2006年09月20日

Van Hunt『On The Jungle Floor』

数ヶ月部屋のCD棚で熟成させたら風味が増した???☆Van Hunt『On The Jungle Floor』
On the Jungle Floor
発表年:2006年
ez的ジャンル:Prince系オルタナ/ネオ・ソウル
気分は... :すっかり忘れてたぁ〜

4月に発売されると同時に購入したVan Huntの2ndアルバム『On The Jungle Floor』

本ブログでも紹介したデビューアルバム『Van Hunt』の出来が素晴らしかったので、この2ndも期待大のはずだったが...
数回聴いたくらいで、他のアーティストの新譜を聴くのに、忙しくなって、そのまま数ヶ月が経過してしまった。

その後意外にもブルース&ソウル・カーニバルで来日!Otis Clay、Eddy Clearwaterらに混じって、なんでVan Huntなの?って気もしたけど、案外地味な来日だったよね。

やっと8月に入って、本格的に本作『On The Jungle Floor』を聴き込むようになった。
ロック色が強まったなぁ!という数ヶ月前の印象から、聴くたびにVan Hunの持つ音楽性の幅の広さを実感するようになった。
あとはSly StonePrince殿下というVan Huntの憧れの存在であるアイドル2人の影響モロ出しであることが印象的だよね!

アルバムタイトルのOn The Jungle Floorとは、70年代後期〜80年代初期のNYのことだとVan Hunt本人が語っている。きっとNYの持つ何でもアリば雑多なイメージを象徴したタイトルなんじゃないかな?

Sheryl Crow、Madonna、Michael Jackson等を手掛けたBill Bottrellが共同プロデューサーとして参加。R&B/ソウルの枠に収まりたくないって言う意志の表れかもね。

発売から数ヶ月経って、ネット上でその反響を確認すると、作品のクオリティの高さに対して、驚くほど地味な扱いなようが気がする。そんな状況を見かねて、今回本作のエントリーを決めまシタ。

オススメ曲を紹介しときやす。

「If I Take You Home (Upon...) 」
Princeの影響バレバレな変態チックなファンク・ナンバー。僕の一番のお気に入りナンバー。この軽い変態モードが入ったVan Huntが僕の期待するVan Huntデス。この曲と次の「Hot Stage Lights」の2曲だけでも僕は満腹状態っす。

「Hot Stage Lights」
この曲なんかはまさにSly Stone的であり、Prince殿下的なファンク・ナンバー。身体の中に二人の音楽がしみ付いているVan Huntがフツーに曲作るとこうなるのかもね!アレンジがニューソウルっぽいのも僕のお気に入りポイントっす☆

「Ride, Ride, Ride」
Lenny Kravitzしてるロック・ナンバー。勝手に想像すると、本人的はもっとこの手のモロにロックな曲を演りたいんじゃないかと思う。

「Being A Girl」
暗く内省的なポップ・ナンバー。本ブログでも紹介したPrince殿下の『Sign O' The Times』の世界に通じる曲だね。美しく、儚いカンジがお気に入り☆こうやって聴いていると、トラックの肌触りがPharrell『In My Mind』にも似てるね。

「Suspicion (She Knows Me Too Well) 」
アコースティックなんだけどファンキー、ナチュラルなんだけどグルーヴィーなVan Huntらしいゴッタ煮ナンバー。コレはかなりスキだね。また、Delaney & Bonnie「Well,Well」ネタなんてシブすぎ!もっとポップなネタを使えば(笑)

「Mean Sleep」
Nikka Costaをフィーチャーした熱唱バラード。アメリカン・ポップスの王道を歩むような血統証付サブレットのようなNikka Costaと、メインストリームから外れた裏街道を突っ走るアウトローのVan Huntのデュエットというのが面白いよね。

「Priest Or Police」
Sly Stoneぽいポコポコ・サウンドのスロー・ファンク。この儚い下げモードが逆にいいねっ!

「Character」
1stシングルにもなったモロにCurtis Mayfieldなニューソウル・テイストの曲。フツーにCurtisの『Superfly』と一緒に流しても違和感ないカンジだね。Jason Moran「I'll Play The Blues For You」ネタ(正直、誰だかよくわかりません)。

「No Sense Of Crime」
Iggy Popが率いた元祖パンク・ロック・グループStoogesのカヴァー。敢えてロックではなく、不気味なくらい抑えたファンクに仕上がっているのがグッドd(^ ^)オリジナルを知らない人は、パンクの曲だとはわからいないと思いますよ!

「At The End Of A Slow Dance」
こんなポップ・ロックな曲を演りたいからBill Bottrell起用したんじゃないかなぁ?

「The Thrill Of This Love」
1stで大好きだった「Hold My Hand」あたりの路線だね。勿論大好きっす。

部屋のCD棚で数ヶ月熟成させたら、風味が増してきたようにイイ作品に思えてきた。不思議だねぇ☆
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2006年09月19日

McCoy Tyner『The Real McCoy』

Coltraneの下を離れたTynerが自己のスタイルを確立した作品☆McCoy Tyner『The Real McCoy』
The Real McCoy
録音年:1967年
ez的ジャンル:John Coltrane門下生Jazz
気分は... :コリャ、ホンモノだ...

さっき、たまたまTVを観ていたら、NHK衛星で映画『Once Upon a Time in America』(1984年)が放送されていた。

禁酒法時代のニューヨークを舞台にギャングとなった2人の男(Robert De Niro演じるNoodlesとJames Woods演じるMax)の数奇な人生を描いたこの作品が、個人的にはかなり大好きだ。昔、ビデオで持っていたので、これまで何十回も観ているはずだ。

Ennio Morriconeの音楽や挿入歌の「Amapola」が実に感動的だし、何より、ラストシーンでアヘンを吸って恍惚の笑顔を浮かべるRobert De Niroの表情には、何度観ても、何とも言えない複雑な気分の感動を誘われる。あの笑顔を先には何が見えていたのだろう...

今はそんな複雑な感動の中で、なんかJazzが聴きたくなった。
ということで今回はMcCoy Tyner『The Real McCoy』(1967年)をセレクト。
『Once Upon a Time in America』とは全然イメージ合致しないけどね(笑)

McCoy Tynerと言えば、長年John Coltraneのコンボを支えたピアニストとしてお馴染みですね。僕も彼のピアノを耳にする大半はColtrane作品を通じてである。

そんなTynerだが、1965年にElvin Jones(ds)共に長年支えてきたColtraneのグループを去った。そして、ImpulseからBlue Noteへ移籍した第1弾アルバムが本作『The Real McCoy』(1967年)である。評論家によると、本作でTynerが自己のスタイルを確立したということらしい。そんな作品が師匠Coltraneが亡くなる数ヶ月前に録音されたというのも奇妙な巡り合わせのように思う。

Tyner以外のメンバーはJohn Coltraneのコンボ時代からの盟友Elvin Jones(ds)をはじめ、Joe Henderson(ts)、Ron Carter(b)という有名どころ3人。個人的には大好きなJoe Hendersonがなかなかの演奏を披露しているのではと思いマス。

全曲紹介しときヤス。

「Passion Dance」
本作のハイライト曲。タイトルの通り、情熱的な躍動感みなぎる演奏を披露してくれます。この1曲だけでも、かなり満腹感があるよね。パーカッシブという表現がピッタリな弾けるTynerのピアノは勿論のこと、Elvinのドラムもイイっす。Coltraneと比較されると分が悪いかもしれないけど、Hendersonも頑張っていると思いますっ!

「Contemplation」
なんかハードボイルドな映画で、主人公がシブ〜く登場してきそうなシーンを思い浮かべる曲。男の音楽!ってカンジですかぁ♪

「Four by Five」
個人的にはアルバムで一番好きな作品。Henderson好きの僕としては、ソロがなかなかカッチョ良いのではと思っていヤス。

「Search for Peace」
哀愁を帯びた美しいバラード。Tynerのピアノにウットリですな。秋の夜長にこんな曲を聴きながら、一人で一杯やるのもオシャレかもね。

「Blues on the Corner」
この曲は安酒場でグタグダに酔っ払いながら、聴きたいカンジのブルース。

この作品を聴くと、TynerがColtraneの下を去ったのがわかるよね。

彼の70年代の作品を聴いたことがないんだけど、『Sahara』(1972年)、『Echoes of a Friend』(1972年)、『Song of the New World』(1973年)、『Trident』(1975年)あたりは機会があれば聴いてみたいですね。
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2006年09月18日

The Gap Band『Gap Band IV』

超定番サンプリング・ネタ「Outstanding」を含むGap Bandの最盛期☆The Gap Band『Gap Band IV』
Gap Band IV
発表年:1982年
ez的ジャンル:3兄弟ファンク
気分は... :ファンク・オヤG見事復活...

The Gap Bandと言えば、70年代後半から80年代前半にかけて活躍したファンク・バンド♪

今回紹介する『Gap Band IV』のイモ臭いジャケ写真を見れば、どう見てもオヤG向けファンク・バンドにしか見えない。でも、今やGap Bandという名前を聞いて、ピピッと反応するのは、オヤGリスナーよりも、Hip-Hop/R&B好きの若いリスナーの方かもね。

何せ、「Outstanding」、「Yearning For Your Love」といったかつてのヒット曲は、今やサンプリングの超定番ネタだし、Snoop DoggやTeddy RileyAaron HallR.Kellyをはじめ、多くの有名Hip-Hop/R&BアーティストがGap Bandへのリスペクトを証明している。

最も象徴的だったのは、Gap Bandの中心人物だったCharlie Wilsonが昨年発表したソロ・アルバム『Charlie, Last Name Wilson』だ。

Charlieの5年ぶり3枚目のソロ作に、長年蜜月関係にあるSnoop Doggをはじめ、Black Eyed PeasのWill.I.Am、Twista、Justin Timberlakeといったゲスト陣に、R.Kelly、Dre & Vidal、Underdogs、Kay Geeといったプロデュース陣という、まさに豪華メンバーが顔を揃えた。

これだけでGap Bandへのリスペクトぶりが窺えるよね。ちなみに同作では、Teddy Riley、Aaron Hallが泣いて喜ぶであろう、Guyの永遠の名バラード「Let's Chill」がカヴァーされていマス。

Charlieが1992年に出した最初のソロ・アルバム『You Turn My Life Around』を持っているが、その頃は正直かなり落ち目な感じが否めなかったので、今日の復活ぶりにはただただ驚くばかりだ。

Gap Bandは、Ronnie、Charlie、RobertのWilson3兄弟からなるグループだ(一時期は7人の大所帯だった)。グループ名のGapとは出身地のオクラホマ州タルサの3つの通り(Greenwood、Archer、Pine)の頭文字からとったものである。

Wilson3兄弟は、オクラホマ州タルサの教会で小さい頃からゴスペルに親しんできたらしい(彼らの父は牧師である)。そんなゴスペルの影響が作品にも反映されており、グループの魅力の1つになっている。Aaron HallをはじめとするGuyがGap Bandからの影響が大きいのもこのあたり要因が大きいのかもしれない。

そんな作品の中から今回はメジャー契約後の4thアルバム『Gap Band IV』(1982年)をセレクト☆
R&Bチャートで大ヒットした彼らの代表作であり、「Early in the Morning」、「Outstanding」という2大ヒット・シングルも生み出しまシタ。

何より、このアルバムにはクラシック・ナンバー「Outstanding」が収録されていマス。

全曲紹介しときヤス。

「Early in the Morning」
「Outstanding」と並ぶ彼らの代表曲の1つ。シングルカットされ、R&Bチャートで大ヒットし、ポップチャートでもスマッシュヒットを記録したファンク・ナンバー。僕も「Outstanding」をリアルタイムで聴いた記憶はないが、ニワトリの鳴き声で始まるこのポップ・ファンクは全米Top40で聴いたことを憶えている。ただ、当時高校生の僕はGap BandとDazz Bandの区別もできない、お恥ずかしい状況でしたが(笑)

「Season's No Reason to Change」
このグループのもう1つの魅力である胸キュン・スローな1曲。ボーカル・グループとしてのコーラスワークもしっかりしているところがウレシイですな。

「Lonely Like Me」
こみ上げ系のミディアム・グルーヴ。80年代前半らしい懐かしいムード一杯っす。

「Outstanding」
説明不要の超クラシック。とにかく気持ちイイ、メロウ&グルーヴだよね。Blackstreetがネタ使いした♪You Blow My Mind〜♪部分が何とも気持ちイイですな。あとは、Hi-Hopファンは12インチ・バージョンも必聴ですね。オリジナルにはないパーカッシヴなグルーヴが堪能できマス。こちらのバージョンをサンプリングしている作品も多いのでは?

Da Brat faet.Notorious B.I.G「Dirty B Side」、Kenny Thomas「Outstanding」、Blackstreet「U Blow My Mind」、Ice Cube 「True to the Game」、Soul For Real「Every Little Thing I Do」、Rob Base「Outstanding」、R.Kelly「Summer Bunnies」、Redman「Blow Your Mind」、Lori Gold「I Likes It(Remix)」、Ashanti「Happy」などサンプリング、カヴァーは多数存在しマス。

「Stay With Me」
美メロのミディアム・ポップ・チューン。なんか真っ青な青空の下で聴きたい曲だね。

「You Dropped a Bomb on Me」
これは80年代前半らしい初期エレクトリック・ファンク・チューン。このチープなカンジが何ともスキ☆

「I Can't Get over You」
ムードたっぷりのホーンが印象的なスロー。スローの中ではこの曲が一番スキかなぁ!

「Talkin' Back」
P-Funkテイストのゴキゲンな狡猾ファンク・ナンバー。続けてParliament「Flash Light」を聴きたくなりマス☆この手の曲がもっとあるとウレシイかもね?

「Yearning For Your Love」を含む『Gap Band III』(1980年)もオススメっす。
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2006年09月17日

Des'ree『I Ain't Moving』

これからの季節にピッタリなフォーキー・ソウル☆Des'ree『I Ain't Moving』
アイ・エイント・ムーヴィン
発表年:1994年
ez的ジャンル:フォーキーUK黒人シンガーソングライター
気分は... :自然体で行こう...

“等身大に生きる”、“自然体に生きる”、“自分らしく生きる”...
若い頃は、そんなこと当たり前だと思っていた。でも、社会人として長く生きていると、これらの生き方が案外難しくなってくる。時々、そんな生き方を自問自答しながら、現実との葛藤の中でブルーになることもある。

そんな時、Des'reeを聴くとホッとするかもね!
僕に限らず、自然体なDes'reeのスーパーナチュラルな歌に安堵する人は多いんじゃないかなぁと思う。

ロンドン生まれのDes'reeは、1992年にシングル「Feel So High」でデビュー。同年デビューアルバム『Mind Adventures』を発表した。そして、シングル「You Gotta Be」の大ヒットと共に彼女がブレイクした作品が2ndアルバムとなる本作『I Ain't Moving』(1994年)である。

UKソウル、オーガニック・ソウルの文脈で語られることが多いDes'reeだが、僕はソウルと言うよりも黒人シンガーソングライターのイメージが強い。その意味では、黒人シンガーソングライターの先駆けJoan Armatradingあたりと重なる。実際、Des'reeもJoan Armatradingからの影響を認めているらしい。

本作『I Ain't Moving』の制作には元ImaginationのAshley IngramやFamily Stand(懐かしい!)のメンバーも関わっていマス。

エントリーにあたり、ネットで軽くリサーチしていたら、You Tubeで「You Gotta Be」のPVを久々に観た。真っ白の背景の中で黒ずくめのDes'reeが歌うというシンプルなものだが、彼女の太極拳のような舞い(?)が実にしなやかで、改めてホッとしてしまった。

オススメ曲を紹介しときやす。

「You Gotta Be」
前述の彼女の代表曲というか名曲だね。優しく、力強いフォーキー・グルーヴ。淡々と♪You Gotta Be〜♪と歌うサビの部分に心癒されるよねぇ。人間の強さと弱さを歌った歌詞もシンプルだけど説得力がある。このオリジナルもいいけど、Isley Brothers好きの僕にとっては、お馴染み「Between The Sheets」ネタのリミックスであるBlacksmith Mixも聴き逃せませんね。

この名曲に惹かれた人は、2 Worldz「U Gotta Be」、C.J.Lewis「You Body(You Gotta Be Cover)」、KEN-Uなどによるカヴァーもどうぞ!

「I Ain't Movin'」
黒人シンガーソングライターというイメージにピッタリの優しく包み込まれるようなフォーキーなアコースティック・バラード。とってもホッとします。個人的には、僕のお気に入り日本人アーティストLavaの最新作『HUG music』の中でGaldston Gallizaをフィーチャーした本作のカヴァーをこの夏ずっと愛聴していまシタ。

「Living in the City」
「You Gotta Be」の次に好きなナンバー。軽くグラウンド・ビートしてマス。こうやって聴いていると、フォーキー・グルーヴなナンバーって、グラウンド・ビートとのマッチングがバッチリな気がするね!

「Little Child」
曇り空の日に聴きたい哀愁のギターが印象的なバラード。

「Crazy Maze」
美しいピアノと共に力強いDes'reeのボーカルが堪能できるナンバー。Des'reeの歌って、ホント、誠実で、ピュアな感じがするよね。

「Strong Enough」
「Trip on Love」
UKソウルと表現した方がいいナンバー2曲。Caron Wheeler、Mica Parisといった僕の大好きなUKソウルの歌姫たちの作品と聴いても違和感ないっす。

「In My Dreams」
グラウンド・ビート・テイストの心地良いグルーヴ。まぁ、この時期のUKクラブ・ミュージックの流行の音ですな。

「I Ain't Movin'(Percussion Reprise)」
アルバムの最後はタイトル曲が再度登場!Percussion Repriseとあるように、パーカッションとボーカルのみのシンプルなトラック。アフリカの大地へ歌いかけているような雰囲気で、オリジナルとは違った味わいがありマス。

個人的には1998年に発表された人気曲「I'm Kissing You」、「Life」を含む3rdアルバム『Supernatural』もオススメっす。
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2006年09月16日

Stephen Stills『Manassas』

Stephen Stillsを中心に多様な音楽性が全開☆Stephen Stills『Manassas』
Manassas
発表年:1972年
ez的ジャンル:ラテン&カントリー&レイドバック系ロック
気分は... :ウズウズ...

今回はStephen Stills『Manassas』(1972年)っす。
*本作は便宜上Stephen Stills『Manassas』となっているが、実際はStephen Stills & Manassasというグループの1stアルバム。

Buffalo Springfield、Mike Bloomfield/Al Kooperとのスーパーセッション、CSN&Y、そしてソロ活動と華々しい経歴を持つミュージシャンであるStephen Stills。

僕はBuffalo Springfield『Again』(1968年) 、Mike Bloomfield/Al Kooper/Stephen Stills『Super Session』(1968年)、Stephen Stills『Stephen Stills』(1970年)あたりは好きで今でもよく聴く。でも、どうもCSN&Yだけは苦手なんだよね。一応、代表作『Deja Vu』(1970年)も持っているが、多分10年以上聴いたことがないと思う。

そんなStephen Stillsの長いキャリアの中で、僕の一番のお気に入りはManassas時代だ。

Manassasは、Stephen StillsとFlying Burrito BrothersのメンバーだったChris Hillmanが意気投合したことがきっかけで結成されたグループである。メンバーはStephen Stills(vo、g、key他)、Chris Hillman(vo、g)、Dallas Taylor(ds) 、Paul Harris (key)、Fuzzy Samuels(b)、Al Perkins(g、vo)、Joe Lala(per、vo)の7名。

レイドバック・ムードの中で、ロックン・ロール、カントリー/ブルーグラス、ブルース、スワンプ、ラテンなど様々なサウンドが展開されてマス。

特に、僕がManassas時代に惹かれるのは、このグループが結構ラテン・グルーヴのナンバーを取り上げているからだと思う。その意味では、Joe Lalaの参加あたりの影響が大きいのかも?逆にChris Hillmanとの融合によるカントリー/ブルーグラス・フレイヴァーは僕にとってはどうでもいい要素だ。

本作のオリジナルはLP2枚組であり、A-Dの各面に「The Raven(A面)」、「The Wilderness(B面)」、「Consider(C面)」、「Rock & Roll Is Here To Stay(D面)」というサブタイトルが冠されている。

大雑把に言えば、
 The Raven(A面):ロック+ラテン
 The Wilderness(B面):カントリー/ブルーグラス
 Consider(C面):ポップ
 Rock & Roll Is Here To Stay(D面):ロック
といったカンジでしょうか?

基本的には、A面、C面、D面が僕の興味の中心デス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Song of Love」
The Raven(A面)のオープニングは、小気味の良いスワンプ調のロック・ナンバー。実にゴキゲンっす。

「Rock & Roll Crazies/Cuban Bluegrass」
アーシーなロック・ナンバー「Rock & Roll Crazies」とラテン・ナンバー「Cuban Bluegrass」のメドレー。ラテン好きの僕的には「Cuban Bluegrass」に注目ですな。でも、なんでこのラテン・グルーヴなノリがブルーグラスなんだろう?でも、「Cuban Bluegrass」というタイトルは、このグループの持つ音楽的多様性をうまく表現しているかもね!

「Anyway」
パーカッシブなグルーヴが展開される僕好みのナンバー。アーシー&ラテンな雰囲気がなんかとってもいいね!

「Both of Us (Bound to Lose) 」
ラテン・フレイヴァーの哀愁グルーヴ。SantanaAztecaMaloあたりが好きな人は気に入るのでは?

「Jesus Gave Love Away for Free」
「Colorado」
「So Begins the Task」
The Wilderness(B面)の3曲。僕はモロにカントリー/ブルーグラスなナンバーは駄目なので、カントリー・ロックな3曲をセレクト。このあたりはそれぞれ味わい深いデス。

「It Doesn't Matter」
Consider(C面)の1曲目は、哀愁のラテン・ロック・ナンバー。続けて、Steely Dan「Do It Again」とか聴きたくなるねぇ!

「Move Around」
ムーグ・シンセサイザーを導入した、フォーキーな味わいの幻想的なナンバー。とってもユラユラしたカンジが好きだなぁ。

「Right Now」
この曲からRock & Roll Is Here To Stay(D面)。初期Doobie Brothersを思わせるグルーヴィーなロック・ナンバー。

「Treasure (Take One)」
8分を超す大作。前半のラテン・グルーヴ、後半のジャム・セッション風のギター・バトルなど実に聴きどころ満載の1曲デス。

「Blues Man」
ラストは弾き語りによるフォーキーなブルース・ナンバー。

ちなみにこのアルバムは、Jimi HendrixDuane Allman、Al Wilson(Canned Heat) という相次いで死去した3人のギタリストへ捧げられている。

続くManassasの2ndアルバム『Down the Road』(1973年)もオススメっす。人気曲「Isn't It About Time」をはじめ、DJ的視点から再評価のあるアルバムですね。
posted by ez at 00:06| Comment(2) | TrackBack(1) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする