2006年10月11日

Eric Dolphy『At The Five Spot Vol.1』

Booker Littleとの鬼気迫る演奏は圧巻☆Eric Dolphy『At The Five Spot Vol.1』
Eric Dolphy at the Five Spot, Vol. 1
録音年:1961年
ez的ジャンル:天才肌フリージャズ
気分は... :ブラックホールのようなジャズ...

Eric Dolphyは、実にミステリアスで雰囲気を持った存在感のあるジャズ・ミュージシャンだと思う。

僕は彼の作品を聴く以前に、雑誌で彼の写真を何枚か見たが、そのオーラに圧倒されたものだ。

Eric Dolphy(1928-1964年)は、1958年Chico Hamilton のグループに入り、その後Chalres Mingusのコンボに加入し、才能に磨きをかけた。1960年には盟友Ornette Colemanの超問題作『Free Jazz』のレコーディングに参加している。翌年には、John Coltraneとの共演を果たすと同時に、Booker Littleらとコンボを組み、本作『At The Five Spot Vol.1』を録音する。

その後、再びJohn Coltraneとの共演した後、1964年に再度Chalres Mingusのコンボに参加し、ヨーロッパ・ツアーへと渡欧した。そして、そのままヨーロッパに止まり、旅先のベルリンで病に倒れ、36歳の生涯を終えた。

そんな短く燃え尽きた天才の代表作として名高いのが本作『At The Five Spot Vol.1』(1961年)である。

本作はタイトルの通り、NYのライブハウスFive Spotでの1961年7月16日のライブを実況録音したものだ。メンバーは、Eric Dolphy(as、bcl)、Booker Little(tp)、Mal Waldron(p)、Richard Davis(b)、Ed Blackwell(ds)♪

Dolphyの魅力はホットなアルトサックス、ミステリアスなフルート、アーティスティックなバス・クラリネットと1粒で3度美味しい点だ。ちなみに本作ではアルトサックス、バス・クラリネットを披露している(本作の続編『At The Five Spot Vol.2』ではフルートも聴けます)。

DolphyLittleのコンビは、ジャズを新たなステージに導く強力タッグと期待されたが、ファンの方はご存知の通り、Littleは本ライブのわずか数ヵ月後にが23歳の若さで病死してしまった。もし、Littleが存命していれば、その後のDolphyの運命も大きく変わっていたであろう。

そう思わずにはいられないほど、本作の切迫した緊張感に満ちたDolphyとLittleのアドリブの応酬は、僕のような永遠のジャズ初心者の聴き手でさえも興奮させる。僕がジャズに鬼気迫る印象を受けたのは本作が最初かもしれない。

あと、DolphyとLittleばかりがクローズ・アップされがちだけど、Mal Waldronのピアノもかなりイイと思います。

永遠のジャズ初心者の僕は10分以上の曲を聴くと、大抵はダレてしまう根性ナシなのだが、本作のそれぞれ10分を超える全3曲はテンション高いまま聴けてしまう。実に凄味のある3曲っす。

この1枚でEric Dolphyが、その活動期間の短さにも関わらず、なぜジャズ・ジャイアントの一人として語り継がれるのか納得できるはずですよ!

全曲紹介しときヤス。

「Fire Waltz」
Mal Waldronの作品。タイトルの通りの炎のワルツ。Dolphyはアルト・サックスをプレイ。ダークなムードが印象的なテーマに続き、DolphyとLittleが激しく自由な舞をストイックに吹きまくりマス。その自由な舞を支えるWaldron、Davis、Blackwellの3人の実に巧みなプレイも聴きものデス。個人的には、Waldronのリズミックなピアノ・ソロもかなり好きだったりする。

「Bee Vamp」
Littleの作品。全体としは、実にスピーディーでスリリングな印象だね。この曲ではDolphyはバス・クラリネットをプレイ。僕は管弦楽・吹奏楽に疎く、正直バス・クラリネットって楽器を聴く機会が少ないんだけど、ここでDolphyが奏でるバス・クラは実に不気味かつ異様な存在感を示してくれマス(褒め言葉ですよ)。Dolphyに続くWaldronのダークなピアノ・ソロもカッチョ良いですな。

「Prophet」
Dolphyの作品。なんかピカソの絵を観賞しているような曲だよね。ピカソの絵って、上手いんだか、下手なんだか僕のような凡人には理解不能だが、飽きない面白さで惹きつけられることだけは確かだ。同じように、この曲のテーマを聴いていると、どこか調子っぱずれで、一瞬???なカンジもするけど、それが逆に興味をそそる。

Dolphyのアルト・サックスは、まるでワープするかの如く自由に音空間を駆け巡っていますが、難解な印象はなく、案外スンナリ聴けてしまうところが不思議だ。Littleのプレイも実にエネルギッシュっす。激しいDolphy、Littleのソロに続く、WaldronとDavisのソロが全体を実に引き締めてくれマス。


ちなみにこのスリリングなライブの模様は本作のみならず、『At The Five Spot Vol.2』をはじめ他の作品でも聴くことができる。僕もまだ部分的にしか聴けていないので、いつかは完全制覇したいよね。それ程の価値アリのライブだと思いマス。

僕が持っているもう1枚のDolphy作品『Out To Lunch』も、Dolphyの美学が反映された名作だと思いマス。

やっと今日で『24 シーズン4』が完結する。いやぁ寝不足の8日間でした。
ジャック・バウワー、イナバウワー...(σ ̄∇ ̄)σ
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2006年10月10日

The Roots『Game Theory』

知性派Hip-HopバンドのDef Jam移籍第1弾アルバム☆The Roots『Game Theory』
Game Theory
発表年:2006年
ez的ジャンル:知性派Hip-Hopバンド
気分は... :Def Jamだけど...

The Rootsの新作『Game Theory』が、Shawn Carter(Jay-Z)社長のサポートのもとDef Jamから発表された。

個人的には、The RootsとDef Jamってイメージが合致しないけど、メンバー自身はデビュー前からDef Jamに憧れていたのだとか(本当かなぁ??)。

でもって、Def Jam移籍と同時に不恰好なコマーシャル路線に走るのでは?なんて危惧していたが、メンバー自身が語っている通り、ダークな仕上がりのアルバムになっている。

The Rootsは、ドラマーの?uestlove、MCのBlack Thought、Malik B.ビートボクサーのRahzelらを中心に結成されたフィラデルフィア出身のHip-Hopクルー。生音を中心としたジャジーなHip-Hopで注目を集めた。

また、?uestloveは、故Jay Dee(J Dilla)、James Poyserらとプロデュース集団Soulquariansを結成し、D'angeloCommonErykah Baduなどの作品を手掛けた。加えて、後のMusiq、Bilal、Jill Scott、Kindered The Family Soul、Jaguar Wrightらによるネオ・フィリーのムーブメントの土台を作ったのもRootsの功績であろう。

個人的にはRootsの作品の中では、メジャー第1作となった2nd『Do You Want More?!!!??!』(1994年)、3rd『Illadelph Halflife』(1996年)、4th『Things Fall Apart』(1999年)とUKのみでリリースされた6曲入りEP『From The Ground Up』(1994年)の4枚をよく聴く。

やっぱり僕が好きなRootsはジャジーなRootsなのだ!そして、この4枚こそジャジーなRootsに出会うことができる。その意味では、あまりジャジーでは無くなった『Phrenology』(2002年)、『Tipping Point』(2004年)の2枚は正直あまり聴いていない。

本作『Game Theory』においても、かつてのジャジーなRootsに出会うことはできない。
でも、本作を約1ヶ月間聴ききながら、かつての姿をいつまでも求めるよりも、常に進化し続ける彼らの変化を前向きにとらえて楽しむべきかなぁ...なんて心境になってきた。

ジャジーな生音Hip-Hopを聴きたければ、先日紹介したOthello『Alive At The Assembly Line』あたりを聴けばいいしねっ☆

ということで、本作ではダークなRootsサウンドを堪能しましょう!
本作でのメンバーは、Black Thought、?uestlove、Hub、Kamal、Kirk、Knucklesの6名。かつてのメンバーMalik B.も数曲に参加していマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「False Media」
ラフで派手なドラムの鳴りが嬉しい1曲。地を這うような声のWadud Ahmadも印象的だね。Public Enemy「Don't Believe The Hype」ネタ。

「Game Theory」
Malik B.参加のタイトル曲。やはりMalik B.とBlack Thoughtが揃うとRootsらしいよね。哀愁感漂うトラックが好きっす。Sly & The Family Stone「Life of Fortune and Fame」ネタ。

「Don't Feel Right」
アルバムからのリード・シングル。Maimouna Youssefのソウルフルなフックが実に印象的ですな。Ohio Players「Ecstacy」およびKool & The Gang「Jungle Boogie」ネタ。

「In The Music」
Malik B.とPornをフィーチャーしたナンバー。怪しく幻想的な雰囲気がかなりお気に入りっす。

「Take It There」
アラビアン・テイストな1曲。ゲストのWadud Ahmadの声とこのアラビアン・トラックがよくマッチしているんだよね。

「Here I Come」
Dice Raw、Malik B.参加曲。アルバムで一番のお気に入り。?uestloveを中心とした、このスリリングな生音ビートを堪能するのが、今のRootsの楽しみ方なのかもね。そんな演奏に煽られBlack Thought、Dice Raw、Malik B.のMC隊もハイテンションっす。

「Long Time」
Bunny Siglerとグループへの加入が噂されるPeedi Peediが参加のキャッチーな1曲。ポップに弾けてマス。

「Clock With No Hands」
Mercedes Martinezをフィーチャーしたメロウな1曲。この胸キュン度の高さにはヤラれてしまいマス。Mercedes Martinezが実にチャーミングですな。

「Atonement」
Radiohead「You and Whose Army?」ネタで話題のナンバー。ある意味今のRootsらしいネタ選びかもね!秋に夕暮れにマッタリ聴くとピッタリなカンジ。気だるいJack Daveyのコーラスもハマってマス。

「Can't Stop This」
Jay Dee(J Dilla)へのトリビュート曲。亡き友への想いが伝わってくる感慨深い1曲。と言いつつ、後半のダークな展開は感傷に浸っている場合ではないかもね。Jackson 5「All I Do Is Think Of You」ネタ。

本作のタイトルにもなっている“ゲーム理論”については、個人的に一時期ハマった時期があり、かなり文献なども読んだ。連夜僕を寝不足にする『24』なんか観ていると、ああいった緊迫した交渉場面では、こういった理論が威力を発揮するのであろう。

実に興味深い学問分野だけど、一方でこんなことばかり考えていると、確実につまらない嫌な人間になると思った。と言いつつ、久々に文献を何冊か書棚から引っ張り出してきてしまいまシタ。
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2006年10月09日

Grace Jones『Nightclubbing』

ブラック・ビューティーによるスタイリッシュなクール・サウンド☆Grace Jones『Nightclubbing』
Nightclubbing
発表年:1981年
ez的ジャンル:ブラック・ビューティー系ソウル
気分は... :時代がクール・ビューティーに追いついた?

Grace Jonesの名前とこのジャケを見て、ピピッ!とくるのはオシャレ洋楽リスナーさんだろうね。

ジャマイカのスパニッシュタウン生まれのGrace Jonesは、Vogue、Elleで人気モデルとなり、その後歌手、女優としても活躍したブラック・ビューティーだ。この角刈りモヒカン頭の近未来人のようなクール・ビューティーは当時僕にとってはかなりのインパクトだったね☆

僕が持っているのは、『Portfolio』(1977年)、『Nightclubbing』(1981年)、『Living My Life』(1982年)、『Slave to the Rhythm』(1985年)といったオリジナル作品とIslandレコード時代のベスト盤『Island Life』(1985年)の計5枚。

そんな中から僕の一番のお気に入り『Nightclubbing』(1981年)をセレクト。プロデューサーは、IslandレコードのボスChris BlackwellとSimply Red、Duran Duran、Arcadia、Thompson Twins、Bob Marleyなどの作品でお馴染みのAlex Sadkin。

Alex Sadkinプロデュースの80年代作品の中で、リアルタイムでこれらを経験した感覚で言えば、当時はSimply Red、Duran Duran、Arcadia、Thompson Twinsなどと比較して、Grace Jonesはワンランク下のキワモノ歌手という扱いだったと思う。

でも、現時点で80年代を振り返ると、今の時代に最もシンクロしているのはGrace Jonesじゃないかなぁと思う。逆に当時大ヒットしていたThompson Twinsあたりは、今聴くと少しキビシい感じがするなぁ(Thompson Twinsの作品にGrace Jonesもゲスト参加していたりするんだけどね)。

先日ふと気付いたんだけど、高校生くらいまで全米ヒットチャートを中心に洋楽を聴いていた僕なのに、当時大ヒットしていた作品を本ブログで取り上げる機会は案外少ない。

音楽シーン全体の流れや僕自身の嗜好がRockからR&B/Hip-Hopへ大きくシフトした中で、80年代のヒット・ソングのリズムやグルーヴ感のセンスは今聴くとキビシいものが多いのかもしれない。そもそも僕自身のRock離れが最も大きな要因なんだけどね。

そう考えると、『Nightclubbing』は、当時最強のレゲエ・リズムセクションSly & Robbie(Sly Dunbar、Robbie Shakespeare)の二人が参加しており、彼らが生み出すグルーヴ感が案外キモになっているかもしれないね。今聴いても実にカッチョ良いし、面白いね。

クール・ビューティーによるファッショナブルなクール・サウンドを堪能あれ♪

オススメ曲を紹介しときやす。

「Pull up to the Bumper」
アルバム中一番のお気に入りのナンバー。クラブ・クラシックとしてお馴染みの1曲ですね。NYのナイトタイムがピッタリな感じのクラブ・ミュージックだよね。Nile Rodgersっぽいギターも含めたリズム隊のカッチョ良さに脱帽デス。25年経った今でも鮮度抜群の1曲だね。

「Use Me」
Bill Withersの1972年の作品のカヴァー。フリーソウル・ファンにはお馴染みの名曲ですね。Bill Withers好きの僕は、当然オリジナルのフォーキーでナチュラルなグルーヴ感が大好きなのですが、ここではオリジナルとは全然異なるスタイリッシュなグルーヴに仕上がっていマス。これがまたカッチョ良いのデス☆

「Nightclubbing」
パンク・アイドルIggy Popのカヴァー(David Bowie作品)。クールでダビーなサウンドがグッドです。

「Art Groupie」
クール&メロウなレゲエ・ナンバー。シンプルなんだけどスタイリッシュなのがスゴイね。

「I've Seen That Face Before (Libertango) 」
アルゼンチンのバンドネオンの巨匠Astor Piazzollaの作品のカヴァー。タンゴの曲にSly & Robbieのリズムって、どうなのよ?なんて思う人がいるかもしれないが、これが意外にもバッチリはまっていマス。フレンチの香りも漂って、なかなかの逸品ですよ☆

「Feel Up」
「Pull up to the Bumper」と並ぶクラブ・テイストな1曲。爽快さと怪しげな雰囲気が入り混じった面白い感覚の曲だね。

「Demolition Man」
Sylvester Stallone主演の同名映画でもお馴染みのPoliceのカヴァー。オリジナルのPolice以上にGrace Jonesにピッタリな曲だよね。そう言えば、映画『Demolition Man』に、Grace JonesがWesley Snipesと一緒に悪役で出演しても全然違和感ないカンジがしませんか?

「I've Done It Again」
ラストは絶品バラード。それまでのGraceとは全然違う女性らしいロマンチックな一面を垣間見ることができマス。

さっきYou Tubeで「Pull up to the Bumper」のPVを初めて観たが、ビジュアルが伴うと凄みが増してくるねっ!
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2006年10月08日

Bob Dylan『Hard Rain』

Dylanのロック魂が剥き出しになった音楽巡礼ライブ☆Bob Dylan『Hard Rain』
Hard Rain
発表年:1976年
ez的ジャンル:ロック詩人による音楽巡礼ライブ
気分は... :雷鳴が轟き、ロック魂を呼び覚ます!

一昨日、首都圏を襲った激しい雨の中、ふとこのアルバムを手にしていた。
Bob Dylanのライブ・アルバム『Hard Rain』(1976年)☆

永遠のロック詩人Bob Dylanの紹介は、『Highway 61 Revisited』(1965年)に続き2回目になります。

個人的には、Bob Dylanの全キャリアの中で『Planet Waves』(1974年)、『Before the Flood』(1974年) 、『Blood on the Tracks』(1975年)、『Desire』(1976年)、『Hard Rain』(1976年) という70年代中期の5作品がDylanの絶頂期だったように思うし、この5枚を聴く頻度が最も高い。

『Hard Rain』は、1975〜1976年に行われた伝説のライブ・ツアーThe Rolling Thunder Revueのうち、1976年5月のライブを収めたものである。

1974年にThe Bandとのライブ・ツアーを収めた2枚組ライブ・アルバム『Before the Flood』を発表してから、わずか2年で新たなライブ・アルバムを発表するというあたりに、Dylanがよほどの手ごたえを感じていたのだと思う。

The Rolling Thunder Revueは、通常のプロモーターが会場を押さえ、チケットを予約するスタイルとは異なり、公演の日時・場所を直前に手渡しのビラなどで告知するというユニークなスタイルのライブ・ツアーであり、さながら全米を巡礼する音楽巡礼団のように評された。

巡礼団のメンバーは、Mick Ronson(g)、 T-Bone Burnette(g、p)、Steven Soles(g、vo)、David Mansfield(g) 、Rob Stoner(b、vo) 、Howard Wyeth(ds、p) Gary Burke(ds)、 Scarlet Rivera(vio)といったところ。T-Bone Burnetteは、以前にDylanの息子Jakob Dylan率いるThe Wallflowers『Bringing Down The Horse』のエントリーで紹介しましたよね。

僕がこのアルバムが好きなのは、野外スタジアムで激しい雨が降ると予測された悪条件の中で、それに立ち向かうかのごとく、ロッカーとしてのBob Dylanの姿が自然なかたちで剥き出しになっているカンジがするからだ。気心知れた仲間とのユニークなツアーの中で、ライブならではの臨場感も十分伝わってくるしね☆

Bob Dylanに対して“フォークの神様”のイメージが強い方は、このアルバムでロッカーとしてのDylanを堪能して欲しいっす♪

全曲紹介しときヤス。

「Maggie's Farm」
Dylanが最初にエレクトリック・サウンドを導入したアルバム『Bringing It All Back Home』 (1965年) からのナンバー。まさにローリング・サンダーのように激しくロックしている演奏が大好き!

この曲は、Paul Betterfield's Bluse Bandを従え、初めてエレクトリック・サウンドをライブで披露したところ、コアなフォーク・ファンから大ブーイングを浴び、わずか3曲でステージを降りてしまった、有名な1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルのオープニング・ナンバーだった曲である。そう思うと感慨深い1曲だ。

「One Too Many Mornings」
フォーク時代のアルバム『The Times They Are A-Changin'』(1964年)からのナンバー。 オリジナルのフォークな仕上がりから一転し、感動的なロック・バラードとなっているあたり、この間のDylanの成長の軌跡が窺えるのでは?

♪君の立場から君は正しい♪僕の立場から僕は正しい♪という歌詞が僕の胸に深く染み渡る。

「Stuck Inside of Mobile With the Memphis Blues Again」
『Highway 61 Revisited』と並ぶ60年代の名盤『Blonde on Blonde』 (1966年)からのナンバー。フォーク・ロックな仕上がりデス。

「Oh, Sister」
この時点の最新スタジオ・アルバム『Desire』 (1976年)からのナンバー。オリジナルはEmmylou Harrisとのデュエット。ここではScarlet Riveraのバイオリンが感動を盛り上げてくれマス。

「Lay Lady Lay」
カントリー色を強めたアルバム『Nashville Skyline』(1969年)からのナンバー。個人的にDylan作品の中でも特に大好きな曲の1つ。Isley Brothersファンの僕としては、Isleysのカヴァーの影響が大きいんだけどねぇ。本バージョンは、オリジナルから2番の歌詞が書き直されていマス。

「Shelter from the Storm」
「You're a Big Girl Now」
70年代のアルバムの中でも特に評価の高いアルバム『Blood on the Tracks』 (1975年) からの2曲。「Shelter from the Storm」はファンキーでご機嫌な仕上がり。個人的に好きな「You're a Big Girl Now」は味わい深く聴かせてくれマス。

「I Threw It All Away」
アルバム『Nashville Skyline』からの曲。僕も大事なものを投げ出さないように肝に銘じよう!

「Idiot Wind」
ラストは『Blood on the Tracks』からのとっておきの1曲。ビートニクの巨匠Allen Ginsbergに“この曲を新しいアメリカ国歌にすべき”と言わしめた名曲である。このライブでは、Dylanが激しく怒れる口調でたたみかける。熱心なDylanファンからは怒られそうだが、この曲なんか聴いているとDylanがラッパーのように思えてくる。

The Bandを従えたライブ・アルバム『Before the Flood』(1974年)もいいですよ。こちらの方が代表曲が網羅されているので、Dylan入門編にはいいかも?
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2006年10月07日

Mary J. Blige『Mary』

しっとりモードMJBも秋にはピッタリなのでは?☆Mary J. Blige『Mary』
Mary
発表年:1999年
ez的ジャンル:しっとりモードのR&Bクイーン
気分は... :秋の夜空とリアルなMJB...

現代のR&BクイーンMary J. Bligeの2回目の登場っす。今回は4thアルバム『Mary』(1999年)をセレクト。

以前に紹介した2ndアルバム『My Life』(1994年)も内省的な作品だったけど、本作『Mary』もその路線をさらに掘り下げた作品かもしれない。名前をそのままタイトルにしたあたりにも表れているのでは?

Lauryn Hill、Jadakiss, Aretha Franklin, K-Ci Hailey, Elton John、Eric Claptonといった超豪華ゲストや、Babyface、Jam & Lewisといった大物プロデューサーの名が並べば、 華やかなアルバムをイメージするが、本作はMJBのアルバムの中で最も地味で素朴な作品かもしれない。

でも、この豪華メンバーで、こんなにディープでしっとりモードの作品に仕上げているところに、ネクスト・レベルのステージに到達したMJBの成長が窺えるのではと思う。

発売当時この作品を聴いて、MJBに使われる“Queen Of Hip-Hop Soul”の称号の“Hip-Hop”はもはや不要なのでは?と感じたことが思い出される。

本作にもゲスト参加している本家“Queen Of Soul”Aretha Franklinとの比較すると、MJBは決して歌の上手いシンガーではない。

でも、彼女の歌はリアルである。このリアルさがあるからこそ、多くの女性がMJBに共感するのであろう。そして、こんなオヤGの僕もねっ☆

秋の季節に、しっとりモードのMJBを聴きながら、読書なんて、なかなかおつな過し方なのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「All That I Can Say」
Lauryn Hillプロデュース&参加で話題になったナンバー。アルバムからの1stシングルにもなりまシタ。Michael Jackson「I Can't Help It」ネタのしっとりとした仕上がり。秋の紅葉にピッタリなカンジだよね。Michael Jackson「I Can't Help It」ネタと聴くと、個人的にはDe La Soul「Breakadawn」も大好きな僕なのですが...

「Sexy」
Jadakissをフィーチャーした哀愁グルーヴ。切ない女心と身勝手な男心の交錯するカンジがいいねっ☆

「Deep Inside」
シングルカットもされたElton Johnのピアノをフィーチャーしたナンバー。Eltonの大ヒット・シングル「Bennie & The Jets」が引用されていマス。「Bennie & The Jets」自体が秋っぽい雰囲気の曲だから、この曲も今の時期がジャストってカンジかな。そう言えば、本ブログでElton Johnを取り上げるのを忘れてたね。そのうち、紹介しマス。

「Beautiful Ones」
Earl Klugh「April Fools」(Bacharach & Hal Davidの名曲カヴァー)ネタのギターが印象的なナンバー。MJBの淡々としたボーカルがアコースティックな味わいと実にマッチしているね。

「As」
George Michaelとのデュエットによる、ご存知Stevie Wonder『Songs In The Key Of Life』収録の名曲カヴァー。Babyfaceプロデュースっす。本来George Michaelのベスト盤収録曲としてシングルカットされUKで大ヒットしたもの。本作では日本盤のみのボーナストラックなんだけど大好きな曲なので取り上げちゃいまシタ。

「Time」
またまたStevie Wonderネタの曲。「As」と同じく『Songs In The Key Of Life』収録の「Pastime Paradise」ネタです(Coolio「Gangsta Paradise」の元ネタとして有名ですね)。「Pastime Paradise」以外にAl Green「I'm Glad You're Mine」のドラム・ネタも入っていマス。P.DiddyのブレーンChucky Thompsonプロデュース。

「Almost Gone (Interlude)」
Donny Hathawayの娘Lalah Hathawayによる印象的なインタールード。

「Don't Waste Your Time」
Babyfaceプロデュースによる“Queen Of Hip-Hop Soul”MJBと“Queen Of Soul”Aretha Franklinという夢の組み合わせ。MJBにとって憧れの存在Arethaとのデュエットは感慨深いものだったに違いない。Arethaもあまり歌いすぎて、MJBとの歌唱力の歴然な違いを見せない心遣いをしているところがニクイね。

「Not Lookin'」
K-Ci & JojoのK-Ci Haileyとのデュエット。暑苦しいK-CiとクールなMJBとの組み合わせってどうなのよ?とも思ったけど、ちょど良い人肌くらいの温度感に仕上がっているカンジだよね。

「Your Child」
この曲もシングル・カットされましたね。曲自体は、僕好みのメロウなナンバーだけど、男と女の修羅場が赤裸々に語られているへヴィーな歌詞がねぇ...ズシリと重いですな。

「No Happy Holidays」
この曲も「Your Child」同様に曲はサイコー、詞はへヴィーですな。でもいい曲デス。

「The Love I Never Had」
Jam & Lewisプロデュース曲。Jam & Lewisにしてはオーソドックスと言うか、逆に70代ソウル風に仕上げているのが印象的なナンバー。

「Give Me You」
Eric Claptonのギターをフィーチャーしたナンバー。これは名曲だね(ソングライティングはDiane Warren)。秋の心にジンワリしみわたるナンバー。

「Let No Man Put Asunder」
しっとりとしたミディアム〜スローが多い本作だが、最後にアッパーなナンバーが登場!本ブログで大人気のサルソウルを代表する女性トリオFirst Choiceのカヴァーっす。MJBがサルソウル・ナンバーってなんか興味深いよね。

今週1週間は『24 シーズン4』で寝不足気味\( ̄□ ̄)/
ジャック・バウアーは毎回完徹で頑張るよねぇ♪
posted by ez at 01:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする