2006年05月06日

Lynden David Hall『Medicine 4 My Pain』

UKの才能溢れたR&Bシンガーへの追悼☆Lynden David Hall『Medicine 4 My Pain』
Medicine 4 My Pain
発表年:1997年
ez的ジャンル:UKソウル系R&B
気分は... :僕のハートの特効薬( ̄ー, ̄*)

Lynden David Hallのデビュー作『Medicine 4 My Pain』(1997年)をずっと紹介しようと思って、出来ずにいた。
そんな矢先の2月、ガンにより彼は31歳の若さでこの世を去ってしまった。

昨年出た3rdアルバム『In Between Jobs』発表時に、“ガンとの闘病生活を克服し、見事復活!”といった内容の記事を読んで彼がガンと闘っていたことは知っていたのだが...その若すぎる死はあまりに残念だ。

Lynden David Hallが残したアルバムは、『Medicine 4 My Pain』(1997年)、『The Other Side』(2000年)、『In Between Jobs』(2005年)のわずか3枚。正直、僕は2nd、3rdは聴いていない。僕にとってのLynden David Hallはデビュー作『Medicine 4 My Pain』が全てだ。

一般的にもLynden David Hallに対する評価の殆どは、このデビュー作に対するものだと思います。実際、Lynden David Hallは、デビュー当時“UKからD'Angeloへの回答”と称されるほどのUK期待のR&Bシンガーだった。

でもって、この『Medicine 4 My Pain』がホント素晴らしいんだよね。確かにグルーヴ感はD'Angeloと共通するものがあるけど、全体の雰囲気はD'Angeloよりもセクシー&スウィートってカンジですかね。あとUKならではのスタイリッシュさがあるかなぁ。ほんのりPrince殿下の香りもするかもしれません。

発売時にもよく聴いたけど、昨年このアルバムがマイ・ブームとなってそれ以来頻繁に聴いていマス。案外このタイプのR&Bって、現在あるようでない気がしマス。タイトルの通り、僕のハートの特効薬みたいな音楽っす。

昔のKeith Sweatあたりが好きな人なんかも気に入るんじゃないかなぁ。
彼女との甘〜い夜のお供にピッタリな1枚だと思いますよd(^ ^)グッ!
全曲Lyndenの書き下ろしっす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Do I Qualify?」
D'Angeloが変名で出しているのでは?”と彼が注目されるきっかけとナンバー。メロディアスなD'Angeloってカンジですね。Aretha Franklin「Chain of Fools」ネタを使っています。Arethaの記事でも書いたけど、「Chain of Fools」はAretha作品のマイ・フェイバリットなのでウレシイですね。

「Sexy Cinderella」
彼の代表曲と呼ぶべきヒット曲。セクシー&スウィート系が好きな人は間違いなくヤラれるスローですね。いかにもこれから彼女を落とすぜ!ってカンジがたまりませんな。Me'Shell Ndegeocelloがベースで参加していマス。

「Crescent Moon」
「There Goes My Sanity」
ネオ・ソウルなナンバー2曲。2曲ともUSのネオ・ソウル作品よりもスタイリッシュな印象を受けるのはUKならではかも?シングルにもなった「Crescent Moon」はCurtis Mayfieldの香りも漂ってきマス。「There Goes My Sanity」は哀愁のバラード。

「100 Heart Attacks」
D'Angelo好きにはたまらない浮遊感のあるグルーヴが印象的なナンバー。当然ながらジャジーっす。冒頭の打ち込みのピコピコ感がMarvin Gaye「Sexual Healing」っぽくて好きですね。

「Livin' the Lie」
重心の低いなベースラインを、オシャレなエレピの音色が包み込んでくれる実にオシャレなナンバー。しかも美メロとくれば文句ナシでしょう。Lyndenのセンスを感じる隠れオススメ・ナンバーですね。

「Yellow in Blue」
「Jennifer Smiles」
Lyndenのソングライティングの才能を感じる2曲。「Yellow in Blue」は切なさ一杯のメロウ・スロー。「Jennifer Smiles」は官能のファルセット・ボイスが何ともセクシーな美メロ・スロー。

「I Wish I Knew」
冒頭の♪I Wish〜I Knew♪のフレーズでメロメロになりそうなセクシー・スロー。

「Medicine 4 My Pain」
シングルにもなったタイトル曲。シンプルなアコースティック・ソウルはまさに痛みを癒してくれる感じですね。

ちなみに今回掲載している盤はオリジナルとジャケが異なります。
僕はオリジナルのUK盤で持っていますが、オリジナルのジャケの方が好きですね。

こんなセクシー&スウィートな名作を残してくれたLyndenに感謝します。これからもずっと聴き続けるからね!
心よりご冥福をお祈り致します(‐‐)†
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2006年05月05日

Joyce『Feminina』

90年代突如ブレイクしたブラジリアン・アコースティック・グルーヴ☆Joyce『Feminina』
フェミニーナ、そして水と光
発表年:1980年
ez的ジャンル:MPB系アコースティック・グルーヴ
気分は... :スッキリ、爽やか(* ̄ー ̄*)

いよいよFIFAワールドカップドイツ大会が目前に迫り、そろそろ気持ちもW杯モードに突入しつつあります。

日本と同じF組の優勝候補ブラジルの初戦先発メンバーが判明したみたいですね。ジダ、カフー、フアン、ルシオ、ロベルト・カルロス、エメルソン、ゼ・ロベルト、ロナウジーニョ、カカ、ロナウド、アドリアーノと予想通りのメンバーですね。個人的はカフー、ロベカルのベテラン両SBは大丈夫なのかと少し???ですが。

それに比べてジーコ日本は23名枠は何となくイメージできるけど、レギュラーは全然見えないカンジですね。4バックor3バック、中田、中村、稲本、小野といったかつての黄金の中盤4人はどうなる?FWは1トップor2トップ?久保の腰痛は大丈夫?柳沢は間に合うの?でも、このフタを開けてみないとわからないカンジが逆に楽しみっす。

ブラジルつながりで今回は久々にブラジル音楽にしてみます。ということで定番Joyce『Feminina』(1980年)をセレクト。

Joyceは、いわゆるMPB(Musica Popular Brasileria:ブラジル・ポピュラー音楽)の女性ミュージシャン。あんまり彼女の経歴は知らないけど、1968年に初リーダー作を発表した時点で19歳というから、もう50代後半の人なんですね。

1980年に発表した本作『Feminina』が、90年代に入りロンドンのクラブDJから再評価が高まり、ブレイクってカンジでしたよね。僕が持っているのも、その流れで1993年に発売された『Feminina』(1980年)と『Agua E Luz』(1981年)の2in1(2em1)シリーズのCDっす。

ジャケ好きの僕にとっては、あの2in1シリーズのダサ・ジャケが残念な限りです。同じ時に、Ivan LinsやPaulinho Da Violaの2in1も購入したんだけど、みんな同じブラジル・カラーのあのダサい構図っす(; ;)。。。現在のようにオリジナルのジャケを尊重して欲しかったっす。まぁ、お得な2in1だから文句も言ってられないのですが。

とにかく、涼しげで、爽やかで、リズミカルで、オシャレなブラジリアン・アコースティック・サウンドっす。

全曲紹介しときやす。

「Feminina」
クラブでも大人気となったブラジリアン・アコースティック・グルーヴ。この曲を聴いて本作の虜になりまシタ。サッカーブラジル代表で言えば、カカみたいなだね。プリティ・フェイスだけど軽やかで、テンポ良く、切れ味鋭いってカンジ。

「Misterios」
「Clareana」
アコースティックなバラード2曲。「Misterios」は、タイトル通りミステリアスなムードたっぷりっす。ヒンヤリ感が何とも魅力のナンバー。最後に出てくる子供コーラスも可愛くて好きですね。

「Banana」
これまたクラブ系リスナーが喜びそうな爽やかなグルーヴ。この曲聴いていると、フリーソウル・ファンにはお馴染みのカナダの女性フォーク・シンガーEllen McIlwaineあたりを一緒に聴きたくなってくるね。

「Revendo Amigos」
ストリングスとエレピの音色がイイカンジのロマンティックなバラード。友を思う情感が伝わってきますね。
 
「Essa Mulher」
「Da Cor Brasileira」
まさにサウダージ感覚の哀愁ナンバー2曲。「Essa Mulher」は女王Elis Reginaが取り上げ、Joyceブレイクのきっかけを作った名曲。この何とも言えない、物悲しさもブラジル音楽の魅力ですよね。ブラジル人ならではのDNAとも言うべきサウダージ感覚って、日本人の演歌DNAみたいなもんなんですかね?

