発表年:1990年
ez的ジャンル:セネガル系ワールド&アース・ミュージック
気分は... :アフリカ旋風が観たい!
僕のサッカーW杯ドイツ大会の1つの観戦ポイントとして、アフリカ勢の活躍がある。アフリカ勢が活躍し、予選リーグで番狂わせを起こすと、がぜん大会が盛り上がる!
イタリア大会のカメルーン、アメリカ&フランス大会のナイジェリア、日韓大会のセネガルと毎回必ず魅力的なチームが出場し、楽しませてくれますよね。
僕的には、フランス大会の予選リーグ「スペイン対ナイジェリア」が印象深い。無敵艦隊と呼ばれた優勝候補スペインを3対2で破ったナイジェリアのカヌー、オコチャ、オリセー、フィニディ・ジョージ等のタレントのプレーは観ているだけで本当にワクワクした。この大会で僕は本気でナイジェリアが優勝候補だと思っていたので。でも、決勝トーナメント1回戦でデンマークに1対4の大敗...このあっけなさがいかにもアフリカ勢(笑)
さて、今回アフリカから出場するのは、コートジボワール、ガーナ、アンゴラ、トーゴ、チュニジアの5ヶ国。個人的にはバルセロナのエースとして、今期のチャンピオンズリーグ決勝MVP&スペインリーグ得点王に輝いた、現時点での僕が考える世界最高のストライカー、エトー(カメルーン)をW杯の舞台で観れないのが何より残念ですが、コートジボワール、ガーナあたりに期待したいですね。
コートジボワールは死のC組、ガーナはC組に次ぐ激戦区E組と共に波乱を巻き起こすには絶好のグループ。エトーと並ぶアフリカを代表するストライカーで、プレミアリーグを連覇したチェルシーのエース☆ドログバ(コートジボワール)に期待したいっす。
ということで、本ブログ初のアフリカ音楽、Youssou N'Dour『Set』(1990年)っす。
以前にも書いたが、80年代後半から90年代初めは、ワールド・ミュージックの流れで結構アフリカ音楽も聴いていた。各国で様々な音楽スタイルがあるので、“アフリカ音楽”の一言で括ってしまうのは適切ではないんだけど、今でもよく聴くアフリカ音楽の作品がKing Sunny Ade & His African Beats『Syncro System』(1983年)とYoussou N'Dour『Set』(1990年)の2枚だ。
ナイジェリア出身のKing Sunny Adeによる『Syncro System』は、僕にとって本格的なアフリカ音楽との出会いとなった衝撃作である。一方、Youssou N'Dour『Set』は、真の意味でのワールド・ミュージックというものを提示された気がしたアルバムだ。
セネガル出身のYoussou N'Dourは、ワールド・ミュージックのムーブメントと共に、世界の音楽シーンから大きくクローズアップされ、以後シーンを牽引し続ける、まさにセネガルあるいはアフリカが誇るミュージシャン。日本でもBeatlesの名曲カヴァー「Ob-La-Di Ob-La-Da」がホンダのCMで流れていたので、お聴きになった方も多いのではと思いマス。
僕が持っているYoussou作品は、『The Lion』(1989年)、『Set』(1990年)、『Eyes Open』(1992年)、『Guide (Wommat)』(1994年)、『Nothing's In Vain』(2002年)の5枚。どれもいい作品ばかりだけど、1枚となると『Set』かなぁ。
『Set』は、Youssou音楽が持つ躍動感を、ワールド・ミュージック的な観点からうまく整理したアルバムだと思う。サッカーで言えば、個人技中心だったアフリカ・サッカーがヨーロッパ的な規律、戦術をうまく吸収して、ワンランク・ステップアップしたようなイメージに近いアルバムかもしれないね。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Set」
Youssouの音楽の強さを感じるオープニング・ナンバー。心地良いグルーヴというよいも、力強いグルーヴってカンジがするね。
「Alboury」
サッカーにおけるアフリカ人選手特有の間合いのような独特の雰囲気を持った曲。
「Toxiques」
このアルバムのハイライト曲の1つ。とってもワールド・ミュージックらしい壮大なスケール感を持ったナンバー。歌詞の内容をよく知らないけど、とっても緊張感のあるサウンド自体が強烈な警鐘のように聴こえる。
「Sinebar」
僕の一番のお気に入り曲。このアルバムをよく聴くのも、この曲が聴きたいからだ。安易にグルーヴという言葉では表現できない、この躍動感は何なんだろうね。まさに大地の音楽、生命の音楽って気がします。
「Medina」
「Sinebar」の躍動感をクールダウンするような、癒し系ナンバー。このシンプルさが逆にYoussouの個性を浮き彫りにしてくれマス。
「Miyoko」
日本人にとっては興味深い曲。タイトルの通り、日本人アキヤマミヨコ(多分、秋山美代子)さんのことを歌ったナンバー。そんな事を全く知らず、いきなりスピーカーから♪ミヨ〜コ♪ミヨ〜コ♪ミヨ〜コ♪アキヤマ♪って聴こえてきた時には驚いたね!
「Fakastalu」
この曲も大地の息吹を感じる、ワールド・ミュージックという表現より、アース・ミュージックという表現が似合うナンバー。
「One Day」
「Set」に通じる力強いグルーヴ。「Set」やこの曲を聴いていると、この当時の音楽シーンのトップランナーは英米のミュージシャンではなく、Youssouであったことを認識できると思いマス。
本作とKing Sunny Ade & His African Beats『Syncro System』、Salif Keita『Solo』(1987年)の3枚は、先入観を持たず聴くと、新たな音楽観を提示してくれるアルバムだと思いマス。