発表年:1996年
ez的ジャンル:スタイリッシュ系ネオ・グラム
気分は... :エクスタシー!
先週のMy Bloody Valentine『Loveless』の記事で書いた通り、90年代に入り僕の新作ロック離れが進んでいった。でも、全く新作ロックを聴かなかったわけではなく、少ないながらも新作を楽しみに待つアーティストも存在した。
Suedeもそんなグループの1つだったね。
Suedeはミーハー的に好きだったなぁ。90年代半ばのブリット・ポップの盛り上がりの中で、OasisやBlurに僕があまり興味を抱かなかったのには、UK期待の星No1はSuedeであるという思いがあったからだと思う。
ちなみに、Oasisは一応アルバムも1、2枚持っているが、今でも何がいいのかサッパリ理解できません。Blurは、その後それなりに好きになりまシタ。ブリット・ポップという見方をすれば、とっても英国らしさが漂うのがBlurかもね♪
話をSuedeに戻すと、Brett Anderson(vo)、Bernard Butler(g)、Mat Osman(b)、Simon Gilbert(ds)の4人で結成されたグループであり、1992年にシングル「The Drowners」、「Metal Mickey」の2曲が立て続けにインディーズ・チャートでNo1に輝き、一躍注目のグループとなった。
そして、1993年に禁断のデビュー・アルバム『Suede』を発表。ネオ・グラムと称されたグラマラスな雰囲気、ホモ、近親相姦、殺人といったタブーをテーマとして歌詞、そして官能的なボーカル&エクスタシーなサウンドに危険なニオイを感じつつも、一発でハマってしまった。
その後、Suedeファンの間では評価が高い2ndアルバム『Dog Man Star』(1994年)を発表。しかし、Brett Andersonと共にバンドの両論だったBernard Butlerが脱退し、グループは一気に危機に直面することになった。
そんな中、新たにギターRichard OakesとキーボードNeil Codlingを加え、約2年のブランクを経て発表されたのが本作『Coming Up』(1996年)っす。
サウンドを聴くまではかなり不安が過ぎったけど、ソニーのCMにも使われたオープニング・ナンバー「Trash」を聴いて、歓喜してしまいまシタ。アルバム全体としては、以前に比べて、退廃的なムードが後退し、スタイリッシュで開放的になった印象を受けたね。
以前からのファンにとって、この変化は意見が分かれるところだろうけど、僕的にはグラマラスなポップ・アルバムってカンジが好きだなぁ。まさに70年代のT.Rex、David Bowieといったグラム・ロックを彷彿させるネオ・グラムって言葉がピッタリなアルバムに仕上がっていると思いマス。
結果的にアルバムは大ヒットし、5曲の全英Top10シングルを生み出した。
新生Suedeの存在感を見せつけてくれた傑作アルバムっす!
オススメ曲を紹介しときやす。
「Trash」
前述のソニーのCMにも使われたアルバムからの1stシングル。単純にカッチョ良いナンバー。この突き抜けたカンジの開放感が何ともイイね。Brettのボーカルも、スタイリッシュになった新生Suedeサウンドにマッチしていマス。
「Beautiful Ones」
アルバムからの2ndシングル。彼らのポップ路線への変化が顕著な曲。でも、セクシーなBrettのボーカルは健在であり、従来からの魅力と新たなサウンドが見事に融合していマス。とっても優雅な気分のナンバー。
「Saturday Night」
アルバムからの3rdシングル。美しいラブ・バラード。これまでもバラードの傑作を残してきた彼らだけど、何となく破滅的な恋のイメージが強かったね。その点、この曲は健全な(?)なラブ・バラードに仕上がっていると思いマス(笑)
「Lazy」
アルバムからの4thシングル。「Trash」と並ぶお気に入りシングル。90年代に甦ったT.Rexって趣きのエクスタシーなナンバー。ライトタッチのセクシーさがたまりません☆
「Filmstar」
アルバムからの5thシングル。映画スターの虚構ゲームを歌うシニカルなナンバー。途中がとってもPink Floyd「Breathe In The Air」そっくりに聴こえるのは僕だけか?
「Starcrazy」
アルバム中、従来のSuedeの雰囲気に一番近いのがこの曲なのでは?1、2曲こういうのを聴けると、それはそれでホッとしますね。
「The Chemistry Between Us」
シングル曲以外ならば、この曲が一番好きかな。実に美しい曲だね。ハイトーン・ボイスのDavid Bowieってカンジかもね!壮大なスケール感のあるサウンドも魅力デス。
ちなみにジャケのグループ名がThe London Suedeとなっているのは、アメリカの同名バンドから訴訟を起こされたため、苦肉の策としてこのグループ名を使っていマス。
これからSuedeを聴く人は、本作や4thアルバム『Head Music』(1999年)あたりのポップな作品で免疫をつくってから、官能と倒錯の『Suede』、『Dog Man Star』を聴くといいと思いマス。