「Coracao De Crianca」
アルバムの密かなお気に入りの曲。歌詞の内容がわからないけど、「子供のようなあなた」という邦題も僕向きかも(笑)僕的には、昨日の失敗を振り返りながら、まっ仕方ないか、前向きに行こう!って気分の時に聴きたいサウンドっす。

「Aldeia De Ogum」
これが僕のイチオシ曲。「Feminina」と並びクラブで人気となったアコースティック・グルーヴ。Joyceの魅力の1つにスキャットがあると思うんだけど、至福のブラジリアン・サウンドと共に魅惑のスキャットを満喫できるのがこの曲っす。言うこと無し。娘Clara Morenoによるクラブ仕様カヴァーも要チェック!

「Compor」
何とも気だるいカンジの小品。アレンジが洒落てますね。

2in1のもう1枚『Agua E Luz』(1981年)も『Feminina』の双子の妹のようなステキな作品ですよ。タイトルのように水と光に溢れたアルバムです(意味不明?)(^▽^)v ブイ!
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2006年05月04日

GW特別企画☆どっちのジャケット・ショー!本物はどっち?

ゴールデンウィークですね。
でも、僕はフツーに仕事しているので、ブログぐらいはGW気分で☆
と言うことで、気分転換にジャケット・ネタっす。

これまで紹介してきたアーティストや近々紹介しようと思っているアーティストの名作ジャケと、それに影響受けた、あるいは影響を与えたアーティストの作品を紹介しマス。

単に似ているというだけならば、有名アルバムのジャケを徹底的にパロったキワモノが数多あるので、なるべく単にソックリという話題だけではない作品を集めてみました。と言いつつキワモノもついつい紹介していますが(-_-;)

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)[左側]
Consequence『A Tribe Called Quence』(2005年)[右側]
Midnight MaraudersA Tribe Called Quence: 1995-2004

マイ・フェイバリットHip-HopアルバムでもあるATCQの名盤『Midnight Marauders』。そのATCQにも関わっていたQ-TipのいとこConsequenceのデビュー・アルバム。血縁関係だから許されるのか?

Chico Hamilton Quintet『Blue Sands』(1955年)[左側]
Incognito『Positivity』(1994年)[右側]
ブルー・サンズPositivity

Acid Jazzファンにはお馴染みのIncognitoのアルバム『Positivity』。このジャケットは僕も印象に残っていたが、これがChico Hamilton Quintet『Blue Sands』をモチーフにしていると知ったのはつい最近のこと。でも、このデザインの構図はとても50年以上前のものとは思えないよね。思わずジャケ買いしたくなるアルバム。

Hank Mobley『The Turnaround』(1965年)[左側]
The Beatnuts『Intoxicated Demons』(1993年)[右側]
The Turnaround!Intoxicated Demons

共にこのブログで紹介したHank MobleyとBeatnuts。これは逆にBeatnutsがモチーフにしたおかげで『The Turnaround』が再注目されたんじゃないかな。このBeatnutsのデビューEPの前年に発表されたAcid Jazzの大ヒット曲US3『Contaloop』のシングルのジャケットも『The Turnaround』ネタだったよね(しかもレーベルはBlue Note)。

Original Soundtrack『Flashdance』(1983年)[左側]
Jennifer Lopez『I'm Glad』(2003年)[右側]
FlashdanceI'm Glad

主演のJennifer Bealsの姿が印象的な映画『Flashdance』のサントラ。青春時代の懐かしさが込み上げてくる映画っす。それを同じJenniferつながるって訳じゃないけど、J.Loがパロっていマス。こうやって比べると、明らかにJ.Loに軍配アリっていうのが悔しいねo(><)o

The Rolling Stones『Exile on Main St.』(1972年)[左側]
キャロル『キャロル20 ゴールデン・ヒッツ』(1974年)[右側]
メイン・ストリートのならず者(でかジャケ)キャロル20 ゴールデン・ヒッツ

これは大物同士だね。僕はYAZAWAファンではないので、このキャロルのアルバムは全く知りませんでした。それにしてもStonesのアルバム発表の2年後に、こんなジャケットのアルバムを出してしまうなんて、さすが永ちゃんですねぇ。

Elvis Presley『Elvis Presley』(1956年)[左側]
The Clash『London Calling』(1979年)[右側]
エルヴィス・プレスリー登場!London Calling

これまた大物対決。僕も含めてThe Clash『London Calling』を愛聴している人は多いけど、案外このジャケのネタ元がこのPresleyのデビュー・アルバムだとは知らない人も多いのでは?みんなPresleyの名前や有名シングル曲は知ってるけど、オリジナル・アルバムなんてわからないもんね。

Kenny Burrell『Midnight Blue』(1963年)[左側]
Elvis Costello & the Attractions『Almost Blue』(1981年)[右側]
Midnight Blueオールモスト・ブルー

Elvis Presleyに続き、ElvisつながりでElvis Costelloっす。2枚共長年持っていたのに全然気付かず、ある時『Almost Blue』を手に取った時に突然ピンポ〜ン!とひらめき感動した思い出がありマス。

Donald Byrd『A New Perspective』(1963年)[左側]
Tone-Loc『Loc-ed After Dark』(1989年)[右側]
A New PerspectiveLoc-ed After Dark

この手の企画には必ず登場する2枚ですね。それまではBeatlesのアルバムのパロディやAl YankovicのMichaelのパロディのようなお笑い系のジャケ・パロディしか知らなかったけど、この2枚に出会ったおかげで、カッチョ良い系やリスペクト系のジャケ・パロディに興味を持つようになりまシタ。

Sonny Rollins『Sonny Rollins Vol.2』(1957年)[左側]
Joe Jackson『Body & Soul』(1984年)[右側]
Sonny Rollins, Vol. 2Body & Soul

これも有名な2枚ですね。Joe Jacksonらしいですな。『Body & Soul』については、聴くよりも眺めていることが多いアルバムっす(笑)『Sonny Rollins Vol.2』については近々紹介したいなぁと思っていマス。

Herbie Hancock『Inventions And Dimensions』(1963年)
Young Disciples『Road to Freedom』(1991年)
Inventions & DimensionsRoad to Freedom

これは一見似ていないようだけど、構図が『Inventions And Dimensions』をモチーフにしていますよね。案外気付かないけど、さりげに50年代、60年代のJazzアルバムのジャケをモチーフにしているアルバムって結構多いのでチェックしてみるのも面白いですよ。

Daryl Hall & John Oates『Private Eyes』(1981年)
Jon Auer/Ken Stringfellow『Private Sides』(2003年)
Private Eyes Private Sides

最後はキワモノ系。何も言うことはありません(ー。ー;

ジャケ好きの僕としては、今後も機会があればジャケット企画をしたいと思っていマス。
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2006年05月03日

The Who『My Generation』

モッズバイブル「My Generation」万歳☆The Who『My Generation』
マイ・ジェネレーション(デラックス・エディション)
発表年:1965年
ez的ジャンル:モッズバイブル・アルバム
気分は... :♪Talkin' 'bout my generation♪

昨晩、NHKの衛星映画劇場で大好きなThe Whoのドキュメンタリー映画『The Kids Are Alright』(1979年)を観た。

この映画は、Keith Moonが他界する直前に制作されたものであり、Pete Townshend(g)、Roger Daltrey(vo)、John Entwistle(b)、Keith Moon(ds)というオリジナル・メンバー4人によるライブ映像に大興奮でシタ。あとはKeithの変人ぶりがサイコー!ホント、あんたはイカしてる奴だぜ!

改めて思ったけど、これほどメンバー全員が均等に主役になっている大物バンドって他にいないよね。

さらに、初回放送を見逃したWOWOWの『Rock The Classic』のThe Who『Who's Next』の回も、一昨日の深夜に再放送でようやく観ることができまシタ\(^〇^)/ワ〜イ

何より、裏話やPeteやRoger、そして今は亡きJohnのコメントが聞けただけで大感激!『Who's Next』のベースとなった幻のSFファンタジー“Life House”についての話も大変興味深かったね。大好きな「Baba O'Riley」の解説も嬉しかったなぁ。

コレはWhoのアルバムを紹介するっきゃないでしょ!ってカンジで、記念すべき彼らのデビューアルバム『My Generation』(1965年)っす。

Whoの紹介は、『Who's Next』に続き2回目っすね。僕のWho好きについては『Who's Next』の記事を参照下さい。

『Who's Next』(1971年)は大傑作だけど、モッズ・バンドの面影は全く無いアルバムだったので、モッズ・ヒーローとしてのThe Whoを知りたい人は、モッズ・バイブルと言える永遠の名曲「My Generation」を含む本作『My Generation』を聴かないとね。

前述の『Rock The Classic』の中で、当時の関係者のコメントとして、“The Whoは若い女の子がキャー☆キャー言うのが似合わなかった。彼らは男の子のバンドだったのさ”というのあった。モッズ・バンドとしてのThe Whoのカッチョ良さをうまく説明している気がしまシタ。

デビュー前のThe Whoのポスターには、“The Who:Maximum R&B”というコピーが使われていた。The Whoと並ぶ元祖モッズ・バンドSmall FacesRolling Stones、Yardbirds、Animals等の当時の大物グループもR&Bテイストのロックバンドであったと言えると思う。しかし、他のグループとThe Whoが決定的に違っていたのは、ビート感溢れるダンサンブルなR&Bテイストだったという点だと思う。彼らがMartha Reeves & The Vandellas「(Love Is Like A) Heat Wave」をカヴァーしていたあたりがそれを象徴していると思いマス。

ファンの方ならばご存知の通り、このデビューアルバムのオリジナル仕様は、当時からもめていた諸権利の法的な問題により、LP時代から長い間廃盤状態が続いていた幻のアルバムっす。それが数年前にデラックス・エディションのかたちでやっと念願のCD化が実現しまシタ。

僕もThe Whoを聴き始めてしばらくの間、ジャケットも、曲目も異なるアメリカ盤(現在CDで『The Who Sings My Generation』として売られている盤)をずっとオリジナルだと思っていまシタ。当時見た雑誌・本のロックの名盤紹介の類でも、すべてアメリカ盤のジャケ写真が用いられていましたからね。しかも、アメリカ盤の方はCD化されていて長年聴いてきたので、正直アメリカ盤のジャケにも思い入れが深いっす。

なので、ある意味このオリジナル仕様盤は、ジャケットも含めてかなり新鮮に聴けまシタ。ちなみにThe Pretendersの代表作『Learning to Crawl』(1984年)は、本作のジャケットをモチーフにしていますよね。

この当時のロックバンドのデビューアルバムとしては、かなりオリジナル曲の比率が高い。Peteのソングリティング能力の高さがあったからこそでしょう。

全曲紹介しときやす。

「Out On The Street」
切れ味抜群のオープニング・ナンバー。前述のビート感溢れるダンサンブルなR&Bテイストという表現がピッタリのナンバー。ハードなボーカルとエッジの効いた演奏にウットリですな。

「I Don't Mind」
「Please, Please, Please」
James Brownのカヴァー2曲。どちらも哀愁ムードたっぷりのブルージーなバラードに仕上がっていマス。

「The Good's Gone」
Rogerの吐き捨てるようなボーカルと、Peteの鼻づまりコーラスが印象的な曲。どことなくKinksっぽいなんて思っていたら、Kinks「See My Friend」にヒントを得た曲なんだとか。

「La-La-La-Lies」
「It's Not True」
Martha Reeves & The Vandellasあたりとセットで聴きたくなる軽快なR&Bタッチのナンバー2曲。イカしたピアノプレイはNicky Hopkins、さすが職人さんですな!実にヒップなセンスに溢れる、密かなお気に入りの2曲。

「Much Too Much」
The Whoの売り物の1つのコーラスワークを堪能できるナンバー。この頃はまだ洗練されていないけどね。逆にそれが初々しいカンジでイイっす!

「My Generation」
説明不要のモッズ・バイブル。やっぱりこの曲の放つエナジーは別格だね。イントロ聴いただけで胸がトキメキね!Rogerのどもり唱法、Peteのブンブン扇風機ギター、Johnの骨太リード・ベース、Keithの大暴走ドラミングといったライブ光景が目に浮かびマス。Keithと一緒にドラムキットを蹴り倒したいね!

「The Kids Are Alright」
「My Generation」と並ぶモッズのテーマ曲。ハードな「My Generation」とは対照的に切ないメロディのポップなナンバー。この曲でPVで屋外での演奏シーンがあるんだけど、そこでお茶目にドラムを叩く(ふりをしている?)Keithの姿が何とも好きだなぁ。
この♪The Kids Are Alright♪というメッセージこそ、Pete TownshendあるいはThe Whoというバンドが一貫して伝えてきたものだと思いマス。

「I'm A Man」
ロックンロールのパイオニアの一人Bo Diddleyのカヴァー。でも、僕的にはアルバム中最も忘れがちな1曲かも?このタイプの曲をカヴァーするぐらいならば、オリジナルでいいじゃん!って気がしマス。

「A Legal Matter」
Peteがリードボーカルを努めるナンバー。同じR&Bタッチの軽快なナンバーでも、Peteが歌うとほのぼの(笑)してしまうのは何故?

「The Ox」
John Entwistleのニックネーム“The Ox”をタイトルにしたハードなインスト・ナンバー。“The Ox”ことJohnのスゴ腕ベースは勿論のこと、KeithとPeteのハードな演奏も含めて、ある意味最もThe Whoらしいナンバーかもしれないっすね。驚愕の1曲ですな。

なお、前述のアメリカ盤には「I'm A Man」の代わりに「Circles」が収録されています。実はこの「Circles」がカッチョ良いビート・ナンバーでお気に入りだったりしマス。

やがて70年代後半にパンク世代の多くのロックバンドが、このアルバムから影響を受けることになる。このアルバムのインパクトを考えれば、当然だよね。
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2006年05月02日

Little Feat『Dixie Chicken』

ニューオリンズR&Bテイストのファンキー・ロック☆Little Feat『Dixie Chicken』
Dixie Chicken
発表年:1973年
ez的ジャンル:ニューオリンズR&B系LAロック
気分は... :僕も足小さいっすo(> <)o

Little Feat(小さな足)というバンド名は、リーダーのLowell Georgeが、その足のサイズの小ささからミュージシャン仲間にからかわれたことが由来しているらしい。実は僕も足が小さいんですよね(¬¬)

1970年代のLAロックシーンで異彩を放っていたLowell George率いるLittle Feat。僕が洋楽を聴き始めた頃に購入したロックのグラフィティ本にも、Little Featは、Eagles、Doobie Brothersに続くウエストコーストのロックバンドと紹介されている。

Little Featは、Frank Zappa & The Mothers Of Inventionに在籍中のLowell GeorgeがZappaからバンド結成を勧められ、1969年に結成されたグループだ。

Lowell Georgeは、日本人の先生に付き、尺八を本格的に学んでいたいというユニークな音楽歴を持つ。僕も彼が袴姿で武道のポーズを取っている写真を見たことがありマス。結構、日本や東洋へ興味を抱いていた人だったのでは?

そんなLowell George率いるLittle Featは、Eagles、Doobie Brothersあたりと比べた場合、ユーモア感覚に溢れ、ルーツ・ミュージックと戯れた実に個性的なバンドだった。しかし、Lowell Georgeの体調不良やメンバー間の方向性の違いで1979年にグループは解散。そして、その直後Lowell Georgeがソロ・ツアーの最中に心臓発作で急死してしまった。必ずしも商業的に成功したバンドでは無かったようだ。

Little Featの代表作と言えば、『Dixie Chicken』(1973年)ですね。メンバーチェンジを経て、大胆にニューオリンズR&Bをテイストを取り入れたファンキーな意欲作っす。

メンバーは、Lowell George(g、vo)、Paul Barrere(g、vo)、Bill Payne(key)、Richard Hayward(ds)、Kenny Gradney(b)、Sam Clayton(per)の6人編成。

僕はこのLPを高校生の時に期待して購入した。でも、当時の僕はニューオリンズR&Bテイストのファンキーさやコクを理解することが出来ず、戸惑った記憶がある。AORやオーソドックスなウエストコースト・ロックに慣れていた僕にとっては、このギクシャク感が魅力のサウンドがピンと来なかったんだね。耳がまだガキんちょだったんですな。

ニューオリンズR&Bの魅力は、リズム・セクションの強いアクセント、軽快なピアノ、ホーンセクションあたりでしょうかね。この熟成サウンドを堪能するには、やっぱり年輪が必要な気がしますね。

そんな上質のワインのようなコクと香りを堪能あれ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Dixie Chicken」
モロにニューオリンズなオープニング。このギクシャク・ビートとディキシーなピアノが昔の僕には野暮ったいカンジがしたんだね。今では大好きですが。新橋ガード下で飲むオシャレ感覚みたいなサウンドですよね。

「Two Trains」
とってもMetersっぽいファンキーR&Bテイストのスワンプ・ロック。この曲は高校生の僕でもメチャカッチョ良いと思った。特に唸りまくるスライド・ギターにヤラれたね。Lowell Georgeのソロ・アルバム『Thanks I'll Eat It Here』でセルフ・カヴァーしていマス。

「On Your Way Down」
Allen Toussaintのアルバム『Life, Love and Faith』収録曲のカヴァー。とってもアーシーでドラッギーなけだるさが魅力のナンバー。夜の酒場にピッタリなナンバー。

「Kiss It Off」
幻想的かつスピリチャルな曲。かすかに聴こえるタブラのグルーヴがヤバイね。

「Fool Yourself」
The Bandの名曲「Weight」が好きな人ならば、必ず好きになるアーシーなナンバー。「Weight」同様のコクと深みがありマス。僕の一番のお気に入り曲っす。

「Walkin' All Night」
Lynyrd Skynyrdあたりに通じる豪快かつルーズなスワンプなロック・ナンバー。この曲もスライド・ギター好きにはたまりません。

「Fat Man in the Bathtub」
ニューオリンズの巨人Fats Dominoあたりを意識しているナンバーなのかな?この曲も昔は良さがわからなかった曲の1つ。

「Juliette」
LPを購入当初はこの曲が一番好きだったなぁ。きっと、一番メロディアスでサウンドが洗練されていたからだろうね。

本作以外のLittle Featの作品では、名曲「Willin'」、「Trouble」を含む2nd『Sailin' Shoes』(1972年)が僕のオススメっす。本作のようなファンキーさはありませんが、Lowell Georgeのソングライティングの良さと、ルーツ・ミュージックの探求を楽しめるアルバムっす。「Trouble」については、Lowell George死後に追悼年レコーディングしたNicolette Larsonのカヴァーを以前に紹介しましたね。

Lowell Georgeに興味がある方は、唯一のソロ・アルバム『Thanks I'll Eat It Here』(1979年)もどうぞ。『特別料理』というもの凄い邦題のスペシャル・ディナーをどうぞご賞味あれ!ジャケットのLowell Georgeの姿が美味そうな子豚に見えてきます(笑)

また、ニューオリンズにハマりたい人は、本作に続けてDr. John『Gumbo』(1972年)、Allen Toussaint『Southern Nights』(1975年)、そしてMetersNeville Brothersの諸作へ進むといいと思いヤス。
posted by ez at 00:19| Comment(5) | TrackBack(1) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする