2006年10月31日

Ray Barretto『Acid』

ラテン・グルーヴの帝王のハード・ハンズを堪能あれ☆Ray Barretto『Acid』
Acid
発表年:1968年
ez的ジャンル:ハード・ハンズ系ブーガルー
気分は... :まさにAcid!

久々にラテン・グルーヴを!ということでRay Barretto『Acid』(1968年)っす。

今年、NYサルサの名門レーベルFaniaの復刻CDが続々と発売され、入手困難だった名盤がいろいろゲットできた。

僕はフリークを気取るほど、ブーガルー、サルサに詳しいわけではないが、それなりにその分野のCDも持っており、ぜひマイ・コレクションに加えたい作品リストも頭の中にあったので、今回のFania復刻シリーズは食指が動かされた。ここ数年、こうしたラテン・グルーヴをまとめ買いすることは少なかったんだけど、今年は久々にまとめてゲッチュしました。

ただ、その割には本ブログで紹介する機会を逸していたので、これからボチボチ紹介していきマス。

その第1弾は、今年亡くなったラテン・グルーヴの帝王と呼ばれたコンガ奏者Ray BarrettoがFaniaに残した名盤『Acid』っす。

1929年ニューヨーク生まれのRay Barrettoは、1950年代後半からTito Puente楽団のメンバーとして、ラテン・ジャズ・シーンで活躍し、1960年代にはMongo Santamariaなどと共にラテン・ソウル作品で人気を集め、1970年代にはFania All Starsのメンバーとしても活躍した。また、ジャズ・ミュージシャンとの共演も多い。まさに、コンガという楽器の地位を確立し、ラテン・グルーヴを牽引し続けてきたミュージシャンであった。

今回紹介する『Acid』(1968年)は、いわゆるブーガルーの名盤と言われる作品である。ブーガルーは、1960年代に人気を博したラテンとR&B/Soul、ロックン・ロールなどが融合した、NYらしい混血性に満ちたラテン音楽のことである。こうしたブーガルーの流れを経て、1970年代前半にサルサ・ブームが到来する。

今日、ブーガルーをはじめとするラテン・グルーヴは、ラテン音楽ファンに加えて、クラブ系リスナーの人気も高い。本作『Acid』もDJから熱い支持を受ける1枚だと思います。

メンバーは、Ray Barretto(conga)、Roberto Rodriguez(tp)、Rene Lopez(tp)、Orestes Vilato(timbales)、Louis Cruz(p)、Big Daddy(b)、Adalberto Santiago(vo、bel)、Pete Bonet(vo、guiro)。プロデュースはHarvey Averne/Jerry Masucci。

全曲紹介しときヤス。

「Nuevo Barretto」
オープニングは、思わずハンドクラップしたくなるアゲアゲな曲。ラテンらしい盛り上がりがいいですな。

「Mercy, Mercy, Baby」
ブーガルーらしいゴッタ煮なカンジがいいカンジのナンバー。

「Acid」
クラブでも大人気のタイトル曲。Barrettoのハード・ハンズと呼ばれたカッチョ良いコンガを堪能できマス。Acidと聞くと、90年代Acidブームを思い浮かべる僕だけど、そのはるか昔にこんなAcidな演奏があったなんてスゴイよね。

今年出たLuisito Quintero『Percussion Maddnes』の中でカヴァーされています。これもなかなかの出来☆

「Deeper Shade of Soul」
Beatlesのカヴァーで有名なIsley Brothersのヒット曲「Twist & Shout」のラテン・バージョンって雰囲気の曲。途中、スタックスを代表するソウル・ヒットEddie Floyd「Knock on Wood」のフレーズも飛び出しマス。ミクスチャー・ロック・バンドUrban Dance Squadがカヴァーしていマス。

「Soul Drummers」
個人的には、この曲がベスト・トラックかなぁ。僕が求めるラテン・グルーヴのカッチョ良さにピタッと合致しマス。もっと長尺で聴きた〜い!

「Sola Te Dejare」
この曲はフツーにサルサだね。今回の復刻CDで購入したRuben Bladesあたりと一緒に聴きたくなる。

「Teacher of Love」
コレはゴー・ゴーなラテン・ナンバー。コメディ・タッチのスパイものB級映画あたりにピッタリなカンジ。この軽さが好きデス。

「Espiritu Libre」
この曲もAcidなナンバー。なんかワケのわからない凄みのある演奏だね。

第2弾はJoe Bataan『Riot!』Willie Colon『El Malo』あたりかなぁ。
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2006年10月30日

Pharoah Sanders『Rejoice』

歓喜のスピリチュアル・ジャズ☆Pharoah Sanders『Rejoice』
Rejoice
発表年:1981年
ez的ジャンル:アフロ・アメリカン系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :悩むな!楽しめ!

スピリチュアルなサックス奏者Pharoah Sandersの本ブログ2回目の登場です。

前回は、僕が最も頻繁に聴くPharoah Sanders作品『Elevation』(1973年)でしたが、今回はハッピーでとても聴きやすいアルバム『Rejoice』(1981年)っす。

『Elevation』の投稿でも書いたが、我が家のCD棚のジャズ・コーナーで、Pharoah Sandersの作品は“帝王”Miles Davis、“神様”John Coltraneと共に別格扱いでVIPエリアに収納している。それだけ特別な存在だ。

僕がPharoahの音楽に惹かれるのは、その独特の崇高な高揚感だ。これはJohn Coltraneの意志を受け継いだスピリチュアルかつコズミックな部分と、民族性溢れるアフロ・アメリカンなグルーヴがうまく融合して生み出されたものだと思う。

僕の好みは、『Tauhid』(1966年)、『Karma』(1969年)、『Jewels Of Thought』(1969年)、『Thembi』(1970年)、『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』(1970年)、『Black Unity』(1971年)、『Elevation』(1973年)、『Love In Us All』(1974年)といったImpulse時代の作品だ。

けれども、これからPharoahの作品を聴こうと思われる方は、『Journey To The One』(1980年)、『Rejoice』(1981年)というTheresa時代の2作品が曲数も多く、聴きやすいのでオススメです!

ということで今回は『Rejoice』(1981年)をセレクト♪
リラックスした雰囲気の中で、まさに人生の歓喜が伝わってくるカンジが大好きな作品だなぁ。

メンバーは、Pharoah Sanders(ts)、Joe Bonner(p)、John Hicks(p)、Bobby Hutcherson(vibe)、Art Davis(b)、Billy Higgins(ds)、Elvin Jones(ds)等。

全曲紹介しときヤス。

「Rejoice」
このタイトル曲には、John Coltraneのグループの中核メンバーだったElvin Jonesが参加してマス。まさに生きる喜びへの賛歌といったカンジのスピリチュアル・ジャズに仕上がっていマス。個人的にはこの1曲のみでも大満足ってカンジかなぁ。女性のポエトリー・リーディングが実に印象的なんだけど、クレジットを見るとB. Kazuko Ishidaとなっている。日本人女性なのだろうか?

「Highlife」
「Nigerian Juju Hilife」
アフリカンなリズムやコーラスが印象的な2曲。「Nigerian Juju Hilife」は以前紹介した『Elevation』にも「Ore-Se-Rere」という曲名で収録されています。タイトルにあるHighlife、Jujuはガーナ(Highlife)、ナイジェリア(Juju)で生まれたアフリカン・ミュージックの名だ。ちなみにこの作品の2年後の1983年に、JujuのスターKing Sunny Adeの衝撃的なアルバム『Syncro System』が全世界にアフロ・ブームを巻き起こすことになる。

「Origin」
前作『Journey To The One』に収録のクラブ・シーンでも大人気のナンバー「You've Got To Freedom」の続編とも言える曲。そういった意味では、本作のハイライトかもね。ブラジリアン・テイストに仕上がっていマス。ライトながらもスピリチュアルな雰囲気を失わないのがPharoahらしいね。個人的にはJohn Hicksのピアノがカッチョ良いと思いマス。

「When Lights Are Low」
Benny Carter作品。オーソドックスなストレート・ジャズに仕上がっていマス。

「Moment's Notice」
「Central Park West」
John Coltrane作品2曲。「Moment's Notice」は、George Johnsonのボーカルで歌われる♪リラックスしてColtraneの音楽に耳を傾けるんだ♪という歌詞が印象的っす。その通り、かなりリラックスした仕上がりデス。「Central Park West」は崇高な美しさに満ちた仕上がりで、個人的にはかなりお気に入りの1曲デス。

「Ntjilo Ntjilo/Bird Song」
PharoahのサックスとLois Colinのハープの絡みが何ともいいですね。

「Farah」
聴いていると、自然と涙が頬を伝わってくるような感動の1曲。見たこともない美しい景色に出会った時の感動に似ているかもしれない。

もう1枚の『Journey To The One』(1980年)も「You've Got To Freedom」をはじめオススメです。
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2006年10月29日

Kay-Gee's『Keep on Bumpin' & Masterplan』

Kool & the Gangの弟分グループのファンキーなデビュー作☆Kay-Gee's『Keep on Bumpin' & Masterplan』
Keep on Bumpin' & Masterplan
発表年:1974年
ez的ジャンル:ファンキー・レア・グルーヴ
気分は... :理屈じゃなくて、感性かなぁ!

最近、仕事をする上で「何となく」が僕の中のキーワード!
そこに「なぜ」なんて明確な理由は求めない。
自然に湧き起こる思いが重要だと思っている。
そして、その思いを感じ取る感性がとても大切だと思っている。
さらに何かを感じとるためには健全な心が重要だと思う。

そんな中、昨日は知人の招待でアップルストア銀座で雑誌モダンリビング主催の講演へ行ってきた。特に、型にはまらないで常識をブレークスルーし、新しいものを生み出したり、感じたりすることの重要性に改めて気付かされた。いやぁ、感性を磨くいい機会となりました。

さて、今回はレア・グルーヴ・ファンにはオススメKay-Gee'sのデビューアルバム『Keep on Bumpin' & Masterplan』(1974年)っす。

Kay-Gee'sは、Kool & the Gangが設立したGang Recordsから本作『Keep on Bumpin' & Masterplan』でデビューしたファンク・グループだ。グループには、Kool & the GangのRobert "Kool" Bell、Ronald Bellの弟Kevin Bellがリーダーとして在籍していり、まさにKool & the Gangの弟分的なグループであった。

グループは『Keep on Bumpin' & Masterplan』(1974年)、『Find a Friend』(1976年)、(1978年)、『Burn Me Up』(1979年)という4枚のアルバムを残している。僕が持っているのは『Keep on Bumpin' & Masterplan』『Kilowatt』の2枚だが、圧倒的に『Keep on Bumpin' & Masterplan』を聴く機会が多いかなぁ。

ジャケがサイコーにカッチョ良いよねぇ!この雰囲気がそのままサウンドになったようなファンキーでアゲアゲなグルーヴは、ファンク・ファンにはたまらないと思いマス。冒頭の話じゃないけど、理屈ぬきに、楽しめるグルーヴだと思いますよ〜♪

70年代前半のKool & the Gangがお好きな方はぜひどうぞ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Get Down」
Kool & the Gang「Jungle Boogie」あたりと一緒に聴きたくなるファンキー・チューン。盛り上がること間・違・い・な・しの直球アゲアゲ・ナンバーだね。僕の一番のお気に入り曲デス。

「Let's Boogie」
ホーンセクションが印象的なディープ・ミディアム・ファンク。レッツ・ブギィ〜♪

「My Favorite Song」
魅惑の女性コーラスが何ともセクシーで、とってもミラーボールが似合うカンジのディスコ・ナンバー。Three Degreesとか一緒に聴きたくなるね!

「You've Got to Keep on Bumpin'」
タイトルの通り、とってもバンプなナンバー(何じゃそりぁ?)。猪突猛進なノリがいいですな。

「Hustle Wit Every Muscle(Theme From "Party" T.V. Show)」
コレはJames Brown「Sex Machine」あたりと一緒に聴きたくなるゲロッパなインスト・ナンバー♪

「Who's the Man? (With the Master Plan) 」
サンプリングネタとして有名な曲。Big Daddy Kane「Mister Cee's Master Plan」、Dr. Dre「A Nigga Wit a Gun」、House of Pain「Who's the Man?」なんかで使われていマス。

「Wondering」
フルートの音色と女性コーラスの絡みがいいカンジの曲。暑苦しい曲が多いなかで、この曲がやけに涼しげに聴こえる?

この時期のKool & the Gangの作品を紹介していませんでしたね。こちらも近々紹介しますね。

全然関係ないけど、MLBのワールドシリーズで田口選手のカージナルスが優勝しましたね。個人的に日本人の現役メジャーリーガーの中で田口選手を一番応援していたので嬉しかった。
3
7歳にも関わらず、ルーキーのようなひたむきさを失わず、控えの立場に不満をぶちまけることもなく、常にチームのために全力でプレーする彼の姿を観るたび、尊敬の念でいっぱいだ。

だからこそ、努力が報われた田口選手の歓喜の笑顔を観て、我がことのように喜んだ僕なのでシタ。
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2006年10月28日

Squarepusher『Feed Me Weird Things』

超高速ドラムンベースに驚きでシタ☆Squarepusher『Feed Me Weird Things』
Feed Me Weird Things
発表年:1996年
ez的ジャンル:天才ベーシスト系ドリルンベース
気分は... :トマトのおでん(^¬^*)

一昨日、恵比寿の某おでんダイニングへ行きまシタ。
金(塩)、赤(醤油)、白(豆乳)、黒(黒味噌)という4種類のおでんの味が楽しめて、定番の大根、はんぺんなどに加えて、トマトとモッツァレラ、かぼちゃバターといった楽しいメニューもある。こういったお店って、メニューを選んでいるプロセスからして楽しい!

本ブログも、エントリーのリストを見た時のワクワク感を大事にしている。
さまざまジャンル・年代の音楽を楽しめて、定番モノから掘り出しモノまでといったコンセプトは、このおでんダイニングと似ているかも?僕的には、トマトのおでんに匹敵する音楽アルバムを紹介できればウレシイですねっ!

ということで、トマトのおでんに匹敵するかもしれない?Squarepusher『Feed Me Weird Things』(1996年)です。

Jimi Tenor『Intervision』のエントリーで書いたように、Squarepusher『Feed Me Weird Things』はかなりの衝撃作だった。

SquarepusherことTom Jenkinsonは、当時流行っていたドラムンベース(Drum'n Bass)を高速にしたドリルンベースというスタイルを引っさげて、本作『Feed Me Weird Things』でシーンに登場!この分野に明るくない僕でも興味を持たずにはいられないほど当時話題の1枚だったと思う。

ベースの生演奏とブレイクビーツで構成されるそのサウンドは、ジャズ・ベーシストのバックボーンを持つ彼らしく、かなりジャズ/フュージョン的な雰囲気が感じられる。よく故Jaco Pastoriusが引き合いに出されるけど、何となくわかるなぁ。

とにかく、その疾走感と心地良さが同居するサウンドにホント酔いしれたなぁ。まさに“トマトのおでん”のようにビックリするけど優しい味がする作品だと思いマス。

僕が持っているのは、本作『Feed Me Weird Things』(1996年)、『Hard Normal Daddy』(1997年)の2枚のみで、最近の活動を全くノーチェックだった。

今回、最近の彼の活動をチェックしてみたところ、新作『Hello Everything』を出したばかりなんですね。

その新作を紹介したHMVのレビューには、OutkastのAndre 3000、Neptunes、Thom Yorke(Radiohead)、Flea(Red Hot Chili Peppers)らが絶賛と書いてある。なんか意外なメンバーだけど、彼が依然として注目のミュージシャンであることは十分にわかってきまシタ。あとはSofia Coppola監督の『Lost in Translation』(2003年)や最新作『Marie Antoinette』でも彼のトラックが使われているのだとか。

そんな天才ミュージシャンの原点と呼べる作品をご堪能あれ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Squarepusher Theme」
人力ベースとブレイクビーツが合体した新鮮なこのオープニング曲との出会いは、まさに和と洋を合体させた“トマトのおでん”のような驚きに満ちてしまシタ。“なんじゃこりぁ”ってカンジだったよね。

「Tundra」
シベリアの極寒地域をイメージさせる幻想的な雰囲気をドリルンベースサウンドが切り裂いていくような曲デス。間違っても、ツンデレな曲ではありませんd( ̄_ ̄;)

「Dimotane Co」
この曲は純粋にカッチョ良いブレイクビーツってカンジだよね。深夜の秘密パーティーってカンジかなぁ。

「Smedleys Melody」
ジャズとブレイクビーツが見事に融合しているSquarepusherらしさが出ている曲かもね!

「Goodnight Jade」
ダウンテンポのやさしいナンバー。“トマトのおでん”は驚きと同時にほんのり甘いやさしい味なのデス☆

「Theme from Ernest Borgnine」
強大な宇宙空間の映像を観たくなるような、神秘的な疾走感をもった曲。

「U.F.O.'s Over Leytonstone」
幻想的な美しさと不気味さが同居するナンバー。なんか居心地の悪いサウンドが逆に刺激的かも?

「Kodack」
「Squarepusher Theme」と並んでお気に入りだった曲。ジワジワと高揚感が高まっていくカンジが何とも心地良いですねぇ!特に後半のカッチョ良さはサイコーですな☆ところでこのタイトルって、あのコダックなのかなぁ?

ちなみに先の某おでんダイニングは、金のだいこん、赤のはんぺん、黒の牛すじ、玉子といった定番モノも上手いっす。金(塩味)は柚子胡椒で食するとパンチがあってサイコーっす!デートあたりでかなり使えると思いますよ♪
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2006年10月27日

Soft Machine『The Soft Machine』

カンタベリー派の代表的バンドSoft Machineのデビュー・アルバム☆Soft Machine『The Soft Machine』
The Soft Machine
発表年:1968年
ez的ジャンル:カンタベリー・ロック
気分は... :のだめカンタービレ・ロック???

この間、月9ドラマ『のだめカンタービレ』を観ていたら、急に「カンタービレ」から「カンタベリー」という言葉を連想してしまった。

そう言えば、カンタベリー・ロックってあったよなぁ...なんて思いながら、CD棚からカンタベリー派の代表であるSoft Machine、Caravanのアルバムを久々に引っ張り出してみた。

ちなみにカンタベリー・ロックとは、イギリスのカンタベリー出身者を中心とするプログレ・ロック系のバンド、ミュージシャンの作品をさす言葉っす。

そんな中からSoft Machineの1stアルバム『The Soft Machine』(1968年)をセレクト。ここ数年はあまり聴いていなかったが、一時期かなりハマったアルバムだ。

Soft Machineは、Daevid Allen、Kevin Ayers、Mike Ratledge、Robert Wyattの4人によって結成されたグループだ。グループ名はウィリアム・バロウズの小説のタイトルから命名されらもので、Ratledgeが直接バロウズに電話して、使用許可をもらったそうだ。

そして、デビュー作となった本作『The Soft Machine』(1968年)発表時には、Kevin Ayers、Mike Ratledge、Robert Wyattのトリオになっていた。その後も目まぐるしくメンバー・チェンジを繰り返しながら、独自のジャズ・ロックを生み出していった。

僕がSoft Machineの作品を聴くきっかけは、Robert Wyattへの興味だった。Elvis Costelloファンだった僕は名曲「Shipbuilding」で下半身不随のシンガーであるWyattの存在を知り、Wyattのソロ・アルバムを聴くようになった。“世界一悲しげな歌声”と称された寂しげなボーカルに逆に猛烈なエネルギーを感じたなぁ。

そのうち、Wyattが下半身不随になる以前はドラマーであることを知り、彼がドラムを叩いていたSoft Machineを聴いてみたくなった。ちなみに、Wyattが下半身不随になったのは、Soft Machine脱退後に、パーティー会場の5階から転落したことによる。

そんな流れで聴いたのが『The Soft Machine』である。先に書いたように、即興演奏によるジャズ・ロックの印象が強いグループだが、このデビュー・アルバムはサイケデリックな雰囲気のアルバムに仕上がっている。

プロデューサーはJimi Hendrix作品でお馴染みの元AnimalsのChas Chandler。ちなみにSoft MachineはJimi Hendrixの前座を務めており、Jimiと交流があった。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Hope for Happiness」
このオープニング曲を聴いて、このアルバムが一発で好きになったなぁ。実に、UKらしいサイケデリック・サウンドってカンジだよね。Ratledgeのオルガンが実にイカしているよねぇ〜♪

「Joy of a Toy」
穏やかだけど、危ないほのぼのムードのトリップ・ミュージックってカンジかな。後半の盛り上がりもいいねぇ。

「Why Am I So Short?」
タイトルの通り1分40秒にも満たない短いナンバーだけど、これが実にカッチョ良い。

「So Boot If at All」
「Why Am I So Short?」からシームレスに続く曲。サイケとロックとジャズがごちゃ混ぜになってカンジがSoft Machineらしいのでは?個人的にはWyattのドラミングを堪能できるのでウレシイですな。

「Save Yourself」
キャッチーにまとまったポップ・サイケな1曲。

「We Did It Again」
Kinks「You Really Got Me」みたいなフレーズでグイグイ押しまくる印象的な曲。

「Why Are We Sleeping?」
ドラマチックな展開がロック・オペラを思い出させるね。そう言えば、ロック・オペラの代表作The Who『Tommy』も同じ1968年だったよね。

本作以外のSoft Machineの作品であれば『Third』かなぁ。でも、オリジナルはLP2枚組で全4曲という構成なので、案外全部聴くには忍耐が必要かも?

Soft Machineとは全然違う雰囲気ですが、Robert Wyattのソロ・アルバムも紹介したいですね。人生について、いろいろと考えさせられマス。
posted by ez at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする