発表年:1974年
ez的ジャンル:青春の苦悩系ロック
気分は... :理想と現実の狭間で...
僕が人生で最も影響を受けたアーティストJackson Browneの2回目の登場っす。
以前に『Running On Empty』の記事投稿でも書いたが、Jackson Browneの『Late For The Sky』(1974年)、『The Pretender』(1976年)、『Running On Empty』(1977年)、『Hold Out』(1980年)の4枚は、僕が墓場まで持っていくアルバムだ。
今ではR&B/Hip-Hop系中心の音楽生活だが、それでもココ一番で聴きたくなるのはJackson Browneだ。この地味なロック・アーティストの作品を聴くと、自分の原点に戻った気分になり、気持ちをリセットできる。
本作『Late For The Sky』は、理想と現実の狭間で葛藤する人生の苦悩が見事に描かれた吟遊詩人としてのJackson Browneの才能を実感できる作品として印象深い。
学生の頃、僕の部屋のインテリアはレコード・ジャケットだった。本ブログで紹介してきた作品のなかでも、Billy Joel『The Stranger』、Rickie Lee Jones『Rickie Lee Jones』、Donald Fagen『The Nightfly』あたりは長年飾られていたジャケットだ。
その中でも、いつもメインの定位置に飾ってあったのが『Late For The Sky』だった。
レコードを聴きながら、ぼんやりとこのジャケットを眺め、
灯りのついた家の中で主人公は、どんな決意を固めたのだろうか?
そして、玄関前の古いシボレーに乗って何処へ向かうのだろうか?
主人公の未来を暗示するような深い青空は何を意味しているのだろうか?
なんてことをいつも考えていた。
そして、いつの間にか主人公が自分自身に置き換えられていた...
少しセンチメンタルなウエスト・コースト・サウンドと青臭いJackson Browneの歌声が、あれこれと将来の夢を抱きつつも、実際にはなかなか最初の一歩を踏み出すことを躊躇していた思春期の僕を優しく勇気づけてくれたなぁ。
全曲紹介しときやす。
「Late for the Sky」
理想の恋愛を追い求めたが、気付くと手遅れなほど互いの心が離れていた恋愛の終焉を歌ったタイトル曲。二人が大切に過してきたはずの日々が虚しい日々へと変わっていく、何とも言い難い男の心情を切々とJacksonが歌い上げます。Jacksonnには欠かせないパートナーDavid Lindleyが虚しい気持ちを見事なギターで表現してくれマス。
「Fountain of Sorrow」
アルバム中最も大好きな曲であり、かつ僕の思考スタイルに大きく影響を及ぼしたのがこの曲だ。控え目ながらも力強いバックの演奏が見事。EaglesのDon HenleyやJ.D.Southerも参加しているバックコーラスもイイ感じ。
でも、何よりこの歌は歌詞が素晴らしいの一言に尽きる。
未来は自分たちで作るものと人は言うけど、
時には過去を変える方が簡単なこともある...
僕のことを笑いたかったら、笑ったっていいんだよ。
でも、いつも明るい笑顔でいることを忘れないで。
人生では時に辛い別れを経験することがある。そんな時にこの歌詞を思い出し、笑顔で“ありがとう”と言える人間でいたいと思う。
「Farther On」
希望を失いかけても前進しようとする心をしみじみと歌った味わい深いナンバー。一歩踏み出さない限りは何も始まらないよね!
「Late Show」
「Fountain of Sorrow」と並ぶお気に入り曲。記事を書きながらこの曲を聴いていたら、何故だか涙目になってきた。人生をあきらめていた主人公が、運命の女性に出会い、古いシボレーに乗り、街を出て行く決意を固めるという、まさにジャケットの風景を歌った曲だ。甘酸っぱいカンジのウエスト・コースト・サウンドが涙腺をさらに緩くします。
この曲は、シボレーのドアが閉まり、そのまま立ち去っていくエンジン音で幕を閉じる。そこでレコードのA面終了。そして、レコードをB面にひっくり返している間に、主人公の今後に思いを巡らす。きっとこの主人公の今後には多くの苦難が待ち受けているだろう。でも、シボレーの隣の席に彼女が座っている限り、彼の人生は幸せなものであろう...なんてセンチメンタルな気分になるのデス。
「Road and the Sky」
B面のオープニングは、ウエスト・コーストらしい軽快なロックンロール・ナンバー。
「For a Dancer」
心配性なロックシンガー(?)Jackson Browneらしい人生の終末や生きる意味について歌う重いナンバー。でも、この重さこそがJackson Browneの魅力なんだよね。この歌詞ように、人生というダンスを楽しく踊りながら、生きる意味を探してみるさ!
「Walking Slow」
「For a Dancer」の重いムードを中和してくれるロック・ナンバー。生き急いでも仕方がないボチボチ行きましょ!
「Before the Deluge」
最後はJackson Browne作品の定番!地球全体の存続に警鐘を鳴らす黙示録的ナンバー。大洪水で人類は滅亡してしまうのか...
歌詞についてのコメントが多かったけど、曲も勿論言うことなしデス。演奏面ではDavid Lindleyのギター、フィドルなどでの素晴らしい好サポートを堪能できマス。
TVでブス恋を観ながら、本作CDを聴いていたら、いろんな感動が入り混じった涙で目がウルウル(;0;)やば〜い!