2006年09月05日

Eric Benet『True to Myself』

R&Bという枠組みでは収まらない音楽性が魅力☆Eric Benet『True to Myself』
True to Myself
発表年:1996年
ez的ジャンル:ニュー・クラッシック・ソウル系R&B
気分は... :ちょっと!ちょっと!(¬¬)

週末、Van Huntの2ndアルバム『On The Jungle Floor』(2006年)を聴いていたら、ふとEric Benet『True to Myself』Maxwell『Maxwell's Urban Hang Suite』といったアルバムが脳裏を過ぎった。R&Bという枠組みでは収まらない音楽性が共通しているカンジがする。

Eric Benet『True to Myself』 、Maxwell『Maxwell's Urban Hang Suite』は共に1996年発表だから、もう10年も経つんだね。早いなぁ。当時、僕はこれら2作品にLewis Taylor『Lewis Taylor』を加えた3作品を1セットで聴いていたように記憶している。3作品共にPrince殿下の影響を受けたR&Bアーティストといったカンジがしたなぁ。

Prince殿下を起点に考えれば、殿下の影響をモロに受けているVan HuntとEric Benet、Maxwellの共通点も見出しやすくなるかもね。

ということで今回はEric Benetのデビューアルバム『True to Myself』っす。

昨年、久々の3rdアルバム『Hurricane』を発表したEric Benetだが、それ以上にアカデミー賞受賞女優であったHalle Berryとの離婚や、それに伴う“セックス中毒”の噂など音楽以外のことが話題になることが多かったよね。

でも、このデビューアルバム『True to Myself』は発売から10年が経った今も色褪せることのない名盤だと思いマス。

そう言えば、Maxwellと共にD'Angelo『Brown Sugar』(1995年)の流れを汲むニュー・クラッシック・ソウルの旗手のような言われ方をされていましたねぇ。

このアルバムの魅力は、濃厚なファンキーさだと思う。このあたりがライトタッチの薄味が魅力のMaxwellとの違いかもね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「True to Myself」
シングルカットもされたミディアム・テンポのタイトル・チューン。70年代ムードたっぷりの粘り腰のファンクネスが何ともいいよね。今回聴いていて、先日紹介したBill Withers「Lean on Me」あたりの雰囲気にも少し似ているカンジがした。『Batman & Robin』(1997年)のサントラにも収録されていましたね。

「I'll Be There」
タバコのCMにも使われていたので、日本でも人気だったメロウ・バラード。メロメロ好きの僕にとっては言うこと無しのマイ・クラシックっす。当時、密かな僕だけの名曲にしたかったので、CMで使われたのは逆に悔しい思いがしたなぁ。この1曲のみでも本作を聴く価値アリだと思いマス。

「If You Want Me to Stay」
Roger Troutman(Zapp)プロデュースによるSly & the Family Stoneの名曲カヴァー。Zapp大好き!Sly Stone大好き!の僕は歓喜しっぱなしっす。案外、オリジナルの雰囲気に忠実だよね。そう思うと、Sly StoneとEric Benetって意外に近いのかも?Rogerのトークボックスにはウレシすぎて鼻血ブーっす。

「Let's Stay Together」
映画『A Thin Line Between Love & Hate』(1996年)のサントラにも収録されていたナンバー。ゴスペル・タッチの70年代風の仕上がりがいいカンジっす。本作にはMidnight MixというRemixバージョンも収録されていますがオリジナルの方が全然いいっす。

「Femininity」
聴き応え十分の美しいバラード。僕はあまり仰々しいバラードはすぐに飽きちゃう方なんだけど、この曲は飽きないなぁ。

「Spritual Thang」
シングルカットされたアコースティック・ソウル。実に小粋でカッチョ良いナンバー。かなりのオススメ。この曲あたりにVan Huntとの共通項を見出しやすいかもね!

「Chains」
ロック的なアプローチの曲。Van Hunt的でもあるけど、それ以上にLenny Kravitzっぽいかもね。Eric Benetのスケールの大きさを感じることができる曲かもね。

「More Than Just a Girlfriend」
ファンキーな躍動感に心が自然に高鳴るナンバー。70年代ニューソウルを聴いている時のようなワクワク感を感じるね。

「What If We Was Cool」
実に心地良いアコースティック・ソウル。基本的にアコースティック・ソウルってやつにハマりやすい僕なのでシタ。

でもこのデビュー盤の充実ぶりを聴くと、2nd『A Day In The Life』(1999年)、3rd『Hurricane』は少し残念だよね。2ndのFaith EvansをフューチャーしたTotoの名曲「Georgy Porgy」カヴァーや、David Fosterを迎えた『Hurricane』も悪くはないけど、アンタならばもっと出来るでしょ!というのが正直な感想かな?

そう言えば、Van Huntの2ndアルバム『On The Jungle Floor』も紹介していませんでしたね。機会があれば紹介しやす。
posted by ez at 00:22| Comment(0) | TrackBack(1) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月04日

Lee Morgan『Candy』

天才トランペッターLee Morganが残した唯一のワン・ホーン作品☆Lee Morgan『Candy』
Candy
録音年:1958年
ez的ジャンル:キザ男系天才肌Jazz
気分は... :キザだけどカッチョええねぇ〜!

天才ジャズ・トランペッターLee Morgan(1938-1972年)の2回目の登場っす。

前回紹介した『Lee Morgan Vol.3』(1957年)と並び代表作の呼び声の高い『Candy』(1958年)っす。

前回の時も書いた通り、Miles Davisという別格の存在を除いて、僕の一番お気に入りのトランペッターがLee Morganだ。

彼の最も有名な作品と言えば、ジャズ・ロックの人気盤『The Sidewinder』(1963年)だが、Morganの首尾一貫してカッコ良いそのダンディズムを堪能するには、『Lee Morgan Vol.3』(1957年)、『City Lights』(1957年)、『The Cooker』(1957年)、『Candy』(1958年)、『Here's Lee Morgan』(1960年)あたりの作品がオススメっす。

特に、今回紹介する『Candy』は、数多くのMorganのリーダー作の中で、唯一のワン・ホーン・カルテット作品である。メンバーは、Lee Morgan (tp)、Sonny Clark(p)、Doug Watkins(b)、Art Taylor(ds)の4人。Sonny Clarkの参加がこの作品の魅力を高めていますね。

内容的には、スタンダードを中心に軽快で粋な演奏を聴かせてくれます。いい意味での軽さがこのアルバムの魅力かもね!

お馴染みのReid MilesデザインのジャケもMorganのキザ男のイメージとピッタリですよね。録音時のMorganはまだ19歳。ティーンにして、このダンディズムにはおそれいります。

全曲紹介しときヤス。

「Candy」
作詞Mack David、作曲Joan Whitney、Alex Kramerのスタンダード。オリジナルは多分Nat king Coleだと思いマス。Dinah Shore、Jo Staffordなどでヒットしました。Big Maybelleなどでも有名ですね。

Morganのカルテットは、このスタンダードを実に陽気で楽しく聴かせてくれマス。Sonny Clarkの軽やかなタッチの小粋なピアノに続き、Morganの勢いを感じるソロを堪能できマス。Doug Watkinsの太いベース、Art Taylorのブラッシュもいいカンジ。ホント、7分が実に短く感じる見事な1曲ですね。

「Since I Fell for You」
Bud Johnson作品のスタンダード。雰囲気たっぷりのバラードですが、Morganがダンディーに決まりすぎてマス。

「C.T.A.」
アップテンポのスピード感が気持ちいいナンバー。忙しないカンジが印象的ですな。

「All the Way」
Frank Sinatra主演の映画『The Joker Is Wild(抱擁)』の主題歌として有名なスタンダード。Sinatra自身のバージョンはアカデミー主題歌賞を受賞しまシタ。Billie Holidayなども取り上げていますよね。個人的にこの曲は、Bill Evans Trio『Waltz For Debby』の時にも紹介した笠井紀美子さんのバージョン(アルバム『My One and Only Love』収録)に一番愛着がありマス。

そんなスタンダードを実にロマンチックに聴かせてくれマス。実にリリカルなMorganのソロにうっとりですな。『Lee Morgan Vol.3』収録の名曲「I Remember Clifford」あたりとセットで聴きたい気分ですね。アルバム中一番のお気に入りっす。

「Who Do You Love, I Hope?」
Morganらしいヤンチャな若者らしいトランペットが堪能できるナンバー。こういったワルっぽいカンジもMorganの魅力ですよね。

「Personality」
Bing Crosby、Bob Hope、Dorothy Lamour共演の映画『Road To Utopia(アラスカ珍道中)』の中でDorothy Lamourが歌っていた挿入歌。Morganの余裕たっぷりなカンジが、小憎らしいくらいにカッチョ良いですな。

「All at Once You Love Her」
CD化に伴い追加されたボーナス・トラック。実にスリリングでエキサイティングが演奏を堪能できマス。

本作と『Lee Morgan Vol.3』をセットで聴けば、アナタもキザ男Lee Morganの虜になると思いますよ!

そのうち本作の魅力を一層高めてくれたSonny Clarkの作品も取り上げないとね。『Sonny Clark Trio』(1957年)、『Cool Struttin'』(1958年)あたりかな?
posted by ez at 00:51| Comment(4) | TrackBack(1) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月03日

The Rolling Stones『Sticky Fingers』

70年代Stonesの幕開けアルバム☆The Rolling Stones『Sticky Fingers』
Sticky Fingers
発表年:1971年
ez的ジャンル:Stones流南部ロック
気分は... :ジッパーを下げると...?

The Rolling Stonesは、『Black And Blue』(1976年)、『Beggars Banquet』(1968年)に続き3回目になりマス。

今回は、自らのレーベルRolling Stones Recordの第1弾アルバムであり、70年代Stonesの幕開けアルバム『Sticky Fingers』っす。

以前にも書いたけど、やっぱりStonesのピークは、『Beggars Banquet』(1968年)、『Let It Bleed』(1969年)、『Sticky Fingers』(1971年)、『Exile on Main St.』(1972年)の4枚だと思う。この4枚を聴かずしてStonesを語って欲しくないよね。

この4枚の中で個人的には前に紹介した『Beggars Banquet』がダントツで一番スキだけど、これからStonesを聴こうという人にとっては本作『Sticky Fingers』が、一番ストレートにStonesのカッチョ良さを感じることができる作品かもね?

『Beggars Banquet』から始まったStonesのアメリカ南部志向の1つの完成形がUK、USで共にNo1となった本作『Sticky Fingers』だと思う。新メンバーMick Taylorも、前作『Let It Bleed』では加入直後のレコーディングかつ数曲のみの参加で、まだゲストのような存在だったが、本作ではフル参加でかなりグループにも馴染んできていマス。

また本作はPOPアートの巨匠Andy Warholによるジッパー付きジャケット(ジッパーを下げると白ブリーフになっている)でも話題でしたね。このやや右寄りの下半身がリアルだよね(笑)

全曲紹介しときヤス。

「Brown Sugar」
アルバムからの1stシングルであり、全米チャート第1位にも輝いたStonesの代表曲の1つですね。最初のKeith Richardsのギターリフだけで完全KOの曲ですな。僕はこの曲のマラカスがたまらなく好きなんだよね。Bobby Keyesのサックスも盛り上げてくれマス。ちなみにBrown Sugarとは未精製のヘロインを意味するスラング。

「Sway」
南部らしいアーシーなナンバー。Mick Taylorのギターが聴きもの。Nikky Hopkinsのピアノも好サポート。

「Wild Horses」
アルバムからの2ndシングル。個人的には70年代以降のStones作品で最も好きなバラード。ホント胸に染みる名曲ですな。元ByrdsのGram Parsonsとの交流から生まれた曲であり、彼のグループThe Flying Burrito BrothersがStonesに先んじてシングルを発表している。Stonesバージョンの方が断然カッチョ良いけどねぇ。

「Can't You Hear Me Knocking」
ニューオリンズ風のブルージーな前半とSantanaを彷彿させるラテン風味になる後半とのコントラストが面白い曲。隠れたハイライト曲かもね。Mick Taylorのギターの活躍が目立ちマス。『Beggars Banquet』での大活躍が印象に残るRocky Dijon(conga)やStones作品初参加のBilly Preston(org)もサポート。

「You Gotta Move」
ミシシッピのブルースシンガーFred McDowellのカヴァー。この曲なんか聴いていると、改めてMick Jaggerの声質って南部ブルースとの相性がいいのが実感できる。Bill Wymanがエレピをプレイしていマス。

「Bitch」
「Brown Sugar」、「Wild Horses」級の超カッチョ良いアップ・テンポ・ナンバー。シングルにならなかったのが不思議なくらいパンチが効いているよね。全体の雰囲気はSrone流スタックス・サウンドといったところか。個人的超プッシュ曲っす。

「I Got The Blues」
Booker T. & The MG'sへのオマージュとして録音された実にソウルフルなナンバー。Mickのボーカルが素晴らしいですな。

「Sister Morphine」
Sister Morphineとは、Mickの元恋人Marianne Faithfullのこと。歌詞を書いたMarianneとクレジットをめぐってモメた。それを踏まえると、余計に痛々しく聴こえるね。Ry Cooder参加。

「Dead Flowers」
これもGram Parsonsの影響で作られたカントリー・ロック。個人的には、この手の曲はStonesではなく、Flying Burrito Brothersあたりに任せるべきだと思うね。

「Moonlight Mile」
元々「The Japanese Things」というタイトルだったらしい。そう言われると、どことなくミステリアスなオリエンタル・ムードが漂っているよね。

本作で自信を深めたStonesは次の2枚組大作『Exile on Main Street』(1972年)で、さらにStones流南部サウンドを熟成させていく。
posted by ez at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月02日

Jurassic 5『Feedback』

待ってました!Jurassic 5待望の新作☆Jurassic 5『Feedback』
Feedback
発表年:2006年
ez的ジャンル:元気印西海岸Hip-Hop
気分は... :うれし〜い\(^◇^)/ワ〜イ

昨日、しばらくご無沙汰だった知人から連絡があり、ちょっとウレシイ気分\(^〇^)/ワ〜イ

同様に、しばらくご無沙汰だった僕のお気に入りHip-HopグループJurassic 5の4年ぶりの新作『Feedback』は、この1ヶ月あまり僕を歓喜させ続けている、最近の新譜のイチオシ作品デス☆

以前に『Quality Control』(2000年)を紹介したJurassic 5(J5)だったが、『Power in Numbers』(2002年)以降あまり目立った活動もなく、どうしたのかなぁ?なんて思っていた。4年ぶりの新作と聴けば、他のアーティストの新作発表と比較して、特別長いインターバルではないのかもしれないが、僕の感覚的には7、8年ぶりの新作と錯覚するくらい待たされた気がする。

今作では、DJ Nu-markと共にJ5サウンドを支えていたCut Chemistが抜け、5人組となり、ある意味本当の“Jurassic 5”になってしまった。そんな状況や長い間待ち望んで期待大きかった分、逆に不安も覚えていたのだが、そんなことは危惧に終わった素晴らしい作品っす。大車輪で頑張ったDJ Nu-markの頑張りに拍手(^-^)//""パチパチ

僕のようなオヤGリスナーを満足させるオールドスクール的なノリのソウルフルでファンキーなトラックと、元気一杯のマイクリレーは健在ですよ。

やっぱりJ5を聴いていると、元気になるし、ヤンチャな気分になるねぇ。
お疲れ気味のアナタ、ファイト一発!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Back 4 You」
Live風の作りとJ5らしい4MCによるマイクリレーにいきなり歓喜するオープニング曲。Art Of Noise「Baet Box」ネタのピアノ・ループが美しいトラックも印象的ですな。

「Radio」
オールドスクール・ファン大喜びCrash Crew「On the Radio」ネタのトラックがサイコーのパーティー・チューン。Fugees等でお馴染みSalaam Remiプロデュース曲。このチープなエレクトリック・サウンドはたまりません。

「Brown Girl (Suga Plum)」
ジャマイカの女性デュオBrick & LaceをフィーチャーしたScott Storchプロデュース曲。Boney M「Brown Girl In The Ring」ネタのタンゴチックなトラックがグッド!

「Gotta Understand」
Curtis Mayfield「Mr. Welfare Man」ネタのトラックとマイクリレーが実にマッチしてヤス。Curtis大好きの僕は文句ナシにOKっす。

「In The House」
Graingers「Shine Your Light」ネタのファンク・チューン・トラックがカッチョ良いね。

「Baby Please」
EmanonのトラックメーカーExileプロデュース曲。Al Green「Love & Happiness」ネタのイナたいソウル・サウンドのトラックながら、J5らしい元気な仕上がりになっているのがウレシイ限り☆Exileなかなかやりよるね!

「Work It Out」
Dave Matthews Bandをフィーチャーしたシングルカット曲。ファンキーなトラックと4MCの魅力が爆発した実にJ5節らしいナンバー。Roland Kovac「World Soul」ネタ。

「Where We At」
Mos Defをフィーチャーしたナンバー。シンプルで直球勝負のカッチョ良さに溢れる曲。

「Get It Together」
ピアノの音色が実にイカした激シブ・ナンバー。Marvin Gaye「That's The Way Love Is」ネタ。

「Future Sound」
オヤジ・ロックファンには懐かしいThree Dog Night「One」ネタのナンバー。

「Red Hot」
The Dap-Kings「Nervous Like Me」ネタの骨太ファンク・トラックがサイコーのアゲアゲ・ナンバー。かなり好き!

「End Up Like This」
またまたMarvin Gayeネタの曲。今回は「Just To Keep Your Satisfied」のメロウなストリングスを使っていマス。70年代のSky High Productionサウンドみたい!Salaam Remiプロデュース。

「Canto De Ossanha」
ブラジリアン・アコースティック・グルーヴのラスト・ナンバー。なかなか粋ですな。Dorothy Ashby「Canto De Ossanha」をサンプリング。

グループから離れたCut Chemistもソロ作『The Audience's Listening』を発表していマス。こちらもチェックしておかないとね!
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月01日

Orange Juice『You Can't Hide Your Love Forever』

甘くな〜いオレンジ・ジュースはいかが?☆Orange Juice『You Can't Hide Your Love Forever』
You Can't Hide Your Love Forever
発表年:1982年
ez的ジャンル:ヒネリ系ネオアコ
気分は... :夏の終わりに...

今日から9月、残暑厳しいから全然そんな気になれないけど!

特別な夏の思い出があったわけではないけど、それでも夏の終わりってなんか寂しいよね。

そんな夏の終わりの余韻を味わうアルバムとして、Orange Juice『You Can't Hide Your Love Forever』(1982年)をセレクト☆少し前のお盆特別企画2☆『動物ジャケット集めてみましたぁ!』でも紹介した作品デス。

Orange Juiceは、Edwyn Collinsを中心にUKのグラスゴーで1977年に結成されたNu-Sonicsというパンク・バンドがその前身である。その後、グループ名をOrange Juiceと改名すると同時に、その音楽性もスコティッシュらしいギター・ポップへと路線変更していった。

Aztec CameraもいたPostcardというインディーズ・レーベルで4枚のシングルを発表後に、大手のPolydorへ移籍し、発表された1stアルバムが本作『You Can't Hide Your Love Forever』っす。

今ではオリジナル・ネオアコの名作といった扱いで、かなりの評価の高い『You Can't Hide Your Love Forever』だけど、当時はあまり話題にならなかったアルバムだったように思う。

以前紹介したWeekend、Aztec CameraTracey ThornBen WattEverything But the Girl(EBTG)あたりをリアルタイムで聴き、ネオアコの虜になった僕だったけど、それらのアーティストと同じ流れでOrange Juiceを聴いていた人って、あまりいなかったんじゃないかなぁ?

僕の記憶では、リアルタイムでOrange Juiceというグループ名を認識するようになったのは、2ndアルバム『Rip It Up』(1982年)発表後だったと思う。しかも、『Rip It Up』の『キ・ラ・メ・キ・トゥモロー』という邦題から、第2次ブリティッシュ・インヴェンションの流れで出てきた、3流アイドル・ポップ・バンドだと勝手に思い込んでいたかなぁ。

それが90年代に入り、Orange Juiceが元祖ネオアコ・グループのように扱われ始めてビックリ!慌てて、本作のCDを入手した記憶がある。でも、ネオアコというジャンルから、爽やかさ、清涼感をイメージする人が多い中、本作『You Can't Hide Your Love Forever』の少しヒネリが入ったトーンってどうなのかね。結構、好き/嫌いがハッキリ分かれるタイプの作品かも?

個人的には、ジャケのイメージとは全然違う、この垢抜けないカンジが8月の終わりの海岸の寂しさのようで好きだなぁ。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Falling and Laughing」
Postcard時代のデビュー・シングルの再録。キャッチーなサウンドとEdwynの憂いを持つ暗めのボーカルがうまく融合して、ホロ苦チョコみたいなギター・ポップに仕上がっている。

「Wan Light」
青臭さがプンプンするネオアコらしいナンバー。ホーンセクションなんかの使い方がかなりSoul/R&Bテイストなのが面白いね。

「Dying Day」
完成度という点ではこの曲が一番かもね。確かに、この曲を聴けばネオアコの名作という評価も納得できるね。

「L.O.V.E. Love」
アルバムからの1stシングル。意外にもオリジナルではなく、Al Greenの1975年のヒット曲のカヴァー。このアルバムって、よく聴くと結構Soul/R&Bテイストに溢れていることに気付く。

「Satellite City」
この曲もかなりSoul/R&Bテイスト。後期Jamの「Absolute Beginners」なんかのノリに近いかもね。久々に聴いたら、ヤケにカッチョ良いね。

「Three Cheers for Our Side」
60年代モータウン・サウンドと哀愁ネオアコが交互に登場するようなスリリングな展開が魅力のナンバー。女性コーラスもいいカンジ。

「Felicity」
アルバムからの2ndシングル。正統派ギターポップっす。ネオアコ好きを安心させてくれるナンバー。

「In a Nutshell」
夏の終わりにピッタリのアコースティック・ナンバー。名残り惜しい余韻がいいカンジ。

今回数年ぶりに聴いて、こんなにSoul/R&Bテイスト強かったっけ?と意外な再発見をした気がしまシタ。
posted by ez at 00:12| Comment(0) | TrackBack(1) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする