録音年:1957年
ez的ジャンル:最強布陣ハードバップ系Jazz
気分は... :男の世界...
僕がイメージするジャズは、無骨で男臭いジャズだ。
本作Sonny Rollins『Sonny Rollins Vol.2』はそんなジャズを堪能できるアルバムっす。きっと、ジャズ初心者の方がジャズの熱気を感じるには絶好の作品だと思いマス。
社会人になってからJazzを本格的に聴くようになったが、その時最初に聴いたのが、1950年代後半あたりのMiles Davis、John Coltrane、Art Blakey、Bill Evans、そしてSonny Rollinsらの作品だった。これらは主に“ハード・バップ”あるいは初期の“モード・ジャズ”だ。ビ・バップをさらにハードでホットにしたジャズ・スタイルであるハード・バップは、僕的には一番ジャズのイメージに近いジャズ(意味の不明の表現かな?)デス。
テナー・サックスの巨人Sonny Rollinsは、そんなハード・バップ期のプレイヤーの中で、“ハード・バップ”という形容詞がとても似合う人だと個人的には思いマス。
僕がSonny Rollinsの演奏を初めて聴いたのは、The Rolling Stonesの80年代の代表作『Tattoo You』(1981年)からのシングルヒット「Waiting On A Friend」だった。とてもリラックスした雰囲気のこのナンバーで、ゲスト参加のRollinsはとても印象に残る豪快なブロウを披露してくれている。
一般的なRollinsの代表作と言えば、カリプソ・フレイヴァーの人気曲「St. Thomas」を含む不滅の名盤『Saxophone Colossus』(1956年)、ピアノレスのトリオによる奔放な演奏が印象的な『Way Out West 』(1957年)、ビレッジバンガードでの歴史的初ライブ録音『A Night At The Village Vanguard 』(1957年)あたりになるのかな。
でも、僕が一番好きなRollins作品は今回紹介する『Sonny Rollins Vol.2』デス。この作品は、先日の『GW特別企画☆どっちのジャケット・ショー!本物はどっち?』の記事でも、Joe Jackson『Body & Soul』(1984年)がこのジャケをモチーフにしていることで紹介しましたよね。
このジャケ写真は、Joe Jacksonが真似したくなるのも納得できるほど、ハード・バップのイメージにピッタリだと思う。そして、ジャケ写真のみならず、演奏もハード・バップの雰囲気を堪能できる内容になっていマ〜ス。
この作品の目玉の1つは、その布陣の豪華さっす。Sonny Rollins(ts)を筆頭に、トロンボーンの不動の第一人者J.J.Johnson(tb)、ジャズ史上最も個性的なプレイヤーThelonious Monk(p)、ファンキージャズの教祖Horace Silver(p)、Milesのグループでお馴染みPaul Chambers(b)、そして、ハード・バップ・ゴッドファーザーArt Blakey(ds)という最強メンツ。これで悪いはずがありません!
全曲紹介しときやす。
「Why Don't I」
軽快なオープニング・ナンバー。ジャズの曲って難しいイメージがあるかもしれませんが、とってもキャッチーで初心者でも楽しめるナンバーっす。Rollinsのソロがカッチョ良いのですが、後半のソロで入りのタイミングを間違えているというのが定説らしいっす。僕にはわかりませんが。でも、それをそのままレコードにしちゃうのがジャズらしいね。
「Wail March」
タイトルとは裏腹に、陽気な行進曲。ここではJ.J.Johnsonのトロンボーンがマーチの雰囲気にピッタリっす。これにSilverとBlakeyというファンキー・コンビが加わり、徐々にヒートアップしていくカンジがいいですな。
「Misterioso」
Thelonious Monkの作品。Monk自身のリーダー作『Misterioso』(1958年)も有名ですよね。Monkらしいまさにミステリアスな曲ですね。特に冒頭のどことなく調子っぱずれなカンジがMonkらしくで大好きデス。ここでは、何とMonkとSilverが1台のピアノを連弾していマス。前半のMonkと後半のSilverの演奏を聴き比べるのも面白いかもしれませんね。Monkへの配慮か、SilverやRollinsの演奏が抑え目なカンジなのが面白いですけど。
「Reflections」
これもMonk作品。こちらはブルージーなしっとりとした雰囲気のバラードっす。Monkのピアノが独特のムードを醸し出し、そこに絡むRollinsのサックスとの微妙なバランスが聴き応え十分デス。
「You Stepped Out Of A Dream」
スタンダード・ナンバーをハード・バップらしい演奏で聴かせマス。各々のソロがみんなカッチョ良いですな。このメンツの中でやや地味なChambersも存在感出してマス。
「Poor Butterfly」
ラストは哀愁バラード。切ないムードだけど、あんまり湿っぽくなりずぎないのがイイカンジですね。
本作や前述の代表作3作品がオススメですが、それ以外だとRollinsのかつてのニックネーム“Newk's”をタイトルにした『Newk's Time』(1958年)も僕の愛聴盤です。何でも、当時の大リーグのチーム、ブルックリン・ドジャーズの投手に似ていることから、このニックネームがついたらしいとか。