディーズ・チャートでNo1に輝き、一躍注目のグループとなった。

そして、1993年に禁断のデビュー・アルバム『Suede』を発表。ネオ・グラムと称されたグラマラスな雰囲気、ホモ、近親相姦、殺人といったタブーをテーマとして歌詞、そして官能的なボーカル&エクスタシーなサウンドに危険なニオイを感じつつも、一発でハマってしまった。

その後、Suedeファンの間では評価が高い2ndアルバム『Dog Man Star』(1994年)を発表。しかし、Brett Andersonと共にバンドの両論だったBernard Butlerが脱退し、グループは一気に危機に直面することになった。

そんな中、新たにギターRichard OakesとキーボードNeil Codlingを加え、約2年のブランクを経て発表されたのが本作『Coming Up』(1996年)っす。

サウンドを聴くまではかなり不安が過ぎったけど、ソニーのCMにも使われたオープニング・ナンバー「Trash」を聴いて、歓喜してしまいまシタ。アルバム全体としては、以前に比べて、退廃的なムードが後退し、スタイリッシュで開放的になった印象を受けたね。

以前からのファンにとって、この変化は意見が分かれるところだろうけど、僕的にはグラマラスなポップ・アルバムってカンジが好きだなぁ。まさに70年代のT.Rex、David Bowieといったグラム・ロックを彷彿させるネオ・グラムって言葉がピッタリなアルバムに仕上がっていると思いマス。

結果的にアルバムは大ヒットし、5曲の全英Top10シングルを生み出した。
新生Suedeの存在感を見せつけてくれた傑作アルバムっす!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Trash」
前述のソニーのCMにも使われたアルバムからの1stシングル。単純にカッチョ良いナンバー。この突き抜けたカンジの開放感が何ともイイね。Brettのボーカルも、スタイリッシュになった新生Suedeサウンドにマッチしていマス。

「Beautiful Ones」
アルバムからの2ndシングル。彼らのポップ路線への変化が顕著な曲。でも、セクシーなBrettのボーカルは健在であり、従来からの魅力と新たなサウンドが見事に融合していマス。とっても優雅な気分のナンバー。

「Saturday Night」
アルバムからの3rdシングル。美しいラブ・バラード。これまでもバラードの傑作を残してきた彼らだけど、何となく破滅的な恋のイメージが強かったね。その点、この曲は健全な(?)なラブ・バラードに仕上がっていると思いマス(笑)

「Lazy」
アルバムからの4thシングル。「Trash」と並ぶお気に入りシングル。90年代に甦ったT.Rexって趣きのエクスタシーなナンバー。ライトタッチのセクシーさがたまりません☆

「Filmstar」
アルバムからの5thシングル。映画スターの虚構ゲームを歌うシニカルなナンバー。途中がとってもPink Floyd「Breathe In The Air」そっくりに聴こえるのは僕だけか?

「Starcrazy」
アルバム中、従来のSuedeの雰囲気に一番近いのがこの曲なのでは?1、2曲こういうのを聴けると、それはそれでホッとしますね。

「The Chemistry Between Us」
シングル曲以外ならば、この曲が一番好きかな。実に美しい曲だね。ハイトーン・ボイスのDavid Bowieってカンジかもね!壮大なスケール感のあるサウンドも魅力デス。

ちなみにジャケのグループ名がThe London Suedeとなっているのは、アメリカの同名バンドから訴訟を起こされたため、苦肉の策としてこのグループ名を使っていマス。

これからSuedeを聴く人は、本作や4thアルバム『Head Music』(1999年)あたりのポップな作品で免疫をつくってから、官能と倒錯の『Suede』『Dog Man Star』を聴くといいと思いマス。
posted by ez at 00:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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