2006年11月20日

Tom Petty & The Heartbreakers『Hard Promises』

アメリカン・リリシズムを堪能できる1枚☆Tom Petty & The Heartbreakers『Hard Promises』
Hard Promises
発表年:1981年
ez的ジャンル:リリズム系アメリカン・ロック
気分は... :時の流れの中で...

本ブログでは、できる限り年代、ジャンルを幅広くカバーして作品を紹介できるように心掛けている。

その中で、実は一番セレクトに悩むのが80年代アメリカン・ロックだ。
僕自身、中学・高校と毎週全米Top40を熱心に聴き、80年代アメリカン・ロックをリアルタイムで体感し、それなりにレコードも持っているはずなのにねぇ...

僕が悩む理由は、本ブログで旧譜作品をセレクトする際に、“鮮度”という基準を大切にしているためだ。僕が言う“鮮度”とは、その作品を全く知らない今の10代、20代あたりの方が、その作品を聴いて、気に入る可能性があるか否かという基準なんだけど...

そうした基準で考えた場合、一番ビミョーに思えるのが、ヒット曲を中心とした80年代アメリカン・ロックのような気がするんだよね。個人的には、そのあたりの音楽が現時点の音楽シーンとの接点が一番希薄に感じられる。不思議なことに、70年代アメリカン・ロックには全然そんな気がしないんだけどねぇ。

特に80年代半ば以降の作品は、僕自身がロックからR&Bへ大きく軸をシフトさせていった時期とも重なり、余計にそんな思いが強いかなぁ。

あくまで主観として、現在の音楽シーンとのギャップが大きいと思えるというだけで、客観的に80年代アメリカン・ロックのクオリティが低いという意味ではありませんので、アメリカン・ロック・ファンの方は悪しからず。

さて、そんな中で今聴いてもフレッシュな印象を受ける80年代アメリカン・ロックTom Petty & The Heartbreakers『Hard Promises』(1981年)っす。

Tom Petty『Long After Dark』(1982年)に続く2回目の登場になりマス。

以前にも紹介したように、Tom PettyJackson BrowneBruce Springsteenと並ぶ僕のお気に入りアメリカン・ロック・アーティストだった。

Tom Petty & The Heartbreakersの作品の中では、出世作となった3rdアルバム『Damn The Torpedoes』(1979年)、本作4thアルバムとなる本作『Hard Promises』(1981年)、そして以前に紹介した5th『Long After Dark』(1982年)の3枚が、今でもよく聴く愛聴盤っす!

本作『Hard Promises』は、前作ほどハードにロックン・ロールしているわけではないが、その分メロディアスで憂いのあるナンバーもあって、アメリカン・リリシズム溢れる1枚になっていると思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Waiting」
アルバムからの1stシングル。メロディアスな雰囲気がたまらないミディアム・ナンバー。先に本作をアメリカン・リリシズム溢れる1枚と述べたが、まさにそんな空気を満喫できる1曲。昔レコードを聴きながら、♪イェイ、イェー♪イェイ、イェー♪と一緒に口ずさんだことを思い出す。

「Woman in Love (It's Not Me) 」
アルバムからの2ndシングル。クセのあるTom Pettyのボーカルには、こういった哀愁感漂うナンバーがよく似合う。Heartbreakersの演奏もイイ感じ。

「Nightwatchman」
骨太のミデゥアム・ロック。Bob Dylan風のTom Pettyのボーカルが印象的だね。前にも書いたが、僕は昔Bob Dylanのボーカルが苦手だったが、Tom Pettyを聴いているうちに、このボーカル・スタイルが好きになり、Bob Dylanも違和感聴けるようになった。

「Something Big」
ダークなムードがイイ感じのミディアム・ロック。Tom Pettyの場合、やっぱり陰のあるナンバーが魅力だよね。

「Kings Road」
「Thing About You」
疾走感溢れる抜けのいいロックン・ロール・ナンバー2曲。やっぱりこういったストレートなロックン・ロールを何曲か聴かないと、Tom Pettyを聴いた気分にならないよね。

「Letting You Go」
個人的にはアルバムで一番お気に入りのミディアム・ロック。この曲もレコードに合わせて、♪Whoa oh, whoa oh oh♪I'm having trouble♪Letting you go〜♪という部分をよく歌っていた記憶がある。

「Insider」
Fleetwood MacのStevie Nicksとのデュエット・ナンバー。この年に発表されたStevie Nicksの1stソロ『Bella Donna』からのシングル「Stop Dragging My Heart Around」でもデュエットしていましたね。個人的には、「Stop Dragging My Heart Around」よりもコチラの方がデュエットとしてハマっていると思う。実に味わい深いロック・バラード。

「You Can Still Change Your Mind」
アルバムのラストを飾るスケール感の大きなバラード。この曲はBrian Wilsonから影響を受けて作った曲らしい。そう言われれば、Beach Boys的なテイストを感じるよねぇ。この曲にもStevie Nicksが参加。

この間、自宅のレコード棚を眺めながら、自分がリアルタイムで聴いていた80年代の音楽と、今聴きたい80年代音楽とのギャップを思い切り感じてしまった。自分の音楽嗜好の変化を再認識しながら、時の流れをしみじみかみしめてしまったねぇ...
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2006年11月19日

Luisito Quintero『Percussion Maddnes』

神秘のパーカッション・ワールド☆Luisito Quintero『Percussion Maddnes』
Percussion Madness
発表年:2006年
ez的ジャンル:クラブ・テイストのラテン・ルーツ・ミュージック
気分は... :神秘のパーカッション・ワールド

今回は春先に購入し、ずっと愛聴していたにも関わらず、紹介し忘れていた作品Luisito Quintero『Percussion Maddnes』っす。

本作は、以前に本ブログで紹介済みのLA Stylez『The LA Style Project』Latrice『Illuminate』と一緒に購入したものデス。

これがきっかけで今年はは久々にハウス/クラブ・ミュージックにハマった1年になった。その影響で僕のハウス系コレクションの大半を占める90年代前半のハウス作品も今年はよく聴いている。

そして、本作をプロデュースするのは、その90年代から活躍し続けるハウス界の超大物Louie Vegaだ。

本作は以前に紹介したLouie Vegaの奥方Anane『Selections』などと共に、Louie Vegaが主宰するVega Recordsから今年発売された作品である。それ以外にもVega Recordsには本作にもフィーチャーされているBlazeも所属していマス。

本作の主役Luisito Quinteroはベネズエラ出身のパーカッション奏者であり、サルサ、ラテン、ジャズなどの分野で数多くのセッションを重ねた後に、Louie VegaとKenny "Dope" GonzalezのMasters At Work(MAW)による一大プロジェクト『Nuyorican Soul』(1997年)へ参加する。

それを機にQuinteroはLouie Vegaとの交流を深め、Vega RecordsにおけるLouie VegaのプロジェクトElements Of Life(EOL)では、Louie Vegaから“天才パーカッショニスト”と賞賛される最重要メンバーとして参加している。

さて、本作『Percussion Maddnes』だが、聴けば聴くほど面白い作品だ。未聴の方は、ラテン+ハウスのラテン・ハウスなアルバムをイメージするかもしれないが、そんなにクラブ・テイストが全面に出ているわけでもない。ラテン・ハウスと言うならば、むしろAnane『Selections』の方がそんな表現がピッタリだと思う。

単純なラテン・ハウスではないプラスαの何かを感じさせるのが本作だ。きっとラテンの部分が表層的なものではなく、ルーツに根ざしたものだからであろう。なので、ラテン・テイストのハウスというよりも、クラブ・テイストのラテン・ルーツ・ミュージックと表現した方がニュアンスが伝わるかもね。

パーカッションのパカポコ感が大好きの僕としては、パーカッション乱舞の本作はホント全然飽きがきません。Louie Vegaのスパイスが加わることで、パーカッションの宇宙に神秘性が増しているような気がします。

たまにはこんなラテンもいいもんですよ!

全曲紹介しときやす。

「Percussion Maddness」
オープニングはいきなりQuinteroによるパーカッション・ソロ。まさに狂喜乱舞のパーカッション・サウンド。

「Tumbao」
Nuyorican Soulを彷彿させるアフロ・キューバン・グルーヴ。オルガン、ギター、フルートとパーカッションの絡みがイイ感じっす。BlazeのJosh MilanとAnaneがバック・ボーカルが盛り上げてくれマス。

「M'Bongi」
パーカッション奏者Bujoと白熱のパーカッション・バトル。リンガラ(アフリカ音楽)・テイストに仕上がっていマス。

「Gbagada, Gbagada, Gbogodo, Gbogodo」
Francis Mbappeをフィーチャーしたアフロ・ビートのパイオニア故Fela Kutiのカヴァー。ホーンセクションをはじめ、ファンキーなアフロ・ビートに仕上がっています。隠れた本作のハイライトなのでは?

「Aquilas Coisas Todas」
Toninho Horta作品カヴァーのブラジリアン・グルーヴ。これは単純に気持ちいいねぇ。Josh Milan(Blaze)のオブラートのようなスキャットがとっても好きだなぁ。

「Our Love」
Ananeのボーカルをフィーチャーしたボッサ・グルーヴ。クラブ系リスナーの方は気に入りこと間違いなしの1曲。どちらかと言えば、Anane『Selections』の収録曲っぽいよね。

「Quintero's Jam」
今年6月に死去したラテン・ジャズ界のトップ・ピアニストHilton Ruizをフィーチャーしたラテン・グルーヴ。この曲あたりはLouie Vegaらしく、エキサイティングかつ洗練されたサウンドに仕上げていると思いマス。ヒップなニューヨリカン・パーカッション奏者Milton Cardonaがコーラスで参加。

「EOL Intro (Clap Your Hands) 」
2004年にジャパニーズ・レゲエ・クイーンPUSHIMの名曲をLouie Vegaがリミックスした「Like A Sunshine,My Memory(EOL MIX) 」のリバージョンといった雰囲気のナンバー。日本のリスナーは2倍楽しめるよね。

「Acid」
本ブログでも紹介したラテン・グルーヴの帝王“ハード・ハンズ”Ray Barettoの名曲のカヴァー。ライナーノーツによるとQuinteroのオールタイム・フェイバリット・ベスト5の1曲がこの曲なのだとか。まぁ、納得ですね。Ray Baretto『Acid』の記事に本バージョンのカヴァーを書くのをすっかり忘れていたので、そっちも修正しておきまシタ。

「Four Beat Mambo」
「Son Montuno」
こちらも大御所ティンバレス奏者Tito Puenteのカヴァー2曲。「Four Beat Mambo」はQuinteroのパーカッションが満喫できるストレートなラテン・グルーヴに、「Son Montuno」の方はエレピの音色がオシャレなアーバン・グルーヴに仕上がっていマス。

「Oshagrina」
Milton Cardonaをフィーチャーしらラテン・スピリチュアルとでも呼びたくなる神秘的なグルーヴ。

「Love Remains The Same」
ラストはBlazeをフィーチャーしたStevie Wonderを彷彿させるラテン・ソウル・チューン。この曲もサイコーだね。個人的にはBlazeは大好きなハウス・グループだったので、彼らの名前がクレジットされているだけでウレシイっす。Amazonの扱いさえあれば、傑作コンセプト・ハウス・アルバム『25Years Later』(1990年)を本ブログでも取り上げたいんだけどなぁ。

こうやって書いてみると捨て曲ナシのアルバムだね。ハウス/クラブ・ミュージックという先入観なしに、多くの人に聴いて欲しいなぁ。
と言いながら、紹介が遅くなってホントごめんなさいm(_ _)m
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2006年11月18日

Levert『For Real Tho'』

Gerald Levertを偲んで...☆Levert『For Real Tho'』
For Real Tho'
発表年:1993年
ez的ジャンル:90年代スタイルR&Bボーカル・グループ
気分は... :ご冥福をお祈り申し上げます†(‐‐)

昨日もお伝えしたように、Gerald Levertが11月10日に心臓発作で急死してしまった。享年40歳。そのあまりにも早過ぎる死を悼んで、Levert『For Real Tho'』(1993年)を取り上げマス。

Gerald Levert(1966-2006年)は、ご存知の通り、ソウル界の大物グループO'JaysのメンバーEddie Levertを父に持つ、まさにソウルの申し子であった。1985年に兄Sean Levert、友人Marc Gordonと共に結成したLevertとしてデビューを果たす。

Levertは、「(Pop, Pop, Pop, Pop) Goes My Mind」、「Casanova」をヒットさせ、一躍人気グループとなった。また、1991年にはソロ・アルバム『Private Line』を大ヒットさせ、ソロ・アーティストとしての地位も確立した。さらには1997年にKeith Sweat、Jonny GillとLSGを結成し、話題となった。

それ以外にもプロデューサー、コンポーザーとしてもその才能を発揮していましたね。そう言えば、Geraldが絡んでいると理由で、Men At Large、Rude Boysといったグループのアルバムを購入した記憶がある(最近、聴いていないので内容は全然記憶にないんだけど...)。

当時の記憶で言えば、僕的には80年代後半から90年代のO'Jaysが気に入っていたので、その息子たちが結成したLevertへの関心も高かった。ソウル親子鷹ってカンジだったよね。

僕のイメージで言えば、90年代前半のGerald Levertって、Teddy Rileyに匹敵する才能ってカンジだったよね。ルックス的にはGerald LevertおよびLevertって親父(O'Jays)同様に暑苦しくてパッとしないけど、その分サウンドはバッチリ!ってカンジだったかなぁ。

Geraldを追悼する作品という意味では、1stソロ『Private Line』(1991年)あたりを取り上げるべきなのかもしれないけど、個人的に一番好きなLevert作品『For Real Tho'』(1993年)をセレクトしました。

『For Real Tho'』はLevertの6thアルバム。一般には、勢いのあった80年代の『Bloodline』(1986年)、『The Big Throwdown 』(1987年)、『Just Coolin'』(1988年)あたりの評価が高いと思うけど、個人的には『Rope A Dope Style』(1990年)と本作『For Real Tho'』(1993年)の2枚がお気に入り☆

O'Jays直伝の伝統的なソウル・マナーとNew Jack Swing(NJS)やHip-Hopといった当時の流行を、自然なかたちで融合させたのが、この2枚じゃないかなぁと思いマス。

特に、『For Real Tho'』は完成度が高いと思いマス。前半はダンス・チューン。後半はバラードという構成になっていマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Me 'N' You」
これはNJSテイストのダンス・チューン。ハネハネじゃなくて、ちょいハネくらいなのがLevertらしいのでは?

「Clap Your Hands」
コチラはHip-Hopテイストの1曲。こうしたアプローチの曲って、今聴くと厳しいものも少なくないんだけど、この曲はそんなに悪くない。B.T. Express「Once You Get It」をサンプリング。

「Tribute Song」
亡くなった偉大なミュージシャン達へのトリビュート。Miles DavisJohn ColtraneThelonious MonkSarah VaughanArt BlakeyBob MarleyJimi HendrixDonny HathawayMarvin Gayeなど様々なミュージシャンの名が登場する。そんなGeraldが今回トリビュートされる側になってしまったのは何とも残念...

「Good Ol' Days」
Levertらしさが最も発揮されている1曲なのでは?シングルカットもされたヒット曲。伝統的ソウル・マナーのDNAと90年代らしいグルーヴ感が実にマッチしたミディアム・チューンに仕上がっていマス。

「For Real Tho'」
Teddy RileyGuyが好きな人ならば気に入る曲。決してLevertらしくはないけど、でもカッチョ良い曲なので大好きっす。

「Do the Thangs」
90年代らしいバラード。大人のアーバン・ナイトな雰囲気がなんともいいですな。リアルタイムでこのアルバムを聴いていた頃、僕はこんなラブ・バラードばかり好んで聴いていた記憶がある。

「Say You Will」
これも味わい深いバラード。今回、久々に本作を聴いてかなりいい曲だと思った。今の僕ならばバラードではこの曲が本作で一番だね。

「ABC-123」
シングル・カットされ全米R&Bチャートでベスト5まで上昇したヒット曲。O'Jays直伝の正統派ソウル・マナーのバラード。

正直、近年のGerald Levertの活動には、あまり関心がなかったが、彼が80年代後半から90年代前半のR&B/Soulシーンを牽引した一人であり、当時僕は彼の名を目にしただけでワクワクしたことは事実である。

謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます†(‐‐)
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2006年11月17日

Gloria Scott『What am I Gonna Do』

フリーソウル・ファンにはお馴染みの1枚☆Gloria Scott『What am I Gonna Do』
What Am I Gonna Do
発表年:1974年
ez的ジャンル:メロウ・ソウル系レア・グルーヴ
気分は... :キラキラ☆ロマンチック♪

僕はキホン的に一人の時間が大好きな人間である。
でも、何となくここ数日人恋しい気分なんだよね。
僕がこんな気分になるのは相当ヤバイのかも?

そんな時聴きたくなるのが、レア・グルーヴ/フリーソウル系の女性ボーカル♪
きっと、ソウル・レディの優しい歌声に包容されたい心境なんだろうね(笑)

例えば、Jackson Sisters『Jackson Sisters』Alton Mcclain & Destiny『It Must Be Love』Madeline Bell『This Is One Girl』とかね。

これらの作品って、リアルタイムで聴いたことがないのに、聴くたびに昔懐かしい思い出が甦ってくるのも不思議なんだよね。何か胸がキラキラときめいてくるんだよね。

今回紹介するGloria Scott『What am I Gonna Do』(1974年)もそんな1枚だ。

正直、Gloria Scottという女性シンガーがどんなキャリアの持ち主なのか、今も全然知らない。持っているCDのライナーノーツを読んでも、全く彼女のプロフィールは書かれていない。多分、ライター自身もそんなに詳しく彼女のことを知らないのだと思う。

僕がGloria Scottを知ったのは、多分大多数の人と同じくフリーソウルのコンピで知った「What Am I Gonna Do」「That's What You Say (Everytime You're Near Me) 」の2曲っす。ちなみに「What Am I Gonna Do」は『Free Soul Lights』、「That's What You Say (Everytime You're Near Me) 」は『Free Soul Parade』に収録されてます。

これら2曲の黄昏ソウル、メロウ・ソウルの虜になったところへ、タイミング良く『What am I Gonna Do』が初CD化され、即ゲットした記憶がありマス。

本作のプロデュースは“愛の伝道師”Barry White。さらには片腕のTom Brock、売れっ子アレンジャーGene PageというBarry White関係ではお馴染みのメンバーが揃っていマス。このメンバーが制作すれば、出来上がるのは想像通り、恋する乙女のロマンチック気分な作品っす。

どうやら本作はGloria Scott唯一のアルバムらしい。
おそらく商業的にはあまり成功しなかったのであろう。

でも、そんな作品が発売から30年以上経った今なお多くのリスナーを魅了している。
ホント、こうした埋もれた名作を発掘してくれる方々に感謝ですな。

全曲紹介しときやす。

「What Am I Gonna Do」
前述のフリーソウル・クラシック。黄昏系のストリングスのアレンジがサイコーだよね。とっても甘酸っぱい気分になる曲だよね。揺れる乙女の恋心ってカンジでしょうか。

「It's Better to Have No Love」
トキメキ系バラード。このノスタルジックなムードがたまりませんな。

「I Think of You」
これはステキなバラードだね。アレンジの妙だよね。切々と歌い上げるGloriaのボーカルもカワイイね。思わず恋したくなる1曲ですな。

「Love Me, Love Me, Love Me, or Leave Me, Leave Me, Leave Me」
さらにバラードっす。それにしても長く、もどかしいタイトルだよね。“どっちなんだよ〜”と叫びたいけど、恋する気持ちって、確かにこんなカンジだったよね。オレには遠い昔の話だけど(笑)

「I Just Couldn't Take a Goodbye」
まだまだ続く怒涛のバラード4連発。さすが“愛の伝道師”Barry White☆只者ではないね。

「That's What You Say (Everytime You're Near Me) 」
フリーソウル・クラシック。個人的には一番のお気に入り。愛の伝道師チームによるロマンチックなアレンジに、Gloriaのスウィートなボーカルが抜群の相性を魅せる至極のメロウ・グルーヴ。僕的には最初の♪イェーイ、イェー♪だけで昇天してしまいマス(笑)同じくフリーソウル・クラシックのFreda Payne「We've Gotta Find A Way Back To Love」とセットで聴くのが、僕のお気に入りパターン。

「(A Case of) Too Much Lovemakin'」
この曲も人気が高い1曲ですね。大草原を駆け巡る乙女のような爽やかなメロウ・グルーヴってカンジかな。パーカッションのパカポコ感も僕好み。

「Help Me Get off This Merry-Go-Round」
しみじみしてしまうバラード。相変わらずストリングスが盛り上げてくれマス。

本作と全然関係ないが、さっきネットをテキトーに眺めていたら、LevertやLSGでお馴染みのGerald Levert死去のニュースを発見した。11月10日に心臓発作で亡くなったのだとか。享年40歳。オレより若い。早過ぎるよねぇ。

追悼の意味で明日にでもLevertの作品を紹介したいと思いマス。
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2006年11月16日

Bill Evans Trio『Portrait In Jazz』

ピアノ・トリオ・ジャズの定番アルバム☆Bill Evans Trio『Portrait In Jazz』
Portrait in Jazz
録音年:1959年
ez的ジャンル:ピアノ・トリオ・ジャズの定番
気分は... :心が浄化されマス

『Alone』(1968年)、『Waltz For Debby』(1961年)に続く、3回目のBill Evans登場デス。

本ブログで恒例となっている4半期ごとのアクセス数Top10で前回(2006年7-9月)第1位に輝いたのが『Waltz For Debby』だった。

どちらかと言えば、R&B/Soul、Hip-Hop系のアクセス数が多い本ブログでジャズ・アルバムへのアクセス数が一番多いというのは、かなり意外な結果だったけど、Bill Evansファンが多いことが素直に嬉しかったっす。

さて、今回は『Waltz For Debby』と同じ、Scott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)との最強トリオによる代表作『Portrait In Jazz』(1959年)っす。

『Portrait In Jazz』は、もしかしたら一番ポピュラーなBill Evansの作品かもしれませんよね。僕も最初に購入したBill Evans作品はコレでした。当時、僕のJazzに対するイメージって、黒人、破天荒みたいなイメージがあったので、この選挙ポスターのようなクソまじめで仏頂面の白人(Evans)が写るジャケは印象的だったね。

初リーダー作『New Jazz Conceptions』(1956年)を発表した頃は、まだ自らのスタイルを模索していたEvansは、1958年から1959年にかけて、帝王Miles Davisのグループへの参加し、歴史的名盤『Kind Of Blue』(1959年)などのセッションを通じて、モーダルなスタイルを自分のものにしていった。

それを昇華すべく結成したのがLaFaro、Motianとの最強トリオであり、その第1作が本作『Portrait In Jazz』である。よく言われる表現だけど、やっぱりエレガントという表現がピッタリだよね。

そのエレガントさは、Evansのピアノの素晴らしさもさることながら、LaFaroのベース、Motianのドラムが一体化したインタープレイの見事さに尽きると思いマス。

熱心なジャズ・ファンの方からすると、あまりにベタなセレクトと笑われそうですが、やっぱりコレは絶対抑えておくべき1枚だし、飽きずに一生聴き続けることができる作品だと思いますよ。

全曲紹介しときやす。

「Come Rain or Come Shine」
ミュージカル『St.Louis Woman』のために書かれたスタンダード(作詞Johnny Mercer、作曲Harold Arlen)。余計な音がない分、ピアノ、ベース、ドラムの絡みに耳を澄ませると味わい深いっす。

Bill Evans Trioとスウェーデンの歌姫Monica Zetterlundとの共演作『Waltz For Debby』でも取り上げていました。

他アーティストのカヴァーでは、Dinah Washington、Art Blakey & The Jazz Messengers、Sonny Clark、Keith Jarrett、Wynton Kellyなどのジャズ・ミュージシャンが取り上げています。意外なところでは、Eric Clapton & B.B. Kingによるカヴァーなんていうのもありマス。個人的には、映画『For The Boys』のサントラのBette Midlerバージョンも捨て難いですな(このサントラはBeatles「In My Life 」の名カヴァーが目玉ですけどね)。

「Autumn Leaves」
その後、Evansが何度もレコーディングすることになった定番曲。元々はJuliette Grecoによるシャンソンの名曲。Cannonball Adderley『Somethin' Else』(1958年)の演奏が有名かもしれませんが、本作の演奏も実にスリリングなインタープレイが展開され、素晴らしいと思いマス。僕はこのアルバムと言えば、すぐにこの曲が思い浮かぶなぁ。

Wynton Kelly、Keith Jarrett、Red Garlandなど数多くのミュージシャンが取り上げています。

「Witchcraft」
1957年のFrank Sinatraのヒットで有名な曲(作詞Carolyn Leigh、作曲Cy Coleman)。Marvin Gayeもカヴァーしています。本作では恋の魔法にかかったようなウキウキな演奏が印象的ですね。

「When I Fall in Love」
元々は1952年の映画『One Minute To Zero』のために書かれた曲。その後Nat King Coleが取り上げて有名になった曲なのだとか。スタンダード感漂う実にロマンチックな演奏ですね。「Someday My Prince Will Come」、「Autumn Leaves」と並んで、僕がよく聴く曲デス。

Miles Davis、Keith Jarrett、Jackie McLean、Blue Mitchell、Red Garlandなんかも取り上げていマス。

「Peri's Scope」
Evansのオリジナル。とても小粋な感じのする演奏ですね。EvansのピアノとLaFaroのベースの絡みが楽しい(この曲に限ったことではありませんが)。

「What Is This Thing Called Love?」
Cole Porter作品。元々はミュージカル『Wake Up and Dream』のために書かれたもの。“恋とは何?”という永遠のテーマを、ここでは実にスリリングに聴かせてくれます。恋にはこのスピード感が大事なのか(笑)

「Spring Is Here」
Richard Rodgers & Lorenz Hartzによるスタンダード。John Coltraneも取り上げていますね。個人的にはCarly Simonのバーション(アルバム『Torch』収録)をよく学生時代に聴いていまシタ。しっとりと翳りのある演奏がステキですね。

「Someday My Prince Will Come」
「いつか王子様が」という邦題の方がピンとくる1937年のディスニー映画『白雪姫(Snow White and the Seven Dwarfs)』の主題歌(作詞Larry Morey、作曲Frank Churchill)。

個人的には本作で一番聴く頻度が多いお気に入り曲。「Waltz for Debby」(アルバム『Waltz for Debby』収録)、「Alice in Wonderland(不思議な国のアリス)」(アルバム『Sunday At The Village Vanguard』収録)の3曲をセットで聴くのが、僕のお気に入りパターンっす。エレガントな演奏を聴きながら、童心に戻れるカンジがたまりません。

本バーション以外ならばMiles Davisのバージョンが僕のお気に入りデス。Dave Brubeck、Keith Jarrett、Wynton Kellyなども取り上げていマス。

「Blue in Green」
Miles Davisの名盤『Kind Of Blue』(1959年)収録のMiles DavisとBill Evans共作曲。本作でのリリカルな演奏にはただただウットリするのみですね。

こうやって全曲を眺めてみると、改めて充実の1枚だと再認識した次第っす。

ちょっと今へこみ気味なんだけど、Bill Evansの演奏はそんな心を優しく浄化してくれるカンジっす。これだからBill Evansは止められない。
posted by ez at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする