
発表年:1998年
ez的ジャンル:カフェ・ミュージック系ボサノヴァ
気分は... :さりげなく...
今日はさりげにオシャレなカフェ・ミュージック気分!
ということで、Astrud Gilberto『Talkin' Verve』をセレクト!
Astrud Gilbertoと言えば、“ボサノヴァの女王”と呼ばれたブラジル人歌手ですね。
17歳の時にボサノヴァ創生メンバーの一人であるJoao Gilbertoと結婚(何でもNara Leaoの紹介だったとか)。
それまで歌手として活動をしていたわけではないAstrudだったが、夫Joao Gilbertoとサックス奏者Stan Getzによるボサノヴァを世界中に知らしめた会心作『Getz/Gilberto』(1963年)が彼女の運命を変えた。
プロデューサーのCreed TaylorがAstrudの歌声にピピンと来て、永遠のボサノヴァ・ナンバー「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」(Antonio Carlos Jobim作品)のボーカルをAstrudに託したのだった。結果として、「The Girl From Ipanema」はグラミー賞の年間最優秀レコードに選ばれる大ヒットとなり、Astrudは一躍“ボサノヴァの女王”として注目される存在となったのだった。
今回紹介するのは、1998年に編集されたAstrudのヴァーヴ時代(60年代後半)のベスト・アルバム『Talkin' Verve』っす。
具体的には、『Look To The Rainbow』(1966年)、『A Certain Smile A Certain Sadness』(1966年)、『Beach Samba』(1967年)、『Windy』(1968年)、『I Haven't Got Anything Better To Do』(1969年)、『September 17, 1969』(1969年)の5作品からのセレクトっす。
僕は『Getz/Gilberto』と『Gilberto With Turrentine』(1971年) の2枚のアルバムは持っていたけど、それ以外のAstrudって殆ど聴いたことがなかった。そんな中、渋谷のタワーレコードで偶然試聴して一発で気に入ったのがこのアルバムだった。初めは、Astrudの作品だとも、60年代の作品を集めたベスト盤だとも全く気付かなかった。ジャケの雰囲気や、そのサウンドから結構最近のアーティストの作品だとばかり思っていまシタ。
『Getz/Gilberto』の「The Girl From Ipanema」あたりと比較すると、格段にモダンなサウンドになっていヤス。軽薄な言い方かもしれないけど、まさにカフェ・ミュージックってカンジのオシャレなボッサ作品集です。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Beginnings」
僕が試聴して一発で気に入ったというのがこの曲デス。キャッチーなメロディ、Astrudの涼しげな声、そしてAlzo & Udineあたりに通じるフォーキーなグルーヴ感...サイコーの1曲デス。しかも8分以上の長尺ナンバー。なんか12インチ・シングルを先取りしていたような作りですな。ファンの方ならピンとくるかもしれませんが、Chicagoのデビューアルバム『Chicago Transit Authority』に収録のアノ曲のカヴァーです。
「On My Mind」
Eumir Deodatoのアレンジによるオーケストラが実に優雅なナンバー。
「Maria Quiet」
出だしがDeep Purple「Smoke On The Water」にソックリなのが笑えるボッサ・ナンバー。
「Wailing Of The Willow」
Harry Nilssonの隠れた名曲のカヴァー。このAstrudのキュートさはたまりませんね。聴いているだけで恋心が湧き出てきマス。
「Crickets Sing For Anamaria」
この曲もEumir Deodatoのアレンジが光る軽快なボッサ・ナンバー。
「Windy」
ソフトロック・ファンにはお馴染みAssociationによる大ヒット曲のカヴァー。このAstrudのバージョンは、かなりグルーヴィーな仕上がりになっていマス。
「Holiday」
続いてはBee Geesの名曲のカヴァー。軽快ながらもオリジナル同様にどこか物悲しげな仕上がりデス。
「Stay」
疾走感あるリズムととフルートやビブラフォンの怪しげな音色が60年代後半のサントラを彷彿させるナンバー。
「She's A Carioca」
Jobim作品をGil Evans' Orchestraが見事なアレンジで聴かせてくれマス。
「So Nice (Summer Samba)」
Marcos Valleの名曲カヴァー。60年代のB級お色気&アクション・シネマあたりのバックに流れているとピッタリだね。オルガンの音色が何ともイイっす。
「Nao Bate O Corocao」
Eumir Deodato作品。この曲も聴いているとルパン三世の不二子ちゃんのお色気シーンが思い浮かぶ。なぜだろうね?
ボサノヴァ・ファンもそうだけど、60年代B級シネマのラウンジ感覚のサントラあたりが好きな人なんかにピッタリかも?