2006年06月30日

The Brand New Heavies『The Brand New Heavies』

Acid Jazzブームを象徴するグループThe Brand New Heavies(BNH)のデビュー作☆『The Brand New Heavies』
The Brand New Heavies
発表年:1991年
ez的ジャンル:ソウル/ファンク系Acid Jazz
気分は... :W杯のない夜は淋しい(; ;)

ここ3週間ほど毎晩W杯のある生活に慣れてしまったため、ここ2日間ほどW杯のない晩は何か物足りないね。今月に入ってからは夜遊びもほどほどに健全に生活(?)を過してきたので、一気に気が抜けてしまった感じですな。

こんな時はワクワク気分になるプラスモードの作品でも聴こっと!ということで今回は90年代前半のAcid Jazzブームを代表するグループThe Brand New Heaviesのデビュー作『The Brand New Heavies』(1991年)っす。

Acid Jazzブームについては、以前にYoung Disciples『Road to Freedom』の記事で説明しているので、そちらをご参照下さい。

今、Acid Jazzブームに活躍したグループを振り返って、真っ先に名前が思う浮かぶのがこのThe Brand New Heavies(略してBNH)かもしれない。スキ度で言えば、Young Disciplesとかの方がスキなんだけどね。それだけBNHはAcid Jazzの象徴のようなイメージがあったのかもね。

僕の頭の中の知覚マップでは、BNHはIncognito、D'Influenceあたりと同じグループに属している。家のCD棚でもこの3グループは同じ一角に位置している。ソウル/ファンク色の強いBNHとフュージョン色の強いIncognito、D'Influenceあたりは必ずしも同タイプのグループではないかもしれないんだけどね。

さて、『The Brand New Heavies』(1991年)ですが、何と言っても直前にメンバーとなった女性ボーカリストN'Dea Davenportの存在が大きいっす。彼女のソウルフルかつ艶やかなボーカルがアルバム全体を実に華やかにしてくれていマス。N'Dea Davenportについては、以前にGuru『Jazzmatazz』のゲスト・ボーカリストとしても紹介しましたね。

Acid Jazzってどんな音楽?と思われる方の入門盤としてはピッタリのアルバムだと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「BNH」
グループ名をタイトルにしたオープニング・ナンバー。ライトタッチのフュージョン・テイストなナンバー。

「Dream Come True」
シングルヒットしたサマー・ファンク・チューン。涼しげなN'Dea Davenportのボーカルと夏の太陽をイメージさせる陽気なグルーヴが実に気持ちいいナンバー。聴いているだけでウキウキですな!アルバムで一番のお気に入りっす。

「Never Stop」
「Dream Come True」と並ぶ本アルバムの目玉。アルバムからの1stシングル。UKらしい暑苦しくな爽やかなメロウ・グルーヴっす。90年代前半のUKクラブミュージックのこのグルーヴ感はやっぱり格別だね。今聴いても全然OKだねっ☆N'Dea Davenport嬢のボーカルもサイコーっす。

「Gimme One of Those」
70年代ジャズ・ファンク風のインストナンバー。

「Ride in the Sky」
Acid Jazzらしいライトなグルーヴ感が気持ちいいナンバー。軽くブラジリアン・フレイヴァーが効いていマス。

「Sphynx」
スフィンクスのようなミステリアスな雰囲気に溢れるスリリングなナンバー。

「Stay This Way」
アルバムからの3rdシングル。これも夏向けのメロウ・グルーヴだね。今聴いていたら、Aya『Strange Flower』あたりと一緒に聴くといいかもね。まぁ、Ayaと違ってN'Dea Davenportのボーカルは全然ソウルフルだけどね。

本作を気に入った方は、同じ路線の『Brother Sister』(1994年)もどうぞ!

個人的には、本作の後に発表された異色作『Heavy Rhyme Experience, Vol.1』(1992年)もかなりオススメ!BNHの演奏をバックにHip-Hopアーティストがラップするという、Acid JazzとHip-Hopの融合を狙ったものであり、Main SourceGang StarrPharcyde、Kool G. Rap、Black Sheep等今振り返ると蒼々たるメンバーが名を連ねていた。

特にPharcydeファンはHip-Hop史上に残る名曲「Soul Flower」のカッチョ良さにぶったまげますよ!Pharcydeの1st『Bizarre Ride II』に収録のバージョンも勿論大好きだけど、BNHの洒落た生音とPharcydeのハッピーなラップの組み合わせによる「Soul Flower」はまた別の意味で格別っす!聴くべし!
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2006年06月29日

Art Pepper『Modern Art』

クールなダンディズム溢れるウエストコースト・ジャズ☆Art Pepper『Modern Art』
Modern Art: The Complete Art Pepper Aladdin Recordings, Vol. 2
録音年:1956-57年
ez的ジャンル:ダンディズム系ウエストコースト・ジャズ
気分は... :ナルシスト気分で!

昨日でW杯決勝トーナメント1回戦終了。
「フランス対スペイン」は見ごたえありましたね。

グループリーグの戦いぶりを観れば、スペイン有利と予想した人が多かったと思うけど、フランスがグループリーグのダメダメぶりから見違えるような素晴らしいサッカーでスペインを圧倒してしまいましたね。僕もかなり予想外でした。個人的には、今大会こそスペインは実力を証明してくれると思ったんだけど...

フランスは、ジダンおよびビエラの復調は勿論のこと、右ウィングのリベリが化けてきたね。グループリーグの頃は、右ウィングにジュリが居れば?なんて嘆いていたが、一戦ごとのもの凄い成長ぶりには驚きました。こういったラッキーボーイの存在とジダンの有終の美を飾るためにチームがまとまりを見せれば、ブラジルもうかうかできないね。相変わらず、ドメネク監督はとても名将には思えないが。

今回は白人アルトサックス奏者の最高峰の一人Art Pepper(1925-1982年)っす。

Art Pepperと言えば、Gerry Mulligan、Chet Baker、Bud Shankらと並ぶ1950年代に流行ったウエストコースト・ジャズを代表するミュージシャンの一人。

ダンディズムに満ちた天才肌の白人ジャズ・ミュージシャンというのが、僕の抱くArt Pepperのイメージだ。実際のArt Pepperは、天才アルトサックス奏者としての名声を手に入れた一方で、麻薬中毒のために刑務所行きを何度も繰り返した自己破滅型のジャズ・ミュージシャンだったらしい。

そんなPepperのピークを伝える作品が50年代後半に録音された『The Art Pepper Quartet』(1956年)、『Modern Art』(1956-57年年)、『Art Pepper Meets The Rhythm Section』(1957年)の3作品だと思いマス。

その中から最もダンディなPepperのアルトサックスを堪能できる作品だと思う『Modern Art』をセレクトしました。

ジャズ評論家によると、本作はPepperの天才的なアドリブ・センスを発揮しまくてっている、まさに“現代アート”な作品らしい。メンバーは、Art Pepper(as)、Russ Freeman(p)、Ben Tucker(b)、Chuck Flores(ds)。Russ Freemanを中心に控え目ながらPepperを好サポートしていヤス。

僕的には、このアルバムを聴いていると、ジャケ写真のPepperのように、眉間にシワを寄せながら、シブ〜い大人を演じて物思いに耽りたくなる。

さぁ、今晩はナルシスト気分なジャズで決めてみよう!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Blues in」
Tuckerのベースをバックに、いきなりPepperの少し翳りのある艶やかなアルトを堪能できるナンバー。

「Bewtched」
Freemanのメロウなピアノ伴奏をバックに、「魅せられて」という邦題の通り、ロマンチックなPepperのアルトにうっとりするバラード。

「When You're Smiling」
Pepperのダンディズムぶりが発揮された、軽快で小粋なミディアム・ナンバー。こんなさり気なくオシャレなジャズを聴けば、愛しのアノ娘も微笑むかもね?

「Cool Bunny」
ウエストコースト・ジャズらしいクールネスに満ちたナンバー。このヒンヤリ感がとっても好きですな。

「Dianne's Dilemma」
ジャケ写真のような苦悩するPepperの心情がそのまま音になったようなナンバー。

「What Is This Thing Called Love」
ライトタッチなスウィンギー・ナンバー。ウエストコースト・ジャズって、このキザでクールな軽さが魅力だと思うなぁ。

「Blues out」
「Blues in」で始まり、「Blues out」で閉める。このあたりの構成がPepperらしい気がしマス。

CD化に際して追加された「Summertime」、「Fascinating Rhyth」、「Begin the Beguine」、「Webb City」も素晴らしく、かなり嬉しいボーナストラックっす。
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2006年06月28日

Calexico『Feast Of Wire』

砂漠の中で鳴り響くメキシカンな乾いたロック☆Calexico『Feast Of Wire』
Feast of Wire
発表年:2003年
ez的ジャンル:アリゾナ系デザート(砂漠)ロック
気分は... :不毛の地でも音楽は鳴り続ける...

世の中は、自分の思い通りに行かないことが実に多い。
だからと言って、そこで立ち止まっていては前進できない。
でも、そこで焦ることはない。人間焦るとロクな行動をしないから?
何も考えず、頭の中を空っぽにしてみるのも悪くはない。

そんな気分にマッチする乾いたロックCalexico『Feast Of Wire』(2003年)っす。

Calexicoは、マルチ・プレイヤーJoey Burnsとパーカッション奏者John Convertinoを中心としたロック・バンドらしい。グループ名のCalexicoとは「California+Mexico」を意味するんだとか。アメリカとメキシコの境界に位置するアリゾナ州ツーソンを拠点にする彼ららしいグループ名である。

Calexicoの音楽は、“デザート(砂漠の)ロック”と呼ばれる。デザートロックが何かは正直詳しくないが、砂漠の不毛地帯のような乾いたテイストのロックをさすようだ。特にCalexicoの場合は、ペダル・スティール、アコーディオン、トランペット、パーカッションなど駆使したメキシカン・テイストのデザートロック・サウンドが特徴だ。

僕が持っているのはCalexicoの4thアルバムとなる『Feast Of Wire』(2003年)だ。Joey BurnsとJohn Convertinoがかつて在籍したデザートロックの雄Giant Sandのアルバム『Cover Magazine』(2002年)と一緒に購入したと記憶している。

よく言われることだが、『Feast Of Wire』は砂漠の中を旅するロードムービーのサントラのようなアルバムだ。砂漠の中のポツンとある古びたバーで、昼間からビールでも飲んだくれている連中の風景が思い浮かぶ。

決して明るくはないけど、湿っぽくはない、実に乾いた印象のこの作品を聴いていると、不思議と日々の忙しさから解放された気分になり、くよくよ悩んでいたことも馬鹿らしい気分になってくる。その意味では何か失敗をやらかした日や、悩んでいる日に缶ビールでも飲みながら、気持ちをプチリセットするにはピッタリの音楽かもしれない。

物事うまくいかないマイナスモードの時には、とかく余計なことを考えがちだ。
そんな時には不毛の地の音楽でも聴きながら、頭を空っぽにしてみるといいさ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Sunken Waltz」
アコーディオンの美しくも悲しげな音色が印象的なワルツ・ナンバー。

「Quattro (World Drifts In)」
砂漠の中をただひたすら走り続けるドライブのような、乾いた疾走感漂うナンバー。

「Black Heart」
哀愁出しまくりのストリングスをバックに、切なく歌われるバラード。悲しい時には、こんな曲で一度悲しみにどっぷり浸かってしまうのもいいかもしれない。

「Not Even Stevie Nicks...」
詳しくはわからないけど、やっぱりアノ元Fleetwood MacのStevie Nicksのことでしょうね?気のせいかStevie Nicksが歌うとピッタリのような気がしてくる。ほんのりメロウなアルバム中一番のお気に入り曲。なんか静かなるパワーが湧いてきマス。

「Close Behind」
これはAntonio Banderas主演のエル・マリアッチ・シリーズあたりのサントラに似合いそうな実にメキシカンなナンバー。

「The Book and the Canal」
ポストロック、ミニマル・ミュージックのような印象も受ける哀愁のインスト。

「Attack El Robot! Attack!」
これはエレクトロニカなナンバー。メキシカンなエレクトロニカって案外珍しいかもね!

「Across The Wire」
昔のRy Cooderあたりを思い出すナンバー。そう言えば、テックス・メックスなんて音楽もあったよね。

「Dub Latina」
「Guero Canelo」
これはCalexicoらしい泣きのメキシカン・テイストに溢れる2曲。再びエル・マリアッチ登場!って雰囲気かな☆

「Crumble」
ジャズ・テイストのナンバー。トランペットの哀愁感が何ともイイっす。

さぁ、また1日が始まるけど、人間何とかなるものさ!
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2006年06月27日

Zapp『Zapp II』

ファンク・クラシック「Dance Floor」を含むZappワールド炸裂☆『Zapp II』
Zapp II
発表年:1982年
ez的ジャンル:トーク・ボックス系重量級ファンク
気分は... :人情味溢れるファンクだぜ〜ぃ!

僕の最も好きなファンク・グループZappの2回目の登場っす!
(最近2回目シリーズが続きますが...)

前回は僕がZappにハマるキッカケとなった4thアルバム『The New Zapp IV U』(1985年)を紹介しましたが、今回はおそらくZappの全作品の中で最も人気が高いと思われる2ndアルバム『Zapp II』(1982年)っす。

僕がZappおよびRogerの名前を明確に意識するようになったのは、Rogerの1stソロ『The Many Facets of Roger』(1981年)だったかなぁ。『P-ファンク...って何だ!?』という邦題がかなりインパクトあった。

George Clinton『Computer Games』の記事でも書いたが、この頃は今と違ってR&B/Funk系アーティストの音楽を聴く機会や情報に乏しい時代だったので、P-Funkという音楽は謎の存在だった。そこへ『P-ファンク...って何だ!?』ってタイトルの作品だからね!“何だ!?じゃなくて、教えろよ!”ってツッコミ入れたくなった。でも、その時は結局聴かずじまいだった。

その後、P-Funkやファンクのレコードや知識も多少増え、ついに出会った初Zappレコードが名曲「Computer Love」を含む『The New Zapp IV U』だった。その後、新旧作含めてZapp/Rogerにズボズボハマっていったのだった。

僕自身の思い入れは、Zapp『The New Zapp IV U』(1984年)、Roger『Unlimited!』(1987年)、『Bridging The Gap』(1991年)あたりが強いんだけど、若いリスナーの方にZapp/Roger流ファンクの入門編でオススメということであれば、Roger『The Many Facets of Roger』(1981年)またはZapp『Zapp II』(1982年)のどちらかだろうね。

『Zapp II』は、タイトルの通りデビュー作『Zapp』に続く2ndアルバム。100%Zapp流重量級ファンク全開のアルバムっす。勿論Rogerのトーク・ボックスが♪ミャア〜♪ミャア〜♪唸りまくってマス。

デビュー作『Zapp』はBootsy Collinsがプロデュースを努めたが、本作からは自分達でセルフ・プロデュースしていヤス。

全曲紹介しときやす。

「Dance Floor」
Zappの代表作でもある大ヒット・ファンク・ナンバー。下っ腹に響く重量級ファンクっす。いつも思うんだけど、Zapp/Rogerのミディアム・ファンクって、ファンクのリズムで演歌を歌っているような気がする。Rogerのトークボックスの♪ミャア〜♪ってカンジが演歌の小節の節回しに似ている気がするんだよね。この曲なんかまさにその典型だね。

Beastie Boys「Hey Ladies」、EPMD「Chill」、Erick Sermon「Stay Real」、「Safe Sex」、2pac & Snoop Dogg「Wanted Dead or Alive」、1st Born「So Many Options」等のサンプリング・ネタとしても定番ですね。

「Playin' Kinda Ruff」
トークボックス小休止でソウルフルなボーカルが印象的なミディアム・ファンク。トークボックスがないことで、Zapp/Rogerサウンドのベースには昔ながらのソウル、リズム&ブルースのマナーも脈々と受け継いでいることを再認識できます。

「Doo Wa Ditty (Blow That Thing) 」
ドゥーワップなZapp流ファンクを楽しめるナンバー。案外、Zapp/Rogerってドゥーワップの影響が強いよね。Paperboy「Ditty」などのサンプリングネタにもなっていマス。

「Do You Really Want an Answer?」
個人的には一番お気に入りのポップなソウル・ナンバー。スウィートなんだけど、切ない哀愁感が漂うところが何とも好きっす!

「Come On」
ファンキーなホーンセクションがご機嫌なファンク・ナンバー。延々とロングバージョンで聴きたい気分!

「A Touch of Jazz (Playin' Kinda Ruff Part II) 」
タイトルの通りRogerのジャス・テイストなギタープレイを堪能できるファンク・チューン。

こうやって聴いてくると、Zapp/Rogerってソウル、ドゥーワップ、リズム&ブルース、ジャズといった伝統的なブラック・ミュージックを、ダンサブルなファンク・サウンドにさりげなく取り入れる術に長けていたよね。

あと、ファンクに似合わない形容詞かもしれないけど、Zapp/Rogerの温かみのあるサウンドって人情味溢れる下町ファンクって気がする。

僕は一度だけZappのライブを観に行ったことがあるけど、レコードを遥かに超えたそのライブ・パフォーマンスにブッ飛んだ記憶がある。ライブの熱い雰囲気に最も近いアルバムが本作ではないかと思う。
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2006年06月26日

Doors『Strange Days』

Jim Morrison率いるDoorsの作品中最もサイケなアルバム☆『Strange Days』
Strange Days
発表年:1967年
ez的ジャンル:破滅的カリスマ系サイケデリック・ロック
気分は... :実に滑稽な風景だ...

最近、知人のブログで「自己完結な会話」というテーマが話題になった。

自己完結の会話とは、相手の考え、気持ちなどお構いなく、自分の価値観を一方的に述べて、こちらは何の同意もしていないのに、勝手に自分に同意していると勘違いしているような会話だ。

大体自己完結な会話をする人の特徴として、自分の体験、知識を他人に自慢して、相手から“スゴイですね!”という返事を引き出したいという願望が強いケースが多い。

でも実際には、本人が得意気に語っても、相手はそんな体験や知識に興味はなく、“うぜぇ〜”と思うことはあっても、“スゴイ!”と思うことは殆どない。僕もコノ手の高慢な態度の相手に出くわすと、心の中の性悪な自分が顔が覗かせ、逆にその知識の欠如・矛盾を探り出し、ツッコミを入れたくなってしまう!オレって嫌な奴だね〜。でも普段は温厚な人柄ですので(笑)

可哀想だけど本人の思いとは裏腹に、実に滑稽な会話風景なのだ。
特に、自分では体験・知識が豊富だと思っている人ほどこういった会話に陥るケースが多い。仮に本当に豊富な体験・知識(=コンテンツ)を有していたとしても、それが会話の文脈(=コンテキスト)に合っていなければ、それは無用な体験・知識談である。

個人的には、会話の中で文脈(コンテキスト)を的確に判断し、それに合った内容(コンテンツ)を峻別できる“コンテキスト力”のようなものが、コミュニケーションの善し悪しを決めるポイントだと思う。

さて、滑稽な会話風景などと書いていたら、何とも滑稽なイメージのジャケ写真が印象的なDoors『Strange Days』を思い出した。

Doorsのアルバムと言えば、既に本ブログで紹介済みの鮮烈なデビュー作『Doors』が有名だが、『Strange Days』は『Doors』に続く2ndアルバム。

大ヒット・シングル「Light My Fire」を含む『Doors』は、ワイルドなJim Morrisonのボーカルとベースレスという異色のバンド編成が生み出すサイケかつジャズっぽいサウンドが特徴だった。

それに比べると、本作『Strange Days』は、ジャズ色はやや後退し、よりサイケ色が強まったアルバムと言えるかもしれない。Jim Morrisonの歌詞もよりトリップ・ソング的なものになってきている、ベースレスが特徴のバンド編成もベース奏者がゲスト参加していマス。

次の3rdアルバム『Waiting for the Sun』が、かなりポップ色の強いアルバムにシフトしていったことを考えると、最もサイケなDoorsが聴けるのが本作かもしれない。

Jim Morrisonによるストレンジな世界を他のメンバーRay Manzarek、Robbie Krieger、John Densmoreがストレンジなサウンドで仕上げてくれた、ある意味最もDoorsとして完成されたアルバムと言えるかも?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Strange Days」
奇妙な旅芸人一座が街を練り歩く姿がピッタリとハマるストレンジなナンバー。儚く幻想的なサウンド&ボーカルが印象的ですな。

「You're Lost Little Girl」
ボーッとした虚脱感に襲われるナンバー。そんな中でRobbie Kriegerのギターがやけに美しく感じる。教会音楽っぽいテイストもいいね。

「Love Me Two times」
サイケなエレクトリック・ブルース。Ray Manzarekのチェンバロ(?)っぽい音色のキーボードがカラフルな色彩のサウンドに仕上げてくれていマス。

「Unhappy Girl」
Doorsらしい儚いポップ・ソング。哀愁のグループ・サウンズみたいなカンジが魅力☆

「Horse Latitudes」
Jim Morrisonの詞の朗読が聴けるナンバー。「放牧地帯」という邦題がインパクトあるよね!

「Moonlight Drive」
Doors結成のきっかけにもなったJimの歌詞が素晴らしいナンバー。♪月光のドライブ♪月に向かって泳ごう♪という歌詞は文学的でもあり、トリップ・ソング的でもありビミョーな気もするけどね。

「People Are Strange」
邦題「まぼろしい世界」というタイトルの方がピンとくるかもね。人間の心の歪みを淡々と歌うJim Morrisonに、逆に孤独感やヤバさを感じる。「Strange Days」同様に旅芸人一座の姿が浮かんでは消えるカンジのストレンジなサウンドもグッド!

「My Eyes Have Seen You」
本作の中では最もハードな印象なナンバー。1stのワイルドさが好きな人にはオススメのナンバー。

「When The Music's Over」
10分超の大作。♪音楽はきみの唯一の友、終わるときまで♪といった終末観に満ちた歌詞は、当時の若者にとってかなりインパクトがあったのでは?またサウンドもこのヤバイ歌詞をさらにおどろおどろしくすることに見事に成功し、『Doors』収録の「The End」と並ぶ名曲に仕上げていマス。

コンテキスト力ということで言えば、ブログというのはもっとも文脈(コンテキスト)を意識すべき、コミュニケーション・ツールだと思う。自分も気を付けたいものっす。
posted by ez at 00:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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