2006年10月12日

Jimi Tenor『Intervision』

ジャズとテクノの融合を見事に実現させたモンドなアルバム☆Jimi Tenor『Intervision』
Intervision
発表年:1997年
ez的ジャンル:モンド&フューチャー・ジャズ系テクノ
気分は... :テクノのような、テクノでないような...

今回はこれまで本ブログでは取り上げることが無かったタイプの作品を紹介しマス。テクノとジャズと融合を見事に実現させたモンドなアルバムJimi Tenor『Intervision』(1997年)っす。

きっと、ハウス/テクノの熱心なリスナー以外に、Jimi Tenorの名はあまり知られていないと思う。でも、発売当時その分野では、それなりに話題になったアルバムが本作『Intervision』だ。

かく言う僕もテクノの分野は、さっぱり明るくない。特に最近は全くノーチェック状態っす(×_×)。。。

でも、今から10年前くらいはLTJ Bukem、4 Hero、Goldie、Roni Sizeといったドラムンベース(Drum'n Bass)や、さらに発展させたAphex Twin、Squarepusherらによるドリルンベースなんかも聴いていた。

特にハマっていたのがSquarepusher(Thomas Jenkinson)だった。アルバム『Feed Me Weird Things』(1996年)はかなりの衝撃作だったよね。そのSquarepusherと同じWarp Recordsから発表されたのが『Intervision』だった。当時、Warp Recordsと言えば、テクノ/エレクトロニカ系の注目レーベルであり、良質な実験的なアルバムを数多く発売していたことで評判だった(ってそんな詳しくないんだけど...)。

Jimi Tenorは、フィンランド生まれのミュージシャンであり、サックス、フルート、キーボードなどをこなす。その意味では元々テクノの枠組みでは狭すぎるアーティストなのかもね。ジャケの雰囲気にも少し表れているけど、知的で変態チックなサウンド・クリエイターってカンジです。

この作品を購入してから約9年が経つが、今回記事エントリーにあたり初めてライナーノーツを読んだ。ライナーノーツには、“テクノでありテクノでない、テクノでなくテクノでもある”という意味不明なコメントが...評論家もこのストレンジなアルバムを持て余し気味だったことが窺える。

確かに、テクノ/エレクトロニカの流れで聴くとストレンジなアルバムかもしれない。でも、近未来のフューチャー・ジャズって観点できけば、案外まともなアルバムなようにも思える。

昨日紹介したEric DolphyもJazzであり、このJimi Tenorでも少々邪道ではあるがJazzである。Jazzって摩訶不思議☆

オススメ曲を紹介しときやす。

「Outta Space」
先行シングルにもなった、テクノとジャズが“モンド”、“ローファイ”、“ラウンジ”といった接着剤で融合したような、本作を象徴するナンバー。妖しげで、ムーディーでオシャレな近未来のカフェのBGMにピッタリな1曲。ユルユルなカンジがサイコーだよね。

「Downtown」
これも未来都市のダウンタウンにある地下組織の隠れ家への秘密の通路といった趣きのナンバー。フルートの妖しげな調べが何とも雰囲気あります。近未来的なんだけど、レトロなカンジも漂うのがこの人らしいのかもね。

「Never Say It Aloud」
静寂の中に狂気とエロティシズムを感じずにはいられないモンドな1曲。儚さと高揚感が同居した、この変態チックな美しさは何なのかね。一度聴いたら脳裏から離れないタイプの曲。

「Can't Stay With You Baby」
「Tesla」
ローファイなピコピコ・サウンドが印象的なナンバー。この2曲を聴いていると、何故か大好きな手塚治虫の漫画『火の鳥』に出てくるロボット・キャラのロビタとチヒロを思い出してしまった?

「Caravan」
なんと!ジャズ・ジャイアントDuke Ellingtonの作品のカヴァー。 この曲が一番テクノっぽいかもね。それにしてもこのカヴァーをEllingtonが聴いたら、どんな表情をするのかね?

「Wiping Out」
ボコーダーも印象的なテクノ・ジャズ・ファンクといった趣きのナンバー。軽く変態フレイヴァーが入っているけど、一番オシャレかもね。

「Shore Hotel」
実に狂ったナンバー。勝手にタイトルをつけるならば『時計じかけのオレンジ』(スタンリー・キューブリックにより映画化もされた小説)ってカンジかな。音的にもわけわかんないカオス状態っす。

「Nobody's Perfect」
これは近未来のジャズ・バーで演奏されていそうな音楽だね。ブルージーな味わいがありマス。

「Atlantis」
ラストは、ドラマチックな展開と哀愁漂うメロディが印象的なナンバー。近未来ハードボイルドの悲しい結末に流れるエンディング・テーマってカンジ?

当時、僕にとっての大衝撃作だったSquarepusher『Feed Me Weird Things』も、近々紹介しますね。
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする