2006年09月10日

Roberta Flack『Feel Like Makin' Love』

Roberta Flackのクロスオーバー/フュージョン路線第1作☆Roberta Flack『Feel Like Makin' Love』
Feel Like Makin' Love
発表年:1975年
ez的ジャンル:クロスオーバー系R&B
気分は... :やさしく包み込んで...

今日はやさしく清らかな女性ボーカルが聴きたい気分っす。
ということでRoberta Flack『Feel Like Makin' Love』(1975年)をセレクト☆

Roberta Flackは以前にRalph MacDonaldプロデュースのクロスオーバー/AOR感覚溢れるR&Bアルバム『I'm The One』(1982年)を紹介しました。

本作『Feel Like Makin' Love』は、そんなRobertaのクロスオーバー/フュージョン路線の幕開けとなったアルバムっす。

1969年に『First Take』でデビューしたRoberta Flackは、そのアルバムの収録曲「The First Time Ever I Saw Your Face」(邦題:愛は面影の中に)が、1971年のClint Eastwood監督・主演の映画『Play Misty For Me(恐怖のメロディ)』で使われ、全米ポップチャート第1位の大ヒットを記録すると同時に、グラミー賞も受賞し、一躍注目を集める。

その後1972年にはDonny Hathawayとのデュエット・アルバム『Roberta Flack & Donny Hathaway』から「You've Got A Friend」、「Where Is The Love」を大ヒットさせた。そして、1973年の4thアルバム『Killing Me Softly』からタイトル曲(邦題:やさしく歌って)が全米ポップチャート第1位となり、再度グラミー賞も受賞するなどその地位を不動のものした。

そんな大ヒット作『Killing Me Softly』の次に発表された作品が、5thアルバム『Feel Like Makin' Love』(1975年)です。それまでは、ニューソウルの文脈の中で語られることが多いRobertaでしたが、この『Feel Like Makin' Love』には、そんなイメージはあまり感じられません。

まずアルバムで特徴的なのは楽曲提供者たち。フリーソウル・ファンにもお馴染みEugene Mcdanielsの作品を大ヒットしたタイトル曲「Feel Like Makin' Love」を含む4曲、『I'm The One』もプロデュースした僕が大好きなパーカッション奏者Ralph McDonaldの作品を2曲、そしてStevie Wonderの作品も1曲取り上げています。Eugene McDanielsは一部楽曲でプロデュースも担当してますよ〜。

さらに、プロデューサーのRubina Flakeを中心に、Hugh McCracken(g)、David Spinozza(g)、Anthony Jackson(b)、Bob James(key)、Richard Tee(key)、L.Leon Pendarvis(key)、Idris Muhammad(ds)、Ralph McDonald(per)、Patti Austin(back vo)、Deniece Williams(back vo)などの豪華メンバーがバックを努めていマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Feel Like Makin' Love」
本作のハイライトと言えるEugene McDaniels作のタイトル曲。全米R&Bチャートで5週連続No1に輝いた。実に、優しくかつスタイリッシュに心を包んでくれるアレンジ&ボーカルに脱帽ですな。まさにEugene McDaniels一世一代の大名曲デス。

本ブログで紹介したMarlena ShawD'Angeloの以外に、George Benson、Ricardo Marrero、Ana Mazzotti、Russell Malone/Benny Green、Sonia、Izitなど数多くのアーティストにカヴァーされていヤス。この夏はLumideeによるレゲエ・カヴァーも人気でしたね。以前にも書いたけど、僕はオリジナルとMarlena ShawGeorge Bensonのバージョンの3点セットで聴くのがお気に入りっす。Meta Roos & Nippe Sylwens Bandのヴァージョンもベスト3に迫る出来でグッド!

日本人アーティストでも、以前にDelfonics「La La Means I Love You」のカヴァーを紹介したFried Prideをはじめ、paris match、the Indigo、Pyramid、今井美樹など数多くのカヴァーがありますね。

「Mr. Magic」
次はRalph McDonald作の名曲。落ち着いた大人のグルーヴをバックにRobertaのボーカルが実に映えるシブイ1曲。この曲は人気サックス奏者Grover Washington Jr.が先に取り上げ、同名のアルバム『Mr. Magic』(1975年)も発表しているので、そちらでご存知の方も多いかもしれませんね。Ralph McDonald大好きの僕は、Ralph自身のバージョン(アルバム『Sound Of Drum』収録)も愛聴していマス。

「Feelin' That Glow」
Eugene Mcdaniels作のオープニング・ナンバー。かつて声楽を習得したスキルフルなRobertaのボーカルに、クロスオーバー/フュージョンなアレンジが実によく馴染んでいるように感じマス。

「I Wanted It Too」
Ralph McDonald作品。いい意味で明るすぎない陰影に富んだボーカルがRobertaの魅力だと思うけど、そんな雰囲気を堪能できる1曲。

「I Can See the Sun in Late December」
Stevie Wonder作の12分を超える大作。この頃キャリアの絶頂期だったミラクルなStevieの勢いを反映したような重量感のある聴き応え十分の曲。こうした曲を取り上げられるのもクロスオーバー/フュージョン路線にしたからだと思う。

「Early Ev'ry Midnite」
「Old Heartbreak Top Ten」
Eugene Mcdaniels作品の2曲。「ヒット・レコードを作るために歌手をやっているのではない...」と言い続けていたRobertaが、黒人の立場からアメリカ社会の影の部分へメスを入れ続けたMcdanielsの作品を取り上げたことは、とてもよく理解できるよね。と言いつつ、「Old Heartbreak Top Ten」はどことなくCarpenters風のポップなアレンジになっているのが面白いね。

「She's Not Blind」
アルバムのラストを飾るバラード。崇高に歌い上げるRobertaのボーカルが感動的ですな。

本作とMarlena Shaw『Who Is This Bitch, Anyway?』Patti Austin『End of a Rainbow』あたりと一緒に聴くのが僕のお気に入りデス。
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2006年09月09日

The Beatles『Beatles For Sale』

Beatles作品の中では地味だけど、彼らの音楽的ルーツがよくわかる1枚☆The Beatles『Beatles For Sale』
Beatles for Sale
発表年:1964年
ez的ジャンル:ルーツ・ミュージック系Beatles
気分は... :模様替えしてみまシタ...

お気付きの通り、スタイルシートを模様替えしてみまシタ。

実は本ブログを立ち上げたばかりの最初の1週間位は青地のスタイルシートだった。その後、ジャケ写真がらしく見えるという理由で、ブラックのスタイルシートを使ってきたんだけど、多少文字を読むのに目にやさしくない面があったので、1年経った気分転換も含めてリニューアルしてみまシタ。

個人的には、ホロ苦い大人の甘さのするモカクリームのようなカンジが気に入ってマス(^¬^)

さて、そんなリニューアル後の1発目はBeatlesの4thアルバム『Beatles For Sale』(1964年)っす。

『Rubber Soul』『Abbey Road』に続き、3回目のBeatlesになりマス。中期、後期の作品を取り上げてきたので、今回は初期の作品にしてみまシタ。

でも、初期の作品の中から『Beatles For Sale』って意外なセレクトに思うBeatlesファンも多いかもね。

年末のクリスマス商戦に合わせた商魂たくましいアルバムタイトルや、ツアーのハードスケジュールを合間を縫って、突貫工事で録音されたアルバムであること、全14曲中6曲がカヴァーであること(前作『A Hard Day's Night』は全曲オリジナル)などから、『Beatles For Sale』は決して人気の高いアルバムとは言えないと思う。

僕も学生時代にBeatlesにのめり込んでいた時期には、『Please Please Me』『A Hard Day's Night』『Help』あたりを好んで聴いており、『Beatles For Sale』はそれほど積極的には聴いていなかった記憶がある。

でも、年を重ねるにつれて、『Beatles For Sale』がどんどん好きになってきた。きっと、カヴァーが多い分、Beatlesミュージックのルーツがわかる点や、突貫工事によるラフな仕上がりが逆にBeatles本来のRock魂ムキ出しでいいんだと思う。あとはBeatlesのアルバム中、一番ブラック・フィーリングに溢れているアルバムのような気がしマス。

全曲紹介しときヤス。

「No Reply」
出だしのJohnの♪This happened once before〜♪の一言で完璧一発KO状態になる曲。John作品の中でも1、2を争うお気に入り曲。「I Feel Fine」が出来るまでには、シングル候補にもなってイタ。シングルカットされていたら、もっとJohnの代表曲としての地位を確立していたかもね。サビでのJohnとPaulの息の合った熱唱も感動的っす。聴いているだけで熱いものが込み上げてきマス。

「I'm a Loser」
Bob Dylanからインスパイアを受けてJohnが書いた作品。そのわりには、かなりロカビリー調だったりする。Johnのハーモニカは確かにDylanっぽいけどね。

「Baby's in Black」
ワルツ調のフォーク・バラードなんだけど、ブラック・フィーリングも香るJohnとPaulの共作ナンバー。年を重ねるうちに好きになってきた曲の1つ。

「Rock & Roll Music」
「Johnny B Goode」でお馴染みロックンロールのパイオニアの一人Chuck Berryの1957年のヒット曲のカヴァー。Beatlesは他にも「Roll Over Beethoven」もカヴァーしていますね。Beatlesを聴き始めた頃、僕の仲間の間でこの曲はかなりの名曲扱いだったね。今聴くと、少しラテン風の展開があるあたりも好きだね。

「I'll Follow the Sun」
メロディーメイカーPaulらしい作品。さりげにJohnのコーラスが良かったりする。

「Mr. Moonlight」
Dr. Feelgood And The Internsの1962年のヒット曲。当時のビート・グループの定番カヴァーの1つだったらしいデス。Johnのボーカルがなかなか雰囲気があってスキっす。RingoとGeorgeのボンゴがとてもいいアクセントになっている。

「Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey!」
これまたロックンロール誕生に大きく貢献した一人Little Richardのレパートリーのカヴァー。Paulにこのタイプの曲でシャウトさせたらお手のものだね。

「Eight Days a Week」
Paul中心に書き上げたBeatlesらしいポップ・ナンバー。アメリカでは「I Feel Fine」に続き、シングルカットされた。完成度で言えば、この曲が一番かもね。イントロのワクワクするカンジがとっても好きだなぁ。

「Words of Love」
JohnとPaulのアイドルBuddy Hollyの1957年の作品のカヴァー。この作品あたりにJohnとPaulの曲作りのルーツが見え隠れするのかも?

「Honey Don't」
「Blue Suede Shoes」でお馴染みのロカビリー歌手Carl Perkinsのカヴァー。Ringoのボーカルは、カントリー/ロカビリーにピッタリだね。ちなみに本作が発表された1964年は、Carl Perkinsが初めてイギリスに渡り、熱狂的な歓迎を受けるといったように、イギリスでちょっとしたCarl Perkinsブームがあったらしい。

「Every Little Thing」
JohnとPaulの共作によるステキなラブソング。評論家によるアルバムレビューなどを読むと、ここから続く3曲のオリジナル作品への評価が低いみたいだけど、僕は結構好きだなぁ。

「I Don't Want to Spoil the Party」
Johnによるカントリー・タッチの作品。「パーティーはそのままに」という邦題も大好き。僕は基本的にカントリーは苦手なんだけど、Johnのカントリー寄りの作品って、僕が苦手なカントリーのイモ臭いカンジがないので、スンナリ聴けてしまうので不思議だね。

「What You're Doing」
Paulの作品。確かに、この作品はPaulの基準から考えれば、多少物足りないかもね。昔は殆どスキップしていたが、最近はそれほどキライでもない。

「Everybody's Trying to Be My Baby」
またまたCarl Perkinsのカヴァー。ここではGeorgeがボーカルを担当。イギリスのCarl Perkinsブームに便乗し、そのカヴァーをRingoとGeorgeに割り振るあたりに、多少嫌らしいものを感じてしまうんだけど...

いきなりBeatles入門者がいきなり聴くべき作品ではないけど、Beatles作品を一通り聴いた後に聴くと味わい深い作品だと思いマス。
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2006年09月08日

J Dilla『The Shining』

天才Hip-Hopプロデューサーが最後に残してくれた宝物☆J Dilla『The Shining』
The Shining
発表年:2006年
ez的ジャンル:天才トラックメイカー系Hip-Hop
気分は... :Jay Dee本当にありがとう(‐‐)†

以前、Erykah Badu『Mama's Gun』のエントリーの時に、天才Hip-HopプロデューサーJay Dee(J Dilla)が今年2月に亡くなったことを伝えた。

Jay Dee(J Dilla)は、Hip-HopグループSlum Villageのメンバーとして1stアルバム『Fan-Tas-Tic, Vol.1』(1996年)を発表する一方、A Tribe Called QuestのQ-Tipを中心としたプロデュースユニットUmmahの一員として迎えられ、ATCQを初めとする諸作品を手掛けたことでシーンに名を轟かせることになった。

さらに、James Poyser、?uestlove(The Roots)らとプロデュース集団Soulquariansを結成し、Common等の作品をプロデュースした。加えて、MadlibとのユニットJaylibを結成するなど、実に多方面からHip-Hopシーンをリードし続ける存在であった。

彼の死に寄せられた多くの有名Hip-Hopアーティストのコメントを引用すると...

Common
「J Dillaは俺たちの世代で最も重要なミュージシャンの1人だった。John Coltrane、Charlie Parker、Miles DavisStevie WonderMarvin Gayeのような歴史上の偉人達の後にJ Dillaの名前が刻まれるだろう。」

Kanye West
「俺はJ Dillaから沢山のインスピレーションをもらった。彼からドラムが入ったレコードを手渡された日が自分を誇りに思えた人生最良の日だった。」

Pete Rock
「J Dillaは最高だ。彼に比べれば他のブラザー達は怠け者でクレイジーに思える。彼との友情を俺は大事にしていたんだ。俺達2人は同じ流れの中で様々な音楽を作ってきたが、彼は俺よりも更に高次元へ押し進めていったんだ。J Dillaは俺が会った中でも最高にDopeなプロデューサーだ、そして人間的にもDopeな奴なんだ。」

Q-Tip
「J Dillaは俺の右腕であり左腕であり、友達で、兄弟だった。今は他界してしまったけど別の場所でビートを切り刻んでループさせ、MPCの埃を拭いて俺を助けてくれている。彼のヒップホップに対する貢献は図り知れない、そして俺がここにいる限り彼は生き続ける。」

他のサイト、ブログでも多く引用されているコメントだけど、Jay Dee(J Dilla)の偉大さがよくわかるものだと思いマス。

そんなJay Dee(J Dilla)が亡くなる直前まで取り組んでいた作品『The Shining』が発売された。

生前に大半は出来ていたらしいが、残りをJay Deeの友人のジャズ・ドラマーKarriem Rigginsがエグゼクティブ・プロデューサーとして完成させたとのこと。

Soulquarians仲間であるD'AngeloCommon、Jaylibの片割れMadlib、Busta Rhymes、Black Thought(The Roots)、Pharoahe Monch、DweleなどJ Dillaと縁のあるアーティストが参加していマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Geek Down」
BeethovenをバックにBusta Rhymesが唸りまくるオープニング。Busta Rhymesの最新作『The Big Bang』もJ Dillaがプロデュースで参加していましたね。

「E=MC2」
Commonをフィーチャーしたズッシリしたファンク調のトラックがカッチョ良いナンバー。

「Love」
Impressions「We Must be in Love」ネタのトラックにPharoahe Monchをフィーチャーしたウキウキの1曲。僕的にはこのトラックが一番スキっす。 僕が大スキな楽しく、明るく、ラブリーなHip-Hopがこの1曲に凝縮されていマス。

「Baby」
盟友MadlibとGuilty Simpsonをフィーチャーしたナンバー。“♪ベイビ〜♪ベイビ〜♪”の早回しボーカルのループが印象的ですね。全体的にソウルフルな仕上がりもいいカンジですな。

「So Far to Go」
「Love」と並ぶ超オススメ曲。Soulquarians仲間であるD'AngeloCommonという豪華メンバーをフィーチャー。しかもIsley Brothers「Don't Say Goodnight」ネタのトラックとくれば、僕的には言うことナシ。しみじみと感慨に耽ってしまう1曲ですね。

「Body Movin'」
J RoccとKarriem Rigginsをフィーチャー。シンセによるダークなトラックがいいカンジですな。

「Dime Piece」
SoulquariansテイストのトラックにのってDweleのボーカルがフィーチャーされていマス。D'Angelo風の独特の浮遊感が僕好み☆

「Love Movin'」
Black Thoughtをフィーチャーしたパーカッシブなナンバー。

「Won't Do」
Isley Brothers「Footsteps in the Dark」ネタの幻想的なトラックが実にステキっす。

Q-Tipが言うように、天国でもせっせとトラックを作って、みんなをヘブン状態にしていそうですね。改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。
そして、ステキなトラックの数々をありがとう(‐‐)†
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2006年09月07日

Stevie Wonder『Talking Book』

天才Stevie Wonderがその天才ぶりを広く世に知らしめた1枚☆Stevie Wonder『Talking Book』
Talking Book
発表年:1972年
ez的ジャンル:ミラクル・ソウル/R&B
気分は... :1年経ちました♪

紀子さま男児ご出産でわく日本列島ですが、私事でも今日はなかなか感慨深い日になりまシタ。

このブログを立ち上げて今日でちょうど1年になりまシタ。

DJでも、ミュージシャンでもない、音楽ドシロウトの僕が軽い気持ちで立ち上げた音楽ブログであったが、よくまぁ1年も続いたもんだよね。

でも、1年間続けて、それなりに自分にとっての収穫もあった。まず、やっぱり自分自身が音楽が大好きであり、自分の生活の中の大きな要素であることを再認識できたなぁ。あと記事をエントリーするにあたって、情報をリサーチしていく中で、何十年も聴いていたアルバムなのに、初めて知った情報も数多くあり、さらに自分の音楽ライフを深めることが出来たと思うね。

そして、何よりこんなブログでも多くの方に閲覧頂き、その上あたたかいコメント、TBなどを数多く頂けたことが大変励みになりました。
この場を借りて御礼申し上げますm(_ _)m

ということで記念すべき1周年はStevie Wonder『Talking Book』(1972年)デス。

確か200回記念のエントリーもStevieの『Songs In The Key Of Life』(1976年)でしたね。僕にとって、Stevie Wonderの作品は御頭付きの鯛みたいものなのかもね??

『Songs In The Key Of Life』のエントリーの時にも書いたけど、Stevie Wonderのキャリアの中で『Music of My Mind』(1972年)から『Talking Book』(1972年)、『Innervisions』(1973年)、『Fufillingness's First Finale』(1974年)という所謂三部作を経て『Songs In The Key Of Life』(1976年)に至る5作品は完璧&ミラクルな作品だと思いマス。

そんなミラクルな5作品の中で、僕が最初に購入した作品が『Talking Book』だった。中学生の僕はとにかく「You Are the Sunshine of My Life」が欲しくて、このアルバムを最初に購入した。

ジャケも含めて、このアルバムの持つ崇高な雰囲気に、中学生の僕は圧倒された記憶がある。Marvin Gaye『What's Going On』と本作『Talking Book』の2枚を聴いて、それまでロック=洋楽だった僕が、ソウルというジャンルを強く意識するようになった。その意味でも実に思い出深いアルバムっす。

また、Stevieのキャリアを振り返っても、Stevieがポピュラー音楽の中心に位置する天才クリエイターであることを世に知らしめたのは本作からではないかと思いマス。

全曲紹介しときヤス。

「You Are the Sunshine of My Life」
全米チャート第1位、第16回グラミー賞最優秀ポップ・ヴォーカル賞受賞の名曲。僕のマイ・フェイバリット・スティーヴィーっす。

このラブソングの歌詞が大好きで、恥ずかしながら、若かりし頃、この曲の歌詞をラブレターに書いたこともあったけ?曲の方は、コンガの心地良いビートにのったStevie流ボッサといった趣きの心地良いメロウ・グルーヴっす。

Cold Blood、Lou Donaldson、Leon Thomas、Morgana King、Bobbi Humphrey、Carmen McRae、Pauline Wilson、平井堅、小野リサなど数多くのアーティストによってカヴァーされていますね。個人的には、7分超もロマンチックなサウンドを堪能できるCold Blood、実に優しくしなやかなMorgana Kingのカヴァーをよく聴きますね。

「Maybe Your Baby」
恋のモヤモヤ感がサウンドにもよく反映されているStevieらしいスロー・ファンク。本当に別の恋人が別の計画を立てているのだろうか?(笑)印象的なギターはRay Parker, Jr.デス。

「You and I (We Can Conquer the World) 」
「You Are the Sunshine of My Life」の次に好きな曲。ピアノとムーグで実に感動的なサウンドをクリエイトしていますよね。中学生の頃、この曲を何度も聴きながらレコードの裏ジャケの歌詞を辞書片手に何度も読み返していたことを思い出す。

「Tuesday Heartbreak」
これも大好きなジャズ・ファンク・テイストのナンバー。そうか、火曜日の失恋は不公平なんだね。どうせフラれるならば水曜日に(笑)

バックコーラスでDeniece Williams、サックスでDavid Sanbornが参加していマス。僕が持ってる昔のLPのライナーノーツには“ドニース・ウィリアムス”って表記されていたので、CDで買い直すまでDeniece Williamsだとは気付かなかった(笑)

「You've Got It Bad Girl」
Yvonne Wrightとの共作ナンバー。ムーグによる魅惑のサウンドが展開されます。Quincy JonesやHerbie Hancockによるカヴァーも有名ですね。Quincyの場合、アルバムタイトルにもなっていマス(1973年の『You've Got It Bad Girl』)。

「Superstition」
「You Are the Sunshine of My Life」と並ぶアルバムのハイライト曲。勿論全米チャート第1位。中学生の頃、「迷信」という邦題は結構インパクトあったね。今でこそこの曲を聴くと“Stevieらしいファンク・サウンド”ってことになるんだろうけど、1972年にこのサウンドってかなり斬新だったんじゃないかなぁ?僕はこのアルバムをリアルタイムで体験したわけではないけど...

この曲もQuincy Jones、Ahmad Jamal、David T.Walker、Stevie Ray Vaughan & Double Trouble、Escorts、 Bernard Purdie、Glenn Lewisなど数多くのカヴァーがありますね。最近ではAlicia Keys「Karma」と「Superstition」をMash Upした「Karmastiton」なんていうのも話題になりましたよね。

「Big Brother」
「Superstition」からシームレスに続くこの曲は、ニューソウルらしい痛烈なプロテスト・ソングっす。でも、そんな歌詞以上にパカポコ心地良く響くパーカッションに惹かれてしまいマス。

「Blame It on the Sun」
Stevieと当時の奥方Syreeta Wrightとの共作。神聖なムードに包まれた心洗われるバラード。

「Lookin' for Another Pure Love」
昔から特別好きな曲ではないんだけど、一度聴いたら、耳にフレーズが残ってしまう中毒性のある曲。ギターでJeff Beck 、Buzzy Feitenが参加していマス。

「I Believe (When I Fall in Love It Will Be Forever) 」
Sstevieらしい大作バラードでアルバムは幕を閉じる。Yvonne Wrightとの共作。

果たして、2歳の誕生日まで本ブログは続いているのか?
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2006年09月06日

Style Council『Cafe Bleu』

Paul Wellerが示してくれた新しいスタイルの数々☆Style Council『Our Favorite Shop』
Cafe Bleu
発表年:1984年
ez的ジャンル:オシャレ&硬派系スタイリッシュ・ポップ
気分は... :カフェ・ランチ...

最近カフェ・ランチするのが結構好きだったりする。

カフェ・メシを食べていると、気分爽快で急にいいビジネス・アイデアが思い浮かんだりするんだよね!特に自由が丘へ行くことが多いかな。基本的に自由が丘は女性の街なので、平日の昼間に野郎がランチしているのは似合わないんだけどね(笑)

ということでカフェといえば、『Cafe Bleu』でしょ!ってことでStyle Councilっす。
Style Councilの紹介は、本ブログ立ち上げ間もない頃に紹介した『Our Favorite Shop』以来ですね。

モッズ・ヒーローPaul WellerがJam解散後にMick Talbotと組んで結成したStyle Council(通称スタカン)。Jam大好きだった僕が最初Style Councilのデビューシングル「Speak Like A Child」を聴いた時には、このモータウン風サウンドに肩透かしを食らった気分だったね。やっぱりビート感溢れるモッズ・サウンドが聴きたい!ってカンジだったかな。

その後、「Money-Go-Round」、「Long Hot Summer」、「A Solid Bond In Your Heart」と立て続けに出されたシングルを聴いて、スタカンにJam的なものを期待しても無駄だと観念し、Soul/R&B、Funk、Jazz、Latin、Bossa Novaなど様々な音楽スタイルをクールに取り込んだPaul Wellerの新機軸についていくことにした。

そんな中でスタカンの5thシングル「My Ever Changing Moods」が届いた。この曲を聴いて正直安堵&歓喜した記憶がある。Jamとは違うかたちではあるが、Paul兄貴のカッチョ良さを再認識できて嬉しかったね。当時、こんな思いだった人は案外多かったのでは?Paul兄貴とMickがひたすらサイクリングするPVも何かインパクトあったよね!

そんな期待の中で発表されたStyle Councilの1stアルバムが『Cafe Bleu』(1983年)だった(日本では、その前にシングルを集めたミニ・アルバム『Introducing The Style Council』が発表されていたけど)。ジャケ写真も含めて、グループ名(Style Council=スタイル討議会)の通り、クールなスタイルで貫かれたアルバムだ。

「My Ever Changing Moods」をはじめとする既発表のシングルやシングルB面曲が別バーションで収録されていたため、個人的にはシングルとアルバムへの二重投資が必要だったのは金銭的には痛かった(笑)ただ、それだけアルバム全体の統一感にこだわっていたんだろうね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Mick's Blessings」
Mickのピアノをフューチャーしたインストで幕開けするあたりが、このグループらしいかもね。この曲って、佐藤藍子が司会をしているNHK-BS『BSスタイル』のオープニング・テーマにもなっていますよね。

「Whole Point of No Return」
実はアルバムで一番スキなボッサ・ナンバー。Tracey ThornBen WattEverything But the Girl(EBTG)あたりと一緒に聴きたい曲ですね。いや〜カッチョ良いね。

「Blue Cafe」
ムードたっぷりのインスト。まさにカフェにピッタリな1曲ですな。気分はパリの昼下がりってカンジでしょうか?

「Paris Match」
Paul兄貴のボーカルでパリ・モードのアレンジで発表されていたシングル・バーションとは別バーション。本バージョンではボーカルにTracey Thorn、ギターにBen WattというEBTGを全面フューチャーし、かなりジャジーな雰囲気に仕上がっていマス。個人的には、シングル・バージョンの方が好きだけど。

「My Ever Changing Moods」
前述のシングルの別バーション。キャッチーなシングルを聴き慣れていると、ピアノの弾き語りの本バージョンに多少物足りなさも感じるけど、これはこれで楽しめばいいのではと思いマス。

「Dropping Bombs on the White House」
よく読むと、物凄いタイトルのインスト・ナンバー。本ブログの50年代カテゴリーのジャズ・アルバムを彷彿させる1曲。

「Gospel」
Dizzy HiteのラップをフューチャーしたHip-Hopナンバー。正直、今聴くとショボい曲だけど、Paul兄貴がHip-Hopに取り組んだこと自体に意味があると思う。

「Strength of Your Nature」
スタカン流Pファンク。スタカン時代、このPファンク・パターンをPaul兄貴は結構好んで多用していたよね。

「You're the Best Thing」
スタカンの代表曲の1つと言えるアコースティック・ナンバー。本作のハイライト曲かもね。みんなが期待するオシャレなスタカン像が凝縮された1曲なのでは。

「Here's One That Got Away」
わりとシブめの曲が多い中で、ストリングスのアレンジが印象的なやけにポップな1曲。

「Headstart for Happiness」
既に発表されていたシングル・バーションとは別バーション。シングルのアコースティック・ギターの弾き語りもメチャメチャ好きなんだけど、D.C.Leeをフューチャーしたソウルフルな本バーションも甲乙付け難いくらいいいね。

「Council Meetin'」
Booker T. & The MG's風のインスト・ナンバー。インスト曲の中ではコレが一番スキかな!

アルバム単独で言えば、前に紹介した2ndアルバム『Our Favorite Shop』(1985年)の方が聴き応えがあるかもしれないけど、Style Councilらしさという点では本作かもね。このアルバムは単独で聴くよりも、収録曲のシングル・バージョンと合わせて聴くと、楽しさ倍増になりますよ!
posted by ez at 10:44| Comment(0) | TrackBack(2) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする