2006年10月16日

Miles Davis『In A Silent Way』

記念すべき400回目のエントリーは、Milesの静かなる衝撃作☆Miles Davis『In A Silent Way』
In a Silent Way (Dlx)
発表年:1969年
ez的ジャンル:静寂のエレクトリック・マイルス
気分は... :400回目になりまシタ...

本エントリーで400回目のエントリーとなりマス。
別にこれまでと何ら変わるところはありませんが、次は500回目指して頑張りマス。

200回目のエントリーがStevie Wonder『Songs In The Key Of Life』、300回目がThe Salsoul Orchestra『Sound Of Salsoul〜The Best Of The Salsoul Orchestra』と、区切りのエントリーは特に思い入れの強い作品を紹介してきた。

で、400回目は何にしようと考えた時、悩むことなくこのアルバムが思い浮かんだ。

Miles Davis『In A Silent Way』

マイ・コレクションの中で、最も多くCDを持っているアーティストMiles Davis

ジャズ界の帝王Miles Davisについては、これまでも『On The Corner』(1972年)、『Milestones』(1958年)、『Miles Ahead』(1957年)といった作品を紹介してきました。

そんな僕のMilesコレクションの中で最もお気に入りの作品が、実は本作『In A Silent Way』(1969年)っす。

『In A Silent Way』は、エレクトリック・マイルス時代の最初に実った大きな果実である。フュージョン時代の幕開けを作り、賛否両論を巻き起こしながらも、Milesのキャリア最大の大ヒットとなった『Bitches Brew』(1969年)と並び、ジャズの流れを大きく変えた作品だと思いマス。『Bitches Brew』がエレクトリック・マイルス時代の“動”の問題作だとすれば、本作『In A Silent Way』は“静”の衝撃作というカンジがする。

『Miles In The Sky』(1968年)でHerbie Hancockがエレピをプレイし、エレクトリック楽器を導入したエレクトリック・マイルス時代に突入した。結果として、Herbie Hancock(p)、Wayne Shorter(ts)、Ron Carter(b)、Tony Williams(ds)という第2期クインテットは終焉を迎えた。

そうした中で、新たにChick Corea(el-p)、Dave Holland(b)を迎え録音した『Filles De Kilimanjaro』(1968年)に続き、『In A Silent Way』が発表された。

メンバーは、Miles Davis(tp)、Wayne Shorter(ss)、John McLaughlin(g)、Herbie Hancock(el-p)、Chick Corea(el-p)、Joe Zawinul(el-p、org)、Dave Holland(b)、Tony Williams(ds)。

やはり目立つのは、Herbie Hancock、Chick Corea、Joe Zawinulという今考えると超豪華メンバーによる異色のキーボード・セクションだよね。あとはギターのJohn McLaughlinの加入。このメンバー構成を見ただけでもMilesがやりたかった音楽が推察できるかもしれないね。

いわゆるエレクトリック・マイルス時代というのは、単にエレクトリック楽器を導入したジャズというだけではない。その本質は、ジャズとファンク、ロックとの融合にあったように思う。当時、Milesがよく聴いていたのは、James Brown、Sly & The Family StoneJimi Hendrixなどであり、SantanaのCarlos Santanaなどとの親交も深めていたそうだ。

人々を熱狂させるJBやSlyのファンク・ビートの登場や、JimiやSantanaのようなロックの枠組みを超えたサウンドを追求するロック・ギタリストたちとの交流が、Milesの音楽魂を大いに刺激し、自ずとジャズとファンク、ロックとの融合へと向わせ、必然的にエレクトリック楽器が導入されたのであろう。また、こうしたジャズとファンク、ロックの融合は、当時ジャズ・リスナーに比べて圧倒的に多かったロック・リスナーたちへのアプローチという意味もあったようだ。

また、こうしたジャズとファンク、ロックの融合アプローチの中で、ロックの世界では当たり前であった、レコーディング後の編集やオーヴァーダビングを駆使するようになったのも、大きな変化かもしれないね。

『In A Silent Way』を聴くと、それまでのJazzとはかなり趣きの異なった作品であることに驚かされる。演奏者主体のジャズではなく、全体の音空間が主体のジャズになっている点だ。このあたりは、演奏技術に明るくない僕のような永遠のジャズ初心者にとっては、むしろ単純にカッチョ良さやノリをカンジやすく、感覚的に受け入れやすいのかもしれない。

AB面各1曲の計2曲のみのアルバムだが、聴くたびに、静寂の中に新たな神秘を発見できるアルバムだと思いマス。

全曲紹介しときヤス。

「Shhh/Peaceful」
僕はこの曲を聴きながら、部屋で何もせずにボーッと過すの大好きだ。Tony Williamsがリズム・マシーンのように刻み続けるループ状のハイアットを聴いているだけで、本作が持つ独特の静寂の音空間に放り出されたカンジがする。そうした中で、Milesのトランペットに、Shorterのソプラノ・サックス、Hancock、Corea、Zawinulによるキーボード・セクション、McLaughlinのギターがモザイクのように絡み合う。

各パートがシンプルな分だけ、ゆっくりとクールにその音空間が表情を変えていく様は実に幻想的で面白いよね。

「In A Silent Way/It's About That Time」
「In a Silent Way」と「It's About That Time」の2曲からなり、「In a Silent Way」で始まり、「It's About That Time」へと移り、再び「In a Silent Way」が登場します。

「In a Silent Way」は神秘的なサウンドが印象的だよね。「Shhh/Peaceful」が夜の静寂とすれば、「In a Silent Way」は朝の静寂ってカンジがするね。大地の目覚めのような音世界だね。

「It's About That Time」は、ジャズ・ファンク、ロックの融合という表現が最もわかりやすいナンバー。ステージでもよく演奏されていたレパートリーでシタ。静かなるグルーヴがだんだん盛り上がり、高揚してくるカンジがサイコーですな。

僕が持っている国内盤のライナーノーツに、僕が人生で最も影響を受けたアーティストJackson Browneが、無人島に持っていきたい5枚のアルバムの1枚に本作を挙げていたと書いてあり、とても嬉しかったなぁ。

悩めるロック・ミュージシャンJackson Browneと突っ走るジャズ・ミュージシャンMiles Davisなんて全然結び付かないのにねぇ。
このあたりがMilesという宇宙のデカさなんだろうね。
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2006年10月15日

Frank McComb『The Truth』

“現代版Donny Hathaway”の表現が相応しいニューソウルな作品☆Frank McComb『The Truth』
Truth
発表年:2003年
ez的ジャンル:現代版ニューソウル
気分は... :なんで本国アメリカで発売されないのか不思議???

今日は少し自己嫌悪気味(>o<)。。。

そんな少しブルーな僕の心を浄化してくれる作品Frank McComb『The Truth』(2003年)をセレクト。

Frank McCombはクリーブランド出身のシンガー兼キーボード奏者だ。90年にプロとしてのキャリアをスタートさせた後、1994年には、ジャズ・サックス奏者Branford MarsalisのHip-Hopとフュージョンの融合を目指したプロジェクトBuckshot LeFonqueに参加している。そして、そのBranfordの後押しで2000年に1stアルバム『Love Stories』を発表している。

こんな流れでR&B/Soulファンよりもフュージョン・ファンの間での認識の方が高かったFrank McCombだったが、その名を日本のR&B/Soulファンに知らしめたアルバムが2ndアルバムとなる本作『The Truth』(2003年)である。

本作は、R&B/Soulの流れで言えば、オーガニック・ソウルの作品と言えるのであろう。本作の印象を一言で言えば、70年代ニューソウルが甦った“現代版ニューソウル”ってカンジかな。特に、その唱法やフェンダー・ローズの音色からDonny Hathawayを強く彷彿させる。あとはStevie Wonderをイメージさせる曲も見受けられるかな。

Marvin Gaye、Stevie Wonder、Curtis Mayfield、Donny Hathawayといったニューソウルの四天王に絡めて、“●●の再来”、“現代版●●”のような紹介をされるR&B/Soulアーティストは数多おり、僕自身もそう言った紹介文を読むたびにウンザリするのだが、本作のFrank McCombに関しては、“現代版Donny Hathaway”という表現が納得できてしまう。

ホント、R&Bではなく、ニューソウルって表現がピッタリのアルバムだよね。このニューソウルのレトロ感を現代的な感覚で聴かせてくれるのが本作の魅力ではないかと思いマス。なんか僕のようなオヤGリスナーが聴くと、実にホッとするアルバムだよね。

Donnieなどを手掛けたSteve Harveyがプロデュースを務め、元Rufus & Chaka KhanのBobby Watson(b)、Billy Preston(org)、Wayne Linsey(p)Paulinho De Costa(Per)などがゲスト参加していマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Shine」
イントロのフェンダーとフルートの幻想的な雰囲気がニューソウルだよね。曲自体はStevie Wonderを彷彿させるダンサブルなクール・ファンクってカンジかな。ボーナス・トラックでクラブ・テイストのジャジーなリミックスも収録されています。

「What You Gonna Do」
ニューソウルらしい、洗練されたソウルフルな味わいが堪能できるナンバー。Ledisiがバック・コーラスで参加していマス。

「Never Letting Go」
フェンダーの音色やボーカル・スタイルなど“現代版Donny Hathaway”らしいナンバー。全体的に抑え気味なカンジが逆にいいねっ。

「Do You Remember Love」
ライブのような臨場感が演奏が堪能できるナンバー。なんか聴いているとメンバーの演奏風景が浮かんでくる。

「Fools」
この曲もイントロのフェンダーでヤラれてしまいます。ニューソウルのグルーヴ感が堪能できる1曲ですね。

「When You Call My Name」
Donnie作のバラード。壮大なスケールのバラードを堂々とFrankが歌い上げます。バラード好きな人にはたまらない1曲かもね。そう言えば、Donnieのデビュー作『The Colored Section』(2003年)も“現代版Stevie Wonder”なんて言われていましたね。

「Actions Speak Louder Than Words」
「Better Off Without You」
この2曲は、本作と同じSteve HarveyがプロデュースしたBrigette McWilliamsのアルバム『Too Much Woman』(1997年)のなかで、Frankが提供していた曲。2曲ともに、Billy prestonのハモンドがいい味出しているファンキーなミディアム・ナンバーに仕上げていマス。

「Cupid's Arrow」
ボッサ・テイストの軽快なナンバー。アルバム中で少し異色の仕上がりだけど、個人的にはかなりお気に入りっす。

「Intimate Time」
ピアノの弾き語りナンバー。ジャジーで小粋な仕上がりになっていマス。

本作は結局本国アメリカでは発売されることはなかった。
こんな良質な作品が本国で発売されないなんて実に嘆かわしいことだね。
逆に、この作品を聴くことができる我々は実にラッキーかも!

なんと、来月には新作『The Truth Vol.2』が発売されるらしい。この新作もアメリカでは発売されないんだろうなぁ...
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2006年10月14日

Bruce Springsteen『Nebraska』

悲惨な人生の最期を迎えた人々へのBossのレクイエム☆Bruce Springsteen『Nebraska』
Nebraska
発表年:1982年
ez的ジャンル:トーキング・ブルース系アコースティック・ロック
気分は... :不条理なのも人生の1ページ..

一昨日たまたまTVで映画『Kalifornia』(1993年)を観た。Brad Pitt、Juliette Lewis、David Duchovny(X Filesのモルダー捜査官)らが出演しているバイオレンス映画だ。

連統殺人を研究している作家ブライアン(David Duchovny)が恋人と憧れの地″カリフォルニア″に向かうが、その旅の同乗者として本物の殺人犯アーリー(Brad Pitt)を乗せて旅立ったがために...といったストーリーの映画だ。原題が『California』ではなく、『Kalifornia』となっているのはKの頭文字にKillerの意味をかけたものだ。

僕がこの作品を初めて観たのは、約10年前にレンタル・ビデオで借りた時だったかなぁ。暗く、狂気に満ちた映画であり、観終わった後にブルーになった記憶がある。しかし、それ以降もTVで『Kalifornia』がやっていると何となく観てしまっている。

昨日も、映画を観ながら、殺人を繰り返す狂気の殺人犯に、理由もなく、突如命を絶たれてしまう人々...それぞれの人生を考えると、やるせない気分になっていた。そんな時、頭の中でふと『Kalifornia』と今日紹介する“Boss”ことBruce Springsteen『Nebraska』(1982年)がリンクしてきた。

Bruce Springsteen『Nebraska』(1982年)は、以前に紹介した僕が最も好きなBossの作品『The River』(1980年)と最も有名なBossの作品『Born In The USA』(1984年)の間に挟まれた、最も地味なBossの作品かもしれない。

この作品が地味な理由は、1つは、Bossとは切っても切れない間柄のバックバンドE Street Bandが一切関与せず、Boss一人がアコースティック・ギター、ハーモニカのみで録音しているため、シャープでスリリングなロック・サウンドがない点が挙げられる。そしてもう1つは、本作に収められた曲の歌詞に登場する主人公は、すべて不幸な境遇から人生を踏み外し、悲惨な最期を遂げた人々であり、アルバム全体を暗く澱んだ雰囲気が支配している点である。

『The River』のエントリーの時に書いたが、高校生の頃まではかなり熱心なBossファンだった。そんな僕でも、リアルタイムで本作『Nebraska』を聴いた時には、この地味で暗い雰囲気にかなり戸惑いを感じたものだ。なので、当時はBossのLPコレクションの中で、最も聴く頻度の少ないアルバムだったと思う。

それがCD時代になり、BossのLPコレクションをCDで買い直してからは、『Nebraska』をよく聴くようになった。多分、『The River』、『Greetings From Asbury Park Nj』(1973年)の次ぐらいの頻度で聴いていると思う。ちなみに、前にも書いたが『Born In The USA』(1984年)以降の作品はCDで買い直していない。僕にとってのBossはデビュー作『Greetings From Asbury Park Nj』から本作『Nebraska』までなのだと思う。

僕もある程度の年齢になり、人生には不条理なことも多く、すべてが思い通りに進むわけでもないことを痛感している。そんな心境の中で聴く『Nebraska』には、単に悲惨な主人公の物語だけでは片付けられない、深い何かを感じずにはいられない。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Nebraska」
まさに映画『Kalifornia』とリンクするへヴィーな歌詞のタイトル曲。殺人を重ねた無法者が、死刑執行を前に発した“この世には理由なくただ卑劣な行為ってのがあるのさ”という衝撃の言葉で曲は締めくくられる。

「Atlantic City」
アコースティックながらも、Bossのロック魂が伝わってくる曲。ヤバい仕事を引き受け、自らの悲惨な運命を予感しつつも、彼女との幸せな人生に思いをはせる切ない曲。♪すべてのものは死ぬ♪しかし多分死んだものはすべていつか甦る♪と自分に言い聞かせる主人公の姿が深く心に刻まれる。

「Johnny 99」
工場が潰れ、職探しがうまくいかず無法者となり、懲役98年プラス1年となったジョニー・ラルフの物語。自分がこんな状況に追い込まれたら、どうするのだろうか?

「Highway Patrolman」
ハイウェイ・パトロールの警官ジョーとトラブル・メイカーの弟フランキーの物語。トラブル続きのフランキーに対して、家族として背を向けられない兄ジョーの複雑な心情が語られる。

「State Trooper」
Bossらしいカッチョ良さに溢れた1曲。人生にどん詰まった男の悲痛な叫びを歌った1曲。

「Used Cars」
中古車しか購入できない家族の姿を通じて、労働者階級の人々の暮らし、境遇を見事に描かれたBossのストーリー・テラーとしての本領発揮の作品。

「Reason to Believe」
♪辛い1日が終わり、まだ人は信じる理由を見出そうとする♪という歌詞が、ズシリと響く歌。でも、信じる人や信じるものが見出せない人生なんて虚しいよね。僕もきっと人に裏切られても、なお人を信じていたいと思うんだけど...甘いかなぁ???

今日は久々朝までコースで遊んでしまった...オレはまじめオヤGなのにっ!これも人生の不条理???
posted by ez at 06:51| Comment(2) | TrackBack(1) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月13日

Chic『Risque』

ディスコ・クラシック「Good Times」収録のエレガンスなダンス・アルバム☆Chic『Risque』
Risque
発表年:1979年
ez的ジャンル:ディスコ系エレガンス・ファンク
気分は... :エレガンスにダンス♪ダンス♪┌(・。・)┘♪

Chicは約1年前にエントリーした『C'est Chic』(1978年)以来久々の登場っす。

本ブログの恒例となっているアクセス数Top10の第1回目だった2005年のアクセス数Top10で見事第1位に輝いたのが『C'est Chic』だった。改めて、みんな「Le Freak(おしゃれフリーク)」や、Chicの心臓部であるNile Rodgers(g)、Bernard Edwards(b)、Tony Thompson(ds)の3人が生み出す独特のグルーヴが好きなんだなぁと実感した次第っす。

たまたま今週はNile Rodgers & Bernard Edwardsプロデュース作のうち、大のお気に入り「Thinking of You」収録のSister Sledge『We Are Family』、本ブログでも紹介した「Upside Down」「I'm Coming Out」という2大クラシックを含むDiana Ross『Diana』の2枚をiPodでよく聴いている

その伏線として先週末、You Tubeで「Le Freak」のPVを見つけて、繰り返し観ていた。やっぱり、このセクシー・グルーヴは、映像を観ているだけで腰が浮き上がってきちゃうよね。

『C'est Chic』のエントリーで書いた通り、「Le Freak」は当時中学1年生の僕にとって、鼻血ブーのエレガンスでエロエロなディスコに聴こえ、何かに(?)目覚めさせられた1曲だったかもしれない。

それと比較すれば、「Le Freak」と並ぶディスコ・クラシック「Good Times」は、「Le Freak」のようなクネクネなグルーヴではなく、もっとカッチリしたグルーヴという印象を当時の僕は持ったかな。もちろん、Nile Rodgersのアノ独特のカッティング・ギターのカッチョ良さは変わりないんだけど...なので、クネクネ・グルーヴが好きだった僕は「Le Freak」の方が当時好きだったなぁ。

「Good Times」については、翌年に発表され、大ヒットしたQueen「Another One Bites The Dust」のベースラインが「Good Times」のソックリじゃんみたいな話題で盛り上がっていたことを一番憶えている。

そんな僕が「Good Times」の魅力を再認識させられたのは、やっぱりサンプリング・ネタとしてHip-Hopアーティストが頻繁に取り上げるようになってからかなぁ。今では「Le Freak」と同じくらい「Good Times」も好きっす。

全曲紹介しときヤス。

「Good Times」
「Le Freak」と並ぶChicの代名詞のようなダンス・クラシック。全米チャートでポップ、R&B、ディスコの3部門で第1位。やっぱり、このディスコでファンクなナンバーは週末のオールナイト朝までコースの夜遊び気分の時に聴くとサイコーですな。

Hip-Hopのサンプリング・ネタとしても大定番ですね。主なところとしては、Sugarhill Gang「Rapper's Deligh」、「8th Wonder」、Grandmaster Flash & the Furious Five「Adventures on the Wheels of Steel」、De la Soul「A Roller Skating Jam Named 'Saturdays」、Digital Underground「Doowutchyalike」、Father MC「Everything's Gonna Be Alright」、Boogie Down Productions「13 and Good」、Will Smith「It's All Good」、Jibri Wise One「House the Dog Built」、Joe Budden「Body Hot」など。あと、個人的にはZhaneのカヴァーも大好きっす。

「A Warm Summer Night」
「Good Times」のダンサブル・サウンドから一転してスウィート・バラード。スローになってもChicならではのエレガンスさがありますね。Smooth「Ghetto Style」でサンプリングされています。

「My Feet Keep Dancing」
シングルカットもされた、まさにダンシングなナンバー。途中のタップ・ダンスの靴音のリズムが印象的っす。

「My Forbidden Lover」
シングル・カットされ、ディスコ・チャートで大ヒットしたナンバー。「Good Times」あたりと比較すると、コチラの方がパンチはないけど、スムーズでエレガンスなカンジ。全体の雰囲気としてはかなり僕好みの曲。有名どころは少ないけどサンプリング・ネタにもなっていマス。

「Can't Stand To Love You」
セクシー・ミディアム・チューン。恋心のドキドキ感が伝わってくるような曲だね。

「Will You Cry (When You Hear This Song) 」
メランコリックな哀愁のラブ・バラード。やや話が逸れるが、Nile Rodgersのラブ・バラードと言えば、ソロアルバム『Adventures In The Land Of The Good Groove』(1983年)収録の「My Love Song For You」がイチオシっす。多分、殆どの人が知らない曲だと思うけど...

「What About Me」
ラストは、不安げに“私はどうなるの?”と訴えるミディアム・チューン。この不安げ心情の表現なのか、Nile Rodgersのギターもキレキレではなく、ややキレぐらいに抑えていマス。

近々、Nile Rodgers & Bernard Edwardsプロデュースのお気に入りアルバムSister Sledge『We Are Family』も紹介しますね。
posted by ez at 01:06| Comment(5) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月12日

Jimi Tenor『Intervision』

ジャズとテクノの融合を見事に実現させたモンドなアルバム☆Jimi Tenor『Intervision』
Intervision
発表年:1997年
ez的ジャンル:モンド&フューチャー・ジャズ系テクノ
気分は... :テクノのような、テクノでないような...

今回はこれまで本ブログでは取り上げることが無かったタイプの作品を紹介しマス。テクノとジャズと融合を見事に実現させたモンドなアルバムJimi Tenor『Intervision』(1997年)っす。

きっと、ハウス/テクノの熱心なリスナー以外に、Jimi Tenorの名はあまり知られていないと思う。でも、発売当時その分野では、それなりに話題になったアルバムが本作『Intervision』だ。

かく言う僕もテクノの分野は、さっぱり明るくない。特に最近は全くノーチェック状態っす(×_×)。。。

でも、今から10年前くらいはLTJ Bukem、4 Hero、Goldie、Roni Sizeといったドラムンベース(Drum'n Bass)や、さらに発展させたAphex Twin、Squarepusherらによるドリルンベースなんかも聴いていた。

特にハマっていたのがSquarepusher(Thomas Jenkinson)だった。アルバム『Feed Me Weird Things』(1996年)はかなりの衝撃作だったよね。そのSquarepusherと同じWarp Recordsから発表されたのが『Intervision』だった。当時、Warp Recordsと言えば、テクノ/エレクトロニカ系の注目レーベルであり、良質な実験的なアルバムを数多く発売していたことで評判だった(ってそんな詳しくないんだけど...)。

Jimi Tenorは、フィンランド生まれのミュージシャンであり、サックス、フルート、キーボードなどをこなす。その意味では元々テクノの枠組みでは狭すぎるアーティストなのかもね。ジャケの雰囲気にも少し表れているけど、知的で変態チックなサウンド・クリエイターってカンジです。

この作品を購入してから約9年が経つが、今回記事エントリーにあたり初めてライナーノーツを読んだ。ライナーノーツには、“テクノでありテクノでない、テクノでなくテクノでもある”という意味不明なコメントが...評論家もこのストレンジなアルバムを持て余し気味だったことが窺える。

確かに、テクノ/エレクトロニカの流れで聴くとストレンジなアルバムかもしれない。でも、近未来のフューチャー・ジャズって観点できけば、案外まともなアルバムなようにも思える。

昨日紹介したEric DolphyもJazzであり、このJimi Tenorでも少々邪道ではあるがJazzである。Jazzって摩訶不思議☆

オススメ曲を紹介しときやす。

「Outta Space」
先行シングルにもなった、テクノとジャズが“モンド”、“ローファイ”、“ラウンジ”といった接着剤で融合したような、本作を象徴するナンバー。妖しげで、ムーディーでオシャレな近未来のカフェのBGMにピッタリな1曲。ユルユルなカンジがサイコーだよね。

「Downtown」
これも未来都市のダウンタウンにある地下組織の隠れ家への秘密の通路といった趣きのナンバー。フルートの妖しげな調べが何とも雰囲気あります。近未来的なんだけど、レトロなカンジも漂うのがこの人らしいのかもね。

「Never Say It Aloud」
静寂の中に狂気とエロティシズムを感じずにはいられないモンドな1曲。儚さと高揚感が同居した、この変態チックな美しさは何なのかね。一度聴いたら脳裏から離れないタイプの曲。

「Can't Stay With You Baby」
「Tesla」
ローファイなピコピコ・サウンドが印象的なナンバー。この2曲を聴いていると、何故か大好きな手塚治虫の漫画『火の鳥』に出てくるロボット・キャラのロビタとチヒロを思い出してしまった?

「Caravan」
なんと!ジャズ・ジャイアントDuke Ellingtonの作品のカヴァー。 この曲が一番テクノっぽいかもね。それにしてもこのカヴァーをEllingtonが聴いたら、どんな表情をするのかね?

「Wiping Out」
ボコーダーも印象的なテクノ・ジャズ・ファンクといった趣きのナンバー。軽く変態フレイヴァーが入っているけど、一番オシャレかもね。

「Shore Hotel」
実に狂ったナンバー。勝手にタイトルをつけるならば『時計じかけのオレンジ』(スタンリー・キューブリックにより映画化もされた小説)ってカンジかな。音的にもわけわかんないカオス状態っす。

「Nobody's Perfect」
これは近未来のジャズ・バーで演奏されていそうな音楽だね。ブルージーな味わいがありマス。

「Atlantis」
ラストは、ドラマチックな展開と哀愁漂うメロディが印象的なナンバー。近未来ハードボイルドの悲しい結末に流れるエンディング・テーマってカンジ?

当時、僕にとっての大衝撃作だったSquarepusher『Feed Me Weird Things』も、近々紹介しますね。
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする