2006年07月16日

MC Solaar『Prose Combat』

フレンチHip-Hopの先駆者によるジャジーな名作☆MC Solaar『Prose Combat』
Prose Combat
発表年:1994年
ez的ジャンル:文学系フレンチHip-Hop
気分は... :ボンソワール!

「イタリア対フランス」の決勝戦が終わって約5日が経過するが、まだまだジダン問題が決着するまでは、ドイツW杯は終わらないカンジですな。

それ以上に強豪国の代表監督の動向が面白い。
イタリアのリッピ、ドイツのクリンスマンという協会や国民が続投を望んでいた監督があっさり辞任。

リッピは八百長スキャンダルに揺れるイタリア・サッカー界のゴタゴタに巻き込まれるのが嫌だったのだろう。一説にはファーガソンGM、リッピ監督という体制でのマンチェスターUの監督就任の噂がある。

そうなればイングランド・プレミアは、チェルシーがポルトガル人モウリーニョ、アーセナルがフランス人ベンゲル、リバプールがスペイン人ベニテス、マンチェスターUがイタリア人リッピという外国人名将対決で盛り上がるよね。

大会前の悪評を大会後には称賛に代えたクリンスマンの手腕は痛快だね。
このまま辞めてしまう潔さも彼らしい。噂では居を構えるアメリカ代表監督就任の情報もある。そうなれば、またユニークな代表チームを生み出しそうな期待感が持てる。

ポルトガルを率いて好成績を収めたフェリペ監督は、母国ブラジル代表監督のオファーを断って、ポルトガル代表監督の続投決定。このあたりの計算に、フェリペのしたたかさを垣間見ることができるよね。

そんな中で、僕が未だにその手腕に疑問を抱くフランスのドメネク監督の続投も決定した。あれだけ優秀な指導者が数多いる国なのに、なんであんな意固地で柔軟性のない指導者を代表監督に据えるのか理解に苦しむね。

そんなフランス代表の未来に不安を抱きつつ、今回はフレンチHip-Hop界を代表するラッパーMC Solaarの名作『Prose Combat』(1994年)っす。

MC Solaarは、以前にGangstarrのGuruのプロジェクトJazzmatazzの1stアルバム『Jazzmatazz』収録の「Bien, Le Mal」のフューチャー・ラッパーとして紹介しまシタ。

1969年にダカールで生まれたMC Solaarは、生後6ヶ月後にパリ郊外のサンドニ(フランス代表の聖地サンドニ・スタジアムのある所ですな)にやってきた。

1990年より相棒Jimmy Jayと作品を作り始めたSolaarは、1991年にはDe La Soulのパリ講演の前座を努め、1991年末にデビューアルバム『Qui seme le vent recolte le tempo』を発表した。

本作『Prose Combat』(1994年)は、『Qui seme le vent recolte le tempo』に続く2ndアルバムっす。
僕は1stの『Qui seme le vent recolte le tempo』も持っていたが、1stはフレンチラップへの物珍しさから購入したというのが本音だったかな?

そんな僕がMC Solaarのフレンチラップにハマったのが『Prose Combat』(1994年)だった。当時、本作とSoon E MC『Atout...Point De Vue』(1994年)という2枚のフレンチHip-Hopのアルバムは、僕の通勤ウォークマンのヘビロテだったね。

この2枚に共通しているのは、実にジャジーなテイストがマッチしたHip-Hopアルバムだということ。これはアメリカのHip-Hopグループの“ジャジー”な雰囲気とは異なるものだ。これは前述のGuruの『Jazzmatazz』の記事でも書いたが、Hip-Hopを聴いているというよりもAcid Jazzを聴いているという感覚が強かったかもね。

特に、このジャジーな雰囲気とフレンチならではのソフトな語感が相性バッチリなんだよね。MC Solaarのライムは文学的で、言葉遊びの感覚にも溢れた極めてクリエイティビティの高いものとして評価が高いらしい。僕はフランス語はサッパリわからないが、でもそんな芸術性の高さは彼のライムを音として聴いているだけでもヒシヒシと伝わってくる。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Nouveau Western」
アルバムからのヒット曲。映画音楽っぽいトラックが印象的ですな。フランス音楽界の異端児Serge Gainsbourg 「Bonnie & Clyde」ネタ。

「Obsolete」
フレンチラップの魅力を堪能できるシングル曲。フレンチの語感の音ってホント楽器のような気がしてくる。

「A la Claire Fontaine」
Acid Jazzテイストのクールネス溢れるトラックがカッチョ良い曲。サッカーのフランス代表で言えば、マケレレのようなシブさだよね。

「Superstarr」
キャッチーな女性コーラスが印象的なナンバー。当時パリはワールド・ミュージック・ブームの中心でもあったが、そんな影響もうかがえるトラックも印象的っす。

「La Concubine de l'Hemoglobine」
憂いのあるラップが印象的なシングル曲。皮肉にもW杯決勝という大舞台を通じてその認識が広まる格好となったが、フランスの移民問題はかなり深刻な状況だ。そんな状況とMC Solaarの憂いのあるラップが妙にオーバーラップする。

「Devotion」
本ブログでも紹介したEarth, Wind & Fireの名曲「Devotion」ネタのシリアスなムードのトラックが印象的なナンバー。

「Temps Mort」
僕の一番のお気に入り曲。ジャジーなHip-Hopと言えばこの曲でしょ!と言うくらいにスキだなぁ。パリの夜にピッタリなカンジのスタイリッシュなトラックがサイコーっす。

「L'Nmiaccd'htck72kpop」
「Dieu Ait Son Ame」
モロにジャズなストレートなトラックがウレシイ・ナンバー2曲。

「La Fin Justifie Les Moyens」
リズミックなフレンチラップを堪能できる、ちょっとファニーなナンバー。

「Prose Combat」
「Temps Mort」と並ぶお気に入りのタイトル曲。この落ち着きと深みが何ともクール☆

最近のジャジーなアンダーグラウンドHip-Hopが好きな方あたりにはオススメの1枚です。合わせて、Soon E MC『Atout...Point De Vue』(1994年)もどうぞ!
posted by ez at 00:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする