2006年10月06日

The Millennium『Begin』

天才Curt Boettcherによる幻想的なソフトロック☆The Millennium『Begin』
ビギン(紙ジャケット仕様)
発表年:1968年
ez的ジャンル:魔法のコーラス&幻想のサウンド系ソフトロック
気分は... :このソフトロックで人生が変わるかも?

しばらくソフトロックの紹介をご無沙汰していたので、今回はソフトロックの申し子Curt Boettcherによる名盤The Millennium『Begin』にしまシタ。

Curt Boettcherは、1962年にGoldebriarsのメンバーとしてデビュー。プロデューサー、アレンジャーとしての手腕を発揮し、Tommy Roe、The Associationなどのヒット作を手掛けた。その後、幻のグループBallroomを経て、Gary Usherとタッグを組んだSagittarius『Present Tense』や、Ballroom解散後に結成した新グループThe Millennium『Begin』といったソフトロックの傑作を残した。

上記以外にも60年代後半には数々のソフトロック系アーティストのプロデュースを手掛け、自身も1972年には初のソロ・アルバム『There's an Innocent Face』を発表するなど勢力的に活動していたが、1987年に43歳の若さで亡くなっている。

前述のように、The Millennium『Begin』は、Sagittarius『Present Tense』と並ぶCurt Boettcherのベスト・ワークの呼び声高い作品である。一言で表現すれば、魔法のコーラスを伴った幻想的ポップ・ミュージックってカンジかなぁ。

『Begin』は、当時の最新技術を駆使し、8トラックのレコーダーを2台繋ぎ、16トラックでレコーディングされた。その結果、当時CBSレコードが最も制作費をかけて完成させた作品だったのだとか。しかし、当時はこの傑作ソフトロックが“前衛すぎる”との理由で全くプロモされず、商業的には全く成功しなかった。

しかし、60年代末に突如ある雑誌の60年代の最も優れたアルバム3枚の1枚に選ばれ、本作はアメリカ議会図書館にも収められたらしい。

Beach Boys『Pet Sounds』Roger Nichols 『Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』あたりと並んで、ソフトロック好き、ポップ偏執狂になりたい人は、避けては通れない1枚ですね。

Curt Boettcherばかりに触れてしまったけど、Curtと共にプロデュースを務めたKeith Olsenや殆どの曲作りを手掛けた他メンバーの活躍も見逃せない。また、Gary Usherがエグゼクティブ・コーディネーターとしてクレジットされていマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Prelude」
アルバムのオープニングを飾るインスト・ナンバー。この1曲のみで名盤の予感十分。

「It's You」
アルバムからの1stシングル。とってもキャッチーだけど、ポップ偏執狂の部分も十分発揮されているよね。でも、今の感覚で考えると、このポップさが“前衛すぎる”と敬遠されるのは理解できなよね。

「5 A.M.」
Ballroom時代のリパートリーで、アルバムからの2ndシングル。何故かシンガポールのチャートでNo.1になったのだとか。ドリーミーなコーラスがサイコーっす。さりげにパーカッシブなところも好き!山下達郎氏のお気に入りらしいけど納得ですな。

「To Claudia On Thursday」
3rdシングルにもなったボッサ・フレイヴァーな1曲。とってもエヴァーグリーンなカンジがいいよねっ。センスの良さが実感できる逸品。

「I Just Want To Be Your Friend」
Curt Boettcherの作詞作曲。リード・ボーカルもCurt自身っす。Curtのハイトーン・ボーカルが堪能できます。まさに魔法のボーカルによる幻想的ポップに仕上がっていマス。

「I'm With You」
「Sing To Me」
Associationに通じるハーモニーが印象的な2曲。「I'm With You」は、まさにソフト・ロックのお手本のようなナンバー。「Sing To Me」は曲自体がすごくイイねっ。全体の完成度も高いし、個人的にはアルバム中一番スキな曲かも?

「The Island」
これもBallroom時代の作品でCurt Boettcherの作詞作曲。ペダル・スティールのアコースティックの素朴な味わいと、ノスタルジックなハーモニーのマッチングがとてもグッドd(^ ^)!

「Some Sunny Day」
エヴァーグリーンなドリーミー・ポップ。このノスタルジックな胸のトキメキはソフト・ロックじゃないと味わえない感覚だねぇ。極楽ですな\(^▽^)/

「It Won't Always Be The
Holliesっぽいハーモニーが魅力のナンバー。そう言えば、本ブログで取り上げた僕のHolliesで一番スキな作品『Evolution』も当時全然評価されないアルバムだったみたいだしね。

「The Know It All」
Curt Boettcherの作詞作曲。Curtが故JFKにインスパイアされて書いた曲なのだとか。さらに、この曲が完成した夜にJFKの弟のRobertが兄に続き暗殺された。曲自体は、フォーキーでサイケなカンジで僕好みっす☆

「There Is Nothing More To Say」
こみ上げ系ポップ。ただただ美しいですな。僕も大好きだった渋谷系グループGreat3がカヴァーしていますね。

「Just About The Same」
「It's You」のテープを間違って逆回しで再生したことから出来た曲らしい。Associationのシングルとしてもリリースされやシタ。

僕が洋楽を聴き始めた思春期の頃、Roger Nicholsや本作を聴くことができていたら、人生を変えた1枚になっていたような気がする。こんな幻の名盤をお手軽に聴ける今の若いリスナーの方たちが羨ましいよね。

さて、今夜も『24 シーズン4』を観ようっと☆
posted by ez at 00:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする