2006年05月16日

Bud Powell『The Scene Changes』

天才ジャズ・ピアニストのポピュラーな作品☆Bud Powell『The Scene Changes』♪
ザ・シーン・チェンジズ
録音年:1958年
ez的ジャンル:モダン・ジャズ・ピアニストの原点
気分は... :クレオパトラはどんな夢をみたんだろう?

サッカー日本代表23名が発表されましたね。
昨日示した僕の予想は23名中21名的中(久保、松井がハズレで、代わりに玉田、巻が選出された)で、それなりに的中したのですが、大きく外した感が大きいですね。

特に、FWの軸は久保だとばかり思っていたので、ジーコ監督の口から“マキ”の名を耳にした時には、報道陣のどよめき同様に、TVの前で唸ってしまいましたね。

でも、前回のトルシエの時と異なり、ジーコ自ら選考理由などをキチンと説明してくれたので、久保や松井が外された理由も、玉田、巻が選出された理由も、とても納得できた。やっぱり何事も説明責任って大事だなと痛感しましたね。

昨日のジーコの説明で、これまで見えにくかったW杯での日本代表の姿が、かなり見えてきたように思います。

多分、フォーメーションの基本は4-4-2、FWの軸は高原ってカンジですかね。
ただし、4バックにはまだまだ課題山積みだと思うので、何とか本番までに修正して欲しいものです。

まだ書きたいことはいろいろあるので、しばらく日本代表ネタが続くと思いますが、ご了承下さい。

今回はThelonious Monkと並ぶモダン・ジャズを代表する大物天才ピアニストBud Powell(1924-1966年)っす。

モダン・ジャス・ピアノのパイオニアとしての栄光と同時に、アルコール、ドラッグ、精神疾患など様々な問題を抱えていた自己破滅的な人生にも鮮烈な印象を受けるミュージシャンっす。

晩年のBud Powellについては、サックス奏者Dexter Gordonが主演し、アカデミー最優秀主演男優賞にもノミネートされた映画『Round Midnight』を思い出す。

この映画でDexterは、腕は一流だが麻薬とアルコール漬けのため、アメリカを後にしてヨーロッパを放浪するJazzサックス奏者デイル・ターナーを演じたが、このターナーのモデルこそが晩年の活動拠点をパリに置いたいたBud Powellであった。

しかも、本ブログで紹介したDexter Gordonの名作『Our Man In Paris』(1963年)は、そのパリでBudと録音したものだ。Budの最後の輝きを聴くことができるこの作品も実に感慨深いっす。

コアなJazzファンにとって、Bud Powellの代表作と言えば、『Jazz Giant』『The Amazing Bud Powell Vol.1』『The Amazing Bud Powell Vol.2』といった1940年代後半から1950年代前半の作品になると思う。僕もこれらの作品はコレクションしているが、今回は敢えて『The Scene Changes』 (1958年)を紹介します。

Budがパリに旅立つ前に録音された『The Scene Changes』は、今日最もポピュラーなBudの作品だと思いマス。特に「Cleopatra's Dream(クレオパトラの夢)」は、CM、BGMなどで聴く機会も多いので、普段Jazzを聴かない人でもお馴染みの曲ですよね。

以前に紹介したSonny Rollins『Sonny Rollins Vol.2』Sarah Vaughan『Sarah Vaughan With Clifford Brown』あたりと並んで、ジャズ初心者の方がジャズの雰囲気を堪能するには絶好のアルバムです。とにかくキャッチーな作品が並んでいマス。ジャズCDをいくらコレクションしても、永遠のJazz初心者である僕にとっては、やっぱりキャッチーさは重要なんだよね。

メンバーはBud Powell(p)、Paul Chambers(b)、Art Taylor(ds)。 ChambersとTaylorの出しゃばらない好サポートが光りマス。

小難しいこと考えず、素直にジャズのムードを楽しみましょ!
全曲Bud自身の作品デス。

「Cleopatra's Dream」
前述の最もポピュラーなBudの楽曲。僕の場合は、村上龍がホスト役のTVトーク番組『Ryu's Bar』(1987-1991年放送)のテーマ曲の印象が強いですかね。僕の認識が間違っていなければ、あの番組でこのナンバーを演奏していたのは山本剛さんという日本人Jazzピアニストだと思いマス。

「クレオパトラの夢」というタイトルがピッタリの幻想的なムードの曲ですよね。なんか儚い夢のカンジがとても伝わってきマス。

「Duid Deed」
この曲もとても印象的な曲。この憂鬱なムードが僕のイメージするBud Powell像と合致して好きっす。。

「Down With It」
スリリングで軽やかなBudのピアノがカッチョ良いナンバー。

「Danceland」
この曲が一番スキかもしれません。とにかく雰囲気がまさしく夜のジャズってカンジがいいよね。夜中、ビール片手に仲間と不健康に(?)談笑したくなる曲っす。

「Borderick」
何となく可愛らしい、お行儀のいいカンジの曲。

「Gettin' There」
これも実にキャッチーなナンバー。Budが演奏しながら発する唸り声がスキっす。かつてノーベル賞受賞作家の大江健三郎氏は、エッセイの中でBudの演奏する姿を“老いたセイウチ”と評したらしい。この曲なんかは、そんな老いたセイウチの映像が浮かんできそうっす。

「Scene Changes」
最後は軽快なタイトル曲。老いたセイウチも軽やかにダンスできるんですね(笑)

ちなみに、ジャケ写真に写っている子供はBudの息子さんらしいです。子供を前にして、こんな苦悩の表情をしなくてもいいのではと思うんだけどねぇ。
posted by ez at 01:36| Comment(6) | TrackBack(1) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月15日

Haircut 100『Pelican West』

陽気なファンカラティーナでポップにはじけましょ☆Haircut 100『Pelican West』
Pelican West...Plus
発表年:1982年
ez的ジャンル:ファンカラティーナ系UKポップ
気分は... :レモン消防隊???

明日、このブログを更新する頃には、サッカー日本代表23名が発表されていますね。
僕の予想を一応書いておきます。

GK 川口、楢崎、土肥
DF 宮本、中沢、田中、坪井、加地、三都主、中田(浩)、駒野
MF 中田(英)、中村、福西、小笠原、稲本、小野、松井、遠藤
FW 高原、柳沢、久保、大黒

ビミョーなのは駒野、遠藤、大黒あたりかな?

さて、日本代表に全く関係なく1980年代のUKポップHaircut 100っす。

1980年代初めのUKの音楽シーンは、ニューロマンティックや第2次ブリティッシュ・インベイションといったブームの中で、dam & The Ants、Culture Club、Duran Duran、Spandau Ballet、Bow Wow Wow、ABC、Depeche Mode、Eurythmics、Yazooなどビジュアル&音楽の両面でユニークな個性を持ったグループが多数登場してきた。

そうした活気に満ちた当時のUK音楽シーンの中で、僕が特に気に入っていたアルバムがHaircut 100『Pelican West』デス。

Haircut 100と言えば、funklatina(ファンカラティーナ)と呼ばれたファンクとラテンを融合した、陽気で、ダンサブルな音楽スタイルが売りのグループだった。Haircut 100以外にもBlue Rondo A La Turk(Matt BiancoのMark Reillyが在籍していたグループ)あたりがファンカラティーナの代表的なグループでしたよね。

Nick Heyward率いるHaircut 100は、1980年に結成され、1981年に「Favourite Shirts」でデビュー。1882年に1stアルバムである本作『Pelican West』を発表。そして1983年初めにはNick Heywardのグループからの脱退が発表されるといったかたちで、デビューからわずか1年少々でシーンを駆け抜けていった。

ジャケ写真でもわかるように、かなりアイドル・グループ的な扱いを受けて、UKでは大人気でシタ。音の方実にゴキゲンなラテン・ファンクとメロウ・グルーヴのオンパレードっす。歌謡曲チックなキャッチーさもあって、あえて本格派から外れているところがまた魅力かもしれません。

見た目で判断してはいけない、これから夏に向けての大いに役立つ一品だと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Favourite Shirts (Boy Meets Girl)」
彼らのデビュー・シングルとなったノリノリのダンス・ポップ。彼らの音楽がファンカラティーナと呼ばれるのが、この曲を聴けば一発で理解できるはずです。イントロののギターカッティングのシャカシャカ感だけで胸ときめきますな。それにしても邦題の「好き好きシャーツ」はすごいタイトルだね。シャツでなくてシャーツとしているあたりがカワイイ!

「Love Plus One」
2ndシングルであり、彼らの人気を決定づけた大ヒット曲。どこかコミカルな雰囲気も持った甘酸っぱい青春ポップってカンジですね。アレンジのカンジがこの時期のUKポップらしくて大好きデス。当時のUSチャートには絶対にないタイプだよね。

「Fantastic Day」
大好きな3rdシングル。当時はシングル曲の中で、この曲が一番のお気に入りでシタ。サビの♪ファンタ〜スティック♪デ〜イ♪(ブラスが)パカパカパァ〜♪ってところがメチャ好きでしたね。

「Lemon Firebrigade」
シングル曲以外では一番のお気に入り曲。メランコリックなポップ・ナンバー。この邦題もスゴイ!「レモン消防隊」☆しかも歌詞は以下の1フレーズのみ
 ♪どうして、ああ、どうして、レモン消防隊、なぜ♪
なぜって、こっちが聞きたいわ!レモン消防隊って何やねん!

「Marine Boy」
「Milk Film」
「Snow Girl」
Nick Heywardのポップ・センスを感じる2曲。
「Marine Boy」は、まさにマリン・ボーイな爽やかな曲。間奏のピアノがとっても気が利いている。「Milk Film」は実にオシャレなカフェ・ポップ。「Lemon Firebrigade」と並ぶお気に入り曲デス。「Snow Girl」は切ないギターポップ。

「Baked Bean」
「Love's Got Me in Triangles」
「Calling Captain Autumn」
ラテン・ムード満載の3曲。このあたりの曲はラテン・テイストのAcid Jazzあたりと一緒に聴いてもいいかもね。例えばSnowboyとかね。

Nick Heywardのソロ・デビュー作『North Of A Miracle』(1983年)も、本作のようなラテン・テイストには欠けるけど、良質のUKポップ・アルバムに仕上がっていマス。

今回、記事投稿に際して、ネットで“Haircut One Hundred”でサーチしたら、Amazon、HMVあたりが全然ヒットせず驚いた!いくら何でもそんなにマニアックなグループじゃないだろ!なんて思っていたら、原因が判明...どこも“Haircut 100”で表記しているんだね。何かイメージ違うなぁ。
posted by ez at 01:20| Comment(4) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月14日

Chicago『Hot Streets』

邪道だけどChicagoで一番のお気に入り作品☆Chicago『Hot Streets』
ホット・ストリート(紙ジャケット)
発表年:1978年
ez的ジャンル:ディスコ/フュージョン系ロック
気分は... :邪道だけど...

Chicago『Hot Streets』(1978年)はLP時代からの愛聴盤で、CD時代になっても買い直して未だに良く聴く作品だ。

でも、僕はChicagoファンではないので、グループ自体や他の作品にはさほど興味がない。唯一、『Hot Streets』の次の作品『Chicago 13』(1979年)だけは手元に置いておきたい作品かな。

Chicagoの作品で『Hot Streets』、『Chicago 13』の2枚がお気に入りなどと書くと、Chicagoファンの方からは怒られそうですね。お許し下さいm(_ _)m

Chicagoの歴史を駆け足で振り返れば、以下のようになる。

1969年にデビュー作『Chicago Transit Authority』を発表。瞬く間にAl KooperのBlood, Sweat & Tears(BS&T)と並ぶブラス・ロックの旗手として注目を集めた。その後、「25 Or 6 To 4」、「If You Leave Me Now」、「Saturday In The Park」等のヒット共に人気グループとしての地位を確立。そうした中、1978年にギタリストのTerry Kathの不慮の事故死を境にバンドは低迷。しかし、Bill Champlin加入後の『Chicago 16』で全米No1シングル「Hard To Say I'm Sorry」と共に見事復活。その後もAOR路線で「Hard Habit To Break」、「Look Away」等のヒットを放った。

こうした長い歴史の中で、『Hot Streets』、『Chicago 13』の2枚は、Terry Kath死後の低迷期の作品ということになる。一般的にはChicagoのファンは、デビューからTerry Kath存命までの作品が好きなファンと、Bill Champlin加入後のバラード中心AOR路線が好きなファンに2分されると思いマス。そして、どちらのファンからも無視されがちなのが、『Hot Streets』、『Chicago 13』、『Chicago 14』という低迷期の3作品だ。

その低迷期の『Hot Streets』『Chicago 13』が大好きなんて言っている僕が変わり者なのか?

でも、僕がこれらのアルバムを好きになるには、それなりの理由がある。これらの作品はPhil Ramoneのプロデュース(Chicagoとの共同プロデュース)なのだ。彼の得意とするフュージョン/AOR系のサウンドが、Chicagoのポップ・テイストとうまく結び付いているのがこれらの作品だと思いマス。

この頃のPhil RamoneはBilly Joel『The Stranger』(1977年)、『52nd Street』(1978年)の大ヒットでノッていた時期で、そんな充実ぶりも作品のクオリティに反映されていると思うのは僕だけ?

僕はAOR好きだけど、David Fosterの貢献が大きい『Chicago 16』『Chicago 17』『Chicago 18』あたりは、甘さがくどくて、胃もたれするカンジでダメなんだよね。だったら、『Hot Streets』、『Chicago 13』の方がAOR作品としてもオシャレだし、メロウネスもバッチリなので断然好きだなぁ。

『Hot Streets』は、アルバムタイトル(この作品以外は『Chicago 数字』パターン)やジャケット(この作品以外はChicagoロゴ使ったデザイン)でも従来のパターンを打破している。それだけ、新たな出発を求めていたのがこの作品だったのであろう。従来のファンからは、その変化はあまり歓迎されなかったようだけどね。

でも、でも低迷していたのはチャートアクションのみで、内容は大充実!
メロウ&グルーヴィーな音楽が好きな人には自信を持ってオススメできる作品ですよ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Alive Again」
アルバムからの1stシングルとなったディスコ・テイストのロック・ナンバー。Terry Kathを失っても、バンドは前身し続ける意思表明の曲だと思いマス。当時は、そんな状況は知らず、カッチョ良いファンキーなロックやんけ!と単純に感動していまシタ。

「Greatest Love on Earth」
「No Tell Lover」
Peter Ceteraお得意の感動バラード2曲。あまり甘くなりすぎないように、仕上げているのが僕好み。これもPhil Ramoneの手腕か?「No Tell Lover」はシングルカットもされまシタ。ほどよくパーカッシブなあたりがいいですな。

「Hot Streets」
実に都会的なクロスオーバー・サウンドのタイトル曲。Walter Parazaiderのフルートが何ともオシャレ。この曲を聴いていると、やはり都会的なクロスオーバー色を強めていったDoobie Brothersの変化と共通するものを感じるなぁ。

「Take a Chance」
フュージョン・サウンド全開のミディアム・グルーヴ。このあたりの曲をどう評価するが好みが分かれるところかもね。勿論、僕はこのメロウ・グルーヴがたまらなく大好きっす!

「Gone Long Gone」
シングルカットもされたPeter Ceteraのボーカル&コーラスを堪能できるアコースティック・ナンバー。

「Love Was New」
僕のお気に入りのメロウ&グルーヴ。ホーンとパーカッションの絡みがとってもイイカンジっす。クリスマス・ソングだけど、そんなこと無視して夏に浜辺で聴きたい気分の曲。Robert Lammのボーカルには大人の落ち着きがありマス。

「Show Me the Way」
70年代ロック・ファンならば、このタイトルを見るとPeter Framptonの大ヒット曲を思い出すでしょうが、同名異曲デス。オシャレだけど、独特の雰囲気を持った不思議な曲。

『Chicago 13』も『Hot Streets』路線のいいアルバムっす。Airto Moreira、Maynard Fergusonがゲスト参加と書けば、多少興味を持ってくれる人もいるかな?
posted by ez at 00:28| Comment(7) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月13日

R.Kelly『Chocolate Factory』

愛の伝道師によるシカゴ・ステッパーズ☆R.Kelly『Chocolate Factory』
Chocolate Factory
発表年:2003年
ez的ジャンル:愛の伝道師系R&B
気分は... :ステップ!ステップ!ステップ!

90年代以降最も成功している女性R&BシンガーがMary J. Bligeであるとすれば、最も成功している男性R&BシンガーはR.Kellyではないかと思いマス。

R.Kelly & Public Announcementとしてデビューした1stアルバム『Born Into the 90's』(1991年)の時から、15年間も彼の音楽を聴き続けていることになる。

僕が『Born Into the 90's』を購入した時は、まだブレイクする前で、R,Kellyという男がこんなに成功するとも、こんなに愛の伝道師(?)だとも想像できなかった。正直、遅れてきたNew Jack Swing(NJS)グループで、よくあるパターンのGuyフォロワーだと思っていたね。

それでも、『Born Into the 90's』収録のスマッシュヒットしたカッチョ良いNJSナンバー「She's Gotta Vibe」、Stevie Wonderのヒット曲のカヴァー「Hey Love」の2曲は、なかなかのお気に入りで、一時期僕のウォークマンのヘビロテ曲でシタ。

そして、R.Kelly単独名義で出したアルバム『12 Play』(1993年)以降は、愛の伝道師路線をまっしぐら、『R.Kelly』(1995年)、『R.』(1998年)と大ヒットを連発すると同時に、Aaliyahとのゴシップでも話題となり、愛のエロエロ伝道師(笑)の地位を不動のものにしていった。

正直、『12 Play』以降のR.Kellyには戸惑っていた。まだ、『12 Play』はそれなりに好きだと断言できるけど、『R. Kelly』以降は自分でもこのエロエロ・シンガーの音楽が、好きなのか、そうでもないのか、よくわからなくなってきた。

この曖昧な評価は今でも変わらない。アルバム単位でとってもお気に入りと、さほど興味がない作品がハッキリ分かれるみたいだ。そんな中で、近年の作品で最も気に入っているアルバムが本作『Chocolate Factory』(2003年)デス。

この作品は、愛の伝道師の本領発揮(?)で未成年少女とのスキャンダルが明らかになり、大バッシングを受けたり、制作予定だった新作アルバム『Loveland』がリリース前にインターネット上に流出するなどして発売中止となるという最悪のいくつか出来事を経て発表されたものだった。

でも、結果的には大ヒットを記録し、R.Kellyの健在ぶりを見せた。特に、個人的には、『R. Kelly』以降のKellyがいまいちビミョーだった理由の1つが、その暑苦しさだったので、70年代テイストが強まり、ラーメンで言えば、麺かため、スープ濃いめ、脂多めのギトギト系が少し、マイルドになったのは大歓迎だった。

本作とそれに続く『Happy People/U Saved Me』(2004年)は、久々にKellyに歓喜したアルバムでしたね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Step In The Name Of Love」
僕を歓喜させたのが、シカゴ出身のKellyらしく、シカゴ・ステッパーズというシカゴ発の伝統的なダンス・マナーを取り上げたこのナンバー。実に涼しげで、気持ちイイ曲だ。こんなKellyを待っていたんだよね!さぁ、みんなでユル〜く踊りましょ└(^^*)┐

「Chocolate Factory」
昔のKellyならば、くど〜い甘さのチョコを大量生産するチョコレート工場だったんだろうけど、このタイトル曲は甘さ控え目の大人のチョコに仕上がっていマス。

「You Made Me Love You」
「Forever」
70年代ムード満点のバラード2曲。懐かしい素朴な味のチョコレートってカンジ。

「Dream Girl」
「Step In The Name Of Love」と並ぶ僕のお気に入り曲。曲・アレンジ共に70年代前半のStevie Wonderしてます。Kellyの声もStevieっぽいね。

「You Knock Me Out」
こちらはとってもMarvin Gayeしているナンバー。どちらかと言えば、キャラ的にはStevieというよりもMarvinだもんね。実にはキャラがハマっているナンバー。

「Ignition(Remix) 」
アルバムのハイライトとも言うべき大ヒット曲。僕がこのアルバムを聴かせた人の約8割がこの曲が一番スキ!という結果でした。このラガ風味のミディアム・ナンバーのパンチもあるけど、リラックムードも十分なカンジが絶妙ですな。アルバムには、スローなオリジナル・バージョンも収録されていますが、正直影が薄いデス。

「Shake」
「Who's That」
「Been Around The World」
ゲストをフィーチャーしたナンバー3曲。Big Tiggerをフィーチャーしたラガ・テイストの「Shake」は♪ゲッ〜ダウ〜ン♪と思わず口ずさむ抜群のノリのナンバー。Fat Joeをフィーチャーした「Who's That」は、怪しげなラテン・フレイヴァーとKellyのキャラが見事にマッチしてマス。Ja Ruleをフィーチャーした「Been Around The World」は哀愁モードの曲っす。

「Showdown」
Kelly以上に暑苦しい男Ronald Isleyをフィーチャーしたナンバー。先に、Kellyの暑苦しさがビミョーと書いたけど、この2人のタッグに関しては、暑苦しくて全然OKデス。この二人が組んで、涼しげなんて逆にガッカリだもんね。

Ronald IsleyとKellyの相性の良さは、KellyプロデュースのIsley Brothers 『Eternal』(2001年)、『Body Kiss』(2003年)でも証明済みですよね。そう言えば、ジャストタイミングでIsley Brothersの新作『Baby Makin' Music』がいよいよ発売ですね!

僕が持っているのは、発売中止となった幻の『Loveland』からの6曲がボーナスCDで付いており、こちらもいい出来ですよ!
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2006年05月12日

My Bloody Valentine『Loveless』

愛なき世界の美しく、ノイジーで、アシッドなアルバム☆My Bloody Valentine『Loveless』
Loveless
発表年:1991年
ez的ジャンル:耽美系ドラッギー・ロック
気分は... :そこに愛はあるのか...

約10年ぶり位にCD棚からMy Bloody Valentine『Loveless』を手に取り聴いた。
いやぁ、このアルバムのインパクトの大きさを再認識しまシタ。

My Bloody Valentine(通称:マイブラ)は、1984年にリーダーのKevin Sheildsを中心にアイルランドで結成されたロックバンドだ。

1988年の2ndアルバム『Isn't Anything』で、そのノイジーで、サイケで、耽美な独自の音世界を確立した。そして、さらにそのサウンドを極限まで追求した3rdアルバムが本作『Loveless』(1991年)だ。

今回、この記事を書くにあたり、多少ネットで下調べしたけど、今でもこの作品が熱狂的な支持を得ていることを実感できまシタ。

この作品が発表された1991年にはPrimal Scream『Screamadelica』Nirvana『Nevermind』といった本作同様の衝撃のロック作品が発表されている。ちなみに、リーダーのKevin Sheildsは、その後Primal Screamのギタリストとしても活動している。

以前にも書いたが、これらの作品が発表された頃から、僕の新作ロック離れが一層進み、新作で購入するCDの殆どがR&B、Hip-Hop、クラブ・ミュージックになっていった。その意味で、これらの3作品は僕の中で、今でも特別なロック・アルバムだ。

Kevin Sheildsを中心とするメンバーは、この作品を完成させるまでに、2年の歳月と20万ポンドの予算を要した(後にこの膨大な費用がCreationレーベルを経営難に陥れるのだが)。結果として、音の快楽とも呼ぶべき絶頂感を覚える退廃的で耽美なサウンドが完成したのではないかと思いマス。

結局、彼らはこの作品以降新作アルバムを発表していない。きっと、このアルバムを越えるのは至難の業だし、これ以上この方向を追求するのはかなり危険だと思う。このサウンドは追求しすぎると、絶対に頭がイカれて、行く着く先はXXXだと思う。

そんな美しさと危うさの紙一重の差を思い知らされる作品だ。
邦題は『愛なき世界』。愛なき世界の音楽は、こんなにもノイジーで、アシッドで、ドラッギーなのか。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Only Shallow」
この曲こそが僕のマイブラ初体験だった。この美しく歪んだサウンドを最初に聴いた時の衝撃は大きかったね。そのサウンドにのって退廃的なボーカルがやけに耳に残る。もうこの段階で相当にヤバイ。

「Loomer」
続いて、ノイジーな美メロ・ナンバーで完全にこのアルバムの世界に入り込む。フツーにアコースティックに仕上げれば感動のバラードなのに?などと思いつつ、このノイズが段々心地良くなってきている。ヤバイ、これはヤバイ...

「To Here Knows When」
何なんだこの美しさは!何もかも忘れてこのサウンドに吸い込まれていく...ボーカルがエンジェル・ボイスに聴こえてくる。天使が舞い降りてくるのか?

「When You Sleep」
キャッチーなギター・ポップ・ナンバー。この曲でアシッドで、ドープな世界から、一度引き返すことができる。本来は彼らはギター・ポップのバンドだもんね。

「I Only Said」
「Come in Alone」
再びアシッド&ドラッギーな世界へ。ヤバイという気持ちと裏腹に脳内は高揚感で一杯だ。

「Sometimes」
「Blown a Wish」
アルバムで最も好きな2曲。「Sometimes」は、美しくも、虚しい愛なき世界のフォーキーなナンバー。「Blown a Wish」は、この退廃的な世界の希望の光のようなナンバー。そこに愛はあるのか...

「What You Want」
カッチョ良くロックしているナンバー。でも、あまりにフツーすぎて物足りなさを感じている。このアルバムにヤラれた証だ。

「Soon」
最後は、彼らのノイジーで、アシッドな世界をクラブ・ミュージック仕様にした有名曲。アシッド・ハウス全盛の当時のUkらしいサウンドかもしれないね。

この退廃的で耽美なサウンドは、音の快楽とも呼ぶべき絶頂感を覚える中毒性のある音楽だ。しかし、その絶頂が終わると、虚しさ、儚さ、切なさを感じることも確かだ。
人間は愛なき世界などでは生きてはいけないのだから...

ほどほどに聴くのがいい名盤それが『Loveless』だと思います。
posted by ez at 01:01| Comment(0) | TrackBack(1) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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