発表年:1982年
ez的ジャンル:エレクトリック・“P”ファンク
気分は... :「Atomic Dog」だね!
しばらくはスポーツ新聞の記事あたりの知識を総動員して、日本国民全体がにわかサッカー評論家状態だと思うので今日はW杯ネタは控えてきます。スポーツ新聞の受け売りはウンザリなので。
今日の気分はおバカ状態なので、ピッタリなのがP-Funk☆ということでP-Funkの総帥George Clintonの初のソロ・アルバム『Computer Games』(1982年)っす。
このアルバムはClinton流エレクトリック・ファンクってカンジの打ち込みサウンドを主体としたアルバムっす。
1970年代は破竹の勢いであったGeorge Clinton総帥率いるP-Funk軍団だったが、70年代後半あたりからBootsy Collins、Bernie Worrell、Eddie Hazelらがソロ活動を開始し、同時に契約上のトラブルも抱え、その求心力を失いかけていた。
また、P-Funk軍団に限らず大所帯ファンクバンドは経費削減のアオリを受けて、グループのスリム化を余儀なくされた。そうした閉塞状態を打破する手段として生まれたのが、シンセサウンド主体のファンクであるエレクトリック・ファンクである。
このアルバムと言えば、何はともあれ「Atomic Dog」ですね。
記憶が定かではないが、多分この曲が最初にリアルタイムで聴いたP-Funkだったように思う。
今のようにR&Bチャートがポップチャートと同じように大きく取り上げられることがなかった時代において、George Clinton、Funkadelic、Parliament、Bootsy CollinsといったP-Funk軍団の名前は雑誌か何かで見かけたことがあったが、殆どその音を聴くことがない、謎の存在だったね。
そんな中でFMラジオで聴いたのが「Atomic Dog」だったと思う。何の番組だったか思い出せないけど、多分NHKのサウンド・ストリートだったかな??
2つの意味でインパクトがあったね。1つは噂のP-Funkの総帥の曲を聴けたこと、1つはエレクトリック・ファンクのカッチョ良さ。
少し脱線するけど、この同じ1982年に購入した最もガッカリしたLPの1つにNeil Young『Trans』がある。これはNeil Youngがテクノ・サウンドに挑戦した意欲作だったんだけど、結果は実に味気ないつまらないアルバムだった。
それとほぼ同時期に「Atomic Dog」のホットでグルーヴ感のあるシンセサウンドを聴いたのはショックだったね。なので「Atomic Dog」は思い出深い1曲っす。
また、「Atomic Dog」以外にもご機嫌のエレクトリック・“P”ファンクを堪能できます。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Atomic Dog」
まずはこのR&BチャートNo1の大ヒットを☆重心の低くうねるファンク・ビート、シンセによるスペーシーな雰囲気、♪Ha ha ha ha ha...♪といった犬の息遣いの下品さ等サイコーの1曲デス。
この曲はHip-Hop世代の支持も高く、数多くサンプリングされていますね。P-Funkのサンプリングネタと言えば、以前に紹介したParliament「Flash Light」あたりが有名だけど、この「Atomic Dog」も負けてないと思いマス。
主なところを挙げると、Snoop Doggy Dogg「Who Am I (What's My Name)?」、Dr. Dre「Fuck Wit Dre Day」、Public Enemy「Brothers Gonna Work It Out」、「Can't Truss It」、Ice Cube「Ghetto Bird」、「Man's Best Friend」、Ice-T「Funky Gripsta」、Pete Rock & C.L. Smooth「The Basement」、Digital Underground「Doowutchyalike」、DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince「A Dog Is a Dog」、Scarface「Diary Of A Madman」、Guy「D-O-G Me Out」、「Teddy's Jam」、Blackstreet「Booti Call」、Erick Sermon「Hittin' Switches」、Kris Kross「Party」、Biz Markie「The Dragon」、2pac「Holler If You Hear Me」、Redman「Watch Yo Nuggets」、Nuttin' Nyce「Froggy Style」、Paris「Coffee, Donuts & Death」、Schooly D「Where'd You Get That Funk From」等
「Get Dressed」
Bootsy Collinsも共同プロデュースで参加のこのオープニング・ナンバーも「Atomic Dog」に負けず劣らずご機嫌なファンクっす。この曲はホーンセクションもバリバリ鳴って従来からのP-Funkのカンジですね。
「Man's Best Friend/Loopzilla」
これもP-Funk全開のメロディー。「Man's Best Friend」はボコーダーなども交えてとってもエレクトリック・“P”ファンクらしい曲。「Loopzilla」はモータウンやファンクの名曲をつまみ食いしている(?)楽しいナンバー。
「Computer Games」
想像通りゲーム・サウンドのチープなピコピコ音が挿入されているけど、案外フツーにP-Funkしてます(笑)
「Free Alterations」
何とClinton総帥がレゲエやってマス。とっても不思議なカンジ。
「One Fun At A Time」
シンセサウンドが印象的なファンキーながらも、どこか哀愁感も漂うファンク。
Clinton総帥のソロ作品としては、80年代後半にPrince殿下のPaisley Parkへ移籍して発表した『The Cinderella Theory』(1989年)、『Hey Man, Smell My Finger』(1993年)あたりも当時は良く聴いたなぁ。でも、何はともあれ「Atomic Dog」収録の本作を聴くことをオススメします。