発表年:1980年
ez的ジャンル:フルムーン系フュージョン
気分は... :今夜は気まぐれ?
今回紹介するLarsen-Feiten Bandは、学生の頃、“こういうアーティストを聴いているオレって、ホント音楽センス抜群!”なんて自己陶酔対象だったアーティストだ。
Larsen-Feiten Bandの歴史は、1970年代初旬のニューヨークでのNeil Larsen(key)とBuzzy Feiten(g)の偶然の出会いから始まる。
フロリダからNYへ出て来たNeilと、Paul Butterfield Blues Bandや先日紹介したRascalsのサポート経験を持つBuzzは意気投合し、NeilがBuzzのバンドに加入し、グループはその後Full Moonと名乗るようになり、1972年にはアルバム『Full Moon』を発表する。
今でこそ、『Full Moon』は名盤の声を上がるほどの評価を得ているが、当時としては早すぎたサウンドだったらしい。このため、Full Moonは消滅し、NeilとBuzzもそれぞれスタジオ・ミュージシャンの道を歩んでいった。
Neilは、その後フリーソウル・ファンにはお馴染み、僕もCDを愛聴するブルーアイド・ソウル・グループSoul Survivorsに参加後、心機一転西海岸に渡り、名プロデューサーTommy LiPumaの元でソロ・アルバム『Jungle Fever』(1978年)を発表した。
Neilはこの録音にBuzzを呼び、二人は再会する。その後Buzzのソロ作『High Gear』(1979年)へのNeilの参加を経て、二人はLarsen-Feiten Bandを結成する。
そして、本作『Larsen-Feiten Band』(1980年)を発表後、Full Moonの名前を復活させるべく、Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten『Full Moon』(1982年)を発表した。
『Full Moon』、『Larsen-Feiten Band』、Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten『Full Moon』の3枚共に愛聴盤だが、最初の1枚ということであれば、AORファンからも人気の高い『Larsen-Feiten Band』がオススメっす。
本作のメンバーは、NeilとBuzzに、Willie Weeks(b)、Art Rodriguez(ds)、Lenny Castro(per)を加えた5人組。プロデュースはTomy Ripuma。また、ホーンセクションではKim Hutchcroft、Larry Williams、Bill ReichenbachといったSeawind部隊が活躍していマ〜ス。
このアルバムの魅力は、西海岸らしいフュージョン・サウンドとR&B/ソウル、ロックのフィーリングの融合だと思いマス。
全8曲中6曲がボーカル入りなのが、AORファンに人気の理由だろうね。このキャッチーなサウンドは、フュージョン・ファンやAORファンのみならず、多くの人を魅了する1枚ですよ!
全曲紹介しときやす。
「Who'll Be The Fool Tonight」
「今夜は気まぐれ」の邦題で有名なAORファンにはお馴染みのナンバー。シングルカットされ、全米チャート29位のスマッシュヒットを記録した。
ソウルフルなBuzzのボーカルが魅力のキャッチーなミディアム・ナンバー。Seawind部隊のホーンが盛り上げてくれやす。
「Danger Zone」
ファンキーかつブルージーなサウンドが印象的なナンバー。フュージョン・グループというよりもブルー・アイド・ソウル的なロック・グループってカンジの仕上がりですな。
「Further Notice」
これは西海岸フュージョンらしいインスト・ナンバー。Neilのキーボードを堪能できマス。疾走感がいいですな。
「Over」
AORファンが好きそうなメロウなバラード。ソウルフルなBuzzのボーカルとロック寄りのサウンドは、Boz Scaggsっぽいかもね?
「She's Not In Love」
フュージョンらしい涼しげなサウンドが堪能できるナンバー。爽快で気持ちイイねぇ。
「Morning Star」
トロピカル・フレイヴァーのR&Bサウンドがカッチョ良いナンバー。とってもこのグループらしい1曲だと思いマス。
「Make It」
個人的にはアルバムで一番好きなナンバー。フュージョン&ディスコがうまくバランスしたグルーヴ感がいいよねっ!
「Aztec Legend」
ミステリアスなインスト・ナンバー。まさにアステカな雰囲気です???
本作のジャケ写真は、Rickie Lee Jones『Rickie Lee Jones』でも紹介したNorman Seeff。どうってことない写真のようだけど、NeilとBuzzの二人の表情がやけに印象的に残る。この一瞬の表情を逃さないのが一流なんだろうね。