録音年:1963年
ez的ジャンル:クール新主流派Jazz
気分は... :音楽の楽しみ方って?
タワーレコードを経営するMTSが経営破綻した。
日本のタワレコは、MTSから独立しているため影響はないとのことで一安心だけど...
今でこそ大型CDショップや輸入盤を扱う店なんて珍しくもないけど、僕が中・高校生の頃は、今のHMV、タワレコのような大型ショップは存在せず、近くで輸入レコードを扱う店もタワレコ(昔は小さい店舗ばかりだった)しかなく、随分と足繁く通った記憶がある。
当時はアーティスト別のインデックスなどなく、自分で1枚1枚タイトルとアーティスト名を追いかけながら、街のレコード屋さんには置いていない、洋楽の名盤や新譜を探す作業は実に楽しかったなぁ。
現在のネット上にアーティスト・作品情報が溢れ、作品自体もダウンロードできる時代は確かに便利であり、僕自身もその恩恵を受けている。
しかしながら、この環境は音楽を“消費”する感覚が強まり、アーティストや楽曲への思い入れが弱くなっていくような気がする。僕的には、音楽って聴くだけではなく、作品自体を自宅のレコード棚・CD棚に“ストック”しておく楽しみってあると思う。
このストックという行為こそが、楽曲、アーティストへの思い入れを強くするんじゃないかなぁ?ネット配信の音楽も確かにPC内にデータとしてストックされているが、あまりに素っ気無いストックの方法だから、思い入れまでには至らない気がする。
さて、今回はテナーサックス奏者Joe Hendersonの初リーダー作『Page One』(1963年)デス。
Joe Hendersonは、Dexter Gordon、Pharoah Sandersと並ぶ僕のお気に入りのサックス奏者デス。Hendersonの作品を紹介するのは『Inner Urge』(1964年)に続き2枚目となりマス。
本作は、Hendersonの才能をいち早く認めていたベテランKenny Dorham(tp)のサポートのもとに録音されたHendersonの初リーダー作っす。メンバーは、Joe Henderson(ts)、Kenny Dorham(tp)、McCoy Tyner(p)、Butch Warren(b)、Pete La Roca(ds)。
何と言ってもKenny Dorham作の名曲「Blue Bossa」が有名ですね。Dorhamがこの名曲をHendersonの初リーダー作のために書き下ろしたというあたりに、DorhamのHendersonへの惚れ込み具合がわかるのではと思いマス。ちなみに、本作のライナーノーツもDorhamが書いており、かなり力入ってマス。
抑えた涼しげな演奏が何ともクールでカッチョ良い作品デス。
全曲紹介しときヤス。
「Blue Bossa」
前述のDorham作の名曲。タイトルの通り、哀愁漂うボッサ・ナンバー。いつ聴いても、心がクールダウンできる演奏で大好きっす。この力の抜け具合が何とも気持ちイイね!Henderson、Dorhamも良いですが、McCoy TynerのピアノとPete La Rocaのドラムが実にオシャレっす。
「La Mesha」
この曲もDorhamの作品。実に落ち着いたバラード・ナンバー。あまり入れ込みすぎていない抑えた演奏が何ともステキですな。
「Homestretch」
スリリングな演奏が魅力のHendersonのオリジナル。この曲の演奏のように、野暮ったくない、スタイリッシュなところがHendersonの魅力だと思いマス。
「Recorda Me」
「Blue Bossa」と同じテイストのHenderson作のボッサ・ナンバー。「Blue Bossa」アゲインってところですが、ある意味こっちの演奏の方がカッチョ良いかもね。
「Jinrikisha」
まずはタイトルが気になりますよね。人力車?そんなはずねぇよなぁ...なんて思っていましたが、人力車のようです。何でも兵役で日本に滞在していたことがあるHendersonがその思い出を曲にしたらしいっす。少しミステリアスな演奏が、Hendersonのイメージする日本なのか?
「Out Of The Night」
Henderson作の小粋なナンバー。深夜の隠れ家的なバーで一杯やりながら、聴きたくなるブルージーな雰囲気がたまりませんな。
本作は僕が購入した最初のJoe Henderson作品だが、購入のきっかけはジャケ買いっす。Blue Note作品である本作のジャケデザインは、もちろん本ブログでお馴染みのReid Milesっす。ホント、この構図が何ともカッチョ良いですな。